社会学部では何を学ぶ?就職事情や向いている人も徹底解説

「社会学部って、何を学ぶの?」「卒業後はどんな就職先がある?」
そんな疑問を持つ高校生や保護者の方も多いでしょう。
社会学部は、社会の仕組みや人々の行動を科学的に分析し、課題解決の方法を探る学部です。社会学部で何を学ぶのかは幅広く、少子高齢化、格差問題、地域活性化、メディアと社会など、現代社会が直面するテーマを扱います。
そのため、社会学部の就職先は特定の職種に限られません。行政、マスコミ、IT、小売・流通、観光、福祉・医療など、多様です。
この記事では、社会学部とは何か、何を学ぶのか、卒業後にどんな職業に就けるのか、そして社会学部に向いている人・やめとけと言われる理由までわかりやすく解説します。

編集部
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社会学部とは?
社会学部とは、社会の仕組みや人々の行動を研究する学部です。授業では、理論(考え方の枠組み)と調査方法(アンケート・インタビュー・観察など)を組み合わせて、出来事の背景や理由を明らかにします。
社会学部は「何を学ぶのか分かりにくい」と言われがちです。これは、家族や教育、地域社会、メディア、国際問題など、学ぶテーマが非常に幅広いことが理由の一つです。しかし、どのテーマであっても科学的な手法を用いて社会の仕組みや課題を明らかにしていくのが社会学部の特徴です。
実証調査やフィールドワークを通じ、「現場で使える分析力」や「課題解決力」も磨かれます。社会を多角的に捉える新しい視点を得られることが、社会学部の大きな魅力です。
社会学部にはどんな学科がある?
社会学部には、大学ごとに複数の学科や専攻コースが設けられており、その特色はさまざまです。代表的なものは以下の4つの学科です。
社会学科
社会学部の中心となる学科で、社会の構造や制度、文化の仕組みを幅広く学びます。家族や地域、教育、経済、政治など、社会を成り立たせる要素を多角的に分析し、現代社会が抱える課題に迫ります。
メディア社会学科
メディアの影響力や情報の流通の仕組みを研究する学科です。テレビや新聞といった伝統的メディアだけでなく、SNSや動画配信といった新しい媒体も対象にします。ジャーナリズム論、広告研究、メディア文化論などを通じて、情報が人々の意識や社会の動きに与える影響を学びます。
社会心理学科
社会の中で人がどのように考え、行動するのかを心理学の視点から探究する学科です。偏見や差別、集団の中での同調行動、SNSによる人間関係の変化など、現代的なテーマを扱うことも多くあります。
社会福祉学科
福祉のしくみや制度をわかりやすく学び、困っている人をどう助けるかを身につけます。相談の受け方や必要な支援先へのつなぎ方、地域での支え合いの仕組みまで実例で学びます。
その他の学科の例
社会学部には、独自の学科構成で特色を打ち出している大学もあります。
たとえば、立命館大学産業社会学部には、「現代社会/メディア社会/スポーツ社会/子ども社会/人間福祉」の5つの専攻があります。「子ども×福祉」「メディア×地域」など、自分の関心に合わせた組み合わせがしやすいのが特徴です。
さらに、東洋大学社会学部は、「社会学科」「国際社会学科」「メディアコミュニケーション学科」の3学科制。国際社会学科では、世界の多様な文化や価値観を学び、フィールドワークや語学教育を通じて実践的に国際社会を理解します。民族や宗教、ジェンダーなどの課題を考え、解決に向けた力を伸ばせます。
このように、社会学部は大学ごとに学科構成やカリキュラムが異なり、学べる内容の幅が広いのが特徴です。
社会学部で学ぶ内容
社会学部の学びの分野は幅広く、社会学的な視点で研究できるものであれば何でも研究対象とすることができるため、テーマの自由度が高い学問といえます。具体的な領域について以下で見ていきましょう。
主な学問分野
社会学理論
