大学受験の志望理由書の例文集|学部×文字数別に紹介【書き方のポイントも解説】
「志望理由書の例文を参考にしたいけれど、自分の場合はどう書けばいい?」と悩んでいませんか。
志望理由書は、例文をそのまま写すのではなく、構成や具体化の仕方を参考にすることが大切です。本記事では、志望理由書に関する著書も持つ専門家・福井悠紀先生の監修のもと、大学受験で使える例文を学部別・文字数別に紹介します。
例文のどこに注目すればよいのか、自分らしい志望理由書にするにはどうすればよいのかも解説します。

編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
福井悠紀
1995年、大阪府生まれ。京都大学経済学部経済経営学科卒業。大学3年生次にAOIの創業に参画し創業当時から志望理由、面接、小論文の指導を行う。塾内の教材開発にも長年にわたり携わってきた。
目次
志望理由書の例文を学部・文字数別に紹介

まずは、大学受験の志望理由書の例文を見ていきましょう。ここでは、文系・理系の学部を取り上げ、800字から2000字まで文字数別に紹介します。
今回紹介する例文を一覧にすると、次のとおりです。
| 例文 | 文理 | 学部 | 文字数 |
|---|---|---|---|
| 例文① | 文系 | 経済学部 | 800字 |
| 例文② | 理系 | 農学部 | 800字 |
| 例文③ | 文系 | 法学部 | 1000字 |
| 例文④ | 理系 | 情報学部 | 1200字 |
| 例文⑤ | 文系 | 文学部 | 2000字 |
自分の学部や指定文字数に近い例文から確認してみてください。同じ学部の例文がなくても、文章の流れや経験の具体化の仕方は参考にできます。
なお、以下の例文は、設問に細かな指示がない場合を想定した一般的な例です。実際に書く際は、志望大学のアドミッション・ポリシーや、自分自身の経験・考えを反映させましょう。
【800字】文系・経済学部の志望理由書例文
経済学部の例文では、地域への問題意識から自分で行動し、大学での学びにつなげている点に注目しましょう。
私がやりたいことは「地域経済の活性化に貢献すること」だ。そのために、大学では地域資源を活かした持続可能なビジネスモデルや政策立案に結びつく経済学的知見を学びたい。
そう考えたきっかけは、高校の企業見学で、シャッターが閉じたままの商店街や空き家が増える街の様子を目の当たりにしたことだ。地域経済の衰退が人々の暮らしや雇用、コミュニティのつながりにまで深刻な影響を与えていることに気づいた。この気づきをもとに、地域のイベントにボランティアとして参加した。その中で、ただ「物が売れない」という話にとどまらず、「人が集まらなくなった」といった、構造的な課題が存在していることがわかった。経済活動とは単なる数字のやりとりではなく、人の営みや地域社会の成り立ちと深く結びついていることを実感した。
私は、「地方でも若者が希望を持って暮らせる社会」の実現を目指したい。そのためには、地域に眠る観光資源や産業などの強みを再発見し、それらを循環させる仕組みを築く必要がある。たとえば、地域通貨やクラウドファンディングを活用した資金循環などが有効なアプローチだと考えている。将来的には、地域の現場で中小企業の支援や地域起業を推進する公務員として、経済を動かす当事者としての役割を担いたい。
大学入学後は、1年次に「ミクロ経済学基礎」などを通して経済理論とデータリテラシーを身につけ、2年次には、地域フィールドワーク型の実践的な学びに参加して分析力と課題発見力を養いたい。3年次からは〇〇教授のゼミに所属し、「地域政策」に関する研究を深め、4年次の卒業論文では「商店街再生における地域通貨の有効性と住民参加の効果」をテーマに実証的にまとめたい。
貴学での学びは、理論と現場の双方から地域経済に向き合う力を育てるのに最適であり、自分の志を実現するための確かな土台になると確信している。そのため、貴学経済学部を強く志望する。(800字)
福井先生のアドバイス
短い字数制限の中ではありますが、自分なりに取り組みたいテーマについてリサーチして深め、学修のテーマの方向性を示せているのが良いですね。
【800字】理系・農学部の志望理由書例文
