不登校から大学受験に合格するための完全ガイド【2024年】
編集部
塾選(ジュクセン)編集部
不登校を経験していると「大学には行けるのかな…」と不安になっている人も少なくないでしょう。しかし、不登校からの大学受験にはさまざまな選択肢があり、不登校経験があったとしても合格できる可能性は十分にあります。 この記事では、不登校から大学受験に合格するために必要な資格や、その資格を取得する道すじ、不登校からの大学受験でおすすめの勉強法などについてわかりやすく解説しています。 「不登校経験があっても大学受験にチャレンジしたい」といった気持ちがあるなら、ぜひこの記事を読んで大学受験への道すじを見つけてください。
不登校から大学受験をするために必要な資格は3つ
不登校から大学受験をするためには、下記の3つの資格のうちどれか1つを取得する必要があります。
大学受験をするために必要な資格 | |
---|---|
1 | 高校卒業資格 |
2 | 高卒認定資格 |
3 | 高専・高等専修学校などの修了資格 |
これらの資格は、不登校の生徒に限らず、すべての受験生が大学入試に出願するために必要です。
つまり、この資格のうち1つでも取得していれば、不登校経験に関係なく大学受験ができます。
「不登校の経験があるけれど、大学から心機一転してがんばりたい!」という想いがあるなら、ぜひ上記の資格を取得して大学受験に挑戦してみましょう。
ここからは、大学受験に必要な資格3つについてそれぞれ詳しく解説していきます。
資格1:高校卒業
大学受験に必要な1つ目の資格は、高校卒業資格です。
全日制高校はもちろん、定時制高校や通信制高校でも卒業すれば同じ「高校卒業資格」が得られます。また高校3年生時点で「卒業見込み」となっていれば、その資格を使って在学中に大学受験できます。
ちなみに、高校は「学校が定めた必修単位数を修得できたら卒業」という形です。高校には「全日制」「単位制」「通信制」などさまざまな名称がありますが、この形は学校の種類や学科にかかわらず、共通しています。
したがって「全日制高校に通っていたけれど不登校になったから、高校卒業できないし大学受験もできない」ということはありません。
全日制高校で卒業に必要な単位が取得できなそうな場合は、通信制高校や定時制高校に転入して所定の単位数を取得することで高校卒業資格を得て大学受験に挑戦できます。
資格2:高卒認定
高校卒業資格を得るのが難しい場合には「高等学校卒業程度認定試験」、いわゆる高卒認定を取得することで大学受験ができます。
高卒認定とは、高校で学習する8〜9科目の試験を受けて合格することで「高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある」ことを証明するものです。
認定取得に必要な受験科目は、以下のように定められています。
高卒認定取得に必要な受験科目(令和6年度第1回試験から) | |||
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教科 | 試験科目 | 科目数 | 要件 |
国語 | 国語 | 1 | 必修 |
地理 歴史 |
地理 | 1 | 必修 |
歴史 | 1 | 必修 | |
公民 | 公共 | 1 | 必修 |
数学 | 数学 | 1 | 必修 |
理科 | 科学と生活 | 2または3 | 以下の①、②の いずれかが必修 ①「科学と生活」の 1科目及び「基礎」を 付した科目のうち 1科目 (合計2科目) ②「基礎」を付した 科目のうち3科目 (合計3科目) |
物理基礎 | |||
化学基礎 | |||
生物基礎 | |||
地学基礎 | |||
英語 | 英語 | 1 | 必修 |
「⾼等学校卒業程度認定試験における試験科⽬、合格要件、免除科⽬、出題範囲の変更等について(文部科学省)」を加工して作成
高卒認定試験は毎年8月と11月の2回実施され、受験資格は「受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる方」とされています。つまり、高校1年生の年度から受験が可能です。
受験回数の制限はなく、1回の試験で合格できなかった科目は、再受験できます。そのため、何度も挑戦して最終的に必要な科目に合格できれば、高卒認定が得られます。
