英検®S-CBTは大学受験で使えない?活用法から使えないときの対処法までを徹底解説


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塾選ジャーナル編集部
「英検®S-CBTって、大学受験では使えないのでは?」そんな疑問を抱いている受験生や保護者の方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、英検®S-CBTが大学受験に使えるかどうかは、大学や学部によって異なります。
一部の大学では利用できない場合もありますが、多くの大学では従来型の英検®と同等に扱われ、出願や得点換算、加点の対象として活用されています。
この記事では、英検®S-CBTは大学受験で本当に使えるのかどうか、英検®S-CBTが使える大学、英検®S-CBTのメリット・デメリットなどについて解説しています。
英検®S-CBTの仕組みや使い方を正しく理解して、大学受験に効果的に活用していきましょう。
英検®S-CBTは大学受験で使えない?
従来型の英検®との試験形式の違いなどから、英検®S-CBTは大学受験で使えないと考えている方も多いかもしれません。しかし英検®S-CBTは、従来型の英検®を認めている大学であれば、同じように利用できるのが一般的です。
英検®S-CBTが大学受験で使えるのかどうかについて、詳しく見ていきましょう。
大学によっては使えないところもある
結論からいえば、英検®S-CBTが大学受験に使えるかどうかは、志望する大学や学部によって異なります。
大学側が利用を認めていない場合、英検®S-CBTのスコアを出願資格として使うことはできません。
例えば、大学によって以下のような違いがあります。
早稲田大学:文系学部の多くで英検®S-CBTを出願資格として認めている。例:文化構想学部、国際教養学部など
同志社大学:推薦型では利用可能だが、一般選抜では英検®自体を利用不可。
参考:2025年度入学試験要項|早稲田大学
2025年度入学試験の主な変更点について|同志社大学
このように、英検®の取り扱いは大学・学部ごとに方針が異なるため、必ず志望校の入試要項で最新情報を確認しておきましょう。
とはいえ、英検®S-CBTを利用できる大学の多くでは、従来型英検®と同等の評価基準で扱われているのが一般的です。
スコアの有効性や基準点も共通であるケースが多く、「受験の利便性」を理由に英検®S-CBTを選択する受験生も増加しています。
総合型選抜や推薦選抜で武器になることも
英検®S-CBTは、総合型選抜(旧AO入試)や推薦入試で高く評価されることがあり、出願資格や加点対象となるケースが多く見られます。
例えば、明治大学商学部では「英語4技能試験利用方式」の選抜において、英検®2級以上のスコア(英検®S-CBT含む)を有していれば出願資格が認められる仕組みとなっています。
立教大学では、文学部日程を除く全学部の大学入学共通テスト利用入試において、英検®CSEスコア2300点以上(英検®S-CBTスコア含む)を取得していると、共通テストの英語が85%相当の得点に換算されます。
このように、英検®S-CBTのスコアが高ければ、総合型選抜や推薦型入試における合格可能性が大きく高まることがあります。
出願を有利に進めるためにも、志望校がどのように英語資格を評価しているか、英検®S-CBTが利用可能かを、事前にしっかり確認しておきましょう。
志望大学の英検®S-CBTスコアの扱い方をチェックしよう
英検®S-CBTのスコアが大学受験で利用できるかどうかは、大学ごと、そして学部ごとに方針が異なります。そのため、出願前には必ず志望校の最新の入試要項を確認することが重要です。
近年では、大学側が新たに英語外部検定試験を導入するケースも増えており、最新情報の把握が合否を左右することもあります。
2025年度以降の慶應義塾大学文学部では、一般選抜の外国語科目に「英語(外部試験利用)」が新設されることになっています。
この方式では、英検®CSEスコア2500点以上(英検®S-CBTも対象)を取得していれば、大学側が外国語の得点として換算します。
参考:2025年度以降の慶應義塾大学「一般選抜」の変更点について|慶應義塾大学
英検®S-CBTを大学受験に活用するには、「いつ、どの大学で、どのように使えるのか」を正確に把握することがポイントです。
特に以下のような人は、英検®S-CBTのスコアを大学側がどのように取り扱っているかについて、重点的に確認しておきましょう。
- 総合型選抜や推薦型選抜を検討している人
- 英語に自信があり、スコアで差をつけたい人
- 出願に使える英語資格を早めに確保しておきたい人
英検®S-CBTが使える主な大学は?
