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薬学部では何を学ぶ?就職事情や向いている人も徹底解説

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大学受験
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「薬学部って、薬剤師になる人のための学部?」
そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。

薬学部は、医薬品の研究・開発から、調剤や服薬指導まで、人々の健康を支える幅広い知識と実践力を学ぶ学部です。授業では化学・生物・物理を基盤に、薬理学や製剤学、臨床薬学、薬事法規など多岐にわたる分野を体系的に学習。さらに6年制課程では、病院や薬局での長期実務実習を通じて、薬剤師として働く力を身につけます。

進路は薬剤師に限りません。製薬会社やCRO(臨床開発)、化粧品・食品メーカー、商社、行政機関など、医療・産業の両面に広がっています。

本記事では、薬学部で学べる内容や取得できる資格、卒業後の就職事情や向いている人の特徴まで、薬学部を志望する際に知っておきたい情報をわかりやすく解説します。

塾選ジャーナル編集部

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目次

薬学部とは?

薬学部とは、薬や医療に関わる幅広い知識と技術を学び、人々の健康に貢献する専門家を育てる学部です。大きくは6年制課程(薬学科)」と「4年制課程(創薬科学科など)に分かれます。

6年制は薬剤師国家試験の受験資格を得て、薬剤師として活躍するための学びが中心。4年制は創薬や研究、製薬産業へのキャリアを志す人向けで、大学院進学と研究キャリアにつながりやすいのが特徴です。

授業では、基礎科目(化学・生物・物理)から始まり、薬理学・薬剤学・薬化学・衛生薬学・病態学などの専門科目を学習します。さらに病院・薬局実習や実験、研究室配属を通じて、座学と現場経験を積める大学が多いです。

薬学部にはどんな学科がある?

薬学部には、大学ごとに複数の学科や専攻コースが設けられており、その構成は大学によって異なります。大きくは、薬剤師養成を目的とした6年制課程と、研究者や創薬分野への進路を志す4年制課程に分かれるのが特徴です。代表的な学科を見ていきましょう。

薬学科(6年制)

薬剤師国家試験の受験資格が得られる学科。医療現場で必要な薬理学・病態学・製剤学などを幅広く学び、病院や薬局での実務実習も必修です。卒業後は薬剤師として医療・福祉現場で活躍する道が中心となります。

薬科学科

新薬の研究や開発を志す人向けの学科。化学・生物・物理をベースに、有機合成やゲノム創薬(遺伝子情報を活用した薬の研究)、バイオ医薬品が研究対象になります。大学院進学率も高く、製薬企業や研究機関でのキャリアにつながります。

生命薬科学科

薬の効き方や安全性を生命科学の視点から探究する学科。細胞・遺伝子・分子レベルの研究を通じて、医薬品や再生医療、バイオテクノロジーなどの先端分野を扱います。

医療薬学科

薬の正しい使い方や服薬指導、チーム医療における薬剤師の役割を重視する学科。臨床薬学や薬物治療学を中心に学び、病院薬剤師や地域薬局の実務に直結するカリキュラムが組まれています。

その他の学科の例

薬学部には、独自の学科構成で特色を打ち出している大学もあります。

たとえば、城西大学薬学部は「薬学科(6年制)」「薬科学科」「医療栄養学科」の3学科制を採用。薬学と栄養学を横断的に学べる仕組みは全国的にも珍しく、薬剤師だけでなく創薬研究や栄養分野まで幅広い進路に対応しています。

このように薬学部は、医療系から研究系まで進路に応じた学科を備えているので、自分の将来像に合わせて選ぶとよいでしょう。

薬学部で学ぶ内容

薬学部では、薬の開発や使用、安全性の評価など「人の健康に直結するテーマ」を扱います。そのため、学問領域の自由度が高く、専門性と実践性を両立できるのが特徴です。ここでは主な学問分野と、薬学部ならではのおもしろさを紹介します。

