総合型選抜(旧AO入試)で活動実績がない人に|やるべきことや対処法を解説!


編集部
塾選ジャーナル編集部
「総合型選抜を受けたいけど、特に部活で功績を残したり、ボランティアをしたの経験もない……そんな自分でも大丈夫?」と不安になっている方がいらっしゃるかもしれません。
でも実は、活動実績がなくても合格を勝ち取ったという人は少なくありません。
大事なのは、どんな経験をどう伝えるか。そしてこれからあなたがどう行動するかです。
この記事では、活動実績がない人でも合格できる理由と、今からできる具体的な対策をわかりやすく解説します。
総合型選抜に「活動実績」は本当に必要?
結論からいえば、総合型選抜(旧AO入試)は活動実績がなくても受験可能で、合格するチャンスも十分にあります。実際、多くの大学では「実績ありき」ではなく、学生の意欲や適性を重視した選考が行われています。
活動実績が“ないとダメ”は誤解!大学が見る本当のポイント
総合型選抜の合否は、単に活動実績の有無で決まるわけではありません。
最も重視されるのは、受験生がその大学の「アドミッションポリシー(求める学生像)」とどれだけマッチしているかです。
評価の対象となるのは、主に以下のポイントです。
- 志望理由書に論理性や具体性があるか
- 自分の言葉で小論文を作成できているか
- 面接での人柄や意欲、将来への展望はどうか など
これらを総合的に見て判断されるため、活動実績がなくても、自分の想いや適性を丁寧に伝えることで合格する可能性は十分にあります。
つまり、「実績がないから無理」と諦めるのではなく、自分自身の強みをどうアピールするかが、総合型選抜で合格を勝ち取るカギになるのです。
活動実績が重視されやすいケースとは?
総合型選抜の合否は、単に活動実績の有無で決まるわけではありませんが、大学側が活動実績の例を挙げており、重視されやすいケースもあります。
例えば、慶應義塾大学総合政策学部・環境情報学部のAO入試募集要項には、「アピールするべき学業ならびに学業以外の諸成果の例」として以下のようなものを挙げています。
- 学術・文化・芸術・スポーツなどさまざまな分野において、研究、創作発表、コンクール、競技などの活動を通し、社会的に評価を得ている
- 外国語能力やコンピュータ技術等の技能において優れており、高度な資格や技術を有している
- 社会的な奉仕活動やその他の社会活動を通し、その成果や業績が認められている
- 学業が優秀であり、創造的、積極的な学習姿勢を堅持している
- 学業、人物ともに優れ、地域社会や高等学校等において指導的な役割を積極的に果たすなど、評価を得ている
- 関心や興味を持ったテーマに関して自由研究や自主学習などの自発的な取り組みを開始し、成果をあげている
ただし、出願には「学習以外の特別な活動実績がなくても、学業優秀でSFCで学びたいことを明確に持っている人の出願を歓迎」するとあり、必ずしも活動実績の有無が合否に直結しないことがわかります。
参考:慶應義塾大学学部入学案内 - AO入試:総合政策学部・環境情報学部「2025春AO募集要項(2025/04/02更新)」
活動実績を重視している大学もありますので、十分に大学の入試要項をチェックしておきましょう。
実績よりも“将来性”が問われる選考の背景
総合型選抜は、活動実績よりも学生の将来性が重視される選抜方法になります。それでは、いったいなぜ将来性が問われる選考へと変化したのでしょうか。
元々、総合型選抜の前身である旧AO入試は、偏差値や学力試験の結果では測れない個性や自主性、学びに対する姿勢などを評価する入試方式として位置づけられていました。一方、2021年度から本格導入された総合型選抜では、小論文や面接に加えて、大学や学部によってはプレゼンテーション、口頭試問、実技試験などの多様な評価方法が取り入れられています。
また、文部科学省は大学入試改革の一環として、全ての入試において以下の3要素をバランスよく評価する方針を掲げています。基礎学力が確認されることがあるなど、評価される能力の範囲がこれまでよりも広がっています。
- 知識・技能
- 思考力・判断力・表現力
- 主体性・多様性・協働性
この方針により、総合型選抜では活動実績に加えて、評定平均や資格・検定の取得状況、さらにはコミュニケーション能力や論理的思考力など、幅広い観点から受験生が評価されるようになっています。
