精神科医監修|受験うつとは?ストレスと何が違う? 対処法・治し方を経験者の声とともに解説
「勉強が手につかない」「気分が沈んでつらい」
受験勉強をしていると、そう感じることは誰にでもあります。ところが、その状態が長引き、日常生活にも支障が出るとき、それは単なる疲れや甘えではなく「受験うつ」と呼ばれる心の不調かもしれません。
受験うつとは、受験のプレッシャーやストレスが引き金となって生じるうつ状態のこと。やる気が出ない、集中できない、気分の落ち込みが続くなどの症状が特徴です。
この記事では精神科医・ゆうきゆう先生監修のもと、保護者の不安に寄り添いながら、「経験者の声」も交えて、受験うつへの対処法を解説しています。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
ゆうきゆう
東京大学医学部医学科を卒業。医師業のかたわらマンガ原作者としても活躍。主なマンガ原作に 「マンガで分かる心療内科」(少年画報社)などがある。ゆうメンタルクリニック、ゆうスキンクリニック、ゆうリワークセンター、ゆう訪問看護ステーションを首都圏や関西中心に21拠点展開する。2025年4月にゆうメンタルクリニック名古屋院が開院。(2025年現在)
受験うつとは?
受験うつとは、受験勉強や試験のプレッシャーを背景に生じる、受験期特有のうつ状態のことです。

受験うつは医学的な正式名称ではありませんが、きちんとケアすべき症状です。夜眠れない、朝起きられない、勉強机に向かっても何も進まないなど、勉強や生活に影響するような苦しさを感じたら、それは受験うつに近づいているサインです。
なぜ受験生は心を病みやすいのか
受験うつは決して特別な人だけがなるものではなく、まじめで一生懸命な人ほど陥りやすいといわれています。
受験期、特に高校受験/大学受験期は、多感な思春期や青年期と重なり、心が不安定になりやすい時期です。志望校合格への強いプレッシャー、模試や成績の数字に追われる不安、友人やライバルとの比較による焦りで、心が疲れてしまうのです。
さらに家庭や学校からの期待、長時間の勉強による生活リズムの乱れも大きな負担となります。一人で「頑張らなきゃ」と自分を追い込みすぎることが、受験生の心を病みやすくする大きな要因です。
落ち込む気分は「甘え」?それとも…
受験うつは「やる気がない」「怠けている」と誤解されがちですが、今回塾選ジャーナルで実施した後述のアンケートからもわかるように、実際には脳や心の機能に変化が起きている状態です。
強いストレスが続くと、脳内の神経伝達物質(セロトニンやドーパミンなど)の働きが乱れ、気分や意欲をコントロールする力が低下します。すると、集中できない・気分が落ち込む・体が重いといった症状が現れます。
これは本人の意思や努力で簡単に乗り越えられるものではありません。決して「甘え」ではなく、脳と心が助けを求めているサインとして理解することが大切です。
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受験ストレスと「受験うつ」の違い
受験期の緊張や不安は、誰にでも起こり得る「ストレス反応」です。適度なストレスは集中力ややる気を高める原動力になりますが、強すぎたり長期間続いたりすると、心と体に負担がかかり「うつ状態」へと進んでしまうことがあります。

ストレスは一時的な疲れで休養すれば回復しやすいのに対し、うつは気分の落ち込みや無気力が2週間以上続き、日常生活に大きな支障をきたす点が特徴です。
ゆうきゆう先生に聞く「受験うつ」と「ストレス」の違い
ゆうきゆう先生
ストレスは、心における負荷です。ストレスは多かれ少なかれ、誰の心にもあります。ストレスがかかったとき、その人がどう反応するかには個人差があります。ストレスを糧にして奮起する人もいれば、ストレスによってうつになってしまう人もいます。
つまりストレスは必ずしも悪いものではなく、人によってはエネルギーになることもあるのです。そのため「ストレスは常に避けなければいけないもの」というわけではありません。
一方で受験うつとは受験におけるストレスが強くなりすぎて、うつになってしまった状態です。この受験うつになる人は大変多く、社会的な対策が必要になります。
ただ、受験のストレスでうつになったからといって、受験というストレスから離れる(受験をやめる)必要はないと考えます。そのストレスを感じながらうつを改善して、何より受験に向かって前向きに進んでいく方法を探していくことが大切です。
受験うつの症状とサイン
