中学生の留学まるわかりガイド|費用・時期・おすすめの国・準備まで徹底解説

中学生のうちに海外での生活を経験することは、将来の進学やキャリアの選択肢を広げるうえで、とても貴重な機会です。
本記事では「英語が苦手でも大丈夫?」「どんな留学スタイルがあるの?」「費用や留学先の選び方は?」といった疑問に対し、情報収集段階の保護者の方や、興味を持ち始めたお子さんに向けて、体系的かつわかりやすく整理したガイドをお届けします。

編集部
塾選ジャーナル編集部
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中学生のうちに留学するメリットとは?
中学生のうちに海外での生活を経験することは、将来の語学力向上や進路選択に大きな影響を与えるだけでなく、人間的な成長にもつながる貴重な体験です。
ここでは、検討初期の方に向けて「中学生が留学することで得られる3つの主なメリット」について、わかりやすく紹介します。
英語への抵抗感を持つことなく、スムーズに語学力を伸ばすことができる
中学生になると本格的な英語教育が始まりますが、「英語が苦手」「英語に抵抗がある」と感じる生徒も少なくありません。
文部科学省の「平成29年度 英語力調査結果(中学3年生)」によると、約半数の中学3年生が英語に苦手意識を抱いています。また、その中の約35%は「そもそも英語自体が嫌い」といった漠然とした抵抗感を持っていることが明らかになりました。
出展:平成29年度 英語力調査結果(中学3年生)の概要
こうした状況の中で、留学を通じて英語を「教科」ではなく「日常のコミュニケーション手段」として体験することで、自然と受け入れやすくなり、抵抗感も次第に薄れていきます。
英語を実際のコミュニケーションに用いる経験が、学習への意欲を高め、語学力の向上にもつながっていくのです。
さらに、英語4技能(読む・書く・聞く・話す)の習得にもよい影響があり、「好き=伸びる」という好循環が生まれます。
実生活で自立心・行動力・コミュニケーション力が向上する
中学生が親元を離れて海外で生活することは、日々の小さな行動の積み重ねによって「自立心」や「行動力」「柔軟性」「問題解決能力」などが自然と育まれます。
例えば、わからないことを自分で調べたり、困ったときに周囲へ助けを求めたりする経験を通じて、実践的なスキルが身につきます。
また、英語が完全に話せなくても、ジェスチャーや簡単な単語を使って自分の意思を伝える過程で、「伝える力」「積極性」が鍛えられていくのも、教室では得られない貴重な成長体験です。
異文化理解を通して、進路や生き方の視野を広げることができる
海外での生活は、文化・価値観・考え方の違いに日常的に触れる機会です。
現地の友人や、他国からの留学生との交流を通して、自分の常識や視点を客観的に見直すきっかけになります。
こうした体験は、異文化理解を深めるだけでなく、「将来、海外で学びたい」「国際的な仕事に就きたい」といった、進路やキャリアへの視野を広げる大きな原動力となります。
中学生という早い段階で世界に触れることは、本人の「生き方」そのものに大きな影響を与える可能性があるのです。
中学生の留学にはどんなスタイルがある?|短期・長期・親子などタイプ別に解説
中学生の留学には、主に次の3つのスタイルがあります:
- 学校の休み期間を利用した「短期留学」
- 現地校に通う「長期留学」
- 親子で一緒に滞在する「親子留学」
それぞれのスタイルには特徴があるため、お子さんの目的や性格に合ったものを選ぶことが大切です。
短期留学(サマースクールなど)
短期留学とは、1週間~数か月での留学のことです。短期留学は主に以下の3つのスタイルに分類されます。
- サマースクールやスプリングスクール
- 語学研修
- 現地校への体験入学
夏休みや春休みを活用できるサマースクールやスプリングスクールは、学校を休まずに参加できるため、多くの中学生に選ばれています。
語学研修に加えアクティビティなど多種多様なプログラムが用意されているため、日本にいるのとは違った体験を得ることが可能です。
語学研修は、集中的に語学力を磨くためのプログラムです。マンツーマンで授業が行われることも多く、英語習得を目的とする人には特におすすめといえます。
一方、現地校への体験入学では、実際に通学してリアルな学校生活を味わえます。期間は数週間~半年程度で実施され、将来的な長期留学や卒業後にそのまま現地の高校へ進学する「卒業留学」への足掛かりとして利用する人も多いのが特徴です。
