大学受験で必要な調査書とは?中身や合否への影響まで徹底解説【新様式に対応】
「大学受験で使う調査書、何が書かれている?」「調査書に意味はあるの?」そう疑問に思う受験生やその保護者も多いのではないでしょうか。
大学受験で提出する「調査書」とは、高校3年間の成績や評定平均、出欠の記録、総合的な探究の時間、特別活動などがまとめられた書類です。大学はこの調査書を通して、受験生の学習状況や人物面を総合的に確認します。
この記事では、大学受験における調査書の内容・使われ方・重要性をわかりやすく解説。さらに、調査書のもらい方や高評価を得るためのポイントも紹介します。受験生の皆さんは、出願前にぜひチェックしてください。
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目次
大学受験で提出する「調査書」とは?何が書かれている?

大学受験で提出する「調査書」とは、高校3年間の成績や評定平均、出欠の記録、総合的な探究の時間、特別活動などがまとめられた学校の書類です。大学はこの調査書を通して、受験生の学習状況や人物面、学校生活全体での姿勢を総合的に確認します。
大学を受験する際には、総合型選抜(旧AO入試)・学校推薦型選抜・一般選抜のいずれの方式でも、出願時に必ず提出が求められる書類となっています。
しかしその影響度は、入試形態によって大きく変わってきます。
以下の画像は一般的な調査書様式の例です。学校によって形式が多少異なります。
ここでは、実際の調査書のイメージをもとに、どのような項目が記載されているのかを詳しく見ていきましょう。
一般的な調査書様式


参考:調査書(様式)(令和7年6月3日更新)(Word:45KB)(文部科学省)より作成
成績・評定平均
調査書には、高校1年から3年までの学年別・教科別の成績(5段階評価)と修得単位数が記載されます。
高校3年生の場合は、直近の成績(主に1学期分)をもとに総合評価が行われます。各教科の平均点は、教科内の科目の評定合計を科目数で割った値で算出され、さらに全体の平均である評定平均(全科目の評定合計 ÷ 科目数)も記載されます。
また、全体の学習成績の状況は、以下のようにA~Eの5段階で区分されます。
| 成績段階 | 評定平均の目安 |
|---|---|
| A | 5.0〜4.3 |
| B | 4.2〜3.5 |
| C | 3.4〜2.7 |
| D | 2.6〜1.9 |
| E | 1.8以下 |
加えて、各成績段階に属する同学年の人数も記載され、大学はこの情報から相対的な学力位置を把握します。
出欠の記録
推薦・総合型選抜では、調査書の出席日数が責任感や学習意欲の証明として合否に大きく影響します。指定校推薦は「3年間で10日以内」、総合型選抜は「25日以内」が目安とされ、これを超えると不利になります。
インフルエンザなどによる出席停止は除外されますが、欠席が多い場合は、やむを得ない理由を先生に相談し、調査書に補足説明を加えてもらうことが重要です。
推薦・総合型選抜の合否と欠席日数の関係について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
特別活動・部活動・委員会・行事の記録
この欄では、「ホームルーム活動」「生徒会活動」「学校行事」などへの参加状況が記録されます。
学校ごとに設定された観点に基づき、十分に満足できる活動を行ったと判断された場合、該当する学年に「〇」がつけられます。
【2025年以降】新様式で追加された「探究活動」や「観点別評価」項目
2022年度から新しい学習指導要領がスタートし、高校では「総合的な探究の時間(探究学習)」が本格的に導入されました。
この内容が2025年度入試からは、調査書にも詳細に反映される新様式になります。
これまで(〜2024年度入試)は、「どんなテーマで探究したか」「どんな活動をしたか」
といった活動内容の記録だけが中心でした。
しかし2025年度入試からは、次の3つの観点で評価が記載されます。
新しい観点別評価の3要素
| 観点 | 意味 |
|---|---|
| 知識・技能 | 学習内容や調査の方法を理解し活用できたか |
| 思考・表現・判断 | テーマを深く考え、自分の意見としてまとめられたか |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 意欲的に学び、粘り強く課題に取り組めたか |
部活など、指導上参考となる諸事項は別紙にまとめられるケースも
調査書の「指導上参考となる諸事項」は、2021年度入試から内容が拡充されました。以前は、行動の特徴・特技、部活動の成績、取得資格・検定、表彰・顕彰、ボランティア活動、留学・海外経験などが6項目に分かれて個別に記載されていましたが、新様式では1つの枠に統合され、より自由に記入できる形式に変更されています。
この欄には、3観点(知識・技能/思考・表現・判断/主体的に学ぶ態度)では評価しにくい内容や、その生徒ならではの特徴的な活動・実績がまとめられます。
総合型選抜(AO)や学校推薦型選抜では、調査書に加えて「別紙(様式2)・活動報告書」の提出を求める大学もあります。
その場合、調査書の「諸事項」欄に書ききれない部活動の成果や資格・ボランティア経験などを、活動報告書により詳しくまとめて提出します。
調査書は大学受験の合否に影響する?

