茨城県の高校受験完全ガイド｜スケジュール・勉強法・志望校の選び方

茨城県の公立高校と私立高校では、試験内容や選考基準が異なります。公立高校は「特色選抜」と「共通選抜」の2つの方式があり、それぞれ独自の評価基準が定められています。一方で私立高校は推薦・一般入試の制度が多様で、各校の傾向を押さえることが大切です。

本記事では、茨城県の高校受験の流れや公立・私立高校の受験制度、内申点の計算方法などを詳しく解説します。

受験の準備を進める際に役立つ情報をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

茨城県の高校受験の基本情報

高校受験の流れ

・公立高校の場合

2月下旬の試験で志望校に合格できなかった場合、第2次募集に出願することができます。

茨城県の公立高校を受験する場合は、12月初旬までに内申点が確定し、内申点の結果をもとに三者面談で志望校を決定。2月上旬に出願を行います。2月下旬の試験を受けて、3月中旬に合格発表という流れです。

志望校に合格できなかったときは、3月中旬から公立高校の第2次募集への出願ができます。3月下旬に学力検査を受けて、約2日後に合否が発表されます。

・私立高校の場合

茨城県の私立高校を受験する場合、11月上旬までに三者面談で志望校を決定します。11月上旬から12月上旬に願書を提出。1月上旬から1月下旬に試験を受けて、合格発表という流れが一般的です。

茨城県 公立・私立高校の受験制度の違い

公立高校の受験制度

• 入試の種類：特色選抜と共通選抜の2種
• 選考方法（特色選抜）：学力検査＋内申点＋面接＋（高校によって）作文・実技検査
• 選考方法（共通選抜）：学力検査＋内申点＋（高校によっては）実技検査
• 倍率：2025年の平均倍率は0.97倍。人気校の倍率は1.6倍を超えることも。全体的に共通選抜のほうが倍率が高い傾向がある
• 学費：原則授業料の納付が必要だが、保護者の所得状況によっては支援制度が適用され、学費の負担が軽減される
• 特色：共通選抜ではA群とB群の2段階に分けて合格者を決定する

茨城県の公立高校の一般入学入試は1回のみで、追加募集はありません。まず特色選抜の合格者を決定し、特色選抜に合格しなかった受検者と、共通選抜のみの受検者で共通選抜を行います。

特色選抜では学力検査と面接を実施。学校や学科によっては作文・実技検査も行い、合否を判定します。

一方で共通選抜は学力検査の結果と調査書を合否判定に使用します。A群選抜とB群選抜の2段階に分けて合格者を決定しているのが特徴です。学力検査の得点合計の順位が共通選抜募集定員の80%以内、かつ調査書の評定合計の順位が共通選抜募集定員内に入っている場合は、A群に分類されて原則合格。残りはB群に分類されます。

残りの人員は、学力重視、調査書重視の2種類の方法でB群の中から選抜されます。学力重視または調査書重視のどちらにするかは、各高校で決定します。

私立高校の受験制度

• 選考方法：学校ごとに異なり、推薦入試・一般入試がある
• 学費：公立よりも高額だが、奨学金や補助制度が利用可能
• 特色：学校ごとに特色あるカリキュラムや付属大学への進学ルートがある

茨城県の私立高校では、推薦入試と一般入試（単願・併願）があります。推薦入試の場合、学力検査はなく作文や面接試験のみの学校もあります。一般入試は3教科の学力検査を実施するのが一般的です。単願と併願で試験内容が異なる高校もあるため、事前に受験したい高校の試験内容を確認しておきましょう。

公立高校の特色選抜とは？

茨城県の公立高校の特色選抜とは、一部の学校・学科で実施している選抜方法です。文化・芸術・体育・奉仕・生徒会活動のいずれかの分野で、優れた資質や実績がある生徒を対象としています。各高校の出願要件を満たしていれば、誰でも出願ができます。