また、高卒認定試験に合格した科目は、学校によっては卒業単位として認定されることがあります。つまり「高卒認定が取れたら卒業単位として認める」というスタンスの高校なら、高校で卒業単位を取得できない科目のみ高卒認定試験で挑戦するのも可能です。
資格3:その他(高等専門学校、高等専修学校など)
大学入試の出願資格の中には、高校卒業資格や高卒認定以外の資格もいくつか設けられています。
例として、明治大学の2024年度一般選抜募集要項に掲載されている出願資格を見てみましょう。
1.高等学校(特別支援学校の高等部を含む。以下同じ。)または中等教育学校を卒業した者および2024年3月卒業見込みの者
2.高等専門学校の第3学年を修了した者および2024年3月31日までに修了見込みの者
外国において学校教育における12年の課程を修了した者および2024年3月31日までに修了見込みの者またはこれらに準ずる者で文部科学大臣の指定した者
3.文部科学大臣が高等学校の課程と同等の課程または相当する課程を有するものとして認定または指定した在外教育施設の当該課程を修了した者および2024年3月31日までに修了見込みの者
4.専修学校の高等課程(修業年限が3年以上であることその他の文部科学大臣が定める基準を満たすものに限る。)で文部科学大臣が別に指定するものを文部科学大臣が定める日以後に修了した者および2024年3月31日までに修了見込みの者
5.文部科学大臣の指定した者 ※英国の大学入学資格として認められているGCE Aレベル資格については、1科目以上合格(評価E以上)を有する者
6.高等学校卒業程度認定試験に合格した者(大学入学資格検定に合格した者を含む。)および2024年3月31日までに合格見込みの者で、2024年3月31日までに18歳に達する者
7.本学において、個別の入学資格審査により、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者で、2024年3月31日までに18歳に達する者
「【参考】2024年度一般選抜要項 4 出願資格および出願資格を証明する書類(明治大学)」より引用(太字は筆者)
上記の出願資格のうち、高校卒業資格は1、高卒認定は6です。
それ以外の出願資格を見ると「高等専門学校の第3学年を修了(見込み)の者」「専修学校の高等課程を修了(見込み)の者」「個別の入学資格審査により、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認めた者」などがあります。
このように、大学受験に必要な資格は高校卒業資格や高卒認定だけではありません。
ちなみに、高等専門学校や高等専修学校(=専修学校の高等課程)は、一般的な高校のようにまんべんなく教科を学ぶのではなく、専門的に学びたい分野を学習できる学校です。
学べる分野としては、以下のようなものがあります。
高等専門学校や高等専修学校で学べる分野 | |
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学校種 | 学べる分野 |
高等専門学校 | 機械、材料系 電気、電子系 情報系 化学・生物系 建設、建築系 複合系 商船 その他(ビジネス・経営など) |
高等専修学校(=専修学校の高等課程) | 工業 農業 医療(准看護師) 衛生(理容、美容、調理、製菓) 教育・社会福祉 商業実務 服飾・家政 文化・教養 |
「全国の国公私立高等専門学校の学科一覧(令和6年4月現在)」「『未来をひらく高等専修学校』第2章 高等専修学校で学べる魅力ある専門分野(文部科学省)』を加工して作成
高等専門学校や修業年限が3年以上の高等専修学校に通えばほぼ大学受験資格が取得できるため、興味があればぜひ調べてください。
不登校から大学受験を目指すルートは8つ
不登校から大学受験を目指すには、高校卒業資格や高卒認定資格、高等専門学校などの修了資格のいずれかが必要です。
ここからは、不登校から大学受験を目指すための8つのルートをご紹介します。
不登校から大学受験を目指すにはいろいろなルートがあり、現在の高校に在籍し続ける以外の選択肢も複数あります。子どもの状況や挑戦したい入試方法などにあわせて、最適なルートを選びましょう。
①不登校を解決して卒業する
1つ目は、不登校を解決して現在在籍する高校を卒業することです。