受験うつは、気分が落ち込むだけではありません。心と体の両方に変化が現れることが特徴です。心身それぞれの症状について見ていきましょう。
受験うつの精神的な症状
受験うつでは、まず心の不調として精神的な症状が現れやすいです。「やる気が出ない」「気持ちが沈む」といった感覚が続くことで、勉強や日常生活に大きな影響を与えます。
- 勉強に集中できず、内容が頭に入らない
- 模試や成績に強い不安を感じ、気持ちが落ち込む
- これまで楽しかったことにも興味が持てない
- 罪悪感や自己否定の気持ちが強まる
- イライラしやすく、人間関係がつらく感じる
こうした状態が2週間以上続く場合、単なるストレスや疲労ではなく「うつ状態」を疑いながら、信頼できる人や専門家への相談が必要です。
受験うつの身体的な症状
受験うつでは、心だけでなく体にも不調が表れます。代表的な症状には、次のようなものがあります。
- 夜眠れない、または過眠(寝すぎてしまう)
- 食欲が落ちる、または過食が続く
- 慢性的な頭痛や腹痛、吐き気がある
- 倦怠感が強く、体がだるく動かない
- 朝起きられず、学校に行くのが難しい
これらの症状は「ただの体調不良」と思われがちですが、「体の変化は心のSOS」と考え、見過ごさずに対応することが大切です。
受験うつを経験した人が自覚した症状
塾選ジャーナルでは今回、受験うつを経験したことがある方(100名)を対象にアンケートを実施。どれくらいの期間、どんな症状が出たかなどを聞きました。

受験うつの症状は「1〜3か月」(34%)や「4〜6か月」(32%)が多く、約4人に1人が半年以上(23%)続いたと答えてくれました。

症状については「気分が落ち込む」(21.6%)や「勉強に集中できない」(20.3%)が最も多く、次いで「不安で眠れない」(18.9%)、「イライラが増えた」(14.6%)が続きました。体の不調としては「食欲の変化」(14.0%)や「身体のだるさ」(8.6%)が挙げられ、心と体の両面に症状が出ていることがわかります。
自由記述式のアンケートでも、次のような回答が得られました。
眠れない、ひどい便秘になる、イライラして暴言を吐くようになる。心にも体にも症状がありました。(ちこさん・11歳のときに経験)
ストレスで頭痛、腹痛などが起こり学校に行くことができず、勉強も遅れていきました。(たんぽぽさん・15歳のときに経験)
気がついたら眠りが浅くなり、また不安を感じるようになってきて、眠れないことや不安を感じることが不安になるというスパイラルにはまり、最終的にからだがだるく、動けなくなって、さらに不安になるようになっていった。(ひなたさん・17歳のときに経験)
受験の4ヶ月前ほど(高校3年の秋)、予備校に行っても集中できず気持ちが勉強に向かない日が続いた。このままだと良くないと思い1日だけ友人とカラオケに行くなど発散する時間を作り、自然に解消することができた。(とこさん・18歳のときに経験)
全体的に、受験期の強いプレッシャーや不安による学習意欲や集中力の低下が顕著に見られました。また「眠れない」「食欲がない」「過食してしまう」「頭痛や腹痛が続く」「体がだるい」など、心の不調が体の不調として表れた人も多く、ストレスが悪循環につながる様子がうかがえます。
受験うつでも進学できる?
「このままでは受験を続けられないかもしれない」
「進学の夢を諦めなければならないのでは」
そう感じて不安になる受験生は少なくありません。けれども、実際は受験うつになったからといって進学ができないわけでもなく、志望校を諦めなければいけないわけでもありません。では、どういう選択肢があるのでしょうか?
高認や通信制という選択
高校受験にせよ、大学受験にせよ、受験うつになったとしても希望の進路を目指せる選択肢があります。
高校受験の場合、全日制にこだわらず通信制や定時制を選び、その後に大学進学につなげる生徒もいます。近年では通信制高校に通う生徒が約30万人にのぼり、進学実績を持つ学校も増えています。
出典:文部科学省「学校基本調査 /令和7年度(速報)高等学校(通信制)の学校数・生徒数及び教職員数」
大学受験の場合は、現役の翌年に再挑戦し志望校に合格したケースや、高等学校卒業程度認定試験(高認)を経て大学進学を実現した人もいます。高認の合格率は40〜50%前後と安定しており、多くの受験生が「別のルート」から大学進学の道を開いています。
参照:文部科学省報道発表「令和7年度第1回高等学校卒業程度認定試験実施結果 についてお知らせします」
受験うつは受験にどう影響する?
