志望理由書の書き出しに悩んだら? 将来の夢を一文で言い切る書き方と例文
志望理由書を書こうとしても、「最初の一文が思いつかない」「これで合っているのか不安」と手が止まってしまう受験生は多いのではないでしょうか。例文を見ても、自分の言葉にできずに悩んでしまいますよね。
大学受験における志望理由書の書き出しは、「将来やりたいこと」を一文で宣言するだけでOKです。難しく考える必要はありません。まずは自分が将来何をしたいのかを、シンプルに言葉にするところから始めてみてください。
本記事では、総合型選抜の専門家・福井悠紀先生の監修のもと、書き出しの例文や書き方の型を紹介しながら、自分の言葉に置き換える方法やNG例までわかりやすく解説します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
福井悠紀
1995年、大阪府生まれ。京都大学経済学部経済経営学科卒業。大学3年生次にAOIの創業に参画し創業当時から志望理由、面接、小論文の指導を行う。塾内の教材開発にも長年にわたり携わってきた。
目次
志望理由書の書き出しは「結論(将来の夢)」から書けばOK

志望理由書の書き出しで大切なのは、「自分が何を伝えたいか」を最初にはっきり示すことです。
書き出しで「自分が目指す将来のビジョン」を真っ先に宣言することで、読み手に意図が伝わりやすい文章構成になります。最初の一文はいわば、"見出し"のようなもの。読み手がその先を読みたくなるかどうかが、ここで決まります。
まずは書き出しの基本的な考え方と、評価されるポイントを押さえていきます。
「将来やりたいこと」を一文で言い切る
書き出しでやるべきことはシンプルです。「将来、自分は〇〇がしたい」という宣言を、一文で言い切ってください。たとえば、次のような形です。
私は将来、地域医療に携わる看護師になりたいと考えている。
書き出しに必要なのは、この一文だけです。ここで「なぜこの大学を選んだか」や「大学でどう学ぶか」まで書く必要はありません。志望理由書は
- 将来の夢
- きっかけ
- 課題分析
- キャリア
- 大学での学び
という順番で構成します。書き出しで「大学での学び」まで先に書いてしまうと[5.大学での学び]の段落と内容が重複し、文章の論理構成が崩れてしまいます。
書き出しは志望理由書全体の入り口です。「将来こういうことがしたい」という宣言に特化させることで、その後の文章が自然な流れでつながっていきます。
書き出しで評価されるポイント
書き出しで見られているのは、将来の目標が具体的かどうかです。
「社会に貢献したい」「人の役に立ちたい」といった表現は、どの大学・どの学部にも当てはまる内容になってしまいます。「どんな分野で」「どのような形で」まで踏み込んだ言葉で書くことで、あなただけの書き出しになります。
福井先生から1ポイントアドバイス:セリフ等の引用から始める構成は推奨しない
福井先生
冒頭でセリフや名言を引用して始める形はおすすめしません。使い古された手法であり、意図がうまく伝わらなかった際のリスクが大きいため、オーソドックスな入り方で十分です。
志望理由書の書き出し例文【パターン別に紹介】

