保護者が知っておきたい受験・進路情報まるわかり!

お気に入り
メニュー
  1. 塾選(ジュクセン)
  2. 進学
  3. 塾選ジャーナル
  4. 農学部では何を学ぶ?就職事情や向いている人も徹底解説

農学部では何を学ぶ?就職事情や向いている人も徹底解説

更新日:
大学受験
アイキャッチ画像

 「農学部って、何を学ぶの?」「卒業後の就職先はどんなところ?」

そんな疑問を持つ方も多いでしょう。農学部は、作物や畜産、森林や水産に加え、食品科学やバイオテクノロジー、環境保全など、人の暮らしを支える幅広い分野を学べます。

自然や食に関心を持つ人が多く進学し、研究対象は地域や気候に応じて多彩。北海道の農業、沖縄の熱帯作物、地方ごとの特産品など、地域性を活かした学びができるのも農学部ならではの魅力です。

この記事では、農学部とはどんな学部か、何を学ぶのか、就職事情や向いている人の特徴、卒業後の職業や体験談までわかりやすく解説します。

塾選ジャーナル編集部

編集部

塾選ジャーナル編集部

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

目的や性格について回答するだけ!簡単10秒!ぴったりの塾を診断

目次

農学部とは?

農学部は、食料の生産や環境の保全を科学的に研究する学部です。作物や家畜の栽培・育種、森林や水産資源の利用、食品加工や流通、さらにはバイオテクノロジーや農業経済まで幅広い分野を扱います。

授業では実験や実習に加え、農場や森林でのフィールドワークも多く、自然と向き合いながら学ぶのが特徴です。地域や気候に応じた研究テーマも豊富で、暮らしに直結する学問として注目されています。

農学部にはどんな学科がある?

農学部には、自然科学から社会科学まで幅広い分野をカバーする学科が設置されています。以下では代表的なものを見ていきましょう。

農学科

農学部の中心となる学科で、作物・畜産・土壌・水資源など、農業全般を幅広く学びます。生物・化学・物理・数学といった基礎科学の知識を活かしつつ、実習や地域農業への理解を深められるのが魅力。

応用生物学科

遺伝子工学や微生物学、バイオテクノロジーを中心に、食品や医薬、環境分野へ応用可能な知識が習得可能。食品機能や安全性研究など、現代社会で需要の高いテーマが多く、注目されている分野です。

農業経済学科

農業や食品産業を取り巻く経済・政策を研究する学科。農業経営や流通システム、地域振興や農村社会の課題を対象に、統計や調査を活用し、実社会での応用が期待できます。

その他の学科の例

農学部には、独自の学科構成で特色を打ち出している大学もあります。

例えば、北海道大学 農学部には、生物機能化学科、森林科学科、畜産科学科、生物環境工学科など、幅広い領域の計7学科があります。

また、東京農工大学 農学部では、応用生物科学科や環境資源科学科など、バイオと環境を組み合わせた学科を設置。都市と自然をつなぐ学びが特色となっています。

農学部は大学ごとに学科構成が大きく異なり、地域や社会の課題に応じた特色ある教育が行われています。進学先を選ぶ際には、自分の関心と大学の学科構成の相性をしっかり確認しましょう。

農学部で学ぶ内容

農学部で学ぶ内容の図

農学部の学びは、食料生産や自然環境、バイオテクノロジーまで幅広く、生活や社会に直結したテーマを扱います。座学だけでなく、大学の圃場(農場)での実習やフィールドワーク、研究室での実験など、実践的な学びも豊富です。ここでは農学部で何を学ぶのか、代表的な分野を紹介していきます。

主な学問分野

作物学・園芸学
作物の栽培方法や収量向上、品種改良などを学びます。米や小麦などの主要作物から果樹・野菜・花卉まで対象は幅広く、地域ごとの気候や土壌に適した栽培技術の研究も。近年は環境にやさしい持続可能な農業の方法も注目されています。

