海外の高校に進学するには?選び方・費用・必要な英語力を徹底解説【保護者・中高生向け】

「子どもにグローバルな環境で学ばせたい」「将来の選択肢を広げたい」といった考えから保護者や中高生の間で、海外の高校進学が注目を集めています。
しかし「どの国がいいの?」「英語がどのくらい必要?」「費用はどれくらい?」など、不安や疑問も多いはず。
この記事では、初めて海外の高校に進学を検討している人に向けて、選び方・必要な準備・費用・英語力などを網羅的に解説します。

編集部
塾選ジャーナル編集部
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そもそも海外の高校ってどんなところ?
海外の高校は、日本の高校とは異なる自由で多様性を重んじる学びの環境が特徴です。学び方、過ごし方、学校の雰囲気、進路の描き方まで、国や地域によってさまざまなスタイルがあります。
たとえば、以下のようなイメージが一般的です:
- ディスカッション中心の授業:生徒同士で意見交換しながら学ぶスタイル
- 自由な選択制カリキュラム:芸術・スポーツ・科学などから自分の興味で選択
- 課外活動が盛ん:クラブやボランティア、地域活動への参加が奨励される
- 多国籍・多文化なクラスメイト:異なる文化背景を持つ生徒たちとの交流
- 校則がゆるやか:服装や髪型の自由がある学校も多い
- 進路が多様:大学進学、ギャップイヤー、インターンシップなど幅広い
ここからは、海外と日本の高校の違いを、具体的な観点から掘り下げていきましょう。
日本と海外の高校の違い(授業・校風・進路・3年間のスケジュール)
日本と海外の高校の違いについて、以下の4つの視点で比較しました。
- 授業
- 校風
- 進路
- 3年間のスケジュール
上記は日本と海外で特に違いの大きいポイントです。特徴を比較して、自分に合ったスタイルを見極めましょう。
授業
項目 | 日本の高校 | 海外の高校 |
---|---|---|
授業 | ・主に教師が主導する ・生徒は静かに板書を写したり例題を解いたりすることが多い |
・教師と生徒、生徒同士が意見を交わしながら進むスタイル ・ディスカッション、グループワークなどが多い |
カリキュラム | ・ほとんどの科目が必修 ・全ての生徒が同じようなカリキュラムで進む |
・単位制が多い ・自由度が高い ・必修科目が少ない |
評価方法 | ・主に定期試験で評価が決まる | ・テストに加え長期的なプロジェクトなども評価対象とされる |
海外の高校では、授業でグループワークやディスカッションを多く取り入れる傾向があります。静かに座って教師の話を聞くというよりも、他の人と意見を交わしながら授業を受ける必要があるため、より積極的な態度が求められるでしょう。
また大学のように単位制を採用している学校も多く、いわゆる勉強だけでなくスポーツやアートの分野まで、幅広く自分で受講科目を決められるのも特徴的です。
校風
項目 | 日本の高校 | 海外の高校(特に欧米) |
---|---|---|
主に重視されるもの | ・規律を守ること ・協調性 |
・自己管理能力と自立心 ・多様性の受容と異文化理解 |
校則 | ・細かい校則が決められている | ・最低限のマナー程度のことが多い |
特に欧米には、自由や多様性を重視する校風の高校が多く見られます。
髪型や制服の着方など、細かな校則がない学校が多く、最低限のマナーだけが求められるケースが一般的です。例えば「危険な行為を避ける」「露出の多すぎる服装をしない」などが挙げられます。
ただし留学先の国や学校によっては、厳格なルールが決められているので注意が必要です。例えば、イギリスの多くの学校では制服が定められており、校則が厳しい学校もあります。学校選びの際は、事前に校則を確認しておくと安心です。
進路
海外の高校を卒業した場合、そのまま海外の大学へ進学する生徒もいます。