不登校の解決は簡単な道ではありませんが、大学進学後や将来のことを考えるとこのルートで大学受験に臨むのは選択肢の1つです。
不登校を解決して卒業することのメリットは、主に次の3つです。
- 「自分はできるんだ」という自信がつく
- 何かあっても自ら乗り越えようとする姿勢が身につく
- 自分に合った問題解決方法を知れる
「不登校を解決して卒業まで通えた」という経験は、不登校を経験している子どもにとって非常に大きな成功体験です。この成功体験を高校生のうちに積むことで、受験勉強中に壁にぶつかったときに「自分は乗り越えられるんだ」という自信を持つことにもつながります。
②ほかの全日制高校に転校して卒業する
2つ目は、ほかの全日制高校に転校することです。
現在通っている学校で人間関係に問題を抱えていたり、学校の雰囲気が合わず通えなかったりしている場合は、転校して環境を一新するのが効果的でしょう。
全日制高校に転校するメリットは、主に次の2つです。
- 人間関係をリセットして一からやり直せる
- 高校生ならではのイベントや日常を楽しめる
全日制高校のいいところは、いわゆる高校生らしい学校生活が送れることです。
「文化祭や体育祭といった学校行事を楽しみたい」「友達と部活動に励みたい」「放課後に友達と遊びたい」などの願望がある場合は、全日制高校に転校することをおすすめします。
しかし、全日制高校への転校は懸念すべき点もいくつかあります。
- そもそも転入を実施している学校が少なく、選択肢が狭い
- すでに人間関係ができあがっているところに入るのが大変
- 不登校の根本解決ができていない場合の転校
全日制高校の転入は、そもそも欠員がなければ募集していないことが一般的です。募集時期や転入の条件も学校によって異なるため、情報収集にかなり力を入れる必要があります。
また、不登校の原因を直接解決せずに転校する場合は、転校先でまた不登校になる可能性もあります。新しく人間関係を構築するのが苦手なら、全日制高校への転入は避けたほうが無難です。
③ほかの定時制高校へ転校して卒業する
3つ目は、ほかの定時制高校に転校することです。
定時制高校は、夜間などの決められた時間帯に通う高校で、高校生から社会人、定年退職後の方までさまざまな年代の生徒が通っています。
授業のある時間帯は学校により異なりますが、主に次の3つに分けられます。
- 夜のみの「夜間定時制」
- 朝・昼の「昼間二部定時制」
- 朝・昼・夜の「三部制」
二部制と三部制は通う時間を選べるのが特徴で、自分の生活しやすい時間帯に通学したい生徒に向いています。
定時制高校に転校するメリットは、主に下記の3つです。
- 転入しやすい
- 通学して学校生活を楽しめる
- 年代・国籍・経歴などさまざまな人と交流できる
通う時間帯や学校を選べば、一般的な高校生らしい生活リズムで暮らすことも可能です。授業だけでなく部活動に力を入れている学校もあります。
また、定時制高校にはさまざまなバックグラウンドを持った生徒が集まるため、自分の考え方を大きく変える人との出会いがあるかもしれません。
卒業には最短3年、長ければ4年かかりますが、通う年数が特に気にならない生徒や、全日制とは違う通学スタイルの高校に通いたい生徒にはおすすめです。
④通信制高校へ転校して卒業する
4つ目は、通信制高校に転校することです。
通信制高校は、自宅に届いた教材を使って自分で学習し、レポートを提出して単位を取得します。そのため、自分のペースに合わせて快適に学習できるのが特徴です。
通信制高校に転校するメリットは、主に次の3つです。
- 転入しやすい
- 年数回通学すればあとは自宅学習で卒業できる
- 自分のペースで学習できる
まず大きなメリットは転入しやすいことです。通信制高校は基本的にいつでも転入を受け入れており、通学エリア内であれば問題なく転入できます。
スクーリング(=学校に行って指導を受ける)回数は学校によって異なりますが、基本的に自宅学習にしたい場合は、年数回のスクーリングでOKという学校を選ぶことも可能です。逆に週何日か通学するスタイルの学校を選ぶこともできます。
不登校の生徒にとってうれしいポイントがたくさんある通信制高校ですが、デメリットも存在します。
- 学校の友人ができにくい
- 生活習慣・学習習慣が崩れやすい