つまり、総合型選抜は「将来どのように学び、社会に貢献していくか」という学生の成長可能性に焦点を当てた入試に変化しており、実績に頼らなくても合格できるチャンスは十分にあるのです。
活動実績がなくても合格する人の共通点
ここでは、部活動やボランティアなどの目立った実績がなくても、総合型選抜で合格を勝ち取る受験生に共通する特徴について解説します。
自分の経験を深く掘り下げて語れる
活動実績がなくても総合型選抜に合格する人の特徴として、自分の経験やエピソードを深く掘り下げて、自分の言葉で伝えることができるという点が挙げられます。
例えば、日常の中で感じた疑問や挑戦したこと、困難をどう乗り越えたかなど、一見すると普通の経験であっても、自分なりの視点や気づきを伴っていれば、十分にアピール材料になります。
大学側は、派手な経歴よりも「この学生はどんな思考で行動し、何を学んだのか」「どんな成長の可能性を秘めているのか」を重視しています。だからこそ、表面的な実績よりも経験を内省し、学びとして言語化できる力が求められるのです。
なぜその大学なのか、なぜその学部なのかが一貫している
活動実績がなくても総合型選抜に合格する人の特徴として、自分の経験と志望する大学や学部が結びついており、将来の展望に一貫性があるという点が挙げられます。
総合型選抜では、「高校時代に国際情勢に関心を持った経験から、大学では英語や異文化理解を深めたい。そして将来は外交官として国際社会に貢献したい」といったように、自分の過去・現在・未来を一本のストーリーとして一貫して語れる受験生は、面接官や選考担当者に強い印象を残すことができます。
つまり、活動実績の有無よりも、「大学で何を学び、将来どう社会に貢献したいか」という将来像と志望理由がつながっていることが重要になるのです。
未来のビジョンが具体的で、熱意がある
未来のビジョンがはっきりとしており、熱意を持って伝えられるという点も、活動実績がなくても合格する人の共通点といえます。
総合型選抜は、過去の実績だけでなく、「これから志望大学・志望学部で何を学び、将来どのように活躍したいのか」という未来に向けた姿勢が重視される選抜方法です。
入学後の学びの計画やキャリアプランが明確であることは、強い志望動機の証として高く評価されます。
さらに、自分の将来像に対してどれだけの熱意を持っているかを自分の言葉で語れるかどうかも重要なポイントです。形式的な目標ではなく、自分の体験や考えと結びついたリアルなビジョンが伝えられれば、面接官の印象にも残りやすくなります。
つまり、たとえ特筆すべき活動実績がなかったとしても、未来を見据えた明確な目的意識と強い学習意欲があれば、総合型選抜で十分に合格を狙えるということです。
今からでもできる!活動実績の代わりになるアピール材料
ここでは、今からでもできる活動実績の代わりになるアピール材料を、自分の経験の中から引き出す方法について解説します。
日常の中の「継続・工夫・挑戦」が立派な実績
特別な表彰歴や大会実績がなくても、日常的に続けてきたことや、自分なりの工夫・挑戦の経験は、立派なアピール材料になります。
例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 毎日の学習習慣(例:英語の音読を1年間継続した)
- 家事や家族のサポートを通じた工夫(例:時短のため家事分担表を作成した、介護をしていた)
- 独学で取り組んだテーマ(例:動画編集をYouTubeで習得した)
- SNSやブログなどでの情報発信活動
こうした日常的な取り組みは、「主体性」「継続力」「課題解決力」など、大学が重視する評価基準に直結する要素でもあります。
さらに、それらの経験を「将来どう活かしたいか」「大学でどんな学びに発展させたいか」といった未来のビジョンと結びつけてアピールすることが重要です。
自分の言葉で熱意を込めて語ることで、活動実績に負けない強みとなり、選考でプラスに評価される可能性が高まります。
学校内の小さな経験も“役割”として伝えられる
学校生活の中で得た小さな経験も、自分の果たした役割として捉え、意味づけすることで十分にアピール材料になります。
例えば、以下のような経験が挙げられます。
- 生徒会の執行部としての活動
- クラス行事や学校イベントでのリーダー経験
- 学校代表としての発表やコンテストへの参加
- 友人やクラスメイトとの協働によるプロジェクト活動 など
こうした一見小さな経験であっても、自分がどのような立場で関わり、何を考えて行動し、どんな成長を得たかを丁寧に言語化することで、総合型選抜の自己PRや志望理由書で強い印象を残す材料となります。