社会を理解するための「考え方の基礎」を学びます。たとえば、経済の違いに注目するマルクス主義や、役割分担を重視する機能主義、人との関わりを分析する相互作用論などがあります。
家族社会学
家族の形や役割の変化を研究します。結婚しない人の増加、共働き家庭の広がり、少子化による影響など、家族をめぐる変化を研究します。そこから、子育て支援や教育制度をより良くするためのヒントを探ります。
都市社会学
都市化が暮らしに与える影響を考えます。地方から都市への人口移動、新しい街の地域コミュニティ形成、防災や安全なまちづくりなどがテーマです。地域社会のあり方を学びます。
教育社会学
教育格差が生まれる理由や学歴の意味、いじめや不登校の背景を探ります。学校と社会のつながりを理解し、教育現場や政策をより良くするための視点を養います。将来、教育や人に関わる仕事を考える人に直結する学びです。
医療・福祉社会学
医療や福祉の仕組みと人々の暮らしの関係を研究します。高齢者が安心して暮らせる地域や、障害のある人が生活しやすい社会づくりを学ぶ実践的な分野です。
メディア社会学
メディアが社会に与える影響を考えます。フェイクニュースが広がる背景や、SNSで炎上が起きる理由、正しい情報を見極める方法など、現代の情報環境で生きるために必要な視点を学びます。
環境社会学
環境と社会の関係を研究します。地球温暖化やゴミ問題の原因、企業や自治体の取り組みを学び、環境に優しい社会づくりを考えます。
国際社会学
移民や難民、文化摩擦など国際社会の課題を扱います。文化の違いによる摩擦や、難民が故郷を離れる背景を理解し、異文化の人と協力して暮らすための基礎を身につけます。
社会学部での学びを通じて、事実やデータを正しく読み解く「分析力」が育ちます。さらに、筋道を立てて考え、物事を整理する「論理力」、協力しながら課題を解決する「協働力」も養われます。
これらは、将来どんな仕事にも役立つ一生ものの力となります。
社会学部での勉強のおもしろさは?
社会学部の学びは、社会のあらゆる出来事を「なぜそうなっているのか」という疑問から深く掘り下げていく知的探究の連続です。
ここでは、社会学部ならではのおもしろさを具体的に紹介します。
日常を「研究対象」に変える発見のおもしろさ
社会学部では、何気ない日常生活がそのまま研究の対象になります。
スターバックスでの席の選び方や、電車で多くの人がスマホを見る理由、文化祭に参加する人としない人の違いなど、一見普通に見える行動に社会的な背景を探ります。
授業やゼミでは、観察や記録を行い、学んだ理論と結びつけて考えることで、「当たり前」が新しい発見に変わります。
人と社会のつながりを解き明かすおもしろさ
社会学は、一人ひとりの行動と社会全体の動きがどう繋がっているのかを多角的に探ります。
Z世代が終身雇用にこだわらない理由、TikTokやInstagramが友人関係をどう変えたか、災害時に地域の人がどう助け合うかなど、個人と社会をつなぐテーマを研究します。
この過程で、物事を多面的に見る視点と深く考える力が磨かれます。
フィールドワークで現場に触れる実感
社会学部の大きな特徴のひとつが、教室を飛び出して行う「フィールドワーク」です。
商店街の店主にインタビューをしたり、お祭りに参加して地域の交流を観察したり、ボランティア活動に加わって体験したりします。
数字やグラフでは見えない、人々の声や現場の空気を直接感じることで、知識が「生きた実感」に変わります。
多文化社会での共生を考えるおもしろさ
社会学部では、外国人留学生の増加や国際結婚、技能実習生の受け入れなども研究テーマにします。
文化の違いから生まれる摩擦や誤解をどう乗り越えるか、共生のための制度や教育を事例や国際比較から学びます。
日本社会だけでなく世界全体を見渡しながら「人と人のつながり」を考え直せるのも、社会学部で学ぶ魅力です。
社会学部で学ぶメリットや役に立つ場面
社会学部での学びは、社会のさまざまな現場で生きる「実践的な視点」と「幅広く応用できるスキル」につながります。人と社会の関係性を分析する力は、就職活動で評価されやすく、日常生活や地域活動でも役立ちます。
