関西学院中学部に合格!野球と中学受験を両立させた、母のブレない選択|親たちの中学受験体験記 Vol.15

「野球も受験も諦めない」——6年生の夏まで続けた少年野球と中学受験の両立。
母が覚悟を決めて挑んだのは、“時間との闘い”でした。スケジュール管理、家庭学習のサポート、そして息子の努力を信じ抜く日々。
多くの家庭が「どちらかを選ぶ」なかで、両立を貫いた母の決断と支え方から、子どもの「好き」と「夢」を見守るヒントを探ります。

編集部
塾選ジャーナル編集部
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【保護者プロフィール】
お名前 | 高宮 都(仮名) |
---|---|
お住まい | 兵庫県西宮市 |
年齢 | 52歳 |
職業 | 会社員 |
性格 | 決めたことを最後まで諦めない芯の強い性格。 |
家族構成 | 夫、長女、長男(中学2年生) |
【中学受験を行った子どものプロフィール】
子どもの名前 | 高宮 昴(仮名) |
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性別 | 男子 |
現在通っている学校名 | 関西学院中学部 |
現在の学年 | 中学2年生 |
受験時にしていた習い事 | 大手中学受験塾 |
得意科目 | - |
苦手科目 | 算数 |
性格 | マイペース。繊細で優しい |
関西学院中学部 合格(第一志望) 甲南中学校 合格 仁川学院中学校 合格 |
大学までの内部進学も見越して、関西学院を第一志望に
―最初に、お子さんの中学受験を決めた理由から教えてください。
私自身、中学受験をして内部進学で大学まで通えたことで、学生時代を自由に過ごすことができました。そうした自身の経験から、子どもを産む前には「小学校や中学校から高校、大学へと内部進学できる学校で、子どもを伸び伸び育てたい」という思いは持ってましたね。
―高宮様のご家庭では、長女様・長男様ともに中学受験をされていますよね。
長女が中学校受験を経て、大学まで進学していたので、下の息子だけを地元の公立中学に通わせるという選択肢はあまり考えていませんでした。もちろん検討はしましたが、息子の性格を考えると、公立で安定した内申点を取ることへの不安もあったんです。
マイペースなタイプなので、テスト・宿題・授業への参加・出席日数などたくさんの「やるべきこと」に対して自己管理を徹底してコンプリートしていくのは難しそうだなと思っていました。
私がサポートするにも、公立に通った経験がないのでイメージがあまり湧かなくて。自然と中学受験をするほうに決めていました。息子にも、受験が何かも知らないうちから「あなたは受験するからね」と伝えていました。
―学校選びについては、高校や大学への内部進学があることを条件に探していきましたか?
受験という縛りのない環境でのびのび学生時代を過ごしてほしかったので、中高一貫、あるいは大学まで内部進学の道がある学校に絞って探しました。無理して勉強させるつもりはなかったので、息子の偏差値と大きく乖離のある学校や、入学後に大学受験のために勉強、勉強となるような学校は除外していました。
私としては、生徒の個性を大事にしながら、学校生活を通して人としての生き方や学びを教えてくれるような学校がいいなという思いもありました。
―偏差値や進学実績だけではなく、校風も重視されていたのですね。学校の情報はどのようにして集めていましたか?
うちの場合、もともと候補に挙げていたのが、近隣でなじみのある学校だけでした。在校生の保護者の方に話を伺うなど、直接聞ける機会に恵まれていたこともあって。
第一志望の関西学院は、昔からよく知っている学校です。「通っていた人に聞くのが一番」で、生の声をたくさん聞くことができる環境だったことはラッキーだったなと思います。高学年になってからは、学校説明会に行って先生の話を聞き、その場の雰囲気を肌で感じるなかで「合う・合わない」を直感する場面もありました。
―最終的に関西学院を第一志望と決めたのは、どのあたりが決め手になったのでしょうか?
大きな理由の一つは、校風から心を豊かに育てて人として大切なものを学べると思ったこと。もう一つは、大学までの内部進学率が高いことです。また、息子はずっと少年野球をやっていたので、クラブ活動が盛んで野球部があったことも魅力だったようでした。入学後は野球部に所属し、週6日の活動に打ち込んでいます。
\志望校・受験校選びで意識したポイント/
実績豊富な大手塾で、無駄のない受験対策を実現
―ここからは、受験勉強の話をお伺いしていきます。小学4年生から通い始めた塾での学びが大きな成果につながったそうですね。通塾を決めた理由があれば聞かせてください。
大好きな少年野球をギリギリまで続けたかったので、重視したのは通いやすさです。週5日みっちり授業があるような塾だと、野球の練習や試合に支障が出てしまうので、通う日数が少なくてもしっかり受験の対策をしてくれる塾を選びました。
実際に4~5年生の間は週2日、6年生になってからも週3日の通塾スタイルでしたが、教材も先生方のサポートも素晴らしく、合格の後押しをしてくださったと思います。少年野球も、6年生の夏まで続けることができました。
―塾のどのようなサポートがよかったですか?
