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“生きる力”って何?異年齢×12テーマで学ぶ「子ども社会塾」の探究学習をレポート!

更新日:
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塾選ジャーナル編集部

編集部

塾選ジャーナル編集部

今回取材した「子ども社会塾」は、異年齢の子どもたちがともに学ぶユニークな探究学習塾で、東京と茨城に教室を構えています。授業では、プログラミングや論理的思考、心理学を活用したコミュニケーション術、さらにはお金の仕組みにいたるまで、実に幅広いテーマを取り扱っている塾です。

今回お話してくれたのは、塾長の谷藤賢一さん。キャリアコンサルタントとして1,000名以上の大人の就労支援に携わってきた経験も持つ谷藤さんに、「社会で本当に役立つ“生きる力”とは何か」について語っていただきました。子ども社会塾を立ち上げた想いや、具体的な授業内容についても詳しく紹介します。

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目次

今回取材した塾▶

子ども社会塾のロゴ

塾名 子ども社会塾
対象学年 小学3年生~高校3年生
住所 株式会社C60(シーロクマル)
東京都千代田区神田和泉町1-2-6
フォンティーヌビル3F
プロフィール 2018年開校。社会に出てから役立つ“生きる力”を育む探究学習塾。プログラミング・論理思考・能力開発(読む力/覚える力)・コミュニケーション・心理学・お金の仕組みなど、全12テーマを小学3年生から高校3年生まで異学年が同じ教室で学び、考える習慣と実践力を養います。子どもを大人と対等の存在として尊重し、一人ひとりの個性を伸ばしていきます。
塾の詳細ページ https://www.sjuku.jp/

今回取材を受けてくださった方▶
子ども社会塾 谷藤 賢一さん(塾長)

谷藤さんのプロフィール写真

➤探究学習について、もっと詳しく知りたい方はこちら

子ども社会塾とは?就労支援のプロがつくった“社会を学ぶ塾”

子ども社会塾とは

社会で生きるために必要なのは「勉強」だけではない!“社会塾”というアイデアの原点

-谷藤さんはキャリアコンサルタントとしての国家資格もお持ちです。これまで、就労支援に携わる中で、子ども時代の教育にどのような課題を感じていたのでしょうか?

私はこれまでに千数百名の就職のお手伝いをしてきました。その中で気づいたのは、社会に出るときに「何がしたいのかわからない」「何ができるのかわからない」と悩む人が本当に多いということです。

彼らの多くは、先生や親の言うことを聞いて、偏差値の高い大学に入るためにしっかり受験勉強をしてきたタイプ。でも、自分で考えたり、行動したりする力が育っていない。結果として、自分の人生を自分で舵取りできなくなっている大人が多いように感じたんです。話を聞けば聞くほど、子ども時代の教育に問題があるのだと痛感しました。

-子ども時代に「社会に出て役立つ力」を十分に学べていないことが、就職する上で障壁となってしまうということですか?

そうですね。でも「もっと勉強していればよかった」とか、そういうことではないんです。社会で生きていくために必要となる「生きる力」を学ぶ場があるべきなのではないかと。キャリアコンサルタント仲間とも、よくそんな話をしていました。

-就労支援で感じられた課題感が、「子ども社会塾」の原点にあったのでしょうか?

就労支援の中で感じた課題感というのは、「受験勉強だけを重視した教育では十分ではない」ことを確かめた、答え合わせのようなものでした。

実は、“社会塾”という構想は1991年、私が社会人になって間もない時から温めていたものなんです。バブルが崩壊し、「勉強していい大学に行っていい会社に入る」という終身雇用モデルが崩れ始めていた時代。私は学生時代からベンチャー企業でお世話になっていて、社会に出て働く大人たちの本音や社会の仕組みを肌で感じた経験が大きかったですね。

ベンチャー企業の先輩方が教えてくれたのは、学歴を重視した終身雇用の仕組みが、いずれは終焉を迎えるであろうということ。しかし、日本の教育現場は、何も変わらなかったんです。

これからは、社会に出て働き始めてから必要となる実践に即したスキル、すなわち“生きる力”を教える塾が必要になる―その思いで、2005年に子ども社会塾の前身となる教室を開きましたが、生徒が集まらず、やむなく閉塾となりました。

今思えば、時代が早すぎたんでしょうね。「いいことを教えているのは分かるけど、大学受験には役に立たない」―保護者から集まるのは、そのような声ばかりでした。

それでも私の中には「絶対に価値のあるものだ」という確信があったんです。ですから、閉塾する最後の日は、本当に悔しかったですね。教壇の上から誰もいない教室を見渡して、いつか必ずリベンジするぞと誓いました。

-そうして2018年に「子ども社会塾」を立ち上げ、リベンジを果たしたのですね。どのようなきっかけで、再スタートを切ることを決めたのでしょうか?

