総合型選抜の志望理由書は何を書く?大学が見るポイント・構成と書き方を解説
「総合型選抜の志望理由書には何を書けばいい?」「大学から評価される内容にするにはどうすればいい?」と悩んでいませんか。
総合型選抜では、志望理由書に書いた内容だけでなく、面接などを通じて受験生の考えや意欲が総合的に見られます。そのため、きれいな文章を書くこと以上に、「なぜこの大学で学びたいのか」を自分の経験や将来像と結びつけて伝えることが重要です。
この記事では、総合型選抜の専門家・福井先生の監修のもと、評価される志望理由書の特徴から、書く前の準備、構成の作り方、NG例まで解説します。

編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
福井悠紀
1995年、大阪府生まれ。京都大学経済学部経済経営学科卒業。大学3年生次にAOIの創業に参画し創業当時から志望理由、面接、小論文の指導を行う。塾内の教材開発にも長年にわたり携わってきた。
目次
総合型選抜の志望理由書とは?大学が見ているポイント

総合型選抜の志望理由書を書く前に、まずは「何のために提出する書類なのか」を理解しておきましょう。志望理由書だけで合否が決まるわけではありませんが、大学が受験生を知るための重要な資料になります。
志望理由書は「なぜこの大学で学びたいのか」を伝える書類
志望理由書とは、「なぜその大学・学部・学科を志望するのか」を受験生本人の言葉で伝える書類です。
高校から提出される調査書や成績証明書は、主にこれまでの学習状況や実績を示します。一方で志望理由書では、大学で何を学びたいのか、その学びを将来どう生かしたいのかを伝えます。
総合型選抜では、学力だけではなく、志望動機や学習への意欲、将来への目的意識なども含めて評価されます。そのため、「有名な大学だから」「就職に強そうだから」といった理由だけでは十分とはいえません。
自分自身の経験を振り返り、「なぜその分野に関心を持ったのか」「なぜその大学で学びたいのか」まで掘り下げることが大切です。
福井先生のアドバイス
志望理由書の役割は以下の2点があることを押さえておきましょう。
・一番の役割は大学とのマッチ度(アドミッション・ポリシーとの一致度)を測る
・文章から論理的思考力を間接的に評価する
志望理由書の重要度・評価方法は大学や選抜方式によって異なる
志望理由書は総合型選抜で重要な資料ですが、どの程度重視されるかは大学や選抜方式によって異なります。
総合型選抜では、志望理由書などの出願書類に加え、面接、小論文、プレゼンテーション、口頭試問、学力試験などが行われる場合があります。そのため、「志望理由書さえ良ければ合格できる」「面接より志望理由書のほうが重要」と一律にはいえません。
まず確認したいのは、志望大学の募集要項です。「第1次選考は書類審査、第2次選考は面接」といった選考の流れや、各試験の評価方法を確認しておきましょう。
志望理由書を重要な選考資料の一つとして丁寧に作りつつ、その後の面接や小論文まで含めて準備することが大切です。
面接でも志望理由書の内容を深掘りされる
総合型選抜の面接では、志望理由書に書いた内容について質問されることがあります。
たとえば、「なぜこの学部に興味を持ったのですか」「その経験から何を学びましたか」「なぜ本学でなければならないのですか」といった質問です。そのため、志望理由書では、自分が説明できないほど背伸びした内容を書くのは避けましょう。
誰かに考えてもらった志望動機をそのまま使った場合も、質問を重ねられるうちに説明できなくなる可能性があります。志望理由書を書く段階から、「ここを詳しく聞かれたら何と答えるか」を考えておくと、面接対策にもつながります。
志望理由書は提出して終わりではありません。書類と面接で伝える内容に一貫性を持たせることが重要です。
志望理由書・自己推薦書・活動報告書の違い
総合型選抜では、志望理由書以外にも、自己推薦書や活動報告書などの提出を求められることがあります。
名称が似ていても、大学が確認したい内容はそれぞれ異なります。志望理由書・自己推薦書・活動報告書で主に伝える内容を整理すると、次のようになります。
| 書類 | 主に伝える内容 |
|---|---|
| 志望理由書・志願理由書 | なぜその大学・学部で学びたいのか、入学後に何を学びたいのか |
| 自己推薦書 | 自分の強みや経験、大学で生かせる力 |
| 活動報告書 | 部活動・探究活動・資格・ボランティアなど、これまでの活動や実績 |
