国際学部では何を学ぶ?就職事情や向いている人も徹底解説

「国際学部とは、何を学ぶ学部なの?」「国際学部の就職先はどこなの?」
そんな疑問を持つ方も多いでしょう。
国際学部は比較的新しい学部なので、保護者世代にとってはあまりなじみがないかもしれません。しかしグローバル化が進む今、国際学部で学ぶ内容は海外で働きたい人だけでなく、日本国内で働くうえでも大きな強みになります。
この記事では、国際学部で学ぶ内容、卒業後にどんな仕事に就けるのか、そしてどんな人に向いているのかを、わかりやすく解説していきます。

編集部
塾選ジャーナル編集部
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国際学部とは?
国際学部は、語学と国際理解を軸に学びを深める学部です。英語を中心とした語学力を高めるとともに、国際関係や経済、異文化理解などを学びます。「国と国とのつながり」や「価値観の違い」を学び、多角的に社会を捉える力や、異なる環境で柔軟に行動する力を養います。
国際学部の大きな特徴のひとつが「留学制度」です。多くの大学では、留学や海外研修が必修または強く推奨されており、実際に海外に身を置きながら学ぶ機会が豊富。志望校を検討する際には、「留学が必修か」「どのくらいの期間行くのか」「費用やサポート体制はどうか」などを確認しておくと安心です。
国際学部にはどんな学科がある?
国際学部の学科は、国際を軸に「経済」「文化」「教養」などの専門分野を組み合わせることで、幅広く学べるのが特徴です。同じ国際学部でも、学科が異なると学ぶ内容が大きく異なります。代表的なものは以下の4つの学科です。
国際関係学科
国と国との関係やグローバルな政治・経済を学ぶ学科です。外交、安全保障、環境、人権といったテーマを扱い、 「国を動かす仕組み」「世界的な課題の解決」に興味がある人に向いています。
国際教養学科
文系・理系の枠を超え、幅広い知識を学びます。国際的な視点から多角的に社会や文化を捉える力が養われるため「特定の専門に絞らず、幅広く学んでみたい」人に合った学科です。
国際文化学科
言語、歴史、宗教、芸術など多様な文化を掘り下げて学ぶ学科です。留学やフィールドワークを通して、「実際に異文化に触れながら、深く理解したい」人に向いています。
国際コミュニケーション学科
英語や第二外国語を学びながら、文化の違いを超えた「伝え方」を研究します。通訳・翻訳、メディア発信など、「人との円滑なコミュニケーション」 や 「情報の発信」 に興味がある人に向いている学科です。
その他の学科の例
国際学部には、独自の学科構成で特色を打ち出している大学もあります。
東海大学 国際文化学部には国際コミュニケーション学科と地域創造学科があります。国際コミュニケーション学科では語学や国際理解を深め、地域創造学科では地域活性やスポーツ、デザインを国際性と結びつけて学べます。
国際学部は比較的新しい学部のため、まだ学部として独立していない大学もあります。例えば「外国語学部の国際関係学科」「総合政策学部の国際文化学科」といった形です。志望校を選ぶ際は学科や専攻にまで目を向け、国際性のあるテーマを学べるか調べてみることをおすすめします。
国際学部で学ぶ内容
国際学部の学びの分野は幅広く、代表的には以下のような領域があります。
主な学問分野
異文化コミュニケーション
文化や価値観の違いから生まれる誤解や摩擦を理解します。留学生との交流やグループワークを通じて、異文化の橋渡しとなる力を育てます。
国際関係論
国際政治や外交、安全保障といった国家間の関係を研究します。戦争や紛争の背景、国際連合などの機関の役割、平和をつくる仕組みを分析。世界情勢を広い視野で考える力を養います。
国際経済・開発学
貿易や金融、国際ビジネス、開発途上国の課題などを学ぶ分野。経済格差やグローバル化の影響を考察し、持続可能な成長や国際協力のあり方について考えます。
地域研究
アジア、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカなど特定の地域を対象に、歴史・文化・社会制度を体系的に学びます。例えば「ヨーロッパ統合」や「アジアの経済発展」といった事例を通じて、地域ごとの特色を理解します。
環境・SDGs研究
地球温暖化や資源問題など、国境を越える環境課題がテーマ。企業や国際機関、NGOの取り組みを学びながら、身近にできるアクションや持続可能な社会の姿を考えます。
これらの学びを通じて、国際学部の学生は語学力に加えて「分析力」「論理的思考力」「異文化理解力」を身につけます。たとえばニュースを多角的に読み解いたり、異なる文化の人と円滑に協力したりできる力。これらは、将来どのような職業に進んでも強みとなる「一生ものの力」となります。
さらに国際学部の大きな特徴として、留学で得た学修を自大学の単位として認定する制度が整えられている大学も多くあります。そのため、1年間など長期の留学をしても4年間で卒業できる仕組みになっています。
国際学部での勉強のおもしろさは?
