中学受験のメリット6選|始める前に知っておきたいデメリットと注意点

「中学受験にはどのようなメリットがあるの?」「中学受験をさせた方がよいのかな?」。小学3〜5年生の子どもを持つ保護者の中には、そんな疑問を抱き始めている方も多いのではないでしょうか。
「中学受験」という言葉が現実味を帯びてくる小学3~4年生頃から、進学先や学習環境について考える機会が増えてきます。
この記事では中学受験挑戦のメリットを中心に、中高一貫校への進学が子どもや家庭に与える影響、そして中学受験をするか・しないかの判断材料として、知っておきたい注意点までをわかりやすく解説します。

編集部
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中学受験のメリットは6つ
中学受験をすると、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的なメリットを事前に理解しておくと、受験勉強が始まってからも、目標を見失わずに子どもの志望校合格をサポートし続けられます。
主なメリットは、次の6つです。
① 6年間、計画性のあるカリキュラムで大学受験合格を目指せる
中高一貫校へ進学すると、6年間を通じて計画性のあるカリキュラムで大学受験合格を目指せます。
中学から中高一貫校へ入学した場合、高校受験をせずに併設されている高校へ進学できます。一般的な公立中学校では、高校受験のタイミングで学校の授業が一度分断されますが、中高一貫校では途切れることはありません。
そのため、入学から大学受験までの6年間を、計画的なカリキュラムの中で志望校合格を目指せるのが特徴です。
学校によっては先取り学習をメインとし、高校2年生までに所定の授業カリキュラムが終了。受験学年となる高校3年生では、大学受験対策に専念できます。早期に大学受験対策に取り組めるため、志望校合格の可能性も広がります。
② 教育環境の質が高い
一般的に中高一貫の教育環境は、質が高いとされています。その要因は主に、集まってくる生徒と学校の体制の2つに起因します。
地元の公立中学校には、特定のエリアに住んでいるさまざまな子どもが入学してくるのが一般的です。異なる学力やバックボーン、目標を持った子どもたちが集まるため、中には自分の子どもと相性が合わない生徒も出てくるかもしれません。
しかし、中高一貫校には、中学受験を経て入学してくる生徒が多く集まります。同じような学力や目標を持った仲間たちの中で生活するため、自然と教育の質が高まります。
また授業カリキュラムやサポート体制、設備といった学校の体制も、一般的な公立校と比べると充実しているのが魅力です。文部科学省などが推奨している身につけるべき学力の3要素、「十分な知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の習得に向けた学習を、伝統的に実施しているためです。
③ 部活や探究活動に没頭できる
中高一貫校では大学受験に向けた勉強だけでなく、部活や探究活動に没頭できるのもメリットです。
中高一貫校の中には、部活動が充実しているところが少なくありません。スポーツや音楽、演劇、科学といった幅広い分野の部活があり、子どもの興味や関心に沿った活動に参加できます。
また近年は社会や教育の現場で探究活動が注目を集めており、中高一貫校でも探究活動・探究学習の機会を設けているところがあります。フィールドワークや海外での課外活動、グループワークなど、学校ごとに特色ある活動を実施しています。探究活動を通して、生徒は将来にわたって役立つ思考力や判断力、表現力などを身につけていけるのが特徴です。
高校受験がないため、部活と探究活動のどちらにも継続的に取り組めます。
④ 子どもの学力・思考力が伸びる
子どもの学力と思考力を着実に伸ばしていけるのも、中学受験ならではの特徴です。
中学受験の入試問題は、暗記や詰め込みでは通用しません。物事の本質を捉えた思考力が求められるため、受験勉強を進めていくうちに、自然と本物の学力を身につけられるでしょう。
受験で培った高度な学力や思考力、問題解決力などは将来にわたって役立つ力となります。
⑤ モチベーションの高い仲間と出会える
モチベーションの高い仲間と出会い、生涯にわたって付き合える友人をつくれるでしょう。
先で述べたように、中高一貫校には子どもと同じように、受験を経て入学した生徒が集まります。勉強に対する姿勢や目標が似ているため、自然と学校生活に対するモチベーションも高まります。