ここでは、社会学部ならではのメリットと、実際の活用シーンを紹介します。
社会の変化を読み解く「分析力」が身につく
人口の増減、働き方の変化、家族の形の多様化、地域コミュニティのつながり方など、社会は常に変化しています。社会学部では、こうした動きを多角的に分析し、背景や今後の流れを読み取ります。この分析力はマーケティングや政策立案など、就職先でも高く評価されます。
調査・データ分析のスキルが実務に直結
社会学部では、アンケート作成やインタビュー、統計ソフトを使った分析を学びます。こうした社会調査のスキルは市場調査、政策評価、NPOの活動計画などにそのまま活かせます。現場の声をデータ化して根拠ある提案を行う力は、幅広い職業に直結する強みになります。
現場での問題発見・解決力が高まる
授業やゼミでのフィールドワークや事例研究を通して、理論的に考える力と現場で気づく力を磨きます。これにより、社会や職場で表に見えない課題を発見し、解決策を提案する力が育ちます。
コミュニケーションと発信力が鍛えられる
調査結果の報告や議論、提案書作成を重ねる中で、相手に分かりやすく伝えるスキルが身につきます。このスキルは、会議でのプレゼン、社内報告書の作成、SNSや広報活動など、多くの場面で役立ちます。
社会学部で学んだことが実際に役立った場面の体験談
社会学部出身者は、大学で培った分析力・調査力・多角的な視点を、就職先や日常生活のさまざまな場面で活かしています。ここでは、アンケートに寄せられた実際の声をご紹介します。
討論の経験が対人コミュニケーションに活きた
「大学の討論授業で、自分の意見を一方的に伝えるだけではなく、相手の気持ちを考えた伝え方の大切さを学びました。社会人になってからも、相手に寄り添った伝え方を意識しています。」(東洋大学 社会学部社会学科出身・マスコミ・メディア・広告)
地域社会理解を取材や交流に活用
「地域社会について学んでいたので、取材のときに地域のことを深く掘り下げることができました。さまざまな立場の人とも、相手の視点を理解して話すことができています。」(佛教大学 社会学部出身・ソフトウェア・通信(IT業界))
ゼミ発表で鍛えた論理的表現力が広報業務に貢献
「ディベートやゼミ発表の機会が多かったので、相手に伝わるように論理的に話す習慣が自然と身につきました。広報業務やプレゼンの場でも、このスキルがとても役立っています。」(関西学院大学 社会学部出身・コンサルティング)
社会システムを俯瞰する視点を職場改善に活用
「社会の仕組みそのものを研究していたので、職場という組織を一歩引いて見られるようになりました。その視点が改善案を出すときにも役立っています。」(東洋大学 社会学部出身・無職)
社会学部で取得を目指せる主な資格
社会学部では、将来のキャリアに役立つ様々な資格取得も可能です。大学によっては資格取得をサポートする授業が設けられている場合もあります。
社会調査士
アンケートや統計を用いて、社会の現状を分析するスキルを証明する資格です。マーケティングリサーチ会社や行政機関など、データ分析が求められる多くの分野で役立ちます。
教職(中学・高校:公民 など)
社会学部では、教職課程の履修や教育実習を受けることで、中高の公民の教員免許(一種)を取得できる大学もあります。
社会福祉士
高齢者や障がい者など、人々の暮らしを支える専門家(ソーシャルワーカー)の国家資格です。取得には、養成課程のある大学での学習と国家試験の合格が必要です。
社会教育主事
地域の生涯学習や社会教育の企画・運営に携わる専門家です。公務員として働く際に役立つ任用資格です。
このほかにも、大学のカリキュラムによっては、博物館で働く学芸員や、図書館の司書、心理学の基礎知識を証明する認定心理士などの資格も目指せます。
これらの資格は、全ての社会学部で取得できるわけではありません。志望校の公式サイトやパンフレットで、必ず取得可能な資格を確認しましょう。
社会学部の卒業生の就職事情!何になれる?