ここからは、書き出しの例文をパターン別に紹介します。
「将来やりたいこと」から書き出すことが基本とわかっても、具体的にどんな一文を書けばいいのかイメージしにくい人も多いはずです。まずは完成形を見て、書き出しの雰囲気をつかんでみてください。
例文はあくまで「型の見本」です。そのまま写すのではなく、「この構成なら自分にも使えそう」と思えるものを探す感覚で読んでみてください。
H3 志望理由をストレートに伝える書き出しの例文
オーソドックスなのは、将来のキャリアプランをストレートに伝える書き出しです。まずはNG例と、目標を具体化したOK例を見比べてみてください。
例文①
NG例:
私は将来、子どもに関わる仕事に就きたいと考えている。
OK例:
私は将来、発達障害のある子どもの学習支援に携わりたいと考えている。
例文②
NG例:
将来は、地域の課題をビジネスの視点から解決する仕事に携わりたいと考えている。
OK例:
将来は、地方の農産物を活かした6次産業化をビジネスの視点で推進する仕事に携わりたいと考えている。
どちらの例も、NG例は「何をしたいか」が漠然としています。OK例では「どんな分野で」「どのような形で」まで踏み込むことで、あなただけの書き出しになります。
福井先生から1ポイントアドバイス:他の人との差(自分ならではのキーワード)を意識する
福井先生
書き出しで差をつけるには、「自分ならではのキーワード」を入れることを意識してみてください。奇抜なことを書く必要はありません。たとえば例文①であれば「発達障害のある子どもの学習支援」、例文②であれば「地方の農産物を活かした6次産業化」がそれにあたります。対象や分野を絞り込んだ言葉を一つ入れるだけで、あなただけの書き出しになります。
学びたい内容から始める書き出しの例文
「将来の夢はまだはっきりしないけれど、学びたいことはある」という場合は、学問への関心を軸にした書き出しが使えます。
例文③
NG例:
私はデータ分析を通じて社会問題を読み解くことに関心がある。
OK例:
私は、外国人労働者の受け入れが企業の生産性や雇用環境に与える影響を、データ分析から多角的に読み解くことに強い関心がある。
例文④
NG例:
日本文学における近代の表現技法に関心がある。
OK例:
日本文学における近代の表現技法、なかでも擬人法や象徴表現が読者の感情に与える影響を深く研究したいと考えている。
この書き方は、「将来〇〇になりたい」と断言しにくい人でも使いやすいのがメリットです。NG例とOK例の違いは、「何に関心があるか」の具体性です。関心のある分野をできるだけ絞り込んで書くことを意識してみてください。
福井先生から1ポイントアドバイス:書き出しは1行でまとめる
福井先生
書き出しはあくまで志望理由書全体の入り口です。その1文だけですべてを説明しきれていなくても、後の文章で説明していく形になれば問題ありません。完璧な一文を書こうとしすぎず、「将来やりたいことが伝わるか」だけを意識してみてください。
志望理由書の書き出しの型

前章では書き出しの完成形を例文で紹介しました。ここからは、その例文の「構造」を分解して、自分の言葉に置き換えられる型として整理します。
型を使うメリットは、ゼロから文章を考えなくていいことです。まずは型に当てはめて下書きを作り、そこから自分の言葉に書き換えていく。この手順を踏むだけで、書き出しは格段に作りやすくなります。
結論から書く書き出しの型
汎用性が高いので、迷ったらまずこれを使ってください。
型:私は将来、[具体的にやりたいこと]と考えている。
将来の目標が「食品開発に関わる仕事」の場合、以下のようになります。
➡ 私は将来、植物性タンパク質を使った代替食品の開発に携わりたいと考えている。
ポイントは、[具体的にやりたいこと]の部分をできるだけ絞り込むことです。「食品開発に関わりたい」だけでは漠然としています。「どんな食品の」「どのような形で」まで踏み込むことで、あなただけの書き出しになります。
福井先生から1ポイントアドバイス:志望学部との不一致が起こっていないかチェックする
福井先生
オリジナリティを追求するあまり、志望する学部の学びや研究内容から中身がズレてしまっていないかは必ずチェックしてください。「自分ならではのキーワード」を入れることは大切ですが、それが志望する学部・学科と結びついていなければ意味がありません。
将来の目標が曖昧でも書ける型
大学受験の時点で「将来やりたいことがはっきり決まっていない」という人も少なくありません。その場合は、学問への関心を軸にした型が使えます。
型:私は[関心のあるテーマ・分野]に強い関心があり、深く学びたいと考えている。
関心が「環境問題と経済の関係」の場合、以下のようになります。
➡ 私は再生可能エネルギーの普及が地方経済に与える影響に強い関心があり、深く学びたいと考えている。
「将来の夢がないと志望理由書は書けない」と思い込んでいるとしたら、そんなことはありません。「何を学びたいか」が伝われば、書き出しとしてきちんと成立します。
福井先生から1ポイントアドバイス:AIよりも、自分の言葉で書く
福井先生
昨今は生成AIを使って文章を書く人も増えましたが、AIの文章は正確である一方、どうしても「ありきたりな表現」になりがちです。志望理由書は、あなた自身の経験や考えを伝える書類です。型を参考にしながらも、最終的には必ず自分の生の言葉で書き直すようにしてください。
志望理由書の書き出しで避けたいNG例