英検®S-CBTを大学入試で活用したい場合、どの大学・学部がスコアの提出を認めているかを事前に調べておくことが非常に重要です。
英検®S-CBTが使える大学を調べる方法や、活用できる主な大学の例を紹介します。ぜひ受験する大学を選ぶときにお役立てください。
英検®S-CBTが使える主な国公立大学
以下は、英検®S-CBTが利用可能な主な国公立大学の一部です(2025年度入試要項を元に作成)。
※最新情報は必ず各大学の公式情報をご確認ください。
大学名 | 入試形態 | 学部名 | 求めるスコア | 内容 |
---|---|---|---|---|
千葉大学 | 前期 | 文(日本・ユーラシア文化)、法政経、教育、理、工、情報・データサイエンス、園芸、薬、看護 | 2級以上 | 個別試験「外国語」の満点を上限に加点(教育・園芸・看護は20または30点、その他の学部は5または10点) |
千葉大学 | 前期 | 国際教養 | 準1級以上 | 個別試験「外国語」の満点を上限に加点(40点)または満点とみなす |
東京都立大学 |
前期・後期(健康福祉学部は前期のみ) |
都市環境(地理環境、都市基盤環境、建築、環境応用化学)、システムデザイン(情報科学、航空宇宙システム工、インダストリアルアート)、健康福祉 | 3級以上 | 共通テスト「外国語」の得点に換算 |
金沢大学 | 前期 | 全学部 | 2級以上 | 共通テスト「英語」の得点に換算 |
岡山大学 | 前期 | 全学部 | 1級 | 共通テスト「外国語(英語)」及び個別試験「外国語」両方の得点を満点とみなす |
広島大学 | 前期・後期 | 全学部 | 準1級 | 共通テスト「英語」の得点を満点とみなす |
九州大学 | 前期 | 共創 | 準1級以上(2026年度から) | 共通テスト「英語」の得点を満点とみなす |
九州工業大学 | 前期・後期 | 全学部 | 3級以上 | 共通テスト「外国語」の得点に換算(10~100%) |
鹿児島大学 | 前期・後期 | 全学部 | 準1級以上 | 共通テスト「外国語」の「英語(リーディング)」または「英語(リスニング)」の得点に応じて、それぞれに25%加点など |
英検®S-CBTが使える主な私立大学
以下は、英検®S-CBTが利用可能な主な私立大学の一部です(2025年度入試要項を元に作成)。
※最新情報は必ず各大学の公式情報をご確認ください。
大学名 | 入試形態 | 学部名 | 求めるスコア | 内容 |
---|---|---|---|---|
早稲田大学 | 一般選抜(英語4技能テスト利用方式) | 文、文化構想 | 2級以上(CSE スコアが2200以上) | 出願資格として利用 |
早稲田大学 | 一般選抜 | 国際教養 | 2級以上 | 総点に加点 |
慶應義塾大学 |
一般選抜 |
文 | 準1級以上(CSE スコアが2500以上) | 選択科目として利用でき、「外国語」の点数に換算 |
上智大学 | 一般選抜(学部学科試験・共通テスト併用方式) | 全学部 | 準2級以上(CSE スコアが1700以上) | 共通テスト「外国語」の満点を上限に加点 |
上智大学 | 一般選抜(共通テスト利用方式) | 全学部 | 2級以上(CSE スコアが2200以上) | 共通テスト「外国語」の得点に換算 |