これは、海外の高校が現地の大学進学を前提にしたカリキュラムを組んでいることが大きな理由です。そのため、卒業後に現地大学に進学するケースは一般的となります。
また、海外高校での語学力を生かし、日本の大学の「帰国生入試」や「総合選抜型入試」に挑戦する生徒もいます。他国の大学を目指す生徒もおり、進路選択肢は多様です。
3年間のスケジュール
高校3年間のスケジュールは留学する国や地域によって異なります。
ここでは一例として、アメリカ(欧米)と日本の一般的な高校のスケジュールを比較してみましょう。
日本の高校 | アメリカの高校 (4年制の場合) |
|
---|---|---|
高校1年次 | ・学習の基礎固め | ・興味のある分野の学習を深化 |
高校2年次 | ・文理選択 | ・大学進学の準備 |
高校3年次 | ・大学受験準備 | ・進路の最終選択 ・卒業イベントへの参加など |
アメリカの高校は、日本と異なり4年制の学校がほとんどです。
そのため日本の高校1年生にあたる年には、すでに高校の基礎的な内容は学び終え、それぞれの興味のある分野での学習を深化させています。高校2年生にあたる年は、大学進学に向けて具体的に動き出す時期です。入学要件の含まれる試験を受験したり、願書を作成したりと、忙しく動いています。
高校3年生にあたる年は、進路選択に加え卒業旅行や卒業パーティなどを楽しむ人も多いのが特徴です。日本の共通テストのような一斉試験はないため、卒業までもさまざまな活動をしながら過ごします。
海外高校進学が注目される理由
海外高校への進学が注目される理由としては、以下の2点が挙げられます。
- 国際社会で生き抜く力を身につけられるから
- 日本の大学入試への影響が少なくなってきているから
国際社会で生き抜く力が身につけられるから
海外高校進学が注目される理由の一つに、国際社会で生きていくために必要な柔軟性や積極性が身につく点が挙げられます。
文部科学省が2024年に実施した「海外留学に関する意識調査」によると「変化の激しい時代が来ると言われていることについての、あなたの考えは?」という質問に対し、「対応する自信がある」と答えた生徒の割合は、海外留学未経験の高校生では25%程度にとどまりました。
一方、同じ質問に「対応する自信がある」と答えた割合は、海外留学経験者では60%を超えることがわかりました。
留学を経験することで、異文化に触れた柔軟な思考や問題解決能力が養われます。そのため、将来的に直面する困難や予期せぬ変化にも前向きに対処する力が育つのでしょう。
日本の大学入試への影響が少なくなってきているから
大学入試制度の変化により、海外高校進学が日本の大学受験に不利であるという見方は次第に薄れつつあります。これまでは、海外の高校では国語や日本史など日本特有の教科を学べないことや、卒業・入学時期に違いがあることが懸念されていましたが、近年はこうした懸念も見直されてきています。
●総合型選抜(旧AO入試)の増加と評価の変化
文部科学省が2024年4月26日に公表した「大学入学者選抜における総合型選抜の導入効果に関する調査研究」報告書によると、全国の大学のうち約85.6%の大学が総合型選抜を導入しています。
目的は「受験者を多面的・総合的に評価する」ことにあります。学力だけでなく、主体性、多様性、協働性といった非認知能力も評価されるため、海外高校で培われた多様な経験や能力が有利に働きます。
●国際バカロレア(IB)資格の評価拡大
※国際バカロレア(IB)とは:
スイスのジュネーヴに本部を置く国際バカロレア機構(IBO)が提供する、世界共通の国際的な教育プログラム。主に16歳~19歳を対象にした「ディプロマ・プログラム(DP)」では、探究的な学びや批判的思考力、多文化理解などを重視し、大学進学に必要な知識と資質を総合的に育てます。IBの評価は試験だけでなく、論文やプレゼンテーション、プロジェクト等も含まれます。