特に大学側は、「主体性」や「協働性」「課題解決能力」などの観点から受験生を評価する傾向があるため、自分の関わり方や工夫した点、得られた学びを具体的に伝えることが重要です。
小さな経験でも、自分なりに深く掘り下げて語ることで、熱意が伝わる評価材料になります。
“きっかけと動機”を語れる趣味や興味の深掘り
総合型選抜では、学びたい分野に対してどれだけ明確な動機と関心を持っているかが重要な評価ポイントとなります。
そのため、自分が志望する大学・学部に興味を持った“きっかけ”を丁寧に深掘りし、自発的な行動と結びつけて語ることが効果的です。
例えば、以下のような経験が該当します。
- 「物理学者が活躍する小説を読んで、自然科学に興味を持ち、自分なりに調べて学習を進めた」
- 「バイリンガルのキャラクターに憧れて、日本語と英語の表現力を磨こうと英検®に挑戦した」
こうした「自分だけの興味の原点」は、表面的な志望理由では伝えきれない自発性・継続力・探究心をアピールする絶好の材料です。
さらに、それが将来の目標や大学での学びとつながっていれば、志望理由の説得力が格段に増します。
活動実績がない人がやるべき具体的な対策3選
ここでは、活動実績がない人はどうするべきか、自分の経験の中から引き出した活動実績をどう伝えていくべきかについて、具体的な対策を3つ紹介します。
STEP1:自分の経験を深堀りする「自己分析」をやる
まず、自分の経験を深堀りするために自己分析を行いましょう。
自己分析を行う場合は、モチベーショングラフを作成することをおすすめします。モチベーショングラフとは、自分のこれまでの体験や出来事を時系列で振り返り、それぞれの時期の「やる気の高さ」や「気持ちの浮き沈み」をグラフ化したもののことをいいます。
モチベーショングラフを作ることで、以下のようなメリットがあります。
- どんな出来事が自分のモチベーションを高めたのかわかる
- 自分が熱中してきたテーマや行動の傾向がわかる
- 無意識に努力していた取り組みがわかる
また、過去の経験を振り返ることで、「なぜそれに取り組んだのか」「どう工夫し、何を得たのか」といった、志望理由書や面接で役立つ深掘り材料も見つけることが可能です。
STEP2:志望理由書に「未来への一貫性」を持たせる
志望理由書を作成する際は、単に「やりたいこと」を述べるだけでなく、過去の経験や関心がどのように今につながり、それがどのように大学での学びや将来のビジョンへと発展していくのか、ストーリー性のある構成を意識しましょう。
自分の経験を一貫性を持って伝えるためには、以下のような流れで構成することをおすすめします。
-
過去の経験 → 現在の興味・関心 → 大学で学びたいこと → 将来の目標
このような流れで書くことで、自分の成長や考え方の軸を自然に示すことができ、「この学生はしっかり将来を見据えている」と伝えることができます。
一貫性のある志望理由は、活動実績が少なくても、「なぜこの大学・学部を選んだのか」「どんな学びを通じて成長したいのか」といった志望の本気度を示す有力なアピール材料になります。
STEP3:書類・面接は“プロ視点”で添削・練習する
志望理由書や自己PR文、面接対策は、必ず第三者の「プロの視点」でチェックしてもらうことが重要です。
総合型選抜では、「どのように伝えるか」が合否を分ける大きな要素となります。しかし、自分ひとりで書類を作成したり、面接練習を重ねたりしても、主観的な判断に偏りやすく、改善点に気づきにくいという弱点があります。
そこで活用したいのが、学校の先生や塾の講師、受験経験者などの第三者のアドバイスです。
客観的な視点から添削してもらうことで、以下の点をチェックしてもらえるというメリットが生まれます。
- 書類の論理展開にズレがなく、一貫性があるかどうか
- アピール内容に説得力があるかどうか
- 面接の受け答えが自然かつ的確で、自分の言葉で話せているかどうか
総合型選抜では、小論文や志望理由書の作成、面接対策など、自分ひとりの力では対策が難しい場面が多くあります。
総合型選抜に強い塾を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
総合型選抜の活動実績についてよくある質問
ここでは、総合型選抜と活動実績について、よくある質問を解説します。
活動実績は何でもいいですか?