農学部の例文では、高校での課題研究と大学で学びたいことが結びついています。
私が目指すのは、「乾燥地帯でも安定して作物を育てられる農業技術」の確立である。そのために、大学では乾燥地に強い作物の生育メカニズムや栽培技術について学びたいと考えている。
そのきっかけは、中学生のときにテレビで見た、気候変動により収穫量が激減した農家の特集だった。気温上昇と降水量の減少によって作物が実らず、生活が立ち行かなくなる様子に衝撃を受けた。そこから、自然環境と食料の安定供給は密接に関わっていること、そしてそれがいかに脆いバランスに支えられているかに気づいた。
この関心から、高校では農業系の課題研究を選び、地域の有機農家を訪問してインタビューを行った。そこで得られたのは、「乾燥気候下では、土壌の水分保持力と栽培作物の選定が、農業の持続可能性に直結する」という学びだった。特に、乾燥ストレスへの耐性を持つ作物の活用や、雨水を保持するための土壌改良がカギになると実感した。
私は「世界中の人が安心して食にアクセスできる社会」を実現したい。私なりに考える解決策は、「水分保持型の土壌構造、耐乾性の高い品種、そしてそれらを活かせる栽培管理技術を組み合わせた包括的な農業モデル」を構築・実証し、地域の事情に応じて展開していくことである。
大学入学後は、1年次に「農業基礎科学」や「植物生理学」を通じて作物の基礎知識を習得したい。2年次には「農業気象学実習」などで観察力と応用力を磨き、3年次からは〇〇教授のゼミで「乾燥地における作物生育」の研究に取り組みたい。4年次には「乾燥地農業における土壌水分と作物収量の関係」をテーマに卒業論文をまとめ、将来的にはアフリカや中央アジアなどの乾燥地域で実践的な農業支援にも関わりたい。
貴学農学部は、理論とフィールドワークの両面から課題に向き合える環境が整っており、私の目標実現に最もふさわしい場である。そのため、貴学農学部を志望する。(785字)
福井先生のアドバイス
高校の課題研究の内容と大学の学びが接続されているのが良いですね。実際は繋げることが難しいこともあるかと思いますが、繋げられた場合は強い説得力を持ちます。
【1000字】文系・法学部の志望理由書例文
法学部の例文では、一つの経験から問題意識を持ち、その考えを深めていった過程が具体的に書かれています。
私がやりたいことは「誰もが安心して暮らせる法制度の実現」である。そのために、大学で法律学を体系的に学び、将来は法の専門家として社会の公正と秩序の実現に貢献したいと考えている。
そのきっかけは、中学生時代に経験したクラス内のいじめである。被害を受けた友人が担任に相談したが、学校側は「本人同士の問題」として対応を避け、やがて友人は登校できなくなった。この出来事に対し、当時の私は強い無力感を覚えると同時に、「制度はあっても、それを行使できる仕組みがなければ意味がない」という気づきを得た。
法律は存在するだけでは十分とは言えず、それを適切に運用し、人々に理解されて初めて有効に機能する。私はこの点に関心を持ち、高校では少年法改正をテーマにチームでの模擬裁判や判例分析を行った。模擬裁判や判例分析を通じて、法が単に秩序を維持するための規範ではなく、社会的公正を実現するための「調整機能」を担っていることを学んだ。また、法律の背景には個人の心理や社会構造といった複雑な要因が絡んでおり、法的思考力だけでなく、人間理解の視点も欠かせないと痛感した。
特に強く感じたのは、制度の使いにくさや届きにくさによって、本来支援を受けるべき人々が法の恩恵から取り残されているという現実である。社会的に弱い立場にある人々にとって、法制度はしばしば難解で近づきがたい存在となっている。このような「制度と人との間の距離感」こそが、現代社会における深刻な課題の一つだと考えている。そして私は、その距離を縮める役割を担いたい。そのためのキャリアとして、将来的には、行政機関での福祉政策の立案・改善など、法的支援の現場に関わる道を視野に入れている。
大学では1年次に「法学入門」などを履修し、法的思考力と制度の土台を理解したい。2年次には「民法」「刑法」など実務に直結する法律を学び、3年次からは「福祉と法の交差領域」に関するゼミに所属して研究を深めたい。4年次には「司法と社会的マイノリティ」をテーマに卒業論文を執筆し、制度と現場のギャップについて考察したい。