活動報告書が「これまで何をしてきたか」を中心に示す書類だとすれば、志望理由書では、その経験を大学での学びや将来につなげることが重要です。
ただし、大学によって書類の名称や設問は異なります。「志望理由書だからこの内容」と決めつけず、実際の設問を確認してから書き始めましょう。
総合型選抜で評価される志望理由書の共通点

大学から評価される志望理由書には、いくつかの共通点があります。文章を上手に見せることよりも、自分の経験と大学での学びを一本の線でつなげることが重要です。
アドミッション・ポリシーと自分の経験がつながっている
総合型選抜では、大学のアドミッション・ポリシーと自分との接点を示すことが重要です。
アドミッション・ポリシーとは、その大学や学部が「どのような学生を求めているのか」を示した方針です。たとえば、「主体的に課題を発見できる人」「多様な人と協働できる人」など、大学によって重視する人物像は異なります。
ただし、アドミッション・ポリシーに書かれている言葉を、そのまま志望理由書に入れればよいわけではありません。「私は主体性があります」と書くのではなく、自分が主体的に考え、行動した経験を示す必要があります。
経験を通じてどのように考えたのか、その姿勢が大学での学びにどうつながるのかまで説明すると、大学との接点が伝わりやすくなります。
「なぜこの大学なのか」が具体的に書かれている
評価される志望理由書では、「その分野を学びたい」だけでなく、「なぜその大学で学びたいのか」まで書かれています。
たとえば、「心理学を学びたい」だけでは、同じ分野を学べるほかの大学との違いがわかりません。そこで、カリキュラム、授業、ゼミ、研究室、教授、実習、留学制度などを調べ、自分が学びたいこととの接点を探します。
重要なのは、大学の特徴を紹介することではありません。「この授業があるから魅力的だ」と終えるのではなく、「自分が探究したい○○という課題を深めるため、この授業で△△を学びたい」とつなげます。
大学の情報と自分の目標が結びついて初めて、「なぜこの大学なのか」が伝わります。
経験から大学での学び・将来像まで一貫している
説得力のある志望理由書では、過去の経験、現在の問題意識、大学での学び、将来像がつながっています。
たとえば、高齢の家族がスマートフォンの操作に困っていた経験から情報格差に関心を持ったとします。そこからアクセシビリティについて自分で調べ、大学では情報技術と人間中心設計を学びたい、将来は誰もが使いやすいサービスを作りたい、とつながれば自然です。
反対に、部活動の実績を詳しく説明したあと、理由の説明なく突然「心理学を学びたい」と書くと、読み手は「なぜ?」と感じてしまいます。
活動実績そのものの大きさより、その経験から何を考え、次の行動や学びにつながったのかを意識しましょう。
自分の言葉で書かれ、面接でも説明できる
良い志望理由書は、書かれていることを本人が自分の言葉で説明できます。
難しい専門用語や大げさな表現を増やしても、志望度が高く見えるとは限りません。むしろ、面接で「これはどういう意味ですか」「なぜそう考えたのですか」と聞かれた際に説明できないほうが問題です。
書き終えたら、自分の文章に対して「なぜ?」「具体的には?」「ほかには?」と問いかけてみましょう。
福井先生のアドバイス
志望理由書を書くときは、以下のポイントについてチェックしておきましょう。
・読み手の視点に立って文章が書けている。
・その大学でなければいけない理由が書かれている。
・自分の考えが発展したプロセスを上手に表現できている。
・「なぜ? 例えば? ほかには?」と聞かれたときに答えられるよう、自分で構造を整理したり、咀嚼したりできている。
志望理由書を書く前にやること

志望理由書は、いきなり本文を書き始めるより、先に材料を集めたほうがスムーズです。募集要項の確認、自己分析、大学研究の順に進めると、「何を書けばよいかわからない」という状態から抜け出しやすくなります。
募集要項で設問・文字数・提出形式を確認する
最初に確認するべきなのは、志望大学の募集要項と実際の提出書類です。
大学によっては、「志望理由を800字以内で述べなさい」のような自由記述形式だけではありません。「高校時代に力を入れたこと」「入学後に取り組みたいこと」「卒業後の目標」など、複数の設問に分かれている場合もあります。
確認したいのは、設問、文字数や枚数、指定用紙、提出方法、提出期限です。また、志望理由書とは別に活動報告書や自己推薦書があるなら、それぞれの役割を踏まえて内容を振り分けます。