文部科学省IB教育推進コンソーシアムの「令和3年度 国際バカロレア(IB)を活用した大学進学に関する調査(要約)」によると、IBを活用する大学ではIB生に語学力だけでなく「主体性・積極性・チャレンジ精神」や「課題発見・解決能力」を期待しています。同調査では、約8割の大学がIB生の入学後の学習状況に満足しており、IB教育が育む人材像が大学の求めるグローバル人材像と合致していると評価されています。
●英検、TOEFL、IELTSなどの英語外部試験のスコアによる評価
文部科学省の資料「5.英語資格・検定試験の活用の実態」によると、国公私立大学の43.0%が民間の英語資格・検定試験を入学者選抜に活用しています。出願資格、得点換算、加点、優遇・参考など多様な形で利用され、特に総合型選抜での活用度が高いです。海外高校で高い英語力を習得した生徒は、これらの試験のスコアを提出することで、自身の英語力を客観的に証明し、入試において有利な条件を得られます。
これらの変化により、海外高校での経験や多様な能力が日本の大学入試で評価される機会が増え、留学が有利な選択肢となっています。
海外高校進学のメリットとデメリット
海外高校進学のメリットとデメリットは、以下の表の通りです。
海外高校進学のメリット | 海外高校進学のデメリット |
---|---|
|
|
海外高校進学には、メリット・デメリットの両面があります。
留学中は、学校や滞在先で基本的に英語を使ってコミュニケーションを取ります。現地の生徒や教師、さまざまな国から集まった留学生との交流を通じて、語学力だけでなく、積極的に自分の意見を伝える力や柔軟なコミュニケーション能力も養われます。
卒業後の選択肢が増えるのも海外高校進学のメリットです。留学先や日本の大学はもちろん、磨いた語学力や経験を生かして、新たな国の大学進学を目指す人もいます。
一方数年単位で海外に滞在するため、非常に高額な費用が必要になる点には注意が必要です。
また文化や言語の壁にぶつかり、孤独を感じたり辛い思いをしてしまう恐れもあります。
留学先の高校に正規入学した場合でも、途中で帰国した際に日本の高校に復学できないケースや、編入が認められず一時的に「最終学歴が中学卒業」と扱われるリスクがあります。
実際、日本の学校制度と海外の卒業要件は異なるため、日本の高卒資格を取得するには、帰国後に転入できる学校の有無や単位認定の条件を事前に確認しておく必要があります。
進学前にエージェントや希望校に「途中帰国時の編入・学歴移行の対応」が可能かどうかを確認しましょう。
メリット・デメリットの両方を把握したうえで、自分にとって本当に必要な進路かどうかを判断しましょう。
自分の意見をしっかり持ち、異文化に対して前向きに挑戦できる人にとっては、海外高校進学は大きなチャンスとなります。
どんな人に向いているか
海外高校進学が向いているのは、以下のようなタイプの人です。
- 海外進学の目的が明確な人
- 好奇心旺盛な人
- 物事に対して「こうあるべき」というこだわりが少ない人
- 自分の意見をはっきり言える人
- 自己管理ができる人
海外の高校進学に向いているのは、進学に明確な目的意識を持つ人です。長期間にわたる留学中には、困難に直面し挫折しそうになることも起こり得ます。しかし目的が明確なら、困難に直面しても挫折しにくくなります。
異文化を楽しめる好奇心や柔軟性がある人、意見を素直に伝えられる人は、留学先でもスムーズに適応できます。
また留学期間が長期にわたる海外進学では、自己管理ができる人や身の回りのことが一通りできる人のほうが、日常生活でトラブルに巻き込まれにくいでしょう。
ただし当てはまらない項目があるからといって、まったく海外進学に向かないというわけではありません。弱点を克服する目的で留学すれば、人間的にも大きく成長できるでしょう。
海外高校に進学するための5つのステップ
海外の高校に進学するには、どのような準備が必要なのでしょうか?
