中学受験は小学6年生の夏からでも間に合う?合格のために何からやるべき?
編集部
塾選(ジュクセン)編集部
本記事では小学6年生の夏休みからでも中学受験合格を目指せるのかを解説します。小学6年生が夏休みからやるべきことや中学受験までのスケジュール、勉強時間の目安も紹介。効果的な学習法や保護者が気をつけるべきポイントもまとめています。
「小学6年生の子どもが、夏休みに入ってから突然中学受験をしたいと言いはじめたけれど、間に合うのだろうか」
一般的に、小学6年生の夏休みから中学受験の準備を始めるご家庭は多くはありません。ただし、子どもの学力や志望する学校次第では、準備が遅れたとしても合格できる可能性はあります。
本記事では、小学6年生の夏からでも中学受験は間に合うかについて詳しく解説します。
小学6年生の夏休みからやるべきことや具体的な勉強スケジュール、さらには保護者が気をつけるべきことも紹介するので、参考にしてください。
小学6年生の夏から中学受験の勉強を始めるのは遅い?
一般的に、小学6年生の夏から中学受験対策を始めるのは非常に遅いといえます。
中学受験を受ける多くの子どもたちが小学4年生、もしくはそれよりも早いタイミングから準備を始めていて、数年にわたり勉強をしています。
そのため、小学6年生から準備をスタートさせる場合は、数年分の遅れを取り戻す勢いで学習に打ち込まなければなりません。
また、成績を伸ばすのはもちろん、受験に備えて学習習慣を身につけたり、メンタル面を鍛えたりすることも必要です。
このように、小学6年生の夏休みから中学受験勉強を始めるのは、大きな遅れをとっているといえるでしょう。
ただし、受験を希望する子どもの状況によって、難易度は大きく異なります。受験の難易度を左右する要素は、次のとおりです。
- 志望校をどの学校に設定するか
- 志望校の偏差値と現状の学力とのギャップがどの程度あるか
- 学習習慣が身についているか
- 子どもの受験に対する意気込みや本気度など
次の章から、中学受験に合格するためにやるべきことや必要な学習時間の目安、効果的な学習方法を詳しく解説します。
小学6年生の夏から本腰を入れて受験準備を始めようとしている方は、ぜひチェックしてください。
中学受験合格のために小学6年生が夏からやるべきこと
中学受験のシーズン本番である1・2月までの半年間、中学受験に成功するために、小学6年生が夏からやるべきことは、次のとおりです。
- 中学受験まで勉強一本で行く意思を固める
- 難易度別に志望校をいくつか決める
- 志望校の過去問を解いたり外部模試を受けたりして学力を把握する
- 夏休みで苦手克服・基礎を固める
- 通塾していない場合は個別指導塾を検討する
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
中学受験まで勉強一本で行く意思を固める
小学6年生から中学受験対策をするのは非常に難易度が高い挑戦です。そのため、受験シーズンまでの半年間は、勉強だけに集中するという決意を固めましょう。
一般的な中学受験の勉強は、小学4年生ごろから本格的にスタートします。
ほかの受験生たちが小学4年生から勉強した内容を短期間で網羅しなければなりません。一日のほとんどの時間を受験勉強に費やしてもいいと思えないと、受験を成功させるのは難しいでしょう。
学習塾以外の習い事をしている場合は、一旦ストップさせて、受験シーズンが終了したタイミングで再開する覚悟で勉強に集中してください。
これは子どもだけでなく、保護者も強い覚悟が必要です。塾選びや受験に必要な費用の捻出、お弁当づくりや送迎など、さまざまな面で子どもをサポートしなければなりません。
全面的に子どもに寄り添うという意気込みで保護者と子どもがチームとなり、受験シーズンを駆け抜けていきましょう。
難易度別に志望校をいくつか決める
中学受験というと、難関校や有名校が頭に浮かぶでしょう。
ただし、世間一般でいわれる難関校・有名校に合格できるのは、中学受験をする子どもの上位数%のみです。小学6年生の夏から準備をして合格できる確率は非常に低いため、難易度が高いといえるでしょう。