長期留学(半年・1年・現地校進学)
長期留学は半年~数年と比較的長い期間での留学のことです。長期留学では現地の学校に正式に入学して授業を受けることになるため、短期留学よりも高い英語力が求められます。
長期留学には、以下のようなスタイルがあります。
- 現地の中学校への入学
- ボーディングスクールへの留学
現地の中学校への進学とは、地域の中学校へ進学する方法です。ホームステイと組み合わせるケースが多く、留学先の文化にどっぷり浸かりたいたいという人にはぴったりの滞在スタイルといえます。
ボーディングスクールとは、全寮制の学校のことです。留学中は校内の寮で教師や他の生徒とともに生活するため、学習だけでなく日々の生活の中で人間性や社会性が磨かれるのも魅力の一つでしょう。
どちらのスタイルでも、充実した留学生活を送るためには、学校選びがカギを握ります。 日本の学校と同じく、スポーツに力を入れている学校や教育レベルの高い学校、IB校(国際的に共通の教育プログラム「国際バカロレア」を採用している学校。思考力や探究心を重視した教育が特徴です)など特徴的な教育を行っている学校も多いので、自分の目的に合った学校選びを心がけましょう。
なお中学生の留学スタイルとして、上記の2つ以外に中学卒業と同時に留学し現地高校への進学を目指す「卒業留学」が挙げられます。
卒業留学の主な目的は海外の高校卒業と大学進学です。非常に高度な英語技能が必要とされるため、挑戦を検討している場合はできるだけ早い時期から準備を進めましょう。
親子留学(保護者と一緒に滞在する留学スタイル)
親子留学は、留学先に親子で一緒に滞在するスタイルです。子どもが留学プログラムに参加している間に、親は保護者コースに参加したり観光をしたりと、親子で国際感覚を磨くことができます。
親がそばにいることで、子どもも安心して現地での生活に集中できます。これは親子留学ならではの大きなメリットです。
ただし、国によっては親が長期間滞在できるビザが制限されていることもあるため、計画段階で確認するようにしましょう。
低コスト留学(新サービスや格安エージェントの活用)
できるだけコストを抑えたい人には、以下のような低コスト留学を扱うエージェントの利用がおすすめです。
・スマ留
スマ留は、他社と比較して最大50%OFFの料金で留学を提供するエージェントです。
※2024年及び2025年に実施した業歴10年以上の複数の競合他社を対象とする調査結果に基づく
スマ留は、提携語学学校の空き時間や空き教室を利用することで費用を抑えています。手数料が無料で、アプリやオンラインサービスを半年前から使える点も魅力です。
・留学情報館
留学情報館は、累計15,000人以上の留学をサポートしている実績豊富なエージェントです。留学情報館が低価格で留学サービスを提供できる理由は、留学先の教育機関から徴収した費用で運営しているからです。
手数料が無料にもかかわらず、出発前から帰国後まで手厚いサポートが受けられるのが魅力です。
・ネイティブキャンプ留学
ネイティブキャンプ留学では、他社が同条件でより費用の安いプランを提供している場合、留学費用を同価格に合わせてもらえます。
またさまざまな手続きやサポートをオンラインで完結できるのも、特徴の一つです。見積りから申し込み、英会話レッスンまで、オンラインで完結するので時間の節約にもつながります。
低コスト留学を目指す際のエージェントの選び方
低コストで留学ができるエージェントを選ぶ際には、以下のポイントには注意しましょう。
- 料金の内訳を確認する
- サポート体制の詳細を確認する
- 相見積もりをとって比較する
低コストをうたっているエージェントの中には、提示された料金とは別に追加オプションの利用を求めてくるところもあります。またサポート内容を削減することで料金を安価に設定しているケースもあるので注意が必要です。
契約前には料金の内訳やサポート内容の詳細を確認しておきましょう。
またいきなり1つのエージェントに絞るのではなく、複数の候補先から見積もりをとって比較することも大切です。比較することでそれぞれの特徴が見えてくるため、初めての方でも自分に合ったエージェントを選びやすくなります。
中学生の留学先の選び方|おすすめの国と比較ポイント
エージェントや旅行会社のサイトには、数多くの国や地域が紹介されています。そのため「どの国を選べばいいのか迷ってしまう」という声も少なくありません。
