中学受験|前受け受験は本当に必要?本命受験を前に悩む親が知りたいメリット・デメリット
「前受け受験って本当に必要なの?」「不合格になったら本命まで引きずらない?」中学受験が近づくほど、多くの家庭がこの“前受け問題”で悩みます。本番の雰囲気に慣れる、合格で安心感が得られるなどのメリットがある一方、直前期の時間ロスや費用、メンタル面の負担といった不安も無視できません。
そこで今回は、早稲アカ・駿台で25年以上の受験指導実績を誇る西村創先生に、前受け受験の意味と、やる・やらないの判断ポイントを伺いました。
監修者
西村 創先生
早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wingsなどで指導歴25年以上。新卒入社の早稲田アカデミーでは、入社初年度に生徒授業満足度全講師中1位に輝く。駿台ではシンガポール校講師を経て、当時初の20代校長として香港校校長を務め、過去最高の合格実績を出す。河合塾Wingsでは講師、教室長、エリアマネージャーを務める。現在は、セミナー講演や書籍執筆、「にしむら先生 受験指導専門家」としてYouTube配信(チャンネル登録13万人超)などを中心に活動。著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など多数。 http://www.youtube.com/@nishimurasensei
編集部
塾選ジャーナル編集部
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目次
中学受験の前受け受験は本当に必要か判断に悩む…

【CASE 047】小学6年生・男子
性格:
真面目で努力家ですが、少し繊細なところがあり、一度の失敗を引きずってしまうタイプです。完璧主義な一面もあります。
【今回のお悩み】
ペンネーム:youheiさん(小学6年生 保護者)
通学中の塾、SAPIXから「本番の雰囲気に慣れるため」や「合格を一つ持っておくことで精神的な安心につながる」と前受け受験を勧められています。
メリットは理解できるものの、絶対に進学しない学校のために、貴重な直前期の時間とお金を使うことには少し疑問も感じています。
息子は、一度の失敗を引きずってしまうタイプ。もし前受け校に不合格だった場合、そのショックを本命の試験まで引きずってしまうのではないかと心配です。
「合格して当たり前」というプレッシャーの中で失敗させるのが怖く、経験を積ませるメリットと、自信を失うリスクのどちらを優先すべきか悩んでいます。
前受け受験とは?中学受験での意味と目的を解説
前受け受験の意味とは?本番慣れ・合格の安心につながる
前受け受験とは、本命校を受験する前に本番に慣れることを目的にして、手堅い合格圏内の学校を受験することです。“練習受験”と呼ばれることもありますね。
入試本番には、模試とは異なる特有の空気感があります。リアルな会場で実際に入試を受け、本物の合否通達を受けるという体験は、模試では経験できない意味を持つでしょう。
前受け受験はなぜ必要?塾が勧める理由とは
塾が前受け受験を勧める理由には、「本番の入試に慣れる」「合格により安心感を高める」以外に、勉強不足な部分を浮彫りにする「模試としての役割」もあります。
受験シーズン前の最後の模試は12月で、それ以降はありません。1月に学力レベルを測るうえでも、前受け受験は有効な機会になります。
例として、首都圏の受験解禁日を見てみましょう。
| 都道府県 | 解禁日 |
|---|---|
| 埼玉県 | 1月10日(例年固定) |
| 千葉県 | 1月20日(例年固定) |
| 東京都(23区)・神奈川県 | 2月1日(例年固定) |
入試が1月10日ごろに集中する埼玉県は、“前受け受験”の最前線です。特に有名なのは栄東中学校で、1万人以上の出願者が集まる“最後の模試”と呼ばれています。
栄東中学校の受験が多くの塾や教育関係者から推奨され、受験者からも好評な理由は、科目ごとの順位と点数、そして問題ごとの正解・不正解を開示してくれるからです。学校側も前受け校として活用されていることを知っているため、詳しく入試結果を教えてくれます。
単元ごとに自分の弱点を見つけられるため、本命受験に向けた最後の学習計画に反映できます。
栄東中学校のほか、開智中学校、大宮開成中学校も前受け受験者が多い学校です。出題される問題にクセがなく平均的な問題が多いため、幅広い学校の前受け校に適しているのも特徴です。
前受け受験を勧めるもう一つの理由に、時事問題の対策ができることも挙げられます。近年出題率が上昇し、「時事問題を出さない学校はない」といわれています。
当然ながら今年の入試で問われる最新の時事問題を、過去問で解くことはできません。
入試では、直近のニュースに関する時事問題が取り上げられます。例えば、2026年入試であれば、「AIの台頭」や「高市政権」「クマ被害」といった話題が取り上げられるかもしれませんね。
時事問題は、複数の学校で似た問題が出る傾向にあります。つまり、前受け校で出題されたテーマが、本命校で出題される可能性は高いといえるでしょう。
前受け受験のメリット・デメリットを解説
塾が前受け受験を勧めるのは、多数のメリットがあるからです。