モチベーションの高い仲間たちに囲まれて、切磋琢磨しながら様々な経験ができるのは、中高一貫校ならではです。
「友人の質が子どもの成長に大きく影響する」といわれるように、特に多感な時期は友人の存在が重要です。同じ志を持つ仲間と影響し合うことで、子どもは学習意欲が高まり、協調性やリーダーシップを養う機会も増えていきます。
気が合い、心から何でも話せる仲間と出会い、生涯にわたって付き合える友人をつくりやすいのも中高一貫校の特徴です。
⑥ 保護者の教育意識が高まる
最後のメリットは、保護者の教育意識が高まることです。
中学受験や中高一貫校への進学をきっかけに、子どもの将来設計に関心を持ち始める方は珍しくありません。また学校の様々なイベントに顔を出すと、他の保護者と話をする機会が出てきます。教育熱心な保護者の話しを聞く中で、子どもへの教育意識も自然と高まります。
教育意識の向上によって「子どもの学力をもっと伸ばしたい」「可能性を広げてあげたい」といった気持ちが生まれ、自宅の学習環境も整っていきます。
家庭や子どもによって“向き”・“不向き”がある
これまでに中学受験によるメリットを6つ紹介しましたが、すべての家庭にとってメリットとなるとは限りません。
子どもの特徴や家庭の事情などはそれぞれで異なり、向き・不向きがあるためです。
そのため、中学受験のメリットだけでなく、デメリットや注意点も理解しておくことが重要です。
中学受験のデメリットや注意点
※中学受験にはメリットが多い反面、実際に挑戦するとなると、家庭によってはさまざまな負担がかかるのが現実です。「挑戦しなければよかった」「こんなはずじゃなかった」などと後悔しないためにも、中学受験のデメリットや注意点も理解しておきましょう。
主なデメリットや注意点は、次の4つです。
① 勉強の負担・ストレスが大きい
子ども自身の、勉強の負担やストレスが大きくなるかもしれません。
中学受験では小学校の授業範囲以上の問題が出題されるため、必然的に勉強時間が増えます。受験専門の学習塾へ通うのが一般的で、小学4年生頃から通っている子どももいるでしょう。
長時間の勉強や通塾による疲労、他の子どもが遊んでいる中で自分だけが難しい勉強をする状況など、子どもによっては大きな負担やストレスとなり得ます。また学校では勉強ができる子どもも、塾のクラスでは順位が下がったり、模試で低い点数を取ったりと、厳しい現実を突きつけられることも考えられます。
子どもの負担とストレスを軽減させて、厳しい受験を乗り越えるためには、保護者をはじめとする周りのサポートが必須です。
② 費用がかかる
中学受験には費用がかかり、家庭によっては大きな負担となる可能性があります。
受験するだけでも受験料がかかり、複数校を併願する場合は、まとまった額のお金が必要です。また入学後も学費がかかり、私立中学校は公立中学校よりも高く設定されています。
東京都によると、都内私立中学校181校の初年度納付金の平均額は、次のとおりです。
都内私立中学校181校の初年度納付金の平均額
授業料 | 入学金 | 施設費 | その他 | 初年度納付金(総額) | 検定料(参考) | |
---|---|---|---|---|---|---|
2024年度 | 503,774円 | 263,232円 | 33,685円 | 208,672円 | 1,009,362円 | 23,946円 |
2025年度 | 514,983円 | 265,296円 | 32,670円 | 220,438円 | 1,033,387円 | 24,138円 |
私立中学校や公立中高一貫校のほか、国立中学校を受験する子どももいます。国立中学校は公立中学校と同じように、授業料はかかりません。ただし、寄附や教育に関わる諸費用が必要となり、公立中学校よりは高くなります。国立中学校については「国立中学とは?私立・公立との違いや入学メリット・デメリット、受験対策、おすすめ塾など解説」で紹介しているため、ぜひチェックしてみてください。
また塾へ通う場合は、塾代もかかります。以下は、塾選が調査した一般的な中学受験塾の費用相場です。
中学受験塾の費用相場
学年 | 月の授業料 | 年額トータル |
---|---|---|
4~5年生 | 27,000~40,000円 | 400,000~700,000円 |
6年生 | 36,000~55,000円 | 900,000~1,200,000円 |
出典:中学受験にかかる塾費用は?トータル料金や私立学費について徹底解説!