貴学法学部は、理論と実践を両立できるカリキュラムに魅力を感じる。フィールドワークや政策提言など、実社会と結びついた学びが可能である点に大きな意義を見出している。公共政策や国際関係への視野を広げながら、実効性ある法制度の構築に向けて努力したい。そのため、貴学法学部を強く志望する。(1000字)
福井先生のアドバイス
自分なりに法学に関する思考をブラッシュアップしていった過程と中高大学と学びを結びつけて文章化できているのが素晴らしいと思います。
【1200字】理系・情報学部の志望理由書例文
情報学部の例文では、自分で取り組んだ経験から、大学で研究したいテーマへ発展させています。
私がやりたいことは「情報技術を活用して、社会課題を解決する仕組みをつくること」である。そのために、大学では情報学を基礎から体系的に学び、実社会に役立つテクノロジーを開発できる力を身につけたい。
そのきっかけは、中学2年のときに自治体の防災アプリを使用した経験にある。災害時の避難所情報を表示する仕組みであったが、操作が直感的でなく、高齢の家族はうまく使いこなせなかった。技術があるのに使い手に届かない状況に違和感を覚えた。この経験を通して、「情報技術は人のためにあるものであり、利用者に届いてこそ真価を発揮する」と気づいた。それ以来、テクノロジーと人との関係に関心を持つようになった。
この気づきから、私は高校でプログラミングに取り組み、PythonやHTML/CSSを用いてWebサイトや簡単なアプリを制作した。文化祭では「災害時の安否確認アプリ」のプロトタイプを作成し、クラスメートと運用実験を行った。ユーザーインターフェース設計や情報の視認性の重要性を改めて認識し、「使いやすさ」と「正確な処理」の両立こそが情報技術の鍵であると学んだ。
また、「情報学は単なる技術習得にとどまらず、人間や社会の課題をどう捉えるかでアプローチが変わる学問である」と理解した。情報をどう処理し、誰にどのように届けるかが技術の有効性を左右する。
私は「誰もがテクノロジーの恩恵を受けられる社会」の実現を目指している。現状では、デジタルデバイドやITリテラシー格差により、便利な技術が一部の人にしか届かない。この格差が生活の質の差につながっている点に課題意識を抱いている。これを解決するには、「ユーザー中心の設計」と「社会実装を意識した開発」が必要だと考える。そのために私は将来、UXエンジニアや情報サービス開発の職に就き、現場に根ざした技術開発に取り組みたい。
大学入学後は、1年次に「情報リテラシー」や「プログラミング基礎」を履修し、情報学の基盤を固めたい。2年次には「人間情報インタフェース」や「アルゴリズムとデータ構造」などを通じて、情報処理と設計の接点を学びたい。3年次からは〇〇教授のゼミに所属し、「高齢者支援とIoT」について研究する。4年次には「福祉領域における情報技術の実装可能性」をテーマに卒業研究を行い、技術と福祉が交差する地点での実践的提案をまとめたい。
授業以外でも地域連携活動に参加し、ユーザーの声を聞きながら開発する姿勢を養いたい。地域の高齢者向けスマホ教室の支援や、子ども向けのプログラミング教室の運営などを通して、技術を社会に浸透させる力を培っていきたい。
貴学情報学部は、ユーザー視点を重視する実践的な教育体制と、社会課題との接点を意識した研究ができる点に魅力を感じている。だからこそ、貴学で学び、社会に貢献できる人材として成長したいと強く志望している。(1179字)
福井先生のアドバイス
自分なりにプログラミングに取り組み、その中で得た学びをもとに学修テーマを設定された点が素敵ですね。
【2000字】文系・文学部の志望理由書例文
2000字の例文では、関心を持ったきっかけだけでなく、自分の考えがどう深まったのかまで丁寧に示しています。
私がやりたいことは「人間の営みや文化を言語や文学を通して深く理解し、それを教育や社会に還元すること」である。そのために、大学では文学や思想、言語表現に関する知識を体系的に学び、人間理解を深める力を養いたい。
そのきっかけは、中学生のときに夏目漱石の『こころ』を読んだ体験である。自分とは時代も立場も異なる登場人物たちの苦悩や葛藤が、まるで自分自身のことのように迫ってきた。その感覚に衝撃を受け、「文学は時代を越えて人と人をつなぐ力を持つ」という気づきを得た。文字情報でありながら、生きた人間の姿を通して感情や価値観に触れることができる文学の力に心を打たれた。