主な学問分野

薬学部で学ぶ内容の図

薬が体にどのように作用するのかを研究します。効果だけでなく、副作用や薬同士の飲み合わせ(薬物相互作用)も学び、安全で効果的な治療につなげる力を習得可能です。

薬剤学・製剤学
薬を「どう作るか」「どう体に届けるか」を考える分野。錠剤やカプセル、注射薬など、投与経路や形状ごとに最適な製剤設計を研究します。

薬化学
新しい薬を設計・合成するための分野。有機化学や分析化学の知識を応用し、有効成分の構造解析や反応メカニズムを研究。創薬研究や医薬品開発の基盤を築きます。

衛生薬学・毒性学
薬の安全性や有害物質の影響を科学的に検証します。環境中の化学物質や食品添加物、生活習慣病との関連なども扱い、社会全体の健康を守る視点を学びます。

生物薬学・ゲノム創薬
遺伝子やタンパク質の働きに注目し、分子レベルで薬の開発や作用を探究する分野。再生医療や抗体医薬などの先端領域にもつながります。バイオ分野に興味がある人に人気です。

臨床薬学・医療薬学
病院や薬局での服薬指導や薬物治療を支える分野。チーム医療の一員として、患者に寄り添いながら薬を用いる力を育成します。将来、薬剤師として働く人にとって欠かせない知識です。

薬事法規・医薬品情報学
薬機法(医薬品や医療機器に関する法律)や臨床試験の制度、医薬品の情報管理を扱います。安全で適切な薬の流通・使用を支えるために重要な分野です。

薬学部での学びを通じて、科学的な分析力、根拠に基づく判断力、そして医療現場での応用力が身につきます。

薬学部での勉強のおもしろさは?

日常に直結する学びのおもしろさ
市販薬や健康食品の成分を理解し、実生活に役立てられるのも薬学部の魅力の一つ。家族や友人からの薬の相談に応えられるようになり、学びの実感を得やすい学部です。

創薬研究で未来をつくるおもしろさ
新薬開発は長期間にわたる困難なプロジェクトですが、新しい治療法を生み出せる可能性を秘めています。研究室での実験や企業との共同研究を通じて、創薬の最前線に触れながら未来の医療を切り開く経験ができるのも薬学部ならではです。

臨床現場で人を支えるおもしろさ
病院や薬局での実務実習では、患者に直接関わる経験ができます。薬剤師としての役割を体感し、社会に必要とされる実感を得られ、やりがいにつながるでしょう。

多分野とつながるおもしろさ
薬学は化学・生物・医学・工学など多彩な分野と交差します。多角的な視点を身につけ、幅広い進路に応用できる点も魅力的です。

薬学部で学ぶメリットや役に立つ場面

薬学部での学びは、薬剤師を目指すための知識を得られるだけでなく、日常生活や社会のさまざまな場面でも役立ちます。ここでは薬学部ならではのメリットを紹介します。

科学的な分析力と根拠に基づく判断力が身につく

化学・生物・物理を基盤に薬の作用や副作用を学ぶことで、データや実験結果を客観的に分析する力が育ちます。数値や事実をもとに判断できる力は、研究職や製薬企業だけでなく、どんな職場でも役立つスキルです。

医療現場で役立つ実践力が得られる

臨床薬学や実務実習を通じて、患者とのコミュニケーションや薬物治療の提案ができるようになります。チーム医療の一員として信頼され、現場で即戦力となれるのは薬学部での学びの大きなメリットです。

幅広い業界で活かせる専門知識

薬学の知識は、医療や製薬だけでなく、化粧品・食品・化学メーカー、さらには行政や商社でも応用可能。薬や健康に関する確かな知識は、商品開発や品質管理、営業活動など多様な場面で強みとなり、就職先の選択肢が広がるでしょう。

日常生活や家庭でも役立つ

市販薬や健康食品の成分を理解できるため、家族や友人の健康相談に応じたり、適切な薬を選ぶことに役立ちます。自分や身近な人の健康管理に学びが活きるのも、薬学部ならではのメリットです。

薬学部で学んだことが実際に役立った場面の体験談

薬学部出身者は、在学中に得た知識やスキルを、就職活動や社会人生活のさまざまな場面で活かしています。アンケート調査から、具体的な声を紹介します。

調剤薬局で薬理学・病態学の知識を実務に応用

「勤務先の調剤薬局では、大学で学んだ薬理学や病態学の知識を毎日の業務でそのまま使っています。患者さんへの説明や副作用のチェックに役立っています。」(明治薬科大学 薬学部卒・女性)

