情操教育とは?幼児期におすすめの体験8選と、家庭で今すぐできる「心のやさしさ」を育む習慣
「思いやりのある子に育ってほしい」「優しい子にするには?」子育てをする中でそう思う人もいるのではないでしょうか。
そのような時に目にするのが情操教育という言葉です。情操教育とは、子どもの“感じる力”や“思いやり”を育てる「心の教育」です。
知識やスキルを教える知育とは異なり、感情を豊かにし、他者への共感や自立心の土台をつくります。デジタル化が進む今の時代、心のつながりや感性を育てる時間はますます貴重になっています。
子どもの心の成長を大切にしたいけれど、どう関わればいいのかわからない。そんな悩みを持つ親も少なくありません。この記事では、情操教育の意味・効果・家庭での実践方法・年齢別のポイントまで、やさしく解説します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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目次
情操教育とは?
情操教育とは、子どもの感性や他者への思いやり、感情を豊かに育てるための「心の教育」です。知識やスキルを教える教育とは異なり、感じる・共感する・心を動かす体験を重ねることで、他者への思いやりや自立心の土台を育むことを目指しています。
とはいえ「心の教育って何?」と思う方も多いでしょう。
情操教育は、子どもが感じたことを表現できるように育てること

もう少しやさしく表現すると、情操教育とは
・子どもが感じたことを大切にし、その気持ちを表現できるように育てること
です。たとえば、美しい花を見て「きれいだね」と感じたり、友だちの涙を見て「どうしたの?」と声をかけたり。こうして心の動きを育むことが、情操教育の原点です。
ちなみに「情操」とは、目の前の出来事やものに心を動かされる感覚のことです。感じた気持ちを受け止め、表現する力の基盤になります。
この感覚が豊かだと、自分の気持ちだけでなく、他人の気持ちも想像できるようになり、思いやりや社会性が育まれるのです。
子どもの心に響く4つの体験
情操教育は、学術的には「道徳的情操(思いやり)」や「美的情操(美しいと感じる心)」のように分類されることもあります。しかしこれらの専門的な言葉だけでは、少し難しく感じるかもしれません。
子育て中のご家庭でもイメージしやすいように、情操教育を4つの体験(場面)に分類して紹介します。
・自然体験 (例:公園での散歩、草花や虫の観察、キャンプ、動物園)
季節の変化や動植物に触れ、「きれいだね」「不思議だね」と感動する体験です。命の大切さや自然への好奇心を育みます。
・芸術・文化体験 (例:音楽、絵画、工作、絵本の読み聞かせ、美術館)
「楽しい」「悲しい」といった自分の気持ちを音や色で表現したり、物語の登場人物に共感したりする体験です。感性や表現力を磨きます。
・人との関わり(社会体験) (例:家族との対話、友だちとの遊び、地域活動)
家族や友だちと気持ちを伝え合ったり、時にはケンカをしたり、助け合ったりする中で、他者への思いやりや共感力を学びます。
・日常の生活体験 (例:料理のお手伝い、ペットや植物の世話、掃除)
「ありがとう」と感謝を伝えられたり、自分にも役割があると感じたりする体験です。責任感や自己肯定感、自分も役に立てるという感覚を育みます。
※記事の後半では、これらの場面を家庭でどのように実践できるか、具体的な方法も合わせてご紹介します。
このように情操教育では、日常のあらゆる場面を心を育む場として考えます。
情操教育と知育・徳育・体育の違い
情操教育は、よく「知育・徳育・体育」と比較されます。 まずは、それぞれの役割を整理してみましょう。
- 知育 : 頭(知識・思考力)を育てる教育
- 徳育 : 心のルール(道徳・社会性)を学ぶ教育
- 体育 : 体(体力・健康)を育てる教育
- 情操教育: 心(感じる力・感性)を育てる教育
文部科学省は、「知育・徳育・体育」の3つを、子どもの生きる力の基盤として、バランスよく育むことを重視しています。では、情操教育はどこに位置づけられるのでしょうか?