「気になるけれど何から始めればいいかわからない」という方に向けて、ここでは海外高校進学までの流れを5つのステップに整理して、わかりやすく解説します。
進学の成功には、早めの計画と、一つひとつの丁寧な準備が欠かせません。まずは全体像をつかんで、自分に今何が必要かを把握することから始めましょう。
1. 留学したい国を決める
最初のステップは「どこの国で、どんな学校に通いたいか」を決めることです。
英語圏だけでも、アメリカ・カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランドなどがあり、各国の教育制度や入学時期、進級ルールは大きく異なります。
たとえばアメリカやカナダは9月、オーストラリアやニュージーランドは2月が新学期のスタートです。中学卒業から高校入学までにブランクが生じるケースもあるため、余裕をもったスケジュール調整が必要です。
また、学校には以下のような多様な選択肢があります。
- ボーディングスクール:寮生活で規律を重視
- IB(国際バカロレア)校:グローバル大学進学に強い
- 公立高校:現地の生徒と学べる環境
「どんな環境で学びたいか」という軸を持つことが、後悔しない選択につながります。
2. 留学費用を調べる
留学先を検討する際は、どの程度の費用がかかるかを早い段階で把握しておくことが大切です。学費や滞在費はもちろん、渡航費や保険、ビザ申請費用なども発生します。
国や学校の種類によって金額は大きく異なるため、「どの程度の予算が必要なのか」「自分たちの家庭で負担できる範囲はどこまでか」を確認することが、進学ルートを選ぶうえでの重要な判断材料になります。
また、費用面がネックになる場合は、奨学金制度や費用を抑えられる国・学校のタイプも早めに検討しておくと安心です。
具体的な費用の内訳や奨学金の種類については、後半の「海外高校進学にかかる費用と奨学金」のセクションで詳しく紹介していますので、あわせてご確認ください。
3. 入学方法を調べる
学校を選んだら、入学に必要な条件や出願方法を調べます。
準備には時間がかかることが多いため、早めに学校のホームページで詳細を確認し、計画的に準備を進めましょう。
出願に必要な代表的な書類は以下の通りです。
書類 | 備考 |
---|---|
願書 | オンラインで提出。学校指定のフォーマットを使用。 |
中学校の成績証明書 | 高校2年での進学の場合は、高校1年までの成績も必要 |
エッセー | 自己アピール文。学校指定のテーマがある場合も |
推薦状 | 在籍校の教師に作成してもらう。 |
テストスコア | TOEFLやIELTSなど。スコアの下限が決められている場合もある。 |
提出する書類は学校によって異なりますが、上記の書類に加え、パスポート情報や財政能力証明書、課外活動の実績やポートフォリオ、自己PRビデオを求める学校もあります。
これらの書類は、単に提出するだけでなく、内容の質が選考に直結します。特に志望理由書では「貢献の意欲」や「個人のビジョン」が問われるため、自分の言葉でしっかりと表現することが重要です。
4. 英語の勉強をする
海外高校では、現地の学生と一緒に授業を受けるため、一定の英語力が求められます。
以下は代表的なスコアの目安です:
試験名 | 目安スコア |
---|---|
英検 | 2~準1級 |
TOEFL iBT | 60~80程度 |
IELTS | 5.5~6.0程度 |
多くの学校で、TOEFLやIELTSなどのスコア提出が求められます。学校によっては、ESL(英語補習)付きの条件付き入学も可能ですが、基本的には早めの英語試験対策が必須です。なお、日本の「英検」は、一部の学校では英語力の証明として使えない場合があるため、注意が必要です。
加えて、中学校の成績(または高校1年までの成績)が重視されることも忘れてはいけません。特に優秀な成績を条件とする学校もあるため、日頃の学習態度が大きな鍵になります。
ただし、成績が少し基準に満たない場合でも、スポーツやアートなどの課外活動実績や学習意欲をアピールできれば、入学が認められる可能性もあります。
5.留学エージェントに相談・問い合わせる
留学の方向性がある程度定まったら、信頼できる留学エージェントに相談することをおすすめします。
エージェントは、国や学校の選び方、出願スケジュール、必要書類の準備などを幅広くサポートしてくれる心強い存在です。
初めての留学で不安なことが多い方ほど、プロの知見を生かして効率よく準備を進めることが成功への近道になります。
※エージェント選びの詳しいポイントや比較方法については、記事後半の「高校留学のエージェント会社はどう選ぶ?」で解説します。
いつから準備を始めるべき?