国際学部では、授業や留学、実習を通して、これまで当たり前に思っていた日常を、国際的な視点から捉え直すことができます。
ここでは、国際学部だからこそ味わえる学びのおもしろさを紹介します。
日常をグローバルな視点で見直すおもしろさ
国際学部では、普段の生活やニュースを世界の動きと結びつけて考えます。たとえば、コンビニに並ぶチョコレートがどの国から輸入されているのか、SNSでの国際的なトレンドがどう社会に影響するのか。何気ない日常の背景にある、世界とのつながりを理解できます。
留学・海外研修で体験する“生きた文化”
多くの大学で留学やスタディツアーが必修または推奨されています。アジアや欧米など幅広い留学先を選べるのも、国際学部ならでは。教科書では得られない「生きた文化」を体感でき、この経験が就職活動での強みにもなります。
多文化社会のリアルに触れるおもしろさ
留学生との授業や多国籍の仲間とのディスカッションを通じ、文化の違いから生まれる誤解や新しい発見を体感できます。移民や難民問題、国際協力の現場に関わる実習科目もあり、現実の課題に触れながら学べる点も魅力のひとつです。日本にいるだけでは気づきにくい他文化の価値観を知ることができ、視野を広げる貴重な経験になります。
国際学部で学ぶメリットや役に立つ場面
グローバル化が進む現代において、国際学部で培う知識や経験は幅広い業界で活かすことができます。ここでは、国際学部ならではのメリットと実際の活用シーンを紹介します。
語学力と異文化理解がキャリアにつながる
国際学部の大きな強みは、多文化社会で必要とされるコミュニケーション力を養える点です。異なる価値観を理解し、柔軟に対応できる力は外資系企業やメーカーの海外部門、観光・航空業界などでは必須。例えば、外国籍の顧客へのプレゼンや海外拠点との共同プロジェクトなど、就職先で活かせるスキルとして強みになります。
グローバルな課題意識が身につく
国際学部では、国際関係や開発学、SDGsなどを学びます。こうした学びを通じて、社会課題を世界規模で考える力が養われるのです。環境問題や人権問題に対する各国の取り組みを知ることは、企業の環境活動や自治体の国際協力プロジェクトに関わる際の強みに。語学力に加えて「地球規模の課題に取り組む視点」を持てることは、就職活動でも大きな強みとなるでしょう。
就活でアピールできる経験が豊富
国際学部では、留学やスタディツアー、国際交流プロジェクトなど、実践的な経験を積むチャンスが数多く用意されています。こうした経験は就職活動でも評価されやすく、面接で「留学中に文化の違いをどう乗り越えたか」と具体的に語れるのは大きなアピールポイントとなるでしょう。
国際学部で学んだことが実際に役立った場面の体験談
国際学部出身者へのアンケート調査をもとに、国際学部で何を学ぶのか、その学びが就職や社会でどう役立ったのかを具体的に紹介します。
異文化理解が多文化職場での業務に活きた
「異文化・多文化が当たり前の環境で仕事をしてきましたが、日本のスタイルを維持しつつ海外の方式を取り入れるバランス感覚が役立ちました。」(文教大学 国際学部卒・女性)
多文化理解が顧客対応の力に
「人材業界でキャリアアドバイザーをしていますが、外国籍の方とお会いすることも多いです。大学で学んだ多文化理解や語学の知識が、円滑なコミュニケーションに直結しました。」(神戸大学 国際人間科学部卒・女性)
複数言語の学習経験が実務で重宝された
「英語だけでなくフランス語や韓国語も必修科目にあったので、ハングル文字を読めるようになったり韓国の文化を理解できたことが、外国人との交流や業務に大きく役立ちました。」 (亜細亜大学 国際学部卒・女性)
多様性の学びが人間関係に活きた
「多様性を学んだことで、相手が外国籍かどうかに関わらず、さまざまな人とのコミュニケーションが円滑になりました。日常業務の人間関係でも大きな力になっています。」 (関西外国語大学 英語国際学部卒・性別未回答)
国際的な社会課題の知識が会議で活きた
「SDGsに関する取り組みについての会議で、大学で学んだ国際的な搾取や児童労働の実態を具体的に話せたことで、議論に深みを持たせることができました。」 (宇都宮大学 国際学部卒・女性)
国際学部の卒業生の就職事情!何になれる?