製薬研究で基礎科学の学びを土台に活躍

「生物・化学・物理の基礎を徹底して学んでいたので、製薬メーカーの研究開発にスムーズに適応できました。新薬研究でも学生時代の知識が土台になっています。」(徳島大学 薬学部卒・女性)

家族の健康管理に薬学の知識を活用

「市販薬の成分を理解して、家族の体調に合わせて正しく選べるようになりました。友人から薬やサプリの相談を受けることも多く、普段の生活で知識が活かせています。」(北里大学 薬学部卒・女性)

「祖母が服用している薬について相談を受けた際、飲食物との相互作用を説明できました。」(青森大学 薬学部卒・女性)

薬学部で取得を目指せる主な資格

薬学部では、将来のキャリアにつながる資格を目指すことができます。なかでも薬剤師は国家資格であり、多くの学生が取得しています。大学によっては国家試験対策や認定資格取得を支援するカリキュラムが設けられている場合も。ここでは、その中でも代表的な資格を紹介します。

薬剤師

薬学部6年制課程を修了した人が受験資格を得られる国家資格。病院・薬局・ドラッグストアでの調剤や服薬指導はもちろん、製薬会社や行政機関でも幅広く活かせます。

認定薬剤師・専門薬剤師

薬剤師免許取得後、特定の研修や実務経験を経て認定される資格。たとえば「がん専門薬剤師」や「感染制御専門薬剤師」などがあり、医療現場で高度な専門性を発揮することができます。「認定薬剤師」は幅広い分野での知識・技術を証明する資格、「専門薬剤師」はより高度な専門領域で臨床判断を担う資格で、いずれも薬剤師としてのキャリアアップのステップとなります。

毒物劇物取扱責任者

薬学部で一定の科目を履修すれば、卒業時に無試験で資格取得が可能。製薬会社や化学メーカーでの品質管理・研究開発に役立つほか、化学物質を扱う職場で幅広く必要とされます。

食品衛生管理者・食品衛生監視員

厚生労働省が所管する資格で、食品の安全管理や監視業務に携わります。薬学部卒業により任用資格が得られる場合があり、食品・飲料メーカーや自治体での仕事で活かせます。

薬事関係資格(医薬品情報・規制関連)

薬機法(医薬品や医療機器に関する法律)や臨床試験の知識を背景に、薬事申請や安全性情報の管理を担う業務に関わることができます。製薬企業やCRO(医薬品の臨床試験を受託する会社)で活かせる資格です。

薬学部の卒業生の就職事情!何になれる?

薬学部卒業生の就職事情

薬学部の卒業生は、薬剤師として医療・福祉の現場で活躍するだけでなく、製薬企業や行政機関、商社やメーカーなど幅広い分野に進出しています。

ここでは、実際のアンケートデータをもとに、薬学部の主な就職先や卒業生が何になれるのかを具体的に紹介します。

薬学部の主な就職先

医療・福祉・教育業
病院や薬局での調剤業務や服薬指導はもちろん、介護施設や学校薬剤師として教育分野での活躍する卒業生も。薬学部で学んだ薬理学や臨床薬学の知識は、患者一人ひとりに合った薬物療法を考える際に不可欠です。

製薬メーカー
製薬会社では、研究・開発・品質管理など多様な職種の選択肢があります。創薬科学科や大学院での研究経験は大きな強みとなり、新薬開発やグローバルな治験プロジェクトにも関わるチャンスも。また、医師や薬剤師などの医療関係者に対して自社医薬品の品質、有効性、安全性などの情報を提供するMR(Medical Representative、医薬情報担当者)の仕事も薬学部卒業生が重宝されます。

小売業
調剤併設型のドラッグストアや量販店では、薬剤師としての調剤業務に加え、OTC医薬品(処方箋なしで買える薬)や健康食品の販売・相談業務も担います。消費者と直接関わり、アドバイスを行える点が特徴です。

行政・公務員(保健所・厚労省など)
国家・地方公務員試験を経て、保健所や検疫所、厚生労働省などで医薬品の審査・監視・規制業務に携わる道もあります。薬学の知識を社会制度や政策に結びつけたい人に適した進路。

専門商社・メーカー(化学・食品・化粧品関連)
薬学知識を応用し、医薬品・化学製品・食品・化粧品を扱う企業の研究・品質管理・営業などで活躍する卒業生もいます。薬学的知識に加え、コミュニケーション力やマーケティングの視点が求められるのが特徴です。

薬学部卒業の女子の就職先は?

