沖縄県の高校受験完全ガイド｜スケジュール・勉強法・志望校の選び方

沖縄県の公立高校と私立高校では、受験制度や入試科目、合格基準などが異なります。公立高校では2025年から「特色選抜」が新たに導入されるため、従来の受験制度からの変更点を正しく理解することが重要です。

しかし「受験の仕組みがよくわからない」「どのようなスケジュールで受験が進むの？」と、沖縄県の高校受験に疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。

本記事では、沖縄県の高校受験に関する基本情報、公立・私立の違い、志望校の選び方について詳しく解説します。沖縄県の高校受験について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

沖縄県の高校受験の基本情報

まずは沖縄県の高校受験の基本情報を見ていきましょう。

2025年から特色選抜が導入される

沖縄県の公立高校入試では、2025年から中学校長の推薦が必要だった推薦入試がなくなり、生徒自ら出願を決められる特色選抜が導入されます。

特色選抜は、各高校や学科が定めた「求める生徒像」および「選抜において重視する観点」を理解し、特色選抜の出願要件を満たす人が出願可能です。一般選抜と共通の学力検査以外に、面接や実技検査、学校独自検査などを行い合否を判定します。

ただし特色選抜のみの出願はできません。特色選抜に出願する場合は一般選抜も受ける必要がありますが、それぞれ異なる学校に出願することが可能です。

高校受験の流れ

公立高校の場合

沖縄県の公立高校では、合格者が募集定員に満たない場合、以下の日程で第2次募集を実施しています。

沖縄県の公立高校を受験する生徒は、12月中旬に三者面談を行い、志望校を決定します。特色選抜・一般選抜ともに2月上旬に願書を提出し、3月上旬に検査を実施。3月中旬に合格発表という流れです。

また沖縄県の公立高校では、合格者が定員に満たなかった学科やコースで第2次募集を実施。3月中旬に出願し、3月下旬に検査・合格発表が行われます。

私立高校の場合

沖縄県の私立高校の推薦入試を受ける場合、10月から11月に三者面談で志望校を決定し、11月に出願。12月に検査を受けて、合否を判定します。

一方で一般入試を受ける生徒は、12月中旬から1月下旬に出願し、1月上旬から1月下旬の検査を実施します。検査が終わって1週間以内に合格発表が行われるのが一般的です。

沖縄県 公立・私立高校の受験制度の違い

ここからは沖縄県の公立高校と私立高校の受験制度の違いを解説します。

公立高校の受験制度

• 入試の種類：特色選抜と一般選抜の2種類
• 選考方法（特色選抜）：学力検査（一般選抜と共通）＋（高校によって）面接・学校独自検査・実技検査
• 選考方法（一般選抜）：学力検査＋内申点＋面接＋（高校によって）実技検査
• 倍率：2025年の平均倍率は0.92倍。人気校の倍率は1.50倍。一般選抜よりも特色選抜のほうが倍率が高い傾向がある。
• 学費：原則授業料の納付が必要だが、保護者の所得状況によっては支援制度が適用され、学費の負担が軽減される。
• 特色：公立高校入試は1回のみ実施され、特色選抜と一般選抜の2つの方法で選抜する

沖縄県の公立高校入試は、特色選抜と一般選抜の2種類に分けられます。特色選抜では、学力検査の結果と、各高校の判断で実施される面接・学校独自検査・実技検査の結果から合否を判定します。

一般選抜では、学力検査の結果と内申点、面接を実施。芸術系の学校であれば実技検査を行う場合もあります。学力検査と内申点の比重は原則同等で評価され、合否が決まります。

私立高校の受験制度

• 選考方法：学校ごとに異なり、推薦入試・一般入試がある
• 学費：公立よりも高額だが、奨学金や補助制度が利用可能
• 特色：学校ごとに特色あるカリキュラムや付属大学への進学ルートがある

沖縄県の私立高校では、推薦入試と一般入試（専願・併願）と2種類の選考方法があります。推薦入試は、調査書などの提出書類と面接、作文などで合否を判定するのが一般的です。中には国語・数学・英語の3教科の学力検査を実施する高校もあります。