ここでは人気留学国の特徴や、国ごとの治安や教育環境などの比較について解説します。
人気留学先(アメリカ・カナダ・オーストラリアななど)の特徴
中学生の留学先として人気の国は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなどです。それぞれの国の特徴をみてみましょう。
アメリカ
さまざまな留学プランが用意されているため、選択肢の多さが特徴です。
特に最先端の技術や文化に触れられるプランは、アメリカ留学ならでは。世界的な名門大学のキャンパスを利用した利用したプランもあり、将来、海外の大学への進学を意識するきっかけにもつながります。英語学習への意欲向上にも効果的です。
ディズニーやハリウッド観光とセットになったプランも多く、留学中の楽しみが多いのもおすすめポイントの一つです。
カナダ
カナダは移民が多い多文化共生社会の国です。特に都市部にはアジア系の移民も多く、食の相性がよかったり簡単な日本語であれば通じたりと、留学生でもなじみやすいのが魅力といえるでしょう。
カナダでは、語学研修やキャンパスツアーの他に、豊かな自然を活用したアクティビティや環境問題に関するプログラムも盛んに行われています。
英語は発音や語彙に癖が少なく、日本の学校で学ぶ英語に近いため、英語初心者でも聞き取りやすいのが特徴です。そのため初心者でも英語でコミュニケーションがとりやすいでしょう。
オーストラリア
オーストラリアは日本と真逆の季節の国ですが、時差はほとんどありません。そのため、現地到着後や帰国後に時差ぼけすることなく、生活リズムへの影響が少なく済みます。。日本の家族と電話したいときも時差を気にする必要がありません。「初めての留学でホームシックが不安」という人におすすめです。
オーストラリアの留学先は海に近い都市が多く、高水準の教育を受けつつ、空き時間にはビーチで過ごしたりマリンアクティビティを満喫することもできます。そのためアクティブな人にとっては特に充実した留学生活となるでしょう。
ニュージーランド
ニュージーランドはオーストラリアと同じく、日本との時差がほとんどありません。治安の良さは世界トップクラスでおおらかな人が多いことから、中学生でも安心して滞在できるでしょう。
また南北に長いニュージーランドは「世界の箱庭」とも呼ばれる自然豊かな国です。北部には美しいビーチが広がる一方で、南部は他の国では見られないような生態系が存在していたり、氷河やフィヨルドが見られたりとダイナミックでバラエティに富んだ自然を感じられるのも魅力といえるでしょう。
イギリス
イギリスは伝統と格式のある国で、さまざまな分野において教育水準が高いのが特徴です。ボーディングスクールも多く、留学先で英語を使ったハイレベルな学習がしたい人にはピッタリといえるでしょう。
またヨーロッパ大陸が近いため、週末を利用して他のヨーロッパ諸国に出かけるのも、イギリス留学ならではの楽しみです。
治安・教育環境・サポート体制で選ぶ
中学生の留学では、安全面が気になるという保護者も多いでしょう。そこで前項で紹介した6ヶ国を「治安」「教育環境」「サポート体制」で比較しました。
国名 | 治安 | 教育環境 | サポート体制 |
---|---|---|---|
アメリカ | 地域による | 多様な選択肢、最先端の学習環境 | 学校やプログラムによる |
カナダ | 比較的良い | 質の高い環境 | 全体的に手厚い |
オーストラリア | 比較的良い | 留学生の教育制度が充実している | 全体的に手厚い。 法律(ESOS法)で留学生が保護されている |
ニュージーランド | 比較的良い | 少人数でのびのびと学べる | 国の服務規程により、高水準な留学環境を保証 |
イギリス | 地域による | ハイレベルな名門校で学べる | ボーディングスクールでは全寮制ならではの手厚いケア |
6ヶ国の中で比較的治安がよいのは、カナダとオーストラリア、ニュージーランドです。アメリカやイギリスも留学先として選ばれていますが、治安が良い地域が多い一方で注意が必要なエリアや通りもあるため、外出時には現地スタッフに相談することをおすすめします。
教育環境は各国とも特徴的なので、目的に合った国を選ぶとよいでしょう。
サポート体制はどの国も充実しています。特にオーストラリアやニュージーランドは手厚いサポートが受けられるケースが多く、初めて留学に挑戦する人には適しています。
英語初心者でも安心できる国は?