学力検査・調査書・面接またはプレゼンテーションのほか、学校によっては作文や実技検査も行い、合否を決定します。

特色選抜の募集定員は全定員の50%が上限です。多くの高校では全定員の5～30%に設定しており、合格する確率は決して高くありません。特色選抜に不合格の場合は、共通選抜を受験することができます。そのため特色選抜を受ける場合でも、共通選抜に向けて学力検査の対策をしておくことは不可欠といえるでしょう。

受験科目と配点

公立高校の受験科目・配点（特色選抜）

茨城県の公立高校の特色選抜では、国語・数学・外国語・理科・社会の学力検査を実施。各教科の配点は原則100点で、500点満点です。一部IT科等では数学・理科に加点があり、700点満点で評価します。

公立高校の受験科目・配点（共通選抜）

茨城県の公立高校の共通選抜でも、特色選抜と同様に国語・数学・外国語・理科・社会の5教科の学力検査を実施します。各教科100点満点で合計500点満点として合否を決定します。

私立高校の受験科目・配点

茨城県の私立高校は、国語・数学・外国語の3教科で学力検査を実施する高校が多いようです。ただし学校によっては5教科の学力検査を実施する場合や、作文や実技検査などを実施して学力検査がない場合もあります。

受験スケジュール（2025年版）

ここでは茨城県の高校受験のスケジュールを紹介します。

まずは、公立高校の入試日程です。

茨城県公立高校入試日程（2025年）

2025年の公立と私立の高校受験スケジュール比較表

（出典：茨城県教育委員会「県立高等学校 令和7年度入学者選抜の日程・出願方法」）
（出典：育伸社「2025年度　高専・私立高校　募集要項　【茨城県】」）

茨城県の高校受験における内申点の基本

内申点は公立高校の受験結果を左右する重要な要素です。しかし「内申点の計算方法がわからない」「いつの成績から内申点の対象期間になるの？」と内申点について疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。

ここからは、内申点の対象期間や計算方法などを解説します。

内申点の対象期間

茨城県の公立高校を受験する場合、中学1年生から中学3年生までの成績が内申点として反映されるのが特徴です。主要5科目と実技教科4教科の5段階評価をもとに内申点を計算します。

内申点の計算方法

茨城県の公立高校入試では、以下のような方法で内申点を計算します。

例えば中学1年生から3年生の9教科の評定がすべて「3」だった場合、中学1年生から3年生の内申点はそれぞれ27点で、合計81点となります。

内申点を上げる方法

茨城県の公立高校を受験する場合、中学1年生の成績から内申点に影響を与えます。そのため中学校に入学したら、早めに内申点対策に取り組むことが大切です。

定期テストの点数は内申点に大きく影響します。高得点をとれるほど内申点アップにつながるため、定期テスト対策に力を入れましょう。

またそれぞれの教科の課題を締め切りを守って提出することもポイントです。締め切りを守るだけでなく、課題は丁寧に最後まで仕上げて提出すると内申点アップに効果的です。

授業での積極性も内申点に反映されることが多いでしょう。授業中に積極的に質問したり、わからないところを教師に質問したりすると、積極的に学ぼうとする姿勢を評価されやすくなります。

さらに実技4教科にも真剣に取り組むことで内申点アップを期待できます。実技4教科は暗記で解ける問題も多く、テストで点数がとりやすい教科です。実技4教科の定期テストでよい点をとり、真剣に授業に取り組むことは、内申点対策に不可欠といえるでしょう。

志望校の選び方

茨城県の高校は学校ごとにさまざまな特徴があり、志望校選びに迷っている人もいるのではないでしょうか。

ここからは、志望校の選び方を解説します。

志望校を早く決めることは、効率よく受験対策ができたり、勉強のモチベーションにつながったりとさまざまなメリットがあります。以下の解説を参考に、早めに志望校を決定しましょう。

偏差値だけで決めない！適切な学校選び

志望校を選ぶ際には、偏差値だけでなく校風やカリキュラムも重視しましょう。

校風は高校によって大きく異なります。例えば、学校行事に力を入れている高校や文武両道を掲げている高校などさまざまです。学校の資料を見たり、オープンキャンパスに参加したりして事前に校風が自分に合っているか確認しておきましょう。

