東京都の高校受験ガイド|制度・スケジュール・対策を徹底解説
東京都の中学生や保護者の中には「高校受験を意識し始めたものの、受験制度やスケジュールなどを把握できていない」「公立高校と私立高校の受験では、何が違うのだろう?」と、不安や疑問を持つ人もいるのではないでしょうか?
東京都の高校受験制度には、特徴的な点があります。そのため子どもの目標に合った進路選択をするためには、東京都の高校受験制度の仕組みやスケジュールを理解したうえでの対策が必須です。
本記事では、東京都の高校受験に関する基本情報やスケジュール、志望校選びのポイントなどを詳しく解説します。受験勉強を効率的に進めるための勉強法や、塾の活用法についても触れているので、これから受験を迎える中学生や保護者は、ぜひ参考にしてください。
東京都の高校受験の基本情報
まずは、東京都の高校受験の基本情報をチェックしましょう。
高校受験の流れ
・公立高校の場合
11月下旬~12月上旬に中学3年生の内申点が決まり、三者面談で入試方式(推薦入試/一般入試)と志望校を確定させます。
ここからは推薦入試と一般入試に分けて、公立高校受験の流れを解説します。
【推薦入試】
【一般入試(第一次募集/分割前期募集)】
公立高校に合格できなかった場合、3月初旬~中旬にかけて実施される全日制第二次募集/分割後期募集の試験を受験できます。
・私立高校の場合
11月下旬~12月上旬に中学3年生の内申点が決まり、三者面談で受験方式(推薦入試/一般入試)と志望校を確定させます。私立高校受験では、中学校の教師が高校に対して事前相談を行う入試方式がほとんどです。
事前相談後の私立高校受験の流れを、推薦入試と一般入試に分けて解説します。
【推薦入試】
1月中旬:志望校に出願。
▼
1月下旬:選抜試験を受ける。
▼
1月下旬:合格発表が行われる。
【一般入試】
1月下旬~2月初旬ごろ:志望校に出願。
▼
2月中旬:学力検査を受ける。
▼
2月中旬:合格発表が行われる。
私立高校の入試では、受験から合格発表までの日数が短いのが特徴です。ほとんどの私立高校で翌日に合否が発表され、中には受験当日に合否結果が出る高校もあります。
東京都 公立・私立高校の受験制度の違い
ここからは、東京都の公立高校と私立高校の受験制度について解説します。公立高校と私立高校では受験制度が異なります。受験戦略を考えるためにも、受験制度をしっかりと理解しましょう。
公立高校の受験制度
東京都の公立高校受験は、推薦入試と一般入試で受験できます。下表は、東京都の公立高校の受験制度の概要をまとめたものです。
項目 | 内容 | |
---|---|---|
選考方法 | 推薦入試 | 個人面接+集団討論+各校が指定した作文・小論文・実技検査などのうち、1つ以上 |
一般入試 | 学力検査(マークシート方式)+ 内申点 + スピーキングテスト「ESAT-J」 | |
倍率 | 2025年度推薦入試と一般入試の全体倍率はそれぞれ2.28倍と1.2倍。 人気校では高倍率になることが多い。 |
|
学費 | 全日制課程の授業料は年額118,800円だが、実質無償※。 そのほかの費用は学校ごとに異なる。 |
|
そのほか | ・一部高校では面接、作文、小論文、実技検査を実施。 ・また難関校をはじめとする一部高校では、自校作成問題が実施される。 |
※参考:東京都教育委員会「都立高等学校等における授業料免除制度について」
一般入試の中にも第一次募集で受験者を募集して欠員が生じたときだけ第二次募集を行う募集方法と、あらかじめ前期と後期で募集定員を分けて入試を行う募集方法(分割募集)があります。
2024年度入試で、分割募集を採用した高校は186校中26校のみ。ほとんどの高校が欠員が生じたときだけ二次募集をする募集方法を採用しています。
私立高校の受験制度
東京都の私立高校も、推薦入試と一般入試で受験できます。
私立高校の推薦入試制度
推薦入試には、単願推薦(A推薦)と併願推薦(B推薦)の2種類があります。
単願推薦では合格した場合に必ず入学することを条件としているため、他校の受験はできません。併願推薦は一部の私立高校で実施する試験区分で、他校も受験できます。ただし東京都外の中学校や国立中学校に在籍していることを出願条件に設けている場合がほとんどです。つまり都内に住む中学生で都立高校が第一希望の場合、私立高校は一般入試で受験することになります。