今回のアンケートでは、受験うつが実際にどう受験に影響したか、経験者の皆さんに聞いています。


アンケート結果から、受験うつが受験計画に一定の影響を及ぼすことがわかりました。回答者のうち63%が「受験計画に影響があった」と答えており、特に多かったのは「勉強時間が減った」(32.5%)、「模試や成績が下がった」(25.4%)という学習面での影響です。
また「学校や塾を休んだ」(20.6%)、「志望校を変更した」(16.7%)などの回答からは、「無理に受験を続けるべきか、休むべきか」といった当事者の葛藤も垣間見えます。
ゆうきゆう先生に聞く「無理に続けるリスクと休養の大切さ」
ゆうきゆう先生
ゴムをずーっと伸ばしていると、いつかパチンと切れてしまいます。心もそれと似ていて、ちょっとした心の負荷でも、長い期間耐えているとプツンと切れてしまうことがあります。そうならないためにも、「今、自分は無理をしているな」と感じたのなら、積極的に休憩を取り入れてみましょう。
休憩にもいろいろありますが、例えば趣味や遊びなど、自分が楽しいと思うことに、積極的に取り組むのがオススメ。特に外に出て歩くことで、気持ちも前向きになることがあります。好きな本やマンガ、動画などを眺めるというのもアリです。
それも難しいなというときは、「寝ているだけ」でも意味があります。とにかく、自分の気持ちが「落ち着くな」「楽しいな」と思えることをやってみましょう。
受験生が今すぐできる受験うつの対処法
受験うつの症状が出ても、すぐに大きな決断をする必要はありません。まずは「今できる小さな工夫」から始めることが大切です。
勉強が進まないときのリフレッシュ方法
「机に向かっても頭に入らない」と感じるときは、無理に続けるよりも一度手を止めることが効果的です。脳は長時間集中し続けると効率が下がるため、短い休憩を挟むことでパフォーマンスが回復します。例えば、
- 5〜10分ほど席を離れて深呼吸をする
- 軽いストレッチや散歩で体を動かす
- 音楽を聴く、温かい飲み物を飲むなどで気分を切り替える
休むことは「怠け」ではなく、次に集中するための準備と考えましょう。
スマホ・SNSとの付き合い方を改める
受験期には、スマホやSNSが大きなストレス要因になることがあります。友人の勉強時間や成績報告を見て落ち込んだり、深夜までSNSを見続けて生活リズムが乱れたりするケースは少なくありません。
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効果的な対策としては、
- 勉強中はスマホを別の部屋に置く
- 通知をオフにする
- 利用時間をアプリで制限する
などがあります。完全に手放す必要はありません。距離を取るだけで気持ちが楽になり、集中力も戻りやすくなります。
信頼できる人に相談する
受験うつの状態では「自分だけがダメなのでは」と感じ、誰にも打ち明けられず一人で抱え込みがちです。しかし、信頼できる人に相談することは症状を和らげる大切な一歩です。友人や家族、学校の先生など、身近な人に気持ちを話すだけでも安心感につながります
受験うつ経験者はどう乗り越えた? 体験談からわかるヒント
受験うつの対処法をいくつか紹介しましたが、実際はどうでしょうか。引き続き、受験うつ経験者の皆さんにどう受験うつを乗り越えたか、聞いてみました(※自由回答)。
小さな目標を設定して勉強を再開。睡眠や食事など生活リズムを整えることで少しずつ回復しました。(なおさん・17歳のときに経験)
志望校のレベルを下げて勉強に対するストレスを減らしました。元凶が無くなることで、受験うつという状態では無くなったと思います。(じゅんさん・15歳のときに経験)
無理に勉強を詰め込まず、睡眠や食事を整えることを意識しました。気分が落ち込む日は軽い運動や散歩をして気分転換を図りました。(さくさん・17歳のときに経験)
親が一緒に散歩に行ってくれるようになり、その時間に単語を一緒に覚えたりしました。ご飯を食べて眠れるように少しずつ変わっていきました。(みあさん・18歳のときに経験)
休日は必ず朝イチに自分の好きなアニメを観る、休日の昼食は必ず大好きな食べ物を食べるなど、自分へのご褒美をつくった。(まこさん・18歳のときに経験)
ひたすら時間が経つのを待った。当時好きだったアニメやまんがを見るなどして、気を紛らわせていました。(かとさん・15歳のときに経験)
比較的多く見られたのは、「休む勇気を持つ」「心身を整える」「目標を小さくする」という工夫。ほかにも、睡眠・食事・入浴・散歩・相談など、心身を整える行動が大きな効果をもたらしたという意見もありました。