薬学部は全国的に女子学生の比率が高い傾向があります。なかでも薬剤師を目指す6年制課程は女子に人気。国家資格である薬剤師は、結婚や出産を経ても再び働きやすい職業であることが、選ばれる理由のひとつです。

薬学部出身の女子学生は、薬剤師を中心に幅広い業界で活躍しています。ここではアンケート調査をもとに、薬学部出身の女子の就職先や就職先例を紹介します。

医療業界
病院や調剤薬局では、薬剤師として患者と直接関わる仕事が中心。薬学部で学んだ薬理学や臨床薬学の知識を活かしながら、細やかな配慮やコミュニケーション力を発揮できる点が女子に人気です。結婚や出産後も復職しやすい職場が多く、産休・育休制度や時短勤務制度が整っているところも。ライフステージに合わせた働き方ができるのは大きなメリットとなるでしょう。

小売業
ドラッグストアや量販店では、接客での丁寧さや共感力が重視されます。シフト勤務の柔軟さから、子育てや家庭との両立を希望する女子に選ばれやすい進路です。

製薬・化粧品・食品メーカー
製薬会社では研究や開発職、品質管理などで薬学の専門知識を活かせます。特に化粧品や食品メーカーは女性の視点が商品企画や安全性評価で重視される場面も多いのが特徴。研究志向の女子学生や、自分の感性を商品に反映させたい人に人気の進路です。

実際の薬学部の就職体験談

アンケートに寄せられた声から、薬学部での学びが就職活動や職場でどのように活かされたのかを具体的に紹介します。

【メーカーに就職した北里大学薬学部卒・女性の体験談】

就職活動でのメリット
「薬剤師としての専門知識を学生時代に磨けたので、研究や品質管理の分野でも即戦力として評価されました。」

実際の業務での活用
「薬剤師資格を持っていることで、製品の安全性や成分の妥当性を確認する際に大きな信頼を得られています。」

【医療・福祉・教育に就職した明治薬科大学薬学部卒・男性の体験談】

就職活動でのメリット
「就職先の選択肢が広く、新卒でも安定した待遇が得られた点が大きな魅力でした。」

実際の業務での活用
「調剤業務において大学で学んだ薬理学や病態学の知識が基盤となり、日常の業務をスムーズに進めることができました。」

【商社に就職した武庫川女子大学薬学部卒・女性の体験談】

就職活動でのメリット
「薬剤師免許があったため、新卒での就活に大きな不安はありませんでした。専門知識を持つことが強みになりました。」

実際の業務での活用
「商社勤務でも、医薬品や健康関連商品の提案では薬学の知識が役立ち、取引先からの信頼につながっています。」

【メーカーに就職した徳島大学薬学部卒・女性の体験談】

就職活動でのメリット
「薬学部で幅広い単位を取得したことが、メーカー研究職の採用試験で高く評価されました。」

実際の業務での活用
「生物・化学・物理の基礎知識を応用しながら新薬の研究開発に取り組めています。大学時代の研究経験が仕事に直結しています。」

薬学部に向いているのはどんな人?

薬学部に向いている人

薬学部では、基礎科学から臨床実習まで多彩な学びが用意されています。その学びは薬剤師をはじめとする専門職へ直結し、人々の健康や社会全体を支える力となるでしょう。

ここでは、薬学部に向いている人の特徴をチェックリスト形式でまとめました。自分の興味や適性を確認しながら、進路選びの参考にしてください。

薬学部に向いている?を簡単診断


学習スタイルについて
思考・性格について
将来・社会について

判定結果

  • 15〜20個該当
    薬学部に非常に向いています。専門知識を深めることで、医療・研究・産業の幅広い分野で活躍できる可能性が高いでしょう。
  • 10〜14個該当
    薬学部に向いています。特に興味のある領域を深掘りすれば、大学生活がより充実します。
  • 5〜9個該当
    一定の適性はありますが、他学部も含めて比較検討してみると良いでしょう。
  • 0〜4個該当
    他学部も視野に入れて幅広く検討するのがおすすめです。自分が最も関心を持てる学びを見つけることが大切です。

