夏休み明けに勉強がはかどらないのはなぜ?スマホ・焦り・疲れを整える3つのリセット術
「夏休みは頑張ったはずなのに、2学期が始まった途端、なぜか勉強に集中できない」。そんな状態に陥っていませんか。
夏休み明けは、勉強疲れや生活リズムの変化が重なり、中だるみが起こりやすい時期です。課題が思うように進まなかった焦りから、何から手をつければよいかわからず、ついスマホを触ってしまうこともあります。
しかし、勉強できないのは意志が弱いからとは限りません。大切なのは、夏の遅れを一気に取り戻すことではなく、2学期に続けられる形へ勉強のペースと計画を整え直すことです。
この記事では、学年最下位から京都大学合格を果たした受験戦略家・篠原好講師が、中だるみから抜け出す3つのリセット術を解説します。疲れの取り方、計画の立て直し方、受験本番レベルの課題から少しずつ再始動する方法、スマホに振り回されないための対策まで紹介します。
監修者
篠原 好
個別指導型予備校、篠原塾塾長。受験戦略家。現役受験に失敗し浪人するも、「いつ、どの教科を、どう勉強するか」という独自の受験戦略を徹底した結果、秋の京大模試で全国1位・最高偏差値84.9を獲得し、京都大学に合格。大学在学中から受験戦略家として活動を開始し、個別指導型予備校・篠原塾の塾長として5000人以上の受験相談に対応、指導実績は1000人超。 京都大学・早稲田大学など名門大学への合格者を輩出。YouTubeチャンネル登録者数11.7万人、総再生回数7000万超。NHK・フジテレビなど各種メディアでも紹介実績あり。著書『逆転合格90日プログラム』はAmazonランキング1位。
目次
2学期に待つ「中だるみ」の落とし穴
「2学期から頑張ろう」と思っていたはずなのに、なぜか机に向かえない。そんな状態に陥っていませんか?
夏休み明けに勉強のペースが落ちること自体は、そこまで珍しいことではありません。むしろ、夏休みに一生懸命頑張った人ほど、9月に入った瞬間に失速することがあります。
失速の理由は「疲労の蓄積」と「生活サイクルの変化」
「夏休みに頑張れなかった人が、9月にダラける」というイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、実際には逆のパターンもかなりあります。夏休みに頑張った人ほど、2学期の最初に突然ペースを崩すことがあるのです。理由は大きく2つ、「疲労の蓄積」と「生活サイクルの変化」です。
たとえば夏休み中、毎朝早起きして塾や図書館へ行き、1日8時間、10時間と勉強した人もいるでしょう。大量の問題集を進め、模試を受け、復習まで頑張った。そんな人ほど疲れがたまりやすくなります。
さらに、夏休みと2学期では生活サイクルそのものが違います。9月からは学校が始まります。授業や通学に加えて、体育祭や文化祭がある学校もあります。夏休みのように、1日の時間を自由に使えるわけではありません。それなのに、
- 「夏は10時間できた。だから今も10時間レベルでやらないと」
と考えてしまう。当然、同じようにはできません。すると、
- 「3時間しかできなかった」
- 「夏より全然ダメだ」
と感じ始めて、調子が悪いと思い込んでしまいます。だからこそ、夏休み明けは注意が必要なのです。
鉄則:再加速する前にリセットせよ!