国際学部の卒業生は、語学力や異文化理解力を武器に、幅広い業界で活躍しています。外資系企業や商社、メーカーはもちろん、IT、教育、観光、官公庁など国内外を問わず多彩な就職先が選べるのも特徴です。
ここでは、実際のアンケートデータをもとに、国際学部卒業生がどのような職業に就いているのか、国際学部の経験がどのように活かされているのかを詳しく見ていきましょう。
国際学部の主な就職先
ソフトウェア・通信(IT業界)
IT業界では、アプリやWebサービスの開発・運営、海外ユーザーへの対応など幅広い仕事に携わる機会があります。外国籍スタッフとの共同作業や海外展開も多く、語学力と異文化理解が欠かせません。国際学部で学ぶ国際関係や異文化コミュニケーションの知識は、グローバルなサービス企画やユーザーサポートに役立ちます。
メーカー
メーカーでは、製品の企画や開発、営業、輸出入業務など幅広い仕事があります。海外拠点や現地企業との交渉では、語学力や異文化理解が欠かせません。国際学部で培った「文化や価値観の違いを踏まえて調整する力」は、海外展開の場面で高く評価されるでしょう。
商社
商社は原材料から生活用品まで幅広い商品を世界規模で取引する業界です。多国間での交渉や契約では、語学力と多文化理解の両方が求められます。国際学部で学ぶ国際関係論や地域研究は、市場分析や交渉に直結。国際的な舞台で活躍したい学生に人気の就職先です。
医療・福祉・教育
病院や福祉施設、学校など、人を直接支える現場でも国際学部の学びが強みに。外国籍の患者や保護者への対応、留学生の受け入れなど、多文化社会に対応できる人材が求められています。語学力と異文化理解を教育や福祉の現場で生かす卒業生も多いです。
人材
人材業界では、求職者と企業をつなぐキャリアアドバイザーや採用コンサルタントなどの仕事があります。最近は外国籍の求職者への支援や、多国籍企業とのやり取りも増えており、国際学部で学ぶ語学力と多文化理解力が活かせるでしょう。
国際学部卒業の女子の就職先は?
