中学受験で塾が始まった新小4に、スマホは持たせるべき?後悔しないルールの決め方
塾が始まり、帰宅時間が遅くなると、ふと頭をよぎるのが「スマホを持たせたほうがいいのだろうか?」という不安ではないでしょうか。
防犯や連絡手段として必要かもしれないと思う一方で、動画やゲーム、友達とのやり取りに夢中になってしまわないかも心配になります。
便利さと危険性のどちらを優先すべきか、中学受験を控えた家庭はどのように判断しているのでしょうか?早稲アカ・駿台で25年以上の受験指導に携わる西村創先生に、小学生が学ぶべきスマホとの向き合い方や親がすべきルール作りのポイントを伺いました。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
西村 創先生
早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wingsなどで指導歴25年以上。新卒入社の早稲田アカデミーでは、入社初年度に生徒授業満足度全講師中1位に輝く。駿台ではシンガポール校講師を経て、当時初の20代校長として香港校校長を務め、過去最高の合格実績を出す。河合塾Wingsでは講師、教室長、エリアマネージャーを務める。現在は、セミナー講演や書籍執筆、「にしむら先生 受験指導専門家」としてYouTube配信(チャンネル登録13万人超)などを中心に活動。著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など多数。 http://www.youtube.com/@nishimurasensei
目次
中学受験でSAPIXに通い始めた新小4、スマホは持たせるべき?

【CASE 011】小学3年生・男子
性格:
好奇心旺盛で楽しいことが大好き。何かに集中すると周りが見えなくなりやすい。
【今回のお悩み】
ペンネーム:HAREさん(小学3年生 保護者)
新4年生からSAPIXに通い始め、帰宅が20時を過ぎる日もあります。防犯や緊急時の連絡手段として、GPS機能付きのスマートフォンを持たせた方がよいのではと考えています。
一方で、息子は動画やゲームへの執着が強く、スマホを持たせることでYouTubeやゲームに時間を取られ、家庭学習の時間が削られてしまわないかが大きな不安です。中学受験を見据える中で、学習への影響を心配しています。
現在はキッズケータイを使っていますが、本人は「塾の友達と話を合わせたい」と、LINEやアプリが使える普通のスマホを希望しています。塾のクラスメイト同士のLINEグループでのトラブルや、依存性の高い動画コンテンツに引き込まれないかも気がかりです。
防犯という「安全」を優先してスマホを持たせるべきか、それとも学習環境を守るために制限すべきか。親がどこまで管理するのが適切なのか、その線引きに悩んでいます。
小学生にスマホを持たせる家庭は少数派
通塾が始まり帰宅時間が遅くなると、「連絡手段としてスマホを持たせた方がいいのでは」と悩む保護者は少なくありません。指導の現場でもよく受ける相談です。
ただ、結論から言えば、中学受験を目指す小学生にスマホは必要ありません。学習に専念すべき時期に、あえてリスクを抱える理由はないからです。
小学生でスマホを持っている子は、ほとんどいません。5・6年生になると増える傾向はありますが、それでも少数派です。
インターネット、動画、ゲーム、友達とのLINE……スマホは、いわば“時間吸い取り機”です。大人でも、「スマホを見ていたら気付いたら時間があっという間に経っていた」という経験を持つ人は多いでしょう。親がどれほどルールや使用設定を工夫したとしても、スマホを持てば気を取られるのは間違いありません。
意識をスマホに奪われないようにするのは、例えるならダイエット中の食事制限と同じくらいの大変なことです。
中学受験を経験された先輩保護者であれば、「小学生にスマホを持たせるべきではない」と口をそろえていうのではないでしょうか。
とりわけ難関校を目指すのであれば、なおさらスマホの必要性は低いと言えますね。
スマホでつまずきやすい3つのポイント(ありがちな失敗・よくあるトラブル)
子どもはまだインターネットを使ううえでのルールや危険性の理解が浅く、友達と適切に距離を置くといった対処が難しいのが現実です。スマホを持つことで、どのようなトラブルにつながるのでしょうか。ありがちな例をいくつか紹介します。

