小学生の教育費、6割の家庭が「我慢」で捻出!保護者100人の実態調査


編集部
塾選ジャーナル編集部
「子どものためなら教育費は惜しまない」という声も聞かれる一方で、家計とのバランスに頭を悩ませる保護者は少なくありません。
そこで塾選ジャーナルでは、小学生の子どもを持つ保護者100名を対象に、教育費に関する意識調査を実施。
その結果、およそ6割の家庭が「小学生の教育費捻出のために生活の中で我慢していることがある」という、リアルな実態が浮き彫りになりました。
では、具体的にどのようなことで我慢をしているのでしょうか。そして、限られた予算の中で、保護者は何を思い、教育費をどこにいくらかけることを優先しているのでしょうか。
この記事では、アンケート結果から見えてきた、保護者の教育費に対する切実な思いを紹介します。

小学生の家庭 約6割が「教育費のために生活を我慢」
「子どもの教育に力を入れたい」と願う保護者が多い一方で、その費用を捻出するために、自身の生活費や趣味などを犠牲にしているという現実があります。
今回のアンケート調査では、教育費を捻出するために「普段の生活で我慢していることがある」と回答した保護者が59%にのぼるという結果になりました。半数以上の家庭が、子どもの教育のために何らかの我慢をしていることが浮き彫りになっています。
教育費捻出のために我慢していること
では、具体的にどのようなことを我慢しているのでしょうか。保護者のリアルな声から、その実態を見ていきましょう。
自己投資や個人の趣味・嗜好を我慢する
自身の美容費や被服費、趣味にかける費用を削ることで、教育費を捻出している保護者が多く見られます。
「美容院に行く回数を減らしたり、服を我慢したり大人の欲しいものは少し考えてから購入するようにしています。」
「私自身の衣服などや趣味嗜好にはなるべく使わないようにしている。」
「自分の美容関係のお金。美容院やネイルなど美容にかかるお金がなくなった。」
「自分の遊興費です。自分が趣味や娯楽に多額のお金を使うよりも、子どもの将来が広がるようなことにお金を使ってあげたいからです。」
「自分がしたいと思っている習い事は我慢するようにしています。」
「自分の趣味の費用は、子どもの教育費よりは優先度が低いので我慢しています。」
レジャーを我慢する
旅行や遠出といったレジャー費用を控えることで、教育費を確保している家庭も多くあります。限られた予算の中で、優先順位を明確にしていることがうかがえます。
「旅行や自分の里帰りなど、大きい額がかかる物は、なるべく我慢するようにしてます。」
「レジャーを少なくしたり、低価格で楽しめるものを探している。」
「娯楽費を削っています。本当に必要なことにお金をかけるためです。」
日常生活費や嗜好品を我慢する
食費や光熱費といった日々の生活費を切り詰めたり、タバコやお酒といった嗜好品を我慢したりすることで、教育費を生み出している家庭も存在します。外食も日々の食費の一部として見直しの対象となることがあります。
「娘の教育費を確保するために、タバコやお酒を買うのを我慢しています。」
「食費や光熱費を節約すること、あまり外食をしない。」
「日々の食費や日用品代など、切り詰められるものは切り詰めて子供のために使いたいから。」
「少しではありますが、数年前よりは外食の回数を減らしたりしています。自炊し、家族と自宅で食べるご飯も満足なので。」
「外食です。以前よりも減りました。自宅で済ますことで安上がりになってよいです。」
小学生の教育費、毎月いくら?平均額と“足りない”家庭の本音
子どもの成長を願う保護者にとって、教育費は子どもが社会に出ていくまで常に気になるテーマの一つです。
しかし、実際に毎月いくらかけているのか、そしてその費用に対して「足りている」と感じるのか「足りていない」と感じるのかは、家庭によって様々でしょう。
ここでは、アンケート調査で明らかになった小学生の教育費に関するリアルな現状をお伝えします。
教育費に毎月いくらかけている?実際のデータから見る平均額
小学生の保護者が、教育費として毎月どのくらいの金額を支出しているのかを調査しました。
最も多かったのは「1万円以上~3万円未満」で、半数の家庭がこの範囲に収まっていることがわかります。次いで「1万円未満」の家庭も2割を超えていますが、3割近くの家庭が教育費に「3万円以上」をかけているという結果になりました。
「教育費、足りてる?」保護者の本音
では、実際にこれらの教育費をかけている保護者は、現在の支出に対して「足りている」と感じているのでしょうか、それとも「足りていない」と感じているのでしょうか。その本音に迫ります。
「十分足りている」と「まあ足りている」を合わせると58%となり、半数以上の保護者が現在の教育費支出に一定の満足感を持っていることがわかります。