この気づきから、私は高校に入ってからも意識的に多くの文学作品を読み、読書記録をつけながら登場人物の心理や作者の意図を自分なりに分析するようになった。また、現代文に加えて古典文学にも関心を持つようになり、『徒然草』や『源氏物語』を通して、日本文化に根ざした価値観や美意識の移り変わりに気づくようになった。特に、人間関係や感情の表現において、現代とは異なる感受性が描かれている点に興味を持った。
さらに、海外文学に触れる中で、孤独や自由、自己認識といった人間の根源的なテーマが、文化や言語の違いを越えて描かれていることを実感した。文学を通じて、自分とは異なる人生や価値観を生きる「他者」の視点に立つことの大切さに気づき、自身の考え方にも柔軟性が生まれた。
そこからさらに、「文学は読むもの」から「解釈し、議論するもの」へと私の認識が変わっていった。学校の国語の授業では自分の考えを言語化し、他者と共有する面白さを感じるようになった。作品を通して、自分とは異なる価値観や背景を持つ人々との対話の糸口が得られることがわかり、「文学は他者理解の手段」であるという新たな学びを得た。こうした経験が重なり、私は文学という分野が、人間関係や社会理解の基盤となる知的営みであると確信するに至った。
私は「多様な価値観を理解し共生できる社会」の実現を目指したい。現状では、情報過多やSNSによる言葉の表層的なやり取りが主流となり、人間関係の希薄化や誤解も生じやすい。これらの問題の背景には「他者の言葉の真意を読み解く力」の不足があると考えている。だからこそ、私は文学や哲学、言語を通して「読む力」「解釈する力」「伝える力」を養い、教育や文化活動を通じてそれを広めていく活動をしたいと考える。
さらに、文学は単なる言葉の芸術にとどまらず、時代の社会背景、ジェンダー、民族、階層などと密接に結びついている。文学を学ぶことは、過去を知り、現在を問い、未来を構想する作業でもある。たとえば近代文学の中に見られる「個人」と「国家」、「理性」と「感情」の葛藤を読み解くことで、現代社会の課題とも重なる視点が得られると感じている。私は、こうした視点を他者と共有し、未来の教育や表現に活かす力を身につけたい。
そのために私は、将来「文化行政・編集・出版などの職」に就き、人々の内面や思考の深さを引き出せるような表現・教育活動に取り組みたい。言葉や物語の持つ力で、他者と共感しあえる社会づくりに寄与したいと願っている。
大学入学後は、1年次に「文学概論」「言語表現基礎」などの科目を履修し、文学研究の視点や基礎的な批評技法を学びたい。2年次では「近代日本文学」や「比較文学」、「現代思想」などのカリキュラムを通して、国内外の文学や思想の違いと共通点を探求したい。3年次からは○○教授のゼミに所属し、「文学と社会的マイノリティの表現」について研究を進める。4年次の卒業論文では、「近代文学における家族制度の表象とその変容」をテーマに、日本人の家族観や人間関係の変化について考察したい。
また、授業以外では図書館主催の読書会や、地域の文芸活動にも積極的に参加し、言葉を介した他者理解の実践の場を広げたい。大学内で発行されている文芸誌への寄稿や、学外のエッセイコンテストなどにも挑戦し、言語表現の幅と深さを鍛えたい。読書だけでなく、自らも表現者として書くことで、他者との対話の可能性を探りたいと考えている。さらに、文芸翻訳や異文化コミュニケーションといった分野にも関心があり、語学力の向上にも努めていくつもりである。
貴学の文学部は、文学・言語・思想を横断的に学べる学際的なカリキュラムが整っている点に強く惹かれている。また、ゼミを通して主体的に研究を進める環境があり、議論を通して思考を深める風土がある点も、自分の学び方に合っていると感じている。研究と実践を往復できる学びの場として、貴学での4年間は自分の理想を実現する土台になると確信している。だからこそ、貴学文学部を強く志望する。(1941字)
福井先生のアドバイス
自分なりに文学に関する考え方を言語化できているのが良いですね。
志望理由書の書き出し例文【文系・理系・入試方式別】

