大学受験に向けた物理の勉強法|成績が伸びない原因やおすすめの塾・予備校など解説


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塾選ジャーナル編集部
大学受験に向けた物理の勉強法で、悩んでいる高校生はいませんか?理系の学生の中には、化学と一緒に物理も選択している子どもが多いことでしょう。物理に対して苦手意識を持つ受験生は少なくありませんが、正しい勉強法を用いることで、十分な成績アップが見込めます。
今回は得点アップを目指す物理の勉強法について、成績が伸びない原因、物理対策におすすめの塾・予備校情報などと一緒に解説します。
【大学受験】物理とは|どんな内容を学ぶ?
そもそも大学受験の物理とは、どのようなことを勉強するのでしょうか?高校物理で学ぶ主な内容は大きく、古典力学と呼ばれている次の5つの分野に分けられます。
- ・力学
- ・電磁気
- ・波動
- ・熱力学
- ・原子
大学や学部によって試験の出題分野・割合が異なるものの、だいたい「力学:電磁気:波動:熱力学:原子=30:30:20:15:5」となっています。
特に力学と電磁気の割合が高いことがわかりますが、重要度から見ると、力学が約6割を占めているといっても過言ではありません。力学とは「物体にどのように力がかかっているのか」や「物体がどのように運動するのか」を科学的に解明する分野で、多くの分野における基礎となるものです。
同じ理科に属する化学や生物と比べると、暗記する知識量が少ないものの、公式を覚えて計算する割合が多く、ある程度の数学の知識が求められます。そのため、数学が得意な子どもに向いている科目といえるでしょう。
物理の勉強をスタートさせる時期は、子どもの学力や志望校のレベル、入試科目数などによって異なります。一般的には高校2年生の秋までは英語と数学の基礎固めに集中し、秋以降から少しずつ物理の学習ウェイトを増やしていくとよいでしょう。
【分野別】大学受験に向けた物理の勉強法
物理の成績を効率的にアップさせ、入試本番で合格点をマークするためには、どのように勉強していけばよいのでしょうか?分野別の勉強法を紹介します。
力学
前述したように、力学は他の分野のベースにもなる重要な分野です。力学の知識があいまいな状態では、物理全体の得点アップにつながらないため、時間をかけてしっかりと基礎固めをしてください。
たくさんある単元の中で最も重要なのが、「つり合い」「運動方程式」「エネルギー保存則」の3つです。3つの単元の知識がベースとなって、摩擦・仕事・衝突・円運動・単振動などにつながっていくので、特に意識を払って勉強してください。
力学は暗記する知識がほとんどなく、代わりに現象理解が欠かせません。現象理解に必要なのが、図示です。問題を解く際は必ず図を描いて、働く力を図示しましょう。正しい図示ができれば、つり合いの式か運動方程式を立式して、解答を導き出せます。
最初は正しい図示を描けないかもしれません。教科書や参考書の例題をくり返し、少しずつ基礎固めをしていくのがおすすめです。
電磁気
電磁気の分野で特につまずきやすいのが、「コンデンサー」「電磁誘導」「回路」「交流」の4単元です。それぞれの単元特有の考え方や解き方が求められるため、苦手とする受験生も多いことでしょう。
しかし、実際には入試問題の出題パターンが限られています。そのため、王道とされる問題を多く解いて、解法パターンを身につけることで高得点取得が期待できるはずです。
波動
波動は力学と異なり、他の分野との関連性がありません。波動特有の現象・公式が多いものの、力学と同じように、図を描いて勉強を進めていくことが大切です。難関大学の入試でも基本的な公式が使えれば解ける問題が多いため、基礎レベルの定着を意識しましょう。
重要単元は「ドップラー効果」と「干渉」の2つです。ドップラー効果は公式の導出過程の理解に、干渉は光路差から明暗の条件の導出に意識を払ってください。
熱力学
熱力学の攻略で欠かせないのが、状態方程式と熱力学のエネルギー保存則の理解です。状態変化の単元にはいくつかの公式がありますが、状態方程式と熱力学のエネルギー保存則さえ理解していれば、必ずしも覚える必要がありません。