東京理科大学 | 一般選抜(グローバル方式) | 理(第二部)を除く全学部 | 3級以上(CSE スコアが1400以上) | 個別試験の得点に加点 |
明治大学 | 全学部統一(英語4技能3科目方式) | 国際日本、経営、農 | 2級以上 | 出願資格として利用・個別試験「英語」の得点に換算 |
明治大学 | 学部別(英語4技能試験活用方式、大学入学共通テスト併用型英語4技能試験活用方式) | 国際日本 | 準1級以上 | 出願資格として利用 |
明治大学 | 学部別(英語4技能試験活用方式) | 経営 | 2級以上(CSE スコアが2200以上) | 出願資格として利用 |
明治大学 | 学部別(英語4技能試験活用方式) | 商 | 2級以上 | 出願資格として利用 |
明治大学 | 全学部統一(英語4技能4科目方式) | 総合数理 | 2級以上 | 出願資格として利用 |
青山学院大学 | 一般選抜(個別学部日程D方式) | 文(英米文) | 下限なし | 出願資格として利用 |
青山学院大学 | 一般選抜(個別学部日程A方式) | 総合文化政策 | 2級以上(CSE スコアが2100以上) | 出願資格として利用 |
青山学院大学 | 一般選抜(個別学部日程B方式) | 国際政治経済 | 準2級以上(CSE スコアが1700以上) | 出願資格として利用・個別試験の得点に加点 |
立教大学 | 一般入試 | 全学部 | とくになし | 個別試験の得点に加点 |
立教大学 | 共通テスト利用入試 | 全学部 | とくになし | 共通テスト「外国語」の得点に換算 |
中央大学 | 英語外部試験利用方式 | 全学部 | 最低でも準2級以上(CSE スコアが1728以上) | 出願資格として利用 |
法政大学 | 一般入試(英語外部試験利用入試) | 全学部 | 最低でも2級以上 | 出願資格として利用・個別試験の得点に加点 |
法政大学 | 一般入試(A方式) | グローバル教養 | 準1級以上(CSE スコアが2350以上) | 個別試験「英語」の得点に換算 |
法政大学 | 大学入学共通テスト利用入試(B方式) | グローバル教養 | 準1級以上(CSE スコアが2350以上) | 出る願資格として利用 |
上記の表からも、大学・学部によってスコアの評価方法や出願資格が大きく異なるのがわかります。
特に自分の志望校が「加点型」か「換算型」か、「スコア提出で出願資格が得られるタイプ」かを事前に見極めておきましょう。
英検®協会や大学サイトの確認方法
英検®S-CBTが使える大学を調べるには、以下の2つの方法があります。
英検®協会の公式検索ページを活用する
英検®協会(日本英語検定協会)の公式サイトでは、以下のような検索が可能です。
- 英検®、TEAP、IELTSなどの英語資格を入試に活用している大学の検索
- 活用方法(出願資格・加点対象・得点換算など)別の絞り込み
参考:入学前も入学後も、英検が決め手!英検・TEAP・IELTS 活用校検索|日本英語検定協会
志望大学の募集要項・入試ガイドを確認する
大学によっては、学部ごとにスコアの利用可否が異なることもあるため、各大学の公式サイトに掲載されている最新の入試要項を必ず確認しましょう。
英検®S-CBTとは?従来の英検®との違いは?
