新高1向け春休みの勉強方法|中学卒業後の過ごし方を現役塾講師が徹底解説


編集部
塾選ジャーナル編集部

ひのき進学教室 三軒茶屋校講師
大山雅司
高校受験が終わり、ようやく一息つける新高校1年生(中学3年生)にとっての春休み。友達と遊んだり、家族と出かけたりするのもよいですが、高校生活のスタートダッシュを切るためには勉強もおろそかにはできません。勉強を含めて春休みを有意義に過ごすことが大切です。今回は新高校1年生に向けた、おすすめの春休みの過ごし方をご紹介。中学校と高校における学習面の違いや科目別の勉強法を具体的に解説します。
新高1の春休みに意識したい!中学と高校の学習面での違い
中学校と高校とでは、学習面で大きな違いが生まれます。中学校のときと同じ意識で高校へ進学すると、子どもによっては大きな違いに戸惑ってしまうかもしれません。新高1の生徒は、以下で紹介する主な違いを理解しておきましょう。
① 学習内容は難しく、授業スピードも速くなる
戸惑いを感じる最も多くの理由の一つが、学習内容が難しくなることです。中学校でも学年が上がるにつれて、勉強する内容は難しくなっていったことでしょう。
しかし高校における学習内容の難しさは、中学校よりもはるかに上回っています。特に積み上げ式となる英語と数学は高度な内容をあつかうようになり、高校に入学してから初めて苦手になる子どもも珍しくありません。
学習内容が難しくても授業がゆっくり進めばよいですが、授業スピードも速くなるのが実際のところです。特に進学校では大学受験対策を想定して、できるだけ早く所定のカリキュラムを終えようとする高校もあります。一度つまずきが生じると、周りの生徒にどんどん遅れをとってしまうでしょう。
② 科目数が増える
科目数が増えるのも、中学校とは違った特徴です。たとえば理科は物理や化学、生物、地学などに、社会は日本史や世界史、地理、現代社会、政治・経済など、1つの教科が細かく細分化されて授業がおこなわれます。
細分化された分、一つの科目の専門性は深くなり、学ぶべき学習範囲も広がります。また特に国公立大学を目指す場合、文系と理系を問わずに6教科8科目の受験が基本です(2025年におこなわれる大学入学共通テストより)。勉強する範囲が大きくなり、難易度も高まるでしょう。
③ 高校2年生から文理選択・科目選択がスタートする
大学受験を目指す普通科の高校へ進学した場合、高校2年生から文系か理系のどちらかに所属して勉強するのが一般的です。(高校によっては2年生で文理を分けない場合もあります。)さらに文系と理系で社会や理科など、受験する大学の入試科目に合わせて受講する科目を選択できるようになります。
また高校によっては国公立大学や私立大学別に、クラスやコース分けをしているところもあるでしょう。
他の生徒に差を付ける!新高1(中3)の春休みの過ごし方
「辛い高校受験が終わったのだから、春休みくらいはのんびりしたい!」と思っている子どもも多いかもしれません。確かにほっと一息つく時間も大切ですが、先に述べたように高校でおこなわれる授業内容は高度なものばかり。春休み中も勉強を意識した生活を送ることで、スムーズに高校生活へ入っていけるようになるでしょう。
続いては他の生徒に差を付ける、新高校1年生の春休みの過ごし方を紹介します。
① 勉強習慣を維持する
多くの新高1の皆さんは、高校受験突破に向けて毎日勉強をしていたはずです。
しかし春休み中にまったく勉強をしないと、身に付けた勉強習慣がなくなってしまいます。これから高校で学ぶ難しい項目を理解したり、定期テストで高い点数を取ったり、第一志望の大学へ現役で合格したりするためには、毎日コツコツと勉強することが欠かせません。
せっかく身に付けた勉強習慣を維持するために、春休み中も毎日勉強をしましょう。どうしても気持ちが乗らなかったり、何か予定が入っていたりする場合は、10分~20分ほどの勉強でも構いません。教科書や参考書を、パラパラと眺めるだけでもよいでしょう。とにかく短時間でもよいので、毎日勉強に取り組むことが大切です。
② 1日3時間の勉強時間を確保する
子どもの現在の学力や、進学した高校のレベル、そして大学受験をする場合は志望校のレベルなどによって異なりますが、できれば1日3時間の勉強時間は確保しておきたいところです。
3時間と聞くと「そんなにたくさん!」と感じるかもしれませんが、これまでに受けていた中学校の授業時間を考えると、必ずしも長い時間ではありません。3時間続けて勉強する必要もなく、たとえば午前と午後、夕食後にそれぞれ1時間ずつ勉強時間を分けてもOK。取りかかってみると、案外すぐに終わってしまうものです。