「英語を勉強し始めたばかり」「英語に苦手意識がある」という人に特におすすめ国は、次の3ヶ国です。
- フィリピン
- カナダ
- ニュージーランド
フィリピンではマンツーマンの語学研修プログラムが盛んに実施されています。自分のレベルに合った学習ができるため、無理なく語学力を養えるでしょう。
カナダやニュージーランドは使用されている英語に訛りや癖が少ないため、リスニングが得意でなくても比較的聞き取りやすいのが特徴です。
また、日本人スタッフが多く常駐しているオーストラリアや、日本人街のあるアメリカ・ロサンゼルスも、英語初心者でもコミュニケーションが楽しみやすい地域です。
中学生の留学費用の目安と奨学金情報
中学生の留学には、学費や滞在費、航空券代などさまざまな費用が必要です。そのため「留学に興味はあるが、費用面で不安がある」という人も多いでしょう。
ここでは滞在期間別の予算目安や奨学金情報を紹介します。留学計画の参考にお役立てください。
短期・長期の費用比較(プログラム費・滞在費など)
中学生の留学にかかる費用目安は、以下の表の通りです。
スタイル | 期間 | 予算目安 |
---|---|---|
語学研修 | 1週間 | 100,000~400,000円 |
現地の学校体験 | 1週間 | 200,000~500,000円 |
サマースクール スプリングスクール |
2週間 | 200,000~700,000円 |
親子留学 | 1ヶ月 | 400,000~1,200,000円 |
交換留学 | 1年間 | 500,000~1,500,000円 |
現地の学校に入学 | 1年間 | 2,000,000~6,000,000円 |
ボーディングスクール | 1年間 | 5,000,000~8,000,000円 |
どのスタイルを選択しても、滞在国や期間、受講プログラムなどによって留学費用には大きな差があります。なお、表中の費用目安はプログラム費(授業料)、滞在費、生活費の総額です。
これらに加えて、以下のような費用も発生します。
- 航空券代
- 各種申請費
- おこづかい
- その他雑費(交通費、通信費など)
上記の費用は、滞在先や物価、留学時のレートなどに大きく影響を受けるため注意が必要です。
中学生でも利用できる奨学金の有無と探し方
留学費用をできるだけ抑えたい人は、企業や自治体が実施している奨学金や助成金を利用するのがおすすめです。ただし中学生の留学で利用できる制度は少ないのが実情です。
2025年時点で確認できる奨学金制度を以下にまとめました。
制度名 | 内容 | 対象 |
---|---|---|
ローム ミュージックファンデーション奨学援助事業 | 月額300,000円(返済不要) ※給付期間は最大12ヶ月、更新は1回まで |
日本の小学生~大学院生までで留学、進学する人 |
ロータリー財団 地区補助金-奨学金 | 各地区の内容による | 各地区の内容による |
リクルートスカラシップ スポーツ部門 | 年間10,000,000円上限 ※支給額は規定により決定 |
主にアメリカへの留学を志し、将来アメリカの強豪大学への進学、プロデビューを目指している人 |
中学生向けの支援制度は非常に限定的ですが、条件次第で該当する場合もあります。
また、地域によっては独自の奨学金・助成制度を設けている自治体もあります。制度の有無や条件は自治体ごとに大きく異なるため、公式サイトなどを活用し、早めに確認しておくことが大切です。
発表時期や応募方法も地域ごとに異なることが多いため、タイミングを逃さないよう、こまめにチェックする習慣をつけておくと良いでしょう。
コストを抑えるための選び方
留学費用を抑えるには、以下の方法で時期やプログラムを選択しましょう。
- オフシーズンのプランを選ぶ
- 滞在先は相部屋プランを選ぶ
- 食費込みのプランを選ぶ
- 早い時期に計画を立てて早割航空券を利用する
留学時期は夏休みや春休み期間を含まない、オフシーズンを選びましょう。さらに、早めに出発時期を決めれば早割で航空券を確保できるため、留学コストの節約につながります。
滞在費を抑えるためには、宿泊施設の個室利のプランを避けるべきです。特に1部屋あたり3人以上の相部屋になる学生寮を利用する場合は、月々数万円の節約になるケースもあります。
また食事つきプランを選択するのも節約に効果的です。留学中は勉強や友達との交流で忙しく、つい自炊を避けてしまいがちです。特に物価の高い国では、外食はかなりの出費になってしまいます。もともと食事がついているプランを選べば、食費がさらにかかることを防げるので、結果的に生活費の節約につながります。
英語が苦手な中学生でも安心して留学できる理由
