高校生の定期テスト 親の関わり方で差が出る?失敗・成功談に学ぶヒント

期末テストが近づくにつれて、「高校生の定期テスト勉強、親はどこまで関わるべき?」と悩んでいませんか?子どもが心配で色々と言いたくなるけれど、口を出しすぎると関係が悪くなるかもしれない…かといって、任せっきりで成績が落ちるのも心配ですよね。
そこで、塾選ジャーナルは、高校生の保護者68名にアンケートを実施。不安や迷いを抱える保護者の皆さんに、高校生の定期テストにおける親の関わり方について、アンケート調査から見えてきたリアルな声をお届けします。
保護者の「失敗談」「成功談」には、高校生の子どもとの程よい距離感を見つけるヒントが詰まっています。ぜひ参考にしてください。

編集部
塾選ジャーナル編集部
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高校生の定期テスト、「主体性の尊重」と「環境整備」を重視する保護者の声が多数
高校生の定期テストに対して保護者が意識していることを聞いてみると、子どもの主体性を尊重し、その上で必要なサポートに回ろうとしている声が多くみられました。親が進んですることは、直接的な勉強への介入よりも、勉強しやすい環境作りや体調管理を重視する声が目立ちます。
勉強は「本人に任せる」が多数派
多くの保護者が、高校生の勉強は本人の自主性に任せるべきだと考えているようです。高校生になると、自分で考えて行動する力が求められます。そのため、親が先回りして口出しするよりも、子ども自身が「どうすれば良いか」「何をすべきか」を考え、実践する機会を与えることが大切だと感じているようです。
「あくまで本人の主体性を尊重しつつ、困った時に相談に乗れるような姿勢でいることを意識しています。」
「子どもなりにいろいろ考えて進学したい大学や目標もあってやっているので、あまり口出ししないようにしている。ただ、休憩中に少し横になっていると寝てる時があるので、その時は30分くらいはそのまま寝せて、それでも起きない時は起こすようにしている。」
「子ども側からこちらに対して何か意見を求められればもちろん対応しますが、こちらから勉強に関してうるさく言わないように気をつけています。」
「自分で考えて行動する、つまり自分の頭でプランを考える自主性を養うよう、特に親の立場からは口出ししないようにしています。」
勉強に集中できる「環境作り」が重要
勉強そのものに介入しなくとも、子どもが集中して学習に取り組める環境を整えることは、親としての大切な役割だと認識している声も見られました。
「極力ストレスが溜まらず気持ちよく勉強すべき環境を作っていくように心がけています。」
「高3で勉強内容も難しく教えることもできないので、勉強しやすい環境を整えたり食事面でサポートしています。あまり余計なことを言わないように意識しています。」
「親としては勉強を集中してできる環境を作ったり、邪魔にならないようにする。」
テスト期間中は「体調管理」で支える
テスト期間中は、勉強のために夜遅くまで起きたり徹夜をしたりすることで、生活リズムが大きく乱れがちです。また、時間がないからと、手軽に食べられるものばかりになったり、食事を抜いたりすることで、栄養バランスが偏ってしまうことも。そういった状況で子どもの体調を崩さないためのサポートに気を配っている様子がわかります。
「子どもの体調を崩さないように健康に気を配っています。病気をしてしまったらテストどころではないからです。万全の体調で臨めるように、食事、自宅の居心地の良さには気を使っています。」
「栄養バランスの良い食事を作って身体の調子を整えること。」
「勉強については意見せず、睡眠時間だけは確保するように伝えています。」
保護者の失敗談から学ぶ関わり方 │親が「見守る」選択をする理由
高校生の定期テストにおいて「主体性の尊重」や「環境整備」を重視している保護者が多いのはなぜでしょうか。そこには、過去の経験から得られた「失敗談」が大きく影響しているようです。
まずは子どもを思っての行動が、かえって逆効果になってしまった経験を持つ保護者の声から、その理由を探っていきましょう。
理由① 過去に積極的な関わり方で失敗したから
過度な干渉は子どものやる気を削ぐ
「もっと勉強しなさい」「なぜこんな問題もできないの?」といった直接的な口出しや、学習方法への介入が、子どものやる気を奪ってしまったという経験を持つ保護者は少なくありません。親が過度に介入することで、子どもが勉強そのものに嫌悪感を抱いたり、親子関係が悪化したりするリスクがあることを学んだ保護者が多いことが伺えます。
「中学生の頃に口うるさく勉強するよう言いすぎて関係が悪くなり余計にやる気をなくさせてしまったので、それからあまり口出ししすぎないようにしています。」
「勉強している最中に口を出しすぎてしまった時です。本人のやる気を削いでしまったと反省しました。」
「あまりに言いすぎて勉強したくないと言って怒った。気分を害してお互い嫌な気分になった。」
プレッシャーを与えすぎると逆効果に
