【2027年度】総合型選抜(旧AO入試)とは?最新データでわかる仕組みと推薦入試の違い
「総合型選抜って聞いたことはあるけど、どんな入試なの?」「一般選抜と何が違うの?」「自分でも受かる可能性はある?」そんな疑問を抱えている高校生も多いのではないでしょうか。
総合型選抜(旧AO入試)とは、知識・技能、思考力・判断力・表現力から、学びへの意欲や人間性までを総合的に判断して合否を決める大学入試方式の一つです。学力試験の点数だけでなく、志望理由書・面接・小論文・高校での活動・評定など、多角的な視点から評価されます。
2027年度入試からは、高校3年間で「総合的な探究の時間」を経験した生徒が受験生の主流になります。単に「活動した事実」を並べるだけでなく、「活動から何を見出し、大学でどう学びを深めたいか」を伝えられるかが、これまで以上に問われる時代になっています。
本記事では、総合型選抜専門塾「洋々」代表・清水信朗先生監修のもと、制度の基本から評価されるポイント、向いている人の特徴、準備の進め方まで、初めて総合型選抜を知る高校生にもわかりやすく解説します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
清水信朗
「総合型選抜の個別指導塾 洋々」代表・GM。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。共著書に『採点者の心をつかむ 合格する総合型選抜・学校推薦型選抜』(2023年、洋々 著/かんき出版)。
目次
総合型選抜とは?「学ぶ意欲」と「大学との相性」を多面的に評価する入試

総合型選抜とは、大学が定めたアドミッション・ポリシー(求める学生像)に基づき、学力だけではなく、学ぶ意欲や適性、活動実績などを多面的に評価する入試方式です。一般選抜のような筆記試験よりも、志望理由書・面接・小論文などを通じて、学びへの意欲や思考力、人間性などを重視して選抜されます。
書類審査・面接・小論文・プレゼンテーションなどを通じて、「この学生が大学の求める人物像に合致しているか」が見られます。受験生と大学のマッチングを重視し、一人ひとりの背景や熱意が評価の軸となることが特徴です。
一言でまとめると、総合型選抜は「自分が何を学びたいのか」「なぜその大学で学びたいのか」「これまでどんな経験をしてきたのか」を大学に伝える入試です。学力試験の点数だけで合否が決まる入試ではないぶん、自分自身と向き合い、言葉にして伝える力が問われます。
【アドミッションポリシーとは】
旧AO入試との違い|現在は「基礎学力」の確認が必須に

かつて実施されていた「AO入試」は、大学入試改革にともない、2021年度入試から「総合型選抜」として制度化されました。総合型選抜とAO入試の主な違いは、学力試験の有無と評価基準の明確化にあります。
AO入試は、学力よりも個性や特長を重視する傾向が強い入試方法でした。一方、現在の総合型選抜では、小論文や面接に加えて、大学や学部によってはプレゼンテーション・口頭試問・実技試験・共通テストなどが実施されることがあります。
つまり、現在の総合型選抜は「学力不要の入試」ではありません。大学で学ぶための基礎力や、考えを整理して表現する力も評価される入試になっています。
清水GM
2021年度から文部科学省が新たな定義づけをして始まった総合型選抜ですが、実はそのタイミングでそれまでの審査の内容を大きく変更した大学はあまりありませんでした。中にはその後も総合型選抜の位置づけながらAO入試の呼称を使い続けているところもあります。
いずれにしても同じ総合型選抜でも大学学部によってその審査の方法は大きく異なります。一般的な総合型選抜の理解に加えて、自分が受験しようとしている大学学部の審査方法を詳しく知ることが重要になります。
【2027年度入試の重要トレンド】「探究学習」必修化世代の戦い方
2027年度入試からは、高校3年間を通じて「総合的な探究の時間」を経験してきた生徒が受験生の主流になります。探究学習が必修化されたことで、受験生全員が何らかの探究活動を経験した状態で総合型選抜に臨む時代になりました。
これが意味するのは、「探究活動をした」という事実だけでは差がつかなくなるということです。「どんなテーマに取り組んだか」よりも、「その活動を通じて何を見出し、どんな問いを持ち、大学でどう深めたいか」という思考の質が、これまで以上に問われるようになります。
日頃から自分の活動や関心を言語化する習慣を持つことが、2027年度以降の総合型選抜で合格に近づくための土台になります。