海外進学の準備は、少なくとも出国の1年半から1年前には始めることをおすすめします。
進学前には留学国・出願校の決定や、必要書類の手配、事前手続きなどやるべきことが多くあります。
また、英語力の向上や成績の確保には時間がかかるため、早い段階で計画的に動き始めることが成功の鍵です。
目的に合った国選び|海外進学先4カ国の特徴とおすすめ比較
海外高校進学の留学先は、国ごとに教育制度・費用・文化などが大きく異なります。ここでは、アメリカ・カナダ・イギリス・オセアニアの基本情報と、目的別におすすめの国を整理してご紹介します。
アメリカ・カナダ・イギリス・オセアニアの特徴と基本情報
国名 | 特徴 | 教育制度・文化 |
---|---|---|
アメリカ | 多様な文化・柔軟なカリキュラム | ディスカッション中心の授業。 進学実績のある私立高校が中心。 移民法により、公立高校への1年以上の留学は不可。 |
カナダ | 治安が良く留学生に寛容 | 公立高校も留学生に開かれており、費用が比較的安価。 多文化社会。 アメリカの大学への進学実績を持つ公立学校も。 |
イギリス | 学術重視・格式ある教育環境 | ボーディングスクールが主流。 A-Level取得で大学進学。 制服着用など校則が厳しいことも。 |
オセアニア (オーストラリア・ニュージーランド) |
フレンドリーな環境と治安 | 公立高校への進学が可能。 日本との時差が少なく、家族と連絡を取りやすいメリットも。 |
※参考:文部科学省「日本人学生の海外留学状況」及び「外国人留学生の在籍状況」
物価や為替の変動によって金額が大きく変動することがあります。進学先やプランによって異なるため、詳細は信頼できるエージェントに相談して、最適なプランを確認することをおすすめします。
目的別おすすめの国(IB取得/英語重視/費用抑えたい など)
留学先の国を選ぶには「何を達成したいか」が重要です。
留学の目的 | おすすめの国 | 理由・特徴 |
---|---|---|
IB資格を取得したい | イギリス、カナダ | IBプログラム導入校が多数ある |
英語力を重点的に伸ばしたい | アメリカ、イギリス | 英語圏の中でも学術水準が高く、 実践的なスピーキング・ライティング力が身につく。 |
費用を抑えたい | カナダ、オセアニア | 公立高校進学が可能。 授業料・生活費ともに比較的安価。 |
治安が良い国で学びたい | カナダ、ニュージーランド | ニュージーランドは世界平和指数でも上位にランク。 初めての海外生活でも安心。 |
世界的名門大学を目指したい | アメリカ、イギリス | ハーバード、オックスフォードなどの 難関校への進学実績が豊富な進学校もある。 |
IBとは国際バカロレア(International Baccalaureate)の略で、16~19歳を対象とした世界的教育プログラムのことです。
海外高校進学で行ける学校のタイプと選び方
「海外高校」と一口に言っても、学校ごとに特徴はさまざまです。進学後の生活を充実させるためには、各学校の特徴を理解し、自分の留学目的や性格、予算に合った学校選びが重要です。
ボーディングスクール
ボーディングスクールは、全寮制で生徒と教師が寮生活を共にする私立高校です。学業だけでなく生活面・精神面でも手厚いサポートを受けられます。規律ある共同生活の中で、自立心やリーダーシップ、協調性が養われるのが特徴です。
- 留学の目的:
- 学業・生活の両面でサポートを受けながら成長したい
- リーダーシップや自立心を育てたい
- 海外大学進学を見据えた質の高い教育を受けたい
- おすすめの性格:
- 規律ある生活を大切にできる人
- 積極的に他者と交流できる人(共同生活が中心)
- 自分の生活リズムを確立できる人
- 予算:
- 高め:授業料・寮費・課外活動費などが高額になりやすいため、予算に余裕がある家庭向け
現地公立高校
現地の公立高校は、現地の生徒と共に通学する税金で運営される学校で、学費が比較的安価です。地域によって学校の規模や特色が異なり、多様な教育環境が提供されています。
- 留学の目的:
- 英語を使って現地の生徒と交流したい
- 異文化体験や国際感覚を身につけたい
- 学費を抑えて長期留学を実現したい
- おすすめの性格:
- 現地の文化や生活に積極的に溶け込める人
- コミュニケーション力があり、異なる背景の友人とも交流を楽しめる人
- 柔軟に環境へ適応できる人
- 予算:
- 安価:学費は無料または比較的安価。コストを抑えたい人におすすめ
IB校
IB(国際バカロレア)校では、世界共通の大学入学資格である「IBディプロマ」を取得することができます。探究学習を重視し、論理的思考力や国際理解、多角的な視点を養うことが特徴です。公立・私立のいずれにも、IBプログラムを導入している学校があります。
- 留学の目的:
- 海外の大学進学を目指す
- 高度なアカデミックスキル(論理的思考・プレゼン能力など)を身につけたい
- 国際的な教育環境で学びたい
- おすすめの性格:
- 自主的に学習できる人
- 探究心が強く、課題解決型の学びを楽しめる人
- 論理的思考や国際問題への関心が高い人
- 予算:
- 幅広い:IB校は私立・公立の両方があるため、学校によってコストに差がある。中〜高予算層向け
SNSや口コミで学校を探すコツと注意点
SNSや口コミで学校を探す方法としては、以下のようなものが挙げられます。
- SNSで学校の口コミや留学体験談を探す
- SNSで実際に留学している人をフォローする
- 留学に関する口コミサイトをチェックする
SNSや口コミサイトでは、実際に海外の高校に進学した人の体験談を知ることができます。授業の雰囲気や日常生活の様子など、学校のホームページを見ただけではわからないリアルな情報を得られるので、より留学後の生活をイメージしやすいでしょう。
ただしSNSや口コミサイトの情報は、あくまで個人の感想です。一つの意見に偏らず、複数の情報源を参考にして総合的に判断することが重要です。
ランキングの正しい見方
留学先を選ぶ際、エージェントや機関が発表する「留学先ランキング」を参考にすることもあるでしょう。しかし、ランキング上位の国が必ずしも自分に合った国であるとは限りません。
ランキングは、特定の指標に基づいて作成されているため、順位だけで選ぶのは危険です。自分の目標や経済状況を考慮し、複数の視点から留学先を選ぶことが重要です。
海外高校進学にかかる費用と奨学金
海外の高校に進学するには、学費や滞在費、航空券代などさまざまな費用がかかります。国や学校の種類によって金額の幅は大きく、年間350万円〜1,500万円ほどが一般的です。
まずは費用の内訳と相場を理解し、無理のない進学プランを立てましょう。ここでは、費用の内訳、活用できる奨学金、そして費用を抑える方法をご紹介します。
年間費用の内訳(学費・寮費・生活費)
海外高校進学に必要な年間費用は、350~1500万円と留学先の国や地域、学校の種類によって大きく異なります。
年間費用の主な内訳は以下の表で確認しましょう。
項目 | 備考 |
---|---|
学費 | 学校の種類やプログラムによって異なる。 |
滞在費 | 学生寮やホームステイにかかる費用。 |
生活費 | 交通費、通信費、雑費など ※物価に注意 |
航空券代 | 留学先の物価や時期によっては価格が変動する。 夏と冬の長期休みに年間2往復する場合も想定。 |
パスポート申請料 | 18歳未満は5年間有効旅券(11,000円) ※有効期限は要確認 |
ビザ費用 | 留学先や留学期間によって必要な申請や費用は異なる。 |
留学保険料 | 現地での病気やけがに備え、必須加入 ※補償内容まで確認する |
年間費用には、学費や滞在費のほか生活費や航空券代、各種申請費用などが含まれます。
年間費用には学費や滞在費のほか、生活費や航空券代、申請費用なども含まれます。
特に生活費や航空券代は、物価や移動時期によって大きく変動するので、注意が必要です。また、パスポートの有効期限を確認し、1年以内に更新が必要な場合は早めに手続きを済ませましょう。
イギリス:ボーディングスクールを想定したおよその費用(1年間)
項目 | 金額(GBP) | 備考 |
---|---|---|
学費 | £30,000〜£45,000 | 授業料+寮費を含むパッケージ |
生活費 | £2,000〜£3,000 | 通信費・交通費・外食などの個人支出 |
航空券代 | £1,000〜£1,500 | 年間2往復(ロンドン往復:約£500〜£750/回) |
ビザ費用 | £1,266 | 申請料:£490+IHS:£776/年 |
留学保険料 | £500〜£800 | 民間の国際留学保険加入を想定 |
▶︎ 合計目安:£34,766〜£51,566 (約690万円~1020万円 ※1 GBP ≒ 198JPYで換算)
カナダ:公立高校+ホームステイを想定したおよその費用(1年間)
項目 | 金額(CAD) | 備考 |
---|---|---|
学費 | CAD 12,000〜CAD 16,000 | 公立高校の留学生向け授業料 |
滞在費 | CAD 9,000〜CAD 12,000 | ホームステイ(CAD 750〜1,000/月) |
生活費 | CAD 1,500〜CAD 2,500 | 通信費、交通費、外食等の個人支出 |
航空券代 | CAD 2,000〜CAD 2,500 | 年間2往復(トロント/バンクーバー基準) |
ビザ費用 | CAD 157 | Study Permit(就学許可証)申請料 |
留学保険料 | CAD 600〜CAD 1,200 | 留学保険(地域・プランによる |