下表は、東京都内の私立高校の単願推薦と併願推薦の概要をまとめたものです。
単願推薦 (A推薦) |
併願推薦 (B推薦) |
|
---|---|---|
出願基準 | あり(内申点など) | あり(内申点など) |
事前相談 | あり | あり |
選考方法 | 適性検査・作文・面接など | 適性検査・面接など |
合否結果 | 合格となる場合がほとんど | 内申点や検査結果で決定 |
単願推薦と併願推薦の大きな違いは、合否結果の確実性です。単願推薦では合格がほぼ確約されているケースも多い一方、併願推薦では内申点や検査結果が合否結果に影響を与える傾向にあります。
とはいえ高校によって出願基準や選考方法は異なるため、志望校の募集要項を必ずチェックしてください。
私立高校の一般入試制度
一般入試には単願入試と併願入試、オープン入試の3種類があります。単願入試も単願推薦と同じく、合格した場合に必ず入学することを条件に受験するため、他校の受験はできません。併願入試やオープン入試では、ほかの高校も受験可能です。ただし併願入試の場合、都立との併願は可、私立との併願は不可と定めている高校もあるので、注意しましょう。
東京都内の私立高校で実施される、一般入試の出願基準や事前相談の有無、選考方法、合否結果についてまとめたものが下表です。
単願入試 | 併願入試 | オープン入試 | |
---|---|---|---|
出願基準 | あり (内申点など) |
あり (内申点など) |
なし |
事前相談 | あり | あり | なし |
選考方法 | 学力検査・面接など | 学力検査・面接など | 学力検査・面接など |
合否結果 | 合格となる場合がほとんど | 内申点や試験の結果で決定 | 試験の結果で決定 |
東京都では単願入試と併願入試のほかに、入試の得点勝負となるオープン入試をすべて私立高校で実施します。
出願基準や選考方法は各高校によって異なるため、志望校の募集要項を必ずチェックしてください。
私立高校の併願入試(併願優遇)とは?
併願優遇とは、志望する高校(主に第一志望である公立高校)が不合格になった場合に必ず入学することを条件に、一般入試で優遇措置を受けられる制度です。
併願優遇で合否結果に大きく影響するのは、内申点です。内申点に検定や部活動の実績などの加点項目を合計して、合否判定を行います。当日の学力試験の点数にも基準を設けており、どちらもクリアできた生徒を合格とする高校もあるため、各高校の募集要項を詳しく確認しましょう。
また併願優遇で受験する場合、第一志望として受験できる高校を公立高校のみと定めている学校もあります。併願優遇の私立高校のほかに難関私立高校のオープン入試を受験しようと考えている人は、ほかの私立高校の受験も認められているかどうかの確認も必須です。
東京都の受験科目と配点
東京都の公立高校と私立高校の一般入試では、受験教科や配点にも違いがあります。
公立高校の受験科目・配点
東京都の公立高校の受験教科と配点は、下記のとおりです。
学力検査 | ・5教科(国語・数学・英語・理科・社会)の学力検査 ※芸術と体育に関する学科と第二次募集/分割後期募集では3教科(国語・数学・英語) ・各教科50分 ・各教科100点満点(一部高校で傾斜配点あり) ・一部高校では自校作成問題を実施 |
---|---|
そのほかの検査 | 面接・作文・小論文・実技検査など |
選抜方法 | ・学力検査の得点と内申点の合計(1000点満点に換算)と 東京都中学校英語スピーキングテスト(EAST-J)の結果(20点満点)の総合点で選考。 ・学力検査の得点と内申点の比率は原則7:3。芸術科・体育科では、6:4で換算。 |
東京都の公立高校受験では学力検査の得点と内申点の合計だけでなく、東京都中学校英語スピーキングテスト(EAST-J)の結果を合計した1020点満点で合否判定を行うのが特徴です。
学力検査はマークシート形式の共通問題で実施しますが、一部教科に自校作成問題を導入している高校もあります。
2025年度の公立高校受験で自校作成問題を導入した高校は、全部で11校。すべての進学指導重点校と進学指導特別推進校・進学指導推進校に指定されている学校のうち一部高校で実施されました。実施校の一覧は下表のとおりです。
【自校作成問題の導入校】
進学指導重点校 | 日比谷高校・西高校・国立高校・八王子東高校・戸山高校・青山高校・立川高校 |