通信制高校は基本的に自宅学習であるため、自分で生活リズムや学習の管理を行わなければなりません。引きこもり傾向がある場合は、通信制高校を選択することでさらに家から出なくなる可能性もあります。
メリットとデメリットをしっかり考慮し、通信制高校が最適な選択肢かよく考えて選びましょう。
⑤高校を中退して高卒認定を取得する
5つ目は、高校を中退して高卒認定の取得に力を入れることです。
大学を一般選抜で受験しようと考えているなら、高校を中退して高卒認定を取るコースでもまったく問題ありません。なぜなら、大学の一般選抜では調査書の内容が考慮されないからです。
高校を中退して高卒認定を取得するメリットは、主に次の3つです。
- 高卒認定試験の勉強に注力できる
- 高卒認定が取れたら受験勉強に全振りできる
- 学校に通う時間も勉強できる
最大のメリットは、高校に通う時間を必要な勉強に使えることです。日中に時間ができるだけでなく、授業の予習復習や宿題をする時間、行事などの時間も自由になり、一日のほとんどの時間を自由に使えます。
「勉強を頑張ってレベルの高い大学に行きたい」「とにかく勉強が苦手だから一からやり直したい」など、勉強へのモチベーションが高い生徒にはおすすめの方法です。
一方デメリットは、次の2つです。
- 高卒認定が3年生までに取れないと受験がもう1年先になる
- 自分で勉強のモチベーションを保たなければならない
高校中退して高卒認定を取得する選択をすると、高卒認定が取得できなければ大学受験資格が得られません。
高卒認定以外の手立てを断つことになるという点は、注意する必要があります。
⑥高校卒業と高卒認定の両方を目指す
6つ目は、高校卒業と高卒認定の両方を目指すことです。
つまり、高校に通いながら高卒認定試験の勉強をすることになります。
メリットは主に次の4つです。
- 高卒認定が取得できれば高校中退しても大学受験資格がある
- どちらか一方が難しいとなっても方向転換しやすい
- 高校の授業を受けることで高卒認定試験で免除になる科目がある
- 高卒認定試験に合格すると卒業単位として認定されることがある
高卒認定と高校の単位は連動性があるため、高校に通いながら高卒認定を取得するのは大変なようで実は効率的です。
例えば、高卒認定で国語と英語に合格すると、学校によっては高校の国語と英語の卒業単位として認められる場合があります。逆に、高校の授業をしっかり受けていて高校側が単位修得を認めている科目は、高卒認定試験の免除科目になることがあります。
高卒認定試験用の勉強と費用が必要にはなりますが、それらのデメリットを考えても高校卒業を目指しながら高卒認定を取得することはおすすめです。
⑦高等専門学校に転入して第3学年まで修了する
7つ目は、高等専門学校に転入して、大学受験資格が得られる第3学年まで修了することです。
メリットは、次の2つです。
- 興味のある分野を専門的に学べる
- 大学と同じような高等教育が受けられる
高等専門学校は、一般的な高校よりも大学のような専門的かつ本格的な内容を学べる学校です。高等専門学校で学べる内容にかなり興味がある場合は、一般的な高校よりも楽しく過ごせる可能性があります。
しかし、高等専門学校はその専門性ゆえ、授業に遅れるとすぐ追いつけなくなることも多いのが特徴です。レポートなどの理系的な課題も多いため、完全不登校から高等専門学校への転入は少々大変かもしれません。
転入を考えるなら、学べる内容が面白そうという点だけでなく、学校や生徒の雰囲気との相性、学校での過ごし方など、いろいろな角度から情報を集めて判断しましょう。
⑧高等専修学校に転入する
8つ目は、高等専修学校に転入することです。
高等専修学校も、高等専門学校と同じく専門的で職業に直結する内容を学べる学校です。
高校から専門的な資格が取れることが魅力で、興味のあるものや学びたいものがはっきりしている高校生にはぴったりの環境です。また、興味関心や適性にあった学びができるという特徴から、不登校経験をもつ生徒の受け皿としても注目されています。
卒業後の進路は就職・進学が半分ずつとなっており、修業年限が3年以上の高等専修学校に通えば大学受験資格が得られます。専門的に学びたい分野がある場合や多様な学びを経験しながら大学受験を目指してみたい場合はぜひ検討するとよいでしょう。
不登校から一般選抜以外での合格は可能?