志望理由書を書こうとしても、「最初の一文が思いつかない」と手が止まる人は少なくありません。
書き出しで、志望理由のすべてを説明する必要はないでしょう。まずは「将来やりたいこと」や「深く学びたいテーマ」を具体的に示し、その後にきっかけや大学での学びへつなげるのが基本です。
ここでは、文系・理系の書き出し例と、総合型選抜・学校推薦型選抜で考える際のポイントを紹介します。
文系の志望理由書の書き出し例文
文系では、将来取り組みたい社会課題や、誰にどのように関わりたいのかを具体的にすると書き始めやすくなります。
たとえば、多文化共生に関心がある場合は、次のような書き出しが考えられます。
私は将来、外国にルーツを持つ人が地域で孤立しないよう、行政の立場から生活支援の仕組みづくりに携わりたい。
「社会に貢献したい」「国際関係について学びたい」だけでは、関心のあるテーマが広く、その人自身が何をしたいのか見えにくくなります。
そこで、「誰に対して」「どのような課題に」「どのような形で関わりたいのか」まで絞り込んでみてください。書き出しの次は、「なぜそう考えるようになったのか」というきっかけにつなげると、文章の流れを作りやすくなります。
留学生との交流や授業、探究学習など、自分の関心につながった経験がないか振り返ってみるとよいでしょう。
理系の志望理由書の書き出し例文
理系では、解決したい課題や開発したい技術・ものを具体的に示す方法があります。
たとえば、エネルギー分野に関心がある場合は、次のように書き始められます。
私は将来、再生可能エネルギーを安定して活用できる都市インフラの開発に携わりたい。
「環境問題を解決したい」「工学を学びたい」だけで終わらず、どの課題に、どのような方法で関わりたいのかまで掘り下げることがポイントです。
一方で、具体性を出そうとするあまり、志望学部では学べないテーマになってしまうのは避けたいところです。書き出した内容と、大学・学部の研究内容がつながっているかも確認してください。
将来の職業までは決まっていなくても問題ありません。研究したいテーマがあるなら、「何を深く知りたいのか」から書き始める方法もあります。
総合型選抜・学校推薦型選抜の書き出しは変える?
総合型選抜か学校推薦型選抜かという違いだけで、書き出しの型を大きく変える必要はありません。
どちらの場合も、将来やりたいことや学びたいテーマを最初に示し、その背景にある経験や問題意識へつなげる考え方が基本です。
たとえば、総合型選抜だからといって、冒頭から高校時代の活動実績をすべて並べる必要はないでしょう。学校推薦型選抜でも、「高校で頑張ったこと」から必ず始めると決まっているわけではありません。
大切なのは、大学から示された設問にきちんと答えることです。「志望理由」だけを求められているのか、「高校での活動」「将来像」「自己PR」まで問われているのかによって、盛り込む内容は変わります。
まずは募集要項や出願書類の設問を確認し、「最初に何を伝えると、その後の内容につながりやすいか」を考えてみてください。
書き出しの型やNG例、書き出した後の文章のつなげ方まで詳しく知りたい場合は、以下の記事で解説しています。
志望理由書の例文からわかる書き方のポイント

ここまでの例文には、学部や文字数が違っても共通するポイントがあります。新しい例文を追加するのではなく、監修済みの5つの例文から、志望理由書を書くときに参考にしたい点を整理します。
興味を持ったきっかけを具体的にする
「なぜ興味を持ったのか」が具体的だと、その後の志望理由にもつながりを持たせやすくなります。
「昔から興味がありました」だけでは、本人ならではの背景までは伝わりません。経済学部の例文では企業見学で商店街の様子を見た経験、情報学部では高齢の家族が防災アプリを使いにくそうにしていた経験が出発点になっています。
大きな出来事である必要はありません。自分が実際に見たり経験したりしたことから、「なぜ気になったのか」を掘り下げることが大切です。
自分なりに調べたこと・考えたことを書く
関心を持っただけで終わらず、その後に何を調べ、どう考えたかまで示しましょう。
農学部の例文では地域の有機農家を訪問し、法学部では模擬裁判や判例分析に取り組んでいます。興味を持ったテーマについて自分から行動した過程があれば、その内容も整理してみてください。
