【小学生の思考力とは?】わが子が文章問題でつまずく理由と、すぐにできる伸ばし方
「計算や漢字はできているのに、文章題になると急に手が止まる」
「どう考えたのか聞くと、うまく説明できない」
そんなわが子を見て、どこか不安を感じたことはありませんか。
実はそれは、学力不足ではなく「思考力」が十分に育っていないサインかもしれません。小学生にとっての思考力とは、知識を覚える力ではなく、「なぜそうなるのか」を考え、自分の言葉で説明する力です。文部科学省も学習指導要領等で「思考力・判断力・表現力等」を重視しています。
この記事では、思考力の基本的な考え方から、家庭でできる関わり方、注意点まで、小学生の保護者目線でわかりやすく解説します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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目次
思考力とは? 小学生の頃から育んでおきたい理由

「思考力」という言葉を耳にする機会が増えましたが、具体的に何を指すのか、学力とどう違うのか、はっきりしないまま不安だけが募っていませんか。
思考力とは、簡単に言えば「知っていることを使って、自分なりの答えを考え出す力」です。
たとえば、算数で九九を覚えているだけでは思考力が十分とは言えません。一方で、「リンゴを3人に4個ずつ配るには、全部で何個必要?」という問いに対して、「3人×4個だから12個」と理由とセットで説明できるなら、思考力が育っているといえるでしょう。
文部科学省が学習指導要領等で掲げる「思考力・判断力・表現力等」も、この考え方が土台になっています。知識を単に暗記するのではなく、それをどう使うか、なぜそう考えたのかを言語化できる力が、これからの学びでは重視されているのです。
思考力の基本的な意味と、なぜ今の小学生に必要とされているのかを整理していきます。
暗記・計算と何が違う?保護者が混同しやすいポイント
「うちの子、漢字テストは100点なのに、作文は苦手なんです」
こうした声はよく聞かれます。これは学力が低いのではなく、暗記する力と、思考する力が別の種類であることを示しています。暗記や計算は、正解がひとつに決まっていて、覚えたとおりに再現すれば点が取れる学習です。一方で思考力は、情報を組み合わせて、自分で答えを組み立てる力を指します。
<暗記と思考の違い>
| 暗記 | 思考力 | |
|---|---|---|
| 求められること | 覚えた知識を正確に再現する | 知識をもとに、自分で考えて答えを作る |
| 正解の数 | 1つ | 複数ある場合も多い |
| よく使う場面 | 漢字テスト、九九、公式の適用 | 文章題、作文、説明が必要な問題 |
言い換えれば、知識を「持っている」だけでなく「使える」状態にする力とも言えるでしょう。
注意したいのは、思考力は暗記を否定するものではない点です。暗記で身につけた知識は、考えるための大切な材料になります。暗記で得た知識を組み合わせ、自分なりの答えを作るプロセスが思考力といえるでしょう。
なぜ今、小学生に思考力が求められているのか
以前は「正しい答えを早く出す力」が重視される傾向がありました。。しかし今は、AIやインターネットにより知識は簡単に調べられる時代です。そのため、答えのない問いに対して、自分なりの考えを持てる力が社会で必要とされています。
さらに、中学受験や高校受験でも「思考力型」の問題が増加傾向です。知識だけでは解けない、情報を読み取り、考えをまとめる力が試される問題が出題されています。小学生のうちから思考力を少しずつ育てておくと、中学以降の学びがぐっと楽になります。
思考力が伸びている子・伸びにくい子のサイン

「うちの子に思考力があるのかどうか、正直わからない」
そう感じている保護者は少なくありません。思考力は、テストの点数だけでは測りにくいものですが、実は日常の会話や行動の中に思考力が育っているかどうかのサインが表れています。
そのサインを見極めるポイントは「理由を説明できるかどうか」です。
思考力が伸びている子に見られる日常の特徴
思考力が育っている子には、勉強場面以外でも以下のような行動が見られます。

