都立中高一貫校に受かる子は何が違う?現役塾講師が語る7つの特徴と親の関わり方!


編集部
塾選ジャーナル編集部

ひのき進学教室 三軒茶屋校講師
大山雅司
「都立中高一貫校に受かる子はどんな子?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
都立中高一貫校に受かる子には、以下のような特徴があります。
- 他人の意見に耳を傾け、そのうえで自分の意見を表現できる子
- コツコツと努力を継続できる子
- 好奇心が旺盛で、幅広い分野に関心を持っている子
- 日常的に会話が多く、語彙力がある子
- 周囲に流されにくく落ち着きがある子
- 数的処理に心配がない子
- 小学校の成績が高い子
この記事では、都立中高一貫校に受かる子に共通する7つの特徴や、合格を目指すための親の関わり方・NG行動についても詳しく解説しています。是非、都立中高一貫校の受検対策に役立ててください。
【塾講師の視点から見た】都立中高一貫校に「受かる子」の7つの特徴!
塾講師の視点から見た、都立中高一貫校に受かる子に共通する7つの特徴を解説します。自分の子どもに当てはまっているかどうか、参考にしてみてください。
他人の意見に耳を傾け、そのうえで自分の意見を表現できる子
都立中高一貫校に合格する子どもに共通する大きな特徴として、「自分の考えを持ち、それを自分の言葉でわかりやすく表現できる力」を持っていることが挙げられます。
都立中高一貫校の入試では、単なる知識の詰め込みではなく、思考力・表現力・判断力を問う適性検査が実施されます。適性検査では作文問題が出題されるため、与えられたテーマについて自分の意見や体験を論理的にまとめる力が不可欠です。
そのため、「読んだ文章から要点を的確に読み取る読解力」と「自分の意見を筋道立てて伝える作文力」の両方が重要になります。
日頃から本を読んだり、時事問題について家族と話し合ったりする習慣がある子どもは、これらの力が自然と身についている傾向があります。
~塾講師から見た「受かる子の特徴」~ 都立大泉に合格した子は、小学5年生の頃から、国語の授業で「前に教わった解き方を当てはめると、このような解答になる」と、自分の意見や考えを説明できていました。 何もないところから自己流で意見を述べるのではなく、教わった内容や他人の考えを参考にし、それを自分の思考の道具として活用する力を、早い段階から身につけていたのです。(大山先生) |
コツコツと努力を継続できる子
都立中高一貫校に合格する子どもに共通する特徴として、「コツコツと努力を継続できる力」を持っていることが挙げられます。
都立中高一貫校の適性検査では、教科横断型の問題が出題されます。算数・理科・社会・国語などの知識を組み合わせて考える問題が多く、特定の科目で高得点を取るのではなく、全教科の基礎学力をバランスよく身につけていることが必要不可欠です。
こうした試験に対応するには、毎日の学習の積み重ねが重要です。特に、基礎力がしっかり定着している子どもは、記述問題や応用的な総合問題にも柔軟に対応しやすくなります。
目立つ成果がすぐに出るタイプではなくても、計画的に努力を続けられる子どもは、結果的に安定した学力を身につけ、合格に近づいていきます。
~塾講師から見た「受かる子の特徴」~ 中高一貫校に合格した子は、小学4年生のときに、ノートの書き方(計算式をきれいに書く方法など)を指導されたことがきっかけで、自分で書き直したノートを見て大きな感動を覚えました。その後も小学6年生まで「きれいなノート・式の書き方」を維持し続けました。 計算ミスがあった場合も、最初から書き直すのではなく、自分のノートをじっくり見直して間違いを修正できる力を養っていました。もともときれいなノートが書ける子ではありませんでしたが、指導をきっかけに時間をかけて着実にノート作りを洗練させていった様子がうかがえます。(大山先生) |
好奇心が旺盛で、幅広い分野に関心を持っている子
都立中高一貫校に合格する子どもに欠かせない要素のひとつが、「旺盛な好奇心」です。
都立中高一貫校の適性検査では、暗記型の学力ではなく、自分で考えて課題を解決する力が重視されます。そのため、「なぜ?」「どうしてこうなるの?」といった疑問を持ち、自分なりに掘り下げて考える習慣のある子どもは、適性検査に強みを持ちます。