友人でもある教育関係者が私を訪ねてきて、「今こそ“社会塾”で教えようとしていたことが求められていますよ!」と言ってくれたのがきっかけです。2005年時点では「中高生のための社会塾」という名前だったのですが、知り合いの教育関係者から「小学生も対象範囲に入れた方がいい」というアドバイスを受けて「子ども社会塾」としました。

開校してすぐに2名の生徒さんが入塾。保護者の方からは「このようなことを教えてくれる塾を探していた」という言葉をいただきました。2005年の時とは全く反応が違いましたね。時代の変化を身をもって体感する良い機会になったと思います。

子ども社会塾で学べる12のテーマと授業内容

子ども社会塾の授業内容

人生のヒントが詰まった“捨ててはいけない教科書”

-では、ここからは子ども社会塾の詳しいコースやプログラム内容について教えてください。

子ども社会塾では、「プログラミング」「論理思考」「能力開発」「心理学」「お金の仕組み」など、毎月テーマを変えて取り組みます。1年で全12テーマになりますね。

-それぞれのプログラムでは、どのようなことを学ぶのでしょうか?

いずれのプログラムも、実際に社会に出てから役立つかどうかということに重きをおいています。まず、それぞれどのようなことを学ぶのか、概要を説明しますね。

1.ロボットプログラミング

子ども用のプログラミング言語(スクラッチなど)ではなく、IT業界で使われているC言語を使用します。プログラマーになるかどうかは関係なく、ITにアレルギーを持たないようにすることを重視した授業内容になっています。

2.ゲームプログラミング

こちらもスクラッチは使わず、JavaScriptという本格言語を使ってゲームを作ります。1970年代のようなゲーム本来の動きを楽しむのが特徴。自分で考えながら作っていく本格的な授業です。

子ども社会塾の授業風景

3.能力開発(速読)

読む力は、一生使える学習の基本となる力です。文章を読むスピードが誰でもすぐに数倍から数十倍にもなるという速読メソッド「シネマリーディング®」のトレーニングを行います。

4.能力開発(記憶術)

暗記に頼らないで暗記する「ストーリー記憶術」のトレーニングを行います。頭を柔らかくする記憶ゲームで楽しく学ぶことで、イラスト数十枚を1分で記憶できるようになります。

能力開発の授業風景

5.お金の仕組み

学校ではタブーになっていてお金の仕組みを教えてくれません。でも、社会に出たらお金の知識は必要不可欠です。お金がどのように生まれたかという歴史から、株式の仕組み、資産運用、生活費に至るまで大人たちが独学で経験を積んで学んできたことを広く教えています。

6.世の中の仕組み(経済編)

学校の社会の授業では実際の経済の仕組みの理解には程遠いと大人になって感じます。

経済はどう誕生し、発達したか、市場とは、貿易とは、株式会社とは、物とお金の流れとは、など実社会の仕組みを分かりやすく教えています。

7.世の中の仕組み(心理学編)

例えば、大人になっても人間関係の悩みは尽きない問題ですよね。しかし、実は学校で教わらないだけで、心理学の世界ではすでに研究されていることもたくさんあります。心理学の知識を持っているだけで、相手への対処法が分かったり、気持ちがラクになったりすることもあるでしょう。授業では学術的な裏付けとともに、実践方法まで教えています。

8.世の中の仕組み(人のメカニズム編)

ほめることと叱ること、将来の幸せとは?、いじめのメカニズムなど、心理学編からもう少し踏み込んだ内容を教えています。

子ども社会塾の授業風景

9.ITスキル

超速で打てるタイピング技術、ワープロ、表計算、プレゼンソフトを学びます。スマホ世代の20代が特にスキルが低いため企業は困り果てています。子どものうちに楽しみながらマスターします。