夏休み明けにこうした不具合に陥ったら、一度リセットすることが大切です。
車で考えてみてください。エンジンが熱を持ち、ガソリンも減り、タイヤも傷んでいる。そんな車に向かって、
- 「もっとスピードを出せ!」
と言っても危険ですよね。まず必要なのは点検、そして慣らし運転です。それは人間も同じです。夏休み明けに失速したら、「アクセルを踏む」ことよりも「状態を整える」ことを先に考えましょう。
このあと、中だるみが起こる原因を整理してから、2学期を立て直す3つのリセット術を紹介していきます。
夏休み明けに中だるみが起こる3つの原因
夏休み明けの中だるみは「意志の弱さ」で起こるものではありません。大きく分けると、「疲れ」「計画過多によるフリーズ」「不安からの逃避」の3つが、中だるみにつながっています。

原因① 夏休みの勉強疲れが残っている
疲れは、休んだその日のうちに消えるとは限りません。夏休み中に頑張った分だけ、その疲労は体に蓄積されたまま2学期に持ち越されます。
そこで学校生活が再開し、授業や通学でさらにエネルギーを使うため、「疲れが取れないまま、新たに疲れが上乗せされる」状態になるのです。
「もう、やる気がなくなったんだ…」と決めつける前に、まずは「疲れが溜まっていないか?」を確認することが大切です。
原因② やることが多すぎて、脳がフリーズする
夏休みに予定していた勉強をやり残してしまうことは、よくあることです。それでも「全部取り返さなければ」と考えると、やるべきことが一気に増えます。
人は、やることが多ければ多いほど動けるわけではありません。むしろ、選択肢が増えすぎると、脳は「何から手をつければいいかわからない」状態になり、行動そのものが止まってしまいます。「遅れている」という事実よりも、選択肢の多さそのものが次の一歩を重くしている可能性があるのです。
原因③ 不安から逃れるためにスマホへ逃避してしまう
疲れている・やることが多すぎて動けない。そんな不安でいっぱいのときに目の前にスマホがあったらどうでしょうか? 手を伸ばしたくなりますよね。それは、不安な気持ちから一時的に逃れようとする自然な行動です。だからこそ、
- 「スマホを触ってしまうなんて意志が弱い」
と自分を責める必要はありません。ただ、注意したいのは、ここでスマホに逃げてしまうと、【疲れている→やることが多い → 不安 → スマホなどに逃避 → 時間がたち焦る → さらに疲れる】というループに入り、抜け出しにくくなることです。
それよりも、疲れ・やることの多さ・不安といった「逃避したくなる原因」そのものを取り除くことが大切です。
リセット術①:可処分時間を再計算し、学習コマ割りを再設計する

1つ目のリセット術は、2学期に実際に使える時間を数値で把握し直すことです。
学校再開後の可処分時間を計算し直す
夏休み中と2学期とでは、そもそも使える時間の総量が違います。まず、以下の手順で平日・休日それぞれの可処分時間(学習に充てられる時間)を算出してください。
- 学校の授業時間・通学時間を1日のスケジュールから差し引く
- 睡眠時間として最低7~8時間を確保した上で、残りを算出する
- 食事・移動などの固定行動を除いた残り時間を「学習に使えるコマ」として割り出す
夏休み中に「1日10時間勉強」を基準にしていた人ほど、この計算をしないまま2学期に入ると、可処分時間とのギャップに焦りを感じやすくなります。まずは、平日・休日それぞれの可処分時間を具体的な数字で出すことが、リセットの出発点です。
可処分時間を、通常モードのコマ割りに変換する
可処分時間が把握できたら、その時間をどの科目・分野に配分するかを決めます。
たとえば、平日の可処分時間が3時間だとすれば、
- 60分:配点の高い主要科目の演習
- 60分:戦略的に優先度を上げた苦手分野の基礎固め
- 60分:暗記・復習
のように、あらかじめコマとして割り振っておきます。「今日は何をやろうか」とその場で考えること自体が、可処分時間を圧迫します。前日の夜、または当日の朝にコマ割りを確定させておくことで、迷いなく学習に入れます。
これが、2学期を通じて基準とする「通常モードのコマ割り」になります。
最初の3日間は、疲労回復に集中する
可処分時間の計算とコマ割りの設計自体は、今日中に終えられます。しかし、それを「いつから、どの密度で」実行するかは分けて考えてください。
夏休みに勉強量を積んだ人ほど、2学期の始めは体力が落ちています。疲れが残ったまま通常モードのコマ割りを走らせても、集中力が続かず、かえって非効率になります。開始日から最初の3日間は、通常モードのコマ数を1~2コマ程度に絞ってください。具体的に何に取り組むかは、「リセット術③」で詳しく解説します。
それ以外の時間は、勉強を無理に詰め込まず、睡眠を優先して疲労を回復させることに使ってください。「休む」ではなく、「次の本格稼働に向けて、体力を戻す期間」と捉えるのがポイントです。