社会学部の卒業生は、医療・福祉・教育など人と深く関わる分野から、マスコミ・メディア、IT、小売・流通、観光・サービス業まで幅広い就職先で活躍しています。
大学で身につけた「多角的な視点」「課題解決力」「コミュニケーション力」は、どんな職業でも求められるため、進路の選択肢が非常に広いのが特徴です。
ここでは、実際のアンケートデータをもとに、社会学部の主な就職先や卒業生が何になれるのかを具体的に紹介します。
社会学部の主な就職先
医療・福祉・教育業界
病院や介護施設では、高齢化や地域のつながりの変化など、日常的にさまざまな課題が起きます。社会学部で学んだ社会調査や福祉制度、心理学の知識は、患者や利用者に合った支援を考えるときに役立ちます。
教育の現場では、発達段階に合わせた対応や家庭環境の違いを理解する力が必要です。授業づくりや保護者とのやり取りにも、社会学的な視点が生きます。
人と向き合い、社会の課題に直接関わるやりがいのある職場であり、やりがいと安定性を求める人から高い支持を得ています。
マスコミ・メディア・広告業界
テレビ番組やニュース記事、雑誌、SNS広告などを作る仕事では、「情報を分析して相手に伝わりやすくする力」が活かされます。
たとえば、SNSで炎上しない表現や、多様な立場に配慮した記事の書き方は、社会学部で学んだ多様性や差別の知識が役立ちます。
また、SNS分析や世論調査など、データをもとに社会の動きを読み解くスキルは、企画やマーケティング職でも高く評価されます。
ソフトウェア・通信(IT業界)
アプリやWebサービスの開発の際は、ユーザー行動の分析や改善が欠かせません。社会学部で学んだ統計やフィールドワークの経験は、ユーザー体験(UX)の改善やカスタマーリサーチにも大きく役立ちます。ネットショップの仕組みづくりやゲームの操作性向上など、社会学的な視点はIT業界の多様な職業で役立ちます。
小売・流通業界
スーパーやアパレルショップ、ネット通販などでは、地域の特徴やお客様の行動を理解することが売上や満足度につながります。
社会学部で学ぶ消費社会論やマーケティング論は、「どんな商品を並べるか」「どんなイベントを開くか」といった企画に活かせます。また、観察力や会話力は、接客や販売の現場で大きな強みになります。
店頭業務だけでなく、バイヤー(仕入れ担当)、エリアマネージャー(複数店舗の管理)、マーケティング担当(販売促進や企画立案)など、幅広いキャリアに進めるのも特徴です。
飲食・宿泊・旅行・娯楽等
ホテルや旅館、テーマパーク、旅行会社、観光案内所などでは、地域の魅力発信や観光まちづくりに関わります。
たとえば、外国人観光客への案内や季節イベントの企画では、社会学部で学んだ異文化理解やホスピタリティの学びが活きます。コミュニケーション力やホスピタリティを発揮できる就職先として、卒業生にも人気があります。
社会学部卒業の女子の就職先は?
アンケート調査をもとに、社会学部出身の女子の就職先や就職先例をご紹介します。
飲食・宿泊・旅行・娯楽等
人との関わりが多く、サービスを通じて喜びや体験を提供できるこの業界は、社会学部で学んだ「人の行動や文化を理解する視点」が活かせます。接客や企画職では、相手の立場に立った対応力や共感力が強みになりやすく、女性ならではの細やかな気配りが評価されます。社会学部女子の就職先として人気の業界です。
マスコミ・メディア・広告
社会の動きをとらえ、情報を発信する役割を担うこの業界は、社会学的な知見と相性の良い分野です。報道や編集、広告企画などでは「社会現象を分析する力」や「人々の声をすくい上げる視点」が役立ちます。女性ならではの生活者感覚を反映できる場面もあり、社会にメッセージを届けるやりがいを感じやすい職業です。
ソフトウェア・通信(IT業界)
デジタル社会に欠かせないIT業界では、データ分析やマーケティングに社会学部の学びが直結します。人とテクノロジーをつなぐ役割は社会学的な知見と相性が良く、新しいサービスやアプリ開発にも貢献できます。リモートワークや柔軟な働き方を導入する企業も多く、キャリアと生活を両立したい女性にとって魅力のある就職先です。
実際の社会学部の就職体験談
アンケートに寄せられた声から、社会学部での学びが就職活動や就職先での業務にどう活かされたのかを具体的にご紹介します。
【メーカーに就職した関西大学社会学部卒・女性の体験談】
就職活動でのメリット
「他の大学では行っていないような珍しい実習が多く、さまざまな経験を積めたため、面接官にガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を話した時の食いつきが良かったです。」
実際の業務での活用
「大学で学んだことが仕事に直結していて、仕事をすぐに理解しスムーズに進められました。1年目から大きい案件を任せてもらえたのも、そのおかげだと思います。」
【医療・福祉・教育に就職した中京大学現代社会学部卒・男性の体験談】
就職活動でのメリット
「現代社会学部の社会福祉士課程で勉強をしましたが、社会福祉士の試験を受けるために必要な授業を全て履修しました。実習も経験し、最終的に資格試験にも合格できたため、大学時代に取り組んだことを第三者にもわかりやすくアピールできました。」
実際の業務での活用
