高校受験|VもぎE判定でも逆転合格できる?迷う親が知っておくべき判断基準とは

夏の模試でE判定。志望校合格は厳しいのでは?と焦る親の気持ちをよそに、本人はのんびり構えている…。
このまま目標を変えずに突き進むべきか、それとも安全圏に切り替えるべきか――そんな葛藤を抱える保護者は少なくありません
今回は、高校受験の指導歴が豊富な大山雅司先生に、志望校の変更を判断するタイミングや夏に受けた厳しい判定から逆転を目指すための学習計画、そして親のサポートの在り方について伺いました。

編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

監修者
大山雅司
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。

中3夏の模試でE判定!志望校を諦める?逆転合格を狙う?
【CASE 035】中学3年生・男子
性格:
楽観的すぎるところがあり、追い込まれないと本気を出さないタイプ。
【今回のお悩み】
ペンネーム:Ππさん(中学3年生 保護者)
夏明けのVもぎ(※中学生向けの公開模試)で志望校がE判定なのに、本人は「まぁ、こんなもんかな」とどこか他人事のような反応…。「このままじゃ後悔するよ」と話し合い、志望校を変えるかは一旦保留にして、11月の模試までは全力でやってみようと決めました。志望校を変えるかどうかの判断はどのタイミングで行うべきでしょうか?また、E判定からの逆転を目指す場合の学習計画の立て方や重点を置くべきポイントがあれば教えてください。
志望校を変えるかどうかは、期限ではなく子どもの気持ち次第!
出願直前まで迷ってOK!志望校変更の最終判断タイミング
親御さんのアシストがあってこそですが、結果として本人に自覚が芽生えたのであれば、模試を受けた成果は出ているといえます。大きく前進できた、とポジティブに捉えましょう。
志望校を変えるタイミングについては、お子さん次第です。「●月まで」という期限はありません。もし、E判定を見て「もう無理だ」と本人の心が折れてしまっていたり、頑張ることがつらそうだったりするのであれば、その時点ですぐに前向きな気持ちになれる受験校に変えてあげたほうがいいと思います。そうでないのであれば、ギリギリまで応援してあげましょう。
極論、志望校を変えるかどうかは、出願まで粘って考えてもいいです。ただ、入試本番が近づくにつれて、本人も「ここまで目指してきたのだから、最後までやらなくては」というモードになりやすいもの。止めたくても止められなくなってしまう子もいるので、お子さんの小さな変化を見逃さないように気を付けてあげたいですね。
模試は3〜4回!E判定から判定アップを目指す受験戦略
あまりに早く志望校を変えてしまうと、模試の判定結果の推移が見られなくなってしまう点にも注意が必要です。経過を見るのであれば、9月から入試までに3~4回ほど継続して模試を受けられるといいですね。
模試を3回受けてみて、少しずつでも判定があがっているのであれば、継続して目指して構いません。例えば、E判定だったものが11月にD判定、12月にC判定と徐々に上がっているのであれば、諦めずに頑張る価値はあると思います。
E判定から逆転合格へ!今すぐできる学習計画3ステップ
夏前の模試でE判定だったとしても、11月までに巻き返すことは充分可能です。大切なのは、判定結果を冷静に分析し、計画的に取り組むこと。ここでは、学習計画の流れを3ステップに整理しました。
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STEP1.模試の結果を分析する
まず、模試の成績表を見ながら「どの科目が足を引っ張っているのか」「特にどの単元に弱点があるのか」を具体的に洗い出します。
STEP2.弱点は基礎からやり直す
弱点がわかったら、その科目・単元の学校のワークや塾のテキストに立ち戻り、基礎から見直します。
STEP3.模試や過去問を解いてみる
11月の模試の前には、過去問集を活用して何回か演習をしておくといいでしょう。その結果を分析して弱点の克服を繰り返します。
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もしSTEP1の分析で「全科目が苦手である」と気付いた場合は、志望校や受験の方針に合わせて優先して取り組む科目を決めてもいいでしょう。