福井先生のアドバイス
関心を持ったテーマに対して、自ら調べたことや深掘りした内容を記述します。その過程で見つけた課題や疑問点などを盛り込むと、主体的な学びへの意欲が伝わります。
高校までの経験と大学で学びたいことをつなげる
過去の経験と大学での学びが一本の線でつながっていることがポイントです。
活動実績を並べるだけでは、「なぜその大学・学部に進みたいのか」までは伝わりにくくなります。農学部の例文では、高校の課題研究で得た気づきが大学で研究したいテーマにつながっています。
これまで何をしたのかだけでなく、その経験を大学でどう発展させたいのかまで考えてみましょう。
大学で学びたいことと将来像をつなげる
大学への入学をゴールにせず、その先にどのような将来を描いているかまで整理しましょう。
「経済学を学びたい」「情報学を学びたい」だけでは、なぜ学ぶ必要があるのかまでは見えてきません。将来実現したいことと大学での学びをつなげることで、志望理由全体の流れも整理しやすくなります。
職業まで完全に決まっていなくても構いません。現時点で考えている方向性を具体的に言葉にしてみましょう。
「なぜこの大学なのか」まで具体化する
学びたい内容だけでなく、その大学だからこそ取り組めることまで考えることが大切です。
授業やゼミ、研究室、フィールドワークなど、自分の目標につながる学びを探してみてください。ただし、大学のWebサイトにある特徴を並べるだけでは、自分とのつながりが見えにくくなります。「その学びが自分の目標になぜ必要なのか」まで整理しましょう。
福井先生のアドバイス
「なぜその大学を選んだのか」を自分の言葉で説明できているか、同時に、大学のアドミッション・ポリシーと自分がマッチしていることまで書けているか確認しましょう。
アドミッション・ポリシーの意味や調べ方、志望理由書への生かし方がわからない場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
志望理由書には何を書く?基本の構成を確認

例文を読んだ後は、自分の志望理由書に必要な要素を整理しましょう。基本的には、興味を持ったきっかけから将来像、大学での学びまでが自然につながるように組み立てます。
興味を持ったきっかけを明確にする
まずは「なぜその分野に興味を持ったのか」という原点を具体的にします。
子どものころの体験や学校の授業、探究学習、身近な出来事など、材料はさまざまです。出来事そのものを大きく見せるのではなく、その経験によって何を感じ、何に関心を持ったのかを整理しましょう。
テーマについて調べたこと・気づいた課題を書く
興味を持った後に、自分で調べたり行動したりした内容を書きましょう。
本や論文を読むだけでなく、探究学習やインタビュー、ボランティアなども材料になります。その中で「もっと知りたい」と感じたことや、新たに見つけた課題があれば、志望理由を深める材料になるでしょう。
目指している将来像とその背景を書く
大学で学んだ先に、どのようなことを実現したいのかを示します。
必ずしも職業名まで決める必要はありません。「地域の課題に関わりたい」「教育を通して子どもを支えたい」など、現時点で考えている方向性から始めてもよいでしょう。
なぜその将来を目指すようになったのかまで説明すると、文章全体につながりが生まれます。
その実現に向けて大学でどう学びたいかを書く
最後に、将来像を実現するために大学で何を学びたいのかを具体化します。
授業名や研究テーマ、ゼミ、研究室などを調べ、自分の関心とつなげてみましょう。「有名だから」「設備が充実しているから」と特徴を並べるのではなく、自分にとってなぜ必要なのかまで考えることがポイントです。
福井先生のアドバイス
考えるべき要素が多くて混乱するかもしれませんが、要素を一つずつ考えて行けば完成に近づきます。頑張りましょう。
志望理由書の例文を参考にするときの注意点

志望理由書の例文は、完成形をイメージするために役立ちます。ただし、文章そのものを真似するのではなく、「どのように話を組み立てているか」を参考にしましょう。
例文をそのまま書き写さない
例文は、文章をコピーするためではなく、構成や具体化の方法を理解するために使います。