畜産学
牛・豚・鶏などの家畜を対象に、生産効率や飼料、健康管理を研究する領域。肉や乳製品、卵といった畜産物の品質向上だけでなく、動物福祉や環境との調和も研究課題です。家畜の遺伝子解析や育種も重要なテーマとなっています。

林学
森林の保全や資源利用に関する学問です。木材や紙といった資源の持続的利用、森林生態系の保全、二酸化炭素吸収による地球温暖化対策などが主なテーマ。山間地域の活性化や防災と結びついた研究も進められています。

水産学
水産資源の持続的利用や養殖技術を学びます。魚介類の繁殖や生態研究、漁業資源の管理、海洋環境保全などが主な内容。大学ごとに特色があり、沿岸地域では海洋資源を活かした研究、内陸地域では淡水魚や水環境に関する研究が進められています。

食品科学・応用生物学
農産物や畜産物、水産物を食品として加工・保存・流通する方法を研究します。食品の安全性や栄養、機能性成分の研究に加え、バイオテクノロジーを活用した新しい食品開発も盛ん。生活に身近な学びとして人気が高い分野です。

農業経済・農村社会学
農業や食品産業を取り巻く経済や政策を学びます。農家の経営や流通システム、地域振興や農村社会の課題を扱い、フィールド調査や統計分析を通じて課題解決に挑みます。地域づくりや政策立案を担う人材を育てる分野でもあります。

農学部の学びは、自然科学と社会科学の両面を兼ね備えているのが特徴。基礎科学を応用しながら、食や環境という社会的に重要なテーマに直結して取り組めることが、農学部の大きな特徴といえるでしょう。食品・環境・バイオ・公務員など幅広い分野に活かせる実践的な知識を身につけられるため、農学部は就職に強い学部といわれています。

農学部での勉強のおもしろさは?

ここでは自然や食に関する身近なテーマを扱う農学部ならではの学びの魅力をご紹介します。

農場やフィールドで実体験できるおもしろさ
農学部では、大学の農場や実験林で、作物や動植物に直接触れながら学習できます。教科書で学んだ内容を、土を耕し、種をまき、収穫する中で体感できるのは、農学部ならではの醍醐味と言えるでしょう。

地域ごとの特性を活かした学び
農学部は立地によって研究テーマが大きく変化します。例えば、北海道では寒冷地農業や酪農、沖縄では熱帯作物やサトウキビ、瀬戸内では水産資源など、地域性が反映されるのです。自分が暮らす地域や、将来携わりたい地域と結びついたテーマに取り組める点も、大きな魅力の一つかもしれません。

食と環境のつながりを考える楽しさ
農業は食の基盤であると同時に、環境問題とも密接に関わっています。持続可能な農業、食品の安全性、資源循環といったテーマに取り組むことで、社会課題に目を向ける力が養われます。身近な「食」から環境を考える視点が得られるのも、農学部ならではの学びでしょう。

社会に役立つ研究に取り組める意義
農学部の研究は、食料問題や環境保全、地域振興など、社会課題に直結します。例えば新品種の開発や食品保存技術の改良などは、日々の暮らしをより豊かにするでしょう。学びの先に社会への貢献があると実感できることも、やりがいにつながります。

農学部で学ぶメリットや役に立つ場面

農学部での学びは、生活や社会に直結する場面で力を発揮します。作物や動物、食品、環境といった身近なテーマを対象にするため、卒業後も日常や職場で活かしやすいのが特徴です。ここでは農学部ならではのメリットをご紹介していきます。

食や暮らしに直結する知識が得られる

農学部では、食品の安全性や栄養、農産物の流通や加工など、日常生活に密接した知識が習得可能。こうした知識は家庭での食生活や健康管理にもつながり、社会人としての基礎力にもなります。

実習や研究で身につく実践的スキル

農場での栽培実習や研究室での実験を通じて、観察力・分析力・実験技術が身に付きます。これらのスキルは農業や食品業界だけでなく、幅広い業種で高評価を得られるでしょう。フィールドワークやグループ活動で培う協働力も大きな財産に。