「学習塾で働いていたとき、発達障がいをもつ生徒さんが入塾することもありました。大学で社会福祉を学び、社会福祉士を取得していたおかげで、安心して通ってもらうことができました。」
【飲食・宿泊・旅行・娯楽等に就職した流通経済大学社会学部卒・女性の体験談】
就職活動でのメリット
「就職活動において集団心理や消費行動などを学んでいたことを、マーケティングに活かせる強みとしてアピールできました。」
実際の業務での活用
「大学で流行と社会の変化を学ぶ中で、集団心理と消費行動を深く研究しました。その知識をもとに、広告やマーケティング戦略で説得力のある提案ができ、結果につなげることができました。」
【小売・流通、マスコミ・メディア・広告に就職した茨城大学社会科学部卒・男性の体験談】
就職活動でのメリット
「社会の課題に対する関心や、問題解決への姿勢を具体的に話せたことで、企業側に意欲や適性を伝えることができました。」
実際の業務での活用
「論理的思考やデータ分析のスキルを活かし、多様な立場を理解する力が、チーム内の調整や顧客対応でも大いに役立っています。」
社会学部に向いているのはどんな人?
社会学部とは、「人や社会の動きを観察・分析する」ことを中心に学ぶ学部です。
社会学部で何を学ぶかは幅広いですが、基本はニュースや日常の出来事を深掘りし、「なぜそうなるのか?」を探る姿勢が求められます。
たとえば、街で見かけた行動の意味や、SNSで流行していることの裏側にある理由を考えるのも、社会学の入り口です。
ここでは、社会学部に向いている人の特徴や考え方の傾向をチェックリスト形式でご紹介します。「自分に合っているかも?」と感じたら、進路選びの参考にしてください。
社会学部に向いている?を簡単診断
以下のチェックリストで、あなたが社会学部に向いているかどうかを診断してみましょう。
当てはまる項目が多いほど、社会学部での学びと相性が良いかもしれません。
判定結果
- 15〜20個該当
社会学部に非常に向いています。幅広い分野を横断しながら、調査・分析力や多角的視点を磨くことで、多様な進路で活躍できる可能性が高いでしょう。 - 10〜14個該当
社会学部に向いています。興味のあるテーマや分野を深掘りすることで、大学生活がより充実します。 - 5〜9個該当
一定の適性はありますが、他学部も検討しながら比較してみると良いでしょう。 - 0〜4個該当
他学部も含めて幅広く検討することをおすすめします。自分が最も関心を持てる学びを見つけることが大切です。
診断のポイント
社会学部で大切なのは、「社会の現象や人々の行動を観察・分析する力」「事実に基づき説明する論理的な考え方」「異なる立場や価値観を理解する柔軟性」です。
たとえば、「なぜこのイベントには若い人が多いのか」「SNSでこの言葉が急に流行した理由は?」といった疑問を持ち続けられる人です。このような人は、社会学の学びを通じて大きく成長できます。
社会学部は何を学ぶのかが分かりにくいと言われがちですが、それは扱うテーマが家族・教育・福祉・メディア・国際問題など幅広いからです。だからこそ、自分の興味や将来の職業イメージに合わせて大学や学科を選ぶことが重要です。
興味や関心がいろいろな方向に広がるタイプの人にとって、社会学部はその好奇心を存分に活かせる場所になるでしょう。
少しでも興味を感じたら、オープンキャンパスや模擬授業などで実際の雰囲気を体験してみるのもおすすめです。
社会学部によくある志望理由
アンケート調査をもとに、実際に社会学部に進学した先輩たちのリアルな志望理由をご紹介します。どんなきっかけで社会学部を選んだのか、進路選びの参考にしてみてください。
社会問題や人間行動に強い関心があったから
「社会の課題に興味があり、なぜそのような問題が起きるのかを学びたいと思いました。ニュースや新聞記事を読む中で、背景にある社会構造や人々の行動原理を分析する力をつけたいと感じたためです。」(立命館大学 社会学部卒・女性)
「人の行動や心理に関心があり、それを社会全体の動きの中で理解したいと思いました。社会学なら心理学や文化人類学、政治経済など幅広く学べると知り、進学を決めました。」(日本大学 社会学部卒・男性)
幅広い分野を学び、自分の関心を深めたかったから
「政治、経済、文化、環境など、複数の分野を横断的に学べることが魅力でした。入学後に特に関心を持った福祉分野を深掘りし、将来の進路の方向性が見えました。」(関西大学 社会学部卒・女性)
「高校時代から一つの分野に縛られるより、幅広く学べる環境が合っていると感じていました。社会学部では調査やフィールドワークもあり、実践的に学べる点も魅力でした。」(東洋大学 社会学部卒・男性)
将来の仕事や資格取得に直結すると感じたから
「社会福祉士の資格取得を目指しており、社会福祉士課程のある社会学部を選びました。必要な科目や実習がカリキュラムに組み込まれていたため、資格取得と大学での学びを両立できると思いました。」(中京大学 現代社会学部卒・男性)
「将来は地域活性化やまちづくりに関わる仕事がしたいと考えていました。社会学部では地域社会を学問として研究できるうえ、行政や企業と連携して学ぶ機会があると知り、この学部を選びました。」(茨城大学 社会科学部卒・女性)
「やめとけ」の声もある理由!社会学部をおすすめしない人は?