総合型選抜を利用する受験生は増えている
近年、総合型選抜を利用する受験生は増えています。
2025年度の私立大学入試では、総合型選抜と学校推薦型選抜を合わせた割合が過半数を超え、38.4%の一般選抜を上回る結果となりました。具体的には、総合型選抜が22.8%、学校推薦型選抜が38.8%を占めています。
さらに、文部科学省の調査では、2023年度と2024年度を比較した場合、受験者の3つの選抜方法(一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜)のうち、総合型選抜の割合は20.6%から22.2%に増加しました。国公私立大学の別を問わず、選抜方法における総合型選抜の割合が増加していることがわかります(※1)。
また、総合型選抜での入学者数も年々増加傾向です。令和3年度は77,921人、令和4年度は84,908人、令和5年度は92,393人、令和6年度は98,520人、そして令和7年度は126,766人に達しています(※2)。
これらのデータからも、総合型選抜は今後さらに重要性を増す入試方式であるといえるでしょう。

※1出典 「大学入学者選抜の実態の把握及び分析等に関する調査研究」(文部科学省)
※2出典 「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」(文部科学省)
総合型選抜は「楽に受かる入試」ではない
総合型選抜は筆記試験が少ないため、「一般選抜より楽に受かる」と思われることがあります。しかし実際には、志望理由書・面接・小論文など、準備しなければならないことが多く、一般選抜とは違う種類の努力が求められます。
志望理由や活動内容に一貫性がなければ、面接で深掘りされたときに言葉に詰まってしまいます。「なぜこの大学なのか」「なぜこの学部で学びたいのか」を自分の言葉で説明できるようになるには、相応の時間と準備が必要です。また、学力試験がある場合は当然ながら学力対策も欠かせません。
総合型選抜は「勉強しなくても受かる入試」ではなく、「自分の学びたいことを準備して伝える入試」です。このことを念頭に置いたうえで、対策を進めていきましょう。
総合型選抜とほかの入試方式の違い

「総合型選抜って、推薦入試と何が違うの?」「一般選抜と並行して受けられるの?」と疑問に感じている人も多いでしょう。
入試方式によって、評価される内容・必要な準備・スケジュールは異なります。まずは違いを整理したうえで、自分にどの方式が向いているかを考えてみましょう。
総合型選抜・一般選抜・学校推薦型選抜の違い一覧
以下は総合型選抜・一般選抜・学校推薦型選抜の違いをまとめた表です。
総合型選抜・一般選抜・学校推薦型選抜の違い一覧
| 総合型選抜 | 一般選抜 | 学校推薦型選抜 | |
|---|---|---|---|
| 推薦書の有無 | 原則不要 | 不要 | 必要 |
| 主な内容 | 志望理由・面接・活動経験・学力確認など | 学力試験の点数 | 評定・推薦書・面接など |
| 出願時期 | 9月〜(大学による) | 1月~ | 11月〜 |
| 合格発表 | 11〜12月頃 | 2〜3月頃 | 12〜2月頃 |
| 専願・併願 | 大学によって異なる | 併願可能 | 指定校は専願が多い |
| 向いている人 | 学びたいことや経験を伝えたい人 | 学力試験で勝負したい人 | 高校での成績や推薦を活かしたい人 |
各方式によって求められるものが異なります。どの入試方式を選ぶかは、自分の強みや状況に合わせて慎重に判断することが大切です。
一般選抜との違い
一般選抜は、大学入学共通テストや各大学の個別試験など、主に学力試験の点数で合否を判断する入試方式です。多くの受験生が利用しており、試験当日の結果が合否を大きく左右します。
総合型選抜との最大の違いは、「何で評価されるか」にあります。一般選抜が学力試験の点数を中心に評価するのに対し、総合型選抜では学力に加えて志望理由・高校での活動経験・面接・小論文なども評価の対象です。
スケジュール面でも違いがあります。一般選抜が年明けの1月以降に本格化するのに対し、総合型選抜は早ければ9月から出願が始まり、11〜12月には合否が出る大学もあります。早期に進路を確定できる一方で、準備も早めに動き出す必要があるのです。
ただし、総合型選抜の対策に集中するあまり、一般選抜の勉強を止めてしまうのはリスクがあります。万が一不合格だった場合に備え、一般選抜の準備も並行して進めておくことが重要です。
総合型選抜に落ちた場合の進路については、以下の記事で詳しく解説しています。