これらは特別な訓練をしなくても身につきます。日常の会話の中で「なぜ?」「どう思う?」と問いかけることで自然と育っていきます。
思考力が伸びにくいときに出やすいサイン
思考力が伸びにくくなっているときには、以下のようなサインが現れます。

重要なのは、これらは子どもの能力の問題ではなく、環境や関わり方で変えられるということです。思考力は「ある・ない」で決まるものではなく、日々の積み重ねで育てるものだからです。
今日から家庭でできる思考力の伸ばし方

思考力を伸ばすために、特別な教材や高額な教育プログラムが必要だと思っていませんか?
実は、思考力を育てる最も効果的な方法は、日常の会話の中にあります。大切なのは「何を与えるか」ではなく、「どう問いかけ、どう待つか」です。
H3 特別な教材より「問いかけ」と「待つ時間」が大切
思考力を伸ばすうえで最も重要なのは、「なぜ?」「どう思う?」と問いかけて、子どもが考える時間を待つことです。
多くの保護者は、子どもが黙り込むとつい不安になって、すぐに答えを教えてしまいます。しかしその瞬間、子どもが自分の頭で考えるチャンスは失われてしまいます。
思考力は、知識を詰め込むことでは育ちません。自分で考え、言葉にする経験を積み重ねることで、少しずつ育っていくものです。
だからこそ、問いかけた後は焦らずに待つことが重要です。「ゆっくり考えていいよ」と声をかけて、5秒、10秒、沈黙を受け入れてあげてください。
今日からできる、思考力を伸ばす声かけの例
普段の会話の中で、少し問いかけ方を変えるだけで、子どもの思考はぐっと動き出します。
【答えを聞く前に、考えを聞く】
✖:答えは?
〇:どうやって考えたの? なぜそう思ったの?
【正解・不正解より、理由に目を向ける】
✖:違うよ、正解は〇〇だよ
〇:そう考えたんだね。どうしてそう思ったの?」
【 選択肢を与えて、選んだ理由を聞く】
✖:これやりなさい」
〇:AとBどっちがいいと思う? なんでそっちにしたの?
【日常の出来事を一緒に振り返る】
✖:楽しかった?
〇:何が一番楽しかった? それはなんで?
【失敗したときこそ、思考力チャンス】
✖:次は気をつけなさい
〇:どうしてうまくいかなかったと思う? 次はどうしたい?
ポイントは、すぐに正解を求めず、子どもの考えをまず受け止めることです。たとえ的外れな答えでも、「そういう考え方もあるね」と認めることで、子どもは安心して考えを口にできるようになります。
学年別(低・中・高学年)家庭で意識したいポイント
思考力の育ち方は、学年によって少しずつ変わってきます。それぞれの段階に合わせた関わり方を意識しましょう。

<低学年(1〜2年生):「なぜ?」より「どっち?」から始める>
この時期は、まだ自分の考えを言葉にするのが難しい段階です。いきなり「なぜ?」と聞くより、「AとBどっちがいい?」と二択で選ばせて、「どうしてそっち?」と理由を聞くほうが答えやすくなります。
日常の小さな選択(おやつ、遊び、服など)で、自分で選んで理由を言う経験を増やしてあげましょう。
<中学年(3〜4年生):順番に説明する練習を増やす>
この時期になると、物事を順序立てて説明する力が育ち始めます。「まず〜して、次に〜して、だから〜」という流れで話す練習が効果的です。
たとえば学校であった出来事を話すとき、「それでどうなったの?」「その前は?」と順番を整理しながら聞いてあげると、論理的に話す力が育ちます。
<高学年(5〜6年生):「反対の立場」や「別の方法」を考えさせる>
高学年では、自分の考えだけでなく、他の視点や複数の選択肢を考える力を伸ばす時期です。
「もし逆の立場だったらどう思う?」「他にやり方はないかな?」と問いかけることで、多面的に物事を見る力が育ちます。ニュースや本の感想を話すときにも、「自分はどう思う?」と意見を聞く習慣をつけましょう。
逆効果になりがちな家庭でのNG対応

