【お悩み相談室♯013】高校受験の生活のお悩み編|部活と勉強で忙しく、睡眠不足に。バランスを取るには?


編集部
塾選ジャーナル編集部

精神科医・ゆうメンタルクリニック総院長・マンガ原作者
ゆうきゆう
子どもの成長とともに多くの喜びを得られる一方で、変化していく子育ての悩み。特に、高校受験を控え、「勉強」と「遊び」の両立やスマホとの関わり方、子どもの健康管理、コミュニケーションの取り方など、生活面で親の役割を改めて考えることもあるでしょう。
そこで、塾選ジャーナル編集部では、高校受験を控えた中学生の保護者49名にアンケートを実施。多くの家庭で心配ごとのタネとなっているお悩みを解決するため、精神科医のゆうきゆう先生にアドバイスをもらいました。ぜひ、お子さんへのサポートに役立ててください!
【今回のお悩み】部活と勉強で忙しく、睡眠不足に。バランスを取るには?
【CASE 013】中学3年生・男子
性格:
明るく元気。集中力が高く、自分の好きなことには熱中するが、苦手なことには消極的になりがち。
【今回のお悩み】
ペンネーム:ののか さん(中学3年生 保護者)
部活動の大会前は帰宅が遅くなるため、夜遅くに勉強を始めて寝不足になってしまいます。朝起きるのがつらそうで、学校の授業に集中できない様子。悪循環に陥っていると分かっていても、受験のことを考えると家での勉強時間を減らすのも不安で…。部活動や家庭の用事と勉強時間のバランスを取るためにはどうすればいいでしょうか。
【ゆうきゆう先生のアドバイス】本当に短時間でいいので、ヨコになって目をつぶる「休息時間」を取り入れて。
平均的には7時間前後は睡眠がとれるのが望ましいですが、事情があって一時的に睡眠時間が短くなってしまうこともありますよね。でも睡眠時間に関しては、日中に眠気が生じない程度であれば問題はありません。「7時間は眠らなくては!」と時間に追われてストレスに感じると逆に心が疲れてしまうので、「こうでなくてはならない」と重荷に感じているのであれば、あまり気にしないようにしましょう。
今回の相談者のように、夜の睡眠時間が足りず日中眠くなってしまうようなら、ぜひ取り入れたいのは短時間の「昼寝」です。NASA(アメリカ航空宇宙局)で実施された研究により、「日中に10分程度の仮眠を取るだけで、集中力が大幅にアップする」という効果が実証されました。この効果的な昼寝・休息のことを、別名で“パワーナップ”と呼んだりします。疲労回復や集中力の向上により、仕事のパフォーマンスがアップし結果として生産性が上がるため、社内に仮眠室をつくる企業が増えています。このように日中の昼寝・休息を推奨する取り組みについて、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?これは「大人の仕事」だけでなく、「子どもの勉強」に置き換えても同じことがいえます。
本当に短時間で構いません。「今から10分くらい、ヨコになって休む」と決めて、1日に1~2回、積極的に休憩する時間をつくりましょう。ベッドに入る時間がなければ、体を十分に休めることができます。学校から帰って塾に行く前の10分、休日の昼食後の10分、少しでも「ダルいなぁ」と思ったら、隙間時間を活用してヨコになって休む時間を捻出しましょう。
このとき、スマホやテレビなどを見てしまうと脳が休まりません。できれば部屋を暗くして、光を遮断するのがおすすめ。もし暗くするのが難しければ、アイマスクを着用するのも有効です。眠れなくてもいいので、目をつぶってヨコになることが最も重要なポイントです。
学校では、昼休みに空き教室や保健室を利用できるか相談してみましょう。難しければ、座った姿勢のまま、机で腕枕をして軽く目をつぶるだけでも効果があります。
また、夜に活動しすぎると日中の集中力が低下しやすくなります。就寝時間を少しずつ早くして、朝に勉強する生活スタイルに変えるのも一案です。朝早い時間は起きている人が少ないため、ほかの誘惑が少なく、静かで集中しやすい環境が整いやすいという利点があります。さらに、「ほかの人が寝ている時間に先んじて起きて勉強している」と優越感を持てて自信につながるのも大きなメリットです。
私自身、受験生のときは夜7時に寝て2時に起きて勉強していました。何時に寝て何時に起きるか、快適な時間は人によって異なります。いくつかパターンを試しながら、負担なく続けられる時間帯での勉強習慣を見つけるようにするといいですね。
生活リズムの変更は一度に行うと身体的・精神的な負担が大きいため、10〜15分ずつ就寝時間と起床時間を早めていくのが理想的です。約2週間を目安に徐々に変えていくことで、体内時計が自然に調整され、無理なく朝型生活に移行しやすいです。
そのほか、効率的な勉強法を取り入れることで、睡眠時間を確保することができます。おすすめは、移動の電車内やちょっとした待ち時間を活用して、あえて“家の外”で勉強する時間をつくること。人目があることで緊張感が高まり、集中しやすくなります。
特に暗記科目では、長時間机に向かうよりも、給食の配膳を待つ間や朝のホームルーム前、部活の着替え時間などの隙間時間を活用した短時間の反復学習が効果的です。単語カードや手作りの暗記シートを使い、昼休みや掃除当番の後などに少しずつ確認するだけで記憶の定着率が高まります。
成功へ導く賢者からの金言!
「10分ヨコになって休む」だけでも、集中力は大幅にアップ!朝型習慣への段階的移行も効果的
※塾選調べ:
対象:高校受験をする予定の子どもをもつ保護者49名にアンケートを実施
期間:2025年1月7日~14日実施
執筆者プロフィール

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監修者プロフィール

東京大学医学部医学科を卒業。医師業のかたわらマンガ原作者としても活躍。主なマンガ原作に 「マンガで分かる心療内科」(少年画報社)などがある。ゆうメンタルクリニック、ゆうスキンクリニック、ゆうリワークセンター、ゆう訪問看護ステーションを首都圏や関西中心に21拠点展開する。2025年4月にゆうメンタルクリニック名古屋院が開院。(2025年現在)