情操教育は、3つの柱(知・徳・体)を支える「土台」であり「原動力」です。
たとえば、
- 知育で学んだことを“人の役に立てたい”と思う意欲
- 徳育で学んだ“人に親切にしよう”というルールを、心からの共感
- 体育で“失敗しても挑戦してみよう”と踏み出す前向きな気持ち
3つの柱で学んだことを何かに役立てたいと思う意思は、情操によって生まれます。情操教育は、知・徳・体という3つの力を前向きに使うためのエンジンとも言えます。
情操教育を始める年齢
情操教育は何歳からでも始められます。たとえば小学生になってからでも、自然体験や家族との会話を通じて、感受性や共感力を十分に育てられます。
子どもがまだ未就学(3~6歳)なら、情操教育を始めるいいタイミングです。この時期は感性が最も伸びやすく、花や音楽、友だちとの関わりなど“心が動く体験”を通じて、感じる力や思いやりの芽が育ちます。
なぜ今、情操教育(心の教育)が「勉強」以上に重要なのか?

なぜ勉強だけでなく、心の教育が重要視されるのか? それは現代の子育て環境と、子どもの将来に必要な力の変化が関係しています。
デジタル時代では共感力や思いやりが育ちにくい
「スマホや動画ばかり見ていて、子どもの感情表現が乏しい気がする……」
子育てをしていると、デジタル文化の影響を少し心配に感じることはありませんか? 便利な反面、一方通行のやり取りも多く、相手の表情を読んだり気持ちを想像したりする機会が減りがちです。
一方で現実世界で友だちとケンカをしたり、自然の美しさにハッと息をのんだりする「生の体験」は、共感力や思いやりを育む機会になります。 デジタルが身近な時代だからこそ、意識して生の体験とのバランスを取ることが、重要になっています。
情操教育は非認知能力を育てる土台になる
最近、「非認知能力(ひにんちのうりょく)」という言葉をよく耳にしませんか?
これは、テストの点数で測れる「認知能力(学力)」に対し、物事への意欲、忍耐力、自制心、思いやりといった、「測れない内面的な力(心の力)」を指します。
\非認知能力について知りたい方はこちら!/
非認知能力とは?探究学習塾取材から見えた、家庭で伸ばす方法と親の関わり方
この非認知能力が学力を支え、子どもの将来の幸福度や社会的な成功に不可欠な力だと、世界的に注目されています。「きれいだな」と感動する心が「もっと知りたい」という好奇心(非認知能力)につながり、「かわいそうだな」と共感する心が思いやり(非認知能力)になります。
つまりつまり、非認知能力を育てるのに有効なアプローチが、情操教育です。
情操教育のメリットと子どもの将来への影響
非認知能力を育む情操教育ですが、子どもにとって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

思いやり・共感性・自己肯定感が育つ
情操教育は、体験を通じて子どもの心の中に感情の引き出しをつくります。自然や物語に触れて「きれい」「悲しい」と感じる体験が、その引き出しを増やしていきます。
引き出しが多いと、誰かが困っている場面で「あの子は今、悲しい気持ちなのかも」と想像できるようになります。これが共感性であり、行動に表れたものが思いやりです。
ストレスに強く、自分を大切にできる子になる
情操教育は喜びだけでなく、怒りや悲しみの感情も大切にします。大切なのは、感情にフタをせず、「今、自分は怒っているな」と自分の感情を客観的に知ることです。自分の心の状態を俯瞰してみることで、感情に振り回されにくくなります。
言い方を変えれば、それはストレス耐性であり、自分を大切にする力ともいえます。
学力や人間関係にも良い影響がある
情操教育は、学力にも良い影響を与えます。
たとえば、「どうして空は青いの?」という自然への感動は、もっと知りたいという学習意欲や好奇心に直結します。また育まれた共感性は、円滑な人間関係をもたらします。相手の気持ちを想像できる子は、スムーズに友だちの輪に入り関係を築けます。
社会性が備わり、コミュニケーション力が伸びる
人間関係を築くのが共感性だとすれば、それを維持・発展させるのが社会性です。
社会性とは、自分の気持ちを適切に伝え、相手の気持ちを受け止め、時にはガマンしたり、ルールを守ったりしながら、集団の中で協力していく力のことです。情操教育で感じる心が育んだ子は、こうしたコミュニケーションを得意とする傾向があります。
自分の考えで行動する自立心を支える
情操教育は子どもの自分軸をつくります。感動体験を重ねる中で、たとえば自分が好きな音楽や行動パターンなど、自分の価値観や美意識を築きます。
自分軸がしっかり育つと、他人の顔色ばかりをうかがったり、周りに流されたりすることが少なくなり、自分で判断して行動できる能力の支えとなります。
家庭で実践できる情操教育4選:成功のカギは「接し方」