診断のポイント💡

薬学部で大切なのは、「科学的に考える力」「人や社会の健康に寄り添う姿勢」「責任感を持って行動できること」。

たとえば、「なぜこの薬は効くのか」「どうすれば副作用を減らせるのか」といった問いを探究し続けられる人は、薬学の学びを通じて大きく成長できます。

薬学部は勉強量が多く、化学や生物の基礎知識も欠かせません。その分、身につけた知識やスキルは国家資格取得や就職活動に直結し、一生ものの力となります。

少しでも興味を感じたら、オープンキャンパスや模擬授業に参加して、実際の学びの雰囲気を体験してみるのがおすすめです。

薬学部によくある志望理由

アンケート調査をもとに、実際に薬学部に進学した先輩たちのリアルな志望理由を紹介します。どんなきっかけで薬学部を選んだのか、進路選びの参考にしてみてください。

安定した国家資格を取得して働きたいから

「薬剤師は国家資格で、全国どこでも働ける安定した職業だと思いました。結婚や出産でライフスタイルが変わっても続けられる仕事として魅力を感じました。」(青森大学 薬学部卒・女性)

医療職に関わり、人の役に立ちたいから

「医師や看護師には抵抗がありましたが、薬学なら医療に携わりながら人を支えることができます。家族や地域に貢献できる仕事をしたいと思い薬学部を選びました。」(徳島大学 薬学部卒・女性)

創薬や研究に挑戦したいから

「理科系科目が得意で、新薬の開発や研究に興味がありました。薬学部なら基礎から応用、臨床まで幅広く学べるので、研究職を目指す上で最適だと思いました。」(徳島大学 薬学部卒・女性)

家族や周囲の影響を受けたから

「親族に医療関係者が多く、自分も医療に関わる仕事をしたいと思いました。薬剤師は身近な存在だったので、自然と薬学部を志望しました。」(明治薬科大学 薬学部卒・女性)

薬学部で学ぶ前に知っておきたい注意点は?

薬学部は国家資格を目指せる大きな魅力がある一方で、課題を感じる声もあります。アンケートに寄せられた意見をもとに、その理由を3つに整理しました。

勉強量が膨大で学生生活の余裕が少ない

「大学時代の勉強量が非常に多く、アルバイトや課外活動に時間を割きにくかったです。学業以外を充実させたい人には負担が大きいかもしれません。」(武庫川女子大学 薬学部卒・女性)

国家試験や資格取得に大きく依存する

「薬剤師になるためには国家試験に合格しなければならず、その負担は非常に大きいです。合格できなければ就職先の幅が一気に狭まります。」(北海道大学 薬学部卒・女性)

学費やコストが高く、リスクもある

「まず相当な経済力がないと通うのは厳しいです。国家試験に通る保証もなく、資格が取れなければ投資に見合わないと感じました。」(明治薬科大学 薬学部卒・男性)

向いていない人の特徴

アンケートから考えると、次のような人には薬学部はあまり向いていないといえます。

勉強以外の大学生活を優先したい人
薬学部は実験や実習、国家試験対策などで学習量が多く、課題や試験に追われる生活になりがち。サークルやアルバイトを中心に大学生活を送りたい人には負担が大きいでしょう。

資格や試験勉強に強い負担を感じる人
薬剤師国家試験をはじめ、多くの試験や実習評価をクリアする必要があります。長期間コツコツ勉強を続けるのが苦手な人は、途中で挫折してしまうかもしれません。

数学や理科の基礎に強い苦手意識がある人
薬学部は化学・生物・物理の知識をベースに学びます。基礎が弱いと授業についていくのが難しく、実験や研究に苦労するケースが多いです。

自分の興味を大切に

これまで紹介した声はあくまで個人の体験や考えに基づくものです。重要なのは、自分が本当に興味を持てる分野かどうか。関心を持って主体的に学べば、薬学部での学びは将来に必ず役立ちます。