学校推薦型選抜との違い
学校推薦型選抜は、高校の校長による推薦書が必要な入試方式です。推薦を受けるためには、高校が定める評定平均や校内選考の条件を満たす必要があります。指定校推薦・公募推薦など種類があり、それぞれで条件や選考内容が異なります。
総合型選抜との大きな違いは、推薦書が必要かどうかという点です。総合型選抜では原則として高校からの推薦書は不要で、本人の志望理由や大学との相性が重視されやすい傾向があります。自分でエントリーして、自分の言葉で大学に思いを伝えることが基本になります。
ただし、総合型選抜でも評定平均を出願条件に設けている大学は少なくありません。「推薦が不要だから評定は関係ない」と思い込まず、志望校の募集要項をしっかり確認することが大切です。
総合型選抜における評定の見られ方については、以下の記事で詳しく解説しています。
公募推薦・旧AO入試との違い
公募推薦は、学校推薦型選抜の一種で、大学が定める出願条件を満たしたうえで、高校の推薦を受けて出願する入試方式です。評定平均や部活動・資格などの条件が設けられていることが多く、条件を満たせば原則として出願できます。
旧AO入試は、現在の総合型選抜の前身にあたる入試方式です。個性や学習意欲を重視する傾向が強く、面接や書類を中心に選考が行われていました。
現在の総合型選抜は、このAO入試を制度として整理・明確化したものですが、学力確認がより重視されるようになった点が大きな変化です。小論文や口頭試問、共通テストの成績提出を求める大学も増えており、「学力不要の入試」とは言い切れなくなっています。
総合型選抜では何が評価される?面接官が見ているポイント

「結局、大学は自分の何を見るの?」と疑問に感じている人も多いでしょう。総合型選抜では、大学ごとに評価の軸が異なるため、一概に「これだけ準備すれば大丈夫」とはいえません。ただ、多くの大学に共通して見られるポイントはあります。
評価項目として「志望理由書・面接・小論文」と並べるだけでは、「大学が何のためにそれを見るのか」がわかりにくいものです。以下の表では、総合型選抜で大学が確認しようとしている「力」の視点で整理しました。
以下は、総合型選抜で大学が見ている主な力と、その確認意図をまとめたものです。
| 見られる力 | 大学が確認したいこと |
|---|---|
| 志望理由の明確さ | なぜその大学・学部で学びたいのか |
| 探究心 | 興味のあるテーマについて考え続けられるか |
| 表現力 | 面接や小論文で自分の考えを伝えられるか |
| 行動力 | 興味や課題に対して行動した経験があるか |
| 基礎学力 | 大学で学ぶための土台があるか |
| 大学との相性 | アドミッション・ポリシーと合っているか |
この表からわかるように、総合型選抜で問われるのは「何をしてきたか」という実績だけではありません。「なぜそれをしたのか」「そこから何を考えたか」「大学でどう活かしたいのか」という思考のプロセスと言語化の力が、評価の核心にあります。
自分の経験を振り返るときは、この視点を意識してみましょう。
文部科学省が求める「多面的評価」の3要素
総合型選抜など大学入学者選抜においては、文部科学省によって「多面的評価」のもとで行われる方針が示されています。これは、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」の3要素をすべての入試方式でバランスよく、多面的かつ総合的に評価する方針のことを指しています。
この3要素は、書類や面接の場面でそれぞれ次のように確認されます。「知識・技能」は評定平均や資格・検定試験の成績、口頭試問などを通じて測られます。「思考力・判断力・表現力」は小論文やプレゼンテーション、面接での受け答えで問われます。「主体性・多様性・協働性」は志望理由書や活動報告書、面接での経験の語り方を通じて評価されます。
つまり、志望理由書や面接だけでなく、評定平均・資格・小論文・口頭試問など複数の場面を通じて、大学で学ぶための基礎力が多角的に確認されるのが現在の総合型選抜です。
志望理由を大学教授に伝わる論理に変換する3ステップ
「総合型選抜を受けたいけど、志望理由がうまくまとまらない」と感じる人は多いでしょう。漠然とした「やりたいこと」や「モヤモヤした問題意識」を、大学側に伝わる志望理由へ変換するには、以下の3ステップで整理することが有効です。
以下は、志望理由をロジカルに構造化するための3ステップです。
| ステップ | 内容 | 問いかけ例 |
|---|---|---|