①スマホが娯楽の入り口になり、勉強の邪魔をする
親としては「安全のため」「連絡のため」と考えていても、子どもにとってはスマホが“遊び道具”になってしまうことがあります。
<例>
- 気になるゲームや動画といった娯楽コンテンツを見てしまい、時間を食われる
- 勉強の途中で、LINEやアップデートの通知が届くと集中力が切れてしまう
- 夜遅くまでLINEが続き、翌日に疲れが残ってしまう
受験期が近づくほど、限られた時間の使い方が重要になります。動画やゲームの誘惑が強いスマホは、集中力を削ぐ要因になりやすいものです。米テキサス大学の研究(※)でも、通知が来ていなくても、スマホが机の上にあるだけで集中力が下がることが明らかになっています。
※出典:Ward, A. F., Duke, K., Gneezy, A., & Bos, M. W.「Brain Drain: The Mere Presence of One's Own Smartphone Reduces Available Cognitive Capacity」Journal of the Association for Consumer Research, 2(2), 140–154, 2017.
②友達付き合いのトラブルになる
相手の気持ちを想像する力や感情のコントロールがまだ育ちきっていないゆえに、LINEをきっかけに友達関係に影響が出るリスクも考えられます。
<例>
- LINEグループでの仲間外れ
- 未読・既読をめぐるトラブル
- メッセージによる誤解・言い争い
グループ内での会話についていけない、知らないうちに別グループができていたなど、孤立につながることがあります。また「既読無視された」「返事が遅い」と批判の対象となる可能性もあります。
そもそも、文字だけのやり取りは感情が伝わりにくく、ちょっとした言葉が「怒ってる?」「冷たい」など誤解を与えがちです。
③外部からの危険な接触・誘導に巻き込まれる
フィルタリングや課金制限を設定しても、外部からの予期せぬ危険が完全になくなるわけではありません。知らない相手からのメッセージや、SNSを通じた接触など、子どもだけでは判断が難しいケースもあります。
悪意のある大人からの接触や、不適切な情報への誘導などから子どもを守るためにも、「外部からのリスク」について警戒する必要があるでしょう。
防犯・連絡に役立つ!スマホ以外の選択肢
紹介したようなリスクに巻き込まれず、受験勉強に専念するには、スマホを持たせないという選択が近道です。防犯・連絡手段は、スマホを使わずとも、ほぼ他の方法で代替が可能です。具体的に見ていきましょう。
「どこにいるか」は、塾からの入退室連絡から逆算をする
大手の塾であれば、子どもが入退室時にIDリーダーをかざすと自動で登録しているメールアドレスに通過時間の通知が飛ぶ仕組みが準備されています。
帰りの時間が遅くなる場合は、通知から逆算をして途中まで迎えに行くことが可能です。
GPS機能が搭載されたキッズケータイを選ぶ
最近のキッズケータイには、GPSで現在地を確認できる機能を備えたモデルも多く、塾や習い事の行き帰りを見守るには十分な性能があります。
通話・メッセージの相手を限定できるため、他人との接触リスクが低く、インターネット接続がない分、動画・ゲームの誘惑を抑えられます。「スマホほどの自由度はまだ早いけれど、安全のための連絡手段は持たせたい」という家庭にも向いているでしょう。
子どもの持ち物に「AirTag」を付ける
Appleが販売する小型の紛失防止タグ「AirTag」は、持ち物などに付けておくと、iPhoneの「探す」アプリから場所を確認できるアイテムです。子どもの持ち物に付けておくことで、見守り用途として活用されることも増えてきました。
連絡手段にはなりませんが、今どこにいるのかを確認するには有効な手段のひとつになるでしょう。
スマホを持たせるなら押さえておきたい、リテラシー教育とルール
小学生にスマホを持たせるのであれば、親のサポートは必要不可欠です。具体的には、ネットリテラシーに関する教育と機能面での使用制限の2方向からのアプローチがマストになります。

デジタルタトゥーのリスクを教え、行動ルールを決める
デジタルタトゥーとは、一度インターネット上に出た情報はコピー・保存・拡散が可能で、完全に取り消すことができないというリスクを指します。タトゥーのように、簡単には消えない痕跡が残るため、スマホを使用する際に注意したいポイントです。
<例>
- 本名・学校名を伏せても、制服の写真から個人が特定されることがある
- 軽い気持ちで書いた言葉が、後で問題視されることがある
- 友達の写真を許可なく撮影しない
インターネットの仕組みをしっかり説明すると同時に、具体的なNGラインを提示する必要があるでしょう。
ペアレントコントロールで使用範囲を制限する
スマホに標準搭載されているペアレントコントロールは、子どもが使う子機の使用範囲や時間、アクセス先を保護者が管理するための機能です。主に下記のような機能が備わっています。
<例>
- 閲覧サイトの制限
年齢に不相応なサイトの閲覧管理やアプリの使用を制限する
- 使用する時間の管理
スマホの使用時間を制限。就寝時間帯の使用を止め、アプリごとに使用時間を設定する
- 課金・購入の制限
アプリ内課金を禁止する。クレジットカード情報へのアクセスを制限する
- コミュニケーションの管理
通話やメッセージの相手を制限する
ペアレントコントロール以外にも、例えばYouTubeプレミアムであれば、家族アカウントの動画閲覧履歴をリアルタイムで確認することもできます。トラブルを未然に防ぐためにも、保護者がルールを決めて子どものスマホの使用環境を整えることが大切です。
不安要素があるなら「今は持たせない」という選択を
どんなに理解を促して機能制限をいれても、子どもが決めたルールを守ることができるかはわかりません。なぜなら、スマホの使用で起こり得るリスクは子ども自身が気づきにくい側面を持つからです。また細心の注意を払っていても、保護者が完全にコントロールするのは難しくもあります。
子どもにスマホを持たせる時期には決められた答えはありません。少しでも不安が残るのであれば、今はあえて持たせないという判断も立派な選択だと思いますよ。
成功へ導く賢者からの金言!

使い方に不安があれば、スマホは持たせない!
防犯・連絡用には、代替手段を検討して。
※塾選調べ:
対象:中学受験をする予定の子どもをもつ保護者50名にアンケートを実施
期間:2026年1月9日~13日実施
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wingsなどで指導歴25年以上。新卒入社の早稲田アカデミーでは、入社初年度に生徒授業満足度全講師中1位に輝く。駿台ではシンガポール校講師を経て、当時初の20代校長として香港校校長を務め、過去最高の合格実績を出す。河合塾Wingsでは講師、教室長、エリアマネージャーを務める。現在は、セミナー講演や書籍執筆、「にしむら先生 受験指導専門家」としてYouTube配信(チャンネル登録13万人超)などを中心に活動。著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など多数。 http://www.youtube.com/@nishimurasensei