---|---|
進学指導特別推進校 | 新宿高校・国分寺高校・国際高校 |
進学指導推進校 | 墨田川高校 |
国際高校は英語のみを自校作成問題で試験を行い、それ以外の高校では国語・数学・英語の3教科を自校作成問題での試験を実施しました。
私立高校の受験科目・配点
東京都の私立高校の受験教科と配点は、下記のとおりです。
学力検査 | ・3教科(国語・数学・英語)の学力検査 ※一部高校では、5教科(国語・数学・英語・理科・社会)受験と3教科受験から選択可能 ・配点・試験時間は高校によって異なる |
---|---|
そのほかの検査 | 面接・作文・小論文・実技検査など |
選抜方法 | ・単願入試と併願入試:内申点や当日の学力検査、面接の総合得点で選考 ・オープン入試:当日の学力検査と面接(実施校のみ)の総合得点で選考 |
私立高校受験では学校や試験の種類によって検査内容や選考方法が異なるので、募集要項やオープンキャンパスなどで詳しくチェックしましょう。
受験スケジュール(2025年版)
本章では、東京都の高校入試の受験スケジュールを紹介します。
東京都公立高校入試日程(2025年)
2025年度の東京都公立高校入試の日程は、下記のとおりです。
推薦入試 | 一般入試(第一次募集/分割前期募集) | 一般入試(第二次募集/分割後期募集) | |
---|---|---|---|
出願受付日 | 2025年1月9日 ~16日 |
2025年1月30日 ~2月5日 |
2025年3月6日 |
志願取下げ | ー | 2025年2月12日 9:00~15:00 |
ー |
志願再提出 | ー | 2025年2月13日 9:00~12:00 |
ー |
検査日 | 2025年1月26日・27日 | 2025年2月21日 | 2025年3月11日 |
合格発表日 | 2025年1月31日 | 2025年3月3日 | 2025年3月14日 |
令和7年度東京都立高等学校入学者選抜の日程について_入試案内等(東京都教育委員会)
出典:令和7年度東京都立高等学校入学者選抜におけるインターネットを活用した出願について_入試案内等(東京都教育委員会)
東京都公立高校と私立高校の受験スケジュール比較(2025年)
本章では、東京都の公立高校と私立高校の受験スケジュールを比較し、紹介します。公立高校と私立高校では受験スケジュールが違うため、しっかりと受験に臨めるようにチェックしましょう。
日程 | 東京都の公立高校 | 東京都の私立高校 |
---|---|---|
2024年12月15日~ | 事前相談 | |
2024年12月20日~ | 推薦入試・一般入試願書受付開始 | |
2025年1月9日~16日 | 推薦入試願書受付 | |
2025年1月22日・23日 | 推薦入試試験日
推薦入試合格発表 |
|
2025年1月26日・27日 | 推薦入試試験日 | |
2025年1月30日~2月5日 | 一般入試(第一次募集/分割前期募集) 願書受付 |
|
2025年1月31日 | 推薦入試合格発表 | |
2025年2月10日~12日 | 一般入試・オープン入試試験日 一般入試・オープン入試合格発表 |
|
2025年2月12日~13日 | 志願変更の取下げ・再提出 | |
2025年2月21日 | 一般入試 (第一次募集/分割前期募集) 学力検査 |
|
2025年3月3日 | 一般入試 (第一次募集/分割前期募集) 合格発表 |
|
2025年3月6日 | 一般入試 (第二次募集/分割後期募集) 願書受付 |
|
2025年3月11日 | 一般入試 (第二次募集/分割後期募集) 学力検査 |
|
2025年3月14日 | 一般入試 (第二次募集/分割後期募集) 合格発表 |
出典:令和7年度東京都立高等学校入学者選抜の日程について_入試案内等(東京都教育委員会)
出典:令和7年度東京都立高等学校入学者選抜におけるインターネットを活用した出願について_入試案内等(東京都教育委員会)
参照:【2026年度】東京都の高校受験日程はいつ?受験日までの年間スケジュールを現役塾講師が解説!
東京都の高校受験の日程や受験までのおおよその年間スケジュールは、以下の記事でも詳しく解説しています。もっと詳しく知りたい人はぜひご覧ください。
【2026年度】東京都の高校受験日程はいつ?受験日までの年間スケジュールを現役塾講師が解説!
