約1ヶ月にもおよぶ長期休暇が夏休み。学校の授業から解放され、だらけてしまう子どもも少なくありません。一方で、有意義に過ごすことで2学期以降の成績を大幅に伸ばすことが可能です。 さて、今回解説していくのは、中学生、は「夏休みに、どのくらいの勉強時間を確保すれば良いのか」について。勉強するべき時間と共に、効果的な勉強方法も解説していきます。中学生の夏休みを有意義に過ごせるよう、参考にしてみてください。
目次
子どもによっては夏休み中も学校の部活動や習いごとなどが続き、毎日を慌ただしく過ごすこともあるでしょう。
しかし部活動や習いごとがあったとしても、学校の授業がある日々と比べて自由時間は多くなるはずです。夏休みにしっかりと勉強時間を確保することで1学期の総復習や、苦手科目の克服ができるようになります。まずは夏休みにどのくらい勉強すべきなのか、1日の勉強時間と勉強量について見ていきましょう。
結論から述べると、理想的な1日の勉強時間は子どもによって異なります。学校の成績や理解度、学年、高校受験の有無、高校受験する際の志望校レベルなどによってさまざまです。高校受験をすると仮定した場合、学年別の一般的な勉強時間は次のようになっています。
中1~中2の場合、多くの学校では宿題が課されます。宿題の量は学校によってさまざまですが、極端に少なかったり、反対に極端に多かったりするようなことはありません。
また子ども一人ひとりの学力や要領にも左右される部分があるものの、平均すると1日1時間ほどの学習で対応できるはずです。宿題だけでは勉強時間としては不十分なため、さらに時間を確保して復習に充てると良いでしょう。
中学1年生の場合は学校で習った学習項目がまだ多くないことから、毎日1時間程度で十分です。しかし中学2年生になると復習する項目が多くなるため、1日1時間では足りません。これまでに習った箇所を良く理解して、基礎学力が定着している場合は1日2時間、基礎学力が定着していない場合で1日3時間ほどは必要です。
つまり中学1年生は宿題1時間+復習1時間で合計2時間、中学2年生の場合は宿題1時間+復習2時間~3時間で合計3時間~4時間が目安となります。ただし周囲と大きく差を付けたい子どもや、最難関高校の受験を予定している子どもの場合は、さらに学習時間が必要になってきます。
高校受験をする中3にとって、夏休みは勝負の時期です。学校の部活動も引退しているケースが多いため、思う存分勉強に時間を費やせるでしょう。第一志望校のレベルが自分の偏差値と同程度の場合、夏休み期間中は毎日6時間ほど勉強します。
もし志望校のレベルが現在の偏差値よりも上位にある場合、6時間~8時間以上の学習時間が必要です。「そんなにたくさん!」と思うかもしれませんが、普段学校で授業を受けている時間を考えれば、特別驚くほど多い時間ではありません。
1教科に充てる勉強時間は1時間とするのが理想です。
1時間よりも少ないと1回あたりの学習量が足りず、反対に1時間を超えると集中力がなくなって学習効率が落ちる可能性があります。1時間経ったらキリの良いところで勉強を終わらせて、次の1時間は他の教科に移ると良いでしょう。
十分な勉強時間を確保できても、内容を充実したものにするためには勉強方法にも注意を払いたいものです。学年別に分けて、それぞれおすすめの勉強方法を紹介します。
まずは中学1年生~2年生の場合です。
夏期講習のカリキュラムにもよりますが、基本的には講習中で勉強した教材を使って復習を中心にすると良いでしょう。中学1年生~2年生の場合、最難関高校を受験しない限りは学校の授業理解に重点を置きます。
多くの夏期講習ではこれまでに習った学習項目の復習に重きが置かれるため、講習で勉強した内容の復習に時間をかけるのが効率的です。
夏期講習を受けない場合、子ども自身で復習を進めていきます。中学1年生は1学期に習った学習項目を、中学2年生では中学1年生から2年生の1学期までに習った学習項目を復習してください。