小学6年生の夏から中学受験対策を始める場合は、難易度別に志望校をいくつかピックアップすることが大切です。
まずは、第一志望の本命の学校を決めましょう。
一般的に、志望校を決めるのは小学6年生の7月ごろまでとされています。志望校を決定するタイミングが早ければ早いほど、志望校合格に向けた対策ができるうえ、高いモチベーションを維持して学習を進められるはずです。
次に、合格できそうなすべり止めの学校を決めたら、それ以外に2〜3校ほど選んでおきましょう。
一般的に、中学受験では3〜5つほどの学校を受験する方が多いようです。あまり多く志望校を選ぶと、試験日のスケジュール調整が難しくなるため、多くても5つほどにしておきましょう。
志望校選びのポイントは、記事の最後で詳しく解説します。
志望校の過去問を解いたり外部模試を受けたりして学力を把握する
中学受験を成功させるためには、毎日の学習に加えて、以下2つの対策が必要です。
- 志望校の過去問を解く
- 外部模試を受験する
志望校が決まったら、志望校の過去問を数年分解いて出題傾向を把握し、必要な対策を行いましょう。
合格に近づくためには、外部模試を定期的に受験する必要があります。外部模試には、大手学習塾や団体が実施する「四大模試」があり、次の4つの模試が該当します。
- サピックス「サピックスオープン」
- 四谷大塚「合不合判定テスト」
- 首都圏模試センター「統一合判」
- 日能研「全国公開模試」
それぞれの模試は難易度が異なるため、子どものレベルに合わせた模試を受験していきましょう。
中学受験に向けて模試を受けるメリットは、次のとおりです。
- 中学受験をする同じ学年のなかでの立ち位置がわかる
- 子どもの学力レベルを把握できる
- 試験の受け方を練習できる
- 子どものやる気につながる
ただし、夏休み以降から中学受験対策をする場合、外部模試の数も少なくなります。
模試は、夏休みに入る前、もしくは夏休み明けに実施されるケースが多いため、受験できそうな模試があれば早めに申し込んでおきましょう。
夏休みで苦手克服・基礎を固める
夏休みは学校がない分、受験勉強にあてられる時間が豊富な時期です。秋以降に成績アップを目指すためには、夏休みを活用して苦手分野の克服や基礎固めに集中する必要があります。
苦手分野の分析や精査は、子どもだけでは正しく把握できないケースがほとんどです。
子ども任せにするのではなく、保護者も一緒に子どもの弱点を見つけていきましょう。過去の学習を振り返り、苦手科目や不得意な分野が何かを分析し、どの程度まで基礎が定着しているかを徹底的に洗い出してください。
苦手分野が可視化されたら、復習のための教材や問題集を用意して対策をしていきましょう。反復演習をして基礎を固めることで、基礎学力が引き上がり、秋以降の偏差値や学力アップにつながります。
通塾していない場合は個別指導塾を検討する
中学受験というと、大手の集団塾をイメージする方も少なくないでしょう。有名な大手集団塾は、次のようなものが挙げられます。
- SAPIX(サピックス)
- 四谷大塚
- 浜学園
- 早稲田アカデミー
- 日能研
- 栄光ゼミナール
ただし、上記のような大手集団塾の場合は、夏休みの時期で受験に必要な学習範囲の授業が終わり、過去問の演習に移行しているケースがほとんどです。
学習塾に通っていない子どもの場合は、入塾できない、もしくは入塾できたとしてもあまり高い効果が期待できないかもしれません。
そのため、小学6年生の夏から中学受験を検討する子どもの場合は、集団塾ではなく、個別指導塾で受験対策をしましょう。
生徒一人ひとりの学習レベルや志望校に合わせてカリキュラムを組んでくれるため、短期間で効果を感じやすいでしょう。
ただし、中学受験に関する情報量が少ないケースもあります。もし志望校がある程度決まっている場合は、合格実績があるのか、情報を豊富にそろっているのかを事前に確認しましょう。
・【2024年】中学受験におすすめの個別指導塾17選|塾の選び方、集団塾との違いも解説
小学6年生の夏から中学受験直前期までのスケジュールは?勉強時間の目安は?