通塾期間が長くなればなるほど、トータルの支出は大きくなります。塾ごとに必要な費用を洗い出し、受験終了まで必要なトータルの金額を算出してみるとよいでしょう。
③保護者がサポートしてあげる場面が多い
受験勉強が始まると、保護者がサポートしてあげる場面が多くなります。
まだ一人で勉強する習慣が身についていない場合、保護者が学習計画を作成するほか、勉強するように声をかけなければいけません。子どもの学力や課題に合わせたスケジュール管理も求められます。
長時間の勉強でストレスがたまったり、模試の成績が悪くて落ち込んだりしたときは、メンタル面のケアが必要です。子どもの状態に合わせた、精神的なサポートが多くなります。
また塾へ通う場合は、保護者は塾への送り迎えや弁当づくり、スタッフとの面談など、さまざまなサポートが求められます。仕事が忙しくて時間に余裕がない保護者の場合、大きな負担となるかもしれません。
④子どもによっては合わないケースもある
子どもによっては、中学受験自体が合わないケースもあります。
たとえば、子ども自身が中学受験に対してまったく興味や関心がない場合、保護者主導で無理に勉強を続けさせても、思ったような結果は得られません。勉強自体が大きな負担となり、心身にストレスがかかってしまいます。
また体が弱い子どもや、体力がない子どもも、向いていないかもしれません。週に何度も塾へ通ったり、帰宅後に塾の宿題をしたりと、受験勉強には体力が必要なためです。
ただし「中学受験に合わないかも」と思っても、必ずしも向いていないとは限りません。地元にある中学校の学習環境が悪い場合、子どもが中学受験に興味がなくても、保護者主導で受験をさせた方がよいケースもあるでしょう。
合う・合わないといった単一の要素だけでなく、さまざまな観点から総合的に受験させるべきかどうかを検討してください。
わが家にとって中学受験はアリ?判断するためのポイント
中学受験のメリットやデメリット、注意点を理解できても、なかには「結局のところ、わが家にとって中学受験はアリなの?ナシなの?」と迷っている方もいらっしゃるかもしれません。
以下で受験をするべきかどうかを判断するためのポイントを紹介するので、参考にしてください。
中学受験「する・しない」ではなく、「目的」を明確にすると判断しやすい
中学受験を単に「する・しない」ではなく、受験の「目的」を明確にすると判断しやすくなります。
中学受験の目的は、各家庭によって違います。「周りが受験するから、何となく」といった漠然としたものではなく、「大学受験や進学を有利にしたい」「高校受験のストレスから解放させたい」「最新の設備やカリキュラムの中で勉強させてあげたい」など、受験したいと思う具体的な理由を整理してみてください。
それぞれの家庭なりの明確な目的があれば、受験を前向きに考えてみましょう。
中学受験のメリット/注意点のバランスをどう受け止めるか
中学受験のメリットだけでなく、デメリットや注意点とのバランスをどう受け止めるかも、判断するポイントです。
前述したように、受験には子どもの負担増やまとまった費用の捻出、保護者のサポートが多くなるといった状況が生まれます。負担の感じ方や経済状況などは家庭によって違うため、それぞれでよく検討してみるとよいでしょう。
「家庭の負担は大きくなるけれど、それを上回るメリットがある」と判断できれば、受験をする価値があるといえます。
「中学受験をする」と決めたら、最初にすること
「中学受験をする」と決めたら、具体的に何から始めればよいのでしょうか。最初にしておきたいことは、次の3つです。
・ 情報収集のスタートは、小学4〜5年生が目安
・まずは学校見学や説明会で“肌感”を得るのもおすすめ
・家族で中学受験のイメージ・価値観をすり合わせておこう