例文と同じ表現を使っても、自分自身の経験や価値観までは伝わりません。「きっかけからどう話を広げているか」「経験と大学の学びをどうつなげているか」といった文章の流れに注目してみましょう。
自分と同じ学部の例文がなくても、このような見方をすれば参考にできます。
自分の経験や考えに置き換える
例文で使われている要素を、自分自身の経験に一つずつ置き換えてみましょう。
たとえば、例文にボランティア経験があったからといって、自分にも同じ経験が必要なわけではありません。学校の授業や部活動、探究学習、日常生活で感じた疑問などが材料になることもあります。
「この人は何を経験したか」ではなく、「経験をどう志望理由につなげているか」に目を向けることが大切です。
アドミッション・ポリシーを丸写ししない
大学が求める学生像を意識することと、アドミッション・ポリシーの文章をそのまま使うことは別です。
アドミッション・ポリシーを確認したら、自分の経験や価値観との共通点を探しましょう。大学側の言葉をコピーするのではなく、「自分のどのような経験が、その学生像につながるのか」を説明する必要があります。
福井先生のアドバイス
非常に多いのがアドミッションポリシーの文言をそのまま書いてしまうパターンです。例えば、「多様な価値観を持った人々との協働作業を通じて、グローバル社会の問題の解決策を探ろうとする学生」という文言があったときに、「私は多様な価値観を持った人々との協働作業を通じて、グローバル社会の問題の解決策を探りたい。」と書いてしまう生徒が多いです。志望理由書で具体的なエピソードを交えアドミッション・ポリシーにどのように合致しているかを説明するべきなのに、アドミッション・ポリシーの文言を丸写しで書いても意味がありません。
志望理由書で「自分らしさ」を出すには?

志望理由書では、目立つ実績や珍しい経験がなければならないわけではありません。自分が経験したことを振り返り、そこから何を考えたのかを言葉にすることで、自分らしさにつながります。
活動実績と大学で学びたいことをつなげる
活動実績は、「何をしたか」だけでなく「何を学んだか」まで書くことが大切です。
部活動や委員会、ボランティア、資格取得などは、自分の考え方を伝える材料になります。実績の大きさではなく、その経験をどのように捉え、大学での学びにつなげたのかを意識しましょう。
たとえば、ボランティアを経験したのであれば、活動内容だけで終わらせず、その経験から何に関心を持ったのかまで掘り下げます。その関心と大学での学びがつながれば、志望理由全体にも流れが生まれます。
自己分析から自分だけの志望動機を見つける
「なぜ自分はそれを学びたいのか」を掘り下げると、自分自身の背景が見えやすくなります。
「学びたいことがある」「大学の雰囲気がよい」といった理由だけでは、自分自身の経験との関係までは伝わりません。過去に熱中したことや印象に残った授業、悩んだ経験などを振り返ってみましょう。
その中から「なぜ気になったのか」「自分は何を大切にしているのか」を考えることで、志望動機の材料が見つかります。
自分の経験とアドミッション・ポリシーをつなげる
自分の経験と大学が求める学生像に、どのような接点があるのかを考えましょう。
たとえば「主体的な学び」を重視する大学なら、自分から調査や行動を始めた経験がないか振り返ります。無理に大学側へ自分を合わせるのではなく、自分の経験と大学の方針に自然なつながりがあるかを確認してください。
志望理由書で避けたいNGな書き方

内容を考えられていても、表現があいまいだと意図が十分に伝わらない場合があります。ここでは、志望理由書を書く際に避けたい代表的なポイントを確認します。
志望理由や将来像、ストーリーがあいまい
「人の役に立ちたい」だけで終わらせず、何をどのように実現したいのかまで具体化しましょう。
「人の役に立つ仕事がしたい」は前向きな表現ですが、それだけでは幅が広すぎます。どのような分野で誰を支えたいのか、なぜそう考えたのかまで書くことで、その人自身の考えが見えやすくなります。
また、将来像と大学での学びが別々の話にならないように注意してください。
福井先生のアドバイス