小学6年生の夏から中学受験対策を検討している方のなかには、一日どの程度勉強させるべきかわからない方もいるでしょう。
ここでは、小学6年生の夏以降の学習スケジュールや計画を立てる際のポイントと夏から受験直線までの勉強時間の目安を紹介します。
小学6年生の夏以降のスケジュールや計画を立てる際のポイント
小学6年生の夏から中学受験に向けて準備を始める場合は、単純な勉強時間の合計ではなく、効率よく学習を進める必要があります。
夏以降のスケジュールや計画を立てる際のポイントは、次のとおりです。
- 翌日のスケジュールは前日の就寝前に決めて書き出す
- 休憩時間もスケジューリングする
- スケジュールを立てる際は少し時間に余裕を持たせる
- リフレッシュする予定も立てる
- 学習スケジュールは細かく見直して修正する
- すきま時間を利用する
- 間違った問題はすぐに復習する
限られた時間を有効活用するためには、事前のスケジューリングがとても大切です。前日までに、翌日の学習スケジュールを決めておきましょう。
スケジュールを考える際は、休憩時間や食事、お風呂の時間なども組み込んでおくことが大切です。
予定どおりに学習が進まないケースも考えられるため、余裕を持ったスケジュールにすることも意識してください。リフレッシュできる時間を確保すると、より学習に集中できるはずです。
週末には、1週間のスケジュールを振り返り、適宜修正しましょう。すきま時間の活用や間違った問題をすぐに復習するなどの工夫も必要です。
小学6年生の夏から受験直前期までの勉強時間の目安
小学6年生の学習時間の目安は、次のとおりです。
平日 | 1日あたりの勉強時間: 3〜5時間 |
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休日 | 1日あたりの勉強時間: 8〜10時間 |
夏休みの場合は、総勉強時間は約300〜400時間といわれています。
もちろん、一日中勉強し続けるのではなく、学習の合間に休憩時間を取り入れることも大切です。机に向かっている時間の長さと偏差値は比例しないまま、ダラダラと学習していても意味がありません。
勉強する時間としない時間でメリハリをつけることを意識しましょう。
・【小学6年生】中学受験に向けた年間スケジュール|勉強スケジュールを立てる際のポイントや親がすべきことなど解説
中学受験に向けた小学6年生の効果的な勉強方法
限られた時間で効率よく中学受験対策をするための効果的な勉強方法は、次のとおりです。
- 現状の学力を把握する
- 総復習をする
- 優先順位を決め学習する
- 志望校の過去問を解く
小学6年生の夏からの準備で中学受験に合格するためには、現状の学力をきちんと把握しておく必要があります。
できること・できないことを正確に理解することで、子どもの学力と志望校とのギャップを知れるはずです。最も効率的なのは、外部模試を受験することで、苦手な単元を把握して早期対策ができるでしょう。
志望校別の対策に進むためにも、小学4〜5年生の学習内容の総復習は、なるべく早いタイミングで終わらせておくことも大切です。
ただし、受験までの時間が限られているため、全ての範囲を網羅するのは非常に難しいでしょう。そのため、優先順位を決めたうえで何を勉強するかを選択していきましょう。
志望校が決まっている場合、志望校の出題傾向に合わせて重点的に学習すべきポイントがわかるはずです。
志望校の過去問は、遅くても9月以降には解けるように準備を進めてください。問題を解いたら解いたままにするのではなく、間違った部分を何度も復習して、苦手分野を克服しましょう。
・中学受験に向けた小学6年生の勉強法|学習時間は?小6から対策しても間に合う?など徹底解説
小学6年生の夏から中学受験勉強するにあたって夏期講習・塾は必要?