アンケート調査をもとに、国際学部出身の女子の就職先例をご紹介します。
ソフトウェア・通信(IT業界)
IT業界では、ユーザーサポートや広報、企画職などで語学力を活かせます。外国人ユーザー対応や翻訳・通訳を任されることも多く、柔軟な対応力が評価されます。リモートワークや時短勤務の導入も進み、ライフスタイルに合わせた働き方を選びやすいのも魅力です。
商社
商社は、海外との取引で文化や商習慣の違いに配慮する力が求められます。国際学部で培ったコミュニケーション力や語学力は、総合商社や専門商社での業務で存分に活かせるでしょう。キャリア志向を持つ女性にとっても、語学を武器に国際的に活躍できる就職先です。
官公庁・公社・団体
官公庁や公的機関では、外国人対応や国際協力の部署などで語学力と異文化理解が求められます。社会に貢献できるやりがいに加え、安定した環境で長期的に働ける点も魅力。結婚や出産後も働き続けやすい制度が整っているため、多くの女性に選ばれる就職先です。
実際の国際学部の就職体験談
【人材業界に就職した神戸大学 国際人間科学部卒・女性の体験談】
就職活動でのメリット
「留学経験を面接で話すことができ、自分の価値観を明確に伝えることに役立ちました。」実際の業務での活用
「外国籍の顧客対応で、異文化理解の学びがそのまま活きています。」
【金融業界に就職した亜細亜大学 国際学部卒・女性の体験談】
就職活動でのメリット
「コミュニケーション能力や表現力を活かして就活に取り組めました。留学経験もアピールできました。」実際の業務での活用
「英語の翻訳や外国人とのコミュニケーションができる社員が少ないため、複数言語を学んだ経験が重宝されています。」
【官公庁に就職した宇都宮大学 国際学部卒・女性の体験談】
就職活動でのメリット
「スタディツアーやバックパッカー経験を自己PRとして話すことができ、面接官の反応が良かったです。」実際の業務での活用
「SDGsに関する取り組みについての会議で、国際的な搾取や児童労働の実態についてより具体的な知識を話すことができました。」
【メーカーに就職した近畿大学 国際学部卒・女性の体験談】
就職活動でのメリット
「異なる文化、価値観の場所で学業に加えボランティアや部活動などを実施できた経験談は誰にでもできる事ではない強みとして、就活でもかなり優位だったと思います。」実際の業務での活用
「語学力や海外の人達とのコミュニケーションへの壁の無さという点では、海外の人との業務内の会話などにおいて非常に役に立っています。留学経験からグローバルスタンダードを理解でき、意思疎通やマナーの面でも齟齬なくスムーズにやり取りできています。」
国際学部に向いているのはどんな人?
ここでは、国際学部に向いている人の特徴や考え方の傾向を、わかりやすくご紹介します。「自分に合ってるかも?」と思ったら、進路選びの参考にしてみてください。
国際学部に向いている?を簡単診断
以下のチェックリストで、あなたが国際学部に向いているかどうかを診断してみましょう。
当てはまる項目が多いほど、国際学部での学びと相性が良いかもしれません。
判定結果
- 15〜20個該当
国際学部に非常に向いています。語学と国際的な視野を磨き、多文化環境で活躍できる可能性が高いでしょう。 - 10〜14個該当
国際学部に向いています。特に関心のあるテーマを深めれば、大学生活がより充実します。 - 5〜9個該当
一定の適性はありますが、他学部も比較しながら自分の関心を探すのがよいでしょう。 - 0〜4個該当
他学部も含め幅広く検討することをおすすめします。自分が最も関心を持てる学びを見つけることが大切です。
診断のポイント
国際学部で特に大切なのは、「語学を継続的に学ぶ力」「異文化を尊重する柔軟さ」「国際的な視点で課題を考える力」の3つです。さらに、政策や文化の違いに関心を持ち、地道に学び続ける姿勢も重要です。
加えて、英語などの外国語を積極的に使い、自分のものにしようとする前向きさも求められます。留学や海外研修に抵抗を持たず、目的意識を持って挑戦する姿勢がある人は、国際学部での学びをより深められるでしょう。
これらのポイントに多く当てはまるなら、国際学部での学びを通じて大きく成長できる可能性が高いです。少しでも興味を感じたら、オープンキャンパスや模擬授業などで実際の雰囲気を体験してみるのもおすすめです。
国際学部によくある志望理由
アンケート調査をもとに、実際に国際学部に進学した先輩たちのリアルな志望理由をご紹介します。どんなきっかけで国際学部を選んだのか、進路選びの参考にしてみてください。
留学制度や国際交流の機会に魅力を感じたから
「海外留学ができるだけでなく、短期から長期まで選択肢が多く、ヨーロッパやアジアなど幅広い地域が留学先の選択肢になることに魅力を感じました。」 (神戸大学 国際人間科学部卒・女性)
国際協力や社会課題の解決に関わりたいと思ったから
「高校生のときに開発途上国の児童労働の実態を知り、将来的に国際協力の分野で働いて問題解決に関わりたいと思い、この学部を選びました。」 (宇都宮大学 国際学部卒・女性)
語学力を伸ばし、グローバル企業で働きたいと考えたから
「グローバル企業に就職したいと考えていたので、語学力を高めつつ海外の文化や国際社会の問題を学べる国際学部が自分に合っていると思いました。」 (亜細亜大学 国際学部卒・女性)
早期留学と英語ベース授業に魅力を感じたから
「大学1年から留学できる制度と、日本での授業も英語ベースで行われる点に大きな魅力を感じました。早い段階から実践的に語学力を高められる環境があると考え、国際学部を志望しました。」 (近畿大学 国際学部卒・女性)
これらの声から、例えば、以下のような夢や希望がある人にもおすすめです。
・将来、国連で世界平和に貢献できる職に就きたい人
・戦争のニュースを見て、なぜこんなことをするのか詳しく知りたい人
・商社マンなって世界を股にかけたい人
・大手の電力会社で途上国の電気開発に関わりたい人
国際学部に向いていない人は?