中学生の留学は、初心者向けプログラムの種類や日本語サポートが充実しているエージェントも多いため、英語に自信がない人でも挑戦可能です。
ここでは英語が苦手な人や初心者でも安心して利用できるプログラムや、エージェント選びのポイントなどについて解説します。
初心者向けプログラムの特徴
初心者向けプログラムの特徴としては、自分に合った英語レベルの学習ができるプログラムや日本語が話せるスタッフが常駐しているプログラムなどが挙げられます。
例えば以下のようなプログラムであれば、英語が苦手な人や初心者でも利用しやすいでしょう。
- マンツーマン授業やクラス分けが実施される語学研修プログラム
- 日本語スタッフが引率するグループツアー
初心者向けのプログラムは、特に短期留学で多く実施されています。
マンツーマン授業やクラス分けが実施される語学研修では、無理のないレベルからスタートできるため、安心して語学力を伸ばしていけます。
日本語スタッフが引率するグループツアーは、常に添乗員が同行して留学生をサポートするため、現地でトラブルが起きたときやわからないことが出てきたときにも安心です。
現地での日本語サポート体制の有無
英語が苦手な人や初心者は、エージェント選びの際、現地の日本語サポートの有無を重視しましょう。
現地の日本語サポートには、以下のようなものがあります。
- 現地引率者の配置
- 日本語が話せるカウンセラーの配置
- 24時間緊急電話対応
留学中には予期せぬトラブルや体調不良が起こることもあります。特に英語に自信がない人にとっては、何かあったときに日本語で相談できる人が近くにいるのは心強いでしょう。
エージェントを選ぶ際には、サポート項目だけでなく日本語スタッフがどの範囲までサポートしてくれるのか、詳しく確認しておくと安心です。
語学力の伸ばし方と事前準備
英語が苦手な人や初学者は、事前に英語を勉強して少しでも話せるようにしておくことが大切です。流暢(りゅうちょう)な英語でなくてもある程度のコミュニケーションがとれれば、自信がついて積極的に授業や会話に参加でき、より効率的に語学力が身につきます。
例えば、教科書に出てくるような簡単なフレーズを覚えたり、身の回りのものの名前を覚えたりするだけでも、現地でのコミュニケーションがより円滑になります。エージェントによっては事前の無料英会話レッスンや英語イベントを実施している場合もあるため、積極的に参加するのもよいでしょう。
英会話教室に通う時間がないという人は、オンライン英会話や語学系の動画を活用するのもおすすめです。
中学生の留学準備の流れと必要な手続き
中学生の留学を成功させるためには、必要な手続きや準備をスムーズに済ませておくことも重要です。
出国前や留学中のトラブルをできるだけ避けるためにも、留学までのスケジュールを把握し、手続きや準備に漏れがないように心がけましょう。
申し込みから出発までの一般的なスケジュール
中学生の留学の一般的なスケジュールは以下の通りです。
1年~6ヵ月前 | ・資料請求 ・セミナーや留学フェアへの参加 ・エージェントへの相談 など |
---|---|
5~4ヵ月前 | ・申込み、申込金の支払い ・航空券の確保 ・パスポートの手配 など |
4~3ヵ月前 | ・成績証明書の用意 ・健康診断書の用意 など |
3~2ヵ月前 | ・電子渡航証書、ビザ申請 ・海外旅行保険、留学保険手続き など |
1ヵ月~1週間前 | ・航空券の発券 ・持ち物準備 ・持ち込み禁止品の確認 ・オリエンテーション、交流会への参加 など |
1週間前~出発前日 | ・最終確認(時間、フライトルートなど) |
留学期間にかかわらず、希望時期の半年以上前には準備に取り掛かりましょう。
長期留学の場合は、さらに早めの準備がおすすめです。特に対象者の条件に資格取得などが含まれている場合には、1年以上前から準備が必要なケースもあります。検討段階でも、できるだけ早めに準備を始めることをおすすめします。また短期留学でも、人気のプログラムは早期に募集が締め切られる恐れもあるため注意しましょう。
なお、必要書類や手続きの種類は留学先や滞在期間によって異なります。詳細についてはエージェントや旅行会社に確認しておきましょう。
必要書類(パスポート・ビザなど)
次に、中学生の留学に必要な書類をチェックしましょう。
項目 | 手続きのタイミング | 備考 |
---|---|---|
パスポート | 持っていない場合はすぐ ※期限は要確認 |
・プログラムの申し込み、航空券の手配など様々な場面で必要 ・申請から取得までは1~2週間 |
入学申請書類 | 1年前~ | ・成績証明書、推薦状、財政能力証明書、予防接種証明書など ※主に長期留学の場合に必要 |
航空券 | 6ヵ月前~ | ・できるだけ早めの手配がおすすめ ・発券は1ヵ月前ごろ~ |