学校で普段から使用している参考書や問題集を使うのがおすすめです。基礎力定着に力を注ぐ時期であることから、余分な参考書や問題集を購入する必要はありません。学校の教材なら使い慣れており、効率的に復習を進めていけます。
一通り問題を解いてみて、間違えた箇所に印を付けておきましょう。後で復習する際に間違えてた箇所のみ問題を解きなおせば良いので、効率があがります。
続いては中学3年生の勉強方法についてです。
受験生の中で夏期講習を受ける場合は講習を受ける時間数にもよりますが、講習のみでは足りません。自宅に帰ってからも勉強を続けて、トータルで1日6時間~8時間以上の学習量を確保するようにしましょう。
夏期講習に参加しない場合も、1日で同じくらいの学習時間が必要です。主に次のような勉強方法を実践するようにしてください。
まず取りかかるべきものは苦手科目の克服です。受験に必要な応用力を身に付けるためには、何よりも基礎力を付けなければいけません。これまで放置してしまった苦手科目に取り組み、基礎力定着を目指しましょう。
過去に受けた定期テストや学校で配布されたプリントを見直したり、基礎的な問題集を一通り解いたりするのも効果的です。理解不十分な箇所は、何度もくり返して取り組んでください。
余裕があれば高校受験対策用の問題集を受験科目ごとに購入して、できる範囲でチャレンジするのもおすすめです。夏休みの間にどのような問題が出題されるのかを理解しておくことで、本格的な受験勉強に向けた心構えができるようになります。
優先して取り組んでほしいのが英語と数学の2つです。英語と数学は積み上げ式の科目のため、苦手な項目や理解できていない項目が生まれると、その後の学習が積み上がっていきません。
英語や数学を苦手とする子どもの場合、しっかりと点数を取得できるまでに時間がかかります。時間のある夏休みに、特に優先して学習を進めておきましょう。
自宅で勉強できない、一人だとどうしても怠けてしまうなど、夏休み中の勉強が捗らないケースもあるでしょう。以下では中学生や高校受験を検討している方におすすめの塾(夏期講習)を紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
・中学生が通う夏期講習を徹底比較!おすすめ塾・塾選びのポイントも紹介
勉強時間の確保と勉強方法をある程度決めた後は、夏休み期間中のスケジュールを立てましょう。毎日ダラダラと勉強するのではなく、毎日計画を立てて机に向かうことで、目標達成への見通しが付くようになります。スケジュールは夏休み全体と、1日単位のもの2種類を作るのがおすすめです。
夏休み期間中となる7月と8月のカレンダーを使ってスケジュールを作っていきます。夏期講習や学校の登校日、家族旅行など、すでに決まっている予定をカレンダーに書き込んでいきましょう。
さらに「数学の基礎問題集を2周する」「高校入試用の問題集を一通り終わらせる」「英単語を500個マスターする」など、夏休み期間中にやるべきことをリストアップします。それぞれリストアップしたものを、どのくらいの期間で終わらせられるかを予想、日割り計算をしたページ数や進める単元をカレンダーに書き込んでください。
夏休み全体のスケジュールを作成した後は、1日単位のスケジュールを作ります。朝起きてから夜寝るまでの間、何時から何時まで勉強するのかを計画立てていきましょう。あまり細かくスケジュールを立ててしまうと実際にこなすのが難しくなるため、大まかで構いません。学習習慣が身に付いていない子どもの場合、スケジュールを立てることで毎日の勉強時間が確保され、学習習慣を身に付けられるでしょう。
また前述したように夏休みは特に基礎力定着や復習、苦手科目に重点が置かれます。1日の学習計画の中で、無理のない勉強スケジュールをバランス良く配置するようにしてください。
勉強時間を増やしたい場合、以下のような方法を実践してみましょう。
まずは生活リズムを整えることです。一般的に人間の多くは朝の時間帯に集中できます。