国際学部は語学や異文化理解を通じて幅広い進路につながる一方で、「向いていなかった」と感じた卒業生の声もあります。実際のアンケート回答をもとに、その理由を大きく3つに分けてご紹介します。
1. 学ぶ内容が広く浅く、専門性が身につきにくい
「専門的なビジネススキルを培えないので、特化した能力や資格をアピールすることができませんでした。」 (亜細亜大学 国際学部卒・女性)
「就職活動では『国際学部で何を勉強したのか?』と面接で必ず聞かれました。幅広く学べる反面、専門性を説明しにくかったです。」 (近畿大学 国際学部卒・男性)
2. 語学だけでは就活で強みになりにくい
「英語ができる人は多く、日本の大学で学んだ程度では十分なレベルとはいえません。国際学部は資格に直結するわけではないため、自分から積極的に行動しないと就活でアピール点が少なくなると感じました。」 (文教大学 国際学部卒・女性)
3. キャリアに直結しにくいことがある
「英語が話せるだけでは『英語しかできない人』と思われてしまい、パソコンのスキルや論理的な思考が働くのかどうか、企業採用面接で疑われることが何度かありました。」(関西外国語大学 英語国際学部卒・女性)
「商学部や経済学部に比べ、ビジネスや日本社会についての専門知識が乏しく、語学力だけでは十分な強みにならないと感じました。」 (神戸大学 国際人間科学部卒・女性)
向いていない人の特徴
アンケートの声から考えると、次のような人には国際学部はあまり向いていないといえます。
語学や国際理解を学ぶ強い動機がない人
国際学部では、語学や異文化理解を土台に幅広い授業が展開されます。志望動機が弱いと「英語を勉強したが中途半端で終わった」「幅広く学んだが専門性が身につかなかった」と感じやすくなります。
資格や専門スキルを重視したい人
国際学部の学びは語学や国際教養が中心であり、資格取得や技術的スキルに直結することは少なめです。就職で活かせる資格を身に着けたい人には向いていないかもしれません。
受け身で学びたい人
国際学部は「自分で関心分野を見つけ、留学やプロジェクトを通じて深めていく」学部です。受け身で授業を受けるだけでは、幅広い内容が“広く浅く”で終わりがちです。
自分の興味を大切に
ここまで紹介した声は、あくまで一部の体験に基づくものです。国際学部で学んだ語学力や異文化理解、国際課題への知識を活かして、企業・官公庁・教育・国際協力の現場など幅広い分野で活躍している卒業生もたくさんいます。
大切なのは、自分が本当に興味を持てるテーマに素直に向き合うことです。国際学部の学びは、語学だけでなく、国際関係、経済、文化研究、地域研究など多彩な領域に広がっています。積極的に学び、留学や実習に挑戦することで学生生活はより充実し、その経験は将来にも直結します。
おすすめの国際学部がある大学ランキングTOP3
国際学部への進学を検討している方に向けて、学習レベル・研究実績・進路実績・出願方法の豊富さなどを総合的に評価し、おすすめの大学を国公立・私立に分けてご紹介します。
国際学部が強い!おすすめの国立大学TOP3
1位:東京外国語大学 国際社会学部
東京外国語大学 国際社会学部は、英語以外の言語と地域文化を専門的に学べる、日本有数の国際系学部です。世界の13の地域のなかから入学時に選んだ「専攻言語」と「専攻地域」の歴史・文化・社会を突き詰めて学習できます。
語学教育も国内屈指の水準!1・2年次には専攻言語を集中的に学び、海外での生活や研究に生かせる語学力を養うことを目指します。英語だけでなく、アジア・アフリカ・中東など多様な言語を学べる環境があるのも大きな魅力です。
国際色あふれる学園祭「外語祭」も有名で専攻言語を使った劇や各国料理の屋台などを通じて、多言語・多文化の魅力を体感できます。
2位:国際教養大学 国際教養学部