ここまで書き出しの例文や型を紹介してきました。ここからは避けたほうがいい書き出しのパターンを見ていきます。
NG例を知っておく意味は、「自分の書き出しが同じ落とし穴にはまっていないか」をチェックできることです。書き終えた後の見直しにも役立つので、ぜひ目を通してみてください。
抽象的すぎる書き出し
NG例:
私は将来、社会に貢献できる人間になりたいと考えている。
「社会に貢献したい」「人の役に立ちたい」「成長したい」といった言葉は、気持ちとしては本当でも、書き出しの一文としては情報が足りません。どの大学・どの学部にも当てはまる内容になってしまいます。
自分の志望理由を具体化するときは、「どんな分野で」「どのような形で」まで掘り下げてみてください。
将来やりたいことと学部・学科がズレる書き出し
NG例:
私はインクルーシブ教育を普及させ、障がい者が健常者とともに生きる社会にしたい。
この書き出し自体は具体的です。しかし、これが工学部や薬学部の志望理由書に書かれていたらどうでしょうか。
「将来やりたいこと」と「志望する学部・学科」が噛み合っていないと、読み手は「なぜこの学部を選んだのか」が見えず、違和感を覚えます。
書き出しを書いたら、「この一文は志望する学部・学科と結びついているか?」と必ず確認してみてください。
書き出しで「大学での学び」まで書いてしまう
NG例:
私は地域医療に携わる看護師になりたいと考え、1年次から地元の大学病院と協力病院で研修を受けられる貴学の看護学部を志望する。
具体的で一見よさそうに見えますが、これはNGです。
志望理由書は「①将来の夢 → ②きっかけ → ③課題分析 → ④キャリア → ⑤大学での学び」の順で構成します。書き出しで「大学での学び」まで触れてしまうと、⑤の段落と内容が重複し、文章の論理構成が崩れてしまいます。
書き出しに必要なのは「将来の夢の宣言」だけです。「なぜこの大学なのか」は後半の⑤で詳しく展開してください。
書き出しの後はどう続ける?志望理由書の基本構成

書き出しが書けたら、次に気になるのが、書き出しの後の続け方ではないでしょうか。
書き出しは志望理由書の入り口にすぎません。その先の構成がしっかりしていないと、せっかくの書き出しも活きてこなくなります。ここでは、書き出しの後に続く基本的な流れと、全体のつなげ方を解説します。
書き出しの後に続けるべき流れ
志望理由書の構成は、大きく5つのパートに分けられます。
- 書き出し(将来の夢):将来やりたいことを一文で宣言する
- きっかけ:なぜそう考えるようになったかを説明する
- 課題分析:その分野にある課題や問題意識を示す
- キャリア:将来どのような形で関わっていきたいかを述べる
- 大学での学び:なぜこの大学でなければならないかを説明する
この流れを意識するだけで、文章全体に筋が通ります。イメージとしては、

という一本の線です。書き出しで宣言した「将来やりたいこと」が、②〜⑤の流れを通じて説得力を持っていきます。
特に⑤「大学での学び」は書き出しではなく、この段階で初めて触れる内容です。書き出しで先に書いてしまわないよう注意してください。
書き出しから「理由・きっかけ」へ自然につなげるコツ
書き出しと次のパートのつなぎ目で、文章がぎこちなくなるケースは少なくありません。よくある原因は、書き出しと次の文の間に論理的な関係がないことです。
たとえば、書き出しで「地域医療に携わる看護師になりたい」と書いた後に、いきなり「私は中学生の頃、部活でキャプテンを務めました」と続くと、読み手は「なぜ急に部活の話?」と感じます。
自然につなげるコツは、書き出しの宣言に対して「そのきっかけは」「そう考えるようになったのは」で続く内容を書くことです。
私は将来、地域医療に携わる看護師になりたいと考えている。そのきっかけは、高校2年生のときに祖母の入院に付き添った経験にある。
このように、書き出しの「宣言」と次の文の「きっかけ」が因果関係でつながっていれば、読み手は自然に読み進められます。
接続を意識するときは、「この思いを持つようになったのは」「そう考える理由は」といった表現も使いやすいので、覚えておいてください。
志望理由書の全体例(理系・文系)
最後に、書き出しからその後のつながりまでを例文で確認しておきます。
<理系学部の場合>
①書き出し(将来の夢)
私がやりたいことは、再生可能エネルギーを活用した持続可能な都市インフラの開発だ。
②きっかけ
きっかけは、中学3年の総合学習で取り組んだ「エネルギーと未来社会」に関する調べ学習だ。その経験を通じて、限りある資源に依存する社会の不安定さと、気候変動がもたらす影響の深刻さに危機感を抱いた。
③課題分析
現在の日本では再生可能エネルギーの導入が進む一方、天候に左右される供給の不安定さという課題が残っている。この解決には、発電と蓄電技術を融合させたスマートグリッドの開発が不可欠だと考えている。
④キャリア 将来はエネルギーシステム開発に携わる技術者として、この課題の解決策を実社会で実装していきたいと考えている。
⑤大学での学び
そのために、スマートグリッド技術の実証実験施設を有する○○大学理工学部において、環境エネルギー工学を専門的に学びたいと考えている。
<文系学部の場合>
①書き出し(将来の夢)
私は将来、行政の多文化共生部門で、生活習慣の違いによる摩擦を防ぐ生活相談の専門窓口を設置し、地域社会における孤立を防ぎたい。
②きっかけ
高校時の留学生交流で、ベトナム人留学生と地域の高齢者の通訳をした。その際、言葉を訳すだけでは生活習慣や価値観の違いによる誤解は解けず、言語支援以上に双方の背景を調整する仕組みが必要だと痛感した。
③課題分析
法務省の調査でも多くの外国人が日本特有の生活ルールに困惑している。行政の現場はパンフレットの多言語化に留まり、相手の家族観や宗教を踏まえて生活支援を行う仕組みが不足していることが、孤立の根本要因だ。
④キャリア
この課題に対し、私は行政職員として現場と制度の両面からアプローチする。具体的には、互いの生活ルールを教え合える地域交流事業の企画や、相手の文化を理解した上で行政手続きを支援する制度を構築したい。
⑤大学での学び
貴学では、1年次に多文化社会論で基礎を学び、2年次のASEAN派遣留学でベトナムの価値観を現地で体感する。3年次は〇〇ゼミで自治体の外国人支援策を研究し、日本の地域課題に即した計画を磨き上げたい。
どちらの例も、書き出しで「将来やりたいこと」を宣言し、きっかけ・課題分析・キャリア・大学での学びへと自然につながっています。この5つのパートが一本の線でつながっていることが、説得力のある志望理由書の基本です。
書き終えたら、「書き出しで宣言した将来の夢が、最後まで一貫しているか」を必ず確認してみてください。
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志望理由書の書き出しに関するよくある質問