夜にぐっすりと睡眠をとると脳が冴え、さらに子どもが好むようなテレビ番組もないことから勉強にピッタリな時間帯です。早寝早起きを心がけることで朝の時間帯に勉強時間を確保し、集中力が上がるので勉強時間も増やせます。
リフレッシュの時間を決めておくのも効果的です。「1時間勉強したら10分休憩する」「休憩中は大好きなマンガを読む」といったように、リフレッシュの時間だけでなく休憩中にリフレッシュできるものも設定しておきましょう。勉強に集中できる時間が増え、勉強時間も確保しやすくなるでしょう。
1日のトータル学習時間に合わせて、休憩時間は細かく多めに設定しても構いません。勉強は想像している以上に疲れるため、リフレッシュの時間を多く確保することで疲れた脳を回復できます。
最後は無駄な時間を削ることです。1日に費やせる時間は限られているため、無駄な時間を削ることで勉強時間を増やせます。ダラダラしている時間や娯楽の時間など、1日の中で削れる部分がないかどうかを振り返ってみましょう。
勉強が苦手な子どもや学校の部活動などが忙しい子どもの場合、毎日長時間の勉強は負担になります。そんな子どもにおすすめなのが、短時間集中型の勉強法です。勉強時間を短くしつつ、効果を最大限に引き出せるような勉強方法をチェックしていきましょう。
まずは的を絞って取り組むことです。教科書や参考書を最初から最後まですべて読んでいたら、膨大な時間がかかってしまいます。テストに出るところはある程度決まっているため、ポイントや要点を絞って勉強することで短時間でも最大限の効果を上げられるようになるでしょう。
2つ目は自分の学力に合ったレベルの問題を解くことです。あまりにも簡単な問題では学力アップにはつながらず、反対に難しすぎる問題では子どものやる気が低下してしまいます。
参考書や問題集にざっと目を通して、すでに分かる問題と分からない問題が半分ずつのものがちょうど良いですね。
短時間型の勉強でも休憩時間を決めておきましょう。勉強時間が短いからといって休憩なしで勉強しても、思ったような成果は上がりません。「30分勉強したら5分休憩する」など、適度に休憩をはさむようにしてください。
「成績をグンと伸ばしたい」「難関高校受験対策をしたい」と思っている子どもに中には、睡眠時間を削ってでも勉強時間を確保しようとするケースもあるかもしれません。しかし中学生にとって睡眠時間を削るのは厳禁です。
続いては睡眠の重要性と睡眠時間を削ることで生じるリスク、睡眠時間を確保するための工夫について見ていきましょう。
一般的な中学生に必要な睡眠時間は、1日に8時間~10時間といわれています。勉強によって疲れた脳を回復されてくれる効果だけでなく、学んだ知識を定着させる作用もあることから、中学生にとって睡眠は欠かせません。
睡眠時間を削ると集中力や注意力、判断力、実行機能、即時記憶などのパフォーマンスが低下するため、学習効果にも悪い影響を与えてしまいます。また、極端に睡眠時間が短い日が続くと、免疫力の低下、病気になるリスクも上昇するでしょう。
限られた時間の中から睡眠時間を確保するためには、勉強効率をアップさせるのが効果的です。
例えば複数の参考書や問題集に一度に取り組んでしまうと、分かる問題やすでに解ける問題にも遭遇し、時間のロスが生まれます。同じ参考書や問題集で分からない箇所だけチェックを入れておけば、復習にかける時間を短縮して睡眠時間も確保できるようになるはずです。
中学生が夏休み中に勉強するべき時間は子どもの状況によって異なります。上記の内容はあくまでも一つの目安に過ぎないため、子どもの学力や学校の成績、学年、志望校のレベル、各家庭の考え方などに合わせて、勉強時間を設定していくと良いでしょう。
夏休みに遊び過ぎて、勉強ができなかった!などということがないよう、しっかりと計画を立て、有意義な夏休みにしてくださいね。
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