国際教養大学 国際教養学部は、4年間で国際的に活躍するために必要な語学力と異文化理解力を徹底的に鍛えられる環境。
最大の特徴は、全員に課される1年間の海外留学に加え、入学後1年間は全寮制で「学習・居住一体型」のキャンパス生活を送ること。世界各国から集まる学生と生活を共にすることで、日常生活そのものが国際経験となります。
授業はすべて英語で行われ、日本にいながら本格的に世界を体感できる学びの場となっています。
3位:筑波大学 社会・国際学群 国際総合学類
筑波大学 国際総合学類は、世界の課題を解決できる力を養うことを目指す学部です。授業では国際政治や経済だけでなく、情報・環境といった理系分野まで学ぶことができ、幅広い知識を身につけながら専門を深めることができます。
さらに、海外でのフィールドワークや学生主導の「模擬国連」の参加を通じて、国際舞台で必要とされる交渉力や発信力を実践的に磨けます。
こうした学びを通じて得られるのは、知識だけでなく「課題を見つけ、解決策を考え、行動に移す力」。国際機関やNGOなど、グローバルに活躍したい学生におすすめの学部です。
国際学部が強い!おすすめの私立大学TOP3
1位:上智大学 国際教養学部
上智大学 国際教養学部は、日本にいながら海外留学のような体験ができる、国際的な教育環境です。全てのカリキュラムが英語で展開され、4年間を通じて高度で実践的な英語力を徹底的に鍛え上げることができます。
教授陣は国際色豊かで、半数以上が海外出身の教員で構成され、多くの教員が海外大学で博士号(Ph.D.)を取得しています。欧米からアジア、中南米に至るまで幅広い地域出身の教員が在籍し、グローバルな知見に直接触れられる環境です。
さらに、正規学生の国籍は約50カ国に及び、日常的に多様な文化背景を持つ仲間と議論・協働することが当たり前。単なる語学習得にとどまらず、異文化を理解し、多角的に考える力を自然に養える、日本でも有数の国際的キャンパスといえるでしょう。
2位:国際基督教大学 教養学部
海外の大学を思わせる雰囲気のキャンパスが大きな魅力の国際基督教大学(ICU)。東京都三鷹市に位置する東京ドーム13個分に及ぶ広大な敷地は緑に包まれ、落ち着いて学べる環境が魅力的です。キャンパスには世界各国から留学生が集まり、約30%の学生が学内の寮で生活してるのだそう。日常の場にも英語が飛び交い、自然に異文化交流が生まれやすいのも特徴です。
学部は「教養学部」の1学部制で、全員が人文・社会・自然科学など幅広い基礎知識を身につけるリベラルアーツ教育を受けながら専攻を選びます。文系・理系をまたいで学び直すこともでき、幅広い分野を柔軟に探究することが可能。自分の関心を深めながら視野を広げ、世界で活躍するための力を身につけられます。
3位:早稲田大学 国際教養学部
早稲田大学 国際教養学部の大きな特徴は、日本語を母語とする学生は全員、1年間の海外留学が必修となっている点です。
その制度を支えるのが、早稲田大学の圧倒的な国際ネットワーク。87カ国・574以上の大学や教育機関と協定を結んでおり、世界各地から多彩な留学先を選ぶことができます。
さらに、大学全体のプログラムに加えて国際教養学部独自の留学制度も。授業料は原則として早稲田への学費のみで済むプログラムもあり、経済的な負担を抑えての留学が可能です。
「留学を軸に国際的に成長したい」学生にとって、まさに最適な環境といえるでしょう。
国際学部のその他の注目大学
立教大学 異文化コミュニケーション学部
英語教育と国際関係科目を融合し、全員に海外留学を課す実践的なカリキュラムがみりょき的。選抜制の「Dual Language Pathway(DLP)」では、授業や卒論を英語で行い、2年次に1年間の留学を通じて日本語と英語の両面で高度な発信力を養います。