社会課題に取り組む視点が育つ

農学部の研究は、食料問題や環境保全、地域振興など、社会的な課題に直結しています。こうしたテーマに取り組む中で、持続可能な社会づくりに貢献する視点を養えるのは農学部ならではの強みです。

就職活動やキャリア形成での強みになる

農学部出身者は食品や農業関連企業で専門知識を評価されやすく、就職に強い学部と言われています。農学部という出身自体が面接での差別化につながる場合も。幅広い知識や実習経験を持つことが、キャリア選択の幅を広げる要因となります。

農学部で学んだことが実際に役立った体験談

農学部の卒業生は、学生時代の経験を仕事や生活のさまざまな場面で活かしています。以下ではアンケートから、多様な声をご紹介します。

日常生活の「食」に活かせた

「安心安全な食べ物について学んだことで、食品を選ぶ際に表示をきちんと確認する習慣が身につきました。」(近畿大学 農学部卒・女性)

「食品や調理に関する知識を学んだことで、自炊や家庭での食生活の改善に役立っています。」(岩手大学 農学部卒・女性)

学習内容が業務に直結した

「卒論での発表経験が生産管理や衛生管理のプレゼンに直結しました。農学部で学んだことがそのまま仕事に役立ちました。」(琉球大学 農学部卒・女性)

「商品開発の中で環境配慮の提案をした際に、農学部で食品と環境の関係を学んだ経験が役立ちました。」(近畿大学 農学部卒・女性)

独自の視点が仕事での強みに

「会社に農学部出身者が少なく、食品や環境に関する視点を求められる場面が多かったです。自分の専門性を発揮できました。」(明治大学 農学部卒・男性)

農学部で取得できる資格

農学部で取得できる資格一覧

農学部では、食や環境、生命に関わる専門的な資格を取得できる場合があります。
代表的な例をご紹介。

食品衛生管理者・食品衛生監視員

食品の安全を守る専門家として、食品工場や自治体で活躍できる国家資格。食品衛生や微生物学の知識を活かし、製造現場の衛生管理や検査を担います。

栄養士

食と健康の専門家で、給食施設や病院、食品関連企業などで必要とされます。農学部の中でも管理栄養士・栄養士養成課程を設置している大学で、必要な単位を修得することで取得可能。

毒物劇物取扱責任者

農薬や化学薬品を扱う際に必要となる国家資格。農学系の学科で化学や生物などを履修していれば、受験資格が得られる場合があります。

獣医師

動物の診療や公衆衛生の分野で活躍する国家資格です。農学部の中でも獣医学科を設置している大学に進学し、6年間の専門課程を修了して国家試験に合格することで取得を目指せます。

環境再生医

自然環境の保全や再生に関する知識とスキルを認定する資格。森林や河川、農地などの環境問題に向き合い、実践的に取り組む人材を育成する民間資格のひとつです。

教職(中学・高校:理科、農業 など)

教職課程を履修し教育実習を行うことで、中学や高校の教員免許(一種)を取得できる大学もあります。将来、理科や農業を教える際に活用できるでしょう。

このほかにも、学芸員(博物館での研究・展示に携わる資格)や司書といった資格が目指せる大学もあります。

ここで紹介した資格がすべての農学部で取得できるわけではありません。志望する大学のカリキュラムや資格サポート体制を、公式サイトやパンフレットで必ず確認しましょう。

農学部の卒業生の就職事情!何になれる?

農学部卒業生の就職事情

農学部の卒業生は、食や農業に直結する業界だけでなく、幅広い分野で活躍しています。食品メーカーや農協・JA、公務員や研究機関といった専門性を活かせる進路はもちろん、小売・流通、商社、環境関連企業など進路は多種多様。

農学部の主な就職先

農学部卒業生の主な就職先

アンケートに寄せられた回答から、農学部卒業生の代表的な就職先を紹介します。

農林水産業
農業法人や林業、水産関連の企業など、一次産業の現場に進む人も少なくありません。大学で学んだ知識をそのまま実践に活かしやすく、地域や自然と密接に関わりながら働けるのが大きな魅力となっています。持続可能な社会づくりや地域振興に直接貢献できる点も、この進路を選ぶ卒業生が多い理由のひとつです。