小学4~5年生までには、中学受験の情報収集をスタートしましょう。情報収集を始めた時期は早期化してきており、5年生以降に始めた家庭の中には「遅かった」と感じている方もいます。
まずは学校見学や説明会に参加して、肌感を得るのもおすすめです。塾選の調査によると、中学受験で学校見学へ行った方の割合は、全体の78%でした。パンフレットやホームページからはわからない、校内の雰囲気や在校生の様子がわかります。
また家族で、中学受験のイメージや価値観をすり合わせてみてください。「受験は親が勝手に言い出した」「夫婦間で受験に対する考え方が違う」といった状況では、受験勉強はうまく続きません。受験の目的や目標、進め方などを含めたイメージ・価値観を、家族内で共有しておくことが大切です。
中学受験をすると決めたら、この記事がおすすめ!
その他、親たちの中学受験体験記も併せてご覧ください。


中学受験のメリットに関する、よくある質問
最後に、中学受験のメリットに関するよくある質問を紹介します。
中学受験のメリットは何ですか?
中学受験の大きなメリットは、計画性のあるカリキュラムで大学合格を目指せることです。
中高一貫校では高校受験がないため、早期から大学受験を想定したカリキュラムの中で勉強を始められます。また大学の附属校の場合、内部進学でスムーズに大学へ進学できるチャンスもあります。
中学受験した方がいい子の特徴は?
勉強が好きな子どもは中学受験に向いています。
中学受験では小学校では習わないような難しい問題が出題され、広く深い知識や本質的な理解がないと太刀打ちできない場合も珍しくありません。勉強が好きな子どもは知的好奇心が高く、新しい単元や難しい問題に出会ったときも、意欲的に学ぼうとします。
負担を感じずに楽しみながら勉強できるため、中学受験に向いているといえます。
中学受験と高校受験、どっちが難しいですか?
中学受験と高校受験では、一般的に中学受験の方が難しいとされています。
中学受験では学校の教科書レベルを超えた問題が出題されるため、専門の塾へ通って対策するのがほぼ必須です。小学3年生や4年生頃から塾へ通い始めている子どももおり、競争率が高くなります。
一方の高校受験は公立校に限って言えば、基本的に学校の教科書レベルから入試問題が出題されます。中学3年生から本格的に受験勉強をスタートして、志望校へ合格している子どもも少なくありません。
中学受験の欠点は何ですか?
中学受験の欠点は、子どもへの勉強の負担や精神的なストレスが大きくなる点です。
塾へ通ったり、帰宅後も宿題に取り組んだりと、受験をしない子どもと比べて勉強の負担は大きくなります。なかには長時間の勉強や自分の時間が少なくなることから、精神的なストレスを抱える子どももいます。
保護者のサポートを通じて、ストレスをうまく解消しながら受験勉強を続けていくのがおすすめです。
まとめ:家庭環境や子どもとの相性も踏まえて、ベストな選択をする
中学受験には、計画性のあるカリキュラムで大学合格を目指せたり、質の高い教育環境で勉強できたりと、子どもの可能性を広げられるようなメリットが多くあります。
一方で「やっぱり止めておけばよかった」と後悔しないように、勉強の負担が増え、ストレスが大きくなるといったデメリットや注意点があることも理解しておきましょう。子どもによっては受験自体が合わないケースもありますが、さまざまな観点から受験させるべきかどうかを判断することが大切です。
今回紹介した中学受験を判断するためのポイントを参考にし、それぞれの家庭環境や子どもとの相性も踏まえながら、ベストな選択をしてください。
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