青山学院大学 国際政治経済学部
政治・経済・国際関係を横断的に学べる学際性が強みです。3学科5コースを柔軟に履修でき、少人数ゼミで研究力を伸ばします。英語で専門を学ぶ「Global Studies Program(GSP)」では100以上の科目が用意され、デュアルディグリーや短期研修など国際経験の機会も豊富です。
立命館アジア太平洋大学 アジア太平洋学部
立命館アジア太平洋大学のアジア太平洋学部は、政治学・社会学・経済学を土台に、International Relations/Culture, Society & Media/Global Economyの3領域を横断して学びます。交換留学・フィールドワーク・インターンシップなど実践型科目も充実しています。
明治大学 国際日本学部
「世界の中の日本」をテーマに、日本語と英語の両面で発信できる人材を育成します。ポップカルチャーや芸術、社会システム、多文化交流など8領域から幅広く学べるのが特色です。英語で学ぶType授業や交換留学、海外ボランティアに加え、ウォルト・ディズニー・ワールドでの独自インターンシップなど国際体験の機会も豊富です。
神戸大学 国際人間科学部
神戸大学の国際人間科学部では、「グローバル文化学科」をはじめ、異文化コミュニケーション力と情報発信力を重視する教育が特色です。受け入れ留学生と共に行う授業や多彩な語学教育、さらに長期の交換留学制度・国内外でのフィールドリサーチなど、実践型の学びが充実しています。
横浜市立大学 国際教養学部
国連や自治体とのフィールドワークや共同研究を通じ、国際社会や都市課題を実践的に学べるのが大きな特長です。1年次は基礎科目で幅広く学び、2年次からは「教養学系」「都市学系」の4クラスターで専門性を伸ばします。少人数教育により教授との距離も近く、安心して主体的に学びに取り組める環境です。
まとめ
国際学部は、語学を土台に国際関係、経済、開発、地域研究、環境、SDGsなど多様な分野を横断的に学べる学部です。留学やスタディツアー、フィールドワークを通じて、国際社会に触れながら学べる点も大きな特徴です。
アンケートでも「留学経験が就職の強みになった」「外国籍の顧客とのやり取りに異文化理解が役立った」という声が寄せられました。国際学部での学びは、キャリアや日常生活に直結します。
一方で、学ぶ範囲が広いため、主体的にテーマを選んで深めなければ「広く浅く」で終わってしまう可能性もあるでしょう。特に国際学部では、語学学習や留学に積極的に挑戦する自発性が求められます。
また、国際学部の学科は「国際×経済」「国際×文化」「国際×教養」といった形で専門を組み合わせて設置されています。学科により学ぶ内容が大きく異なるため、自分がどんな学びを深めたいかをイメージしながら志望校や学科を選ぶことが大切です。
少しでも興味を持った方は、オープンキャンパスや模擬授業に参加し、実際の雰囲気や先輩たちの体験談に触れてみましょう。国際学部で得られる学びと経験は、あなたの将来を大きく広げる力になるはずです。
アンケート調査概要
調査対象:国際学部出身の20代~40代(有効回答数18名)
調査時期:2025年7月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「国際学部卒業生の大学時代の学びの活用状況」についての調査
※掲載しているグラフや内容を引用する場合は「塾選ジャーナル調べ:「国際学部卒業生の大学時代の学びの活用状況」についての調査と明記し、『塾選ジャーナル』の記事(https://bestjuku.com/shingaku/s-article/33809/)へのリンク設置をお願いします。
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。