東京都の高校受験における内申点の基本
東京都の高校受験では、私立高校のオープン入試を除くすべての入試で内申点が合否判定の鍵を握ります。
とはいえ「内申点はどうやって計算するの?」「何年生の評価が内申点に反映されるの?」など、内申点について詳しく知らない人もいるでしょう。
本章では、東京都の高校受験において押さえておくべき内申点の基本情報を解説します。
内申点の対象期間
東京都の高校受験で内申点の対象となるのは、中学3年生の1年間のみです。中学1~2年生の評定が含まれない分、中学3年生のがんばり次第では逆転合格を目指せるでしょう。
内申点の計算方法
東京都の公立高校入試では、推薦入試と一般入試で内申点の計算方法が異なります。
推薦入試では、高校が内申点の合否判断割合を全体の50%までの範囲で自由に決められ、「各教科の観点別学習状況の評価」または「評定(9教科)」のどちらか一方を点数化します。どちらを点数化するかは各高校によって異なるものの、評定を使用する高校が多いです。
一般入試においては、学力検査で受験しない教科の内申点を2倍にして計算します。
入試当日に5教科を受験する普通科では、実技4教科の各評定を2倍した数値と5教科の評定を合計した数値が合否判定に使用されます。芸術科・体育科では学力検査で受験するのは3教科(国語・数学・英語)のため、実技4教科と理科・社会の評定が2倍となる計算です。
計算された点数を各高校で決めた比率に従って、300点満点もしくは400点満点に換算して、内申点を算出する仕組みです。
内申点を上げる方法
内申点を上げるためには、次の3つのポイントを意識して日々の学習に取り組みましょう。
内申点の評価には定期テストの得点だけでなく、日頃の学習態度も大きく影響します。
定期テストでは、テスト範囲をしっかりと把握し、学習計画を立てて日々の勉強に取り組む必要があります。定期テストが内申点に及ぼす影響は学校によって異なるものの、定期テストの結果を重視している学校では60点以上だと評定3、80点以上だと評定4をとれる可能性が高くなるでしょう。
課題や提出物は、期日を守ってすべてやりきってから提出することが大切です。期日を過ぎてからの提出や、すべて解き終わっていない状態で提出すると、内申点を下げる可能性があるため注意しましょう。
授業では、生徒の積極性を重視する学校が多いとされています。授業中に積極的に発言したり、教師に指名されたときに正しい解答ができたりすると、内申点アップも期待できるでしょう。
志望校の選び方
高校受験では志望校を早めに決めておくことが、受験を成功させるコツの一つです。目標が明確になると、やるべきことがはっきりするため、学習意欲の向上にもつながります。
本章では、志望校を選ぶときに重要なポイントを5つ紹介します。
偏差値だけで決めない!適切な学校選び
志望校は偏差値だけでなく、校風やカリキュラムも踏まえて選ぶことが重要です。
偏差値が同じぐらいの高校でも、文武両道を目指す高校と勉強に重きを置く高校では校風がまったく異なります。校風は先輩に聞いたり、オープンキャンパスに参加したりして雰囲気をつかむとよいでしょう。
志望校選びでは、カリキュラムもチェックすべきポイントです。特に私立高校では、学校独自のプログラムや授業が実施される場合も多くあります。「興味を持って学習に取り組めそうか?」「自分の将来の夢や目標に役立ちそうか?」という視点を持って志望校を選ぶことが大切です。
また2学期制と3学期制では1年間で行われる定期テストの回数も違うため、志望校選びの段階で確認しましょう。
公立高校 vs 私立高校のメリット・デメリット
志望校選びでは、公立高校と私立高校のどちらにするか迷っている人もいるでしょう。公立高校・私立高校は、どちらにも下記のようなメリット・デメリットがあります。
公立高校 | 私立高校 | |
---|---|---|
メリット | ・費用が安い ・比較的自由度が高い |
・施設・設備が整っている ・大学受験に対して手厚いサポートが受けられる高校もある |
デメリット | ・私立高校よりも一人ひとりのサポートは手厚くない ・数年ごとに教師が変わる可能性がある |
・費用が高い ・校風が合わない場合がある |
東京都では、公立高校・私立高校ともに学費が実質無償となっています。とはいえ私立高校では制服だけでなく、靴下や通学鞄などの小物も学校指定品を購入する必要があったり、修学旅行先が海外であるために月々の積立金額が高かったりと授業料以外の費用も高い場合があります。費用面では、公立高校のほうが比較的安く抑えられるでしょう。