| 1. 課題の特定 | 自分が関心を持つ問題や疑問を明確にする | 「なぜそれが気になったのか?」 |
| 2. アクションの提示 | その課題に対して自分が取り組んできた行動を示す | 「自分は何をしてきたか?」 |
| 3. 将来への接続 | 大学での学びと将来の目標をつなげる | 「大学でどう深め、将来どう活かすか?」 |
たとえば「環境問題に関心がある」という段階で止まっていると、志望理由の説得力は弱くなります。
「地域の水質汚染を調べるなかで、解決策を政策面から考えたいと思うようになった(課題の特定)」
→「探究学習で自治体にヒアリングを行い、現状の課題を整理した(アクションの提示)」
→「この大学の環境政策学科で学び、将来は行政と連携した環境保全の仕組みづくりに携わりたい(将来への接続)」
という流れにすることで、面接官に論理的に伝わる志望理由になります。志望理由書の具体的な書き方や例文は、以下の記事で詳しく解説しています。
総合型選抜で見られる主なポイントと対策
総合型選抜では、志望理由、活動経験、大学・学部との相性、評定や学力などが総合的に見られます。
たとえば、志望理由書や面接では「なぜその大学・学部で学びたいのか」、活動経験では「何に取り組み、そこから何を学んだのか」が問われます。また、大学によっては評定平均や英語資格、小論文、口頭試問、共通テストなどで基礎学力を確認する場合もあります。
清水GM
総合型選抜で求められる要件で最も多いのが英語資格です。「英検®2級以上」というように一定の水準が要求される場合もあれば、級やスコアは問わないけれど取得した資格の提出が求められることもあります。
英語資格は英検®だけでなく、TEAP、TOEFL、IELTSといったほかの資格が認められることも多くなっています。資格によっては英検®よりも早く申し込みができて、かつ、結果もすぐに出るものもありますので、出願が迫っている場合は、英検®以外の選択肢を検討してもよいでしょう。
総合型選抜に向いている人・向いていない人の特徴

「自分は総合型選抜に向いているのだろうか?」と悩む人は多いでしょう。総合型選抜は全員に向いている入試方式ではないからこそ、自分の現状を把握することが大切です。
以下の2つのチェックリストで、まず自分の状況を確認してみてください。
総合型選抜に向いている人の特徴
以下のチェックリストで、自分に当てはまる項目を確認してみましょう。
□ 学びたい分野や興味のあるテーマがある
□ なぜその大学・学部なのかを説明できる
□ 高校生活で力を入れたことを振り返れる
□ 活動から学んだことを言葉にできる
□ 面接で自分の考えを話す練習ができる
□ 一般選抜や併願の準備も考えている
チェックが多いほど、総合型選抜との相性がよい可能性があります。すべてに当てはまる必要はなく、今の時点でチェックが少なくても、自己分析や大学調べを進めることで準備は始められます。向いている人の特徴についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
総合型選抜に向いていない人の特徴
一方で、以下に当てはまる項目が多い場合は、一度立ち止まって考えてみましょう。
□ 「楽そうだから」という理由だけで選んでいる
□ 志望理由を考えることを後回しにしてしまう
□ 大学で学びたいことがまったくイメージできない
□ 総合型選抜の対策に集中して一般選抜の勉強を止めてしまいそう
□ 出願までに準備時間をまとめて確保できない
ただし、今の時点で当てはまっていても、そのまま諦める必要はありません。自己分析や志望校調べを進めるなかで「学びたいこと」が見えてくることもあります。まずは動き出すことが大切です。
総合型選抜の流れと準備スケジュール

「いつから準備すればいいの?」「何から手をつければいい?」という疑問は、総合型選抜を初めて知る高校生にとって共通の悩みです。
総合型選抜は一般選抜よりもスケジュールが早く動くため、時期ごとにやるべきことを把握しておくことが重要です。ここでは、出願から合格発表までの流れと、学年別の準備の進め方を整理します。
出願から合格発表までの基本的な流れ
総合型選抜の選考は、おおむね以下の流れで進みます。大学によってスケジュールは異なりますが、全体の流れを把握しておくことが大切です。
総合型選抜の一般的なスケジュール
| 学年と月 | 内容 |
|---|---|
| 高3の6~8月 | 入試要項の発表やエントリー |
| 高3の9~10月 | 出願・第1次選考 |
| 高3の10~11月 | 第2次選考 |
