商学部では何を学ぶ?就職事情や向いている人も徹底解説

「商学部って経済学部や経営学部とどう違うの?」「商学部を出たら、将来どんな仕事に就けるの?」
そんな疑問を持つ方も少なくないでしょう。
商学部は「ビジネスに強い学部」と言われていますが、実際に何を学ぶのか、就職や将来の仕事にどうつながるのかは分かりにくいかもしれません。
商学部では、経営・会計・マーケティング・金融・国際ビジネスといった、企業活動に欠かせない幅広い知識を実践的に学べます。社会に出たときにすぐに役立つスキルを身につけやすいのが大きな特長です。
この記事では、商学部で何を学ぶのか、卒業後にどんな就職先があるのか、女子のキャリアや「やめとけ」と言われる声、向いている人の特徴まで、進路選びに役立つ情報をわかりやすく解説します。

編集部
塾選ジャーナル編集部
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商学部とは?何を学ぶ?
商学部は、商品やサービスの企画から販売までの流れを、体系的に学べる学部です。
製品やサービスが生まれ、社会に広まり、消費者の手に届くまでに必要となる経営・会計・金融・流通・マーケティングなど、多様な分野を理論と実践の両面から学びます。
商学部で学ぶ内容
商学部で何を学ぶのか分からない、と感じる学生も多いと思います。
商学部では、会計・マーケティング・金融など、実務に直結する内容を学べるため、将来の就職先選びや職業選択の場面で役立つ知識を身につけることができます。
ここからは商学部で何を学ぶか、主要な学問分野について紹介します。
主な学問分野
● 経営学
企業がどのように組織を動かし、価値を生み続けるかを探る分野です。
経営戦略、組織マネジメント、人事制度、リーダーシップ論などを通じ、組織の持続・成長のための課題を見出し、その解決策を考えます。
● 会計学
企業の経営状態を「数字で可視化する」力を身につける分野です。
簿記、財務会計、管理会計などを学び、公認会計士・税理士などの資格にも直結します。
● マーケティング
「どうすればモノが売れるのか」を科学的に分析する分野です。
市場調査やブランド戦略、広告・販促に加え、近年はデジタルやSNS活用も重視されます。
● 金融(ファイナンス)
企業の資金調達や投資判断、証券市場の仕組みを扱う分野です。
近年は環境・社会・ガバナンスを考慮したESG投資など、持続可能な金融の動きも広がっています。
● 国際経営・グローバルビジネス
国際市場での企業戦略や異文化対応を学ぶ分野です。
留学や海外インターンを通じ、現場で国際ビジネスを体験できる機会もあります。
● データ分析・情報活用
統計やAIなどを用いてビジネスデータを読み解く分野です。
売上や顧客情報を分析し、経営や販売戦略に活かす力を養います。
こうした学びを通して、商学部は会計・マーケティング・流通・金融・国際貿易などを中心に、理論と実務を結びつける教育を行います。
商学部での学びを活かせる資格
商学部で学ぶ内容は、ビジネスに関する幅広い資格取得に直結しています。
講義やゼミで身につけた知識やスキルがそのまま試験勉強に役立つことも多く、在学中に複数の資格取得に挑戦する学生も少なくありません。
●日商簿記検定(1〜3級)
経理や会計の仕事に欠かせない知識とスキルを証明できる資格です。
商学部で学ぶ会計学や財務会計、管理会計の内容が試験範囲と重なるため、授業がそのまま試験対策になる場合も多くあります。
●ファイナンシャルプランナー(FP技能士/AFP・CFP)