さらに、ただ疑問を持つだけでなく、幅広い分野に興味を持ち、自分で調べ、理解を深めようとする姿勢も重要です。ニュースや自然科学、社会問題など、小学校で教わる内容にとどまらない知識や視野の広さは、適性検査の文章問題や資料分析問題で大きな強みになります。
日頃から、本や新聞、図鑑、ドキュメンタリーなどに親しむ環境を整えておくことで、自然と好奇心や探究心が育ち、都立中高一貫校の入試でも活かされる力につながっていくはずです。
日常的に会話が多く、語彙力がある子
都立中高一貫校に合格する子どもには、語彙力が豊かで、自分の考えを的確に言葉にできる力が備わっているケースが多く見られます。
日常的に家庭での会話が多い子どもは、自然と言葉の使い方を学び、さまざまな語彙を吸収する機会に恵まれています。また、読書を習慣にしている子どもも、表現力・語彙力の向上に加え、文章構成や論理的思考の基礎を養うことができます。
都立中高一貫校の適性検査では、記述式問題や作文問題の対策が必須であり、語彙力と表現力がその成否を分けるポイントになります。限られた時間の中で、与えられたテーマに対して自分の意見をわかりやすく、論理的にまとめる力が求められるためです。
そのため、日常の中で子どもが自分の言葉で考えを伝える機会を多く持つことが重要です。親子の会話や読書習慣を通して語彙を増やすことが、合格への大きな土台となります。
~塾講師から見た「受かる子の特徴」~ 都立大泉中高に合格した子は、豊富な読書経験によって語彙力も高かったように思います。会話においても、自分の意見を一方的に述べるだけでなく、相手の話をよく聞き、わからない点をさらに掘り下げて質問するなど、コミュニケーションのキャッチボールが上手な印象がありました。(大山先生) |
周囲に流されにくく落ち着きがある子
都立中高一貫校に合格する子どもの特徴として、精神的に落ち着きがあり、周囲に流されにくいことが挙げられます。
都立中高一貫校の適性検査では、思考力や表現力を問う複雑で対策が難しい問題が出題されます。例えば、社会的なテーマをもとに自分の意見を述べる作文や、図表を読み取って論理的に説明する問題など、一問一問にじっくり向き合う集中力と冷静さが必要です。
そのため、「社会の出来事に関心を持っている」「論理的にものごとを考えることができる」「周りの意見に流されず、自分の判断ができる」といった資質を持つ子どもは、適性検査で大きなアドバンテージを持つといえるでしょう。
~塾講師から見た「受かる子の特徴」~ 塾の中には、同年代の子どもたちと遊ぶよりも、一歩引いた視点を持ち、周囲を観察している子どももいました。ある子どもは、もちろん同学年の子どもたちと仲が悪かったわけではありませんが、どちらかといえば講師など大人との会話を楽しんでいる印象がありました。(大山先生) |
数的処理に心配がない子
都立中高一貫校の適性検査では、割合や単位換算、図表の読み取りなどを含む数的処理の力が問われます。
特に、資料を読み解きながら条件に合った数値を計算する問題は、思考力と計算力の両方が必要になります。
こうした問題にスムーズに取り組める子は、時間配分にも余裕が生まれ、総合的な得点力が高まります。
「大きな数の扱いが苦手」「割合の感覚があいまい」という場合は、時間をかけてでもしっかりと身につけることが大切です。
小学校の成績が高い子
都立中高一貫校の選抜では、適性検査だけでなく、小学校の「報告書(調査書のようなもの)」の評価も合否に影響します。
これは、5年生と6年生の成績を中心に、小学校側が記入した内申的な資料で構成されます。
各中学校は、報告書の評定を独自の基準で点数化し、適性検査とあわせて総合的に評価を行います。
そのため、通知表の成績が高い子は、報告書の得点面で有利に働くケースが多いのです。
中高一貫校の学習以前に、小学校の学習内容につまづきがないようにすることが大切です。
都立中高一貫校に受かる子の特徴としては、以上の7つが挙げられます。「そもそもの都立中高一貫校のメリット・デメリットについて知りたい」という方は、以下の記事をご覧ください。
都立中高一貫校に合格するために、親が意識したい3つの関わり方とは?
