中学受験|親の不安をあおるSNSとの付き合い方と“心の守り方”

「うちの子、今のままで大丈夫なのかな…」中学受験を控え、ほかの家庭と比べて焦ってしまう──そんな保護者は少なくありません。
SNSで合格者の体験談や勉強時間の投稿を目にしたり、ママ友との会話で「うちは毎日◯時間やっている」という話を聞いたりするうちに、不安が募ってつい心が乱れてしまうこともあります。
今回は、プロ家庭教師・メンターとして多くの受験家庭に伴走してきた安浪京子先生に、情報に振り回されないための心の持ち方についてお話を伺いました。

編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

監修者
安浪京子先生
神戸大学発達科学部にて教育について学ぶ。関西、関東の大手進学塾で中学受験生に算数を指導、プロ家庭教師としては25年以上。中学受験に関する講演、セミナーなど多数。中学受験の悩みを解消するコミュニティーサイト「中学受験カフェ」を運営。「きょうこ先生」として朝日小学生新聞、AERA with Kidsなどでさまざまな悩みに答えている。 受験算数動画の再生回数は400万回以上、音声配信サービスVoicy「きょうこ先生の『教育何でも相談室』」は教育カテゴリで常時上位ランクイン。著書に『中学受験最短合格ノート』(朝日新聞出版)、『中学受験大逆転の志望校選びと』過去問対策 令和最新版』(ダイヤモンド社)など多数。

SNSや塾で周りと比べて焦る…その不安を手放し、わが子に集中するためのヒント
【CASE 032】小学5年生・男子
性格:
元気いっぱいで好奇心旺盛な性格。友達と遊ぶのが大好きで、まだまだ甘えん坊。
【今回のお悩み】
ペンネーム:やんたろうさん(小学5年生 保護者)
子どものペースを大切に中学受験に向き合いたいと思いながらも、つい周りの家庭と比べてしまいます。SNSや塾でほかの子の話を見たり聞いたりすると、「うちの子は、大丈夫なのかな」と焦りを感じることも多いです。消えない不安にどう向き合えばよいのでしょうか。
中学受験で不安が増す理由は「SNS」? 親がまずできるシンプルな行動とは
そのSNS、本当に必要? 親の不安が増える情報の“落とし穴”
悩みを解消したいからSNSやインターネットを見ているはずなのに、かえって不安になってしまう親御さんは本当に多いです。つまり結果として、自ら不安を取りにいっていることになりますよね。
まずやるべきは、「SNSの情報をのべつまくなしに見ない」この一言に尽きます。InstagramでもXでも、「中学受験」のアカウントやタグのついた投稿は、よほど信頼できる発信元・発信者以外は見るのをやめましょう。
なぜなら、不特定多数に向けた匿名の投稿には、バズることを目的に不必要に不安をあおるような投稿も含まれているからです。
またアルゴリズムによって普段自分が見ているものに近い情報がヒットするのがインターネットの仕組み。幅広い情報を集めているようで、実は情報が偏っている点にも注意が必要です。
比較より「プロの知見」を!わが子に合う受験対策の見つけ方
中学受験前に親が焦りを覚える原因の多くは「周りの子と比べてしまうこと」です。「この問題集がよかった」というSNSの投稿を見れば、「うちの子にもやらせるべきか」と思うことがあるでしょう。
また同じ塾に通う子が何時間勉強しているという話を聞けば、「うちの子にももっと勉強させなければ」と焦燥感を覚えることもあります。
しかし、それらの母数は「1」、とある家庭の一例であることを忘れてはいけません。仮にSNSの投稿者の子がその問題集に取り組んで難関校に合格していたとしても、「あなたの子どもの話でしょ」というだけのことです。
受験のために適した勉強法、とるべき対策は、お子さん一人ひとり異なります。その子が置かれている状況や得意・不得意、性格・タイプ、ご家庭が考える受験へのスタンス…数々の複合的な要素によって導かれる正解は違うものです。向き合うべきは、我が子のみ。周囲と比べる必要はありません。
中学受験に関する情報を得るなら、本名と顔出しをして複数のサイトで情報を提供していたり、ノウハウ本を出していたりする、多くの受験生たちをサポートしてきた塾講師・家庭教師といった実績のある教育関係者を頼りましょう。通っている塾の講師に相談してもよいですし、中学受験に関する相談ができるカウンセリングサービスを利用してもよいと思います。プロの目線でお子さんと向き合ってくれる人で、かつ常に最新情報をアップデートしている人を味方につけたいですね。
また志望校に通っている子どもの親御さんからのリアル情報などは、SNSでなければ得られないものでもあります。しかし、その情報もあくまで“その親御さんのフィルター”を通したもの。まずは各学校や部活の公式アカウントといった王道の情報から入り、匿名個人の発信は一定の距離を持って情報を得るよう常に意識しましょう。
親の焦りは子に伝染する。“不安情報”から距離を置くコツとは?
子どもは、親の焦り・不安を敏感に感じるもの。中学受験という試練を親子で乗り切るためには、親御さんのメンタルケアも大事なことです。自分の心が不用意に乱れてしまわないよう、日々の過ごし方を変えてみてください。
ただSNSを眺めてモヤモヤしているよりも、体を動かす、マッサージに行くなどの自分メンテナンスをしたり、教材や宿題を整理するなど子どものために時間を使ったりするほうがずっと建設的です。
もし焦りを感じてしまうのであれば、ママ友・パパ友とも距離を置くほうがよいでしょう。
いらない情報をシャットダウンするだけでも、周囲と比べてしまう回数はぐっと減ると思いますよ。
本当に大切なことを見失わないために。「スマホを手放す」親の選択肢
ここ数年の傾向として、保護者の方と話しているといつもSNSで情報を得ているために、フォロワー数や「いいね」の数が多い情報を正しいと錯覚するケースも多々あるように感じます。裏付けのある情報もない情報も区別なく、「One of them(たくさんある情報のうちの一つ)」として捉えていると、本当に価値のある情報を見逃してしまうんですよね。
手軽に情報を探せる利便性がある半面、「何が正しいのか」を見極める情報リテラシーが問われる現代社会において、SNSは中学受験に挑む親にとっても“怖いツール”といえるかもしれません。情報に振り回されることのないよう、一度スマホを置いて「自分の子どもと向き合う」という本来の姿に立ち返ってみてはいかがでしょうか。
成功へ導く賢者からの金言!
SNSからは距離を置くのがベスト!
情報を得るなら、知識のあるプロを頼って。
対象:中学受験をする予定の子どもをもつ保護者50名にアンケートを実施
期間:2025年5月21日~26日実施
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

神戸大学発達科学部にて教育について学ぶ。関西、関東の大手進学塾で中学受験生に算数を指導、プロ家庭教師としては25年以上。中学受験に関する講演、セミナーなど多数。中学受験の悩みを解消するコミュニティーサイト「中学受験カフェ」を運営。「きょうこ先生」として朝日小学生新聞、AERA with Kidsなどでさまざまな悩みに答えている。 受験算数動画の再生回数は400万回以上、音声配信サービスVoicy「きょうこ先生の『教育何でも相談室』」は教育カテゴリで常時上位ランクイン。著書に『中学受験最短合格ノート』(朝日新聞出版)、『中学受験大逆転の志望校選びと』過去問対策 令和最新版』(ダイヤモンド社)など多数。