ただし、張り切りすぎないことも大事なポイントです。新高1の春休みに行う勉強は、大学受験に向けた長いマラソンの一部。先取り学習は、高校入学後も継続して行うことに意味があります。春休みの勉強では、「これなら今後も継続できそう」という自分のペースを見つけることも重要です。
③ 進学する高校の課題を早めに終わらせる
特に進学校の中には高校入学前であっても、春休み中に宿題を課すところがあるかもしれません。宿題の内容は中学校の復習や高校の先取り学習など、学校によってさまざまです。
宿題が課される場合は、できるだけ早めに終わらせましょう。理想は春休みの前半に集中して終わらせること。休みの後半は、それぞれの課題に合った勉強へ取り組めるようになります。
④ 生活リズムをくずさない
生活リズムをくずさないようにすることも大切です。春休みが明けると高校生活が始まり、規則正しい生活が求められます。
春休み中に夜遅くまで起きていたり、朝はいつまでも寝ていたり、食生活や睡眠リズムが乱れたりすると、高校生活のスタートに支障をきたしてしまうでしょう。万全な体調で4月を迎えるためにも、春休み中は生活リズムをできるだけくずさないように注意してください。
新高1(中3)春休みの勉強法と科目別のポイント
新高校1年生が春休みの間に最優先で勉強するべき科目は、英語・数学・国語の3つです。限られた期間の中で勉強の効率性をアップさせるために、科目ごとに最低限やっておきたいポイントを紹介します。
新高1向け「英語」の勉強法
英語で重点的に取り組んでほしいのは、単語と文法の学習です。
英語の学習ポイント①
まずは単語帳から取り組もう!
高校の授業、そして大学受験で求められる単語数は、高校受験に必要な数よりもはるかに多いです。高校受験では約1,600~1,800語ですが、高校の授業では全部で1,800~2,500語、大学入学共通テストでは全部で6,000語前後、早稲田大学や慶應義塾大学といった最難関私立大学入試では全部で8,000語~10,000語の習得が必要とされています。
英語の基本となる単語がわからないと、そもそも文章さえ読めません。単語の暗記には時間がかかるため、春休み中に少しずつ勉強を始めておくとよいでしょう。
一般的な単語帳だと、例えば「ターゲット1200」などがありますが、可能ならば学校で購入予定の単語帳を事前に調べ、同じものを使うのがおすすめです。先輩に聞いたり、学校のホームページで確認しておくと良いでしょう。学校のホームページでは「年間授業計画」や「シラバス」に【一年次使用する単語帳】と載っている場合がありますので確認してみてください。
● 1冊は学校用、もう1冊は自宅用として書き込むなど、使いやすいスタイルを工夫する。
● 定期テストの範囲に合わせて復習し、周回数を増やす。
知っている単語と新しい単語がバランスよく混ざった教材を選び、無理なく進めることがポイントです。
英語の学習ポイント②
文法は、以下に取り組もう。
1. 受験勉強中によく理解できなかった単元
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2. 文型・品詞の単元の復習
春休み中は単語・語彙の習得を優先しながら、文法にも取り組めると、高校での英語学習をよりスムーズにスタートできます。
受験勉強中によく理解できなかった単元がある人は、もう一度復習をしてください。
英語が得意なら、文型・品詞(名詞/動詞/形容詞など)の単元の復習に取り組むのがおすすめです。高校での英語は、一般的には文型・品詞から始まります。動画コンテンツなどで高校単元を見てみるのも良いでしょう。
文型の基本5パターン:
新高1向け「数学」の勉強法
続いては数学の勉強法です。
数学の学習ポイント①
中学の数学を復習する
高校1年生で習う数学は、中学数学の内容とつながっているものが沢山あります。中学数学で取りこぼしがある場合も多い場合、高校数学が苦手になってしまう可能性が高いため、高校入学前に中学数学をしっかり復習しておくことが大切です。
特に復習するべき学習項目は因数分解と平方根、二次方程式、二次関数、確率、円、三平方の定理。数学が苦手な場合は、教科書の解説をよく読み、例題や練習問題から始めてみましょう。解き方のパターンが理解できたら、問題集で似た問題をくり返し解いてください。
数学の学習ポイント②
高校課題に着実に取り組むべし!