どれほど良い文章でも、聞かれていることに答えていなければ十分な評価にはつながりません。まず大学側の指示を確認してから、自己分析に進みましょう。
自己分析で志望理由につながる経験を掘り下げる
自己分析では、実績を探すのではなく、「自分が何に関心を持ち、どう考えてきたか」を整理します。
部活動で優勝した、生徒会長を務めたといった目立つ実績が必須なわけではありません。授業で興味を持ったテーマ、家族との出来事、学校行事、部活動で悩んだ経験なども材料になります。
経験を書き出したら、「なぜ印象に残っているのか」「そのとき何を考えたのか」「その後どんな行動をしたのか」と掘り下げましょう。単なる出来事だったものが、志望理由につながる原体験として見えてくることがあります。
福井先生のアドバイス
自己分析の方法のひとつとして、「自分史(ライフラインチャート)」「モチベーショングラフ」を作成するのも非常に有効です。
これは、人生の中で起こった出来事とそのときの感情の浮き沈みを可視化し、自分の価値観やモチベーションの源を理解するためのツールです。良かった出来事だけでなく、つらかった経験や挫折も正直に書き出すことが重要です。
マイナスの経験の中にこそ、あなたの成長や志望の動機が隠れている可能性があるからです。
モチベーショングラフで自分の価値観を整理する
自分の経験をうまく思い出せない場合は、モチベーショングラフを使う方法があります。

横軸を年齢や時間、縦軸を自分のモチベーションとして、印象に残っている出来事を書き込みます。ポイントは、出来事そのものより「なぜ気持ちが上がったのか」「なぜ落ち込んだのか」を考えることです。
たとえば、「文化祭で企画を考えているときが楽しかった」という経験があったとします。さらに振り返ると、「自分のアイデアを仲間と形にすることに喜びを感じる」といった価値観が見つかるかもしれません。
こうした価値観は、学びたい分野や将来やりたいことを考えるヒントになります。ただし、自己分析だけに時間を使いすぎる必要はありません。ある程度材料が見つかったら、大学研究へ進みましょう。
大学・学部をリサーチする
自己分析と同じくらい重要なのが、大学・学部のリサーチです。
自分について深く考えても、大学のことを知らなければ「なぜその大学なのか」は書けません。まず、アドミッション・ポリシー、学部・学科の特徴、カリキュラムなどを確認します。
取得できる資格や留学制度、フィールドワークなど、自分の目標に関係する制度があれば調べておきましょう。オープンキャンパスに参加した場合は、印象だけで終わらせず、「何を知ったか」「何を学びたいと思ったか」まで整理すると有効です。
シラバス・教授・ゼミ・研究室まで調べる
「なぜこの大学なのか」を具体化するには、大学の公式サイトより一歩踏み込んで調べてみましょう。
大学研究で確認したい情報を整理すると、次のようになります。
| 調べるもの | 確認したいこと |
|---|---|
| アドミッション・ポリシー | どのような学生を求めているか |
| カリキュラム | 何年次に何を学べるか |
| シラバス | 具体的な授業内容や到達目標 |
| 教授・研究室 | 自分の関心に近い研究があるか |
| ゼミ | どのようなテーマを探究できるか |
| 実習・フィールドワーク | 実践的に学べる機会があるか |
| 留学・独自プログラム | 自分の目標につながる制度があるか |
| 卒業後の進路 | 学びがどのような進路につながっているか |
大学の情報をたくさん集めること自体が目的ではありません。自分が学びたいことと関係する情報を選び、「自分はこの環境をどう使いたいのか」まで考えることが大切です。
福井先生のアドバイス
大学・学部のリサーチをするときは、大学案内の冊子や、シラバス(大学の講義内容がまとめられた資料)、大学サイトの情報を読み込んで、できるだけ具体的にシミュレーションしてみましょう。
総合型選抜の志望理由書の書き方・構成

材料をそろえたら、次は文章の構成を考えます。絶対にこの順番でなければならないわけではありませんが、経験から大学での学び、将来までをつなげると、読み手が理解しやすい文章になります。
①興味を持ったきっかけ・原体験を書く
まず、「なぜその分野を学びたいと思ったのか」が伝わる具体的なきっかけを示します。
「昔から興味がありました」だけでは、読み手には背景がわかりません。どのような出来事があり、何を感じたのかまで説明しましょう。