メーカー
食品や化学、資材などを扱うメーカーでは、研究や開発、生産管理の分野で農学部出身者が活躍。研究室で培った実験や分析の経験が、そのまま製品開発や品質管理に直結し、就職での強みになっています。

小売・流通
スーパーや専門店などの小売・流通業界でも、農学部の知識は役立ちます。食品の安全性や流通の仕組みを学んだことは、仕入れや販売、商品企画に活かせるでしょう。

商社
商社では農産物や食品、化学製品を扱うことが多く、農学部で得た知識が流通や取引に生かされます。国内外の顧客と関わる仕事もあり、食や環境に関する理解が有利に働くことも。卒業後、国際的に活躍する卒業生も少なくありません。

農学部卒業の女子の就職先は?

農学部出身の女子学生は、食品・流通・教育分野を中心に、多様なキャリアで活躍しています。食品や環境といった身近なテーマを扱うため、女性が強みを発揮しやすい職場が多いのも特徴的。以下ではアンケートから見えてきた代表的な就職先をご紹介していきます。

食品関連業界
食品メーカーや飲料会社では、商品開発や品質管理の職種が人気。研究室での実験や衛生管理の経験がそのまま評価され、生活に直結する分野で専門性を活かせます。
大手メーカーは育休・産休など福利厚生が整っていることが多く、長期的に働きやすいのも女子学生にとって安心材料です。

小売・流通
スーパーや専門店などの小売業界でも活躍が見られます。食の安全や流通に関する知識を活かし、仕入れや商品企画に携わるケースも。生活者の立場に立った提案力は、女子学生にとって強みになります。

研究・教育分野
農学に関する基礎知識を活かして、研究補助や教育関連職に進む道もあります。特に実験や分析の経験は、教育機関や研究所での仕事に直結。研究や教育の分野は専門性を活かしながらライフイベントと両立しやすく、安定した働き方を希望する女子学生に人気があります。

実際の農学部の就職体験談

アンケートには、農学部での学びが就職活動や職場でどのように役立ったのか、具体的な声が寄せられました。ここではその一部をご紹介。

【農林水産業に就職した信州大学 農学部卒・男性の体験談】

就職活動でのメリット
「農業系の企業だけでなく、食品メーカーや化学メーカーの選考でも、論理的思考力や仮説検証能力が高いと評価されました。」

実際の業務での活用
「微生物学の知識が役立ちました。発酵食品の品質管理において、微生物の特性を理解していたことで業務をスムーズに進められました。」

【食品製造業に就職した琉球大学 農学部卒・女性の体験談】

就職活動でのメリット
「無菌培養や衛生管理の知識を学んでいたため、食品の流通や加工について面接で具体的に話せました。」

実際の業務での活用
「生産や衛生管理のプレゼンを任される際に、卒論での発表経験や研究で培った知識が役立ちました。」

【メーカーに就職した岩手大学 農学部卒・女性の体験談】

就職活動でのメリット
「生化学的な研究やフィールドワークの経験が、食品メーカーではアピールポイントになりました。」

実際の業務での活用
「食品に対しての着眼点や論理的な説明の仕方が、顧客への提案や社内での業務改善に活かせました。」

【商社に就職した山口大学 農学部卒・男性の体験談】

就職活動でのメリット
「肥料メーカーや種苗会社などの農業関連の会社の面接では他の学部よりも有利だと思いました。」

実際の業務での活用
「植物の基礎の勉強を大学1・2年次に一通りしていたため、同期と比べて入社後の理解が早かったです。」

農学部での学びは、食品・メーカー・商社といった産業界から一次産業の現場まで幅広い進路に直結しており、それぞれの現場で確かな強みとして活かされています。

農学部に向いているのはどんな人?