情操教育のメリットを知って、「じゃあ結局、どうすればいいの?」と思う方も多いでしょう。情操教育を実践する上で、特別な教材やメソッドは必要ありません。
子どもの感じる力は、日々のちょっとした親子のやり取りの中で育ちます。手始めに、朝・おでかけ・寝る前・日常の4つのシーン別に、今日からできる情操教育のコツを紹介します。
① 朝の時間:感情の言語化を練習する
朝は気持ちを言葉にする絶好の時間帯です。
まずは「今日はどんな気分?」と優しく聞いてみましょう。子どもが「うーん、眠い」「楽しみ!」と答えたら、「そうなんだね」と受け止めるだけで大丈夫です。
大切なのは、感情を正すのではなく認めること。感情を受け入れることで、子どもは自分の気持ちを大切にする自己肯定感を獲得していきます。朝のたった3分の対話が、これからの心の安定感につながります。
② おでかけ:五感で感動体験を共有する
おでかけは、五感を使った感性を育む絶好のチャンスです。公園で花が咲いていたり、風が気持ちよかったり、そんな瞬間に「きれいだね」「気持ちいいね」と、感じたことを親子で声に出してみましょう。
ポイントは、事実よりも感じたことを言葉にすることです。「花が咲いたね」より「風がやさしいね」と話すほうが、子どもは感じたことを言葉にする流れを覚えてくれます。
大人が先に感動を共有することで、子どもも安心して感じたことを言葉にすることを覚えます。
③ 寝る前:1日の感情を整理する
寝る前のリラックスした時間は、1日の感情を整理するゴールデンタイムです。
「今日はどんなことがうれしかった?」「楽しかったことあった?」と、1日をふりかえる会話をしましょう。
子どもが「ブランコ楽しかった」と話してくれたら、「それはうれしかったね!」とそのまま共感します。そのやり取りが、ポジティブな自分像を育てます。嫌だったことが出てきた場合も、まずは否定せず受け止めることが大切です。
1日の出来事をふりかえることは、感情を整理して心を落ち着かせる情緒のトレーニングにもなります。
④ いつでも:親が感情のお手本を見せる
情操教育において、子どもにとって最大のお手本は親自身です。子どもは親の表情や言葉を通して、感情の正体や伝え方を学んでいます。
たとえば子どもが手伝ってくれたときに「ありがとう、ママすっごくうれしかったよ!」と伝える。失敗したときは「あー悔しい! でも、またやってみよう」と素直に話してみましょう。
「今日は疲れちゃった」といった弱音も含めて、人の心の多様さを知る貴重な機会になります。
情操教育になる体験や習い事8選