商学部で学ぶ金融・保険・税務の基礎知識もFP試験の内容と重なっています。銀行・証券・保険などの金融業界や資産運用関連の職業にも活かせ、就職先の選択肢を広げる強みにもなります。
●中小企業診断士
経営学・マーケティング・会計・法務など商学部で学ぶ幅広い知識を総合的に活かせる国家資格です。企業の経営課題を分析し、改善策を提案する役割を担います。企業コンサルティングや経営企画職を目指す学生に人気があります。
●マーケティング・ビジネス実務検定
市場分析やプロモーション戦略の知識を測る検定です。マーケティング論や消費者行動論などの授業とリンクし、就職活動でも活かせます。
●証券アナリスト(CMA)・証券外務員
証券アナリスト(CMA)は、証券投資や企業分析の専門知識を持つことを証明する資格です。証券外務員は、金融商品を販売・勧誘するために必要な業務資格です。商学部で学ぶファイナンスや金融市場論の知識が試験に役立ちます。
こうした資格は、在学中の取得によって就職活動時の強力な武器となります。社会人になってからも昇進や異動、キャリアチェンジの場面で活き、商学部で学ぶ大きなメリットのひとつといえます。多くの大学では資格講座や模擬試験などの資格取得の支援制度が整っており、学びと資格取得を両立させやすい環境が整っています。
商学部を構成する学科の種類
商学部には、大学によって複数の学科やコースが設けられています。代表的な学科は、「商学科」「会計学科」「マーケティング学科」「ファイナンス学科」などです。商学部の各学科では、会計・財務管理・市場分析・販売戦略・資金運用など、企業活動に欠かせない主要分野を体系的・専門的に学ぶことができます。
さらに、こうしたスタンダードな学科に加えて、専門性の高いユニークな学科やコースを展開している大学もあります。
たとえば同志社大学 商学部では、「経済・歴史」「商業・金融」「貿易・国際」「企業・経営」「簿記・会計」の5系統に分かれ、学生は関心や将来の進路に応じて自由に履修科目を選択できます。
また、中央学院大学 商学部では、「商学総合」「経営」「国際ビジネス」「会計」「経済」の5コースを設置。商学の基礎から専門分野まで体系的に学べるほか、在学中の資格取得や実務経験の機会も充実しています。幅広いビジネススキルの習得を支援しています。
そのほか、熊本学園大学 商学部の「ホスピタリティ・マネジメント学科」では、観光やサービス産業を意識した教育を行い、流通や情報、接客スキルなど、観光ビジネスの現場で活かせる知識と技術を実践的に学べます。 このように、商学部といっても学科ごとに学べる内容や強みは異なり、自分の興味やキャリア目標に合わせた多様な学びの選択が可能なのが大きな魅力です。
商学部・経営学部・経済学部の学びの違いは?
進路を考えるとき、商学部と経済学部、経営学部で迷う方は多いと思います。実際に入試で併願するケースもあり、それぞれの違いを理解することが大切です。
経済学部は国や社会全体の経済構造や政策を理論的に探求します。
経営学部は企業や組織の運営に焦点を当てて学ぶのが特徴です。
一方で商学部は「商品」や「取引」を軸に、経済と経営を横断的に学べる学部です。
ビジネスの現場で即戦力となる知識とスキルを体系的に身につけることができます。
商品やサービスの動き、取引など実務に近い学びを深めたい人には、商学部がおすすめです。
社会の仕組みを大きな視点で学びたい人は経済学部、組織運営やマネジメントに関心がある人は経営学部が向いています。
商学部での勉強のおもしろさは?