都立中高一貫校の受検は、子ども自身の努力だけでなく、家庭での関わり方も非常に重要です。ここでは、都立中高一貫校に合格するために、親がどのようにサポートすべきか、家庭で意識したいポイントを解説します。
「見守り型」が学力と精神力を育てる
都立中高一貫校に合格する子どもの多くは、自分で考えて行動できる力を持っています。その力を育むためには、親が適度な距離感で見守る姿勢がとても重要です。
過度に干渉してしまい、例えば親がすぐに解説をしたり、勉強スケジュールをすべて管理したりすると、子どもが自分で考える機会を失ってしまうおそれがあります。これは、適性検査で求められる「思考力」「判断力」「表現力」を伸ばすうえで、大きなマイナスになりかねません。
大切なのは、「この問題、どうやって考えたの?」「なんでこの答えになったと思う?」といった問いかけを通じて、子どもの思考の過程に寄り添うことです。間違えたときも、「なぜ間違えたのか」を一緒に考えることで、子どもは自分の弱点や考え方の癖に気づくことができ、成長のきっかけになります。
「教える」よりも「考えさせる」「見守る」スタンスをとることが、都立中高一貫校で求められる力を育てるカギとなるのです。
家庭で“雑談力”を育てる工夫をしてみる
都立中高一貫校の合格を目指すうえで、家庭内での「雑談力」を育てることも非常に効果的です。ここでいう雑談とは、学校の出来事、ニュース、身の回りのちょっとした疑問などをテーマに、親子が気軽に言葉を交わすコミュニケーションのことです。
このような雑談を日常的に行うことで、子どもは自然と語彙力や表現力を高めることができます。さらに、雑談の中で生まれた「気づき」や「疑問」が、子ども自身が興味を持って学ぶきっかけになることも少なくありません。
雑談を通じて育まれる「自分の考えを自分の言葉で説明する力」は、都立中高一貫校の作文問題や面接対策に直結する重要な力です。普段から親子でざっくばらんに話す習慣を持つことで、適性検査に必要な表現力や論理的思考力が自然と身についていきます。
情報収集は親子で“共有”する習慣を身につける
都立中高一貫校の受検において、学校説明会や模試の情報、学習スケジュールなど、多くの情報収集が必要になります。ここで重要なのは、親がすべてを管理するのではなく、親子で情報を共有しながら進めていく姿勢です。
親が先回りしてすべての情報を調べ、「この塾に行きなさい」「この問題集をやりなさい」と一方的に進めてしまうと、子どもは受け身の姿勢になってしまいます。その結果「親が言うからやる」「親のために受検している」といったモチベーションの低下につながるおそれがあります。
都立中高一貫校に合格する子どもは、自分の意思を持ち、受検に主体的に向き合うという特徴があります。そのため、模試の結果や学習計画などの情報も、親子で一緒に見て話し合い、「どう思う?」「次はどう取り組んでいこうか?」と子どもに考えさせる機会を作ることが大切です。
「協力しながらも、主体は子ども」というスタンスを保つことで、受検を通じて子ども自身の成長も促すことができます。
~塾講師から見た「親としての関わり方のコツ」~ 中高一貫校の入試では、「各教科の学習の記録」、いわゆる学校の成績が重要な評価項目となります(※配点は中学校によって異なります)。 志望校の試験対策だけでなく、日々の学校の授業でつまづきがないかを確認し、必要に応じて適切なサポートを考えることも、親御さんにとって大切な役割だといえるでしょう。(大山先生) |
そのほかにも、中学受験がうまくいく親のメンタルや心構えについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
都立中高一貫校に合格するために避けたい、親のNG行動とは?
