因数分解のやり方を中学生向けに解説!公式の見分け方を東大卒監修で紹介
「因数分解、まったくわからない……」そう悩んでいる中学生はいませんか。公式は授業で習ったはずなのに、いざ問題を前にすると「どれを使えばいいんだろう」と手が止まってしまう。そんな経験がある人は、実は多いのです。
因数分解が苦手な人の多くは、公式を知らないのではありません。「問題を見たときにどの公式を選ぶか」という判断の仕方を知らないことが、つまずきの本当の原因です。
この記事では、因数分解の意味と基本のしくみから、4つの公式の内容と見分け方、問題を見たときに何を確認すればよいかという解き方の流れ、よくある間違いと定期テストの対策問題まで、順を追って解説します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
永田耕作
2001年生まれ 東京大学教育学部卒 公立高校から学習塾に入らずに東大へ現役合格。中学・高校は野球部に所属、部活動と勉強を並行し 「練習で自分の苦手を潰して、試合で自分の力を最大限に発揮する準備をする」という努力の「型」を 勉強にも活かして受験勉強を乗り切る。得意科目は数学で、高校2年生のときに数学オリンピック本選に出場した経験がある。現在は(株)カルぺ・ディエムに所属し全国各地で年間100回以上の講演活動を行い、勉強モチベーションや計画の立て方などを伝えている。自著に、「東大生の考え型(2022,日本能率協会マネジメントセンター)」「東大式 数値化の強化書(2024,彩図社)」などがある。 X公式アカウント:https://twitter.com/nagatakosaku08
目次
因数分解の意味と基本の考え方

因数分解の公式を覚える前に、まず「因数とは何か」「因数分解とはどんな操作か」をしっかり理解しておくことが大切です。ここでは難しい公式は使わず、「足し算・引き算の形をかけ算の形に直す」というイメージを掴むことを目標にします。
因数は式や数を作るもとになる数・文字
たとえば30という数は、30=2×3×5のようにかけ算の形に分解でき、このときの2・3・5がそれぞれ「30の因数」です。文字式でも同様で、6xは6x=2×3×xと分解でき、2・3・xの3つが「6xの因数」になります。
因数とは、かけ合わせると元の数や式になるパーツのことだと覚えておきましょう。
因数分解は式をかけ算の形に直すこと
たとえば「2x+6」という式は、共通する数「2」を外に出すと、2(x+3)というかけ算の形に変わります。足し算・引き算で並んでいた式が、かけ算の形にまとまりました。これが因数分解の基本的な操作です。
式の形は変わりますが、どちらも同じ値を表しているので、安心して変形できます。
因数分解は展開の逆の操作
因数分解と展開は、まったく逆の操作です。
展開:(x+2)(x+3) → x²+5x+6
因数分解:x²+5x+6 → (x+2)(x+3)
因数分解は展開の公式を逆向きに使う操作です。この関係を理解しておくと、因数分解の答えが合っているかどうかを展開して確かめることができます。
因数分解と素因数分解の違い
「因数分解」と「素因数分解」は名前が似ているため混同しやすいですが、対象がまったく異なります。以下の表で確認しましょう。
| 対象 | 操作 | 例 | |
|---|---|---|---|
| 因数分解 | 文字式 | かけ算の形に直す | x²+3x → x(x+3) |
| 素因数分解 | 整数 | 素数のかけ算に直す | 12 → 2²×3 |
因数分解は「式」を扱い、素因数分解は「整数」を扱うという点がもっとも大きな違いです。この記事で扱うのは文字式を対象とした因数分解ですので、混同しないよう確認しておいてください。
因数分解を学ぶ理由と使い道