| 高3の11月以降 | 合格発表 |
総合型選抜の入試スケジュールは、一般選抜よりも早く動き出します。多くの大学では6月〜8月にかけて募集要項が公表され、「エントリー受付」が始まります。
この「エントリー」は本出願とは異なり、志望理由の登録やオープンキャンパスへの参加、事前課題の提出などが求められることもあります。大学によっては、WEBエントリーのみで完了する場合もあります。
総合型選抜の出願は、一般に9月から始まります。一部の大学では10月中旬から、遅いところでは11月以降に出願受付をしていることもあります。
総合型選抜の合格発表は、大学や学部によって異なりますが、多くの大学では11月〜12月頃に結果が通知されます。選考の進行が早いため、一般選抜よりも早く進路が確定する受験生も少なくありません。
高1・高2からできる「探究」の記録と定期テスト対策
高1・高2の段階では、まだ志望校が決まっていなくても問題ありません。この時期にできることは、大きく3つあります。
まず、興味のある分野を探しながら、探究活動の記録を残すことです。授業・読書・ニュース・体験活動など、日常のなかで「もっと知りたい」と感じるテーマを意識しておくと、後の志望理由につながります。探究学習で取り組んだテーマや、そこで感じた疑問・気づきをメモとして残しておくだけでも、高3で志望理由書を書く際の大切な材料になります。
次に、部活・ボランティア・資格取得・学校行事への関与など、取り組んだことを記録しておくことです。「なぜそれに取り組んだか」「何を考えたか」まで書き残しておくと、後の棚卸しがスムーズになります。
そして、評定を意識した日々の学習も大切です。総合型選抜でも評定平均が出願条件になる大学は多くあります。高1・高2の定期テストの積み重ねが、後の選択肢の広さに直結します。
高3の夏休み(7月〜8月)に優先すべきこと
高3から準備を始める場合、最初にやるべきことは志望校の募集要項の確認です。出願条件・選考方法・評定の有無・専願か併願可能かを早めに把握することで、準備の優先順位が決まります。
特に悩ましいのが、夏休みの時間の使い方です。総合型選抜では出願書類の提出が近くなるにつれてかける時間が長くなりがちで、9月に出願締切がある大学が多いため、夏休みは書類準備に追われやすくなります。一方、一般選抜においても夏は重要な時期です。両立を図る場合は、夏休み前にある程度書類の骨格を固めておくことが、時間管理の鍵になります。
志望理由書・面接・小論文の対策は複数回の修正や練習が必要なため、早めに着手することが重要です。併願校の検討も同時に進めておきましょう。
清水GM
最近はWeb出願と郵送での出願の両方が求められることが多いのでそれぞれの期限を把握し、余裕をもって出願を終えられるようにしましょう。志望理由書もWebで入力する場合と手書きの場合があるのであらかじめ確認し、締め切り直前に焦らずにすむようにしましょう。
総合型選抜が不合格だったら、学校推薦型選抜を受ける、という受験生も少なくありません。その場合、総合型選抜の合格発表から学校推薦型選抜の出願締切まで数日間しかない場合もあるので高校とも事前に話し、結果次第ですぐに次のアクションが取れるように準備しておきましょう。
志望理由書の書き方や併願の考え方は、以下の記事で詳しく解説しています。
学年別・今やることリスト
自分が「今どの時期にいるか」によって、優先すべき行動は変わります。以下の表を参考に、今の自分がやるべきことを確認してみてください。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 高1・高2 | 興味のある分野を探す・活動を記録する・評定を意識して学習する |
| 高3春 | 志望校を調べる・募集要項を確認する・オープンキャンパスに参加する |
| 高3夏 | 志望理由書を書き始める・面接・小論文の対策を本格化する |
| 高3秋 | 出願・面接対策・一般選抜との両立を意識する |
| 不合格時 | 一般選抜・学校推薦型選抜・併願校の準備に切り替える |
この表はあくまで目安ですが、「自分は今どこにいるか」を確認するだけでも、次のアクションが明確になります。早い段階から動き始めるほど、準備に余裕が生まれます。
総合型選抜を実施している大学の探し方

「どの大学が総合型選抜をやっているの?」「自分でも受かりやすい大学はある?」と気になっている人も多いでしょう。
大学を探す際に気をつけてほしいのは、「受かりやすいかどうか」だけを基準にしないことです。このセクションでは、自分に合った大学の探し方と、受かりやすさを判断するための視点を整理します。