▶︎ 合計目安:CAD 25,257〜CAD 34,857 (約290万円~400万円 ※1 CAD ≒ 115円で換算)
奨学金には「給付型」と「貸与型」がある
高校進学に利用できる奨学金には「給付型」と「貸与型」の2種類があります。
給付型は返済不要の奨学金で、受け取ったお金はそのまま支給され、帰国後の経済的負担を軽減できます。
ただし、募集人数が少なく、利用用途に制限がある場合もあるため、事前に確認が必要です。
貸与型は返済が必要な奨学金で、無利子と有利子のタイプがあります。
給付型よりも募集人数が多く利用しやすいですが、返済計画を事前に立てることが大切です。
以下に、2025年7月時点で確認できた奨学金の一例を紹介します。
奨学金の詳細や利用条件を確認し、自分が応募できるかどうかチェックしてみましょう。
奨学金名 | 給付/貸与 | 応募要件、金利など |
---|---|---|
UWC日本協会 「UWC奨学生」 |
給付 |
|
リクルートスカラシップ スポーツ部門 |
給付 |
|
日本政策金融公庫 (JFC) |
貸与 |
|
各奨学金とも、条件や応募要件や募集時期、利用可能金額が異なります。詳しくは各企業・団体のホームページで確認して下さい。
なお留学生の奨学金として知られている「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム【高校生コース】」は日本の高校などに在籍している学生を対象とした制度です。そのため海外進学は支援対象に当てはまりません。
費用が抑えられる国と学校のタイプ
費用を抑えて海外進学するには、以下の国や学校のタイプを選ぶのがおすすめです。
- 留学先:カナダ、オセアニア
- 学校のタイプ:公立校
カナダやオセアニアは、同じく留学先として人気のアメリカやイギリスに比べて物価が安いのが特徴です。また比較的学費の安価な公立高校を選ぶことも可能なので、できるだけ費用を抑えて留学したい人にはぴったりの留学先といえます。
高校留学のエージェント会社はどう選ぶ?
高校留学のエージェント会社とは、留学手続きのサポートを行う専門業者です。学校選びのアドバイス、出発までの手続き代行、現地でのトラブル対応など、留学に必要な幅広いサービスを提供します。
ただし、料金やサポート内容はエージェントによって異なるため、事前に予算や必要なサポートを明確にしておくことが重要です。
エージェント会社を利用するメリット
エージェント会社を利用するメリットとしては、以下の5点です。
- 現地の最新情報や留学体験が得られる
- 一人ひとりに合ったプランを提案してもらえる
- 申請書作成や手続きのサポートが受けられる
- 留学前の英語力向上をサポートしてくれることも
- 現地滞在中にサポートを受けられるサービスも
エージェントを利用すると、ホームページやSNSに載っていない最新の現地情報や経験者のアドバイスが得られます。また、一人ひとりの目的や経済状況に合った進学先を提案してもらえるため、滞在国や学校選びに迷っている人にとっては心強い存在です。
さらに、エージェント会社は留学に関する幅広いサポートも行っています。留学前の申請書作成や手続き、英会話レッスンに加え、手厚い現地サポートを提供しているエージェントもあるため、滞在先で学習に集中できるのも、利用のメリットです。
エージェント会社を利用するデメリット
メリットの多いエージェント会社利用ですが、以下のようなデメリットがある点にも注意しましょう。
- 留学費用が高額になる
- サービス内容や質にばらつきがある
- 進学先の選択肢が狭まることがある
- 留学保険の加入先を指定される場合がある
エージェント会社によっては、利用すると手数料が発生することがあります。手数料の相場は3万~30万円程度です。予算に余裕がない場合は、注意が必要です。
また、エージェント会社によっては、提供するサービス内容や質が異なります。中には、十分な説明がないまま特定の学校を強く勧めたり、サポートが不十分な場合もあります。
エージェントを選ぶ際は、総費用だけでなく、手数料やサービス内容も細かく確認することが大切です
無料相談・資料請求の活用方法
エージェント会社を探す際には、まずは無料相談や資料請求を利用してみましょう。
資料請求を通じて、複数のエージェントの比較ができます。これにより、費用やプラン、サービス内容を見比べて各社の特徴がわかりやすくなり、初めての人でも自分に合ったエージェントを見つけやすくなります。
希望の進学先が実現できそうなエージェントを2~3社に絞ったら、無料相談を利用するのがおすすめです。無料相談では、具体的なプランや疑問点を解消してもらえるだけでなく、エージェントとの相性も確認できます。
よくある質問(FAQ)
最後に、海外の高校進学に関するよくある質問をまとめました。
英語が苦手でも海外高校に行けますか?