最後に志望理由書の書き出しについて、よくある疑問をまとめました。
書き出しは何文字くらいが目安?
書き出しは、「将来やりたいことが1〜2文で伝わる長さ」を目安にしてみてください。短すぎると情報が足りず、長すぎると読み手が内容を把握しにくくなります。
たとえば、先ほど紹介した全体例の書き出し部分を見てみます。
私がやりたいことは、再生可能エネルギーを活用した持続可能な都市インフラの開発だ。
私は将来、行政の多文化共生部門で、生活習慣の違いによる摩擦を防ぐ生活相談の専門窓口を設置し、地域社会における孤立を防ぎたい。
どちらも1文で、「将来やりたいこと」を伝えています。読み返して意味がすっと入ってくるかどうかを大切にしてください。
志望理由書でNGワードは?
明確に「使ってはいけない単語リスト」があるわけではありません。ただし、避けたほうがよい表現はいくつかあります。
まず気をつけたいのが、「御校」と「貴学」の使い分けです。「御校」は話し言葉で使う敬称で、「貴学」が書き言葉の敬称です。志望理由書は文書なので、「貴学」を使ってください。
ほかに「絶対に」「必ず」「誰よりも」といった過度な断定表現も避けたほうが無難です。熱意を伝えたい気持ちはわかりますが、読み手には根拠のない強い主張に映ることがあります。
大学の特色はどこに書けばいいか?
書き出しは「将来やりたいこと」の宣言に特化させると解説しましたが、「ではなぜこの大学を選んだのかはどこに書けばいいのか」と疑問に思った人もいるかもしれません。
「大学での学び」は、志望理由書の構成における⑤番目のパートで詳しく書く内容です。書き出しで先に触れてしまうと、⑤の段落と内容が重複し、文章の論理構成が崩れてしまいます。
書き出しでは「将来やりたいこと」だけを宣言し、「なぜこの大学なのか」はしっかり後半で展開する。この役割分担を意識することが、説得力のある志望理由書につながります。
まとめ 志望理由書の書き出しは「将来の夢」を自分の言葉で言い切るだけ

志望理由書の書き出しは、「将来やりたいこと」を一文で宣言するところから始まります。最初に将来の夢をはっきり伝えるだけで、読み手に内容が伝わりやすくなります。
最後に、書き出しが書けたら以下のチェックリストで確認してみてください。
書き出しに正解は一つではありません。大切なのは、「将来自分は何をしたいのか」が自分の言葉で伝わっているかどうかです。
まずは自分が将来やりたいことを話し言葉でいいので書き出してみてください。それを丁寧な表現に整えるだけで、書き出しの一文は完成します。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
1995年、大阪府生まれ。京都大学経済学部経済経営学科卒業。大学3年生次にAOIの創業に参画し創業当時から志望理由、面接、小論文の指導を行う。塾内の教材開発にも長年にわたり携わってきた。
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