一般入試では、国語・数学・英語の3教科の学力検査と面接で合否を判定する高校が多いでしょう。

公立高校の特色選抜とは？

沖縄県の公立高校入試で導入された特色選抜とは、生徒が自ら出願を決めることができる選抜方法です。従来の推薦入試のように中学校長の推薦書は不要で、特色選抜の出願要件を満たせば、誰でも出願できます。

特色選抜での検査内容は、学力検査と面接・学校独自検査・実技検査から各高校が定めた検査を実施。特色選抜だけでの出願はできませんが、特色選抜と一般選抜でそれぞれ異なる高校に出願が可能です。

ただし特色選抜での合格者定員は、普通科で募集定員の20%以内、普通科以外では募集定員の40%以内と決められており、合格する確率は決して高くありません。また特色選抜を受験する生徒も一般選抜の学力検査を必ず受ける必要があるため、受験勉強は不可欠です。

受験科目と配点

沖縄県の公立高校と私立高校では、受験科目にも違いがあります。

公立高校の受験科目・配点（特色選抜）

沖縄県の公立高校の特色選抜では、一般選抜で受ける学力検査の結果が合否に影響します。各教科の思考力を問う記述式問題以外の得点（各教科配点50点）を、学力検査の成績として評価します。

面接・実技検査・学校独自検査などの学校の判断で行った検査の成績と、学力検査の成績をもとに合格者を選抜します。

公立高校の受験科目・配点（一般選抜）

公立高校の一般選抜では、国語・数学・英語・理科・社会の5教科の学力検査を実施しています。各教科60点満点で合計300点満点です。

学力検査の結果と調査書、面接の結果で合否を判定します。学力検査の結果と調査書の評価比重は、原則同等です。ただし一部の高校では「調査書4：学力検査6」や「調査書4.5：学力検査5.5」などの比率で評価する場合があります。

私立高校の受験科目・配点

沖縄県の私立高校では、推薦入試と一般入試が実施されます。推薦入試では学力検査がなく、面接や作文のみの高校が多い傾向があります。

一般入試は、国語・数学・英語の3教科の学力検査が実施されるのが一般的です。提出書類と学力検査の結果、面接などを総合的に判断し、合否を判定します。

受験スケジュール（2025年版）

ここでは沖縄県の高校受験のスケジュールを紹介します。

まずは公立高校の入試日程です。

沖縄県公立高校入試日程（2025年）

特色選抜

一般選抜

2025年の公立と私立の高校受験スケジュール比較表

（出典：沖縄県「【令和6年度実施】県立高等学校入試関連情報（試験日程・実施要項・出願手続きなど）」）

沖縄県の高校受験における内申点の基本

内申点は、高校受験の結果を左右する重要な要素の一つです。しかし「内申点には何年生の成績が影響するの？」「内申点はどうやって計算するの？」と疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。

ここからは内申点の対象期間や計算方法を解説します。

内申点の対象期間

沖縄県の高校入試では、中学1年生から中学3年生までの成績が内申点に影響します。主要5教科と実技4教科の計9教科の5段階評価をもとに内申点を計算します。

内申点の計算方法

沖縄県公立高校の一般入試では、内申点は以下のように計算します。

例えば中学1年生から中学3年生の9教科の評価がすべて「3」だった場合、中学1～3年生の各学年の内申点は5×3＋4×3×1.5で33点となり、合計99点となります。

特色選抜でも、中学1年生から中学3年生までの成績で内申点が評価されます。ただし内申点の評価基準や算出方法は、学校によって異なる場合があります。

内申点を上げる方法

沖縄県では、中学1年生の成績から内申点に影響します。公立高校を受験したい人は、早めに内申点アップに向けた対策を行うことが大切です。

各教科の成績を上げるには、定期テスト対策だけでなく、課題の提出や授業態度なども気をつける必要があります。

確実に成績を上げたい場合は、定期テストで高得点をとることが不可欠です。1点でも点数を上げることで評定が上がり、内申点アップにもつながるでしょう。

また課題を期限内に提出するのも内申点を上げる方法の一つです。提出日を守りつつ、課題は最後まで丁寧に仕上げましょう。

各教科の成績をつける際には、授業態度も評価されると認識しておきましょう。授業中に積極的に質問したり、わからない箇所を教師に質問したりすると授業の積極性を評価され、内申点アップにもつながります。