一方で、「あまり足りていない」「全く足りていない」と感じる保護者も合わせて23%存在し、現状の教育費に課題を感じている家庭も少なくないことがうかがえます。
また、「どちらでもない」と回答した保護者も19%おり、教育費に対する複雑な思いを抱えていることが見受けられます。
「足りていない」と感じる理由とは?保護者のリアルな声
「あまり足りていない」「全く足りていない」と感じる保護者は、具体的にどのような理由からそのように考えているのでしょうか。
理由① 今よりもっと子どもの可能性を広げたいから
子どもに様々な経験をさせてあげたい、あるいは特定の分野を伸ばしてあげたいという強い願いがある一方で、現状の教育費ではそれが難しいと感じる保護者の声が多く聞かれました。
「やりたいことがあるならさせてあげたいから必要に応じて対応したいと考えています。」
「できる事ならば、もっと沢山の経験をさせてあげられたらと思うからです。」
「本人が色々な習い事をしたいと希望しているため、できる限り答えてあげたいが、足りないと感じています。」
「金銭的なことを考えなければ、本当はもっと英会話や習字など習わせたいと思っているためです。」
「余裕があれば、もっと興味深く感じるものを経験させてあげたいからです。」
「色々なことに興味を持っているため、できる限り様々な体験をさせたいと思うから。」
理由② 将来への投資と家計のバランスがあるから
子どもの進学や将来を見据えた際に、現在の教育費では不十分だと感じつつも、家計の状況からこれ以上の支出を増やすことが難しいと感じる保護者も少なくありません。
「学資保険だけじゃ不安だから。お金の不安は一生付き纏うかもしれませんが。」
「中学受験のための塾費用や模試代などが高額で、他の習い事との両立が金銭的に厳しく感じるためです。」
「私立の学校に既に入れて、それだけでも結構していますが、習い事は、貸している家の家賃で賄っています。でも、もうちょっとあったら、もう少し楽かなとは思っています。」
「どのくらいの金額が適正なのかわからないし、将来的に費用がかさむと思うから。」
「近い将来学習塾に通わせたいと思っているが、その際には何か辞めないといけないと思っているため。」
「教育に過度にお金をかけるよりかは、将来的なことを考えておいたほうが得策だから。」
理由③ 子どもが複数いるから
子どもが複数いる家庭では、教育費の総額が大きくなるため、一人ひとりにかける費用が限られてしまうという現実的な課題に直面しています。
「私の母から生前受け取れる教育資金贈与をもらっており、それなりに教育費の見通しは立っているが、下に弟もいるため、二人が私立中学に行くことを考えると莫大な費用がかかることと、物価高であまり貯金ができていないと感じているため。」
「本当はもっとさせてやりたいが、兄弟もいるし、なかなか時間が取れていない。」
「子ども2人いるので、これから塾へ通うようになったら他にやりたいことが増えてくると足りないと思っています。
小学生の教育費、削るならどこ?保護者の優先度ランキング
子どもの成長段階や家庭の教育方針によって、教育費にかける優先順位は大きく異なります。しかし、多くの保護者が共通して抱くのは、「限られた予算のなかで、いかに子どもの未来に繋がる投資をするか」という悩みではないでしょうか。
ここでは、今回のアンケート調査で明らかになった「優先したい教育費」と「状況によっては削ってもよいと考える教育費」のランキングを見ていきます。
保護者が優先する教育費ランキング
小学生の子どもを持つ保護者は、学校以外の教育費において、どのような項目を優先しているのでしょうか。アンケート結果から、優先順位が高い項目が浮き彫りになりました。
この結果から、多くの保護者が子どもの体力向上や集団行動、協調性を育むスポーツ系の習い事に重きを置いていることがわかります。また、基礎学力の定着や向上を目的とした主要科目の学校外学習に次いで、英語などの語学教育への関心が高いことも特徴的です。
優先する理由
では、なぜ保護者はこれらの項目を優先するのでしょうか。そこには、子どもの成長への願いや、将来を見据えた親心があるようです。
理由① 子どもの心身の成長と健康を重視したいから
スポーツ系の習い事を優先する理由として、子どもの健全な心身の成長を願う保護者の声が多く聞かれました。
「子どもの健康と体力は、何よりも大切だと考えているため、スポーツ系の習い事には積極的に費用をかけたいです。」
「体を動かすことが好きなので、ジムナスティックスとテニスを習っています。まだ低学年のうちは、お勉強よりコミュニケーションやルールなど学びつつ、体を動かして健康に過ごして欲しいから優先しています。」