「なぜ因数分解を勉強するのか」と思ったことがある人は多いはずです。実は、因数分解は中学数学の中だけで完結する知識ではありません。二次方程式の解き方や式の計算を楽にする場面、さらには高校数学や高校受験まで、幅広い場面で使われる重要な技術です。ここでは、因数分解を学ぶ具体的な理由を3つ紹介します。
二次方程式を解きやすくするため
因数分解を学ぶ理由のひとつは、二次方程式を解きやすくするためです。
たとえば「x²+5x+6=0」という二次方程式は、そのままでは解くのが難しいですが、左辺を因数分解して(x+2)(x+3)=0の形にすると、「かけ算の結果が0になるにはどちらかが0であればよい」という考えから、x=-2またはx=-3とすぐに解が求められます。
因数分解を使えば、複雑な二次方程式も手順通りに解けるようになります。
式の値を簡単に求めるため
因数分解のもうひとつの使い道は、式の値を素早く・正確に求めることです。
x=98のとき「x²+4x+4」の値を求める場面を考えてみましょう。そのまま98を代入すると98²+4×98+4という大きな計算になりますが、先に因数分解して(x+2)²にしてから代入すると(98+2)²=100²=10000と一瞬で求められます。
因数分解は答えを出すだけでなく、計算ミスを減らす道具としても非常に役立ちます。
高校数学や入試問題の土台になるため
因数分解は、高校数学や入試問題の土台にもなる技術です。
高校数学では二次関数のグラフを読み解く場面や、最大・最小を求める問題、方程式・不等式の解法など、因数分解が使えることを前提として授業が進んでいきます。
中学3年生のうちに因数分解の考え方をしっかり身につけておくことは、高校受験の得点力を上げるだけでなく、高校入学後の数学の土台を作ることにもつながります。
因数分解の基本的なやり方

因数分解は、問題を見てすぐに公式を当てはめようとすると行き詰まりやすくなります。大切なのは、決まった順番でチェックしていくことです。
ここでは「共通因数の確認→公式の検討→たすき掛け→置き換え→検算」という5つのステップを順番に説明します。このステップを身につければ、どんな問題でも焦らず対処できるようになります。
ステップ1|共通因数があるか最初に確認する
どんな因数分解でも、最初にやるべきことは共通因数を探すことです。式のすべての項に共通して含まれる数や文字があれば、まずそれをくくり出します。
たとえば「6x²+9x」であれば、係数の最大公約数は3、共通する文字はxなので、3xをくくり出して3x(2x+3) と変形できます。数の部分と文字の部分、両方を確認する習慣をつけましょう。
ステップ2|公式に当てはまる形を探す
共通因数をくくり出した後は、残った式がどの公式の形に近いかを探します。「覚えた公式を当てはめる」というより、「式の形がどのパターンに見えるか」を確認するという感覚が大切です。
公式の詳しい内容と見分け方は次の章で説明しますが、まずは「この式は何かの形に似ていないか」と観察するクセをつけましょう。
ステップ3|たすき掛けが使える式か確認する
公式に当てはまらない場合、x²の係数が1ではない「ax²+bx+c」の形であればたすき掛けを使える可能性があります。
たすき掛けの詳しい手順は後の章で解説しますが、基本の公式でどうにもならないときに使う方法として覚えておきましょう。まずはステップ1・2を確実にできるようにすることを優先してください。
ステップ4|置き換えや並べ替えで解きやすい形にする
公式やたすき掛けでも対処しにくい式は、見た目を変える工夫をします。式の中に「(a+b)」のようなまとまりが繰り返し出てくる場合は、それをAなどの一文字に置き換えるとシンプルな形になります。
また、文字が複数含まれる式は、次数の低い文字を基準に項を整理すると共通因数が見えやすくなります。
置き換えを使った場合は、因数分解が終わった後に必ず元の文字に戻すことを忘れないようにしましょう。
ステップ5|展開して元の式に戻るか検算する
因数分解が完成したら、最後に展開して元の式に戻るかどうかを確かめます。展開して元の式と一致すれば正解、一致しなければどこかにミスがあるというサインです。
符号の間違いやたすき掛けの組み合わせミス、置き換えた文字を戻し忘れるといったミスは、この検算のステップで気づくことができます。答えを書いて終わりにするのではなく、検算まで含めて1セットと考える習慣をつけましょう。
中学数学で使う因数分解の公式一覧

因数分解の公式は全部で4つあります。大切なのは公式を丸暗記することではなく、「式がどの形に見えるか」を素早く判断できるようになることです。ここでは各公式の形・見分け方・例題をセットで確認しましょう。
積と和から2つの数を探す公式

この公式は、xの係数と定数項から2つの数を見つける公式です。
x²+(a+b)x+ab = (x+a)(x+b)
「足すとxの係数、かけると定数項になる2つの数a・b」を探すのがポイントです。
例:x²+5x+6 を因数分解する
以下は「かけて6になる数の組み合わせ」と「足した結果」の対応です。
| aとbの組み合わせ | 足すと | かけると |
|---|---|---|
| 1と6 | 7 | 6 |
| 2と3 | 5 ✓ | 6 |
| -1と-6 | -7 | 6 |
足して5、かけて6になる組み合わせは2と3なので、答えは(x+2)(x+3)です。まず定数項の候補を書き出し、その中から和がxの係数と一致するものを探す順番で考えると見つけやすくなります。
2乗してプラスになる公式(和の形)