ビザ | 4ヵ月前~ ※航空券の手配が終わったら |
・発行まで1ヵ月程度かかる場合もある ※必要な場合のみ |
電子渡航認証 | 4ヵ月前~
※航空券の手配が終わったら |
・システムエラー等のトラブルが起きる場合もあるため早めの手続きがおすすめ ※必要な場合のみ |
海外旅行保険、留学保険契約書 | 2・3ヵ月前~ ※日程、プログラムが確定したら |
・エージェントや旅行会社経由で申し込むことが多い |
入学許可証 | 1・2ヵ月前~ ※学費支払い後 |
・学校やエージェントから送られてくる ・手元に届いたら内容に間違いがないか要確認 |
未成年渡航同意書 | 1・2ヵ月前~ | ・保護者の署名が必要 ・書式はエージェント等に相談するとよい ・手続きに時間がかかる場合もあるため注意が必要 |
留学が決まったら、まずパスポートを申請しましょう。すでに取得しているの人も、帰国時期まで有効期限があるかどうかを確認する必要があります。急な病気やトラブルで帰国時期が遅れる恐れもあるため、有効期限が1年を切っている人は、事前に更新しておくと安心です。
入学申請書類は学校や滞在国によって異なります。またビザと電子渡航証書は、国や滞在期間によってどちらが必要か決められています。両方必要な場合もあるため、エージェントや旅行会社に確認の上、間違えのないよう準備しましょう。
航空券は申し込みが終わり次第、できるだけ早めに確保するのがおすすめです。特にハイシーズンに出入国する場合、後回しにすると希望の便がとれないこともあるので注意しましょう。
現地生活への備え(保険・持ち物)
留学前には現地での生活に備え、万全の準備を心がけましょう。
留学に必要な保険
留学前には、万が一の事態に備え保険に加入する必要があります。中学生の留学で加入する主な保険は、以下の2種類です。
- 海外旅行保険
- 留学保険
海外旅行保険とは3ヵ月程度までの短期間の保険のことで、主に短期留学時に加入します。あくまで旅行中の保険であるため、適応範囲が限られている点には注意しましょう。
留学保険は長期間の留学にも対応した保険です。生活全般を手厚くサポートしているのが特徴で、虫歯の治療や持病の悪化、カウンセリングなどにも適用されます。
保険はエージェントなどを通して申し込むケースが一般的です。どちらか迷った場合は留学期間と保険内容を考慮して自分に合った保険を選びましょう。
手持ちバックに入れて持っていくもの(貴重品など)
項目 | 備考 |
---|---|
パスポート | 出入国の際、すぐに取り出せるようにしておく |
ビザ/電子渡航認証 | 入国審査で使用する ※どちらが必要かは国による |
航空券 | eチケットの場合でも念のためプリントアウトしておくと安心 |
保険の証書 | 原本は持参。 コピーを保護者に預けておくとよい |
入学許可証 | 入国審査で提示を求められることがある |
未成年渡航同意書 | 入国審査で提示を求められることがある |
スマートフォン | 現地でも利用できるようsimロックを解除しておくとよい ※simロック解除の詳細は、各キャリアへ問い合わせ |
クレジットカード/デビットカード/プリペイドカードなど | クレジットカードは家族カードであれば未成年の留学でも利用可 ※申し込み条件はカード会社による |
少額の現金 | 10,000~30,000円程度 ※盗難に注意して、あまりに高額の現金は持ち歩かない |
筆記用具 | 入国審査カードの記入時などに使用 |
現地での緊急連絡先、滞在先情報 | 入国審査で質問されることがある |
PC/タブレット | 必要な場合は持参。 スーツケースに入れないように注意 |
常備薬 | 頭痛薬、風邪薬、絆創膏、消毒液など ※常備薬がある場合は英文の処方箋を用意しておくと安心 |
特に貴重品はスーツケースに入れず、手持ちのバックに入れて必ず機内に持ち込むようにしましょう。また入国審査で使用する書類は、まとめてすぐ取り出せるようにしておくと安心です。
スーツケースに入れて持っていくもの(日用品、その他)
項目 | 備考 |
---|---|
衣類 | 1週間分程度の洋服やインナー類 ※現地の気候によっては防寒具も必要 |
コンセント変換プラグ | 必要な場合のみ ※コンセントの形状は国によって異なる場合もあるので注意 |
衛生用品 | 歯ブラシ、ポケットティッシュ、綿棒、爪切り、生理用品など |
スキンケア用品/化粧品 | 留学先の季節が夏の場合は、日焼け止めを忘れないように |
タオル/ ハンカチ | ホームステイの場合はタオルが借りられることもある |
メガネ/コンタクトレンズ | 日数分。英語の処方箋があれば現地調達も可能 |
各種書類のコピー | パスポート、ビザ、電子渡航認証、保険の証書、入学許可証、未成年渡航同意書 など |