商学部で何を学ぶのかを知ると、勉強のおもしろさも見えてきます。
商学部の学びは、授業が教科書だけにとどまらず、実際の企業活動や経済の動きと直結します。学んだ知識がニュースやビジネスの現場と結びつき、「学びが社会に活きる瞬間」を日々実感できます。
実務に直結した授業が豊富
多くの大学では、実務経験を持つ教員による講義や、企業と連携したプロジェクトが行われています。
こうした授業では、教科書だけでは得られない実務の知識や業界の最新動向に触れることができます。商学部で学ぶ内容が実際の職業とつながり、学びがリアルに感じられます。実践型の課題に挑戦できる
マーケティングの授業で実際の商品企画を立ててプレゼンしたり、会計学で企業の財務諸表を分析したりと、机上の学びを現場さながらに体験できる授業が充実しています。
商学部の授業は実務に近い体験が多く、就職後に役立つ力を磨けます。
ミクロな視点で社会を読み解く
経済学部が国家レベルの経済構造(マクロ)を理論的に探究するのに対し、商学部は企業単位の意思決定(ミクロ)を研究します。現実の企業活動や市場の動きを掘り下げ、職業やキャリアに直結する知識を学べる点が、商学部で学ぶ大きな魅力です。
商学部で学ぶメリットや役立つ場面
商学部での学びには、「将来の就職先や職業がまだ明確でない人」にとってもメリットがあります。
特定の業界や職種に限定されず、幅広い知識とスキルを学べるため、将来の進路やキャリア形成にも柔軟です。多くの大学では、1〜2年次に基礎科目を広く学び、3〜4年次に専門分野を深めます。
業界を問わず活かせる“ビジネス基礎体力”が身につく
商学部では、経営・会計・マーケティング・金融といった、どの業界でも必要とされる、企業活動の基礎知識を学びます。
たとえば簿記や財務や会計の知識、統計分析や提案書作成のスキルなどは、メーカー・商社・小売業など幅広い分野で評価されます。
そのため、商学部出身者は就職活動での選択肢が広く、進路変更にも柔軟に対応できます。
実社会に出てすぐ役立つ“実用スキル”が身につく
企業で就職したとき、財務諸表の読み取り、売上データの分析、顧客動向の把握などがスムーズにできるかどうかで、評価は大きく変わります。
商学部では、こうした業務に直結する内容を理論と実習の両面から学びます。
Excelや統計ソフト(SPSSやRなど)を使った分析演習を取り入れる大学も増え、就職先や職業で即戦力として活躍できるのが特徴です。
起業やフリーランスにも対応できる応用力がある
商学部で学ぶ内容は、会社員として働く場合だけでなく、「自分でビジネスを立ち上げたい」「家業を継ぎたい」と考える人にとっても強力な武器になります。
事業計画、資金繰り、人材マネジメント、集客の仕組みなど、起業時に直面する課題の多くを大学で学べるのは商学部の大きな強みです。
資格取得との親和性が高い
商学部での学びは、日商簿記・ファイナンシャルプランナー(FP)・中小企業診断士・公認会計士・税理士といった資格試験とも高い親和性を持ちます。
商学部の必修科目が試験範囲に含まれたり、講義の内容が試験範囲と重なることが多く、大学の学び=試験対策になるケースが多いです。その結果、効率的に資格取得を目指せます。
商学部で学んだことが実際に役立った場面の体験談
商学部出身者の皆さんにご協力いただいたアンケート調査の結果をもとに、「商学部で学んだ知識やスキルが実際に就職先や職業で役立った場面」についてご紹介します。
営業提案にマーケティング理論を応用
「『どうすればこの商品が売れるのか?』という問いに対して、大学で学んだマーケティングの基礎が営業資料の構成に活きました。結果として、提案の説得力が増し、商談もスムーズに進みました。」
(関西大学・商学部・女性)
財務指標の理解が取引先分析に役立った
「メーカー勤務で、取引先企業の財務諸表を読む機会が多かったのですが、大学で習った知識がそのまま活かせました。営業判断やリスク管理の場面でとても役立ちました。」
(明治大学・商学部・男性)
資格試験の土台に大学の学びが貢献
「IT系資格の中に会計関連の出題があり、学部で基礎を学んでいたおかげでスムーズに理解できました。異業種に進んでも知識が生きることを実感しました。」
(早稲田大学・商学部・男性)
商学部の卒業生の就職事情!何になれる?