先生方に共通する「受験は通過点であり、人としてどう生きるかを学ぶ機会にしてほしい」という姿勢がよかったです。どの先生も「なぜ宿題を出さなければならないのか」「なぜ決められたことを守る必要があるのか」といったことを繰り返し伝えてくださいました。勉強の本質的な意味を考えるきっかけを与えていただき、先生の話を聞くうちに親子ともども理解を深めることができたと思います。
もちろん受験勉強の進め方や志望校対策といった実践的なサポートも充実していました。単元の得意・不得意はもちろん、入試問題の傾向が息子に合うか・合わないかといったことまで、子ども一人ひとりを本当によく見てくださいました。
―お子さんに合った個別サポートをしてもらえると心強いですよね。塾で学んだ受験対策の中で、特に役立った・勝因になったと思うテクニックはありますか?
先生が志望校の出題傾向をしっかり把握されていたので、無駄なく対策を絞ることができたのはありがたかったですね。例えば、息子が希望する学校の場合、「基本問題で点数を取る力が必要だから」と毎日解くための計算問題を宿題に出してくれました。毎日コツコツ取り組んだことはやはり無駄にならなかったと思います。
6年生の9月に関西学院を第一志望にすることを伝えた後は、「あの学校は過去問と同じ問題が出るから」と重点的に過去問対策を行いました。
―塾は各校の受験対策を知っているので、志望校・受験校の候補を早めに伝えると対策が絞れるという利点があるのですね。
そのとおりだと思います。5年生の初めての塾内模試で、判定がすごく悪かったんです。「これはちょっと危ないぞ」と慌てて先生に相談しに行くと、「今回の模試は志望校と問題傾向が異なるので気にしなくていいですよ」と言われました。数字だけを見て不安になっていましたが、学校によって傾向がまったく異なることを知れてよかったですね。
その段階では第一志望は絞っていませんでしたが、「このあたりの学校に行きたいです」と伝えると、先生も「対策を立てやすくなるので、言ってもらえて助かります」とおっしゃっていました。
対策は目指す学校によって異なるので、早く伝えるのがベストだと思います。
―その後、塾から提示される受験対策も変わりましたか?
はい。教材の中で「このページの問題はやらなくていい」「このプリントだけやって」と的確なアドバイスをいただきました。親としては、「全部やらないといけないのではないか」と思ってしまうので、取捨選択をいただけるのは助かりました。
\塾の活用ポイント/
“丸付け”で粘り強く伴走した家庭学習。苦手の算数も成績UP!
―ここからは家庭学習について話を伺っていきたいと思います。定期的に家庭学習の時間を取り始めたのは通塾開始と同時期からとなりますか?
はい。塾の宿題をする時間として4年生のうちは毎日30分程度、5年生になってから1時間と徐々に時間を伸ばしていきました。課題が増えてくる6年生になってからは、2~3時間ほどになっていたと思います。
―家庭学習で何をするかといった勉強計画も塾のほうで提示してくれるのですか?
塾のほうから、細かく「過去問はまだやっちゃダメ」というように時期や内容に関して学習計画が提示されるので、国語も算数も理科もそのとおりに進めていました。自分たちで計画を立てるのは大変だったと思うので、信頼のおける塾に出会えて本当によかったと思っています。
―特に時間を割いていたのは、苦手科目の算数となりますか?
算数では本当に苦労しましたね。毎日計算問題を解くように言われていましたが、問題を解くのはもちろん、間違えた問題の解き直しをするのもすごく嫌がり、入試直前でもその調子だったので、てんやわんやしていました。
―苦手と向き合うのはつらいですよね…。どのようにして、計算問題に向かわせていたのですか?
最初の頃は、「宿題はやったの?」と聞くにとどめていたのですが、いつまで経っても効果が出ないので確認してみると、丸付けを全然していなくて。伝えても自分ではやらない日もあるので、5年生の後半くらいからは、私が丸付けをするようにしていました。
塾から「間違えた問題の解き直しは絶対必要」と言われていたので、「間違い直しをしないといけない」と繰り返し息子に言い続けました。間違えた問題に印をつけて、「塾で解き方を聞いてやり直してね」と伝え、実際にやり直したかを確認する。その繰り返しなのですが、私も根気が試される日々でした。
―毎日コツコツ続けたことが、苦手の克服には効いていたのではないですか?
完全に苦手を克服できたとまではいえませんが、算数の成績は伸びました。それと「やるべきことをやる」という姿勢は身についたと思います。
―6年生の秋頃からは、第一志望の関西学院の受験対策として過去問に取り組まれたのですよね。
過去問も計算問題と同じで、解いて間違えたところをやり直すということを繰り返し行っていました。
特に大変だったのは、受験校を決めた後です。学校によって時間も問題数もまったく異なるので、時間内に問題を解く練習のためにも第一志望だけでなく、第二・第三の受験校の過去問に取り組む必要があったんです。
「この学校は5年以上前の過去問は、傾向が変わるからやらなくていい」など塾から細かく情報をいただけるので、第一・第二志望に関しては提示された過去問にしっかりと取り組みました。
間違えた問題は2回、3回、4回…とループのように何回も何回も粘り強く解き続けましたね。第三志望については先生から「1回解けば大丈夫」と言われたので、繰り返しの解き直しが必要なく、安心したのを覚えています。
\ 家庭学習で工夫したポイント/
過去問対策が効果を発揮。関西学院をはじめ受験校はすべて合格
―中学受験はお子さんもまだ幼いこともあり、サポートする親御さんも大変ですよね。勉強面でのサポート以外で、振り返って苦労されたことなどはありますか?