志望校の選び方

高校受験を成功させるには、志望校を早めに決めることがポイントです。なぜなら志望校を決めると現在の実力からどのような勉強が必要かが明確になり、効率よく受験勉強を進められるためです。また志望校を決定すると、学習のモチベーションにもつながるでしょう。

しかし沖縄にはさまざまな高校があるため、志望校選びに困っている人もいるでしょう。ここからは志望校の選び方を解説します。

偏差値だけで決めない！適切な学校選び

志望校を選ぶ際は偏差値だけでなく、学校の雰囲気や授業内容にも目を向けることが大切です。

高校ごとに校風は大きく異なり、学校行事に力を入れているところもあれば、勉強と部活動の両立を推奨しているところもあります。実際に資料を確認したり、オープンスクールに参加したりして、自分に合うかどうかを確かめておきましょう。

さらにカリキュラムも重要なポイントの一つです。英語教育に特化した学校や、理系科目の授業が充実している学校など、それぞれ特徴があります。特に大学進学を考えているなら、志望校の入試に適した学習環境が整っているか確認し、自分の目標に合う学校を選びましょう。

公立高校 vs 私立高校のメリット・デメリット

ここでは公立高校と私立高校のメリット・デメリットを比較しましょう。

公立高校は費用が安いのがメリットの一つです。しかし私立高校よりも生徒一人ひとりへの学習サポートが手厚くないため、授業に遅れないように自分で予習・復習をしっかりする必要があります。

私立高校は生徒一人ひとりのサポートが手厚く、大学受験対策にも力を入れている学校が多いでしょう。ただし私立高校の校風は各学校で大きく異なるため、入学後に校風が合わないと感じる場合もあります。

それぞれのメリット・デメリットを比較して、公立・私立どちらにするか検討してみてください。

志望校のオープンキャンパス活用法

志望校を選ぶ際には、複数の高校のオープンキャンパスに参加して比較することが大切です。

オープンキャンパスで確認したいポイントは以下のとおりです。

教師の雰囲気

高校によっては体験授業が受けられます。どのような雰囲気で授業が進むのかを確認しましょう。

施設の充実度

校舎、体育館、プール、グラウンドのほか学食や購買の有無など、自分がこの高校でどんなことをしたいかを想像しながら、どのような施設が必要かを考えましょう。またトイレや更衣室の清潔さもチェックしておきたいポイントです。

通学の利便性

通学にかかる時間や、電車の場合は利用経路などを調べておきましょう。自転車や徒歩の場合は、天候が悪い日でも通学しやすいかも考えてみましょう。

学習カリキュラム

文系・理系の決定時期、クラス分けが成績別かどうか、定期テストや大学進学に対するサポートなどは、自分の進路に関わるので重要です。

部活動の様子

部活動の加入率や入りたい部活動があるかなどを確認しておきましょう。

オープンキャンパスでは、資料や先輩の話だけではわからない、実際の高校の雰囲気を感じることができます。高校によっては、オープンキャンパスで授業を体験したり、部活動に参加したりできます。授業の雰囲気や部活の様子などを実際に見ることで、入学後の学校生活をイメージしやすくなるでしょう。

気になる高校がある場合は、積極的にオープンキャンパスを利用しましょう。

進学実績・大学合格実績の確認

大学進学を目指すなら、志望校の合格実績を確認することが大切です。進学実績が高い高校は進路指導や受験対策が手厚い傾向があり、受験を有利に進められる可能性があります。

大学進学に力を入れている高校では、進学セミナーの開催や個別の進路相談など、受験生をサポートする制度が整っています。また高校によっては指定校推薦の枠があり、一般受験よりも有利に大学進学を目指せる場合もあるでしょう。

各高校の進学実績は学校の資料で確認できます。さらにオープンキャンパスや説明会に参加し、進学サポートの詳細を直接聞いてみるのもおすすめです。

進学実績をよく調べ、自分の目標に合った高校を選びましょう。

塾・家庭教師・オンライン学習の選び方

高校受験を控えている生徒の中には、塾に通うかどうか迷っている人もいるのではないでしょうか。

高校受験対策を実施している塾は、主に「集団指導塾」「個別指導塾」「映像授業の塾」「オンライン塾」の4種類です。

文部科学省が公表したデータ※によると、公立中学校に通っている生徒の中で、72.7%が家庭教師を利用しておらず、34.1%が塾を利用していないことがわかります。

この結果から、公立中学校に通っている生徒の約3割は家庭教師を利用し、約7割は塾を利用しているといえます。文部科学省のデータは中学生全体の割合なので、中学3年生に絞ると、家庭教師や塾を利用している人の割合はさらに増えると考えられます。