商学部は、ビジネスを多角的に学べる“実学系”の文系学部として、就職市場で非常に高い評価を受けています。
経営・会計・金融・マーケティングといった専門知識に加え、データ分析やプレゼンなどの汎用スキルも身につきます。そのため商学部卒業生は幅広い業界や職業で活躍しており、就職先の選択肢が広い点も大きな特徴です。
大学で学んだことが、就職活動のアピール材料となるだけでなく、入社後の実務に直結します。企業からも、即戦力になると評価されやすい学部です。ここでは、実際のアンケートデータをもとに、商学部卒業生がどのような職業に就き、何になれるのか、商学部での学びがどう役立つのかを詳しく紹介します。
商学部の主な就職先
メーカー
アイデアを形にして商品を作り、消費者に届けるまでの流れに、商学部で学ぶ知識が直結します。経理・財務・営業・マーケティング部門など、配属先の幅も広く、業界研究や自己分析と組み合わせれば就職活動で内定にもつながりやすい業界です。
商社
国内外の商品やサービスを取り扱い、ビジネスの最前線で交渉や取引を行う商社は、国際経営や貿易実務、マーケティングの知識を活かせます。
商学部で学んだ貿易や国際取引の仕組み、為替や物流の知識が、志望動機や入社後の業務に直結します。語学力を活かして海外とやり取りを行う機会も多く、グローバルに活躍したい学生に根強い人気があります。
金融業界
商学部で培った簿記や財務分析のスキルは、就職活動におけるアピール材料としても有効です。FP(ファイナンシャルプランナー)資格や日商簿記などの資格取得と組み合わせることで即戦力性が高まります。企業や個人の資産運用をサポートするやりがいの大きさも、人気を後押ししています。
小売・流通業界
消費者心理やマーケティングの理論を直接活かせる業界で、売り場づくりや商品企画、物流管理など、多様な職種があります。
商学部で学んだ市場調査やプロモーション戦略を、店舗やECサイトの運営に活かせる点が魅力です。マスコミ・メディア・広告業界
広告戦略や市場調査の知識を活かし、企業や商品の魅力を多くの人に届ける仕事です。商学部で学んだ市場分析や消費者行動の理解を企画立案に活かせます。クリエイティブな発想とビジネス的視点の両方に関心を持つ学生から高い支持を集めています。
商学部卒業の女子の就職先は?
商学部卒業の女子がどんな職業・就職先に進んでいるのか、アンケート調査から紹介します。
メーカー
安定した基盤を持つ大手企業のメーカーは、福利厚生や制度面が整っている場合が多く、ライフステージの変化にも対応しやすい環境があります。商品企画やマーケティング部門では、消費者の目線に立った発想や感性が活かせる場面も多く、女性ならではの視点を強みにできるのが魅力です。
商社
商社は国際的なビジネスの現場で活躍できる業界です。多忙なイメージもありますが、近年は女性社員の活躍や働き方改革も進み、キャリアを継続しやすい環境が整いつつあります。語学力や調整力を発揮できる場が多く、グローバルに挑戦したい女性に人気です。
マスコミ・メディア・広告業界
感性や発想力を活かせるこの業界は、やりがいのある舞台として支持されています。広告や広報の現場では、生活者の共感を得るための「伝える力」が求められ、女性ならではの視点が強みとなるケースも少なくありません。一方で変化の激しい業界でもあるため、柔軟にスキルを磨き続けたい人に向いています。
商学部の就職体験談
アンケートに寄せられた声から、商学部での学びが実際の就職活動や社会人としての仕事にどう活かされたのかを具体的にご紹介します。
【メーカーに就職した明治大学 商学部・男性の体験談】
就職活動でのメリット:
「事務系の中でも特に“数字に強い”人だと思われました。商学部で幅広い分野を学んだことで、極端に専門的すぎず、なんでもできる人材として評価された実感がありました。」
実務での活用シーン:
「取引先の財務指標を見る際に、大学で学んだ知識ですぐに理解できたため、取引先の選定時に適切なアドバイスができたと思います。」
【マスコミ業界に就職した関西大学 商学部・女性の体験談】