総合型選抜は大学・学部ごとに条件が違う
総合型選抜は、すべての大学・学部で実施されているわけではありません。同じ大学でも、学部ごとに実施の有無や出願条件・選考方法が異なります。「この大学は総合型選抜がある」と聞いても、自分が志望する学部で実施されているかどうかは、別途確認が必要です。
確認すべき主な項目は、評定平均の条件・英語資格の有無・活動実績の要件・提出書類の種類・面接や小論文・共通テストの有無などです。これらは大学の公式サイトや募集要項に記載されているため、早めに目を通しておくことが大切です。総合型選抜を実施している大学を幅広く調べたい方は、大学一覧の記事で確認できます。
専願か併願可能かを確認する
総合型選抜では、「合格したら必ずその大学に入学する」ことを条件とする専願制の大学が多くあります。専願かどうかを確認せずに出願すると、受験計画全体が崩れる可能性があります。一方で、他大学との併願を認めている大学もあります。どちらの方式かによって、一般選抜や学校推薦型選抜との組み合わせ方が変わるため、出願前に必ず確認しておきましょう。
併願の考え方や注意点、併願可能な大学については、以下の記事で詳しく解説しています。
受かりやすい大学ではなく、自分に合う大学を探す
「受かりやすい大学を探したい」という気持ちはよくわかります。ただし、受かりやすさは大学名や偏差値だけで決まるものではありません。自分の評定・活動経験・志望理由の内容・選考方法との相性によって、同じ大学でも有利不利が変わります。
倍率や合格率は参考になりますが、それだけを見て大学を選ぶのは危険です。アドミッション・ポリシーと自分の経験が重なる大学を選ぶことが、合格への近道です。
清水GM
総合型選抜と一口にいっても、その内容は多種多様で大学・学部によって大きく異なります。評定を重視するところもあればそれほどでもないところもあり、英語の資格が大事なところもあればそうでないところもあります。入試によって出願時期も異なるし、試験の内容も様々です。
総合型選抜受験にあたって、どのような活動をすればよいですか、と聞かれることも多いですが、大学・学部によるとしか答えられません。活動実績がほとんど問われない総合型選抜もあります。自分に合った入試を見つけ、自分の土俵で勝負する、ということが重要になります。
総合型選抜の合格率については、以下の記事で詳しく解説しています。
受験校を判断する5つのポイント
「受かりやすい大学」を探す前に、以下の5つの視点で志望校を整理してみましょう。これらを確認することで、自分にとって本当に相性のよい大学が見えてきます。
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 出願条件 | 評定・資格・卒業年度などの条件を満たしているか |
| 選考方法 | 面接・小論文・プレゼン・共通テストの有無と自分の得意不得意 |
| 専願・併願 | 他大学と併願できるか、合格後の入学義務はあるか |
| 倍率・合格率 | 募集人数と志願者数のバランス、例年の競争率 |
| 自分との相性 | 志望理由や活動経験をアドミッション・ポリシーと結びつけられるか |
この表からわかるように、受かりやすい大学を探すよりも、自分の経験や志望理由を評価してもらいやすい大学を探すことが大切です。5つのポイントを一つひとつ確認することで、「なんとなく受けやすそう」ではなく、根拠のある志望校選びができます。
総合型選抜のメリットと注意点

総合型選抜は、自分の経験や学びへの意欲をアピールできる入試方式です。一方で、準備の負担や併願制限など、注意すべき点もあります。
ここでは、総合型選抜を検討するうえで知っておきたいメリットと注意点を整理します。
自身のキャリアや将来像を明確にする機会になる
総合型選抜では、学力試験だけでは伝わりにくい強みを評価してもらえる可能性があります。たとえば、探究活動で取り組んだテーマ・部活動や課外活動で得た経験・将来の目標に向けた行動などを、志望理由書や面接で伝えることができます。
総合型選抜の準備では、自分の過去の経験を振り返り、大学で何を学びたいのか、将来どのように活かしたいのかを考える必要があります。そのため、受験対策そのものが、自分の進路や将来像を見つめ直す機会にもなります。志望理由書や面接の準備を通じて「自分は何に関心があるのか」「どんな学びを深めたいのか」が明確になる人も少なくありません。