例えば、都立志望であれば手を抜けない理科・社会を強化するのも一案ですし、後々に私立志望に変わる可能性があるなら、国語・数学・英語の3教科に比重を置くという手もあります。厳密には、その子の得意・不得意や受験プランによって変わってくるため一概にはいえませんので、塾に通っているようであれば講師に相談してみるのもいいと思います。
このとき、特にSTEP2以降の学習計画は親御さんが細かく決めるのではなく、あくまで本人に立てさせることがポイントです。
助言は必要最低限にとどめ、実行は本人に任せましょう。親が主導しすぎると“自分の受験”ではなくなり、最後まで当事者意識が持てないまま勉強することになってしまいます。
志望校変更も視野に…親が受験までに備えるべき3つのこと
子よりも先に親が備えを考えておくのが望ましい
お子さんには、モチベーションをキープして頑張ってもらいつつも、受験生を持つ親御さんはなるべく早い段階から万が一に備えたシミュレーションをしておくことが大切になってきます。
夏前の模試でE判定を受けた親御さんに意識していただきたいポイントは次の3つです。
1. 本人には第一志望を純粋に目指してもらう
親御さんが「志望校を変える準備を始めるタイミング」と、本人が「志望校を変えることを決断するタイミング」は、一致している必要はありません。むしろ、別々の方がいいといえます。
私はこれまで、「絶対に第一志望に入学する」と明確な意思・目標を持って頑張ることで、学力が伸びる子をたくさん見てきました。逆に、「無理だ」と思いながら頑張り続けるのは、やはり難しいと感じた場面もあります。
高校受験では、お子さんが前向きに勉強に取り組めるような親御さんの舵取りが肝心です。万が一に対する備えは、裏で大人が準備しておくこととして、本人には第一志望に向けて純粋に集中できる環境をつくってあげましょう。
2.本人が「行ってもいい」と思える併願校を選ぶ
特にチャレンジ度の高い受験であるほど、併願校の選び方が重要なポイントになってきます。仮に第一志望に届かなくても充実した高校生活が送れるよう、本人が「行ってもいいかな」と思える併願校を選んでおきたいところ。
まず、内申点や偏差値、模試の結果を見ながら学校の先生や塾の講師と相談して、押さえ校となる学校をピックアップしていきます。先生は学力や内申基準面で学校を選ぶことになるので、親御さんが教育方針や校風などを見ながら、できるだけ子どもがやりたいことが叶う学校を見つけてあげられるのが望ましいですね。
一方で、第一志望に気持ちが向いているうちはピンときていなくても、いざ通い始めると楽しく過ごせるのも、子どもの愛すべき逞しさでもあります。なので、親御さんの中で納得感が持てることが、ミニマムの条件と考えてもいいかもしれません。
特に入学金・授業料といった学費については、シビアに比較検討しておくことを忘れずに。家計に無理のない計画を冷静に立てることも大事な判断軸です。
3.志望校を変えることに抵抗感をなくす
教育現場で多くのご家庭を見ていると、親が第一志望に強いこだわりを持っているために、本人からは志望校を変更したいと言い出せず疲弊してしまうケースは、決して珍しいことではありません。
もし志望校に届かなかったとき、親も子も一緒に落ち込んでいたら苦い思い出になってしまいますよね。場合によっては、心の傷となって関係性にしこりを残してしまう可能性もあり得ます。
親御さんにとっては、子どもが志望校を変更したいと言ったときに、いかに落ち着いていられるかが勝負どころ。高校受験は人生の通過点ですから、合否にかかわらず子どもにとって頑張った経験が糧となるよう温かく見守ってあげましょう。
成功へ導く賢者からの金言!
子の決断を急かさず、親は静かに次の一手を
※塾選調べ:
対象:高校受験に関してお悩みを持っていた保護者50名にアンケートを実施
期間:2025年6月20日~25日実施
執筆者プロフィール

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塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。