活動実績だからといって、どんな経験でも評価されるわけではありません。
総合型選抜において大切なのは、その活動が志望する大学・学部で学びたいこととどうつながっているかを明確に示すことです。
例えば、「英検®の取得」「ボランティア活動」「探究活動」「委員会での取り組み」などは、学部の教育内容や将来の目標と結びつけて語ることができれば、高く評価される可能性があります。
逆に、ただ経験を並べただけではアピールにはなりません。重要なのは、活動を通じて何を学んだのか、どんな姿勢で取り組んだのか、そしてそれが大学での学びにどうつながるのかを、自分の言葉で論理的に説明できるかどうかです。
総合型選抜で落ちる人の特徴は?
総合型選抜で落ちる人の特徴としては、以下の3点が挙げられます。
- 自己分析や大学研究が甘く、志望動機が曖昧な人
- 面接や小論文の対策が不十分な人
- 探究活動に向き合えず、すぐに答えを求めてしまう人
「なぜその大学・学部で学びたいのか」を明確に答えられなかったり、面接でうまく自分の言葉で説明できなかったりすると、不合格となってしまうおそれがあります。
また、すぐに答えを求めてしまうような人も、主体性が重視される総合型選抜では不利に働くおそれがあるので、大学側のアドミッション・ポリシーをしっかりと確認して対策しましょう。
総合型選抜では、評定が低くても合格しますか?
総合型選抜では、評定平均(内申点)が低くても合格できる可能性はあります。
なぜなら、この入試方式では「知識・技能」だけでなく、「主体性」「思考力・判断力・表現力」など多面的な評価項目が重視されるためです。活動実績や志望理由書の内容、面接・小論文の評価が高ければ、評定平均が多少低くてもほかの要素でカバーできるので、合格ラインに達することが可能です。
ただし、一部の大学や学部では、総合型選抜の出願要件として「評定平均○以上」などの基準を設定している場合があります。この基準を下回ると、そもそも出願できないこともあるため、必ず志望校の入試要項を確認しましょう。
総合型選抜で不合格になる理由は何ですか?
総合型選抜で不合格になってしまう理由としては、以下のような理由が挙げられます。
- 大学のアドミッションポリシーの読み込み不足
- 目的や目標がぼやけている
- アピール材料が不足している
- 面接や小論文などにおいて自分の言葉で説明できない
- 将来の目標と大学で学びたいことが結びついていない など
特にアドミッション・ポリシーは、総合型選抜の評価基準に直結しているため、受験前に繰り返し確認し、自分の志望理由と丁寧に照らし合わせておきましょう。
総合型選抜で塾に通う必要はありますか?
総合型選抜を受験したいと考えている場合は、塾に通うことを強くおすすめします。
総合型選抜では、志望理由書や小論文、面接などによる選抜方法があり、知識・技能はもちろん、思考力・判断力・表現力、学びへの意欲や人間性まで総合的に判断されるため、さまざまな受験対策が求められます。
総合型選抜に強い塾では、実績豊富な講師による個別指導や添削指導、模擬面接などの実践的なサポートが受けられます。
また、合格者のデータや大学別の出題傾向に基づいた対策を行えるため、戦略的に準備を進めることが可能です。
もちろん、全ての人にとって必須ではありませんが、早めに塾のサポートを受けることで、合格に向けた大きなアドバンテージとなるでしょう。
総合型選抜の対策に強い塾について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
活動実績がなくても、総合型選抜を受験することは十分に可能です。
重要なのは、アドミッションポリシーをしっかりと読み込み、大学が求める人物像と自分自身の経験や価値観をどのように結びつけてアピールできるかという点にあります。
たとえ目立った活動実績がなくても、これまでの学校生活や日常の中から得た学びや気づきを丁寧に言語化することで、十分に評価されることがあります。
つまり、「活動実績がないから総合型選抜は無理」と諦める必要はまったくありません。
むしろ、自分なりのストーリーや志望理由を深掘りし、伝え方の工夫と準備次第で合格にぐっと近づくことができます。
受験に向けて今できることを一つずつ積み重ね、自信を持って総合型選抜に臨みましょう。
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