この公式は、定数項が「ある数の2乗」になっているかどうかが見分けのポイントです。
x²+2ax+a² = (x+a)²
確認する手順は2つです。①定数項がある数aの2乗になっているか。②xの係数が「2×a」になっているか。この2つを満たせばこの公式が使えます。
例:x²+6x+9 → 9=3²、6=2×3 ✓ → (x+3)²
注意点として、x²+6x+10は定数項が10で3²にならないため、この公式は使えません。似た形でも定数項をしっかり確認しましょう。
2乗してマイナスになる公式(差の形)

この公式はxの係数がマイナスになるパターンで、真ん中の項だけがマイナスになることが特徴です。
x²-2ax+a² = (x-a)²
例:x²-10x+25 → 25=5²、-10=-2×5 ✓ → (x-5)²
符号ミスが起きやすいポイントを正誤例で確認しておきましょう。
| 式 | |
|---|---|
| ○正しい | (x-5)² |
| ×間違い | (x+5)² |
定数項がプラスであっても、xの係数がマイナスであれば答えの符号もマイナスになります。定数項の符号ではなく、xの係数の符号を見て判断する習慣をつけましょう。
2乗同士の差をかけ算に直す公式

この公式は、式が「2乗マイナス2乗」の形になっているときだけ使えます。
x²-a² = (x+a)(x-a)
例:x²-9 → 9=3² → (x+3)(x-3)
係数がある場合も同様に対応できます。たとえば4x²-49は(2x)²-7²と見れば、(2x+7)(2x-7)と因数分解できます。
注意点として、x²+a²のようにプラスでつながっている場合はこの公式は使えません。「2乗どうしの引き算」になっているかどうかを必ず確認してから使いましょう。
どの因数分解の公式を使うかを見分けるポイント

公式を覚えていても、問題を見たときに「どれを使えばいいか」で迷ってしまう人は多いです。この章では、問題を見た瞬間にどこを確認すれば公式が決まるかを、順番に説明します。公式の暗記よりも、この見分け方を身につけることが因数分解の実力アップに直結します。
まず、問題を見たときに確認する順番を以下のフローで整理しておきましょう。
| 確認する順番 | 見るポイント | 使う方法 |
|---|---|---|
| ① | 全項に共通する数・文字がある | 共通因数でくくる |
| ② | A²-B²の形(2乗マイナス2乗) | 2乗の差の公式 |
| ③ | 定数項が平方数で、真ん中の項が2×a×xになっている | 2乗の公式(和・差) |
| ④ | x²+bx+cの形で、積と和が合う2つの数が見つかる | 積と和の公式 |
| ⑤ | x²の係数が1でないax²+bx+cの形 | たすき掛け |
| ⑥ | 共通のまとまりが繰り返し出る・文字が複数ある | 置き換え・並べ替え |
この順番で上から確認していけば、どんな問題でも使う方法が自然に絞れてきます。
全項に共通する数や文字がある式
どの問題でも、最初に全項の共通因数を確認することが鉄則です。数字の部分は最大公約数を、文字の部分は全項に共通して含まれる文字を探します。
たとえば「6x²+9x」であれば、係数の最大公約数は3、共通する文字はxなので、3xをくくり出して3x(2x+3)になります。共通因数をくくらずに次のステップに進むと係数が大きいまま残り、公式が見つけにくくなるため、必ず最初に確認しましょう。
2乗から2乗を引いている式
式を見たとき、「引き算になっているか」を最初に確認するのが2乗の差を見つけるコツです。A²-B²の形、つまり「2乗マイナス2乗」になっていれば(A+B)(A-B)の公式が使えます。
たとえば4x²-49は(2x)²-7²と見ることができるので、(2x+7)(2x-7)と因数分解できます。足し算になっているA²+B²の形には使えないので、必ず引き算かどうかを確認してから判断しましょう。
真ん中の項が2倍になっている式
2乗の公式(和・差)かどうかを見分けるには、定数項だけでなく真ん中の項も一緒に確認することが大切です。
たとえばx²+6x+9であれば、9=3²、6x=2×3×xと見られるかどうかを確認します。定数項が何かの2乗になっていて、かつ真ん中の項が「2×a×x」の形になっていれば公式が使えます。定数項だけを見て判断すると間違えることがあるため、真ん中の項も必ず確認しましょう。
積と和が合う2つの数を探せる式
x²+bx+cの形であれば、「かけてc、足してb」になる2つの数を探すのが判断の基本です。
たとえばx²+7x+12なら、かけて12・足して7になる組み合わせは3と4なので、(x+3)(x+4)となります。符号の見分け方は以下の通りです。定数項cがプラスでxの係数bもプラスなら2つの数はどちらもプラス、cがプラスでbがマイナスなら2つの数はどちらもマイナス、cがマイナスなら2つの数は符号が逆になります。
符号のパターンを先に確認してから候補を絞ると、探す手間が大幅に減ります。
【全くわからない人へ】因数分解を素早く解く裏ワザとコツ