多くはありませんが、「時間が経つのを待った」という声も一定数あり、状況によっては「立ち止まる」という選択の余地も感じられます。
ゆうきゆう先生に聞く「受験うつの対処法」
ゆうきゆう先生
いろいろな方法がありますが、代表的なものとして、まずは「運動」です。
散歩やランニング、筋トレなど、本当にカンタンな運動をしてみましょう。一日にたった1分でもかまいません。わずかでも「運動」という習慣があることで、うつになりにくくなるといわれています。小さくても、少しでもいいので、軽い運動を取り入れてみましょう。
次に「話す」ということも重要です。家族でも友だちでもいいので、毎日、ちょっとした会話の機会を取ることが大切。これも1分だけでもかまいません。少しでも自分の気持ちを伝えることで、心がどんどんラクになっていきます。まずはこの2つを試してみてください。
心身の不調、親や先生にどう伝える?周囲に相談するコツ

受験うつのとき、「弱音を吐いたら怒られるかも」「心配をかけたくない」と考え、親や先生に気持ちを伝えられない受験生は少なくありません。その反面、勇気を出して「つらい」と伝えることで、理解者が増え、サポートを受けやすくなります。
勇気を出して「勉強がつらい」と正直に伝える
「勉強が手につかない」「つらい」と口にすることは、弱さの表れではありません。むしろ、心のSOSを伝える大切なサインです。親や先生は、子どもが限界まで我慢していることに気づけない場合があります。小さな不調の段階で言葉にすることが大切です。
<不調を伝えるフレーズ例>
- 「最近、勉強しても頭に入らなくてつらいです」
- 「頑張りたいけど、気持ちが追いつきません」
- 「朝からずっとだるくて、勉強が手につきません」
- 「やる気が出なくて、このままじゃ不安です」
- 「ちょっと休む時間がほしいです」
勇気を出して伝えることで、サポートを受けやすくなり、状況を変えるきっかけになります。
受験うつを誰にどう相談するか
相談のコツを踏まえて、次は誰にどう相談するか気になるところ。アンケートで受験うつ経験者の皆さんに聞いてみました。

受験うつの相談相手として最も多かったのは「親」や「先生」。一方で医師(7.4%)やカウンセラー(1.6%)など、専門家に相談した人は少数という結果でした。
次に「相談相手にどう話したか」ですが、アンケートで得られた回答(※自由回答)から、参考になりそうなものを抜粋して紹介します。
受験うつについて、どう相談をしましたか?
「最近ずっと気分が沈んで、何をしても楽しく感じられない」と親に話しました。具体的な症状も伝えました。(さくさん・17歳のときに経験)
学校の友達や当時通っていた塾の先生にこれからの成績や勉強方法について相談した。(りょうさん・17歳のときに経験)
塾の先生に勉強に集中できないことを伝えたところ、夏休みや土日も返上して勉強してるからだとアドバイスをもらい、思い切って気分転換するといいことを教えてもらった。(とこさん・18歳のときに経験)
医師の方には勉強ができなくなってしまった。勉強をしようとすると泣いてしまったり、不安やイライラが押し寄せてくると相談しました。(いたさん・18歳のときに経験)
友達にはカジュアルに今の気持ちを聞いてもらい、塾の先生には「勉強しても成果が出ない」「このままでは志望校に受からないのでは」と不安を打ち明け、勉強方法や気持ちの切り替え方について相談しました。(ならさん・15歳のときに経験)
受験うつの治療と精神科医や専門家への相談
受験うつは「気合で克服するもの」ではなく、適切なサポートが必要な心の不調です。アンケートでは「専門家に相談した」という人は少数でしたが、ためらうことはありません。
病院での診療やカウンセリング、学校の先生やスクールカウンセラーへの相談、公的な窓口など、頼れる先はいくつかあります。本当に困ったときのためにも、頼れる先を数多く知っておくことが大切です。
メンタルクリニックで精神科医に相談する
メンタルクリニックは、受験うつに悩むとき最初に相談できる心の専門窓口です。精神科医は、うつ病や不安障害などの診断・治療を専門にしており、「受験うつかもしれない」と感じた段階でも受診してかまいません。
カウンセリングや薬によるサポートのほか、生活リズムの整え方や学業との両立方法など、実践的なアドバイスも受けられます。
ゆうきゆう先生に聞く、相談のタイミングと心療内科・精神科で受けられるケア
ゆうきゆう先生
専門家への相談のタイミングとしては、
・学校に行けなくなる
・食事がとれなくなる
・睡眠ができなくなる
・今まで楽しかったことも楽しくなくなってくる