そのうえで前受け受験をする・しないを決めるなら、メリットとデメリットを比較する必要があります。前受けの利点やリスクについて、改めて整理してみましょう。
前受け受験のメリット|本番慣れ・安心感・学力確認の3つの効果
1.本番の入試に慣れることができる
本命校の前に実際の入試環境を体験することで、緊張を和らげ、当日のパフォーマンスを高める効果が期待できます。試験での時間配分や問題への対応力を養えるだけでなく、手続きや流れ、環境に慣れることができるのも利点といえるでしょう。
しっかり準備していたつもりでも、想定外のことが起こるのが受験です。毎年のように話を聞くのは、試験会場が暑くて頭が働かなかったというケースです。
親としては、風邪を引かないようにと子どもに厚着をさせるのですが、試験会場も暖房の温度を高くしていることが多いので、「ぼーっとして頭が働かなかった」というのはよくあるトラブルです。
一度でも本番の経験を積んでおくことで、本命に向けてこうした想定外に対策することができるでしょう。
2.合格による安心感を得られる
前受け校に合格しておくと、「どこにも行けない」という不安が減り、精神的に余裕が生まれます。本物の入試で合格をもらう経験は、大きな自信にもつながるでしょう。
前受け受験で確実に合格をキープしたいなら、学力面で無理のないレベルの学校を選ぶことが大切です。相談者の方のように子どもが失敗を引きずるタイプであれば、より手堅い学校を選ぶとよいですね。
一方で子どもの性格によっては、「一度不合格にならないと本気にならない」場合もあります。その時は、あえてチャレンジ校を前受け受験するという戦略もアリです。
3.現時点での学力を確認し、本命校に向けて対策ができる
前項で紹介したように、12月の模試以降の勉強でどれくらい学力が伸びたのか、実際の入試でどの程度通用するかを確認できるのは大きなメリットです。
補うべき弱点や今年の時事問題の傾向をつかみ、より的を射た対策することで本命校合格に大きく近づくことができるでしょう。
前受け受験のデメリット|時間・費用・メンタルのリスクとは
1.定常的な学習時間が減る
当日は移動と受験で物理的に時間を取られます。これにより、通常の学習時間が削られることになるため、本命校対策の計画を崩さないように工夫が必要です。
2.受験にあたって、費用負担が発生する
目安として1校あたり3万円ほど受験料がかかります。遠方に赴く場合は、交通費や宿泊代もかかるため、家計への影響も考慮が必要です。
3.感染リスクなど体調管理に注意が必要
電車移動や試験会場は人が多く集まる場所。冬場の受験は感染症リスクが高く、人との接触による体調不良の可能性が考えられます。体力も消耗するため、予防対策を徹底して無理のない日程を組むようにしましょう。
前受け受験するべき?子どもの性格で変わる最適な選び方
「前受け受験をするべきかどうか」に決まった正解はありません。なぜなら、子どもの性格や学力、直前期の学習状況、そしてご家庭の方針によって最適な判断が変わるからです。
そのため、まずは次の2つを家族で共有しておくことが大切です。
- メリット(本番慣れ・安心感・学力確認)
- デメリットやリスク(時間・費用・体調・メンタル負荷)
そのうえで、「うちの子にとって最も良い選択はどちらか?」を一緒に考えてみてください。最終的に子ども自身が納得して選んだ道であれば、それが何より大きな力になります。前受けを経験することも、本命校に集中することも、中学受験を通して「自分で選び、乗り越えた」という確かな自信につながっていきます。
前受け校の過去問対策にはある程度の準備期間が必要なため、一般的には6年生の夏ごろまでに方向性を決めておくと安心です。
とはいえ、今まさに迷っている時期でも、判断が遅すぎるということはありません。
これまでの学習状況や子どものメンタルを踏まえて、「今の自分に合った選択」ができるのは、この時期だからこそのメリットです。
前受けをするなら最低限の対策でも十分ですし、前受けをしない選択もまったく問題ありません。どちらを選んでも、本番までに力は伸ばせるため安心してご家族で話し合ってください。
成功へ導く賢者からの金言!

経験を力にできるのが、前受け受験のメリット!
懸念点と比較したうえで、子どもが納得する選択を。
※塾選調べ:
対象:中学受験に関してのお悩みを持つ保護者50名にアンケートを実施
期間:2025年10月7日~14日実施
監修者プロフィール
早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wingsなどで指導歴25年以上。新卒入社の早稲田アカデミーでは、入社初年度に生徒授業満足度全講師中1位に輝く。駿台ではシンガポール校講師を経て、当時初の20代校長として香港校校長を務め、過去最高の合格実績を出す。河合塾Wingsでは講師、教室長、エリアマネージャーを務める。現在は、セミナー講演や書籍執筆、「にしむら先生 受験指導専門家」としてYouTube配信(チャンネル登録13万人超)などを中心に活動。著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など多数。 http://www.youtube.com/@nishimurasensei
執筆者プロフィール
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