基本の解き方と練習問題に取り組んだところで、解くスピードをさらに上げるコツを2つ紹介します。どちらも「問題を見たときに何を先に確認するか」という順番の話です。知っているだけで判断が速くなるので、ぜひ意識してみてください。
裏ワザ①「足し算」は後回し!「九九の逆算」から攻める
x²+bx+cの形の式を因数分解するとき、xの係数(足し算の部分)から考えようとすると候補が絞りにくくなります。先に定数項cの約数の組み合わせ(九九の逆算)を書き出してから、その中で和がbになるものを探す順番が正解です。
たとえばx²+7x+12なら、まず「かけて12になる組み合わせ」として1と12、2と6、3と4を書き出し、その中で足して7になる3と4を選びます。足し算から考えると候補が無限に広がりますが、かけ算から考えると候補は有限に絞られるため、圧倒的に速く解けます。
裏ワザ②カッコの中の「符号」を先に固定する
因数分解の答えを書くとき、数字より先に符号を決めてしまうと計算ミスが減ります。
定数項がプラスでxの係数もプラスなら両方プラス、定数項がプラスでxの係数がマイナスなら両方マイナス、定数項がマイナスなら符号は逆、という3パターンを先に判断しましょう。「符号→数字」の順で決める習慣をつけると、符号ミスによる失点をほぼゼロにできます。
数字を先に決めようとして符号を後から調整しようとするから間違えるので、順番を逆にするだけで正確さが上がります。
因数分解のテクニックを使った解き方

共通因数と4つの公式を使った因数分解に慣れてきたら、次は応用テクニックを身につけましょう。ここで紹介するのは、公式だけでは対応できない式に使う3つのテクニックです。まず基本をしっかり固めたうえで、この章に進むようにしましょう。
中学範囲でまず優先する基本テクニック
因数分解で最初に優先すべきは、共通因数でくくることと4つの公式を使いこなすことです。
たすき掛けや置き換えは、定期テストや高校受験で応用問題として出た場合に使う技術であり、まずは基本の2つを確実にできるようにすることが先決です。この章のテクニックは「基本ができた人が次に身につけるもの」として取り組んでください。
たすき掛けで2次式を因数分解する方法
たすき掛けは、x²の係数が1でない「ax²+bx+c」の形の式に使います。まずaとcをそれぞれ因数に分解して候補を書き出し、2つのペアを斜めにかけ合わせた積の和がbになる組み合わせを探します。まず積が合うペアを絞り、その中から和がbになるものを探す順番で進めると効率よく見つかります。
例として「6x²+17x+5」を解いてみましょう。6の因数ペアは(1,6)と(2,3)、5の因数ペアは(1,5)です。(2,3)と(5,1)の組み合わせで斜めにかけると2×1=2、3×5=15となり、足すと17になります。この組み合わせが正解なので、答えは(2x+5)(3x+1)です。慣れるまでは紙に書き出して試すことがポイントです。
複雑な式を文字に置き換える方法
置き換えは、式の中に同じまとまりが繰り返し出てくるときに使うテクニックです。
たとえば「(a+b)²+6(a+b)+9」は、(a+b)をAと置き換えるとA²+6A+9というシンプルな形になります。これは2乗の公式が使えるので(A+3)²と因数分解でき、最後にAを(a+b)に戻すと(a+b+3)²が答えです。
置き換えを使ったら、最後に必ず元の文字に戻すこと。これを忘れると答えが不完全になるため、置き換えた瞬間に「最後は戻す」と意識しておきましょう。
次数の低い文字で整理する方法
文字が2種類以上含まれる式では、どちらの文字で整理するかを最初に決めることが大切です。次数が低い方の文字に注目すると、共通因数が見えやすくなります。
たとえば「x²+5xy+2x+10y」はyを含む項とyを含まない項でグループに分けます。(x²+2x)+(5xy+10y)と整理するとx(x+2)+5y(x+2)となり、共通因数(x+2)が現れるので、答えは(x+2)(x+5y)です。
いきなり変形しようとせず、まず「どちらの文字で整理するか」を考えてから手を動かす習慣をつけましょう。
因数分解でよくある間違い