10.論理思考

将来、イノベーターとなるための思考方法をゲーム、クイズを通じて教えます。子ども社会塾の合言葉は「空気を読むな!」。大人になってからの正解というのは、論理的に導かれるものです。みんなが「1+1=3」と言っていても「1+1=2」と堂々と言える大人になって欲しい。そんな思いから生まれたプログラムです。

11.STEAM

数学、科学に特化した授業です。生活の中の数学、エネルギー問題、ウィルスの仕組み、核の話など、生活に直結した知識を教えています。

12.夏休みアラカルト授業

ゲーム形式の心理学、不動産の知識、知的所有権などを楽しく学びます。

- 子ども社会塾では、どのプログラムでも「コミュニケーション力」を大切にしているそうですね?

コミュニケーション力は、企業が若者に求めるトップのスキル。異学年混合のクラス編成になっているのは、様々なバックグラウンドを持つ人とのコミュニケーションを学ぶ機会となるためです。教室では、子どもたちの個性を見ながら、講師がハブとなり自然な形で「自分の思うことを伝える」「相手の求めていることを理解する」といったコミュニケーション力を鍛えていきます。

-いずれも、大人になってから直面する問題に寄り添ったプログラム内容なのですね。

実際、保護者の方から「自分が子どものうちに習いたかった」と言われることも多いです。特に、「主体性」や「コミュニケーション力」は、企業が求める力として必ずといっていいほど上位に入るスキルです。これらは、プログラムを問わず授業を通してスキルとして伸ばせるように工夫しています。

-入塾すると、どのような通い方になるのでしょうか?

奇数月は教室への通塾、偶数月は自宅でオンライン(eラーニング)で学びます。いずれも週1回60分の授業です。

オンラインでは、座学のようにただ話を聞いているだけだと眠くなってしまうので、ワークを多めに設定しライブ感にこだわって収録しています。

もともとはすべて教室で開講していた授業内容なのですが、コロナ禍の影響を受けて半分だけオンラインにしたんです。そうしたら保護者の方も一緒に見てくださっていたらしく、「全然知らなかった。こういうことを子どものうちに学びたかったです」「受講後に親子の会話が弾みます」といった声が届くようになりました。

そのため、コロナが収束した今も引き続き1年間のうち半分をオンラインとして、保護者の方にもできるだけいっしょに学んでいただくことをおすすめしています。

-2年目以降は、難易度を変えた授業内容になりますか?

いいえ。子ども社会塾は学力を積み上げていく塾ではないので、「大事なことは繰り返し学ぶ」という考えのもと、同じ授業を繰り返し受けていただくことで、スキルの定着を図っています。少なくとも3周、つまり3年間は受講することをおすすめしていますね。

子どもたちは、1年で急激に成長するため、物事の捉え方や吸収の度合いが1年目と2年目、2年目と3年目で全く異なります。また、クラスのメンバーも変わるので「君は2年目だから1年目の子に教えてあげてね」というように昨年とは違う役割を与えたりもします。

同じ授業内容であっても1年前に取り組んだ時とは違う発見や学びがあるものなんですよ。

-何度も何度も繰り返して身に付けていくのですね。授業ではどのようなツールを使うのですか?

社会塾未来ノートの写真

社会塾未来ノート」を入塾時に渡しています。バインダー形式になっていて、毎回そこにテーマごとのワークを綴じていくスタイルです。最初に子どもたちには「絶対に捨てないでね」と伝えます。「大人になったら、必ず見る時が来るから」と。将来、大人になってから「あれ、子どもの頃にやった気がするな」ってノートを開いた時に、必ずそこにヒントが書いてある。そういうふうに作っているんです。

-授業を受けながら、自分の手で完成させていくイメージなんですね。

ええ、まさにその通りです。子どもたち自身が書き込んでいく、自分だけの“生き方ノート”になるんです。

多様な子どもが集う「小さな社会」─身につく力と学びの特徴

子ども社会塾で身につく力と学びの特徴

子ども社会塾は、多様な子どもがともに学ぶ「小さな社会」

-教室での授業はほとんど、塾長である谷藤さんが登壇されているとのこと。クラスで子どもたちと接するうえで意識している点はありますか?