スケジュール管理ですね。高学年になると、学校説明会、塾の模試と外部模試、さらに野球のスケジュールもあるので重なりや漏れが出ないように気を配っていました。さらに、6年生の10月以降になると、願書や志望動機書といった提出書類の準備、受験料の支払いと、絶対に間違えられない締め切りも入ってきます。
当然ながら入試当日の集合時間や持ち物も学校によって異なります。予定を間違いなく管理することは、想像以上に骨が折れましたね。スマートフォンのカレンダーに入力して、紙に書いて見えるところにも貼っておくようにしていました。
―スケジュール管理が一番混み合っていたのはいつ頃ですか?
6年生の秋から冬あたりだったと思います。その頃は、どの学校の何年の過去問を解いたか・間違い直しをしたかといった勉強面での管理と事務的な手続きが重なるので、毎日気が抜けませんでした。
―親子で頑張った成果が出て、第一志望の関西学院を含めて受験校はすべて合格。疲れも癒されたのでは?
初日の関西学院の入試を終えて、「過去問と同じ問題が出た!」って喜んで帰ってきたんです。やっぱり本人が「解けた」と思って1日目を終えるのと、そうでないのとでは、モチベーションが全然違うので安心しましたね。先生の言うとおり、過去問に取り組んでよかったと思いました。
―受験直前では、関西学院に合格する可能性はどれくらいだと思っていましたか?
塾の先生からは50%と言われていました。個人的には、過去問対策をしっかりやっていたこともあり「いけるのではないか」という感触は持っていましたが、合格をいただいたときには、本当に「やりきった」という気持ちでした。
―日程としては、初日から第一志望校ともう1校のかけもち受験。なかなかハードな日程でしたね。
学校までのルートを事前にしっかり調べて、事前に綿密にシミュレーションしておきました。交通機関の乗り換えパターンや、万が一電車が遅れた場合の対応も前もって調べていました。
初日は2校受験で、終わってすぐ次の試験会場にタクシーで移動しないと間に合いませんでした。事前にタクシーの運転手さんに「同じ時間帯に試験に向かう人が多いと思いますが、配車はできますか?」と聞いて、だいたい何分で移動できるか時間の確認をしておきました。特に郊外の学校だとすぐにタクシーに乗れないこともあるので要注意ですね。
―中学受験を振り返って、もっとこうしておけばよかったと思うことはありますか?
4年生からもっと早めにやっておけば、最後にこんなに焦ることはなかったかなと思うことはあります。でも、仮に早くから根を詰めると息切れしてしまい、最後まで頑張り切れなかったかもしれません。結果オーライかもしれませんが、やるべきことを最終的にやりきったと思うので満足しています。
―少年野球をギリギリまで続けるなど、勉強以外の時間も大事にされていた印象です。
単純に勉強時間の長さだけを見れば「もっと勉強すればよかったかな」とも思います。でも野球をやめて空いた時間をまるっと勉強時間に充てるかは別問題です。
外に出て勉強以外のことをしたり、体を動かしたりすることで気分転換になっていたと思うので、野球を続けてよかったです。
―最後に、中学受験という経験を通して息子さんが成長したと感じることがあれば教えてください。
何かの折に息子が「最後だけは頑張ったから」と言うことがあります。
心が成長して自立するための土台を築く小学生の時期に、力を出し切り成功体験を持てたことは、彼の大きな自信につながったと感じています。「あのとき最後まで頑張れた」という思いが、今後何かにチャレンジするときに背中を押してくれることを願っています。
\中学受験を終えて感じたこと/
取材後記
インタビューを通して印象的だったのは、「無理をさせない」「自分らしく過ごしてほしい」という一貫した教育方針です。学校選びだけでなく、塾選び、家庭学習の工夫など、子どものペースを軸に大切にしてくれたお母様がいたからこそ、息子さんも最後まで走り切ることができたのだと思います。
同時に、算数の苦手克服では息子さんに根気強く寄り添い、丸付けをして解き直しを徹底させるなど、母としての粘り強い伴走が光りました。積み重なる管理に「本当にしんどい…」と思うような日々もあったはずですが、諦めずに見届け続けたからこそ、可能性50%からの合格へつながったのではないでしょうか。
「やり切るまで一緒に見届ける」という姿勢こそ、子どもとの信頼関係を深め、学びの定着を支えた大きな要因だと感じました。受験を通じて親子で積み重ねたこの経験は、合格以上の宝物になったはずです。
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