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親たちの中学受験体験記 Vol.2 決定権は子ども。“勉強以外”も大切にしつつ目指した合格

更新日:
中学受験
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塾選ジャーナル編集部

編集部

塾選ジャーナル編集部

中学受験の主役はもちろん子どもですが、その保護者にも受験を決意した日から結果発表までの期間、さまざまな思いや葛藤があります。受験を終えた保護者にインタビューを行い、保護者の視点から中学受験のリアルをご紹介します。

目次

【保護者プロフィール】

お名前 榊原 早絵(仮名)
お住まい 兵庫県西宮市
年齢 37歳
職業 会社員
性格 周囲に流されずフラットな目で物事を考える、自然体でさっぱりとした性格。
家族構成 夫、長男(中学1年生)、次男(幼児)

【中学受験を行った子どものプロフィール】

子どもの名前 榊原 翔太(仮名)
性別 男子
現在通っている学校名 須磨学園中学校
現在の学年 中学1年生
受験時にしていた習い事 サッカー
得意科目 社会
苦手科目 国語
性格 明るく活発で、運動と本を読むことが好き。
ポジティブ思考で、短絡的なところもある。
自分の気持ちを口に出すのが苦手なタイプ。
偏差値 学習開始時期の偏差値52/受験時期の偏差値61

“勉強だけできればいい”ではない。“勉強以外の経験”も大事にしたかった

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―最初に、中学受験について考え始めたきっかけを教えてください。

私は公立中学出身なのですが、中学時代にいい思い出があるかというと正直あまりなくて。大学受験のとき自分の学力の限界を感じて、「もっと幼い頃から勉強をしていたら、もう少し違ったかもしれない」と思いがありました。夫も同じように考えたことがあったようで、息子が生まれた時から「可能であれば、子どもには早くから学びの機会をあたえてあげたいよね」という話を夫婦でしていました。そうしたら息子が小学校に入る前に、夫の両親から「教育資金を援助したい」と声をかけていただいて。ありがたいなと思って、その時は小学校受験も考えたんです。

ーそうなんですね。結果的に中学受験を選ばれたのはどんな理由があったのでしょうか。

私たち夫婦は結婚が早かったので、子どもの幼稚園で一緒になるお母さん・お父さんたちよりも若かったんです。同じ幼稚園に通っている保護者の方は年上の方が多かったので、ご兄弟の小学校受験や中学受験を考えている方に話を聞いたり、自分たちでも調べたりしました。そのうち、我が家の場合はすぐに小学校受験をするよりも、中学受験の方が合っているのではと考えるようになりました。小学校受験対策は行っていなかったですし、急に決めてもなと。

―お住まいの地域は、小学校受験や中学校受験をされる方が多かったんですね。

はい。中学受験のために2歳から幼児教室に通わせているというお家もありましたし、環境的にも「うちはどうしようか?」と考える機会は多くありましたね。

周りに勉強を頑張っている子どもたちはたくさんいる。でも、私たち夫婦には、子どもの生活を受験一色にはしたくないという気持ちもありました。“勉強ができるのは偉い”という価値観だけではない、生活する上で必要なたくましさを身に付けたり、遊んだりという“勉強以外の経験”も大切にしながら中学受験を目指したかったんです。

ー中学受験の準備をどう進めていくか、悩まれる部分も多かったですか?

手探りで答えを探しながらのスタートでしたね。ただ、急に受験のために生活スタイルを変えるより、なるべく自然な流れで中学受験への道を歩める方がいいと思ったので、息子が幼稚園生のうちからインプットはしていました。

「中学校には、受験というものをしないと通えない学校とそうでない学校があるんだよ」ということや、「お父さんとお母さんは、中学受験をしてみるといいと思っているよ」というような私たち親の思いを伝えていましたね。

ーお子さんが中学受験を意識できるよう、早い段階からお話しされていたんですね。

その甲斐あってか、本人は中学受験に対してそこまで構えず、知らず知らずのうちに「そういうものだ」と思って中学受験への道を歩いていたみたいです。

決め手は息子の表情。志望校は父親の母校「須磨学園中学校」1本に

―受験されたのは、「須磨学園中学校」の1校だけですよね。学校選びはどのように進めていったのでしょうか?