薬剤師国家資格は一度取得すれば一生有効で、結婚や出産、転職後の復職など人生のさまざまな場面で強みになります。また、薬や健康に関する知識は家庭や地域社会でも役立ち、自分や家族の健康管理にも役立つでしょう。専門知識を持つことで「社会に必要とされ続ける職業」に就けるのは薬学部の大きな魅力です。

おすすめの薬学部がある大学ランキングTOP3

おすすめの薬学部がある大学ランキングTOP3

薬学部への進学を検討している方に向けて、学習レベル・研究実績・進路実績・出願方法の豊富さなどを総合的に評価し、おすすめの大学を国公立・私立に分けて紹介します。

薬学部が強い!おすすめの私立大学TOP3

1位:慶應義塾大学 薬学部

慶應義塾大学のキャンパス風景

慶應義塾大学薬学部は、私立薬学部の最難関。その強みは、薬剤師養成にとどまらず、創薬研究や国際的なキャリアまで見据えられる選択肢の広さです。

薬剤師の国家試験も高い水準を誇るほか、卒業生は大学院・研究機関・製薬会社・医療機関・行政など幅広い分野で活躍。特に薬科学科では大学院進学者が多く、創薬研究者として世界に羽ばたく道も開かれています。

国際性にも力を入れており、欧米やアジアの大学との学術交流協定を通じて海外研修に参加可能。外国人留学生との交流も盛んで、在学中から国際的な視野を養えます。

2位:北里大学 薬学部
北里大学薬学部は、トップクラスの国家試験合格率を誇ります。試験対策や教育体制が整っており、卒業後すぐに臨床現場で活躍できる実力を身につけられるのが大きな強み。

同時に、北里大学は日本における臨床薬学教育の先駆けとして知られています。附属病院と連携し、現役薬剤師や医師とともに学ぶチーム医療教育を通じて、現場を早くから体験できるでしょう。

さらに、研究面でも大きな成果を挙げています。2015年には大村智特別栄誉教授がノーベル生理学・医学賞を受賞。寄生虫病治療薬「イベルメクチン」の開発に貢献したことは、北里の研究力の高さを象徴しています。

3位:東京理科大学 薬学部
東京理科大学薬学部は、創薬研究に強い教育・研究環境が魅力。研究者を目指す人はもちろん、薬剤師志望でも研究に挑戦したい学生におすすめの学部です。

生命創薬科学科では4年次から研究室に所属して卒業研究を行い、学生の約9割が大学院へ進学。最先端設備を活用し、医学・薬学・創薬の幅広い分野で高度な研究を続けています。

薬剤師養成にも力を入れており、国家試験合格率は高水準を維持。就職実績も際立ち、進路決定率はほぼ100%です。病院・薬局での薬剤師だけでなく、製薬会社の研究開発、MR、食品・化粧品の商品開発、CROや公的機関など、幅広いキャリアを切り開ける環境が整っています。

薬学部が強い!おすすめの国立大学TOP3

1位:東京大学 薬学部

東京大学のキャンパス風景

東京大学薬学部は、国内トップクラスの研究力を誇ります。各分野で世界レベルの研究実績を誇る教員が在籍しており、最先端の薬化学を学ぶのに最良の環境です。

研究者を志す学生が多く集まっているのも特徴。卒業生の約90%が大学院へ進学し、博士課程へも大多数の学生が進みます。

一方で、研究者に限らず、企業や国立研究所、医療現場など多方面で卒業生が活躍しているのも特徴です研究力を土台に幅広いキャリアを切り拓けるため、「最先端の研究に触れたい」「将来は研究者として世界に挑戦したい」と考える人に強くおすすめできる学部です

2位:京都大学 薬学部
京都大学薬学部は、創薬研究に強みを持つ学部として国内外から高い評価を得ています。有機化学やバイオ医薬品を基盤とした基礎研究に加え、希少疾患や難病に挑む新薬開発、AIやスーパーコンピュータを活用した次世代創薬など、研究分野は実に多彩です。

「自由の学風」に根ざした教育環境も特徴で、学生は自らの関心を追求しながら研究を深めることができます。さらに、研究所や製薬企業との共同研究を通じて成果を社会に結びつける体制が整っており、基礎から応用、実用化までを学べる点も魅力的です。