都立中高一貫校の受検を成功させるためには、子ども自身の努力に加えて、親のサポートの仕方も大きく影響します。
しかし、合格を願うあまり、かえって逆効果となるNG行動をとってしまうケースも少なくありません。都立中高一貫校の受検において、親が気をつけたい行動について確認しておきましょう。
インプット重視で詰め込んでしまう
都立中高一貫校の試験は私立中学受験とは異なり、インプットした知識が直接得点につながるわけではありません。短期間で得点力を上げたくなる気持ちは理解できますが、ただ知識を丸暗記するだけでは逆効果になるおそれもあります。
都立中高一貫校の適性検査では、「思考力」「表現力」「分析力」といった総合的な力が問われます。答えをただ覚えるだけでは、自分で考え、理由を説明する力や、意見をまとめて文章を書く力が十分に身につきません。特に作文問題では、自分の言葉で論理的に考えを伝える力が求められます。
大切なのは、解法を覚えるよう模範解答を写させたり、知識を詰め込んだりすることに終始するのではなく、「なぜその答えになるのか」を自分の言葉で説明させることです。子どもの思考のプロセスに注目し、「どう考えたの?」「なぜそう思ったの?」と声をかけることで、子どもの考える力を引き出すサポートができます。
日常の中でも、ニュースや身の回りの出来事について親子で意見を交わしたり、短い作文を書かせたりすることは、適性検査で必要な力の土台づくりに直結します。インプットよりも思考と表現のトレーニングを重視する姿勢が、合格への近道です。
過度に干渉する
都立中高一貫校の受検において、親の過度な干渉は大きなリスクになります。
「この勉強法でやりなさい」と方法を一方的に押し付けたり、細かく学習スケジュールを管理しすぎたりすると、子どもが自主性を失い、受検への意欲が低下してしまうことがあります。
都立中高一貫校の適性検査では、自分で考え、表現する力が重視されます。親が先回りして正解を提示したり、指示通りに動かせばよいという環境では、自分で考える力や判断する力が育ちにくくなるのです。
大切なのは、親が先導者になるのではなく、伴走者として寄り添うこと。正解を教えるのではなく、「どうしてそう考えたの?」「別の視点もあるかもね」といった思考のヒントや気づきを与える関わり方が、子どもの成長を促します。
都立中高一貫校の受検では、学力だけでなく、親子の関係性や家庭の学習環境も重要です。子どもの主体性を尊重しながら、適度な距離で支える姿勢を忘れないようにしましょう。
情報に振り回されてしまう
都立中高一貫校の受検においては、親が受検情報に振り回されすぎないことが大切です。
「効果的な勉強法があるらしい」「この塾は合格率が高い」といった情報を鵜呑みにして、塾を頻繁に変えさせたり、教材を次々に変えたりすることは、かえって子どもの学習リズムを崩す原因になりかねません。
また、模試の結果に一喜一憂しすぎるのも要注意です。模試の点数や偏差値はあくまで目安の一つであり、本番に向けて力をつけていく過程を大切にすべきです。保護者が焦って方向転換を繰り返すと、これまで築いてきた子どもの学習習慣やモチベーションに悪影響を与えてしまうおそれもあります。
大切なのは、数ある情報の中から自分の子どもに合うものを取捨選択し、ぶれない軸を持つことです。取捨選択した情報は必ず、子どもに共有しましょう。
受検対策には「正解」はありません。親が冷静な視点を持ち、子どもの様子を見ながら必要なサポートをしていくことが、最終的な結果にもつながっていきます。
情報に振り回されるのではなく、子どもと一緒に考え、伴走する姿勢を忘れずにいましょう。
~塾講師から見た「ほかにも気を付けておきたいポイント」~ 志望校の過去問だけを繰り返し解くような学習方法はおすすめできません。 中高一貫校の作文試験で重要なのは、「問いかけられている内容を正しく受け止め、それにきちんと答えること」です。どのような問いかけにも適切に反応し、作文を書く中で話がそれてしまわないようにする訓練が欠かせません。 大人であっても、まとまった文章を書いたりスピーチをした際に、途中で話がそれてしまい、結局何が言いたいのかわからなくなる経験があるのではないでしょうか。最初の問いかけからブレずに最後まで書ききることは、単なる語彙力や表現力では補いきれない難しさを伴います。 そのため、志望校の過去問に加え、他校の中高一貫校の過去問なども活用しながら、内容を的確に読み取り、話がそれないように作文を書く訓練を積み重ねていくことをおすすめします。(大山先生) |
都立中高一貫校の合格を目指す子どもにおすすめ勉強法は?