ここからは塾選びのポイントを解説します。塾選びに困っている人は、ぜひ参考にしてください。

※（出典：文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」）

集団塾 vs 個別指導塾の違い

塾選びにおいて、集団塾と個別指導塾のどちらが自分に合っているのか迷う人は多いでしょう。ここではそれぞれの特徴について解説します。

集団塾は、1クラスに複数の生徒が在籍し、講師が一斉に授業を行うスタイルです。学校の授業と似た形式で進められ、あらかじめ決められた年間カリキュラムに沿って授業が進行します。学力や志望校別にクラスが分けられることが多く、模試の成績が掲示される塾もあります。

競争意識が高まるため、ライバルと切磋琢磨しながら学びたい人におすすめです。

個別指導塾では講師が1～3名程度の生徒を担当し、それぞれの学力や目標に応じたカリキュラムで指導を行います。講師との距離が近く、疑問があればすぐに質問できる環境です。

苦手科目を重点的に学びたい人や、じっくりサポートを受けながら学習を進めたい人に適しています。

自分の学習スタイルや目標に合った指導形態を選び、効率よく学力を向上させましょう。

オンライン学習の活用法

高校受験の準備を効率よく進めたい場合、オンライン学習の活用を検討するのも一つの方法です。

オンライン学習は、インターネット環境があればどこでも受講可能です。自宅でも学べるため通塾の時間を削減でき、勉強に集中しやすくなります。部活動や習い事で忙しい人でも自分のスケジュールに合わせて学習しやすいでしょう。

さらにオンライン講座では有名講師の授業を受けられるケースもあります。映像授業の場合は繰り返し視聴ができるため、理解を深めるのに役立ちます。

ただし高校受験の出題傾向は地域によって異なるため、オンライン学習だけでは不十分なこともあります。地域密着型の塾のほうが受験対策としては適している場合もあるため、塾を選ぶ際は合格実績などを事前に確認しましょう。

模試の活用法

高校受験対策を効率的に行うには、模試の活用は不可欠です。模試は受験すると自分の現在の立ち位置や苦手分野を知ることができます。これから力を入れて勉強する必要がある範囲を絞れるため、効率的に学習を進められます。

ここからは模試の活用法について紹介します。

主要な模試の種類（おきなわ県模試・沖縄県統一プレ入試）

まずは沖縄県の高校入試に対応した主要模試を2つ紹介します。

模試の判定結果の見方

模試の結果の中で一番気になるのは志望校の判定結果ではないでしょうか。志望校がA判定やB判定であれば安心する人も多いでしょう。しかし模試の結果がよかったとしても、それだけで志望校合格が保証されるわけではありません。

模試の判定結果は、あくまで現段階の学力による評価であると認識しておくことが大切です。直近の模試で志望校の判定がよくなかった場合でも、これから精一杯受験対策を頑張れば志望校に合格できる可能性があります。反対に模試でAやB判定だったことに安心し、勉強を疎かにすると志望校に合格できないケースもあるでしょう。

模試を受験勉強に活用するためには、見直しが不可欠です。模試の結果が返ってきたら、間違えた問題や得点がとれなかった分野を見直すと効率よく学習を進められます。

まとめ

沖縄県の高校受験では、公立と私立で受験制度や選考基準が異なります。特に公立高校では2025年から「特色選抜」が導入されるため、選考方法や出願条件をしっかり確認しましょう。

また高校受験を成功させるためには、志望校を早めに決定しておくことが大切です。志望校選びでは偏差値だけでなく、校風やカリキュラム、進学実績なども考慮し、オープンキャンパスなどを活用して判断しましょう。

受験を控える多くの中学3年生は、受験対策のために塾を活用しています。学習塾は、授業形式やカリキュラムなどが教室ごとに異なります。自分に合った塾を見つけるためには、複数の塾の体験授業に参加して、講師の教え方や教室の雰囲気などを比較しましょう。