たとえば、国際関係を学びたい場合なら、英語ディベートで国際紛争について議論した経験などがきっかけになります。重要なのは、特別な経験を探すことではありません。
自分の関心が生まれた場面を具体的に振り返り、「この経験から○○に疑問を持った」と次につなげます。
②自分で調べたこと・行動したことを書く
興味を持っただけで終わらず、その後に自分が何をしたかを書くと説得力が高まります。
本やニュースを読んだ、探究活動で調べた、ボランティアに参加した、身近な人に話を聞いたといった行動でも構いません。さらに重要なのは、行動の結果です。
「ボランティアに参加しました」と事実だけを書くのではなく、「参加して○○という課題に気づいた」と自分の考えまで示します。自分で調べたり行動したりした過程があると、大学で主体的に学ぼうとしている姿勢も伝わりやすくなります。
③大学で学びたいことを書く
自分が見つけた疑問や課題を、大学で何を学ぶことで深めたいのかを示します。
「心理学を学びたい」「経済について勉強したい」だけでは抽象的です。どのようなテーマについて、どのような知識や方法を学びたいのかまで具体化しましょう。
大学研究で調べた授業、ゼミ、研究室なども、ここで自分の問題意識と結びつけます。ただし、大学案内の文章を並べるだけでは志望理由になりません。
「その環境を自分がどう活用したいのか」を中心に書いてください。
④将来実現したいことを書く
大学での学びが、自分の将来にどうつながるのかを示します。
必ずしも「○○会社に入りたい」「○○という職業に就きたい」と職業まで決める必要はありません。「どのような社会を実現したいか」「どのような課題に関わりたいか」という形でも構いません。
たとえば、「高齢者が情報サービスを使いやすい社会をつくりたい」など、方向性を具体的にすると大学で学ぶ理由につながります。
将来像だけが突然登場しないよう、これまで書いてきた経験や問題意識の延長線上に置くことがポイントです。
⑤「なぜこの大学なのか」で結びつける
最後に、自分の目標を実現するために「なぜこの大学で学ぶ必要があるのか」を結びつけます。
「設備が充実しているから」「教育環境が整っているから」だけでは、ほかの大学にも当てはまりやすいでしょう。自分が探究したいテーマと、大学独自の学びを対応させます。
たとえば、「地域経済を研究したい」という目標があるなら、地域でのフィールドワークや関連するゼミなどとの接点を示します。大学の特徴を褒めるのではなく、「自分の目標を実現するため、この大学の○○で△△を学びたい」という形にすると、志望理由が明確になります。
福井先生のアドバイス
志望理由書の書き方に絶対的な正解はないですが、自分がその大学・学部で学びたい理由と、アドミッション・ポリシーが合致していることを同時に示すためには、将来のビジョンと大学での学び、今まで自分が取り組んできたことを論理的に繋げて示すことが効果的です。
志望理由書の構成は内容に合わせて順番を調整する
志望理由書は、ここまで紹介した要素を必ず同じ順番で並べる必要はありません。大切なのは、読み手が「なぜこの分野に関心を持ち、なぜこの大学で学びたいのか」を無理なく理解できる流れになっていることです。
たとえば、将来やりたいことが明確なら、最初に「私は将来○○を実現したい」と示してから、そのきっかけや大学で学びたいことを説明すると、文章の目的が伝わりやすくなります。一方、志望につながった具体的な経験があるなら、その出来事から書き始め、そこで生まれた疑問や関心を大学での学びにつなげてもよいでしょう。
社会課題や探究テーマへの関心が強い場合は、「自分は○○という課題に関心を持っている」と示し、なぜそう考えるようになったのか、自分なりに何を調べたのかを続ける方法もあります。
どこから書き始める場合でも、「興味を持ったきっかけ」「自分で考えたり行動したりしたこと」「大学で学びたいこと」「将来につなげたいこと」「その大学を選ぶ理由」が文章全体の中でつながっているかを確認しましょう。
完成した志望理由書の例を見たい場合は、学部別・文字数別の例文集も参考にしてください。
評価されにくい志望理由書の特徴と改善ポイント

内容を考えるときは、「何を書けばよいか」だけでなく、「何を書くと伝わりにくくなるか」を知っておくことも大切です。ここでは、総合型選抜でありがちなNGパターンと、その改善方法を紹介します。
どの大学にも使える内容になっている
大学名を入れ替えても成立する文章は、「なぜこの大学なのか」が伝わりにくくなります。