英検®S-CBTの特徴や、従来型の英検®(英検CBT・英検一次二次試験)との違いについて詳しく解説します。違いを確認し、自分にはどちらが合っているのかを見極めていきましょう。
英検®S-CBTはすべてパソコンで試験が行われる
英検®S-CBTの最大の特徴は、4技能すべての試験をパソコン上で実施する点です。
「CBT」とは Computer Based Testing(コンピューターベースの試験) の略で、試験会場に設置された専用パソコンを使って受験します。
従来の英検®は、筆記試験+面接官との対面式スピーキングが基本スタイルでした。一方、英検®S-CBTでは、以下のようにすべてがデジタル化されています。
- リーディング/リスニング/ライティング/スピーキングの4技能すべてをパソコンで受験
- 面接は対面ではなく録音形式
- 自宅受験不可。必ずテストセンターにて受験
なお、英検®S-CBTのライティングでは、キーボードによるタイピング形式か、紙に手書きする筆記形式のどちらかを選択できます。また、英検®S-CBTのスピーキングでは、パソコンに映し出される面接官の映像に合わせて、自分の回答をマイクで録音して提出するという形式になっています。
英検®S-CBTは従来型の英検®と比較して、試験方式は異なるものの、大学入試や英語力証明書としての評価も基本的には同等であり、英検®S-CBTで取得したスコアも出願できることが一般的です。
英検®S-CBTで受験できる級は限られている
英検®S-CBTでは、すべての級を受験できるわけではありません。
2025年現在、英検®S-CBTの対象となっているのは、以下の5つの級に限られています。
- 3級
- 準2級
- 準2級プラス
- 2級
- 準1級
以下は、従来型の英検®と英検®S-CBTで受検できる級の違いをまとめた表になります。
試験形式 | 受験可能な級 | 備考 |
---|---|---|
英検®S-CBT | 3級、準2級、準2級プラス、2級、準1級 | 1級、4級、5級は受験不可 |
従来型英検(本会場) | 5級、4級、3級、準2級、準2級プラス、2級、準1級、1級 | 全ての級が受験可能 |
従来型英検(準会場) | 5級、4級、3級、準2級、準2級プラス、2級(一次試験のみ) | 準1級と1級は受験不可。二次試験は本会場で実施 |
従来型の英検®では、小学生などがよく受験する5級・4級や、最上位の1級も受験可能ですが、英検®S-CBTでは中学英語の修了レベル〜大学入試レベル(準1級)までの中間層にフォーカスされています。
英検®S-CBTは1日で4技能すべての試験が行われる
従来型の英検®では、一次試験と二次試験(スピーキング)で試験日が異なります。これに対し、英検®S-CBTは1日で4技能すべての試験が行われます。
従来型の英検®では、一次試験が筆記試験(リーディング、リスニング、ライティング)、二次試験が面接(スピーキング)と2日間に分けて試験が実施されます。
英検®S-CBTでは、1日ですべての技能の試験が完結するため、忙しい受験生にとってスケジュールの調整がしやすいということがメリットになります。
ただし、判定上はリーディング・リスニング・ライティングが一次試験、スピーキングが二次試験というように分かれていますので、英検®S-CBTでも「一次試験は合格したが、二次試験(スピーキング)で不合格」となることもある点に注意が必要です。
英検®S-CBTは原則毎週土日に実施されている
従来型の英検®(一次・二次方式)は、年間3回(第1回・第2回・第3回)に限られた固定日程で実施されています。そのため、部活や定期テスト、模試と日程が重なるリスクもあります。
一方、英検®S-CBTは原則として毎週土曜・日曜に実施されており、受験日を自分で選ぶことができるのが大きな特徴です。
また、英検®S-CBTでは、1つの検定回(例えば第1回期間)につき、同じ級を最大3回まで申し込み可能です。そのため、「1回目の結果が思わしくなかったので、すぐに再挑戦」「推薦入試前にスコアを上げておきたい」といった目的に合わせた受検が可能になります。
参考:2025年度からの「英検 S-CBT」|公益財団法人 日本英語検定協会
英検®S-CBTは、検定料が高めに設定されている
英検®S-CBTは、従来型の英検®と比べて検定料が高めに設定されています。
以下は、従来型の英検®と英検®S-CBTにおける、級ごとの検定料の違いをまとめた表になります。
級 | 英検®S-CBT検定料 | 従来型(本会場)検定料 | 従来型(準会場)検定料 |
---|---|---|---|
1級 | 対象外 | 12,500円 | 対象外 |
準1級 | 10,600円 | 10,500円 | 対象外 |
2級 | 9,700円 | 9,100円 | 6,900円 |
準2級プラス | 9,300円 | 8,700円 | 6,400円 |
準2級 | 9,100円 | 8,500円 | 6,100円 |
3級 | 7,800円 | 6,900円 | 5,000円 |
4級 | 対象外 | 4,700円 | 2,900円 |
5級 | 対象外 | 4,100円 | 2,500円 |
英検®S-CBTのメリットは?