またカリキュラムも志望校選びの重要なポイントです。英語教育に力を入れている高校や理数科目数が多い高校など、学校によってカリキュラムは異なります。特に大学受験を検討している人は、大学入試に適したカリキュラムになっているか確認しておくことが大切です。自分の目標に向けた勉強ができる環境か見極めましょう。

公立高校 vs 私立高校のメリット・デメリット

茨城県の公立高校と市立高校のメリット・デメリットは以下のとおりです。

公立高校は費用が安いというメリットがある一方で数年ごとに教師の異動があるため、途中で担当が変更になる場合があります。

また私立高校は生徒一人ひとりへのサポートが手厚い環境ですが、学校独自の校風やカリキュラムがある場合が多く、入学後に「合わない」と感じる可能性があります。

それぞれの高校のメリット・デメリットを比較して、自分に合った志望校を選択しましょう。

志望校のオープンキャンパス活用法

志望校を選ぶ際には、複数校のオープンキャンパスに参加して、それぞれの高校を比較することをおすすめします。

オープンキャンパスでチェックしたいポイントは、以下のとおりです。

教師の雰囲気

高校によっては体験授業が受けられます。どのような雰囲気で授業が進むのかを確認しましょう。

施設の充実度

校舎、体育館、プール、グラウンドのほか、学食や購買の有無など、自分がこの高校でどんなことをしたいかを想像しながら、どのような施設が必要かを考えましょう。またトイレや更衣室の清潔さもチェックしておきたいポイントです。

通学の利便性

通学にかかる時間や、電車の場合は利用経路などを調べておきましょう。自転車や徒歩の場合は、天候が悪い日でも通学しやすいかも考えてみましょう。

学習カリキュラム

文系・理系の決定時期、クラス分けが成績別かどうか、定期テストや大学進学に対するサポートなどは、自分の進路に関わるので重要です。

部活動の様子

部活動の加入率や入りたい部活動があるかなどを確認しておきましょう。

オープンキャンパスでは、学校の資料や先輩からの話だけではわからない高校の雰囲気を感じることができます。授業の様子や在校生・教師の雰囲気を見ておくことで、入学後の生活をイメージしやすくなるでしょう。

自分に合った高校を選ぶためにも、オープンキャンパスに積極的に参加してみてください。

進学実績・大学合格実績の確認

大学受験を検討している人は、進学実績や大学合格実績を確認しておくことが重要です。なぜなら進学実績が豊富にある高校では、進学サポートが充実していると考えられるためです。

大学への進学実績が豊富にある高校では、進路指導や進学セミナーなどのサポートを積極的に行っている可能性が高いといえます。高校によっては指定校推薦枠を設けている場合もあり、大学受験に有利になるケースが少なくありません。

高校の進学実績は、高校ごとの資料やサイトなどに掲載されています。またオープンキャンパスや学校説明会に参加した際に、進学実績について直接確認することも可能です。

進学実績をチェックして、自分の目標に近づける高校を選びましょう。

塾・家庭教師・オンライン学習の選び方

高校受験を考えている人にとって、塾選びは合格への重要なステップの一つです。

高校受験対策の塾の種類を大きく分けると「集団指導塾」「個別指導塾」「映像授業の塾」「オンライン塾」の4種類があります。

文部科学省※が公表したデータによると、公立中学生に通っている生徒の中で、家庭教師を利用していない人の割合は72.7%、塾を利用していない人は34.1%です。

この結果から、公立中学生の約3割は家庭教師を利用し、約7割は塾を利用しているといえます。文部科学省が公表したデータは中学生全般の割合なので、中学3年生が家庭教師や塾を利用している割合はさらに増えると考えられます。