気になるのが、調査書の内容が大学受験の合否に影響するのかどうかです。結論からいえば、総合型選抜や学校推薦型選抜ではかなり重要な書類となります。
ここでは、選抜方式別に調査書の影響を解説します。
総合型選抜(旧AO入試)では重要な書類
総合型選抜では、調査書は合否を左右する最重要書類の一つです。大学はこの調査書を通して、受験生の学力や人物像、学びへの姿勢を多面的に評価します。
まず、評定平均値はあなたの学習の安定性と基礎学力を示す客観的な指標です。多くの大学では、評定平均4.0以上を出願条件または選考基準の目安として設定しており、この数値が選考の土台になります。
次に、出欠の記録も重要です。特に推薦入試や総合型選抜では、「3年間で欠席10日以内」などの基準を設けている大学もあり、継続的に登校して学ぶ姿勢=責任感や意欲の高さが評価されます。
さらに、「総合的な探究の時間」や特別活動(部活動・生徒会・ボランティアなど)を通じて、
あなたが課題を見つけ、考え、周囲と協力して解決してきた過程と成果も重視されます。これは、面接や志望理由書で語る内容の裏づけとなり、「大学で学ぶにふさわしい力と姿勢」を示す資料として評価されます。
また、調査書の中でも「指導上参考となる諸事項」欄は特に注目されます。面接やプレゼンテーションでは、この欄に書かれた活動内容について質問されることが多く、調査書と自己PR文の内容に矛盾がないよう準備しておくことが大切です。
必要に応じて、担任の先生に相談し、志望大学のアドミッション・ポリシー(求める人物像)に合った内容を意識して記載してもらうのも有効です。特に力を入れて取り組んだ活動や成果がある場合は、事前に伝えておくと良いでしょう。
さらに、多くの大学では、調査書に加えて「別紙(様式2)・活動報告書」の提出を求めています。これは、部活動・資格・検定・ボランティア・表彰などの経験を詳しくまとめる書類で、記載内容が充実しているほど、面接やプレゼンで話せる内容が増え、評価につながりやすくなります。
学校推薦型選抜でも重要な書類
学校推薦型選抜では、調査書の評定平均値が出願資格そのものになります。多くの大学や学部では、「評定平均3.8以上」「4.0以上」などの最低基準を設けており、この基準を満たしていないと出願自体ができません。
特に指定校推薦では基準がさらに厳しく、4.0〜4.5以上の高水準を求められるケースもあります。校内選考で推薦枠を得る際も、調査書の評定平均が最重要の判断材料となります。
また、大学によっては調査書の内容を点数化して、面接・小論文・学科試験などの得点と合算して合否を判定する方式を採用しています。配点や評価方法は大学・学部によって異なるため、志望校の入試要項を必ず確認しておきましょう。
さらに、欠席日数を基準に含める大学もあります。「3年間で欠席10日以内」などの条件を設けている場合があり、欠席が多い場合は面接で理由を尋ねられる可能性もあります。日常的な出席や時間管理も、推薦を受けるうえでの評価対象と考えておくとよいでしょう。
一般選抜で調査書が合否に影響することは少ない
一般選抜でも、出願時には必ず調査書を提出します。ただし一般的には、卒業見込証明書の代わり、あるいは本人確認のための書類として使用される程度です。
入試の得点が合否のボーダーライン上にある場合、調査書の内容を参考に最終判定されることもあります。しかし、原則として一般選抜では、調査書が合否に大きく影響することはほとんどないと考えてよいでしょう。
大学が見るのは成績だけではない点に注意
大学が調査書で見るのは、評定平均などの学業成績だけではありません。
出欠の記録といった出席状況や、部活動・ボランティア・資格などの課外活動の実績も評価の対象になります。
特に総合型選抜や学校推薦型選抜を受験する人は、こうした点にも意識を向け、普段の学校生活や活動の記録を丁寧に積み重ねておきましょう。
大学受験の調査書のもらい方は?