農学部に向いている人

農学部は、食や自然に興味があり、実習や研究を通じて社会課題に取り組みたい人に向いています。フィールドワークや実験など体を動かす学びも多いため、粘り強く学び続けられる姿勢も必要です。

ここでは農学部に向いている人の特徴を、チェックリスト形式で紹介します。

農学部に向いている?を簡単診断

以下のチェックリストで、自分が農学部に向いているかどうかを診断してみましょう。当てはまる項目が多いほど、農学部との相性が高いといえます。


学習スタイルについて
思考・性格について
将来・社会について

判定結果

  • 15個以上該当
    農学部に非常に向いています。自然や社会に根ざしたテーマを研究することで、多様なキャリアにつながるでしょう。
  • 10〜14個該当
    農学部に向いています。関心のある分野を深めることで大学生活がより充実します。
  • 5〜9個該当
    一定の適性があります。他学部と比較しながら進路を考えてもよいでしょう。
  • 0〜4個該当
    他学部も含めて幅広く検討することをおすすめします。

診断のポイント💡
農学部では「自然や食に関する興味」と「社会課題に向き合う姿勢」が重要。例えば「なぜこの作物はこの地域でよく育つのか」「どうすれば環境負荷を減らして食料を生産できるのか」といった問いを持ち続けられる人に向いています。興味を持ったらオープンキャンパスや模擬授業で実際の雰囲気を体験してみましょう。

農学部によくある志望理由

アンケート調査から、農学部を選んだ理由として多かった声を紹介します。

生物や化学が好きで、学びを深めたかった

「高校で生物と化学が得意で、さらに専門的に学びたいと思ったのが農学部を選んだ理由です。」(岩手大学 農学部卒・女性)

「微生物や発酵など、生物の仕組みに興味があり、研究を通じて理解を深めたいと考えました。」(琉球大学 農学部卒・女性)

食や農業、地域とのつながりに関心があった

「安心安全な食べ物を守りたいと思い、農学部を志望しました。」(近畿大学 農学部卒・女性)

「地域活性化に興味があり、農業を通じて地方を盛り上げたいと考えました。」(明治大学 農学部卒・男性)

将来性のある分野で学びたいと思った

「農業や環境は今後ますます重要になる分野だと思い、ニーズが高まると感じて農学部を選びました。」(山口大学 農学部卒・男性)

「農業に興味があり、将来的に自営で農業を営みたいと思っていたためです。」(信州大学 農学部卒・男性)

「やめとけ」の声もある理由!農学部に向いていない人は?

農学部は幅広い知識と実践経験を得られる一方で、「向いていなかった」と感じた卒業生の声もあります。実際のアンケート回答をもとに、その理由をいくつかご紹介。

体力や根気が求められる

「外での作業や研究室での実験が多いため、体を動かしたり根気よく作業するのが苦手な人には向かないと思います。」(琉球大学 農学部卒・女性)

就職で専門性を伝えにくい場合がある

「農業分野と関係のない会社に応募する際、志望動機を説明するのが大変でした。研究内容がニッチすぎて伝わりにくいこともあります。」(信州大学 農学部卒・男性)

理系の中で見劣りすると感じることもある

「理系学部の中では学力が低く見られる可能性があり、数字や専門性を求められると弱みになることがあります。」(明治大学 農学部卒・男性)

向いていない人の特徴

体力的な負担を避けたい人
農学部では農場や森林での実習が多く、屋外での活動や長時間の作業もあります。体力面に不安があると負担に感じやすいでしょう。

屋外作業や地道な研究が苦手な人
畑作業や動植物の観察、実験の繰り返しなど、地道な積み重ねが学びの中心です。体を動かすのが苦手、研究をコツコツ続けるのが合わない人には不向きです。

就職で即戦力資格や技術を求める人
薬剤師や看護師のように資格が直接仕事につながる学部ではありません。農学部は幅広い知識と応用力が強みですが、資格をすぐに取りたい人には物足りなく感じることもあります。

自分からテーマを掘り下げるのが苦手な人
農学部の研究は「自分で課題を見つけ、探究する力」が求められます。与えられた課題だけに取り組む姿勢では、学びの深さを活かしきれない可能性があります。