不登校から大学受験というと、学校からの推薦が必要な推薦入試や総合型選抜といった特殊な入試方法は利用できないと思われがちです。
しかし、大学や入試方法によっては、不登校からでも挑戦できるものが多々あります。
そこでここからは、不登校から挑戦できる一般選抜以外の入試方法として、総合型選抜と学校推薦型選抜について解説していきます。
総合型選抜
総合型選抜は、大学が求める学生像に合った受験生を選抜する入試方法です。志望理由や小論文、面接、学力検査などさまざまな観点から多角的に受験生を審査します。
大学・学部学科によっては、高卒認定資格で受験できたり調査書が審査対象外だったりするところもあり、不登校経験があっても十分合格の可能性があります。
不登校から総合型選抜に合格するためには、以下のステップで試験対策をしましょう。
- 出願資格を満たせる志望校を見つける
- 大学で学びたいことに関連する活動実績をつくる
- 出願書類をつくり込む
- 志望校の試験対策を万全にする
- 面接対策を万全にする
まずは「出願資格を満たす」ことが必要不可欠です。
総合型選抜の出願資格は大学・学部学科によってさまざまなため、できるだけ多くの大学の出願資格をチェックして出願可能な大学を絞りましょう。高校卒業資格があるのが望ましいですが、大学によっては高卒認定も出願資格としていることがあります。
次に重要なのが活動実績をつくることです。
不登校だと高校での学業実績や課外活動の実績がないため、それ以外で自主的に実績をつくってスキルをアピールする必要があります。本格的なボランティア活動や留学経験など、普通の高校生では時間的に難しい活動に取り組めると差別化できるでしょう。
志望校が決まったら、出願書類のつくり込みと試験対策を万全にします。特に面接対策では、不登校経験をどのように話すか決めておきましょう。質問されそうな内容を想定して回答を考えておくことで、本番でも落ち着いて対応できます。
小論文やプレゼンテーション、グループディスカッションといった総合型選抜ならではの試験は、総合型選抜の専門塾で基礎からしっかり対策するのが効率的です。
学校推薦型選抜
学校推薦型選抜は、学校長の推薦があれば誰でも出願できる「公募推薦」と、大学から決められた枠数のみ出願できる「指定校推薦」の2種類です。
不登校のまま学校からの推薦を受けることは難しいですが、転入先で心機一転してがんばることができれば、推薦を受けて受験できる可能性が出てきます。定時制でも通信制でも高校の学習をきちんと行い、単位を取得しているという実績をつくりましょう。
学校推薦型選抜で大学を受験したいなら、以下のポイントを意識して早いうちから受験対策をする必要があります。
- 早いうちから学校推薦型選抜を利用したいと学校の先生に相談する
- 学校の先生と話し合いながら志望校を絞る
- 学業成績をできるだけ高くする
- 推薦入試対策ができる専門塾を活用する
不登校から学校推薦型選抜で合格したいなら、まず学校の先生からの信頼を勝ち取り、志望校に入学して学びたいという熱意を大学側に強くアピールしましょう。
学校推薦型選抜は「この大学で学びたい!」と思える大学があり、学校の先生も推薦に協力的な場合におすすめの入試方法です。
不登校から大学受験をするときの注意点
不登校からの大学受験は、いくつか注意しなければならない点があります。
特に在籍期間は受験の年が変わってしまう重要な問題なため、大学受験を検討している場合は必ずご確認ください。
転校して高校卒業する場合は在籍期間に注意
転校して高校卒業する場合、転校前後を合わせた高校の在籍期間が3年間に満たないと3年生の3月に卒業できません。
例えば、高校2年生の2学期終わりに中退して次の2月に転校すると、高校3年生の3月時点で在籍期間が1ヶ月足りず、もう1年高校に在籍しなければならなくなります。したがって、転校して高校卒業資格を得て大学受験をしようと思っている場合は、在籍期間に注意して正しい受験年度を把握しましょう。
ただし、大学入試の出願資格を「高卒認定」にするなら、在籍期間が足りず高校3年生の3月に卒業できなくてもその年に出願可能です。
志望大学は自分に合うかどうかを基準に選ぶ
不登校から大学受験に挑むなら、志望校選びが最も重要です。
志望校選びの際には、偏差値や大学の知名度よりも学べる内容や大学の環境が自分に合うかどうかで選びましょう。
例えば、少人数指導を重視した大学では、教授1名に対して学生10数名ほどで一人ひとり丁寧に指導する環境が整えられています。一方学生数が多い大学では、100人以上収容できる大きな教室で教授の講義をひたすら聞くタイプの授業が一般的です。