公立高校の校則は私立高校ほど厳しくない場合が多く、制服やスマートフォンの使用などのルールに自由度を持たせている高校が多い傾向があります。一方で教師の異動が数年ごとにあるため、3年間のうちに教師が変わる場合もあるでしょう。
私立高校では大学進学率を重視して、学内塾や進路指導などの受験サポートを充実させている学校も多くあります。私立高校は校風や雰囲気の違いが各校の大きな特徴ですが、入学後に「合わない」と感じる可能性もゼロではありません。私立高校の志望校選びでは、検討段階から校風や雰囲気をしっかりとチェックする必要があるでしょう。
それぞれのメリットとデメリットを比較して、自分にぴったりな高校を選ぶことが大切です。
「併願優遇」の活用法(合格しやすい戦略)
公立高校や難関私立高校を志望する東京都の中学生が早めに進学先を押さえるには、併願優遇制度を活用するとよいでしょう。
併願優遇制度は、第一志望校に合格できなかったときに受験する私立高校に入学することを条件に一般入試で優遇を受けられる制度です。優遇制度とはいえ、各校が定める出願基準を満たしていれば合格となる場合がほとんどです。
併願優遇で進学先が決まっているかどうかによって、第一志望校を受験するときの精神的な負担が大きく異なるでしょう。東京都の高校を受験する人は、併願優遇を受けられる私立高校もしっかりとチェックしましょう。
志望校のオープンキャンパス活用法
気になる高校がいくつかある場合は、オープンキャンパスを活用しましょう。オープンキャンパスでは、学校ごとにさまざまな催しを開催しており、実際に授業を体験したり、先輩からの話を聞いたりできます。
オープンキャンパスでは、以下の項目をチェックしておきましょう。
在校生の様子
在校生の様子を見れば、おおよその校風や雰囲気をつかめるでしょう。生徒の自主性を重んじる高校もあれば、伝統ある趣きで落ち着いた雰囲気の高校もあります。
教師の雰囲気
高校によっては、体験授業が受けられます。どのような雰囲気で授業が進むのかを確認しましょう。
施設の充実度
校舎、体育館、プール、グラウンドのほか、学食や購買の有無など、自分がこの高校でどのようなことをしたいかを想像しながら、どのような施設が必要かを考えましょう。またトイレや更衣室の清潔さもチェックしておきたいポイントです。
通学の利便性
通学にかかる時間や、電車の場合は利用経路などを調べておきましょう。自転車や徒歩の場合は、天候が悪い日でも通学しやすいかも考えてみましょう。
学習カリキュラム
文系・理系の決定時期、クラス分けが成績別かどうか、定期テストや大学進学に対するサポートなどは、自分の進路に関わるので重要です。
部活動の様子
部活動の加入率や入りたい部活動があるかなどを確認しておきましょう。
在校生や教師の雰囲気、通学の利便性については、実際に高校に行ってみないとわからないことがほとんどです。複数の高校のオープンキャンパスに参加することで、入学後の生活を想像しやすくなり、自分に合っている高校を見つけられるでしょう。
オープンキャンパスは、高校の雰囲気を実際に見られる貴重な機会です。少しでも気になる高校があれば、オープンキャンパスに参加してみてください。
進学実績・大学合格実績の確認
大学進学を検討している人は、志望校の進学実績の確認も必須です。特に国公立大や難関私大の受験を考えている人は、目標とする大学や同じくらいのレベルの大学への進学実績がどの程度か、高校のホームページやパンフレットで確認しておきましょう。
進学実績が豊富にある高校では、個別相談や進路セミナーなどの進路指導が充実していると考えられます。高校によっては、指定校推薦枠を設けている可能性もあります。自分の希望する進路や将来の目標とマッチした高校かどうか見極めましょう。
塾・家庭教師・オンライン塾の選び方
高校受験を考えている人にとって、塾選びは合格への重要なステップの一つです。
高校受験対策の塾の種類を大きく分けると、「集団指導塾」「個別指導塾」「映像授業の塾」「オンライン塾」の4種類があります。
塾の種類 | 講師1人が指導する人数 | 授業料目安 | カリキュラム | 代表的な塾 |
---|---|---|---|---|
集団指導塾 | 少人数/6~10人 大人数/11人以上 |
約6,000~約15,000円 ※中学3年生が週1回通塾する場合の月額相場 |
あり | ・栄光ゼミナール ・早稲田アカデミー ・臨海セミナー |
個別指導塾 | 1~3人 | 約6,000~約36,000円
※中学3年生が週1回通塾する場合の月額相場 |
オーダーメイド | ・個別教室のトライ ・スクールIE ・明光義塾 |