子ども社会塾では、学校では教えない内容ばかりなので、小学生も高校生もスタートは同じです。例えばテレビのクイズ番組は大人と子どもが一緒に見ても楽しめますよね。同じように、どの年齢の子どもも一緒に楽しめるよう工夫しています。

また、高校生が小学生をサポートするような席の配置にして、リーダーシップを学んでもらったりもしますね。自分の周りにいない年齢の子ども同士が接点を持つことで、視野がぐんと広がるんです。忘れてはいけないのは「今日はありがとう。また来週も頼むよ」と後で声をかけること。そうすると、自然と責任感や自己肯定感が芽生えていくんです。

生徒の個性は本当に様々で、入塾後どのように成長するかも人それぞれです。子ども一人ひとりの特性を伸ばすため、1クラス10人程度の少人数制を取り入れています。子どもたちの発言をすべて受け止めて、必ず返すというのが、私のポリシーなんです。

-子ども社会塾には、どのような子どもが多く通っているのでしょうか?

今は小学生が7割、中高生が3割くらいですね。なかには、学校になじめない不登校の子や軽度のADHDと診断されたような発達特性がある子もいますよ。みんながのびのびと学んでいます。

-不登校や発達特性のある子どもにとって、どのような点が学びやすいのでしょうか?

学校では「問題児」とされているような子でも、うちではまったくそんなことはありません。「決められたことをする」ではなく「自由な発想をする」ことを重視しているからかもしれませんね。

固定観念に囚われていない子ほど、すごくいいリアクションをしてくれますよ。「じゃあさ!じゃあさ!」ってどんどん自分の意見を出してくれる。むしろ私が助けられる場面も多いです。

-子どもの成長・変化を見ていて、特に印象に残っているエピソードはありますか?

数年前に卒業した生徒のお母さんから「引っ込み思案で心配していたけれど社会塾に通い始めてからみるみる変化して、卒業した今ではクラスの成績不振の子を自ら集めて勉強会を開催するまでに成長した」というご連絡をいただいたことがありました。

「困っている人がいたら助けてあげなさい」ということは授業の中で口癖のように伝えてきたのですが、卒業してからも実践してくれていたと知り、嬉しかったですね。

-最後に、子ども社会塾で1番大切にしていることをお聞かせください。

私は「元 子ども」ってよく名乗るんですよ。大人って、自分も子どもだったことを忘れている人が意外と多いんです。私は、自分も子どもだったということを忘れたくないし、子どもに対しても一人の人間として対等に接したいと考えています。

子ども社会塾は、一つの社会=コミュニティです。一人ひとりの子どもたちの思いや発言を大事に拾い上げて自由な発想の芽を伸ばしていくこと。それが1番大切にしていることですね。

子ども社会塾へ通った生徒や保護者からの反響は?

😊保護者(小学生)

引っ込み思案で家でもあまり自分の考えを言わないので、それが素直さなのか、遠慮しているのか分かりませんでした。子ども社会塾に通うようになってから自分の意見をどんどん言うようになり、たまに驚くようなことを言ったりします。

ここまで考えていたのかと思うと、素直さではなく、やはり言えない空気があったのかと反省しつつ、子ども社会塾に出会えたご縁に感謝しています。
まだしばらくお世話になりますが、引き続きよろしくお願いいたします。

✨保護者(小学生)

不登校で習い事も行かなくなってしまったのに、子ども社会塾の日は「社会塾だけは絶対行く!」と元気いっぱい出ていきます。授業から帰ってくると楽しそうにどんな授業だったか教えてくれます。

✨子ども(小学5年生)

先生聞いて!先週のあれ(嫌いな人と仲良くなる方法)イヤだったけどアイツにやってみたよ。今日遊ぼうって言われた。

【取材後記】

今回の取材を通じて印象的だったのは、「社会に出てから本当に役立つ“生きる力”とは何か?」を丁寧に育んでいこうとする谷藤さんの一貫した姿勢です。

論理的に考える力、他者と協働する力、経済や心理を理解する視点。子ども社会塾には、大人になってから直面するであろう身近なテーマを楽しみながら、学べる環境が整っていると感じました。

多様性が求められる今の時代。社会の一員として、自分の人生を自分の手で切り拓いていく“生きる力”を育てるために、子どもたちと真摯に向き合う谷藤さんの言葉には、大人こそ学び直したくなる示唆が詰まっていました。

塾選ジャーナル編集部/※掲載内容は、2025年6月時点の情報です。

執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部
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塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

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