4日目以降、通常モードのコマ割りへ本格的に移行する
最初の3日間で疲労が落ち着いてきたら、4日目から先ほど設計した「通常モードのコマ割り」を本格的に稼働させます。体力の戻り具合を見ながら、コマ数を段階的に増やしていってください。急に全コマを埋めようとせず、1~2日かけて通常密度に戻す形でも構いません。
睡眠時間も「たくさん眠る」ことを目的にするのではなく、可処分時間を最大化しながら集中力を落とさない最低ラインとして、最初の3日間を含め、常に7~8時間を目安に固定してください。
リセット術②:配点に基づき、戦略的に保留する

2つ目のリセット術は、夏休みの積み残しを、感覚ではなく配点構造から仕分け、秋以降の回収計画まで含めて組み直すことです。
夏の課題をすべて持ち越さない
夏休みに終わらなかった勉強を「9月に全部やろう」と考えると、計画は崩れやすくなります。9月には9月の授業進度があり、模試もあります。そこへ夏休みの残りを丸ごと追加すれば、可処分時間を超えた計画になります。夏に終わらなかったからといって、すべてを2学期の序盤で処理する必要はありません。
配点比率から「今やる分野」と「戦略的に保留する分野」を決める
判断基準はシンプルです。
「これは配点の高い分野か、かつ自分の得点に直結する伸びしろがあるか」
志望校の過去問(赤本)や募集要項を開き、各科目の配点比率を確認したうえで、次の3つに仕分けます。
① 今すぐ着手する分野
配点が高く、かつ自分が苦手にしている分野(例:英語長文、数学微積)。基礎参考書1冊に絞り、最優先で立て直します。
② 余力があれば着手する分野
配点は高いが、すでに一定の得点力がある分野の応用・発展内容。①が一定進んだ後に着手します。
③ 戦略的に保留する分野
配点が低い、または出題頻度の低い分野です。今着手するのはやめて、「11~12月以降の共通テスト対策期にまとめて回収する」と時期を明確に決めた上で保留しましょう。保留した分野は、いつ・どのタイミングで着手するかを計画表に明記しておいてください。
配点比率と回収時期をセットで決めておけば、「今やらないこと」への不安を残さずに、目の前の学習に集中できます。
リセット術③:受験本番レベルの「最小限のタスク」から再開する

3つ目のリセット術は、再開初日から本番に直結する形で動き出すための「最小限のタスク」を設定することです。
復帰初日は「得意科目の大問1つ」を解くところから始める
疲れを取り、計画を組み直しても、いざ再開する初日になると
「今日から全範囲を本気でやらないと」
と気負ってしまう人がいます。しかし、久しぶりに机に向かう日から、いきなり過去問1年分をこなそうとすると、かえって着手できなくなります。
大切なのは、初日の目標を「受験本番に直結する、かつ確実に完了できる最小限のタスク」に設定することです。たとえば、
- 得意科目の過去問から、大問を1つだけ解く
- すでに解いた過去問1問について、正答の選択肢がなぜ正しいのか、根拠を言語化し直す
といった、実際の得点力に直結する作業まで下げてください。ポイントは、「これなら今日中に完了できる」と確信できる分量にすることです。1問分の作業でも、実際の入試形式に触れれば、そこから自然と学習量を戻していけます。
最初の3日間は「得点が安定している形式」から入る
初日の最小限のタスクを決めたら、 もう一つ意識してほしいのが、最初の3日間で何から手をつけるかです。
久しぶりの再開だからといって、初日から未習の記述問題や苦手分野の応用問題に取り組もうとすると、着手そのものが止まってしまいます。そこで、最初の3日間は、
- すでに一定の得点が安定している形式の過去問
- 一度解いたことのある過去問の解き直し
など、実力を発揮しやすい形式から始めてください。得点が安定している問題で「解けている」感覚を取り戻すことで、疲労が回復し、通常モードへ移行する4日目以降、苦手分野や未着手範囲へ移りやすくなります。
いきなり全範囲を動かそうとせず、「本番に直結する簡単なタスクから、確実に動く」。これが、中だるみから抜け出す3つ目のリセット術です。
スマホと距離を取り、集中環境を構築する
スマホが気になるときは、意志の強さに頼るのではなく、集中せざるを得ない環境を先に作ってしまうほうが合理的です。特に高3・浪人生にとって、スマホは映像授業などの学習ツールでもあるため、「使わない」ではなく「環境ごと切り替える」という発想で対策します。
自習室・カフェを「戦略的な学習拠点」として使う
自宅は誘惑が多く、可処分時間を計算通りに使いにくい環境です。塾の自習室や図書館、勉強可能なカフェなど、スマホを取り出しにくい場所を学習拠点として固定してください。