因数分解の失点の多くは、計算力の問題ではなく確認不足や思い込みによるパターンミスです。ここではテストで実際に起きやすい7つの間違いを具体例とともに整理します。自分がどのミスをしやすいか確認しながら読んでみてください。
共通因数をくくり忘れるミス
「公式を使う前に共通因数」を確認することは因数分解の大前提です。
たとえば「4x²+12x+8」をいきなり公式に当てはめようとすると複雑になりますが、まず4でくくると4(x²+3x+2)となり、かっこの中を積と和の公式で(x+1)(x+2)と因数分解できます。どんな式でも最初に全項の共通因数を探す習慣をつけましょう。
マイナスでくくった後に符号を間違えるミス
マイナスを含む共通因数でくくると、かっこの中の符号がすべて逆になります。「-3ab+12b」を因数分解する場合、共通因数は-3bです。
| 式 | |
|---|---|
| ○正しい | -3b(a-4) |
| ×間違い | -3b(a+4) |
マイナスでくくった後は、かっこの中の符号が反転していることを必ず確認しましょう。くくり出した後に展開して元の式に戻るかチェックすると、このミスをすぐに発見できます。
A²+B²を2乗の差と勘違いするミス
「2乗が2つある」というだけで公式を使おうとすると間違えます。2乗の差の公式が使えるのはA²-B²のように引き算になっている場合だけです。A²+B²のように足し算になっている場合は、中学範囲では因数分解できません。
式を見たときは「2乗が2つある」だけで判断せず、「引き算になっているか」を必ず確認してから公式を使いましょう。
2乗の公式の定数項を見間違えるミス
2乗の公式かどうかは、定数項だけでなく真ん中の項も合わせて確認する必要があります。x²+6x+9は9=3²、6x=2×3×xとなり公式が使えますが、x²+6x+10は定数項が10で3²にならないため使えません。
「真ん中の項」と「最後の項」の両方が公式の形と一致するかを確認してから判断しましょう。
たすき掛けで符号を間違えるミス
たすき掛けで定数項がマイナスの場合、因数の符号は片方がプラス・もう片方がマイナスになります。このとき、斜めにかけて足した結果がxの係数と一致するかどうかを必ず確認することが大切です。
最後に展開して元の式に戻るか検算する習慣をつけることで、符号ミスを確実に減らせます。
置き換えた文字を元に戻し忘れるミス
A=(a+b)のように置き換えをした場合、因数分解が終わった後に必ずAを元の(a+b)に戻すことがセットです。Aのまま答えを書いてしまうと答えとして不完全になります。
解き終わった後に置き換えた文字が残っていないかを確認する習慣をつけましょう。
展開して確認しないことでミスに気づけないケース
因数分解が終わったら、展開して元の式に戻るかどうかを確認することが最後の工程です。符号ミス・たすき掛けの組み合わせミス・置き換えの戻し忘れは、いずれも展開して確認すれば気づけます。
「解いたら終わり」ではなく「展開して戻す」までを1セットとして習慣化することで、テストでの失点を大きく減らすことができます。
【定期テスト対策】因数分解の問題