叱咤激励のつもりが子どもに過度なプレッシャーを与えてしまい、逆効果になったという声も聞かれます。良い成績を取ってほしいと願う親心も、伝え方や関わり方を間違えると、子どもに精神的な負担をかけ、自信を失わせてしまうことにつながりかねません。子どもに寄り添った接し方が重要だと痛感した保護者が多いようです。
「結果ばかりに目を捉えがみがみ言いすぎて、親子間のコミュニケーションがとりにくくなり険悪な雰囲気になってしまった。また本人も相当ストレスだったため部屋へ引きこもった出来事があった」
「勉強を直接見ていた時は、『なぜできないのか』など、できないことを責めてしまったことがあり、逆効果になってしまった」
「本人のペースを無視して、こちらの考えで学習計画を押しつけてしまい、やる気をなくしてしまったことがありました。話し合いをせずに進めたのが反省点です。」
親の良かれと思った行動が裏目にでることも
勉強に関する書籍をたくさん買い与える、金銭的なご褒美で釣ろうとするなど、親が良かれと思って行った行動が、かえって子どもの混乱や意欲低下につながったというケースもあります。
「失敗したと思ったことは勉強の本を買い与えすぎてしまい、どの本を信じてしっかりやればいいのか息子が迷い始めてしまったときです。そこから息子の意見も聞きつつ制限しながら勉強の本を買ってあげています。」
「努力するようにお金で釣ろうとしたが、今の子どもは釣られない」
これらの失敗談から見えてくるのは、親は価値観ややり方を一方的に押し付けるのではなく、子どもの意見や状況をよく聞いて、必要なタイミングと必要なことを見極めながら子どもをサポートすることの大事さです。
一方で「関わらなかった」ことで失敗につながってしまったという保護者の声も存在します。子どもを信じて任せたはずが、かえって後悔の念を抱いてしまうのはなぜでしょうか。
「関わらない」ことで生じた具体的な失敗談から、その落とし穴と、保護者が学ぶべき教訓を探ります。
理由② 関わらなさすぎて失敗したから
子どもの「孤独感」と「不安」を見逃す
子どもに任せすぎた結果、本人が一人で抱え込み、孤独や不安を感じていたことに気づかなかったというケースです。親が「任せる」つもりでも、子どもにとっては「無関心」と受け取られてしまうことがあります。特に、テストの結果が悪かったり、勉強でつまずいていたりする時に、親からの声かけや精神的なサポートが欠けることで、子どもは孤立感を深めてしまう可能性があります。
「最初の頃は『本人に任せるべき』と考え、関与を避けていましたが、結果が振るわず、本人も不安になっていたようで、もう少し支えてあげればよかったと感じました。」
「子どもに任せっきりで気にかけなかったことで、孤独感を与えたように思います。」
「仕事が忙しくて疲れていたこともあり1度点数が上がらずに落ち込んでいる息子に対して声をかけてあげなかったことは今でも後悔しています。」
学習のつまずきや計画のズレを把握できない
子どもに任せきりにすることで、学習における具体的な課題や、非効率な勉強方法に気づかないままテストを迎えてしまうことがあります。
「高校1年生の最初の頃だったと思いますが、息子が数学の特定の単元でかなり苦労しているのは薄々気づいていました。しかし、彼自身が『大丈夫、自分で何とかするから』と少し強がるような態度を見せていたため『高校生になったのだから本人に任せよう』と深く踏み込まずに様子を見てしまっていました。その結果、初めての定期テストでその数学だけが予想以上に点数が低く、本人はかなりショックを受けていました。後で息子とじっくり話したところ、実は基本的な部分でつまずいていて、誰にも聞けずに一人で悩み、焦っていたことが分かったのです。」
「何ができて、何ができていないのか把握せす、苦手教科の克服が遅れた。」
「机には向かうので安心して任せていたら、好きなところばかりやって苦手なところを全くやっていなかったことがありました。」
高校生の勉強は、内容が高度化し、苦手分野の克服には効率的な学習が求められます。親が全く関わらないと、子どもの学習状況を正確に把握できず、つまずきを放置してしまうことにつながりかねません。特に、本人が弱点と向き合わず、得意なことばかりやってしまうような場合には、親からの適切な声かけや方向性の示唆が有効です。
「無関心」と誤解され、モチベーション低下を招く
親が意図的に「見守る」姿勢をとっても、子どもに「無関心」だと誤解され、学習へのモチベーションを低下させてしまうことがあります。
「無関心だと思われて、『お母さんはテストとかなくていいよね』と本人のモチベーションを下げてしまったこと。」
「全く関わらなかったことで、あとから子どもから興味がないんだねと言われ、本当は見守っていたのに勘違いをされてしまった。そのため全く関わらないのではなく、バランス感覚をもって関わっていきたい」
「勉強しろと口出ししすぎないようにしすぎたら、調子に乗って怠けてしまい成績も下がりこれでは駄目だと後悔しました。」
親の「見守る」姿勢は、子どもに「信頼されている」と感じさせる一方で、コミュニケーションが不足すると「関心がない」と捉えられてしまうリスクもはらんでいます。
適切な距離感を保ちつつも、子どもに関心があることを言葉や態度で示すことが、子どものモチベーション維持には不可欠といえるでしょう。