志望校を決めたのは小学5年生の秋くらいですね。最初は数ある中学校から、どうやって行きたいと思える学校を絞っていけばいいのかわからなかったんです。なので「せっかく受験するなら」という気持ちで、家から1時間半程度で通える範囲内にある学校を偏差値の高い順に見て行きました。

上位3校の説明会に参加した後に、夫がボソッと「自分が高校から通っていた学校もいいと思うねんけど、どうかな?」と言い出したんです。それで「じゃあ見に行ってみようか」と「須磨学園中学校」の学校説明会に参加したときのことでした。当時、息子は、本などで広い世界にある自分の知らないことを知るのが面白いと、外国の料理や文化に興味を持っていました。そのためか、「須磨学園」が海外研修を積極的に実施するなど、グローバルな視点に目を向けていることを知った息子の表情が、ぱっと明るく見えたんですよね。もともと学校選びは、私がいいと思う学校ではなくて、息子が「楽しそう」「行ってみたい」と感じられる学校を選ぶのがいいと考えていました。見学後、文化祭などの学校行事も見に行き、息子が「なんかいい感じだから、この学校にしようかな」と言うので、須磨学園中学校を受験することに決めました。父親から在学時のエピソードなども聞いて、自分が須磨学園中学校に通う姿が前向きにイメージできたのも受けようと決めた理由の一つだったようです。

―滑り止めの学校を併願することは、最初から考えてはいなかったのですか?

心から行きたいと思える学校が見つかったんだったら、その学校の合格を目指して一本に絞って頑張る方がいいと思ったんです。息子自身も、中学受験はするけど絶対に私立しか行きたくないという気持ちだったわけではなくて、近所の子と一緒に公立の中学校に行くのも悪くないなという思いもあったようでした。なので私からも「じゃあほんまに自分が行きたいと思った1校に向けて、しっかり頑張って」と伝えて、1校だけの受験に決めました。

小学3年生で入塾。サッカーも続けながら毎日の勉強習慣をつけることを重視

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―習い事でサッカーもしていて、活発な息子さんですよね。外で遊ぶのが好きな子は勉強に向かうスイッチがなかなか入らなそうなイメージもありますが、受験勉強を始めるのに苦労はありませんでしたか?

うちの子は運動をすることも、本を読むことも好きというタイプだったので、机に向かわせるのにすごく苦労したということはありませんでした。

小学1年生のときから「玉井式国語的算数教室」で「玉井式の図形の極み」という講座を受けていて、小学3年生の7月から個別指導の塾に通い始めました。ですから、どこか特定のタイミングで「これから受験勉強を始めます!」とガラッと生活を変えるということもなかったですね。勉強時間を増やすというよりも、問題が難しくなる小学5年生くらいになると考える時間が必要になるため、自ずと勉強する時間も増えていったという感じです。

併塾をしたこともありましたが、ベースで通っていたのが個別指導の塾だったので、他の頑張っている子どもたちから刺激をもらえるように夏期講習や冬期講習のタイミングで短期的に集団塾に通わせた程度でした。

―具体的な勉強方法などは、基本お母さまが主体となって決めていたのですか?

私が勉強方法を考えて、選択は息子にさせていましたね。「AとBだったらどっちがいい?」と聞いて、「じゃあBで」という感じで。口下手な子なので、私からいくつか選択肢を出しをしながら、一緒に決めていきました。

ただ、基本的には勉強は塾にお任せしていました。「あまり成績が伸びていなくて、何かにつまずいているかも?」と気になったときも、塾の先生に相談していました。

―塾の先生からのアドバイスで何か心に残っていることや気付きなどはありましたか?

一度、習い事のサッカーを辞めさせた方がいいのかを塾の先生に相談したことがありました。結局、「リフレッシュにもなるし、続けてもいいのでは」というアドバイスをいただいて続けることにしたんですが、そのときもらったアドバイスが印象的でしたね。

サッカーを続けることについて私が「勉強がうまくいかないときにも、気晴らしなりますかね」と言ったところ、先生に「勉強のモヤモヤは勉強で発散させてください」と言われたんです。これは、“目からウロコ”でした。「勉強でつまづいたときは、その都度クリアしていくことで次のステップに上がっていくことができるから」と言われて、確かにそうだと思いました。

―息子さんの中学受験に対するモチベーションはいかがでしょう。アップダウンはあまりなかったのでしょうか。

もちろん、「お友達と遊びたい」とか「今日は気が乗らない」という日はありましたね。そういうとき、息子の性格的にあまり私が口を出さない方がいいということは感じていたので、一旦は声かけせずにいつも通り過ごさせてみるようにしていました。それでも自分から動かないときは、どうしたいのか話を聞いて、塾に行く日を振り替えるなどリカバリーが効く範囲で調整することはありました。

彼には彼のペースがあるし、息子の人生、受験がすべてというわけでもないので。私も「自分だったら…」と考えるのはやめて、口を出しすぎないようにはしていました。

ただ、中学受験をやめるとなるとそれは親としても一大決心になるので、その時は時間をおいてしっかり考えようという話はしていました。受験期間中、「本当に辞めたいんだったらもう一度しっかり自分で考えて、週末に家族みんなで話し合おう」というやりとりをしたこともありましたね。その時は結局、「そこまでではないから」ということで、また受験勉強に戻りました。

―息子さんをサポートするうえで、「これだけは譲れない」と考えていたことはありますか?