ここまで学んだ内容を、実際に定期テスト対策問題を解きながら確認しましょう。基礎・標準・応用の3段階に分けているので、まず基礎から取り組み、自分の理解度に合わせて進めてください。問題を見たらすぐに手を動かすのではなく、「まずどこを見るか」を意識してから解き始める習慣をつけることが大切です。
基礎レベルの定期テスト対策問題
中学3年生の定期テスト序盤〜中盤レベルの問題です。まずは共通因数・2乗の公式・2乗の差の基本問題です。問題を見たときに「どこを見て判断したか」を意識しながら解いてみましょう。
問題1:8x³+4x² 問題2:x²-16 問題3:x²+6x+9
解答と解説
問題1:8x³+4x² 答え:4x²(2x+1)
全項に共通する数は4、共通する文字はx²です。「係数の最大公約数」と「共通する文字」の両方を確認して4x²をくくり出します。
問題2:x²-16 答え:(x+4)(x-4)
16=4²と見ると、x²-4²の形なので2乗の差の公式が使えます。「引き算になっているか」を最初に見るのがポイントです。
問題3:x²+6x+9 答え:(x+3)²
定数項9=3²、xの係数6=2×3を確認します。「定数項が何かの2乗」「真ん中が2×a×x」の両方が一致しているので2乗の公式が使えます。
標準レベルの定期テスト対策問題
中学3年生の定期テスト中盤〜後半レベルの問題です。積と和で2つの数を探す問題と、共通因数をくくってから公式を使う2段階の問題です。
問題4:x²+7x+12 問題5:3x²+15x+18 問題6:x²-x-6
解答と解説
問題4:x²+7x+12 答え:(x+3)(x+4)
かけて12・足して7になる組み合わせは3と4です。定数項がプラス・xの係数もプラスなので、2つの数はどちらもプラスになります。
問題5:3x²+15x+18 答え:3(x+2)(x+3)
まず全項の共通因数3をくくり出して3(x²+5x+6)にします。「公式を使う前に共通因数」を確認したうえで、かっこの中をかけて6・足して5になる2と3で(x+2)(x+3)と因数分解します。
問題6:x²-x-6 答え:(x+2)(x-3)
定数項がマイナスなので、2つの数の符号は逆になります。かけて-6・足して-1になる組み合わせは+2と-3です。
応用レベルの定期テスト対策問題
定期テスト発展問題〜高校受験レベルの問題です。たすき掛け・置き換え・文字で整理する方法を使います。「なぜその方法を選んだか」を意識しながら解いてみましょう。
問題7:2x²+7x+3 問題8:(a+b)²+6(a+b)+9 問題9:x²+4xy+3x+12y
解答と解説
問題7:2x²+7x+3 答え:(2x+1)(x+3)
x²の係数が2で1ではないため、たすき掛けを選びます。2の因数ペアは(1,2)、3の因数ペアは(1,3)です。(1,2)と(1,3)の組み合わせで斜めにかけると1×3=3、2×1=2となり、足すと7になります。
問題8:(a+b)²+6(a+b)+9 答え:(a+b+3)²
(a+b)という同じまとまりが繰り返されているため、A=(a+b)と置き換えます。するとA²+6A+9となり、2乗の公式で(A+3)²と因数分解できます。最後にAを(a+b)に戻すと(a+b+3)²が答えです。
問題9:x²+4xy+3x+12y 答え:(x+3)(x+4y)
文字が2種類あるため、次数の低いyに注目して整理する方法を選びます。(x²+3x)+(4xy+12y)とグループに分けてそれぞれ因数分解するとx(x+3)+4y(x+3)となり、共通因数(x+3)が現れるので(x+3)(x+4y)が答えです。
まとめ 因数分解は型の見分け方を押さえることが大切

この記事では、因数分解の意味から公式の使い分け、よくある間違いまでを一通り解説しました。ここで改めて伝えたいのは、因数分解で大切なのは公式を暗記することではなく、問題を見たときに「どこを見るか」を知っていることだということです。共通因数を最初に確認し、式の形から使う公式を絞り込み、最後に展開して検算する。この流れを自分のものにできれば、初めて見る問題でも手が止まりにくくなります。
苦手意識がある人は、まず基礎レベルの練習問題から繰り返し取り組んでみてください。「解けた」という感覚が積み重なるほど、問題を見たときの判断が速くなっていきます。因数分解は中学3年生の定期テストだけでなく、高校受験の数学でも必ず出題される単元です。ここで型の見分け方をしっかり身につけておくことが、これから先の数学の土台になります。
その他の中学数学の勉強法については、以下の記事をご覧ください。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
2001年生まれ 東京大学教育学部卒 公立高校から学習塾に入らずに東大へ現役合格。中学・高校は野球部に所属、部活動と勉強を並行し 「練習で自分の苦手を潰して、試合で自分の力を最大限に発揮する準備をする」という努力の「型」を 勉強にも活かして受験勉強を乗り切る。得意科目は数学で、高校2年生のときに数学オリンピック本選に出場した経験がある。現在は(株)カルぺ・ディエムに所属し全国各地で年間100回以上の講演活動を行い、勉強モチベーションや計画の立て方などを伝えている。自著に、「東大生の考え型(2022,日本能率協会マネジメントセンター)」「東大式 数値化の強化書(2024,彩図社)」などがある。 X公式アカウント:https://twitter.com/nagatakosaku08
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