都立中高一貫校に合格するためには、一般的な中学受験とは異なる適性検査への対応力が求められます。おすすめの勉強法を確認して、しっかりと対策を練っていきましょう。
適性検査に特化した塾に通う
都立中高一貫校の入試では、「文章理解力」「文章作成力」「数的処理能力」「論理力と実行力」といった、総合的な思考力や表現力を問う適性検査が実施されます。
この適性検査は、通常の中学受験で必要とされる、知識をインプットして答えを記述する試験とは大きく異なるため、一般的な中学受験塾などでは十分に対応しきれないケースもあります。
そのため、都立中高一貫校の適性検査に特化した塾を選ぶことが、合格への近道となります。塾選びの際には、以下の3つのポイントをチェックしましょう。
- 適性検査専門の対策コースを設けているか
- 公立中高一貫校への合格実績はあるか
- 公立中高一貫校合格者の「口コミ」や「体験談」があるか
こうした塾では、記述式問題や作文演習、グループディスカッションなどを通じて、適性検査に必要な思考・表現スキルを体系的に学ぶことができます。
以下の記事では、都立中高一貫校を含む公立中高一貫校の受検に強い塾を詳しく紹介しています。塾選びに迷った方はぜひ参考にしてください。
読書の習慣や時事問題対策
都立中高一貫校の適性検査では、自分の考えを自分の言葉で表現できる力や、社会への関心の高さが重要な評価ポイントとなります。
こうした力を育てるためには、日々の読書習慣と、時事問題へのアンテナを強く持つことが欠かせません。
以下の習慣については、「やらせる」形で押しつけるのではなく、親が伴走者として寄り添い、一緒に楽しむ姿勢が大切です。
「今日のニュースでこんな話があったね」「この本どうだった?」といった日常の声かけが、子どもの知的好奇心と表現力を自然に伸ばす土台になります。
読書習慣
都立中高一貫校の適性検査でキーとなるのが、長文を読み解いて考察し、短時間で記述する問題です。問題文の分量が非常に多いため、速読力・読解力の有無が得点力に直結します。
日頃から読書に親しんでいる子どもは、自然と語彙力・表現力も身につき、自分の意見を論理的に構成する力や、作文力の基礎も強化されていきます。
時事問題への関心
適性検査では、その年に話題になった社会的なテーマ(環境・福祉・国際問題など)に関連する出題が見られます。
日々のニュースや新聞記事に触れ、親子で話題を共有することで、「なぜ?」「どう思う?」と自分なりの視点を持つ習慣が育ちます。
作文は第三者の目を入れる
都立中高一貫校の入試では、適性検査で作文問題が必ず出題されます。この作文では、ただ正しい日本語を書くこと以上に、自分の意見を筋道立てて論理的に表現できるかどうかが問われます。
この力を伸ばすには、書きっぱなしにせず、第三者の目で添削してもらうプロセスが非常に重要です。親や塾の講師といった第三者が目を通すことで、自分では気づきにくい表現のクセや、伝わりにくい部分を客観的に把握できるようになります。
また、「ここがわかりにくい」「こう書くともっと伝わるよ」とアドバイスしてあげることで、子ども自身が文章をどう改善すべきかを考えるきっかけになります。これは単に正解を教えるよりも、自分の言葉で考える力や、表現を工夫する力を育てるうえで大きな効果があります。
作文力はすぐには身につきません。継続的に第三者のフィードバックを受けながら改善を重ねることが、適性検査の作文で得点を伸ばすカギとなります。
~塾講師から見た「子どものおすすめ勉強法」~ 中高一貫校の入試で求められる作文力は、都立高校入試の200字作文とは性質が異なります。 塾では、中高一貫校対策用の市販問題集や、算数分野では思考力系問題集といった教材を活用しています。 また、数理的な基礎力を養うために、1日1ページでもよいので、計算トレーニングを継続することも重要です。(大山先生) |
都立中高一貫校の受検でよくある質問
ここでは、都立中高一貫校の受検でよくある質問について解説します。
都立中高一貫校の2025年度の倍率はいくつですか?
都立中高一貫校の2025年度の倍率(一般枠募集)については、以下のようになっています。
都立中高一貫校の2025年度の倍率(一般枠募集)
学校名 | 募集人員 | 受検人員 | 実質倍率 |
---|---|---|---|
小石川中等教育 | 160 | 501 | 3.13 |
白鷗高等学校附属 | 167 | 616 | 3.69 |
両国高等学校附属 | 159 | 583 | 3.67 |
桜修館中等教育 | 159 | 568 | 3.57 |
富士高等学校附属 | 159 | 508 | 3.19 |
大泉高等学校附属 | 159 | 563 | 3.54 |
南多摩中等教育 | 159 | 586 | 3.69 |
立川国際中等教育 | 130 | 416 | 3.2 |
武蔵高等学校附属 | 160 | 364 | 2.28 |
三鷹中等教育 | 160 | 683 | 4.27 |
参考:令和7年度東京都立中等教育学校及び東京都立中学校入学者決定合格発表(一般枠募集)|東京都教育委員会
表を見ると、もっとも倍率の低い武蔵高等学校附属中学校でも実質倍率が2.28倍と、かなりの高倍率であることがわかります。
都立中高一貫校の2025年度の辞退者数はいくつですか?