しかし高校受験対策を行っている塾は数多くあるため、どの塾を選べばよいか迷っている人も多いでしょう。ここからは、塾選びのポイントを紹介します。

※出典：「令和5年度子供の学習費調査」（文部科学省）

集団塾 vs 個別指導塾の違い

集団塾と個別指導塾で迷っている人は多いでしょう。ここでは集団塾と個別指導塾の違いを紹介します。

集団塾とは生徒数十名が同じ教室で同じ授業を受ける指導スタイルです。集団塾の授業は、学校の授業と同じように講師が生徒たちの前に立ち、一方通行で解説を行います。あらかじめ年間の学習カリキュラムが決まっており、一定のペースで授業が進みます。塾のクラスは学力や志望校別に分かれているのが特徴。模試やテストの結果をクラスに貼り出す塾もあり、ライバルと切磋琢磨しながら学習に取り組める環境です。

ライバルがいたほうが勉強のやる気が出る人や、一定のペースを学習を進めたい人には集団塾がおすすめです。

個別指導塾は講師1人が生徒1～3名の授業を担当する指導スタイル。生徒の学力や目標に合わせて学習カリキュラムを設定しており、一人ひとりのニーズに適した指導を受けることができます。講師は生徒の近くで授業を実施しているため、わからないところがあればすぐに質問できるのがメリット。集団塾よりも生徒一人ひとりへのサポートが手厚いといえるでしょう。

苦手克服をしたい人や講師に手厚くサポートしてもらいたい人は、個別指導塾を検討してみてください。

オンライン学習の活用法

高校受験対策を効率的に進めたい人は、オンライン学習の活用を検討しましょう。

オンライン学習は、インターネット環境さえあれば授業を受けられます。自宅で授業を受けられるため、通塾にかかっていた時間を勉強に充てられる点がメリットです。ほかの習い事や部活で忙しい人でも、授業を受けやすいといえます。

またオンライン学習は自宅にいながら有名講師の質の高い授業が受けられるのも特徴。映像授業の場合は何度でも視聴できるため、理解するまで繰り返し見直しができます。

ただし高校受験は都道府県ごとにさまざまな特色があります。オンライン学習よりも地元の塾のほうが高校受験対策に向いている可能性もあるでしょう。塾を選ぶ際には、事前に合格実績を確認しておくことが大切です。

模試の活用法

模試は、自分の現在の立ち位置を把握したり、苦手分野を見つけたりできるため、高校受験に不可欠な要素です。

ここでは茨城県の主要な模試を3種類紹介します。それぞれの模試の特徴を詳しく解説するので、どの模試を受験するか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

主要な模試の種類（茨城統一テスト・茨城県模試・新教研もぎテスト（茨城））

模試の判定結果の見方

模試の結果で一番気になるのは、志望校の合格判定ではないでしょうか。合格判定がAやBだと安心する人は多いでしょう。しかし合格判定で高い評価が出たからといって、必ず志望校に合格するとは限りません。

模試の合格判定は、あくまで現在の学力による評価であることを認識しておくことが大切です。志望校の合格判定が悪くても、勉強の進め方次第で合格の可能性は十分あります。反対に模試の結果がよかったからと勉強をサボっていると、志望校に合格できない可能性もあるでしょう。

模試を今後の学習に生かすためには、間違えた箇所の見直しが不可欠です。間違えた箇所を見直すと自分の苦手分野を把握でき、効率的に苦手克服ができます。

まとめ

茨城県の高校受験は、公立高校の特色選抜や共通選抜、私立高校の推薦入試・一般入試など、さまざまな選抜方法があります。それぞれの選抜方法の受験制度や選考基準などを知っておくことは、高校入試を成功させるコツの一つといえるでしょう。

また高校受験では、志望校を早めに決定して内申点対策に取り組んでおくことも重要です。志望校を決める際には、偏差値だけでなく校風や進学実績、通学の利便性も考慮しましょう。

高校受験を控える多くの中学3年生は学習塾を活用しています。塾は指導形式や授業の雰囲気などが教室ごとに異なります。塾を選ぶ際には複数の塾の体験授業に参加し、自分に合っている塾かどうか見極めましょう。