思考力を伸ばそうと意識していても、日常の何気ない関わり方が、実は子どもの思考を止めてしまっていることがあります。
多くの場合、それは悪意ではなく、「早く理解させたい」「間違えたままにしたくない」という親心から生まれるものです。しかしその関わり方が、結果的に子どもが自分で考える機会を奪ってしまうこともあるのです。
正解を急ぐほど、子どもの思考は止まりやすい
思考力を止めてしまう大きな原因は、「正解にたどり着くこと」を急ぎすぎることです。
子どもが考え込んでいると、つい「答えはこうでしょ」と教えたくなります。でもそれは、子どもが自分の力で答えを見つける経験を奪っていることになります。
思考力は、正解を知ることでは育ちません。「なぜそうなるのか」を自分なりに考え、試行錯誤する過程の中で育っていくもの。だからこそ、すぐに答えを与えるのではなく、「どう考えたの?」「他に方法はないかな?」と、子ども自身が考え続けられる時間こそが大切です。
よくあるNG 5例
良かれと思ってやっている対応が、実は思考力の成長を妨げているかもしれません。

<NG①:子どもが黙ったら、すぐに答えを教える>
子どもが考え込んでいると不安になり、「答えは〇〇だよ」とすぐに教えてしまう。これでは子どもが自分で考える時間が奪われてしまいます。
<NG②:間違えたら、すぐに否定する>
「違うよ」「そうじゃないでしょ」と、考えの途中で否定してしまう。これを繰り返すと、子どもは間違いを恐れて、考えること自体を避けるようになります。
<NG③:答えが合っているかだけを評価する>
「正解!」「不正解」と結果だけを見て、どう考えたかには触れない。すると子どもは「正解すること」が目的になり、考える過程を軽視するようになります。
<NG④:「なんでわからないの?」と責める>
わからないことを責められると、子どもは「わからない=悪いこと」と思い込み、考えることそのものに抵抗を感じるようになります。
<NG⑤:親の考えを押し付ける>
「普通はこう考えるでしょ」と、親の価値観や正解を先に示してしまうと、子どもは自分の考えより、親が求める答えを探すようになります。
これらはどれも、悪気があってやっているわけではありません。しかし結果的に、子どもが安心して考える環境を壊しているおそれがあります。
思考力を止めないための、関わり方と言い換え例
NGな対応を、思考力を育てる関わり方に変えるには、ちょっとした言葉の選び方が鍵になります。
【言い換え①】すぐ教える → 考えるヒントを出す
✖:答えは〇〇だよ
〇:ここまではどう考えた? 似た問題、前にやらなかった?
【言い換え②】すぐ否定する → まず受け止める
✖:違うよ〇
〇:そう考えたんだね。じゃあ、もう一度ここを見てみようか
【言い換え③】答えだけ評価する → 考え方を認める
✖:正解!
〇:どうやって考えたの?その考え方いいね
【言い換え④】責める → 一緒に考える姿勢を見せる
✖:なんでわからないの?
〇:難しいよね。一緒に考えてみようか
【言い換え⑤】押し付ける → 子どもの考えを引き出す
✖:普通はこうでしょ
〇:あなたはどう思う? 他にはどんな考え方がある?
ポイントは、正解より、考える過程そのものを大切にすることです。たとえ答えが間違っていても、「こう考えたんだね」と理由を聞き、「じゃあ次はどうする?」と前に進める声かけが、子どもの思考力を育みます。
子どもの思考力についてよくある質問