保護者の成功談から学ぶ!高校生の親ができる具体的なサポート
ここまでの内容で、親の過度な干渉が逆効果になること、とはいえ子どもに任せっきりで親が関与しなさすぎてもうまくいかないことが明らかになりました。
では、実際にどのように関われば、子どもの定期テスト対策がうまくいくのでしょうか。保護者の成功体験から、具体的なノウハウを見ていきましょう。
① 自律的な学習計画をサポートする
子ども自身が学習計画を立て、実行するのを手助けすることは、子どもの主体性を尊重しながら親がサポートできる方法の1つです。子どもに自分で計画を立て、実行し、達成するというサイクルを経験させることで学習への主体性を育むことにもつながっているようです。
保護者は、計画を立てる際の客観的なアドバイスや、進捗の軽い確認に留めるのがポイントです。
「テスト2週間前に一緒に計画を立て、毎日の進捗を軽く確認していたところ、本人も焦らずに勉強を進められ、過去最高の成績が取れたことがありました。」
「高校2年生の時の期末テスト前、息子は複数の科目のテスト範囲が広く、どこから手をつけていいか分からず焦っている様子でした。そこで私は、各科目の重要度や本人の得意不得意を一緒に整理し、優先順位をつけて大まかな学習計画の骨子を立てることを提案しました。具体的な時間配分や日々の目標設定は息子自身に任せ、私は『計画通りに進んでる?』『何か困っていることはない?』と時折声をかける程度に留め、集中できるような環境作りに徹しました。すると、彼は自分で決めた計画だからか責任感が芽生えたようで、以前よりも格段に集中して勉強に取り組むようになりました。」
「先に予定を立てることを重視するようにアドバイスしたところ、他の子が手が回らず点が取れていないところも点数が取れていました。」
② 苦手克服には具体的なアドバイスでサポートする
苦手な科目や分野がある場合には、ただ「頑張れ」と言うだけでなく、具体的な学習法のアドバイスや、できたことを褒めることでモチベーションを引き出すことが大切です。
苦手な部分の洗い出しを一緒にしたり、効果的な学習方法を提案したり、小さな進歩も積極的に褒めることが、子どもの成績向上につながります。
「数学の点数がいつも60点くらいですが弱い部分を重点的に勉強するように指導したところ点数が80点くらいまで上がりよかったです。」
「子どもが苦手としている科目はどこに注意すべきで、そしてどのような方法でアプローチすべきかについて、自分の経験も含めて話したところ、ただの暗記ではなく、全体を把握し理解できるような勉強ができるようになった。」
「とにかく褒める!これが一番重要だと思います。苦手科目への取り組み方が変わってきます。」
③「傾聴」と「声かけ」による精神的なサポート
親が勉強に対して直接的な指示をするのではなく、子どもに困りごとがあれば耳を傾けて「いつでも相談できる」という安心感を与えること、やる気UPにつながる声かけを意識することが、子どもの学習意欲を育む上で非常に効果的なようです。
「うまくいったと思ったのは息子が中学生のころに『勉強が楽しい』と言ってくれたときです。なるべく息子のやる気を削がない、やる気を上げる方法を常に意識して声がけしたり支援してきたので、今のところ自分たちのやり方は成功だったのかなと思っています。」
「やる気の出るような声かけをしたり遠くから見守ったりしています。」
「結果が悪かったからと言ってがみがみ言わず、次回への対応を自分で考えてもらって子ども自身が自主的に取り組んだ結果、次のテストでは好成績を残した。そのため最終的には子どもを信じて自分の結果に責任をもってもらう事が重要だと思った。」
「直接的な勉強はサポートせず、学ぶ意欲の喚起や困りごとを聞くなど、メンタルサポートに回ったことで、本人の主体性が向上し、成績向上にもつながった。」
まとめ:高校生の定期テスト 保護者は適切な距離感を見つけることが大切
高校生の定期テストにおける親の関わり方は、一見シンプルなようで実は非常に奥深いものです。過度な干渉は子どものやる気を削ぎ、反対に無関心すぎると子どもは孤独感や不安を感じてしまいます。大切なのは、「子どもの主体性を尊重しつつ、必要な時に手を差し伸べる」という適切な距離感を見つけること。
成功体験から見えてきたのは、学習計画のサポートや苦手克服への具体的なアドバイス、そして何よりも「いつでも頼れる存在」という安心感を与える精神的なサポートの重要性です。子どもを信じて見守りながらも、困っているサインを見逃さず、温かい声かけや適切なサポートで、子どもの自律的な成長を促し、信頼関係を深めていきましょう。
アンケート調査概要
調査対象:高校生の子どもを持つ保護者(有効回答数68名)
調査時期:2025年5月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「高校生の定期テスト、保護者の関わり方」についての調査
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執筆者プロフィール

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