滞在国や学校によっては、英語が苦手でも海外高校に進学できます。
英語が苦手でも、ニュージーランドやカナダの公立高校では英語力が問われない場合もあります。
多くの学校では、留学生向けの英語クラス(ESL)を受講しながら、他の授業にも参加できるため、短期間で語学力を向上させることが可能です。
一方、アメリカやイギリスの学校では、英語力の証明としてTOEFLやIELTSのスコアが求められることが一般的です。
スコアに下限が設けられている場合もあるため、英語が苦手な場合は、事前に準備をしっかり行うことが大切です。
途中編入(高2からなど)は可能?
海外の高校への途中編入は、語学力によっては可能です。
途中編入の場合、入学時点での学力や語学力に基づき、学年が決まります。
そのため、日本の高校に在籍していた学年とは異なる学年に編入されることがあり、卒業時期が延びる場合もあるため、事前に確認が必要です。
海外高校から日本の大学に進学できますか?
海外高校を卒業後、日本の大学に進学することは可能です。。
一般的には、帰国生入試や総合選抜型入試を利用しますが、学校やプログラムによっては募集人数が少ないことがあります。そのため、事前に入試条件を確認することが重要です。
また、一般入試での受験も可能ですが、海外高校の卒業時期と日本の大学入試の時期が重ならないことがあるため、受験のタイミングが1年遅れる場合があります。さらに、日本の高校特有の科目(国語や日本史)を学んでいないため、個人での対策が必要です。
海外高校に行ったら就職に有利ですか?
海外高校を卒業すると、外資系企業や総合商社などでは強いアピールポイントとなります。
ただし、就職試験では経歴そのものが評価されるわけではありません。就職を有利に進めるためには、企業のニーズに合わせて、海外進学で得た経験や語学力、コミュニケーション能力がどのように活かせるかを明確にしておくことが大切です
留学にかかる費用はどのくらいですか?
海外高校への進学にかかる費用は、年間350万~1500万円程度です。
費用は、留学先の国や地域、入学する学校の種類によって大きく異なります。また、物価の変動によって費用が増減することもあるので、事前にしっかり確認しておくことが重要です。
留学先での学費・滞在費・生活費が無料になる制度はありますか?
「給付型」の奨学金を利用すると、留学先の学費や滞在費、生活費などが実質無料になる場合があります。
給付型奨学金を利用すると、学費や滞在費、生活費が実質無料になることがあります。
例えば、UWC日本協会の「UWC奨学生制度」では、家庭の経済状況に応じて奨学金額が決まるため、学費や滞在費、生活費がほぼ無料になる場合もあります。
ただし、給付額が高い奨学金は競争が激しく、少ない枠を優秀なライバルと争う必要があるため、誰でも利用できるわけではありません。
まとめ|海外高校進学で未来を切り開こう
海外高校進学は、語学力の向上だけでなく、夢や目標に近づき、今後の人生を切り開く力を養う絶好の機会です。
新しい環境で学び、成長することは、自己成長や人間性を深める貴重な経験となります。
成功するためには、子どもの性格や家庭の状況に合った進学ルートを選ぶことが重要です。この記事を参考に、自分に合った進学の形を見つけましょう。
海外高校進学の準備は早めがカギ!
海外高校進学には、日本の高校進学以上に多くの準備や手続きが必要です。
学校のスタイルや授業内容、費用面など、進学先によって大きく異なるため、自分に合った学校をじっくり探すことが大切です。
まずは無料相談や資料請求からスタート
「何から始めたらいいかわからない」という方は、留学エージェントの無料相談に参加し、資料請求からスタートするのがオススメです。
これにより、進学後のイメージがより具体的になり、その後の学校選びや国選びがスムーズに進むでしょう。
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