就職活動でのメリット
「マーケティングの授業で流通業界のビジネスモデルに興味を持ち、『御社の成長戦略にも関心があります』と具体的な志望理由を語ることができました。ただ『商学部です』『マーケティングに興味があります』だけでは差別化できないことが多く、個性を打ち出す難しさも感じました。それでも、マーケティングや会計、経営など幅広い分野を学べたことは、就職活動や働くときにとても役立つと実感しています。」
実務での活用シーン
「営業で『どうすれば商品が売れるのか』『顧客はなぜその商品を選ぶのか』といったマーケティングの基礎を活かせています。また、『今の経済状況では、こういったサービスの需要が高まっています』と背景を交えた提案ができるのも、商学部での学びのおかげです。」
【IT業界に就職した早稲田大学 商学部・男性の体験談】
就職活動でのメリット
「将来、管理職になっていくにつれて必要となる知識のベースを大学で学んでいたため、評価されやすかったです。将来会社で働いたり、投資をする上で必要となってくる知識が学べるので、社会で生きていくことに役立つと感じています。」
実務での活用シーン
「資格の勉強をする際に、ITの資格であっても会計の問題が出てくるため、スムーズに理解できました。業績や工数を管理する場面でも、会計で使ったような用語が出てきますが、知っている言葉だったので取り掛かりやすかったです。」
【医療業界に就職した一橋大学 商学部・女性の体験談】
就職活動でのメリット
「大学で簿記を学び、日商簿記検定2級を取得していたので、粘り強さやコツコツ努力できる点をアピールできました。広く浅く商学を学べるため、自分の適性や好みを見つけるヒントにもなり、企画や戦略を考えるのが好き、企業内部の組織作りが好き、といった自分の方向性が見えてきました。」
実務での活用シーン
「企業の社会的信用(コンプライアンス)について学んでいたため、アルバイト時代から企業の信用を落とさないよう意識して業務に取り組めました(例:キャンペーン情報の流出を防ぐ)。また、ゼミが4年間毎週あり、特定の書籍・論文を要約する課題をこなしていたことで、業務で申し送りを発信する際も、まとまりがあり分かりやすい文章を作れるようになりました。」
商学部に向いているのはどんな人?
商学部の学びは、「経営や会計学を学ぶだけ」ではありません。ビジネスの現場を多面的にとらえ、データや数字に基づいて考え、課題を整理して解決策を導き出す力が求められます。
ここでは、商学部に向いている人の特徴や考え方の傾向をわかりやすくご紹介します。「もしかして自分に合っているかも?」と感じたら、進路選びの参考にしてください。
商学部に向いている?を簡単診断
以下のチェックリストで、あなたが商学部に向いているかどうかを診断してみましょう。
当てはまる項目が多いほど、商学部での学びと相性が良いかもしれません。
判定結果
- 15個以上該当
商学部に非常に向いています。幅広い知識を吸収し、実践力を高めながら多様な進路を選べる可能性が高いでしょう。 - 10〜14個該当
商学部に向いています。関心のある分野を深掘りすることで、大学生活がより充実します。 - 5〜9個該当
一定の適性はありますが、他の学部も検討しながら比較してみると良いでしょう。 - 0〜4個該当
他学部も含めて幅広く検討することをおすすめします。より強く興味を持てる分野を探してみてください。
診断のポイント
商学部で特に大切なのは、 「数字やデータを根拠に考える力」「論理的に説明する力」「実社会に応用できる柔軟な発想力」 の3つです。
さらに、「企業はなぜこの戦略をとるのか?」「この商品はなぜ売れるのか?」といった疑問を持ち、答えを探し続ける姿勢も大きな強みになります。
こうしたポイントに多く当てはまる人は、商学部での学びを通じて確かな成長とキャリアの広がりを実感できるでしょう。
少しでも興味を感じたら、オープンキャンパスや模擬授業などで実際の雰囲気を体験してみるのもおすすめです。
商学部によくある志望理由