社会学部は幅広い知識や柔軟な視点が身につき、就職や日常生活でも活かせる学びが多い一方で、「向いていなかった」「おすすめしない」と感じた卒業生もいます。
アンケートに寄せられた声をもとに、その主な理由を3つにまとめました。
1. 学ぶ内容が広く浅く、専門性が身につきにくい
「社会学部は政治経済・経営・環境・情報・福祉・人文など、いろいろな分野を横断的に学ぶ学部でした。哲学から社会科学まで幅広く学ぶ一方で、これといった専門性が身につきにくかったです。」(佛教大学 社会学部卒・男性)
「幅広い分野をカバーする学部であるがゆえに、何を勉強したのか一言で説明しにくく、面接で説明するのに苦労しました。」(法政大学 社会学部卒・女性)
2. 社会学部の知名度や内容が理解されにくい
「社会学部はまだ一般的な認知度が低く、何を学ぶ学部なのかを面接官に説明する必要がありました。そこから話を広げる工夫が必要でした。」(茨城大学 社会科学部卒・女性)
「社会学部という名前だけで、専門性が弱いイメージを持たれることがありました。」(中京大学 現代社会学部卒・男性)
3. 就職に直結するスキルが見えにくい
「資格を取らない場合、学ぶ内容が幅広く浅いので、仕事に直結する部分が少なく感じられます。やりたいことを自分で見つけられないと何も身にならないこともあると思います。」(立命館大学 現代社会学部卒・女性)
「メーカーなどの専門的な職種を求められる現場では、社会学部での学びが直接評価されにくいことがありました。」(奈良大学 社会学部卒・男性)
おすすめしない人の特徴
アンケートで寄せられた意見から考えると、次のような人には社会学部はあまりおすすめできないと言えます。
明確な目標や興味がない人
社会学部は幅広い分野を学べるのが魅力です。でも、方向性が決まっていないと「何を学びたいのか」がぼやけ、充実感を得にくくなることがあります。
幅広い分野を自分で深掘りするのが苦手な人
社会学は政治・経済・文化・福祉・メディアなど多岐にわたるため、自分でテーマを選び、掘り下げて学ぶ姿勢が求められます。受け身だと知識が表面的なままにとどまり、就職活動でも学びを語りにくくなります。
就職に直結する資格や専門スキルを重視する人
社会学部では分析力やコミュニケーション力は磨かれますが、専門職資格や技術系スキルの習得は必須ではありません。即戦力スキルを重視する人には物足りなく感じるかもしれません。
自分から情報を探し、分析する姿勢が持てない人
授業やフィールドワークでは、自ら調べ、現場の声を集め、データを分析する力が重要です。この姿勢がないと学びを活かしきれません。
自分の興味を大切に
「社会学部はやめとけ」という意見もありますが、それはあくまで一部の体験談です。社会学部で充実した学生生活を送り、その学びを活かして就職先や職業で活躍している卒業生もたくさんいます。
大切なのは、自分が本当に興味を持てるテーマや、やってみたいことに素直に向き合うことです。
社会学部の学びは幅広いからこそ、視野を広げながら自分の関心に合った分野を深めれば大きな成長につながります。関心を持って取り組めば4年間はきっと実り多い時間となり、その経験は将来の就職やキャリアにも直結します。
最終的には、社会学部が自分に向いているかどうかを考え、自分の気持ちを大切に進路を選びましょう。
おすすめの社会学部がある大学ランキングTOP3
社会学部への進学を検討している方に向けて、学習レベル・研究実績・進路実績・出願方法の豊富さなどを総合的に評価し、おすすめの大学を国公立・私立に分けてご紹介します。
社会学部が強い!おすすめの私立大学TOP3
1位:早稲田大学 社会科学部
早稲田大学社会科学部は、私立大学の社会学系学部の中で圧倒的な存在感を誇る学部です。1966年の設立以来、社会学を基盤にしつつ、政治・経済・法律・メディアなど幅広い分野を横断的に学べる学際的なカリキュラムを展開してきました。社会学の枠にとどまらず、現代社会を多角的に理解する総合的な教育体制は、他大学にはない大きな強みです。