たとえば、「充実した教育環境に魅力を感じました」「幅広い知識を身につけたいです」だけでは、多くの大学に当てはまります。
大学研究で見つけた具体的な学びと、自分の目標を結びつけましょう。「○○という授業があるから志望する」で終わらせず、「自分は△△という課題に関心があり、その授業を通じて□□を学びたい」と書くことがポイントです。
活動実績を並べるだけで終わっている
活動実績は、数や大きさより「その経験から何を考えたのか」が重要です。
「サッカー部で3年間活動した」「文化祭実行委員を務めた」「資格を取得した」と並べても、それだけでは志望理由になりません。
たとえば、部活動で試合前に緊張する仲間を支えた経験から、人の心理やメンタルサポートに関心を持ったのであれば、心理学を志望する理由につなげられます。
経験、気づき、関心、大学での学びまでつなげることを意識してください。
抽象的な言葉が多く、具体性がない
「人の役に立ちたい」「社会に貢献したい」だけでは、その人ならではの志望理由が伝わりません。
「人の役に立ちたい」と思ったのはなぜなのか、どのような人をどのように支えたいのかまで掘り下げます。たとえば、高齢者施設でのボランティア経験があるなら、具体的な出来事を示したうえで、そこから福祉や心理に関心を持った過程を説明します。
抽象的な言葉を使ったら、「具体的には?」と自分に問いかけてみましょう。
熱意だけで、根拠となる経験や行動がない
「絶対に入学したい」という強い気持ちだけでは、志望理由の説得力は十分とはいえません。
「昔から憧れていました」「誰にも負けない熱意があります」と書くより、その熱意がどこから生まれたのかを示しましょう。関心を持った経験、自分で調べたこと、取り組んだことなどが根拠になります。
熱意は言葉の強さではなく、これまでの行動や考えの積み重ねから伝わるものです。
最初から完璧を目指さず、多めに書いてから削る
志望理由書は、最初から指定文字数ぴったりに完成させようとしないほうが書きやすくなります。
最初は、思い出した経験や考えていることをできるだけ書き出して構いません。そこから、「志望理由につながるか」という基準で情報を選びます。
部活動の大会名やイベントの細かな説明など、志望理由を理解するうえで必要のない情報は削っていきましょう。一方で、具体的なエピソードまで消してしまわないよう注意が必要です。
「多めに書く→必要な情報を残す→文章を整える」という順番のほうが、内容の濃い文章を作りやすくなります。
第三者にも読んでもらい、論理の飛躍や矛盾を直す
志望理由書が完成したら、自分だけでなく先生や保護者など第三者にも読んでもらいましょう。
自分では当たり前だと思っている背景が、初めて読む人には伝わらないことがあります。「なぜ急にこの話になったのかわからない」「この経験と志望学部のつながりが弱い」といった指摘は、文章を改善する手がかりになります。
また、第三者に説明できるか確認する作業は面接対策にも有効です。
福井先生のアドバイス
論理が飛躍したり、矛盾が発生したりしないように順序に気をつけながら書きましょう。自分で見直すことはもちろん、先生や友人など他の人に読んでもらい客観的な意見をもらうことも効果的です。
最後に、提出前には設問に答えているか、その大学でなければならない理由があるか、経験から大学での学び・将来までつながっているかを確認しましょう。
加えて、面接で「なぜ?」と聞かれて答えられるか、指定された文字数や提出形式を守っているかもチェックしてください。
総合型選抜の志望理由書でよくある質問

最後に、総合型選抜の志望理由書を作る際に迷いやすい点をまとめます。「書く材料がない」「どこまで具体的に決めるべきかわからない」と悩んだときの参考にしてください。
目立った活動実績がなくても書ける?
全国大会や表彰歴など、目立った活動実績がなくても志望理由書は書けます。
普段の授業、部活動、学校行事、家族との出来事、日常で感じた疑問なども材料です。重要なのは、「何を成し遂げたか」だけではありません。
その経験を通じて何を考え、その後どのように行動したのかを掘り下げることで、その人ならではの志望理由になります。
福井先生のアドバイス
「自分には活動実績なんてない」と思う人も多いかもしれませんが、普段の授業のほか高校生活の行事や部活動など、日々の生活も自己分析の材料になります。自分の考え方の癖を言葉にしてみましょう!
将来の夢が決まっていない場合はどうする?