「全身運動で風邪を引かないようになり、体力もつくので、スイミングを続けさせています。」
「将来的にどのスポーツをするにしても役に立つと思うため、スイミングは優先しています。」
理由② 将来に役立つ基礎学力と国際感覚を習得してほしいから
主要科目の学校外学習や英語などの語学教育を優先する背景には、将来の学びに繋がる基礎学力や、グローバル化社会で活躍できる国際感覚の重要性を認識している保護者の考えがあります。
「学校の勉強だけでは不安なところもあるため、進学塾に通わせています。学力の基礎をしっかり身につけることが大切だと感じており、特に算数や国語に力を入れています。」
「受験をしないとしても、基礎の学力をしっかりつけておくことが大切だと思っています。」
「英語はこれから必要になる力だと思うので、小学生のうちから自然に英語に触れられる環境を作っておきたいと考えています。リスニングやスピーキングを中心とした英会話教室に通わせています。」
「自分が転職をする中で英語を身につけていればもっと可能性が広がると感じた経験から、子どもには身につけて役に立てば良いと感じています。特に大手企業は英語がマストです。」
理由③ 多様な経験を通じて可能性を広げてあげたいから
芸術系の習い事や主要科目以外の学校外学習を優先する保護者からは、子どもの可能性を広げるための多様な経験を重視する声も挙がっています。
「ピアノは音楽は人生を豊かにしてくれると考えているので、少なくともひとつは弾けるようになってもらいたいです。本人も楽しんでやっているので、続けさせたい習い事のひとつです。」
「プログラミングはこれからの時代に必須となる知識であると考えているため、子どもにはスキルを身につけてもらいたいと思い、始めました。」
「習字はやはり、字がきれいに書けるほうが自分にとって役立つと思うから続けています。」
「科学の実験クラブでは、まだ小学一年生なので、学校の勉強というよりも自身の興味のあることを伸ばしてほしいと思っています。」
状況次第で「削ってもよい」と考える教育費ランキング
では、限られた教育費の中で、保護者はどのような項目を「状況によっては削ってもよい」と考えているのでしょうか。
今回の結果から見えてきたのは、スポーツ系の習い事は多くの保護者が優先して費用をかけている一方で(優先度1位:48%)、約3割の保護者が状況によっては削ってもよいと考えているという点です。
これは、スポーツが子どもの心身の成長に役立つと認識されてはいるものの、他の学習分野と比べて「絶対に必要な支出」とまでは考えられていないことを示しているといえるでしょう。
一方で、主要科目の学校外学習や英語などの語学教育は、優先度がそこまで高くないにも関わらず、削ってもよいと考える割合は低いことが特徴です。これらの学習は、子どもの将来の学力やキャリア形成に直結すると考える保護者にとって削りたくない教育投資なのかもしれません。
教育費を削ってもよいと考える理由
教育費の調整が必要な際に「削ってもよい」と判断するのはどのような理由からでしょうか。保護者のコメントからは、費用対効果や必要性の見極め、あるいは他の費用との兼ね合いを考慮した結果であることが分かりました。
理由① 費用対効果や必要性が薄いから
特定の習い事を削る理由として、費用に対して得られる効果や、現在の段階での必要性を慎重に判断する保護者の声が多く聞かれました。
「スイミングは、ある程度の泳法を覚えたので、それで十分だと思いました。」
「スポーツ系の習い事ですが、プロになるわけではなくあくまでも身体を動かすことを目的としているため、公園などで遊ぶことでもリフレッシュできると考えています。」
「芸術系のスキルは、特出しないとそれを活用していくことは難しいから、削ってもいいかなと思います。」
「絵画教室は、あまり将来的に役に立つとは思えないし、やろうと思えば家で工夫できそうなので、削ってもいいと考えています。」
理由② 他の教育費との兼ね合いや代替の方法があるから
複数の習い事や学習を検討する中で、より優先度の高いものに絞り込んだり、他の方法で代替できると判断したりする保護者もいます。
「スイミングは健康や体力づくりには良いと思いますが、もし家計が厳しくなった場合には、勉強に関する費用を優先したいので、一時的に辞めることも考えています。」
「英語教室は、今はYouTubeやゲーム中やアプリなどで、英語を覚える機会も多いからです。全て重要な教育だとは思いますけど、他の方法でも補えるかと。」
「通信教育は受験対策という訳でなく、あくまで自宅学習の一部として取り入れているだけなので、無理に進める必要性もないから削ることも視野に入れています。」
「そろばんは、今の時代に必要が無いので、優先順位で言えば必要ないかと考えています。」
児童手当・夏のボーナスは教育費にあてる?