研究職を志す学生にとっては実践的に力を磨け、創薬分野の最前線を目指すのに適した学部でしょう。

3位:大阪大学 薬学部
大阪大学薬学部は、研究と臨床を両立できる環境が特徴。免疫学をはじめとした世界水準の研究に触れられるだけでなく、研究成果を新薬開発につなげる「アカデミア創薬」にも積極的です。薬の候補化合物探索から安全性試験まで一貫して学べる体制があり、研究を社会実装へと結びつける経験が得られます。

2019年度から導入された研究型6年制教育では、通常の薬学教育に加えて研究力を磨くカリキュラムが組まれています。これにより、臨床を理解した研究者や研究マインドを持つ薬剤師を目指せるのが大きなメリット。研究者志向の人はもちろん、臨床と研究の両方をバランスよく学びたい学生にとって理想的な環境です。

薬学部のその他の注目大学

東京薬科大学 薬学部
日本でも歴史ある私立薬科大学の一つ。6年制薬学科と4年制生命科学部門を持ち、国家試験対策のノウハウが蓄積されています。卒業生ネットワークも厚く、首都圏の病院・薬局で活躍する人材が多いのが特徴です。

星薬科大学 薬学部
少人数教育を重視し、教員との距離が近い点が魅力。国家試験の合格率も安定して高く、臨床薬学教育に加えて製薬企業との共同研究も盛んです。研究と実務の両方に関心がある学生に適しています。

千葉大学 薬学部
国立大学の薬学部として高い研究力と教育力を誇り、薬学科(6年制)と薬科学科(4年制)の二本柱で構成されています。特に薬科学科では基礎研究から創薬研究に強みがあり、大学院進学率が高いのが特徴です。国家試験合格率も例年高水準をキープしています。

東北大学 薬学部
新薬開発や医療系研究に積極的で、研究成果を社会に還元する取り組みを重視しています。臨床と基礎の両面を学べる体制が整い、アカデミア志向の学生に人気です。

金沢大学 薬学類
北陸地域の医療を支える中核的存在です。医薬保健学域の中に、薬学類(6年制)医薬科学類(4年制)を設置。地域医療に直結した教育と研究を進めています。少人数教育により、一人ひとりがきめ細やかな指導を受けられるのも特徴です。

まとめ

薬学部は、薬剤師を目指す人だけでなく、創薬研究や国際的なキャリアを志す人にとっても多彩な可能性を開く学部。薬学部で何を学ぶかは大学ごとに異なり、国家試験の合格率、臨床現場との連携、研究実績、就職先の幅広さなど、それぞれに強みがあります。

薬学部は理系学部の中でも女子学生の割合が高い学部です。薬剤師国家資格が一生ものの資格として安定したキャリアにつながるため、女性に選ばれやすいのが特徴。復職やキャリアの継続がしやすいことも、女子に人気がある大きな要因です。

進路を考える際は、自分が薬剤師として臨床で活躍したいのか、研究者として新薬開発に挑戦したいのか、それとも幅広いキャリアを視野に入れたいのかを明確にすることが大切。女子にとってはキャリア設計のしやすさという観点からも、薬学部は大きな魅力があります。

薬学部での4〜6年間は決して楽ではありません。勉強量も多く試験も厳しいですが、その分、薬剤師国家試験に直結する専門知識や、社会に直結する就職力を得られるのが強みです。ぜひ、自分の興味や将来像に合った薬学部を見つけ、実りある大学生活をスタートさせてください。

アンケート調査概要
調査対象:薬学部出身の20代~40代(有効回答数14名)
調査時期:2025年7月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「薬学部卒業生の大学時代の学びの活用状況」についての調査

※本調査レポートの内容(グラフ・データ・本文など)の無断転載・改変を禁じます。
掲載しているグラフや内容を引用する場合は、出典「塾選ジャーナル調べ:『薬学部卒業生の大学時代の学びの活用状況』についての調査」と明記し、『塾選ジャーナル』の記事(https://bestjuku.com/shingaku/s-article/35242/)へのリンク設置をお願いします。

執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部
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塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

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