証明写真 | 5~6枚程度※学生証作成時やパスポート紛失時、更新時などに必要な場合もある |
ホームステイ先へのお土産 | ホームステイを選択している場合は、持参すると喜ばれることが多い ※宗教上食べられないものなどには注意 |
長期留学の場合、季節外れの衣類まで持参するのは現実的ではありません。荷物が増えすぎると航空会社の受託手荷物の重量制限を超えてしまい、高額な費用が追加で必要になる恐れがあります。
中学生は好みやサイズが変わりやすい時期でもあるので、基本的に現地調達がおすすめです。インターネットショッピングも利用できますが、現地の人にショップ情報を聞いてみるのも、コミュニケーションを深める手段として有効です。
衛生用品やスキンケア用品は、人によっては現地の製品が合わないこともあります。不安な場合は普段から使い慣れたものをある程度用意しておくとよいでしょう。
あると便利なもの
項目 | 備考 |
---|---|
洗濯ばさみ、洗濯ひも | 部屋に洗濯物を干すのに便利 |
洗濯ネット | 現地の洗濯機は水流が強すぎることもある |
スリッパ | 機内や部屋などリラックスしたとき用 |
サンダル | ちょっとした街歩きやマリンアクティビティ時に便利 |
サングラス | 日差しの強い国では必須 |
ジッパー付きのビニール袋 | 荷物の小分けや食料品の保管などさまざまな場面で活躍 |
小さめのサブバッグ、エコバック | 身軽に出歩きたいとき、お土産の持ち帰りなどに便利 |
晴雨兼用の折り畳み傘 | 日差しが強いときや急なスコール時などに活躍 |
日本食 | インスタント食品や缶詰、お菓子など※現地調達は割高になることも多い |
ここで紹介しているのは、持っていくとより留学生活を快適に過ごせるアイテムです。
ただし行き先や期間によっては不要なものあり、荷物が大きくなる恐れもあるため、必要なものを見極めるようにしましょう。
中学生留学の注意点とリスク対策
中学生の留学には以下のようなリスクも伴います。
- カルチャーショック・言語の壁のリスク
- 留年や帰国後の学校復帰へのリスク
- 安全面やトラブル発生のリスク
留学を後悔しないためにも、リスクと対処法は事前に把握しておきましょう。
カルチャーショック・言語の壁への対応
カルチャーショックとは、自分と異なる価値観や生活習慣に衝撃を受けたり戸惑いを感じたりすることです。さらに留学先では慣れない言語の壁にぶつかることも多いため、悩みやストレスをため込みやすくなります。その結果、体調を崩したりホームシックになったりする恐れがあります。
特に中学生の時期は多感な時期でもあるため、特に注意が必要といえるでしょう。
実はカルチャーショックを受けたり言語の壁を感じたりするのは、珍しいことではありません。そのためまずは、誰にでも起こりうることで自分を成長させてくれるものだと認識することが大切です。
また一人で抱え込まず外に吐き出すのも効果的です。友達やカウンセラーに相談したり、ノートに書き出したりすると気持ちが整理できてスッキリします。
「初めての留学でカルチャーショックや言語の壁が不安」という人は、数週間の短期留学を選ぶのもおすすめです。
留年リスクや帰国後の学校復帰
長期留学で日本の中学校を休学する場合には、留年のリスクが伴います。留学前には在籍している中学校に留年の有無について相談しましょう。
また留学が高校受験の準備時期と重なると、学力の遅れを取り戻せず志望校合格に影響してしまう恐れもあります。現地では学ばない科目や内容については、通信教材などを活用し、留学中から学習を進めておくとよいでしょう。志望校に「帰国生入試」があれば、利用を検討するのも手です。
さらに帰国後の学校生活を窮屈と感じたり、自分の居場所がないと感じたりする「逆カルチャーショック」が起こる場合もあります。逆カルチャーショックは子どもが成長した証拠でもあります。保護者の方も寄り添いながら、前向きに受け止められるようサポートしてあげましょう。
安全面・トラブル時のサポート体制
留学中には、予期せぬ困りごとやトラブルが起こり得ます。
エージェントや旅行会社の中には、サポート体制が手薄な代わりに料金が安いケースもあります。留学生活をより充実したものにするためにも、十分なサポートが受けられるエージェントを選びましょう。
例えば24時間対応可能な緊急電話サポートがあれば、何か困ったことが起きてもすぐに連絡できるため、トラブルの拡大を防げます。
また医療サポートや事件・事故サポートは、だれがどこまで対応してくれるのかなど細かくチェックしておくことが大切です。
よくある質問(FAQ)
最後に中学生の留学に関してよくある質問をまとめました。
中学生で留学するのは早すぎない?