ほかにも、困ったときに大学職員に相談しやすい大学や、キャリアサポートが充実している大学などがあります。大学ごとにさまざまな特色があるため、自分に合うところがきっと見つかるはずです。
「絶対ここに行きたい!」という大学が見つかれば、受験勉強のモチベーションもアップするでしょう。
最初から勉強のハードルを上げない
志望校に合格するには相応の学力が必要ですが、最初から「1日8時間勉強する」「毎日実力テストをやる」などと勉強のハードルを上げすぎないことが大切です。
特に不登校の生徒は、高いハードルを設けて達成できなかったときに「自分はやっぱりダメなんだ…」と落ち込んでしまうことがあります。
そのため、受験勉強の最初の方は「机に向かう」「参考書を開く」「塾に行く」など、できそうなことを目標にして取り組みましょう。
生活リズムや学習習慣ができてきたら、少しずつステップアップする形で進めていくのがおすすめです。
今ある知識だけで受験に挑まない
「受験は情報戦」という言葉もあるくらい、受験における情報収集は重要です。そのため、今ある自分の知識や周りの人が持つ知識だけで受験に挑まず、まずは情報収集を徹底的に行いましょう。
今は、インターネット上に大学受験に関する情報が多数公開されています。無料で最新の大学受験情報がわかるため、これを活用しない手はありません。
自分に必要な情報をピンポイントで知りたい場合は、塾に通って講師からいろいろな情報を教えてもらうことをおすすめします。
不登校から大学受験を目指す勉強法
ここからは、不登校から大学受験を目指すのにおすすめの勉強法を紹介します。
大学受験に向けた勉強方法はいろいろなものがありますが、不登校の場合には現在の学力や志望校のレベル、入試方法、受験までの期間などを考慮して最適なものを選ぶことが重要です。
ここでは主な勉強方法として5種類紹介します。ぜひそれぞれを比較して最もよさそうな勉強方法を見つけてください。
学校の教材やプリントに取り組む
学校の教材やプリントに取り組むことで、学年相当の学習範囲を学べます。
メリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット | 費用がかからない 学校の学習進度に合わせられる |
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デメリット | わからないところを 教えてくれる人がいない 指導面・学習管理面で 家庭に負担がかかる 学年相当の学力がないと ついていけない |
学校教材で勉強するのは、学力面に問題がない場合におすすめです。
一方、学年相当の学力がない場合は難しいでしょう。わからないところがあったら解けないまま立ち止まってしまううえに、その都度保護者が教えるのでは、かなり負担になります。
学力面で課題がある場合は、通信教材や家庭教師、塾などわからないところを教えてくれる学習サービスを利用したほうがよいでしょう。
通信教材で勉強する
自宅で決まったペースで学習したいなら、通信教材を利用する手があります。
通信教材は、だいたい月1回ペースで届く教材で学び、テストなどを提出して添削してもらう勉強方法です。大きく分けて、紙テキストでテストを郵送するスタイルとインターネット上ですべて完結するスタイルの2種類があります。
メリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット |
決まった教材を使って 自分のペースで学習できる テストなどの提出でポイントが たまるサービスがある 学力や志望校に合わせて サービスを選べる |
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デメリット | 自分で学習管理する必要がある 質問対応のスピードが遅い場合がある |
自宅での学習習慣ができていて、決まったペースで学べる場合はおすすめです。
ただし、サービスによっては戻り学習(=現在の学年よりも下の学年の範囲を学ぶこと)が難しいことがあるため、注意しましょう。
オンライン家庭教師を利用する
オンライン家庭教師は、週1回ほどオンライン上で家庭教師とつながり、マンツーマンの個別指導を受けられるサービスです。
生徒の状況に合わせて学習内容や教材を決められるため、塾よりも柔軟に学習計画を変えられます。
メリットとデメリットは以下のとおりです。