さらに、こうした自己理解の深まりは、大学入学後のキャリア選択にも直結します。「なぜこの学部で学ぶのか」を言語化した経験は、就職活動や進路選択の場面でも活きてきます。受験対策の過程で自分の軸を作れることが、総合型選抜ならではのメリットといえるでしょう。
清水GM
総合型選抜を受験する場合には自身の過去、現在、未来を考えることが必須になるので、これまでやってきたことを振り返り、今これからやろうとすることを考える良い機会になります。
自分がどういう人間で、これからどういう道を進むべきかを真剣に考え、大学に進学することの必要性を実感できると志望校合格への意欲が高まります。総合型選抜の準備をした結果、一般選抜向けの準備のモチベーションが高まった、という声を聞くこともよくあります。
一般選抜との両立や併願制限には注意が必要
総合型選抜は、一般選抜よりも早い時期に選考が行われることが多く、11月〜12月頃に合格発表が行われる大学もあります。早く合格が決まれば、大学入学までの期間を使って入学後に必要な学習や資格取得・専門分野の予習などに取り組むことができます。
ただし、早く合否が出るからこそ、不合格だった場合に次の出願まで時間が少ないこともあります。事前にリスク管理をしておくことが大切です。
また、総合型選抜では他大学と併願できないケースがあります。専願の場合、合格すると必ずその大学に入学しなければなりません。出願予定の大学の入試要項を確認し、併願が可能かどうかを早めに把握しておきましょう。
清水GM
総合型選抜と一般選抜を並行して準備を進めるうえで特に悩ましいのが、夏休みの時間の使い方です。総合型選抜では出願書類の提出が近くなるにつれて、かける時間が長くなりがちです。9月に出願締切があるところが多いため、どうしても夏休みは書類の準備に追われます。
一方で一般選抜の準備においても夏が天王山といわれるように、そこでキャッチアップしたり差をつけたりすることが重要になります。並行して準備を進める場合は、総合型選抜も一般選抜も早め早めに準備を進め、夏休み前にある程度目途をつけておくことが大切といえます。
総合型選抜のよくある質問(FAQ)

総合型選抜について「自分のケースはどうなの?」と気になる疑問を、ここでまとめて解消します。
総合型選抜で評定はどれくらい必要?
必要な評定平均は、大学・学部によって大きく異なります。「評定3.5以上」「評定4.0以上」と明記している大学もあれば、評定の条件をとくに設けていない大学もあります。また、条件がない場合でも調査書の提出を求める大学がほとんどのため、評定がまったく関係ないとは言い切れません。
まずは志望校の募集要項で出願条件を確認することが先決です。
活動実績がなくても総合型選抜は受けられる?
受けられる大学はあります。総合型選抜では、大きな大会実績や特別な資格がなくても出願できる大学が多くあります。
部活・学校行事・探究活動・日常の関心事など、高校生活のなかで取り組んだことが出願の材料になります。
一般選抜との勉強時間はどう配分すればいい?
総合型選抜と一般選抜を並行して進める場合、時期によって配分を変えることが現実的です。目安として、出願書類の締切が集中する夏休み(7〜8月)は「総合型選抜対策5割・一般選抜対策5割」を意識しつつ、夏休み前までに書類の骨格を固めておくことで、学力対策の時間を確保しやすくなります。
出願後の9月以降は一般選抜対策の比重を高め、総合型選抜の面接練習と並行して進める形が理想です。総合型選抜の準備に追われて一般選抜の勉強を完全に止めてしまうと、不合格後の選択肢が一気に狭まります。早め早めに動き出すことが、両立の最大のコツです。
志望校が公募推薦と総合型選抜をどちらも実施している場合は?
同じ大学・学部で公募推薦と総合型選抜の両方が実施されている場合は、選考内容と自分の強みを照らし合わせて選ぶことが大切です。評定平均が出願条件を満たしており、高校での活動実績もある場合は公募推薦が有力な選択肢になります。
一方、評定はやや低くても志望理由の一貫性や探究心をアピールできる場合は、総合型選抜の方が有利に働く可能性があります。また、公募推薦は専願が多いのに対し、総合型選抜は併願可能な大学もあります。併願の可否も含めて、どちらが自分の状況に合っているかを判断しましょう。
総合型選抜は併願できる?
大学によって異なります。専願(合格したら必ず入学)を条件とする大学もあれば、他大学との併願を認めている大学もあります。同じ大学内でも学部間の併願を禁止しているケースがあるため、募集要項での確認が欠かせません。
受験計画を立てる前に、各志望校の方針を把握しておきましょう。
総合型選抜に落ちたらどうすればいい?