アンケート調査をもとに、実際に商学部に進学した先輩たちのリアルな志望理由をご紹介します。どのようなきっかけで商学部を選んだのか、参考にしてみてください。
ビジネスや企業活動に興味があった
「経営や経済、会計といった会社に関係することに興味があったので、それらを一番学べる学部だと思いました」(早稲田大学 商学部卒・男性)
「経済や企業の動きに興味があり、実際のビジネスがどのように成り立っているのか深く学びたいと思い、商学部を志望しました」(関西大学 商学部卒・女性)
「ビジネスに役立つ実務的な知識が学べると考えていたため。他いくつかの大学・学部へも合格していましたが、実学が学べ就職にも強いと考え商学部を選択しました」(早稲田大学 商学部卒・男性)
将来のキャリアを見据えて
「会社のサポートをする仕事がしたくて、公認会計士や税理士業、金融業に興味がありました。そこで、会計や金融を学べる学部を目指しました」(一橋大学 商学部卒・女性)
「パソコンや簿記の資格をとって、それを社会に出た時に活かしていけたらと考えて商学部を選んだ。資格が取れなくてもそれらの知識を身につけたいという思いもあった」(岡山商科大学 商学部卒・男性)
「父親が証券会社に勤務していたこともあり、お金のことに興味がありました。将来は金融機関に勤めるか公務員になろうと思っていたので、一番将来に役立つことが学べると思ったからです」(中央大学 商学部卒・女性)
数字や分析が得意だった
「文系でありながらも数学が得意だったので、数字を生かしたことを勉強してみたいと思っていたからです」(明治大学 商学部卒・男性)
「やめとけ」の声もある理由!商学部をおすすめしない人は?
商学部は幅広い知識が身につき、就職に強い学部として人気がありますが、一方で「やめとけ」「向いていなかった」と感じる卒業生の声もあります。アンケートから寄せられた主な理由を3つにまとめました。
1. 学ぶ内容が幅広く、専門性が分散する
「理系の学部卒の人たちに比べて専門性があまりないため、メーカーなど専門知識がある場合には専門性が足りなかった」(早稲田大学 商学部卒・男性)
「商業高校よりも実学が少なく、大学は理論を教えてくれることが多い印象です。資格は自分で取って知識を身につける必要があり、商業高校の方が役に立つことを多く学べたと感じました」(愛知学院大学 商学部卒・ 女性)
2. 数字や経済に興味がないときつい
「金融や経済に関しては知識はあったけれども、狭い範囲では優位でも、幅広い知識を求められる業種では役に立たなかったです」(明治大学 商学部卒・男性)
「国際化などと言われていますが、商学部で学べることは基本的には国内の仕事で生かせることだと思っています」(明治大学 商学部卒・男性)
3. 目的意識がないと就職時に差別化しにくい
「『商学部です』『マーケティングに興味があります』だけでは差別化できないことが多く、個性を打ち出すのが難しかったです」(関西大学 商学部卒・女性)
「就職活動で『学んだ内容を企業でどう活かすか』を具体的に説明することが求められ、回答を用意するのが大変でした。ビジネスに関する学部なので、具体性を求められる分、他学部より面倒だった気がします」(関西学院大学 商学部卒 男性)
こうした声はあるものの、多くは「目的意識がなかった」「分野を絞らなかった」といったケースに集中しています。
商学部で学びたいテーマを早めに決め、ゼミや資格、インターンなどで専門性を補強すれば、幅広い学びを武器に変えることができます。
おすすめしない人の特徴
アンケートで寄せられた意見を踏まえると、次のような人には商学部はあまりおすすめできないと言えそうです。
明確な目標や関心がない人
商学部は学べる分野が幅広い反面、自分の関心分野を主体的に深掘りしていく姿勢がないと、内容が「浅く広く」で終わってしまうことがあります。目的意識がないまま漫然と授業を受けているだけでは、就職活動の際にアピールできる強みを作るのが難しくなるでしょう。
数字や経済に苦手意識がある人
会計・統計・財務分析など、数字を扱う授業は商学部の中心的な科目です。数字や経済ニュースに興味が持てない場合、授業内容が理解しづらく、モチベーションも下がりやすい傾向があります。