というのが目安です。これらが1つ以上、例えば1か月くらい続くのであれば、相談してみるのも手だと思います。あるいは、生活の中で「困った」と感じたなら、相談してみてもいいかもしれません。
相談すると、「カウンセリング」と「薬」などの治療方法があります。とはいえ、すぐに薬を服用するのはハードルが高いと思いますし、「そこまでの症状ではない」ということもありますので、まずはカウンセリングなどから始めてみてもいいかもしれません。少し話すだけでも落ち着くことは多いものです。困ったときは一人で悩まず、ぜひ頼ってくださいね。
学校の先生・スクールカウンセラーの活用する
受験うつの兆しを感じたとき、相談しやすいのが学校の先生やスクールカウンセラーです。
担任の先生や進路指導の先生は、学習面での調整や受験計画の見直しをサポートしてくれます。スクールカウンセラーは心の専門家であり、気持ちを整理する手助けや適切な相談先(心療内科・精神科)の紹介もしてくれます。
今では9割以上の公立中学校・高校にスクールカウンセラーがいます。これは「相談するのは特別なことではなく、普通のこと」というメッセージなので、迷わず有効活用しましょう。
公的相談窓口(電話・オンライン)を利用する
受験うつのことを、どうしても誰にも相談できないと感じるときは、公的な相談窓口を利用するのも手です。
厚生労働省が運営する「こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」では、各都道府県の相談窓口につながり、専門の相談員に話を聞いてもらえます。
また「24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)」では、夜間や休日でも対応しており、学校生活や受験の悩みを相談できます。
近年はLINEやチャットによる相談サービス(例:東京都「こころのLINE相談(精神保健福祉相談)」)も広がり、気軽にアクセスできるのが特徴です。
ゆうきゆう先生から「受験うつで悩む受験生にアドバイス」
ゆうきゆう先生
人間は、何かで悩んでしまうと「今の目の前が人生のすべて」だと思ってしまいます。 よく赤ちゃんや幼児が、何かあるたびに全力で泣いたりしていますよね。大人からしたら「そんなことで泣かないでー!」と思うことだったりします。しかしあれも「今の目の前のことが人生のすべて」だと思っているからこそ、あそこまで全力で泣いてしまうわけですね。
心理学では「フュージョン」といいますが、人間は時に一つの考えにとりつかれて「これこそがすべてだ」と信じ込んでしまう傾向があります。
これは受験生でも同じです。今の受験で苦しいことがあったとしても、決してそれで絶望しないでください。人生というのは、このあともすごく長いのです。数年経ってみたら、「あのとき、なんであそこまで悩んでたんだろう」と思うときがきっと来ます。
そう考えて、気持ちをラクにしてくださいね。
まとめ 受験勉強と同じくらい、心のケアは大切

受験うつは「甘え」ではなく、心と体が発する大切なSOSです。今回ご紹介したように、症状やサインを理解し、本人・保護者が早めに対応することが回復への近道になります。
大切なのは、勉強の成果だけでなく、心の健康を守ることです。うつを経験しても進学の道は閉ざされません。浪人や高認、通信制高校など、多様な選択肢があります。無理に走り続けるより、立ち止まり休む勇気が、将来を切り開く力になります。
「もうダメだ」と思ったときこそ、誰かに相談してみてください。心のケアを大切にすることこそが、あなたが合格にたどり着くための最初の一歩です。
アンケート調査概要
調査対象:受験うつを経験したことがある人(有効回答数100名)
調査時期:2025年10月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「受験うつの症状や経験」についての調査
※掲載しているグラフや内容を引用する場合は「塾選ジャーナル調べ:「受験うつの症状や経験」についての調査と明記し、『塾選ジャーナル』の記事(https://bestjuku.com/shingaku/s-article/36692/)へのリンク設置をお願いします。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
東京大学医学部医学科を卒業。医師業のかたわらマンガ原作者としても活躍。主なマンガ原作に 「マンガで分かる心療内科」(少年画報社)などがある。ゆうメンタルクリニック、ゆうスキンクリニック、ゆうリワークセンター、ゆう訪問看護ステーションを首都圏や関西中心に21拠点展開する。2025年4月にゆうメンタルクリニック名古屋院が開院。(2025年現在)