拠点を固定するメリットは、環境そのものが「ここに来たら勉強する」というスイッチになることです。場所を変えるたびに集中し直す必要がなくなり、可処分時間内での学習効率が上がります。
画面をモノクロにして、スマホの刺激を減らす
移動中や休憩中にどうしてもスマホを触ってしまう場合は、スマホの設定(アクセシビリティ機能)で画面をモノクロ(白黒)表示に変更してください。
画面から色がなくなるだけで、SNSや動画の「見たくなる」刺激が減り、「また見よう」という気持ちが起きにくくなります。設定はワンタップで元に戻せるため、まずは学習時間中だけ試してみるのも一つの方法です。
映像授業とスマホを物理的に分離する
映像授業を見るときは、SNSの入っていないタブレットやパソコンなど、スマホとは別の端末を使ってください。
スマホは自宅や別室に置いたまま、映像授業用の端末だけを持って自習室・カフェへ向かう形にすれば、「授業を見るつもりが、気づけばSNSを開いていた」という事態を防げます。
スマホが近くにあるだけで集中力が落ちる
勉強中は、スマホを机の上に置かないでください。テキサス大学の研究では、スマホが近くにあるだけで、たとえ画面を見ていなくても認知能力が低下することが示されています。実験では、スマホを別の部屋に置いたグループが最も高い成績を残し、机の上に置いたグループが最も低い成績になりました。
参照:Ward et al.「Brain Drain」(Journal of the Association for Consumer Research, 2017)
自習室やカフェであっても、スマホをカバンの底にしまう、ロッカーに預けるなど、「目に入らない・すぐには取れない」状態を物理的に作ることが、集中環境構築の基本です。
中だるみは3つのリセット術で立て直す
夏休み明けに少し失速しても、必要以上に焦る必要はありません。大切なのは、夏休みの自分に無理やり戻ろうとすることではなく、一度状態を整えることです。
1つ目は、可処分時間を再計算し、学習コマ割りを再設計することです。学校・通学時間を差し引いた可処分時間を算出し、科目ごとのコマ割りを決めてください。開始日を先に決め、最初の3日間はコマ数を絞ることで、疲労を残したまま全力を出す事態を避けられます。
2つ目は、配点に基づいて戦略的に保留することです。志望校の配点比率を確認したうえで、「今すぐ着手する分野」「余力があれば着手する分野」「戦略的に保留する分野」に仕分けます。保留する分野は、いつ回収するかまで決めておくのがポイントです。
3つ目は、受験本番レベルの最小限のタスクから再開することです。復帰初日は、得意科目の大問1つを解くところから始め、最初の3日間は得点が安定している形式で「解けている」感覚を取り戻してください。
スマホが気になる人は、意志だけで我慢しようとせず、自習室やカフェを学習拠点にする、画面をモノクロにする、映像授業は別端末で見るなど、環境そのものを変えてください。
夏休みの自分に無理やり戻る必要はありません。今の状態を整え、2学期に続けられる形へ立て直していきましょう。最高の2学期を始めるために、まずは今の状態を正しくリセットしてみてください。
9月に少し失速しても大丈夫です。ここで立て直せる人は、むしろ強いです。
次回予告:E判定から逆転する人の共通点
- 「9月なのにE判定です」
- 「ここから本当に間に合うのでしょうか?」
そんな不安を持っている人もいるでしょう。もちろん、E判定だからといって全員が逆転できるわけではありません。しかし、毎年、夏や秋の模試でE判定だったところから、第一志望に合格する受験生はいます。
では、逆転できる人と、そのまま終わってしまう人では何が違うのでしょうか。実は、単純な勉強時間だけではありません。
- 勉強の優先順位
- 模試の使い方
- 過去問との向き合い方
逆転する人には、いくつかの共通点があります。次回は、「E判定から逆転する人の共通点」をテーマに、秋からでも成績を伸ばす受験生が何を行っているのか、具体的に解説していきます。
監修者プロフィール
個別指導型予備校、篠原塾塾長。受験戦略家。現役受験に失敗し浪人するも、「いつ、どの教科を、どう勉強するか」という独自の受験戦略を徹底した結果、秋の京大模試で全国1位・最高偏差値84.9を獲得し、京都大学に合格。大学在学中から受験戦略家として活動を開始し、個別指導型予備校・篠原塾の塾長として5000人以上の受験相談に対応、指導実績は1000人超。 京都大学・早稲田大学など名門大学への合格者を輩出。YouTubeチャンネル登録者数11.7万人、総再生回数7000万超。NHK・フジテレビなど各種メディアでも紹介実績あり。著書『逆転合格90日プログラム』はAmazonランキング1位。
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