家庭での日々の接し方が情操教育の土台です。そこに子どもの心が動く瞬間、具体的な体験や習い事を取り入れると感性はより豊かに育っていきます。
次は特におすすめの8つの体験を、なぜ情操教育に良いのかという理由と合わせて、簡単に紹介します。 全部やる必要はないので、子どもの興味や暮らしのスタイルに合うものを見つけるヒントにしてください。
① 音楽や楽器で感じる心を育てる
音楽は言葉にならない感情を表現する手段です。楽しい曲、悲しい曲に触れることで、感情の引き出しが豊かになります。コツコツ練習を続ける過程で、やり抜く力や集中力も自然に育まれます。楽器の用意が難しければ、家で一緒に歌うなど、遊びから始めるのもおすすめです。
② 絵を描いて、感性と自己表現を育てる
絵や工作は、子どもの心を自由に表現する手段のひとつです。大切なのは上手に描くことではなく、子どもが感じたままを絵にすることです。それをまっすぐ受け止めてあげることが、子どもの自分軸づくりにつながります。
③ 絵本の読み聞かせで共感力を育てる
物語の登場人物に共感する疑似体験は、相手の気持ちを想像する共感性を育む最高のトレーニングです。「この時どう思った?」と軽く聞いてみるだけで十分です。感想を求めすぎず、気持ちを言葉にする練習になります。
④ スポーツで挑戦する力と協調性を育てる
スポーツも優れた情操教育の場です。ルールの中で負ける悔しさ・勝つ嬉しさを仲間と共有する体験は、挑戦する姿勢や社会性を学ぶいい機会になります。
⑤ ペットとの暮らしで思いやりを育てる
自分より弱い存在と暮らし助け合うような体験は、責任感や思いやりの気持ちを育みます。「お腹が空いたかな?」とペットの気分を想像するちょっとした思いやりが、他者への共感性につながります。
⑥ 植物を育てて、命の循環を感じる
ペットを飼うのが難しければ、植物を育ててみましょう。芽が出たときの喜びだけでなく、枯れてしまったときの悲しさや、花が落ちて種になる不思議さが、命の循環や好奇心を育んでくれます。
⑦ 自然体験で感動を分かち合う力を育てる
自然豊かな公園での遊びやキャンプといったレジャーは、風の音を聴いたり、土の匂いを嗅いだり、感動を分かち合ういい経験です。非日常の体験の中でしか得られない感覚が、子どもの五感を豊かに育ててくれます。
⑧ 料理で五感と感謝の心を育てる
料理は五感を育む生活体験の宝庫です。自分でおいしいものが作れた時の成功体験、失敗がもたらす成長への原動力、命をいただくことへの感謝の気持ちなど、たくさんの感情を自然に育めます。
情操教育についてよくある質問

情操教育は、子どもの「心」を育てる大切な学びです。しかし始める時期や家庭での取り入れ方について疑問を持つ方も多いものです。ここでは、よくある質問に答えます。
家でできる情操教育にはどんなものがありますか?
家庭でできる情操教育は、特別な準備がなくても始められます。たとえば、
- 絵本の読み聞かせ:登場人物の気持ちを一緒に考える
- 自然とのふれあい:花や虫を観察して「きれいだね」と共感する
- 料理やお手伝い:家族の役に立つ喜びや感謝を感じる
- 音楽や絵を楽しむ:感じたことを音や色で表現する
大切なのは上手か下手かで評価せず、楽しかった・うれしかったという気持ちに共感することです。
情操教育と道徳教育はどう違うのですか?
情操教育と道徳教育は、どちらも心にアプローチする教育です。しかし目的が異なります。
| 教育の種類 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 情操教育 | 感じる力・思いやり・感性を育てる | 体験や共感を通して、心が動く瞬間を大切にする |
| 道徳教育 | 社会のルールや正しい行動を学ぶ | 「こうするのがよい」という考え方を身につける |
情操教育が「感じること」に焦点を当てるのに対し、道徳教育は「考えて行動すること」を重視します。つまり、情操教育が意欲を育て、道徳教育が行動を導く関係にあります。
まとめ 情操教育は日々の小さな対話から始まる

情操教育は、特別な教材や大きな準備がなくても、日常生活の中で実践できます。大切なのは、子どもの感情や心の動きを大事にし、日々の体験を通じて言葉や動作、絵や音で表現することを助けてあげることです。
たとえば、毎日の会話の中で「今日はどんな気持ちだった?」と聞いたり、子どもが感じたことをそのまま受け止めたりすることが、情操教育の第一歩です。どれも簡単にできることです。しかし積み重ねることで大きな効果を生みます。
「いつから始めればいいの?」という不安は無用。対話や習い事などを通じて、子どもらしい成長を支えていくことが大切です。
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