数学の先取り学習は、独学では難しい場合が多いです。まずは、学校から出される課題を確実にこなすことが大切。もし余裕があれば、中学受験で通っていた塾に相談して、大学入試を見据えた追加の指導を受けるのもおすすめです。
もし数学が得意な場合には、高校から配布された数学の教科書や参考書を読み始め、自己学習をしていきましょう。まだ理解できない箇所があるかもしれませんが、授業を受けていないので当然です。自己学習でわかる部分だけでも、先に勉強しておくことで十分に力になります。
新高1向け「国語」の学習ポイント
国語の学習ポイント
古文の基礎固めを忘れずに!
大学受験に向けて高校1年生で重要になるのが「古文」の学習です。なかでも「活用表の暗記」が、古文の基礎を築く土台となります。動詞・形容詞・形容動詞の活用をしっかり覚えることが、授業についていくための第一歩。活用法を暗記できないと大半の生徒が「古文嫌い」となり、高校3年生になってから苦労する可能性があります。まずは、しっかりと活用法を覚えましょう。
また、古文に取り組む以前に、中学校で習った「現代国文法」を復習しておくこともおすすめです。
古文の文法は現代国文法と地続きになっているので、改めて見直すことで、古文を学ぶ上での下地になります。
活用法の例:動詞の場合
● メトロノームのテンポに合わせて活用表を音読
● 慣れてきたらテンポを上げる
活用表を記憶に定着させるためにおすすめなのが「メトロノーム学習法」です。 暗記作業をリズムに乗せることで、楽しく効率的に進められます。メトロノームはスマホのアプリで簡単に手に入れられます。
詳しいメトロホーム学習法のやり方を知りたい方は私のYoutubeで紹介していますので、参考にしてみてください。
新高1(中3)塾の春期講習は受けるべき?
塾や予備校の中には、新高1向けの春期講習をおこなっているところがありますが、大学受験まではまだ時間があることから、必ずしも必要というわけではありません。
しかし学習習慣が身に付いておらず、自宅で勉強ができない子ども、苦手科目があって一人では克服できない子どもは、春期講習へ通うのも1つの方法です。春期講習によってさまざまなカリキュラムを提供しているため、異なる学習ニーズを持つ新高1生に対応してくれます。
また偏差値の高い進学校へ入学する子どもや、すでに難関大学受験を目指している子どもも、春期講習を受けた方がよいでしょう。同じような学力を持ったライバルたちと勉強することで、学習意欲を大きく上げて高校生活を迎えられるはずです。
まとめ
高校の授業は中学校よりもはるかに難しく、またスピードも速いのが特徴です。4月以降の授業で遅れをとらないように、新1生は春休み中も勉強を意識した生活をしましょう。
「高校入学後も継続できそう」な勉強のペースを見つけることも重要です。
勉強の習慣がない子どもや自主学習ができない子ども、苦手科目がある子どもは春期講習へ通う方法もあります。塾によってさまざまなカリキュラムを準備しているので、子どもの学習ニーズに合った場所を見つけられるはずです。
➤新高1向け春休みの勉強法:詳しい内容は以下の参考動画もチェック!
※参考動画:【新高1】春休みの先取り学習、何をする?
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。