自分の関心を大切に

「農学部はやめとけ」という声もありますが、それはあくまで一部の意見。農学部で得られる知識や実践力をもとに、多くの卒業生が社会の第一線で活かしています。

重要なのは、自分が食や環境、農業に本当に興味を持てるかどうか。関心を持って主体的に学べば、農学部での4年間は大きな成長につながります。

おすすめの農学部がある大学ランキングTOP3

おすすめの農学部がある大学ランキングTOP3

農学部が強い!おすすめの国立大学TOP3

1位:東京大学 農学部

東京大学のキャンパス風景

東京大学農学部は、日本の農学研究を牽引する存在です。最大の特徴は、「ミニ・ユニバーシティ」と呼ばれる研究領域の多様性。生物学や化学にとどまらず、工学や社会科学まで横断的に学べる体制が整っています。

研究水準も国内外で高い評価。ゲノム研究やバイオインフォマティクスなど、先端技術を取り入れた教育・研究を推進し、食料や環境といった社会課題に応えています。

さらに、附属の演習林・農場・牧場などフィールド施設の充実度は全国でも有数。多彩な実習環境を活用し、理論と実践を結びつけながら学べる体制が整っています。

2位:京都大学 農学部
京都大学農学部は、生命科学や食品科学の分野で国内トップクラスの研究力を誇ります。
なかでも食品生物科学科では、機能性食品や生理機能に関する研究が活発に行われており、日本農学賞や農業工学会賞を受賞した研究者も在籍。こうした成果は、食品や環境分野で高く評価されています。

また、附属の木津農場や京都農場には農場や温室などの環境も充実。栽培実習や実証研究を通じて理論を実践に結びつけることが可能です。

自由な学風のなか、自分の興味関心を深めていきたい学生にとってよい学びの場となるでしょう。

3位:北海道大学 農学部
北海道大学農学部は、全国最大級の研究林と広大なフィールド環境を強みにしています。研究林や附属農場など、大学が管理する教育研究フィールドの総面積は約7万ヘクタールにのぼり、世界最大級の規模です。

この広大な自然を活かした実習・研究が充実しており、寒冷地農業の生産技術や酪農・畜産資源の分野に特色があります。北海道という立地を生かした教育研究は、他大学にはない大きな強みです。

農学部が強い!おすすめの私立大学TOP3

1位:東京農業大学 農学部 他

東京農業大学のキャンパス風景

東京農業大学は、農学・生命・環境などを総合的に学べる大学です。作物学・農芸化学・応用生物科学・造園科学など幅広い分野を揃えており、学びの裾野が非常に広いのが大きな特色。「植物昆虫関係学」や「醸造科学」「きのこ学」といった、専門性が高くユニークな授業が開講されているのも農大ならではです

キャンパスは世田谷・厚木・オホーツクに分かれ、世田谷では都市環境の中で基礎から応用までを学び、厚木では広大な農場で実習を体験。網走のオホーツクキャンパスでは寒冷地ならではの作物や資源研究に取り組めます。都市環境から寒冷地まで多様なフィールドを活かして学べるのも大きな魅力です。

2位:明治大学 農学部
明治大学農学部は、食品科学と生命科学の研究に強みを持つ学部です。農学科・農芸化学科・生命科学科・食料環境政策学科の4学科を設け、食の安全や機能性食品、バイオテクノロジーの分野で高い評価を得ています。研究室単位での教育も充実しており、早い段階から実験や研究に取り組むことができる点が魅力。

さらに、明治大学の知名度と社会的評価の高さは就職にもつながっています。食品メーカーや化学メーカーをはじめ、官公庁や商社など幅広い業界への就職実績があります。

3位:日本大学 生物資源科学部
日本大学の生物資源科学部は、多彩な学科構成と安定した就職実績が大きな強み。アグリサイエンス学科、食品ビジネス学科、森林学科、獣医学科など幅広い分野を設け、農学だけでなく獣医学や食品科学、環境学まで学べる体制が整っています。湘南キャンパスには附属農場や研究施設があり、実習やフィールドワークを通じて実践的に学ぶ機会も豊富です。