思考力について理解が深まると、「うちの場合はどうすればいいの?」という具体的な疑問が出てくるものです。ここでは、保護者からよく寄せられる質問に、端的に答えていきます。
3大思考力とは何ですか?
3大思考力とは、学習指導要領等で掲げられている「学力の3要素」の一つである「思考力・判断力・表現力等」を指します
思考力:情報や条件を整理し、「なぜそうなるのか」を考える力
判断力:複数の選択肢の中から目的に合った答えや方法を選ぶ力
表現力:考えたことや判断したことを、言葉や式、図などでわかりやすく伝える力
これらは「考える・選ぶ・伝える」という一連の流れで働き、文章題や説明問題、話し合い活動などを通して育てることが重要とされています。
思考力プリント・ドリルは効果ある?
使い方次第で効果はありますが、やりっぱなしは逆効果です。
思考力プリントやドリルは、考える「きっかけ」を与えてくれる教材として有効です。ただし、答え合わせをして終わりにしてしまうと単なる作業になってしまいます。
大切なのは、解いた後に「どう考えたの?」「他のやり方はある?」と問いかけることです。親子で一緒に考えたり、間違えた問題について「なぜ間違えたか」を話し合う時間があれば、思考力を伸ばす効果は高まります。
プリントは、「答えが一つに決まらない問題」や「考え方を説明させる問題」が含まれているものを選ぶとよいでしょう。
思考力は生まれつき?後からでも伸ばせる?
思考力は生まれつきの才能ではなく、環境と経験で伸ばせる力です。「うちの子は考えるのが苦手だから」と諦める必要はありません。
大切なのは、「考える機会」と「考えを言葉にする経験」をどれだけ積んできたかです。今まで答えをすぐに教えられる環境で育ってきた子は、思考力を使う場面が少なかっただけかもしれません。
今からでも日常の問いかけや関わり方を変えることで、思考力は十分に伸ばせます。焦らず、少しずつ「考える時間」を増やしていくことが大切です。
文章問題が苦手=思考力がないということ?
思考力がないのではなく、「文章から情報を読み取る経験」が不足している可能性があります。
文章題が苦手な子の多くは、計算そのものはできています。つまずきやすいのは、「何を問われているのか」「どの情報を使えばいいのか」を読み取る段階です。これは思考力というより、文章を整理して理解する力、つまり「読解力」と「情報処理力」に問題がある場合が多いです。
対策としては、文章題を読んだ後、すぐに解かせるのではなく、「何を聞かれてる?」「わかっていることは何?」と一緒に整理する習慣をつけるとよいでしょう。
塾に通わせるなら、いつから検討すべき?
家庭での声かけに限界を感じたら、それが検討のタイミングです。
塾に通わせる明確な年齢やタイミングはありません。大切なのは、「家庭でできること」と「塾でしかできないこと」を区別することです。
家庭では、日常の会話を通じて思考力の土台をつくることができます。一方で塾では、他の子と意見を交わしたり、体系的なカリキュラムで段階的に思考を深める経験ができます。
もし「親が教えるとケンカになる」「子どもが考える時間を待てない」「もっと深い学びをさせたい」と感じたら、塾を検討してもよいタイミングです。
思考力を別の言葉で言い換えると?
思考力の言い換えとして、文脈に応じて次のような表現が使われます。
- 考える力 :最も一般的でわかりやすい言い換え
- 問題解決力 :課題を見つけ、解決策を考える力
- 論理的に考える力 :理由や順序を整理して考える力
- 筋道を立てて考える力 :考えを順序立てることを強調した表現
- 情報を整理・活用する力:知識を組み合わせて使う意味合い
- 自分で答えを導く力 :暗記との違いを伝えたいときに有効
子どもと思考力について話をするなら、「考える力」「自分で答えを導く力」などと言い換えると説明しやすいでしょう。
まとめ 思考力は家庭の関わりで今から育てられる

ここまで、思考力とは何か、家庭でできる伸ばし方、やってはいけない関わり方を見てきました。
思考力とは、知識を使って自分なりの答えを考え出す力です。暗記や計算ができていても、「なぜそうなるのか」を説明できなければ、思考力が育っているとは言えません。
そして思考力は、特別な教材がなくても、日常の問いかけと待つ時間で育てることができます。「なぜ?」「どう思う?」と聞いて、子どもが考える時間を大切にしましょう。すぐに答えを教えず、正解より考える過程を認めることが、思考力を伸ばすはじめの一歩です。
思考力は一朝一夕では育ちませんが、焦らず続けることで確実に伸びていきます。今日から、子どもとの会話をほんの少しだけ変えてみてください。その積み重ねが、子どもの未来を支える力になります。
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