ここでは、英検®S-CBTを選ぶメリットについて解説します。特に「受験機会の多さ」は、ほかの英語検定や従来型の英検®にはない大きな強みです。
受検機会が多く設定されている
英検®S-CBTは、原則として毎週土曜日・日曜日に実施されています。そのため、自分の都合に合わせて受検日を選びやすく、忙しい受験生にとって受けやすい形式です。
さらに、英検®S-CBTでは、1つの検定期間中に同じ級を最大3回まで受験可能となっており、次のような利点があります。
- 「あと少しで合格だった……」という場合に再チャレンジが可能
- 推薦・総合型選抜などで求められるスコア基準を満たすまで複数回トライできる
- 自分のスケジュールに合わせて柔軟に試験日を設定できる
英検®S-CBTは、検定期間が年3回(第1回・第2回・第3回)に分かれていることから、年間を通じて最大9回同じ級にチャレンジすることができます。
試験会場を自由に選べる
英検®S-CBTでは、受験日だけでなく試験会場(テストセンター)も自分で選択することが可能です。
従来型の英検®(本会場受験)では、試験会場は自動的に割り当てられるため、会場を自分で選ぶことはできません。そのため、「慣れない環境で緊張してしまう」「会場が直前までわからず予定が立てにくい」といったデメリットがあります。
英検®S-CBTでは、申込時にテストセンターを自由に選択可能です。そのため、自宅や学校からアクセスの良い会場を選べたり、毎回同じ会場を選ぶことで慣れた環境で受験できたりといったメリットがあります。
ヘッドホンで受験できる
英検®S-CBTでは、試験中にヘッドホンを使用してリスニング音声を聞くことができます。これにより、音声が耳元でクリアに再生され、聞き取りやすさが大幅に向上するのが大きなメリットです。
従来型の英検®では、試験会場のスピーカーから音声が流れる形式のため、「教室の広さや音響によって音が聞き取りづらい」「ほかの受験者の咳払いや物音で集中しにくい」といったデメリットが考えられます。
英検®S-CBTはヘッドホンを装着して受験するため、外部音を遮断し、リスニング音声が直接耳に届きます。リスニングが苦手な人でも、安定した音声環境で実力を発揮しやすいのがポイントです。
タイピングでライティングの試験が受けられる
英検®S-CBTのライティング試験では、「タイピング形式(パソコン入力)」と「筆記形式(手書き)」のどちらかを選択することができます。
タイピングが得意な人にとっては、より効率的にライティングを進められるのが英検®S-CBTの大きなメリットです。
タイピング型ライティングには、以下のような利点があります。
- 文章の入力がスピーディーに行える
- 誤字の修正が一瞬でできる
- 文字数が自動表示されるため、文字数制限のある英検®ライティングに有利
もちろん、タイピングに不慣れな人や、手書きのほうが考えやすい人には、筆記型(手書き)の選択も可能です。
自分に合ったスタイルで受験できるため、本番で最大限の力を発揮しやすいのも英検®S-CBTのメリットです。
英検®S-CBTのデメリットは?