メリット | 学力や志望校に合わせた 指導が受けられる わからないところは都度質問できる 移動や準備の時間がほぼいらない 休みや振替などの調整がしやすい |
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デメリット | 指導時間以外は自主学習が必要 家庭教師の力量に左右される |
オンライン家庭教師は、苦手克服や戻り学習を重点的に行いたい生徒に向いています。
指導日以外の自主学習ができるか不安な場合は、学習計画を立ててくれたり、指導日以外にもチャットで質問対応をしてくれたりするサービスを選択するといいでしょう。
フリースクールで勉強する
学校以外の勉強できる場所としては、フリースクールが挙げられます。
学校の代わりとなる居場所として、学習支援だけでなく、レクリエーションや芸術活動などさまざまな取り組みを行っているのが特徴です。
学習支援では、学校のような一斉授業ではなく、自分のペースに合わせて学習を進められるようになっています。
メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | 学校のように日中を過ごせる 教科学習以外も体験できる 学校によっては 出席扱いとなる場合がある |
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デメリット | 費用負担が大きめ 大学受験に向けた勉強が できるわけではない |
フリースクールは、学校以外で学校のように多くの人と日中を過ごせる場所をお探しの生徒や、学校の出席日数を増やしたい生徒に向いています。
一方大学受験に向けた勉強ができる場所ではないため、学力アップに力を入れたい場合にはあまりおすすめできません。
塾で勉強する
大学受験に向けてしっかり学力をつけたいなら、塾に通うのが最適です。
塾では、試験に向けた指導のほか、基礎固めのための戻り学習や受験情報の共有など、生徒が大学に合格するために必要な指導を行います。
メリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | 通塾で学習習慣・ 生活リズムが整えられる 講師や周りの生徒から 刺激を受けられる 自主学習より モチベーションを維持しやすい |
---|---|
デメリット | 塾によっては費用がかかる 決まった日時に通塾する必要がある |
不登校だったとしても、塾の雰囲気や指導スタイルによっては「学校より通いやすい」と思えることもあります。
今は大学受験向けの塾といってもかなり種類があるため、自分の学力や志望校、希望の指導スタイル、受験する入試方式などに合わせて選択しましょう。
不登校でも大学受験したいなら「学校に通えないから塾にも通えないはずだ」と決めつけるのではなく、自分に合う塾を見つけてしっかり受験対策をすることをおすすめします。
不登校から大学受験を目指すためのおすすめ塾
- 個別教室のトライ
料金 | 料金はお問い合わせください |
---|---|
対象学年 | 小・中・高の全学年 |
授業形式 | 個別指導 |
エリア | 東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・群馬・栃木 |
参照:個別教室のトライの公式ホームページ 2024年2月時点 全て税込表示
- 個別教室のトライをおすすめするポイント💡
POINT1:目標や現状に合わせて専用カリキュラムを作成
POINT2:学習に関する相談はいつでも可能
POINT3:講師は専任制で信頼関係を構築しやすい
個別教室のトライは、1対1のマンツーマン指導をしている学習塾です。目標や現状に合わせて専用カリキュラムを作成し、それぞれのペースで学習。スケジュールは自由に決められるため、不登校の子どもも無理なく勉強を続けられます。
授業を担当する講師は、厳しい採用基準をクリア済みです。専任制で担当するため、子どもとの信頼関係をスムーズに構築できます。また相性が合わないと感じたときは、無料で交代してもらえるため安心です。
特に、トライ式高等学院のキャンパスが併設されている一部教室ではノウハウのあるスタッフや講師が多く、知見を活かしたサポートを期待できます。
- 坪田塾
料金 | 1,530~2,736円(1時間あたり) |
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対象学年 | 中・高の全学年 |
授業形式 | 個別指導 |
エリア | 東京 |
参照:坪田塾の公式ホームページ 2024年2月時点 全て税込表示
