【お悩み相談室♯012】高校受験編|勉強を始めると頭が痛くなってしまう娘。受験の現実を見て勉強してもらうには?


編集部
塾選ジャーナル編集部

ひのき進学教室 三軒茶屋校講師
大山雅司
「子どもが勉強をしない」「うちの子、本当に高校に行ける?」「反抗期でまったく親の言うことを聞かない」……子どものモチベーションの低さや学力の伸び悩みに加え、親子間でのコミュニケーションの難しさ。思春期でもある高校受験生を持つ親の悩みは尽きません。
実際、塾選ジャーナル編集部が行った高校受験に関するアンケートによれば、98%の保護者が「悩みがある」と回答。そこで、高校受験を控えた中学生の子を持つ保護者の悩みを解決するため、受験指導のプロ・大山雅司先生にアドバイスをもらいました。ぜひ、お子さんへのサポートに役立ててください!
【今回のお悩み】勉強を始めると頭が痛くなってしまう娘。受験の現実を見て勉強してもらうには?
【CASE 011】中学3年生・女子
性格:
勉強が大嫌い。自分に自信がない。
【今回のお悩み】
ペンネーム:みやこさん(中学3年生 保護者)
勉強アレルギーで勉強すると頭が痛くなると言う子ども。なかなか受験勉強が進まないため、第一志望校に合格するか不安です。高校に入ってからのことを考えて、受験する高校のレベルを落とすように話をしましたが、それは嫌だと言います。娘に受験の現実を理解し勉強してもらうには、どうすればいい?
【大山雅司先生のアドバイス】合格・不合格は、模試の結果といった客観的な指標を参考に。最後まで頑張るかは本人次第。
子どもが「勉強すると頭が痛くなる」と言ってくるのは、勉強することに対してストレスを感じているシグナルの一つ。でも、ストレスを減らすために勉強時間を減らせば、当然ながら志望校に合格する可能性は低くなってしまいます。
まずはなぜ勉強嫌いなのか原因を見極めることが大切です。学習の基礎が不足している場合は、基礎から丁寧に学び直す時間を設け、少しずつ勉強時間を延ばすことが効果的です。プレッシャーや不安からの場合は、親子で受験についてオープンに話し合い、合格のプレッシャーより「成長」に焦点を当てましょう。また、学習習慣が身についていないような場合は、同じ時間に勉強する習慣をつけたりしてみるのもいいでしょう。
勉強したくない子への適切な声掛けは、学習指導をしている外部コーチに頼るのが近道です。塾に通っているのであれば、塾に一任してしまってもいいでしょう。塾講師であれば、模試の結果と志望校のレベルを照らし合わせて、合格に必要な学習方法を考えてくれるはずです。塾に行っていない場合、ご家族の中で、普段勉強について本人と話をしていない人(お母様が普段話をしているならお父様、もしくは年長のお兄様、お姉様)に協力してもらい、高校受験について話をしてもらうのも効果的な場合があります。「普段言われない人に言われた」というだけで印象に残り、それがきっかけでいい方向に向かう可能性があります。その際は、特別な話合いであると印象付けるためにも、しっかり顔と顔を合わせて話をしてあげてほしいです。
志望校については、もし「高校に入ってから勉強についていけないのではないか」と心配しているのであれば、受験前からレベルを下げる必要はありません。合格ができたということは、高校生になってから頑張ればついていくことはできます。逆に相当の余裕をもって合格できても、入学後に勉強をしなければ当然ついていけなくなるので、入学後ついていけるかどうかは入学後の在り方次第だと考えていいでしょう。でも、もしご家庭の事情で考慮すべき点があって、志望校のレベルを下げたいのであれば、話は変わってきます。
第一志望校に合格せず、第二志望・第三志望の高校に進学するとなったときに、家計を圧迫することにならないか、具体的なシミュレーションをしてご家庭にとって無理のない選択肢だけを残すよう検討しておきましょう。
わかりやすい例として、第一志望が公立高校で、滑り止めで私立高校を受験するケースで考えてみましょう。もし経済的な事情から公立高校への進学を希望するなら、そのことを隠さず「確実に合格できる公立高校を目指してほしい」と率直に伝える方がいいでしょう。これまで見てきた子どもたちの中に、そのように言われて親を恨めしく思ったケースは見たことがありません。
それよりも、子どもにとっては進路について最終的な選択をさせてもらえなかったことの方が、心の中で「しこり」となって後々まで残ります。学力面で合格が厳しいだけなのであれば、志望校を変えるかどうかは、本人に決めさせる姿勢を見せた方がいいですね。
現実を知ってもらうためには、合格率という数値が目に見える模試の結果などの客観的な指標を見せるのは有効な手段です。「今の実力では志望校に受かる確率は低い」という現状を見せたうえで、「本当に第一志望の学校に行きたいのかどうか」「そのために、頑張れるかどうか」本人の意思を聞いてみてはいかがでしょうか。
「頭が痛くてこれ以上頑張れない。もう諦める」と言うかもしれないし、「頭が痛いけど、最後まで頑張りたい」と言うかもしれない。受験というストレスの中で子どもの心を守るために大切なのは、どんなときも子どもの気持ちを聞く姿勢を見せることです。
親が先回りして考えておきたいのは、第一志望校に落ちてしまった場合の心積もりです。
押さえとなる高校をしっかり用意してあげて、どこまで頑張るのかは本人に任せるという姿勢を見せましょう。親がセーフティ―ネットとなって、どの道に転んでも子どもの安心が守られる環境を用意してあげたいですね。それさえできれば、合格できるかどうかに関しては本人や塾の役割だと割り切るのが、親御さんとしても気持ちが楽なのではないでしょうか。本人がまっすぐ自分で決められるようサポートできたら十分だと思います。
成功へ導く賢者からの金言!
模試など客観的な指標を見せてあげて。
親は、セーフティーネットの役割を。
※塾選調べ:
対象:高校受験をする予定の子どもをもつ保護者49名にアンケートを実施
期間:2025年1月7日~14日実施
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。