毎日決めたことをコツコツとやることがとても大事だと思っていたので、「今日やらなかった勉強を明日やるのは、絶対にやめて欲しい」ということだけは約束していました。

「今日まったく勉強をしないで次の日に頑張ることにしたら、また明日になったらその次の日…と、どんどん後回しにしたくなるかもしれない。でも、1日休むのはいいけど2日休むのはダメという理由の根拠をお母さんは見つけられないから、毎日ちょっとは机に向かう時間をとって欲しい」という話をして。

あとは、「睡眠と食事は削るな」ということは何度も言いましたね。例えば、「塾から帰ってきて『明日学校があるから早く起きなきゃ』と思いながら、眠いのに無理して勉強するよりは、しんどいなら夜はすぐに寝た方がいい」と。特に小学6年生のラストスパートの時期は、意識的にこちらから声をかけてコンディションを調整するようにしていました。

そういう風に考えるようになったのは、小学5年生になって模試が始まったころ、塾の先生と話をしたことがきっかけでした。

模試が始まると私もつい焦ってしまって、息子に「勉強しなくていいの?」と口うるさく言ってしまったことがあって。そんなときに塾の先生と話をする中で、「受験のために勉強させるのではなくて、勉強の習慣をつけることの方がもっと大事だ」と気づいて、考え方をシフトしていったんです。

「今度は弟の勉強を見てあげる」受験を終えた息子の一言が嬉しかった

―中学受験は、勉強を頑張るお子さんはもちろん、保護者の方も日々学びがあるんですね。受験期間中、ご家族間での中でのルールのようなものはあったのでしょうか。

勉強する時間帯はテレビをつけない、掃除機はかけない、というような環境づくりは心がけていましたね。あとは、私は“息子と二人三脚で頑張る係”、夫は“褒める係”というような役割分担とか。夫は私と比べると比較的ふんわりとした立ち位置で見守ってくれていたので、それはそれで良かったかなと。

たまに、休憩時間だから休んでいるだけの息子に夫が「ちゃんと勉強してるか?」みたいに声をかけているのを見つけて、「やるべき勉強はちゃんとやっているんだから、あなたは褒める係でいて!」と注意したりはしましたが。受験すると決めて実際に終えるまで試行錯誤の連続ではありましたが、振り返るとすごく大変だったことはなくて。そんな些細な夫婦の言い合いくらいしか思い浮かびません。

―結果、お父さんの母校である「須磨学園」に一発合格。お父さまもとても嬉しかったのでは?

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実は息子と同じで、夫も自分の気持ちをあまり言葉にはしないタイプなんです(笑)。だからハッキリとは言わないんですが、やっぱり嬉しかったみたいですね。義両親もとても喜んで「頑張ったね」と息子を褒めてくれました。そんなやり取りを見て、私も良かったなと思いましたね。

―最後に、息子さんと多くの時間を共に過ごしたお母さんは、中学受験を振り返って、いま何を思いますか。

息子には歳の離れた弟がいるのですが、この間「今度は俺がこの子にいろいろ教えてあげんとな」って言っているのを聞いてすごく嬉しかったですね。自分が歩んできた道を「良かった、間違っていなかった」と思うからこそ、お兄ちゃんとしてその言葉が口に出たんだと思うので。

私も夫も、息子の中学受験を考えたとき、この子が生きていく中で“自分が楽しいと思える何か”が見つかればいいなと思っていました。中学生になった彼の表情を見ていると、もうその片鱗を見つけ始めているんじゃないかなと感じます。

息子が「もっと知りたい」という、学ぶ楽しさを感じられる場所に出会えたことが、中学受験をして一番良かったことかもしれないですね。

取材後記

常に広い視野で複数の選択肢を思い浮かべながら、「受験のための受験」ではなく「子どもの未来のための受験」ということを第一に考えるお母さん・お父さんの思いがとても印象に残りました。つらくても投げ出さずに毎日決めたことをやり遂げる力、勉強習慣を身に付けた経験は、お子さんにとっても将来大きな財産になることと思います。また、思ったことを言葉にするのが苦手なお子さんの小さな表情の変化、行動の裏側を考えながら、息子さんの自主性を尊重する優しい母親のまなざしにもぐっとくるものを感じました。

執筆者プロフィール

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