研究面でも、早稲田大学大学院社会科学研究科と連携しながら、メディア研究や都市社会学、国際関係など先端的なテーマに取り組み、社会学研究の拠点として高い評価を得ています。
また、就職実績の豊富さも際立っています。マスコミ、広告、シンクタンク、官公庁から一般企業まで、多彩な進路で実績を残しており、「早稲田ブランド」と相まってキャリア形成の幅は群を抜いています。
幅広い学び、研究の厚み、就職力の三拍子が揃っていることが早稲田大学社会科学部の魅力です。
2位:立教大学 社会学部
立教大学社会学部は、現代文化やメディア研究に強い学部として知られています。社会学科・現代文化学科・メディア社会学科を通じて、社会の仕組みだけでなく現代文化やメディア現象まで横断的に学べるのが特長です。
首都圏の私立大学の中でも社会学志望者から高い人気を誇り、その知名度とブランド力は抜群です。卒業後はマスコミ、広告、出版など表現や情報分野での実績が目立ち、社会学とメディア・文化研究を結びつけた学びの拠点として位置づけられています。
3位:関西学院大学 社会学部
関西学院大学社会学部は、西日本で最も長い歴史を持つ社会学部として存在感を示しています。理論と実践を両立させる教育を展開し、社会調査や社会福祉といった分野で特色ある取り組みを続けてきました。
特に注目すべきは、社会調査士制度への先駆的な貢献です。1995年に学部独自で「社会調査士」の認定を始め、2003年に全国的な資格制度へと発展する土台を築きました。これは、社会学教育を実社会と結びつけるうえで大きな役割を果たしています。
伝統と社会学分野への貢献を兼ね備えた関西学院大学社会学部は、西日本を代表する社会学教育の拠点といえるでしょう。
社会学部が強い!おすすめの国立大学TOP3
1位:一橋大学 社会学部
一橋大学社会学部は、1951年、国公立で初めて誕生した社会学部として、長年にわたり社会学研究をリードしてきました。都市社会学、社会心理学、メディア研究、ジェンダー研究など多彩な分野で第一線の研究者を輩出。今もなお日本の社会学を代表する拠点として国内外から高く評価されています。
教育の柱には「社会調査士課程」があり、全国でもトップクラスの調査・データ分析教育を受けられるのが大きな特長です。理論を学ぶだけでなく、フィールドワークや大規模調査を通じて、実社会に直結する研究に取り組める環境が整っています。
卒業後の進路も、大手マスコミ、官公庁、シンクタンク、コンサルティングなど社会の中枢へと広がっています。研究力とキャリア実績の両面で一橋大学社会学部は社会の第一線で活躍したい受験生にとって最良の選択肢といえるでしょう。
2位:東京都立大学 人文社会学部
一橋大学に次ぐ存在として高い評価を受けているのが、東京都立大学人文社会学部の社会学専攻。入試の選抜水準も高く、国公立の社会学系ではトップレベルに位置します。
都市社会をテーマに実践的に学べる学部であり、格差・福祉・労働・移民・多文化共生など、大都市で起きている課題を幅広く扱います。首都圏という立地を生かした地域調査やインタビューに取り組めます。さらに、少人数ゼミでの議論やデータ分析を重ねることで、現場と理論の両面から社会を多角的にとらえる力を育むことができます。
3位:東京外国語大学 国際社会学部
東京外国語大学国際社会学部は、語学力と国際性を強みにした社会学教育が特徴です。世界各地の言語と文化を学びながら、グローバル化や移民・難民問題、多文化共生といった国際社会の課題に取り組めます。
留学や海外調査など、語学力と社会学的視点を同時に磨ける機会も充実。卒業後は国際機関やNGO、外資系企業などで活躍する道が開けており、国際舞台で学びを生かせる学部として高く評価されています。
社会学部のその他の注目大学
TOP3以外にも、「この大学ならでは」の制度や学びのスタイルで存在感を放つ社会学部もあります。
