中学受験|「友達と遊べない…」周りに受験生ゼロ!孤独に頑張る我が子が心配…


編集部
塾選ジャーナル編集部

精神科医・ゆうメンタルクリニック総院長・マンガ原作者
ゆうきゆう
子どもの成長とともに多くの喜びを得られる一方で、変化していく子育ての悩み。特に、中学受験を控え、「勉強」と「遊び」の両立やスマホとの関わり方、子どもの健康管理、コミュニケーションの取り方など、生活面で親の役割を改めて考えることもあるでしょう。
そこで、塾選ジャーナル編集部では中学受験を控えた小学生の保護者50名にアンケートを実施。多くの家庭で心配ごとのタネとなっているお悩みを解決するため、精神科医のゆうきゆう先生にアドバイスをもらいました。ぜひ、お子さんへのサポートに役立ててください!
「友達と遊べない…」周りに受験生ゼロ!孤独に頑張る我が子が心配…
【CASE 014】小学6年生・女子
性格:
やや内気だが負けず嫌い。
【今回のお悩み】
ペンネーム:まなな さん(小学6年生 保護者)
娘が通う小学校ではほとんどの子が中学受験をしません。将来のことを考え中学受験を決めましたが、通塾や勉強でうちの子だけがお友達と遊ぶ時間がとれないのを見ていると、「本当に、これでいいのだろうか」と不安になることがあります。例えば、子ども同士の交友関係に支障が出たり、勉強のモチベーションが落ちてしまったりはしないでしょうか?周りの子と違うことが、娘の負担になっているのではないかと心配です…。
お子さんの「気持ち」を大切に。友達と遊ぶ時間を求めているなら、時間をつくってあげて。
周りに中学受験をする子が少ない環境で、自分の子だけが受験するとなれば心配になりますよね。
しかし、娘さんの将来を考えて決められた中学受験ですから、そのときの初心を少し思い出してみてください。きっと、中学・高校・大学そして就職先まで、娘さんの将来を見越して中学受験をすると決めたことと思います。
確かに、今お友達と遊べないのは我慢が必要になってしまうかもしれません。でも、進学した後にも新しい出会いは待っています。同じように小学生のときに受験勉強を頑張ってきた、同志のような友人と仲良くなることもあるでしょう。
「これでいいのだろうか」と選択に迷い立ち止まったとき、考えてほしいのは人生における幸せの「総量」はどちらのほうが大きいか?ということです。ただし、何がその子にとって本当に幸せかを決めるのは、親ではなくその子自身であると忘れないようにしましょう。もちろん、子どものうちは考えが成熟していないので、大人が正しい方向に導いてあげる必要はありますが、親の考えを押し付けすぎるのは望ましくありません。
まずは、今の環境で中学受験をすることに納得感があるのか?辛くはないか?もっとお友達と遊ぶ時間をとりたいか?お子さんの正直な気持ちを聞いてみましょう。
人間の本音は、言葉以上に表情や姿勢に現れます。例えば「体をよじるようにしている」「腕組みをしている」「後ろに寄っかかるように話している」「あまりこちらを見ない」などは注意が必要です。「問題ないよ」と答えていても、本音を隠していたり、話すことを拒絶していたりする可能性があります。
話をしているときはお子さんの顔や姿勢を観察し、心を閉ざしているようであれば、会話する機会を増やしていきましょう。ゆっくり話す時間をとる、話をする回数を増やすなどお子さんと向き合う時間をつくってください。
お子さんの本音を聞き出すには、「勉強は好き?」と直接的に聞くより、「今日の勉強で楽しかったことは?」「難しかったことは?」と具体的に問いかけるといいでしょう。また、おやつの時間や夕食時など、リラックスした雰囲気の中で会話するのが効果的です。「お母さんも子どもの頃は〇〇だったよ」と自己開示をすることで、子どもも本音を話しやすくなります。「みんな頑張ってるんだから」といった比較や、「あなたのためよ」と親の意向を押し付ける言い方は避けましょう。
現時点で、受験という目標のために、娘さんが自ら進んで勉強しているのであれば、今のままでいいと思います。しかし、もし「もっとお友達と遊びたい」と話すなら、週に1日でも勉強を休む日をつくってはどうでしょうか。子どもの希望を叶える形で、勉強のスケジュールを組んでみるのも一案です。少ない時間かもしれませんが、「やりたいことをする」ことでリフレッシュになり、勉強に向き合うモチベーションにもつながるはずです。
10~12歳であれば、現状を踏まえ、どれくらいが遊びの時間に費やせそうか、その分、勉強をどのように頑張るかを一緒に考えることもできるでしょう。例えば、「お友達と2時間遊ぶために、前日のうちに塾の宿題を半分済ませておく」「朝30分早く起きて勉強する」などの工夫を親子で話し合うのもいいですね。このように子ども自身が時間管理の方法を考えることは、将来的な自己管理能力の育成にもつながります。
勉強の計画を立てるとき、「ゲーム感覚」を取り入れるのもおすすめ。特に、楽しいことや買い物など、本人にとって嬉しいものを「ごほうび」にするのは、とても効果的な手法です。「朝に勉強できたら、朝ごはんを好きなメニューにする」など、「ごほうび」を決めて朝の勉強習慣をつけて、夕方にお友達と遊ぶ時間をつくるのも一案です。
誰もが人生は一度限り。小学生として過ごせる時間も有限です。「今、こうしたい」と思うその瞬間に一番望むことを大切に考えてあげることは、それだけで十分に意味があります。やりたいことを我慢することがクセになると、大人になってからも我慢を重ねてしまう可能性があるからです。
成長し大人として十分に1人で判断できるようになるまでは、お母さん・お父さんがお子さんの心の声と向き合い、幸せの「総量」が大きい道へと手を引いていってあげてくださいね。
成功へ導く賢者からの金言!
お子さんの気持ちを尊重しながら、無理のない形で両立できる方法を一緒に考えて
※塾選調べ:
対象:中学受験をする予定の子どもをもつ保護者50名にアンケートを実施
期間:2025年1月2日~8日実施
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

東京大学医学部医学科を卒業。医師業のかたわらマンガ原作者としても活躍。主なマンガ原作に 「マンガで分かる心療内科」(少年画報社)などがある。ゆうメンタルクリニック、ゆうスキンクリニック、ゆうリワークセンター、ゆう訪問看護ステーションを首都圏や関西中心に21拠点展開する。2025年4月にゆうメンタルクリニック名古屋院が開院。(2025年現在)