ビジネスや経済に興味を持てない人
商学部の学びは常に企業活動や市場の動きをベースにしています。そもそも企業や経済に関心がないと、授業内容を自分ごととして考えにくく、実践的な学びに結びつきません。
自分の興味を大切に
これらの声はあくまで個人の経験や意見に基づくものです。商学部で充実した学生生活を送り、その学びを活かして就職先で活躍している卒業生も多くいます。
大切なのは、自分が本当に興味を持てることや挑戦してみたいことに素直に向き合うことです。関心や目標を早めに見つけ、ゼミ・資格取得・インターンなどで経験を積めば、商学部の幅広い学びをキャリア形成や将来の就職につなげることができます。
おすすめの商学部がある大学ランキングTOP3
商学部への進学を検討している方に向けて、学習レベル・研究実績・進路実績・出願方法の豊富さなどを総合的に評価し、おすすめの大学を国公立・私立に分けてご紹介します。
商学部が強い!おすすめの私立大学TOP3
1位:慶應義塾大学 商学部
慶應義塾大学商学部といえば、公認会計士試験合格者数50年連続全国1位という圧倒的な実績を誇る、まさに「会計士養成の名門」。難関資格を目指す学生を徹底的に支える「会計研究室」や、卒業生組織「慶應義塾公認会計士三田会」による手厚いネットワークは、他大学にはない大きな魅力です。
その強みは資格だけにとどまらず、マーケティングや経営戦略、国際ビジネス、ファイナンスなど、商学全般をカバーする幅広い学びが体系的に用意されています。
さらに、多彩な業界に広がる三田会のつながりは就職活動やキャリア形成の強力な後押しに。「資格実績の圧倒的な強さ」と「総合的な商学教育・人脈基盤」の両立こそ、慶應商学部をおすすめする最大の理由です。
2位:早稲田大学 商学部
早稲田大学商学部は、慶應に次ぐ公認会計士試験の合格実績を誇ります。大学が主催する「WUCPA(公認会計士講座)」や、OB・OGによる「公認会計士稲門会」の支援によって、資格取得の勉強から取得後のキャリアまで切れ目なくサポートを受けられる点が大きな強みです。
さらに、数字やデータを使って問題を分析する力を養う統計やプログラミングの授業、英語や中国語で商学を学べる授業、企業経営者による実務講義など、社会で活きる力を育てる授業も充実。こうした資格実績と多彩な学びが、早稲田商学部の魅力です。
3位:明治大学 商学部/同志社大学 商学部(同率)
明治大学商学部は、資格対策に強みを持ち、会計や経営に関する実践的な授業が充実しています。公認会計士試験の合格者数もGMARCHではトップクラスの成果を上げています。
また、明大前や御茶ノ水といった首都圏屈指のアクセスの良さも大きな魅力です。私大商学部の中でも志願者数はトップクラス。幅広い業種に強い就職実績を持ち、実力と人気を兼ね備えた学部といえます。
同志社大学商学部は、関西圏の私学商学部でトップクラスの難易度・ブランド力を誇ります。特に、関西の大手企業や金融機関への就職実績が豊富。地元経済界に強いネットワークを持っている点が大きな魅力です。
商学部が強い!おすすめの国公立大学TOP3
1位:一橋大学 商学部
一橋大学商学部は、国公立の商学部の最高峰として高く評価されています。経営学・会計・マーケティングなど幅広い分野で受賞歴や国際的な業績を持つ教員が多く在籍。高度な専門知識を持つ教員から、直接指導を受けられることが大きな魅力です。
入試難易度も旧帝大と並ぶ水準で、全国から優秀な学生が集まり、互いに刺激し合うハイレベルな学びの場が形成されています。さらに、総合商社・大手金融機関・外資コンサル・官公庁など、日本経済をリードする分野に数多くの人材を輩出。就職実績においても群を抜いた強さを誇ります。
研究力・学習環境・就職力のすべてが揃っていることこそ、一橋大学商学部を国公立1位におすすめする最大の理由です。
2位:大阪公立大学 商学部
