中学受験|小4娘が突然“無言”に…部屋にこもる子ども、どう接する?


編集部
塾選ジャーナル編集部

精神科医・ゆうメンタルクリニック総院長・マンガ原作者
ゆうきゆう
小学生が話さない・無視する…「小4の壁」に親はどう向き合えばいい?専門医がアドバイス
中学受験を控えた小学生の保護者にとって、「勉強と遊びの両立」や「スマホとの付き合い方」「健康管理」「親子のコミュニケーション」など、日々の子育てにはさまざまな悩みがつきものです。塾選ジャーナル編集部では、そうした不安を抱える保護者50名にアンケートを実施。多くの家庭で共通するお悩みに対し、精神科医・ゆうきゆう先生からアドバイスをいただきました。子どもの心に寄り添うヒントとして、ぜひご活用ください。
小4娘が突然“無言”に…部屋にこもる子ども、どう接する?
【CASE 011】中学4年生・女子
性格:
穏やかな性格。少し神経質なところがある。
【今回のお悩み】
ペンネーム:クレオ さん(小学4年生 保護者)
日頃は温厚で穏やかな性格の娘。しかし、神経質な一面があり、何か気になることやストレスがあると、一言も口をきかなくなります。名前を呼んでも返事もせず「ほっといて」と言って、自室にこもってしまうことも…。そんなとき、親としてどう接すればいいのか?どんな言葉をかければいいのか?一時的な行動だとは思いつつも、毎回悩んでしまいます。
ただ一緒にいる時間を増やすだけでも、子どもに安心感を与えられる。会話の中では、共感を心がけて。
小学4年生の心の変化と“引きこもり”の背景
原因が分からず、自室に引きこもってしまう子どもの姿を見ていると、心配になりますよね。もちろん個人差がありますが、小学4年生頃は、自分を客観視できるようになり始める時期です。
そのため、友達と比べて劣等感を抱いたり、友人関係に悩んだりと、複雑な感情を抱きやすくなります。
また、学校の勉強が難しくなり、学習面でのプレッシャーを感じ始める子もいます。これを“小4の壁”と呼ぶこともあります。
発育過程の中で、越えなければならない壁のひとつなので、学校や塾に行くのに支障が出ておらず、家でいるときに自室にいる時間が長い程度であれば問題はありません。
「何かしなきゃ」と思いすぎないことも大切
とはいえ、親御さんとしては、落ち込んでいる我が子の姿を見て「何とかしてあげたい」と思うこともあるでしょう。気持ちは良く分かります。しかし、まず意識したいのは、「親だから何かをしなくては」と責任や負担を抱え込みすぎないことです。
「子どもが口をきかなくなるのは、親である自分に何らかの責任があるのではないか」「親として、子どもの性格や行動パターンを変えなくては」と多くを背負い込んでしまうと、どんどんプレッシャーが大きくなってしまいます。
子どもとって、確かに親は特別な存在です。だからこそ、子どもは、親が感じているストレスを敏感に感じ取るもの。親のプレッシャーが伝わると、結果的に子どもにさらなるストレスを与えてしまうことにもなりかねません。
子どもと「ただ一緒にいる時間」をつくる
重要なのは、ただ「一緒にいる時間」を過ごすことです。一緒にお茶をする、子どもの好きなお菓子を共有する、好みのドリンクを飲む、一緒にご飯を食べる。また、子どもが好きなテレビ番組やアニメを一緒に観る、好きな音楽を聴くなど、どんな行動でも構いません。
子どもの興味や好みに寄り添い、その世界を理解しようとする姿勢が大切です。一緒の時間を持つことによって、子どもに自分の存在を感じさせます。そして「ひとりじゃないんだ」と安心させることから始めましょう。
共感する言葉を意識して増やす
一緒に過ごす時間が増えてきたら、その中で少しずつ会話を増やしていきましょう。このとき、子どもの話をたくさん聞いて、「なるほどね」「分かるよ」など、できるかぎり共感する言葉を増やすと良いでしょう。ありのままの子どもを認めて、寄り添ってあげることが、何よりも大切です。
否定や比較ではなく、“まず聴く”姿勢を
逆に避けたいのは、他の友達と比較するような発言や現状を否定するような言葉です。心配する気持ちからであっても、「部屋に閉じこもってばかりでは良くないよ」「思っていることを言いなさい」など、自分の思いをぶつけるのではなく、あくまでも子どもの考えや行動を尊重する姿勢を見せましょう。
親はついついアドバイスをしたくなりますが、まずは相手の話を聞かないと、相手も聞く耳を持ってくれません。町中で知らない人が突然「お前はこうすべきだ!」など言ってきても聞きたくないですよね。親がそういう存在としてみなされないように、まずは話を聞いて共感してあげることです。
アドバイスは“聴いたあと”にそっと提案
アドバイスするときには、子どもの本音を聴いたうえで、「それなら、こうしてみたら?」と提案すると相手も受け入れやすくなるはずです。
焦らず、ゆっくり関係を築こう
子どもが口をきかなくなったり、部屋にこもったりすると、不安になるのは当然です。でも、焦る必要はありません。「一緒にいる時間」と「子どもの話を聞く時間」を積み重ねていくことで、口をきかなくなったり、部屋にこもってしまったりする回数は減っていく可能性があります。
完璧な対応でなくて大丈夫です。焦らず、ゆっくりしたペースでも良いので、ぜひ試してみてください。
成功へ導く賢者からの金言!
「ただ一緒にいる時間を過ごすこと」が、こころのドアを開く!
※塾選調べ:
対象:中学受験をする予定の子どもをもつ保護者50名にアンケートを実施
期間:2025年 1月2日~14日実施
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

東京大学医学部医学科を卒業。医師業のかたわらマンガ原作者としても活躍。主なマンガ原作に 「マンガで分かる心療内科」(少年画報社)などがある。ゆうメンタルクリニック、ゆうスキンクリニック、ゆうリワークセンター、ゆう訪問看護ステーションを首都圏や関西中心に21拠点展開する。2025年4月にゆうメンタルクリニック名古屋院が開院。(2025年現在)