中学生の留学は決して早すぎることはありません。留学の時期を決める際には学年や年齢で判断するのではなく「本人にとって最適なタイミングか」という視点で検討することをおすすめします。
留学のタイミングを見極める際には、以下の2点をチェックしてみましょう。
- 明確な目的をもって留学したいと思っているか
- 自分である程度身の回りのことができるか
これらのポイントに当てはまるのであれば、留学中に困難な出来事にぶつかっても乗り越えていける可能性が高いといえます。保護者の方はぜひ背中を押してあげてください。
中学生が留学するにはいくらお金がかかる?
中学生の留学に必要な費用(授業料、滞在費、生活費)は、1~2週間の短期留学で10~70万円程度、長期留学(1年間)で200~800万円程度です。
さらに各種申請費や航空券代などが必要ですが、いずれも留学先や留学期間、滞在時期などによって大きく異なります。
留学費用の詳細は、エージェントや旅行会社に事前に問い合わせておきましょう。
中学生が留学したら留年するリスクはありますか?
長期留学が留年につながるかどうかの判断は、在籍している中学校や自治体によって異なります。
一般的に公立中学校の場合は留年になる可能性が高く、私立中学校では留年の対象になりにくい傾向にあります。ただし例外もあるため、留学を決めたら在籍中学校に確認しておきましょう。
親の付き添いは必要?
中学生の留学では、必ずしも親の付き添いが必要というわけではありません。
ホームステイや学生寮に滞在するプランも多いため、親の付き添いがなくても留学可能です。初めての留学などで不安が大きい場合は、添乗員が同行するグループツアーを利用したり、現地サポートの充実したエージェントを選んだりするとよいでしょう。
なお、「親子留学」を選べば、親子で一緒に海外生活を体験できます。親子留学を検討する場合は、親のビザ取得や費用面についても考慮しましょう。
帰国後の成績や進学にどう影響する?
特に長期留学の場合、日本独自の科目である国語や社会(日本史)を学ぶ機会はありません。そのため、帰国後に勉強についていけなくなったり、日本の高校への進学に影響が出たりするケースもあります。
こうしたトラブルを避けるためには、留学中にオンラインを活用するなどしてある程度の勉強を進めておくことが必要です。また、私立高校の中には、語学力や対話力を評価する入試を行う学校もあり、留学経験を活かして受験に挑むこともできます。
留学で一番しんどい時期はいつですか?
留学中、特につらいと感じる時期は、留学してから1週間~3ヵ月の時期です。
渡航直後は何もかもが目新しくて、どちらかというと新鮮な刺激を感じることの方が多いでしょう。しかし少し時間が経つと、慣れない価値観や生活習慣、言語の壁などに対して「つらい」と感じ始める人が増えます。
ストレスをためないためには、「だれにでもこのような時期は来るものだ」と前向きに考えることや、友達や家族に悩みを打ち明けることが効果的です。
またエージェントによっては現地スタッフのカウンセリングを受けられる場合もあるため、どうしてもつらい場合は無理せず相談してみましょう。
まとめ|情報収集から始める中学生の留学
中学生の留学は語学力向上だけでなく、人間的に大きく成長する人生のターニングポイントになり得ます。
留学を迷っている段階でも、まずは情報を集めて現地での生活をイメージするところから始めてください。
留学の検討は「早すぎる」ではなく「早いほど有利」
特に留学の検討に「早すぎる」ということはありません。むしろ早いうちから始めることで、人気プログラムに参加できたり留学に必要な資格取得の準備ができたりと、メリットが多いといえます。
また留学先によっては入学や渡航のための手続きに時間がかかる場合もあるため、留学に興味がある場合は早めに検討を始めることをおすすめします。
不安な点はエージェントや専門家への相談
留学を検討する際には、無料相談会やセミナーを利用してエージェントや旅行会社に相談してみましょう。
無料相談会やセミナーでは、多くの場合疑問や不安に答えてもらえるだけでなく、留学の目的や個人の性格などに応じた具体的なプランまで提案してもらえます。現地での生活のイメージが湧きやすいため、留学のタイミングや自分に合った留学スタイルの見極めにも役立つでしょう。
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