まだ決まってないから、具体的なことが書きにくいという人も多いと思いますが、論理を組み立てたり、具体的にシミュレーションしたりする力が求められているので、仮でいいので、具体的に書いてしまいましょう。その場合は入学後に変わっても構いません。今回育んだシミュレーションする力を使ってもう一回学修計画やキャリアを組み立てれば良いのです。
アドミッション・ポリシーを丸写ししている
アドミッション・ポリシーを引用するだけでは、自分自身の考えは伝わりません。
重要なのは、大学が求める人物像と、自分の経験や価値観がどのようにつながるのかを説明することです。この点は前述の「例文を参考にするときの注意点」で解説したため、提出前には丸写しになっていないか確認しましょう。
言葉遣いが幼く、内容が抽象的になっている
「すごい」「いっぱい」などの口語的な表現や、意味の広すぎる言葉を多用しないようにしましょう。
また、「思います」「感じました」と同じ表現が何度も続くと、文章が単調になりやすくなります。難しい言葉へ置き換えること自体が目的ではなく、「何を」「なぜ」「どのように」と具体化し、自分の考えを伝えることが大切です。
志望理由書のNGな書き方チェックリスト
最後は内容だけでなく、誤字脱字や質問への答え漏れなども確認しましょう。
提出前に確認したいポイントは次のとおりです。
- 誤字脱字がないか
- 文字が読みにくくなっていないか
- 数字などの表記が統一されているか
- 同じ文末表現が続いていないか
- 接続詞が適切に使われているか
- 大学からの質問にきちんと答えているか
書き終えた直後は、自分ではミスに気づきにくいことがあります。少し時間を空けて読み返したり、第三者に確認してもらったりするとよいでしょう。
改行や段落など、志望理由書の形式について迷っている場合はこちらで確認できます。
志望理由書の例文についてよくある質問

最後に、志望理由書の例文を探している人が疑問に感じやすいポイントをまとめます。書き方や形式についてさらに詳しく知りたい場合は、内容に応じて関連記事も活用してください。
志望理由書の例文はそのまま使ってもいい?
志望理由書の例文を、そのまま自分の文章として使うのは避けましょう。
例文は、構成や内容の具体化の仕方を理解するための見本です。自分と同じ学部の例文でも、きっかけや経験、将来像は人によって異なります。
「この文章をどう言い換えるか」ではなく、「どのような順番で考えを説明しているか」を参考にしてください。
「思いました」はどう言い換える?
「思いました」を何度も使う場合は、自分が伝えたい意味に合わせて表現を変えてみましょう。
たとえば、「〜と考えた」「〜と認識した」「〜するに至った」「〜という結論に至った」などがあります。ただし、言い換えること自体が目的ではありません。
「なぜそう考えたのか」という理由や経験を具体的に書くことのほうが重要です。
志望理由書では「貴学」と「貴校」をどう使い分ける?
大学に提出する志望理由書では、「貴学」と表記するのが一般的です。
「貴学」は、文章の中で大学を指す際に用いられます。敬称だけを意識しすぎず、「なぜその大学を志望するのか」が具体的に伝わっているかも確認しましょう。
まとめ 例文を参考に自分らしい志望理由書を作ろう

志望理由書の例文を見るときに大切なのは、うまい表現を探すことではありません。きっかけや経験、大学での学び、将来像がどのようにつながっているかを見ることです。
まずは今回紹介した5つの例文から、自分に近い文字数や学部のものを選びましょう。そのうえで、例文に書かれている要素を自分自身の経験に置き換えながら、志望理由書の材料を整理してみてください。
書き始め方で迷った場合は書き出しの記事、文章全体の組み立て方を知りたい場合は書き方の記事へ進むと整理しやすくなります。例文を完成した文章として借りるのではなく、自分にしか書けない経験や考えを言葉にするためのヒントとして活用していきましょう。
執筆者プロフィール
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監修者プロフィール
1995年、大阪府生まれ。京都大学経済学部経済経営学科卒業。大学3年生次にAOIの創業に参画し創業当時から志望理由、面接、小論文の指導を行う。塾内の教材開発にも長年にわたり携わってきた。
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