都立中高一貫校の2025年度の辞退者数(一般枠募集)については、以下のようになっています。
都立中高一貫校の2025年度の辞退者数(一般枠募集)
学校名 | 合格人員 | 入学手続人員 | 辞退者数 |
---|---|---|---|
小石川中等教育 | 160 | 135 | 25 |
白鷗高等学校附属 | 167 | 161 | 6 |
両国高等学校附属 | 159 | 152 | 7 |
桜修館中等教育 | 159 | 142 | 17 |
富士高等学校附属 | 159 | 152 | 7 |
大泉高等学校附属 | 159 | 153 | 6 |
南多摩中等教育 | 159 | 155 | 4 |
立川国際中等教育 | 130 | 128 | 2 |
武蔵高等学校附属 | 160 | 141 | 19 |
三鷹中等教育 | 160 | 154 | 6 |
参考:令和7年度東京都立中等教育学校及び東京都立中学校入学者決定入学手続状況(一般枠募集)|東京都教育委員会
2025年度の辞退者数については、10校の都立中高一貫校あわせて99人でした。学校別に見ると、小石川中等教育学校が25人で最多、立川国際中等教育学校が2人で最少となっています。
私立中とのダブル合格で、私立中を選ぶ生徒が一定数いることが伺えます。
都立中高一貫校の受検に塾は必要ですか?
都立中高一貫校の適性検査は、思考力・表現力・判断力を問う独自形式の試験です。そのため、一般的な中学受験のような知識偏重型の学習では対応が難しいのが現実です。
加えて、作文やグループワーク、面接などが合否に大きく影響するので、専門的な対策が欠かせません。
こうした理由から、都立中高一貫校を受検する際は、塾を利用して対策することを強くおすすめします。
特に作文や面接は、第三者の視点からのフィードバックが極めて重要です。
親子だけでは気づけない「伝わりにくい表現」や「論理のズレ」も、プロの講師による添削やアドバイスを通じて改善していくことが可能になります。
以下の記事では、都立中高一貫校を含む公立中高一貫校の受検に強い塾を詳しく紹介しています。塾選びに迷った方はぜひ参考にしてください。
都立中高一貫校の受検と習い事は両立できますか?それとも一旦習い事を休むべきですか?
都立中高一貫校を受検するにあたっては、塾に通って本格的に適性検査対策を行う家庭が多く、その分、習い事との両立が難しくなるケースもあります。
ただし、すべての習い事をやめる必要があるわけではありません。例えば、気分転換になるスポーツや短時間で済む趣味系の習い事であれば、無理なく継続できることもあります。
また、子どもが心から楽しんでいる習い事は、精神的な安定やストレス解消の面でプラスに働くことも多く、無理に中断する必要はないでしょう。
一方で、日常的に練習時間が多く必要な習い事(例:楽器や競技系スポーツなど)や、子ども自身が負担に感じているような場合は、一時的に休むという選択肢も視野に入れるべきです。
何より大切なのは、子ども自身の気持ちを尊重することです。親の判断だけで一方的にやめさせるのではなく、「受検と習い事、どうしたい?」と話し合う時間を持つことが、子どもの主体性を育てるうえでも重要です。
子どもにとって、勉強だけの毎日が続くとストレスがたまりやすくなります。勉強とリフレッシュのバランスを上手に取ることで、都立中高一貫校の受検勉強にも前向きに取り組めるようになるでしょう。
まとめ|都立中高一貫校に「受かる子」の7つの特徴
都立中高一貫校の受検では、単なる知識の量よりも「考える力」「伝える力」が重視されます。塾講師の視点から見て、合格する子には以下のような特徴が共通しています。
都立中高一貫校に受かる子の7つの特徴
- 他人の意見に耳を傾け、そのうえで自分の意見を表現できる子
- コツコツと努力を継続できる子
- 好奇心が旺盛で、幅広い分野に関心を持っている子
- 日常的に会話が多く、語彙力がある子
- 周囲に流されにくく落ち着きがある子
- 数的処理に心配がない子
- 小学校の成績が高い子
これらの力は、日々の学習や生活の中で少しずつ育まれていきます。
テスト対策だけに偏らず、「思考力・表現力・読解力」をバランスよく伸ばしていくことが、合格への近道です。
親ができることは、先回りではなく子どもと一緒に伴走すること。親子で協力して、都立中高一貫校の合格を勝ち取っていきましょう。
都立中高一貫校に合格した子どもの合格体験記を読みたいという方は、以下をご覧ください。
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。