また熱力学は図示できないものも多く、公式をもとに数学的に解く力が求められます。
原子
原子は深堀すると難しい分野ですが、入試レベルに限ると、基本事項の理解だけで高得点が狙えます。
「光電効果」「X線の粒子性の確認としてのコンプトン効果」「X線の波動性の確認としてのブラッグの反射条件」「ボーアの水素原子モデルから量子条件の導出」「エネルギー準位」「核融合核分裂」の単元に絞り、それぞれの基本的な考え方や知識をインプットしましょう。
物理の成績をしっかりアップ!勉強のコツ
物理の成績をアップさせるためには、いくつかの勉強のコツがあります。主なものを3つ見ていきましょう。
用語・単位・公式の意味を理解する
まずは用語・単位・公式の意味を理解することです。物理ではたくさんの用語や単位、公式が登場しますが、単なる暗記ではなく、それらが持つ意味の理解に努めましょう。
用語や単位の意味を理解することで、イメージしにくい物理量を正しく捉え、計算式を立てやすくなります。また、どのような条件で公式が使えるのかを知ると、よりスムーズに解答を導き出せるはずです。
図を用いてイメージをする
物理ではそれぞれの現象を正確にイメージできるかどうかが、高得点取得のカギとなります。事象をイメージするためには、先で述べたように、図で示してみるのがおすすめです。
分野や単元によっては、図示できないものもあるでしょう。しかし、基本的に問題を解く際は、問題文を読んでから図示するクセをつけることが大切です。図示することで現象の理解が進み、より正確な答えを導けるようになります。
1冊の問題集をくり返し解く
物理は公式を覚えて計算する割合が多いことから、演習量が点数アップに直結します。教科書や参考書で基本的な内容を理解したら、問題集で演習に取り組みましょう。その際は、1冊の問題集にくり返し取り組むことが大切です。
間違えたところやわからなかったところは、解説をよく読んでください。必要に応じて教科書や参考書に戻り、日にちを置いてからもう一度、同じ問題にチャレンジします。
1冊の問題集にくり返し取り組み、すべての問題が完璧に理解できるようになってから、より難しい問題集や過去問に移っていきましょう。
物理ができない!点数が伸びない原因
「一所懸命勉強しているつもりなのに、物理の点数が伸びない」といった子どもの場合、間違った勉強法を用いているのかもしれません。点数が伸びない主な原因は、次の3つです。
公式や単位を暗記するだけで、意味を理解していない
まずは公式や単位を暗記するだけで、それらの本質的な意味を理解していないことです。問題を解くために公式や単位の暗記は確かに必要ですが、暗記だけではどのように公式を使えばよいのか、問題が示している意味、数字の意味がわかりません。
単なる暗記だけでなく、意味の理解まで掘り下げて勉強するようにしましょう。
数学の知識が足りていない
数学の知識が足りていないことも、物理の点数が伸びない原因のひとつです。特に微分積分、三角比(三角関数)、ベクトルの知識が物理の問題を解く際に求められます。
これらの知識が身についていない場合は、基礎理解ができてから物理の勉強に取りかかりましょう。
図を描かない
最後は問題を解く際に、図を描かないことです。図示することの重要性は先で述べましたが、受験生の中には面倒くさがって、図を描かない子どもがいます。
しかし、基本的に物理は視覚的にイメージすることで、スムーズに問題が解ける科目です。図を描かないと正しい現象をイメージできず、いつまで経っても点数が伸びません。
大学受験に向けたおすすめの塾・予備校5選
最後に大学受験に向けて、物理の勉強ができるおすすめの塾・予備校を全部で5カ所紹介します。
おすすめ塾①:河合塾
1つ目のおすすめ塾は河合塾です。
塾の特徴
河合塾は全国的に知られている、大学受験対策ができる学習塾です。現役高校生を対象とする「高校グリーンコース」の授業は集団型で、複数の生徒が一緒に授業を受けます。プロ講師による授業を通して、基本事項の徹底理解を目指せるのが特徴です。
「ONE WEX東大物理」や「トップレベル物理」「物理」などが開催されており、ニーズに合わせて受講講座を選べます。
塾の詳細はこちらの記事でも解説しています。
料金