ここでは、大学受験に必要な調査書の申請方法と注意点を紹介します。
出願直前になって慌てないよう、早めの準備が大切です。
時間に余裕をもって「調査書発行願」などを申請する
調査書をもらうには、まず高校の担任の先生に「調査書発行願」などの申請書を提出します。「明日までにお願いします」「〇〇大学の出願に使うので、1通ください」といった口頭での依頼では対応してもらえないのが一般的です。
申請書には、保護者の署名・捺印や理由欄の記入が必要な場合もあります。提出してから発行までには一定の時間がかかるため、余裕を持ったスケジュール管理が欠かせません。
高校によって異なりますが、「出願の〇週間前までに申請」というルールを設けているところが多いです。
学校によっては、進路指導部や事務室で受付を行う場合もあるので、事前に申請先を確認しておきましょう。
以下に、調査書の発行を申請すべき月の目安を、選抜方法別にまとめましたので、参考にしてください。
| 選抜方法 | いつもらえばいい? | 備考 |
|---|---|---|
| 推薦・総合型選抜(9月~11月出願) | 8月末〜9月上旬 | 夏休みが終わる8月末から9月上旬に「調査書発行願」を提出したい |
| 私立大学の一般選抜(12月〜1月出願) | 12月上旬 | 高校が冬休みに入る12月の第1週〜第2週には、受験予定の全大学分の調査書をまとめて申請・受領したい |
| 国公立大学の場合(1月〜2月出願) | 12月上旬〜1月中旬 | 共通テストの結果を見てから出願先を決める場合は、1月中旬までには申請したい |
1つの出願に1通が必要
大学入学共通テストの出願には調査書は不要ですが、総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜では、出願するたびに1通の調査書を提出する必要があります。
つまり、大学や学部・学科ごとに1通ずつ必要になるということです。調査書は原則として原本のみ提出可能(コピー不可)のため、出願先が複数ある場合は、その分だけ高校に発行を依頼しなければなりません。
例えば、総合型選抜で不合格となり、同じ大学・同じ学部に学校推薦型選抜や一般選抜で再出願する場合でも、その都度あらためて新しい調査書を提出する必要があります。
高校卒業後に再発行してもらうには?
浪人など、高校を卒業したあとに再び大学入試に挑戦する場合も、調査書を高校から再発行してもらうことができます。
申請方法は高校によって異なりますが、一般的には次のいずれかの方法で申請します。
- 直接高校に出向いて申請する
- 電話やインターネットで申請し、郵送で受け取る
発行には、数100円〜1,000円前後の手数料がかかるのが一般的です。
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浪人生が調査書をもらうときの注意点 浪人生は、現役生と異なり、自分で高校に連絡して申請手続きを行う必要があります。 申請は早めに:現役生と同様に、12月上旬には受験予定の大学すべての枚数をまとめて申請するのが理想です。 有効期限の確認:調査書には発行日から3ヶ月以内など、有効期限を設けている大学もあります。出願日が遅い大学を受験する場合は、有効期限を考慮して申請時期を調整する必要があります。また、高校によっては卒業後の調査書発行に期限を設けている場合があります。例えば、「卒業後5年間まで」といった運用をしている学校もあるため、早めに確認しておくと安心です。 卒業証明書も一緒にもらおう:一部の入試方式や大学入学共通テストでは、調査書が不要な場合もあります。その際は、代わりに卒業証明書の提出が求められるため、調査書とあわせて申請しておくとスムーズです。 |
調査書で高評価を得るにはどうすればよい?【学年別ポイント】