日々の教育費に加え、まとまったお金が入る児童手当やボーナスをどのように教育費にあてているのかは、多くの保護者が関心を持つポイントでしょう。ここでは、今回のアンケート調査から見えてきた、児童手当や夏のボーナスの使い道について深掘りしていきます。
児童手当を教育費にあてる家庭は約40%
国から支給される児童手当は、子育て世帯にとって貴重な収入源です。この児童手当を、実際に教育費に充てている家庭はどのくらいいるのでしょうか。
調査の結果、児童手当を直接教育費に充てている家庭は約4割にとどまることがわかりました。半数以上の家庭が、児童手当を教育費以外に充てている、あるいは別の形で活用しているようです。
夏のボーナスを教育費にあてる予定の家庭は26%
次に、夏に支給されるボーナスが教育費にどのように影響しているかを見てみましょう。
夏のボーナスを「教育費にあてる予定がある」と回答した家庭は26%と、約4分の1にとどまりました。
一方で、「教育費にあてる予定はない」と回答した家庭が約半数を占めています。また、「夏のボーナスはない」と回答した家庭は26%でした。
ここまでの結果だけを見ると、児童手当やボーナスが直接教育費に回される割合は低いように感じるかもしれません。
しかし、児童手当やボーナスを直接的に塾代や習い事の費用にあてるケースばかりではないという声も見られました。
例えば、「今現在の教育費としては使っておらず、大学進学のために貯めています」「将来、子供たちが好きなことに使えるように今は貯金したり、学資保険の支払いに使っていたりしています。」という声です。
直接教育費にあてていなくても、その分を子どもの将来のための貯蓄に回したり、学資保険の掛け金に充てたりするなど、形を変えて子どもの教育資金として確保している家庭も少なくありませんでした。
まとめ:変化する教育費の優先順位と保護者の賢い選択
今回のアンケート調査から、小学生の教育費に関する保護者のリアルな状況と、その背景にある深い思いが見えてきました。約6割の保護者が教育費のために何らかの我慢をしているという事実は、子どもの未来への投資がいかに大きな比重を占めているかを物語っています。
教育費を何に優先的にかけるか、状況によって何を削るかという保護者の判断からは、費用対効果や子どもの興味、家計状況に応じて柔軟に対応しようとする保護者の姿が見て取れました。また、限られた収入の中で最大限の教育機会を提供しようとする保護者の工夫と愛情も強く感じられます。
教育費は「いくらあれば十分」と一概には言えません。ご自身の家庭における教育費の優先順位を考えるにあたり、選択の一助となれば幸いです。
アンケート調査概要
調査対象:小学生の子どもを持つ保護者(有効回答数100名)
調査時期:2025年6月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「小学生の教育費 保護者の実態と意識」についての調査
※掲載しているグラフや内容を引用する場合は「塾選調べ:「小学生の教育費 保護者の実態と意識」についての調査」と明記し、『塾選』(https://bestjuku.com)へのリンク設置をお願いします。
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