将来の職業まで決まっていなくても、現時点で関心のあるテーマから将来像を考えられます。
たとえば、「教師になる」と決めていなくても、「子どもが安心して学べる環境について考えたい」という方向性は示せます。無理に壮大な夢を作るより、今の自分が何に関心を持っているかを具体化しましょう。
福井先生のアドバイス
このような場合は、たとえ仮のものであっても、現時点で最も関心のある分野や考えに近いものを選んで書くことをおすすめします。大学側も、入学後に考えが変わる可能性があることは十分に理解しています。また、複数のビジョンを盛り込むと書類全体の一貫性が損なわれますし、「まだ決まっていない」とだけ記しても、大学に伝えられる情報は増えませんので推奨しません。迷いがあっても、現時点での仮の方向性で構いませんので、一度言葉にしてみることが大切です。
「なぜこの大学なのか」が思いつかない場合は?
「なぜこの大学なのか」が書けない場合は、文章を考える前に大学研究へ戻りましょう。
同じ学部名でも、大学によってカリキュラム、教授の専門、ゼミ、実習などは異なります。自分が学びたいテーマを一つ決め、それを学べる場所が志望大学のどこにあるのかを探してください。
それでもほかの大学との違いが見つからない場合は、「なぜこの大学を志望しているのか」をもう一度考える必要があります。志望理由書の表現を工夫する前に、自分と大学の接点を見つけることが重要です。
志望理由書は何文字くらい書けばよい?
大学から文字数が指定されている場合は、その指定を最優先してください。
「1,000字以内」「800字程度」など、大学によって条件は異なります。指定された範囲の中で必要な情報を十分に伝えることが大切です。
現行記事では、上限が設定されている場合は9割以上を一つの目安として紹介しています。ただし、文字数を埋めること自体を目的にはしないでください。
内容の薄い文章を増やすより、経験や大学での学びを具体化することを優先しましょう。文字数別の完成例を確認したい場合は、例文集を参考にしてください。
合格した先輩の志望理由書を参考にしてもよい?
構成を参考にするのは構いませんが、経験やテーマをそのまままねるのは避けましょう。
合格した文章と同じ構成にすれば合格できるわけではありません。総合型選抜では、その受験生自身の経験や問題意識と大学との相性が重要です。
福井先生のアドバイス
合格した先輩の書類の内容をそのまま使うのはNGですか?⇨一つの例として、構成を参考にするのは良いが、内容やテーマをまねるのは絶対NGです。
例文も同様です。そのまま使うのではなく、「どのような順番で話が展開しているか」を見るために活用しましょう。
生成AIを使ってもよい?
生成AIの利用については、まず志望大学が示しているルールを確認してください。
志望理由書は、その後の面接で内容を深掘りされる可能性があります。仮にツールを使える場合でも、自分で考えずに生成された文章をそのまま提出することは避けたほうがよいでしょう。
福井先生のアドバイス
生成AIを使って良いですか?⇨大学ルールでNGなことも多いです。仮に許可されていても使わないことをお勧めします。自分の言葉で思考を組み立てることが面接でも重要なためです。
自分の経験や考えそのものをAIに作らせるのではなく、まず自分で考えて言語化することが大切です。
併願校で志望理由書を使い回してもよい?
自己分析で整理した経験や将来像は活用できますが、志望理由書そのものを別の大学へそのまま流用するのは避けましょう。
大学ごとにアドミッション・ポリシーやカリキュラム、設問が異なるからです。たとえば、関心を持ったきっかけや高校時代の経験は共通していても構いません。
一方で、「大学で何を学びたいか」「なぜその大学なのか」は、志望校ごとに考える必要があります。過去に作成した文章を土台として使う場合も、募集要項を確認し、その大学に合わせて組み直しましょう。
まとめ 総合型選抜の志望理由書は「自分」と「大学」の接点を伝えよう

総合型選抜の志望理由書で大切なのは、立派な実績や難しい表現を並べることではありません。自分がどのような経験から何を考え、なぜその大学で学びたいと思ったのかを、一貫した流れで伝えることです。
まだ文章が書けていない人は、いきなり完成形を目指さなくて構いません。まず募集要項を確認し、自分の経験を書き出したうえで、大学のアドミッション・ポリシーや授業、ゼミなどを調べてみましょう。
「自分が学びたいこと」と「その大学だからこそできること」の接点が見つかれば、志望理由書の軸も見えてきます。構成が決まったら一度文章にし、先生や保護者などにも読んでもらいながら磨いていきましょう。
具体的な完成形を見ながら自分の文章を作りたい人は、学部別・文字数別の例文も参考にしてください。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
1995年、大阪府生まれ。京都大学経済学部経済経営学科卒業。大学3年生次にAOIの創業に参画し創業当時から志望理由、面接、小論文の指導を行う。塾内の教材開発にも長年にわたり携わってきた。
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