河合塾のホームページによると、「ONE WEX東大物理」の授業料は8万5,200 円です。
おすすめ塾②:東進ハイスクール
映像授業で、自分のペースで勉強を進めていけるのが東進ハイスクールです。
塾の特徴
東進ハイスクールではたくさんの映像授業が準備されており、一人ひとりの学力や目標に合わせて個別に視聴できます。自分のペースで勉強できるので、部活動と勉強を両立させたい子どもにおすすめです。高校入門���ら最難関レベルまで、自分の学力や志望校のレベルに合わせて講座を選べます。
「高等学校対応 物理」や「大学入学共通テスト対策 物理基礎」「難関物理」「ハイレベル物理演習」など、開講講座は豊富です。
詳細はこちらの記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。
料金
東進ハイスクールのホームページによると、通期講座(単科)受講料は、1講座あたり7万7,000円です。
おすすめ塾③:駿台予備校
難関大学へ多数の合格者を輩出しているのが、駿台予備校です。
塾の特徴
授業は複数の生徒が一緒に受ける、集団指導スタイルです。また、オンライン型もあります。現役高校生を対象とする高校生クラスはさらに、「選抜」「難関」「標準」「基礎」とレベル別に授業が分かれているのが特徴です。
講師は難関大学へ多くの合格者を輩出している、実績と経験を豊富に持つプロばかり。わかりやすい授業を通して、志望校合格を目指せます。
「選抜・物理」や「難関・物理」「東大・難関大物理演習プラス」などの講座が開催されています。
駿台予備校の詳細はこちらの記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。
料金
駿台予備校のホームページによると、「選抜・物理」を受講する際の年間授業料は22万8,000円となっています。
おすすめ塾④:武田塾
4つめのおすすめ塾は、武田塾です。
塾の特徴
武田塾の大きな特徴は授業をおこなわず、代わりに学習管理をおこなうことです。まずはカウンセリングを通して、一人ひとりに必要な特訓カリキュラムを作成。「参考書の10ページ~15ページまで」など、毎日やるべき学習内容を細かく指定し、子どもは指示に従って自宅学習をおこないます。
次の通塾日にテストがおこなわれ、学習内容が定着できているかどうかをチェック。合格点に達しなかった場合は、翌週も同じ学習内容に取り組みます。
武田塾についてはこちらの記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。
料金
武田塾のホームページによると、月の授業料は最も安いコースで2万円ほどとなっています。
おすすめ塾⑤:四谷学院
サポート体制が整った中で受験勉強を進めていけるのが、四谷学院です。
塾の特徴
授業は集団指導型です。「科目別能力別授業」を導入しているため、科目別の学力に合わせて勉強できます。
また、受験コンサルタントによる学習相談、進路指導ガイダンス、日曜日もオープンしている自習室、授業を遅刻・欠席したときの映像視聴など、サポート体制が充実しているのも特徴です。
「入試物理(東大特選)」「入試物理(京大特選)」「入試物理(標準)」などがあります。
四谷学院については、こちらの記事でも詳細を解説しています。ぜひ目を通してみてください。
料金
四谷学院のホームページによると、高校3年生が週に1コマ通った場合の授業料は、年間7万2,160円(2022年7月7日開始の場合)となっています。
まとめ
物理は化学や生物と比べて暗記量が少ない分、計算する割合が多く、問題演習をたくさんこなすことが欠かせません。全部で5つある分野のうち、特に力学の理解には時間をかけましょう。問題を解く際は必ず図示するクセをつけて、現象をイメージすることが大切です。
一人では物理の勉強ができない子ども、難関大学受験に向けて、より高度な問題演習にチャレンジしたい子どもは、塾や予備校に通って勉強する方法があります。塾・予備校によってカリキュラムや特徴が異なるため、いろいろと比較・検討してみてください。
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