卒業生は食品メーカーや化学メーカー、官公庁などに幅広く進んでおり、就職率も高い水準を保っています。大規模大学ならではのネットワークと多彩な分野の学びを活かし、安定したキャリアを築きやすい点も魅力といえるでしょう。

農学部のその他の注目大学

東京農工大学 農学部
東京農工大学農学部は、生物資源や環境科学を中心に学べる学部。都市近郊の立地を生かしつつ附属農場での実習も行い、バイオサイエンスや環境保全など実践的な研究に取り組めるのが特色です。

九州大学 農学部
九州大学農学部は、約7,093haの附属演習林を活かした教育・研究が特色。広大な農場と演習林を活用し、食料生産から環境・経済まで幅広い研究を展開しています。さらに、福岡という立地を活かし、アジア諸国との学術交流も盛ん。国際性に富み、国内外の研究機関や企業と連携したプロジェクトも推進されています。

近畿大学 農学部
近畿大学農学部は、食品科学や水産研究で知られています。奈良キャンパスを拠点に農業生産から食品栄養までを学び、企業との共同研究や就職実績も豊富。クロマグロの養殖に代表されるように、実用化を見据えた研究成果で社会に大きなインパクトを与えています。

名城大学 農学部
名城大学農学部は、中部圏を代表する農学拠点となっています。応用生物化学や食料生産など多彩な学科を持ち、地域産業との連携を活かした実践的な教育が特徴です。地元企業や自治体との共同研究も積極的に行われ、地域課題の解決につながる学びも可能となっています。

岩手大学 農学部
岩手大学農学部は、寒冷地農業や畜産研究が盛んです。地域の農業や食産業と結びついた教育を展開し、東北の基幹農学部として重要な役割を果たしています。東北地方の気候や環境に即した研究テーマが多く、地元の振興に興味ある学生におすすめの学部です。

鹿児島大学 農学部
鹿児島大学農学部は、南九州の気候を活かした熱帯・亜熱帯作物や畜産の研究が盛んです。地域特産の農産物に根ざした学びが大きな特徴で、黒豚やサツマイモといった地域ブランドを活かした研究や商品開発も行われています。

帯広畜産大学
帯広畜産大学は、国立唯一の畜産単科大学。酪農や畜産資源の研究に特化し、フィールド実習を通じて実践的に学べる環境を備えています。北海道の広大な土地を活かし、実際の牧場や農場での実習が体験可能です。

まとめ

農学部は、食料や環境といった人々の生活に直結するテーマを扱う学部です。作物や畜産、森林や水産、食品やバイオテクノロジーまで幅広い分野を横断し、大学の農場や研究林での実習を通じて理論と実践を結びつけながら学ぶことができます。

卒業後の進路も多彩で、食品メーカーや農協・JA、公務員、研究機関など専門性を活かした道に加え、小売・流通や商社など幅広い業界に進む学生も。農学部で培った知識と実践力は、就職に強い要素として社会では評価されています。

大学ごとに特色がはっきりしているのも農学部ならでは。研究領域の多様性や附属施設の充実度、実習環境の広さなど、それぞれの大学に強みがあります。進路や関心に合わせて、自分に合った大学を選べるのも大きなポイントです。

食や環境、生命に関心を持ち、社会課題に向き合いたい学生にとって、農学部は大きな成長の場となるでしょう。

アンケート調査概要
調査対象:農学部出身の20代~40代(有効回答数8名)
調査時期:2025年7月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「農学部卒業生の大学時代の学びの活用状況」についての調査

※本調査レポートの内容(グラフ・データ・本文など)の無断転載・改変を禁じます。掲載しているグラフや内容を引用する場合は、出典「塾選ジャーナル調べ:『農学部卒業生の大学時代の学びの活用状況』についての調査」と明記し、『塾選ジャーナル』の記事(https://bestjuku.com/shingaku/s-article/35010/)へのリンク設置をお願いします。

執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部
編集部
塾選ジャーナル編集部

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

関連記事

が選ばれる 3

掲載をお考えの学習塾様へ

初期費用無料で掲載可能 
お気軽にお問い合わせください

塾選で塾を探す