一般選抜や学校推薦型選抜に切り替えることは十分に可能です。ただし、総合型選抜の合格発表から次の出願までの期間が短い場合もあるため、不合格後に慌てないよう事前に動き方を考えておくことが大切です。
総合型選抜の準備と並行して、一般選抜の勉強も継続しておくことがリスク管理につながります。
浪人生でも総合型選抜は受けられる?
大学によって出願資格は異なります。現役生のみを対象とする大学もあれば、浪人生(既卒生)の出願を認めている大学もあります。浪人生が受験を検討する場合は、出願資格の項目を必ず確認してください。
欠席日数は総合型選抜に影響する?
総合型選抜では調査書の提出が必要な大学がほとんどのため、欠席日数が記録として残ります。ただし、欠席日数が多いからといって必ず不合格になるわけではありません。欠席の理由を面接などで説明できるかどうかも、評価に影響する場合があります。
総合型選抜の合格率は高い?
合格率は大学・学部によって大きく異なるため、一概にはいえません。倍率が低い大学もあれば、難関国立大学では数十倍になるケースもあります。合格率の数字だけを見て難易度を判断するのは危険で、募集人数・志願者数・選考内容・自分との相性を総合的に見る必要があります。
塾の必要性と添削時の注意点は?
独学でも対策を進めることはできます。ただし、志望理由書・面接・小論文は「自分では気づきにくい課題」が出やすく、第三者による添削や模擬面接が改善に役立つ場面が多くあります。
注意したいのは、添削によって「受験生固有の動機や言葉」が失われないようにすることです。添削者の文体や表現に引っ張られすぎると、面接で「書いた内容を自分の言葉で説明できない」という事態になりかねません。添削はあくまで論理の整合性や伝わりやすさを確認するために活用し、志望理由の核となる動機は自分の言葉で守ることが大切です。
志望校ごとに選考内容が異なるため、大学別の個別対策が必要と感じた場合は、専門的なサポートを検討することも有効です。
「どんな塾を選べばいいかわからない」という方は、以下の記事をご覧ください。
総合型選抜の選抜方法はどのようなものがありますか?
総合型選抜の試験内容や評価基準は、大学・学部ごとに大きく異なります。そのため、志望校ごとの入試情報を正確に把握し、それに合わせた対策が必要です。

大学の選抜方法はそれぞれの教育方針、アドミッション・ポリシーに直結しています。志望大学が「どんな力を見たいのか」「どのように評価したいのか」を読み解き、それに応じた対策を立てることが合格への近道です。
大学の公式サイトや過去の入試情報、体験談なども参考に、1校1校に合わせた戦略を設計しましょう。
まとめ 総合型選抜は「大学で何を学ぶか」をロジカルに伝える入試

総合型選抜とは、志望理由書・面接・小論文・高校での活動・評定などを通じて、大学が求める学生像に合っているかを総合的に評価する入試です。学力試験の点数だけでは測れない意欲・経験・将来への思いを伝えられる点が、一般選抜との大きな違いです。
特別な実績がなくても、「なぜその学びを選ぶのか」「どんな未来を目指しているのか」を自分の言葉で丁寧に伝えることが大切です。2027年度入試以降は探究学習を経験した受験生が主流になるため、「活動した事実」より「活動から何を考え、大学でどう深めたいか」という思考の質が、これまで以上に問われます。
ただし、準備することが多く、決して楽に受かる入試ではありません。自己分析・志望理由書の作成・面接練習・大学調べと、やるべきことは広範囲にわたります。合格への最短ルートは、早めに募集要項を確認し、「課題の特定→アクションの提示→将来への接続」という論理の流れで志望理由を組み立てることです。早めに動き出すほど、準備に余裕が生まれます。
評定の条件・活動実績の有無・専願か併願可能か・合格率など、気になるポイントはすべて大学・学部によって異なります。「自分はどの大学を受けられるのか」「何を準備すべきか」を明確にするためにも、まず志望校の募集要項を確認することから始めましょう。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
「総合型選抜の個別指導塾 洋々」代表・GM。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。共著書に『採点者の心をつかむ 合格する総合型選抜・学校推薦型選抜』(2023年、洋々 著/かんき出版)。
注目の塾
PR