大阪公立大学商学部(旧・大阪市立大学商学部)は、国公立の商学部において一橋大学に次ぐ存在として高く評価されています。日本最古の「商学部」としての歴史を持ち、会計学・経営学・マーケティングなど商学の基盤を体系的に学べるカリキュラムを展開。長い伝統に支えられた教育は、理論と実務の双方を重視している点が大きな特徴です。
さらに、旧制高等商業学校を受け継ぐ「旧三商大」のブランド力と、大阪という大都市に立地する強みを生かし、地元経済界との結びつきも強固です。就職率は毎年ほぼ100%!大手メーカー・金融機関・商社への実績も豊富で、特に関西圏でキャリアを築きたい学生にとって非常に心強い環境といえます。
3位:小樽商科大学 商学部
小樽商科大学商学部は、「旧三商大」の一角を担う伝統校で、地域社会との結びつきに強みを持っています。
カリキュラムには「地域経済」や「観光」といった地域性を活かした学びが含まれています。なかでも「地域商学実習」では観光産業や地域経済をテーマに、地元の企業や自治体と連携しながら学ぶことが可能。観光都市・港町という地域資源を生かし、地域振興と結びつく学びができる環境は、他大学にはない大きな魅力です。
商学部のその他の注目大学
TOP3以外にも、「この大学ならでは」の制度や学びのスタイルで存在感を放つ商学部もあります。
日本大学 商学部
日本大学商学部は、学びの幅広さと強いキャリア支援に強みがあります。
広告マーケティング・国際ビジネス・起業学など多彩な分野を学べるカリキュラムが整っており、自分の関心に合わせて柔軟に選べます。
国内最大級のOB・OGネットワークを活かしたインターンシップや就職サポートも充実し、将来につなげやすい環境です。
専修大学 商学部
専修大学商学部には、会計・マーケティングに強い実務的な学びがあります。
簿記や会計士を目指す資格支援が手厚く、デジタル領域や新規事業系の科目も拡充されています。歴史ある商学教育と現代的なカリキュラムが組み合わさっており、数字や経営の実力を着実に伸ばしたい学生におすすめです。
名古屋商科大学 商学部
名古屋商科大学商学部は、資格取得と実務を強く意識した学びが強みです。
商学部は「マーケティング学科」と「会計学科」の2学科制で、商品企画や広告宣伝、財務分析などを専門的に学べます。大学独自のインターンシッププログラムが豊富で、税理士・会計士を目指す学生へのサポート体制も整っています。
まとめ
商学部は、企業の経営や会計、マーケティング、金融、国際ビジネスなど、社会やビジネスのしくみを理解し、数字と論理をもとに考える力を育てる学部です。
金融業界はもちろん、メーカー、商社、IT、小売・流通、公務員など幅広い業界で知識やスキルを活かせるため、就職の選択肢も多彩です。
一方で、学びの領域が広い分、自分の興味や目標が明確でないと、内容が「浅く広く」で終わってしまうこともあります。
だからこそ、「なぜ商学を学びたいのか」「将来どんな分野で活かしたいのか」という視点を持つことが、学生生活を充実させるカギになります。
今回ご紹介した内容を参考にして、商学部で何を学ぶかを改めて考え、自分の関心や将来像と照らし合わせながら、進学を前向きに検討してください。
商学部での学びは、どの業界・職業にも通じる“数字で考え、論理で説明し、現場に応用する力”を育む、貴重な経験になるはずです。
少しでも興味を持った方は、オープンキャンパスや模擬講義に参加して、リアルな学びの雰囲気を体感してみましょう。
アンケート調査概要
調査対象:商学部出身の20代~40代(有効回答数16名)
調査時期:2025年7月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「商学部卒業生の大学時代の学びの活用状況」についての調査
※掲載しているグラフや内容を引用する場合は「塾選ジャーナル調べ:「商学部卒業生の大学時代の学びの活用状況」についての調査と明記し、『塾選ジャーナル』の記事(https://bestjuku.com/shingaku/s-article/30687/)へのリンク設置をお願いします。
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。