映像授業の塾 | ー | 3,278円 ※東進オンライン学校中等部 |
オーダーメイド (ない場合も) |
・東進オンライン学校中等部 |
オンライン塾 | 1人 (大人数の場合も) |
5,400円 ※そら塾 |
オーダーメイド
(ない場合も) |
・トライのオンライン
個別指導塾 ・そら塾 |
文部科学省のデータ(※1)によると、公立中学生が通信教育・家庭教師を利用しなかった割合は約72.7%、学習塾を利用しなかった割合は、約34.1%とわかりました。この結果から、通信教育・家庭教師を利用した人は、全体の約3割、学習塾を利用した人は約7割にのぼるといえます。
文部科学省が公表したデータは中学生全体の割合なので、中学3年生の受験生だけに絞ると、さらに多くの人が通信教育・家庭教師・塾などを利用したと考えられるでしょう。
ここからは、東京都の高校受験に適した塾を選ぶ方法を紹介します。
(※1)出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」
集団塾 vs 個別指導塾の違い
高校受験対策ができる塾には、集団塾と個別指導塾があります。
集団塾は、講師1人が生徒10名以上に対して指導を行う指導スタイルです。学習カリキュラムはあらかじめ決まっており、学校の授業のように講師が一方通行で解説を行うのが特徴。生徒の学力や目標に合わせてクラスが分かれている塾が多く、同じ目標を持った同級生と切磋琢磨しながら学習を進めることができます。
ライバルがいたほうが学習のモチベーションになる人や、学習習慣がある程度身についている人には、集団塾がおすすめです。
一方で個別指導塾は、講師1人が生徒1~3名に指導をするスタイルです。生徒の学力や目標に合わせてカリキュラムを設定するため、一人ひとりのニーズに合った授業を受けられます。講師が生徒の近くで指導を行っているため、解説中にわからないところがあれば、すぐに質問できる環境です。
苦手分野が多い人や自分のペースで学習を進めていきたい人は、個別指導塾が向いているでしょう。
映像授業塾・オンライン塾の活用法
オンライン塾は、インターネットを活用して学習指導を行うスタイルです。インターネット環境さえあれば、場所を問わず授業を受けることができます。通塾する必要もなく、通塾にかかっていた時間を勉強に回せることは、メリットといえます。
また場所にとらわれずに授業を受けられるオンライン塾では、自宅にいながら有名講師の授業を受けることが可能です。ただし高校受験は各地域の特色が出ます。地元にある学習塾のほうが、受験に対するノウハウを持っていることが多いため、志望校への合格実績があるかどうかは事前にチェックしておきましょう。
模試の活用法
模試は自分の苦手分野や受験時点での学力を客観的に把握できるため、受験生にとって欠かせない存在です。しかしさまざまな種類の模試があり、どれを受験したらよいのかわからない人もいるでしょう。
本章では、東京都の主要な模試を紹介します。それぞれの模試のレベルや出題傾向も解説するので、模試選びの参考にしてください。
主要な模試の種類(Vもぎ・Wもぎ・駿台模試など)
東京都の高校を受験する中学生におすすめの模試は次の3つです。
模試の判定結果の見方
模試の結果が返ってきたら、一番気になるのは志望校の判定結果でしょう。志望校にA判定が出ていたら、今の自分の実力でも合格できると安心する生徒もいるかもしれません。しかしA判定が出たからといって、必ず合格するというわけではありません。
模試の合格判定は、過去に模試を受けた生徒の合格率で判断されています。例えば過去にその模試で偏差値60だった人たちの80%以上がその高校に合格していれば、偏差値60をとれるとA判定が出るという仕組みです。
そのため模試の判定結果を見る際には、偏差値と過去の生徒の合格率を結び付けて合格判定を出していることを認識しておきましょう。
模試を有効活用するには、自分が間違えた問題や足を引っ張っている教科を確認し、見直しをすることが大切です。
まとめ
東京都の高校受験を成功させるには、公立・私立の受験制度を理解することが重要です。
特に東京都には併願優遇制度があり、私立高校をうまく活用すれば受験の選択肢を広げられます。
しかし内申点の基準や受験スケジュール、学習計画の立て方に不安を感じる方も多いでしょう。
適切な対策を進めるためにも、高校受験の指導実績が豊富な学習塾の活用がおすすめです。
「塾選」では、東京都の高校入試対策に強い学習塾を掲載しています。自分に合った塾を見つけ、受験に向けた準備を進めましょう。