- 坪田塾をおすすめするポイント💡
POINT1:教科を横断した講師同士によるサポート
POINT2:それぞれのスケジュールに合わせて受講可能
POINT3:9つの性格タイプに合わせた心理学を用いた指導
坪田塾は、学年ビリから慶應義塾大学に現役合格したことで知られている、ビリギャルのモデルとなった個別指導塾です。授業は個別指導スタイルで、教科を横断した講師が連携して子どもをサポート。チームで支える体制が整っており、不登校の子どもも安心して通えます。
学力や希望、スケジュールなどに合わせて通える個別カリキュラムを導入。また「完璧主義者タイプ」「芸術家タイプ」など、子どもの性格を9つに分ける心理学を学習指導に活用しています。
- 1対1ネッツ
料金 | 料金はお問い合わせください |
---|---|
対象学年 | 小・中・高の全学年 |
授業形式 | 個別指導 |
エリア | 東京 |
参照:1対1ネッツの公式ホームページ 2024年2月時点 全て税込表示
- 1対1ネッツをおすすめするポイント💡
POINT1:対話式の個別指導ですぐに質問できる
POINT2:コーチングスキルによって自宅学習を促す
POINT3:講師と担任コーチによるダブルサポート
1対1ネッツは、対話式の個別指導塾です。〇✖だけで学力を判断せず、子どもとの対話を通して解答へ至った過程などをチェック。生徒自身の言葉で説明する場面が多く、あいまいな知識が整理されます。講師は常に近くにいるため、わからない箇所はすぐに質問できるのも安心です。
担任コーチはコーチングスキルを持っており、生徒が自ら学習に取り組めるよう導きます。講師と担任コーチがタッグを組み、ダブルサポートで勉強できる学習塾です。
不登校で塾に通った生徒をもつ保護者の経験談
ここでは、不登校時に塾へ通っていた生徒をもつ保護者の経験談をご紹介します。
不登校中の学習について「不登校でも塾に通えるの?」「学校に行かないで塾だけ行って学力は伸びるの?」といった不安や疑問をお持ちの場合はぜひ目を通してみてください。
〇不登校経験のある生徒の保護者に聞いた、塾に通った良い変化
実際に不登校時に学習塾へ通っていた生徒の保護者、または本人へ「塾に通った良い変化」について回答していただきました。
塾に通った良い変化 | 回答割合 | |
---|---|---|
第1位 | 学校と同じ進度で勉強ができるようになった | 29% |
第1位 | 不登校前よりも集中して勉強できるようになった | 29% |
第1位 | 不登校が解消した | 29% |
n=7 複数回答可 調査期間:2024年2月3日~2024年2月9日 調査方法:弊社インターネット調査「不登校経験のある小中高生(保護者も含む)の経験談を募集!」
独自アンケートによると「学校と同じ進度で勉強ができるようになった」「不登校前よりも集中して勉強できるようになった」「不登校が解消した」が同率1位で29%でした。
また、具体的に塾に通った変化について、以下の経験談が寄せられています。
元々、通っていた学習塾のため、知り合いや学校の友達がおり、それらの者と接することで、子供は孤独にならずに済んだ。
学習塾に通うことで、学校の授業の進捗状況が分かる。これが分からないと、テスト範囲も分からない。不登校でもテストだけ受けていたから。
進路相談が出来ることで、子供の視野(選択)が広がる。
n=7 複数回答可 調査期間:2024年2月3日~2024年2月9日 調査方法:弊社インターネット調査「不登校経験のある小中高生(保護者も含む)の経験談を募集!」
塾に通うことによって、勉強以外のメリットをうむこともありそうです。
まとめ
今回は、不登校からの大学受験に必要な資格や受験を目指すルート、おすすめの勉強方法などについて詳しく解説してきました。
不登校からの大学受験は簡単なものではありませんが、やり方次第で志望校に合格できる可能性も十分あります。自分が取得しやすい資格を選んで学びやすい環境で学び「絶対通いたい!」と思える大学を見つけてがんばれれば、きっと合格を勝ち取ることができるでしょう。
ぜひ今回紹介した内容を参考にして、志望校合格への道を歩みはじめてください!
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執筆者プロフィール
塾選(ジュクセン)編集部です。実際に学習塾の運営経験がある者や大手メディアの編集経験がある者などで構成されています。塾選びにお悩みの保護者や学生の方に向けて有益な情報をお届けします。