結論からお伝えすると、小学6年生の夏から中学受験対策をする子どもは、夏期講習や塾に通うことをおすすめします。
特に夏休みは、中学受験を控える子どもにとって重要なシーズンです。夏休みにどのような学習をしたかによって、その後の学力や偏差値に大きな差が生じます。
中学受験を控えた小学6年生に夏期講習の受講をおすすめする理由は、次のとおりです。
- 長期間にわたって勉強に集中しやすい
- 精神的に成長できるチャンスである
- これまでの学習範囲を効率的に復習できる
受験を控える子どもばかりが集まるため、長期休みであっても浮かれずに学習に集中しやすいでしょう。
夏期講習は勉強が進むスピードも早いだけでなく、相当な学習量をこなす必要があります。子どもにとってはハードな環境ではあるものの、この経験を乗り越えることで精神的に大きく成長できるでしょう。
大手塾が開催する夏期講習のなかには、これまでの学習内容を総復習するカリキュラムを組んでいるケースも多くあります。苦手分野を見つけたり、克服したりするいい機会になるはずです。
ただし、これまで学習塾に通っていない子どもの場合、受講できる夏期講習が限られてしまう恐れがあります。子どもの学習レベルにあった学習塾を見つけたうえで、夏期講習に参加できるかどうかを確認しましょう。
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小学6年生の夏からの中学受験で保護者が気をつけるポイントや関わり方
中学受験に向けて、保護者が気をつけるべきポイントは、主に次の3つです。
- 受験にかかる費用の捻出
- 志望校選び
- サポート体制の整備
一般的な大手集団塾の場合は、月の授業料が3〜6万円かかるのが相場です。
ただし、授業料の高い塾の場合は月10万円を超えるケースもあります。夏期講習や冬期講習を含めると、年間約110〜200万円といえるでしょう。
個別指導塾に週2回通った場合の授業相場は、3〜5万円です。
個別指導塾でも夏期講習や冬期講習を設けているケースもあるため、一般的な大手集団塾と同等、もしくはそれ以上のコストがかかる恐れもあります。どの程度費用がかかるかを事前に調査したうえで受講を検討しましょう。
中学受験をするうえで重要なのが、子どものレベルに合わせた志望校選びです。
志望校を決める際は、次のポイントに注目してください。
- 学校や生徒の雰囲気が子どもに合っているか
- 通学しやすい立地であるか
- 子どもの実力に合っている
- 興味のある部活動や課外活動、留学の有無など
- 付属大学の有無、進学実績など
実際に通ってみて「こんなはずではなかった」と感じることがないように、事前に情報収集をして、子どもに最適な学校を選択しましょう。
最後に、受験勉強を頑張る子どものサポート体制を整備することも、保護者の重要な役割です。長い期間勉強に集中するためには、勉強面だけでなく、生活面のフォロー・サポートが欠かせません。
中学受験を控える小学6年生と保護者との関わり方で押さえるべきポイントは、次のとおりです。
- 会話を大切にする
- 生活習慣・スケジュールを管理して学習効率を高める
- 強制せずに毎日の声かけで勉強を習慣化させる
- 受験に備えて志望校の情報を調べる
- 勉強に関しては、塾に一任する
適度な距離を保ちながら、子どもにとって一番の味方となり、一緒に受験シーズンを乗り越えていきましょう。
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まとめ
小学6年生の夏から中学受験の準備をスタートさせるのは、相当な覚悟とやる気がなければ成功しません。
数年間分の遅れを取り戻すためにも、独学で学習を進めるのではなく、個人指導塾などの利用を検討してください。
6年生の夏からの受験準備は、保護者のサポートも必要不可欠です。子どもと一つのチームとなり、志望校の合格をつかんでいきましょう。
執筆者プロフィール
塾選(ジュクセン)編集部です。実際に学習塾の運営経験がある者や大手メディアの編集経験がある者などで構成されています。塾選びにお悩みの保護者や学生の方に向けて有益な情報をお届けします。