大学受験|総合型選抜?一般選抜?選抜方式と学科選択で悩む我が子が後悔しない決断をするには?


編集部
塾選ジャーナル編集部

東大卒講師・ドラゴン桜公式noteマガジン編集長
青戸一之先生
「子どもは工学部志望と言っているけれど、具体的な大学や学科の話になると、まだぼんやりしている」「入試は一般選抜だけでいい? 総合型選抜も受けるべき?」多くの選択肢がある中で最善と思う道を選ぶのは、簡単なことではありません。志望校を決めるために視野を広く持ち、前向きな決断をするために、親としてどんな声かけをすればよいのでしょうか? 大学受験指導のプロ・青戸一之先生にアドバイスをもらいました。
総合型選抜?一般入試?学科は?入試方法に揺れる我が子。迷いを乗り越えるヒントは?
【CASE 021】高校2年生・男子
性格:
真面目で努力家。内向的で緊張しやすい一面も。
【今回のお悩み】
ペンネーム:もるの さん(高校2年生 保護者)
子どもは工学部を志望していますが、具体的な大学や学部の選択に確信が持てずにまだ迷っているようです。また入試方法も決めきれず…。今の時点では、一般選抜での受験を考えていますが、ほかの入試方法も視野に入れるべきでしょうか? 志望校・学部の選び方、入試方法の決め方についてアドバイスをお願いします。
まずは「どの科目のどの分野が好きか」を考える。入試は総合型選抜+一般選抜の2本柱でチャンスが増える
「好き」を深掘りすれば、進路が見えてくる!
工学部の特徴は、扱う分野の幅広さにあります。
例えばAI・統計・情報処理といったデータサイエンス系、モノづくりに関わる機械・ロボット系、さらに化学・ナノテク・バイオなどの物質工学系と、多様な研究領域が展開されています。
今回のお悩みにあるように、工学部志望のお子さんが進路先を決めきれない理由の多くはここにあります。
まずは「化学・物理・数学が好き」という漠然とした気持ちを、もう一歩掘り下げてみましょう。自分がどんな分野に本当に興味を持っているのかを考えることが、進路選びの第一歩になります。
例えば「どの教科の、どの単元が特に面白かったか」を細かく振り返ることで、自分の興味の傾向が見えてきます。そうした気づきから、その単元がどんな研究につながるのか、社会のどこで生かされているのかに自然と関心が向くはずです。興味を見つめ直し、深めるプロセスを重ねていくことで、自分に合った進路の方向性も少しずつ明確になっていきます。
次に興味のある分野の研究に力を入れている大学・学部を調べてみましょう。
各大学の研究室や、有名な教授の研究内容を知ることが、志望校選びの具体的な手がかりになります。
総合型選抜入試は“もう一つのチャンス”。前向きに活用を
現在の大学入試では総合型選抜・学校推薦型選抜での入試が増加傾向にあります。特に私立大学では、生徒の半数以上が一般選抜以外で合格している大学も多く存在します。一般選抜に加えてこうした方式を活用することは、受験の可能性を広げられるという意味で「もう一つのチャンス」といえるでしょう。
ただし面接や小論文、志望理由書などの準備には、それなりの時間と労力がかかります。一般選抜との両立がすべての受験生にとって現実的とは限りません。志望校や本人の特性によっては、どちらかに集中したほうがよい場合もあります。
理系の生徒の中には、文章表現や自己PRに不安を感じる人もいるかもしれません。それでも、自分の考えを言葉にする力は、大学進学後や将来にも必ず役立つ力です。結果に関わらず、取り組んだ過程が経験として残る。そういう意味では、総合型選抜に挑戦する価値は十分にあると私は思います。
「どっちが面白そう?」対話から子どもの気持ちを引き出すコツ
大学や学部選びは将来に直結するため、本人が“自分で決める”という経験がとても重要です。
とはいえ、まだ気持ちが決まっていないうちに「どうしたいの?」と聞いても「わからない」「別に…」といった反応で終わることもよくあります。
そんなときは、「データサイエンスとかロボットとかに興味があるって言っていたけど、どっちのほうが面白そう?」など、いくつかの選択肢を示す問いかけが効果的です。親からの具体的な質問によって、子ども自身が考えやすくなり、自分の気持ちを整理するきっかけになります。
入試方式についても、合格のチャンスを広げる一つの方法として、総合型や推薦型を視野に入れてみるのは一つの手です。ただし一般選抜との併願を前提とする場合は、両立の難易度や準備期間のバランスも考慮する必要があります。
最終的な進路選択はあくまで本人の意志が軸になりますが、親としては一方的に方向性を決めつけるのではなく、対話を通じて選択肢を広げるサポート役として関わることが大切です。
進路選びは将来を考える成長機会。親は“気づき”のサポーターに
志望校や入試方法の選択に迷うのは、誰にでもある当たり前のこと。仮に周りが「もう進路を決めている」と言っても、実は「なんとなく」で終わっているケースも数多くあります。「迷っている」こと自体が、将来をしっかり考えようとする気持ちの表れです。
進路を決めることは、単なる学校選びではなく、自分が将来どうありたいかを見つめる大切な機会です。答えを急がず、お子さん自身が“これだ”と思える道に気づけるよう、対話を通じて支えていきましょう。
成功へ導く賢者からの金言!
“理系だから”で終わらせない進路選びを。
総合選抜×一般のWチャレンジで未来を広げよう!
※塾選調べ:
対象:大学受験をする予定の子どもをもつ保護者50名にアンケートを実施
期間:2025年3月5日~12日実施
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塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

1983年生まれ、鳥取県出身。地元の進学校の高校を卒業後、フリーター生活を経て25歳で塾講師に転身。26歳から塾の教室長としてマネジメント業を行う傍ら、学習指導にも並行して携わる。29歳の時に入塾してきた東大志望の子を不合格にしてしまったことで、自身の学力不足と、大学受験の経験が欠如していることによる影響を痛感し、30歳で東大受験決意。塾講師の仕事をしながら1日3時間の勉強により33歳で合格。在学中も学習指導の仕事に携わり、現在は卒業してキャリア15年目のプロ家庭教師・塾講師を行う傍ら、ドラゴン桜noteマガジンの編集長を務める。 著書に『あなたの人生をダメにする勉強法 「ドラゴン桜」式最強タイパ勉強法で結果が変わる』(日本能率協会マネジメントセンター)、『家庭教師の技術』(星海社)がある。