調査書で高評価を得るには、どんな点を意識すればよいのでしょうか。
ここでは、学年ごとの重要なポイントを解説します。
高1:普段の学校生活を充実させる
高校1年生のときは、まず学校生活を充実させることが大切です。調査書が合否に影響する学校推薦型選抜などでは、評定平均がとても重要になります。
住んでいる都道府県や高校によって多少異なりますが、評定平均は高1・高2の各学年の成績と、高3の1学期の成績の平均で算出されることが多いです。そのため、高校1年生のうちから好成績を取る意識を持つことがポイントです。
また、2025年度入試からは、調査書の「特別活動の記録」に「ホームルーム活動」「生徒会活動」「学校行事」の3項目が追加されました。
日直や掃除、行事の係、クラス運営など、日々の小さな活動も評価の対象になる可能性があります。
授業だけでなく、学校全体の活動にも積極的に関わり、「主体的に行動する姿勢」を日ごろから意識しておきましょう。
高2:探究活動や外部活動に力を入れる
高校2年生でも、引き続き授業に積極的に取り組み、定期テストの勉強をしっかり続けましょう。この時期は基礎学力を固めながら、資格や検定試験への挑戦を意識すると良い時期です。
特に英検®は、大学や学部によっては学校推薦型選抜の出願条件になったり、合否判定時に加点されたりする場合があります。試験対策の勉強が大学入試の英語力向上にも直結しますので、早めに受検しておくとメリットが大きいでしょう。
さらに、私立大学の学校推薦型選抜では、部活動のキャプテン経験・生徒会の役員・ボランティア活動などが調査書で点数化される場合もあります。
こうした活動は、リーダーシップや協調性を示す要素として評価されやすいため、興味がある活動には積極的に取り組んでみましょう。
大学受験で英検®が利用できる大学については、以下の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
高3:1学期の活動に特に注力する
高校3年生では、1学期の取り組みが何よりも重要です。評定平均は3年間の学習の積み重ねで決まりますが、総合型選抜や学校推薦型選抜の出願時期(9〜11月)には、調査書に記載される3年生の成績が1学期分のみになるのが一般的です。
つまり、3年生の1学期の成績は、1・2年生の1年分と同じ重みを持っているといっても過言ではありません。この期間に全力で取り組めば、評定平均を上げることも十分可能です。反対に、1学期の成績を下げてしまうと、それまでの努力が帳消しになってしまうこともあります。
さらに、部活動でも3年生の夏は大きなチャンスです。インターハイ予選や全国コンクールなど、最後の大会で結果を残せば、調査書の「特記事項」や「指導上参考となる諸事項」に記載され、高評価につながる可能性があります。
大学受験の調査書でよくある質問(FAQ)

ここでは、大学受験でよく寄せられる調査書に関する疑問について解説します。
調査書の内容は見せてもらえますか?
調査書の内容は、原則として本人に開示されません。
調査書を開封してしまったのですがどうすればよいですか?
「調査書を間違えて開封してしまった」という場合、その調査書は出願に使用できません。
封を開けてしまった時点で無効扱いとなり、自分で再度封をしても受理されないので注意しましょう。
開封してしまった場合は、高校に連絡して新しい調査書を発行してもらう必要があります。
発行には時間がかかるため、出願期限までの余裕をもって早めに依頼してください。
調査書の発行が遅れてしまうとどうなりますか?
万が一、調査書の発行が出願期限に間に合わなかった場合、書類不足として出願を受理してもらえないおそれがあります。
出願期限間際で調査書の不備に気づいたときは、すぐに担任の先生に相談し、即日発行が可能かどうか確認してみましょう。
まとめ 調査書は「努力の記録書」

調査書は、成績だけでなく、高校生活での学習や活動の記録をまとめた公的な書類です。大学はこの調査書を通して、受験生の学習の積み重ねや学校生活への取り組み方を確認します。
授業態度や課題への取り組み、部活動や学校行事など、日常の行動がそのまま評価に反映されます。出願直前になって内容を変えることはできないため、日ごろからの学び方や姿勢を意識することが重要です。
調査書は「過去の記録」であると同時に、自分がどう努力してきたかを示す証明書です。
毎日の学校生活を大切にし、受験に向けて計画的に準備を進めましょう。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。