同志社大学 社会学部
同志社大学 社会学部は、実地調査とフィールドワークを重視したカリキュラムが魅力です。都市問題、地域文化、メディア論、ジェンダーなど、多様なテーマを自ら設定して調査できるゼミが豊富にあります。
また、海外調査プログラムも用意されており、アジアや欧米での短期フィールドワークを経験できます。社会調査士資格の取得にも対応し、卒業後は調査会社やコンサルティング、メディア業界など幅広く進出しています。
明治学院大学 社会学部
明治学院大学 社会学部は、「社会学科」「社会福祉学科」の2学科制で、理論と実践をバランスよく学べる点が特徴です。
特に社会福祉学科では、社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格取得支援が充実しており、実習やボランティア活動を通じて現場経験を積むことができます。
社会学科では、国際NGOや地域団体と連携した調査・支援活動が盛んで、学びをすぐに社会に還元できる環境があります。
東洋大学 社会学部
東洋大学 社会学部は、「社会学科」「社会文化システム学科」「メディアコミュニケーション学科」の3学科制で、多彩な分野にアプローチできます。特にメディアコミュニケーション学科では、番組制作や広告企画などの実践科目が多く、映像・ラジオ・SNSを活用した発信スキルを磨けます。社会学科では社会調査士資格の取得が可能で、学外でのフィールドワークも盛んです。
中京学院大学 人間社会学部(社会学専攻)
中京学院大学の社会学専攻は、地域密着型の教育が特徴です。岐阜県内の自治体やNPOと協力し、地域イベントや防災訓練などへの参画を通して実践的に学びます。少人数クラスで教員との距離が近く、初年次から社会調査やインタビューの手法を体験できる環境です。
まとめ
社会学部は、社会の仕組みや人々の行動、文化やメディア、国際関係まで、幅広いテーマを横断的に学べる学部です。社会調査やデータ分析、フィールドワークなどを通して、現実の課題を多角的に捉える力を養い、解決に向けて行動できる人材を育てます。
アンケートでも、「社会学部で培った視野の広さ・分析力・コミュニケーション力が、就職活動や職場で役立った」という声が多く寄せられました。
一方で、学ぶ範囲が広いからこそ、主体的に専門性を深めないと「広く浅く」で終わってしまう可能性があります。入学後は、自分の関心分野を早めに見つけ、ゼミや資格取得、プロジェクト活動などで深掘りしていくことが重要です。
進路面では、医療・福祉・教育、メディア、IT、小売・流通、観光など、多様な就職先があります。特に、社会調査士や社会福祉士などの資格を組み合わせれば、職業選択の幅を広げ、専門性をより明確にアピールできます。
変化の速い現代社会では、複雑な課題を俯瞰し、解決策を導き出せる人材が求められています。社会学部での学びは、そのための基礎を築くことができます。
進学を検討する際は、自分の興味や将来像に合ったカリキュラムを持つ大学を選び、4年間を実りある時間にしてください。
少しでも興味を持った方は、オープンキャンパスや模擬講義に参加して、リアルな学びの雰囲気を体感してみましょう。
アンケート調査概要
調査対象:社会学部出身の20代~40代(有効回答数14名)
調査時期:2025年7月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「社会学部卒業生の大学時代の学びの活用状況」についての調査
※掲載しているグラフや内容を引用する場合は「塾選ジャーナル調べ:「社会学部卒業生の大学時代の学びの活用状況」についての調査と明記し、『塾選ジャーナル』の記事(https://bestjuku.com/shingaku/s-article/32570/)へのリンク設置をお願いします。
執筆者プロフィール

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