英検®S-CBTには多くのメリットがありますが、受検前に知っておきたいデメリットや注意点も存在します。
会場の定員人数が少ないことが多い
英検®S-CBTでは、1人1台のパソコンを使用する形式で試験が行われます。そのため、従来型の英検®に比べて1つの会場で収容できる受験者数が限られているという特徴があります。
大学入試出願直前の時期や、都心部・駅近の会場の場合は希望の会場が満席になってしまうということも考えられるため、余裕を持って受検を申し込みましょう。
周りのスピーキングの声が気になることもある
英検®S-CBTのスピーキングテストでは、パソコンに向かって自分の声を録音する形式が採用されています。
会場内では、受験者がそれぞれのタイミングでスピーキングを行うため、同時に複数人が話している状況になることもあるでしょう。そのため、他人の声が耳に入って集中できなくなるというおそれがあります。
会場で焦らず、自分のペースでスピーキングを行う意識を持っておくことが重要です。
1日で4技能を測るため対策が難しい
英検®S-CBTでは、リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングの4技能をすべて1日で測定します。
従来型の英検®では、スピーキング(二次試験)は後日実施されるため、一次試験に集中して対策することが可能でした。
一方、英検®S-CBTではすべての技能を一括で受験するため、全パートを総合的に仕上げておく必要があります。
4技能すべてに対応した学習スケジュールを立てて、途中で集中力が切れてしまわないよう準備が必要です。
CBT形式に慣れておく必要がある
英検®S-CBTは、全パートをパソコン上で受験するCBT形式のテストです。
そのため、パソコン操作に不慣れな人やタイピングに自信がない人にとっては、事前の準備が不可欠となります。
マウスを使った選択・クリック操作や、タイピングによる文字入力について、従来型とは異なる点に気をつけておきましょう。
英検®S-CBTの対策は?
ここでは、英検®S-CBTの対策について、CBT形式という特性の内容から解説します。
CBT形式に慣れておく
英検®S-CBTの対策として、まずはCBT形式に慣れておきましょう。
英検®S-CBTの対策で最も重要なのは、試験画面の構成やパソコン操作に慣れておくことです。マウスによる選択・操作や、タイピング入力、録音操作などについて、スムーズに対応できるようにしておきましょう。
英検の公式サイトでは、英検®S-CBTの模擬画面を体験できる無料ツールが公開されています。
本番に近い形式で操作を練習できるため、ぜひ活用しましょう。
タイピングスキルを向上させておく
英検®S-CBTでは、ライティング試験をタイピング(キーボード入力)で受験する形式を選ぶことが可能です。
タイピングスキルが高いと、以下のようなメリットがあります。
- 制限時間内に余裕を持って文章を書き終えることができる
- 構成の見直しや修正に時間を回せる
- 文字数カウント機能を見ながら、無駄なく書き進められる
タイピング練習は無料のツールを使用することで手軽に始められるので、スキルを向上させてから英検®S-CBTを受検しましょう。
スピーキングは時間切れに注意
英検®S-CBTのスピーキングテストは、パソコンに自分の音声を録音して提出する形式です。
従来型のように面接官が目の前にいるわけではなく、あらかじめ設定された時間内で自分の解答を収める必要があるため、「時間切れ」には特に注意が必要です。
従来型の英検®スピーキング試験では、面接官が受験者の表情やジェスチャーから伝わりづらさをくみ取ってくれることもありますが、英検®S-CBTではそれができません。
時間内に伝えたい内容をコンパクトにまとめる練習をしておくことが重要です。
英検®S-CBTが使えないとき!ほかの外部英語検定は?
志望する大学によっては、英検®S-CBTが大学入試で利用できないこともあると思います。
英検®S-CBTが大学入試で利用できないケースと、その際に代わりとして利用可能なほかの外部英語検定(資格・試験)について詳しく解説します。
英検®S-CBTが大学受験で「使えない」とされる具体的なケース
英検®S-CBTが大学入試で使用できないのは、以下のようなケースが考えられます。
大学側が英検®利用を認めていない
大学によっては、英検®(従来型・S-CBTともに)を出願要件や得点換算対象として認めていない場合があります。
また、これまで英検®S-CBTのスコアを利用できていた大学であっても、ある年度から急に利用を廃止するなど、方針が変更されるおそれもあるでしょう。
このような場合は、ほかの外部英語検定を使うか、英語の得点力で勝負する必要があります。ほかの外部英語検定については、後ほど詳しく解説しています。
大学側がスコアを利用できる期限を定めている
英検®S-CBTのスコアを保持していても、大学側が「スコアの有効期限」を設けている場合は、その期間を超えてしまうと出願時にスコアが無効とされる可能性があります。
例えば、「出願日から過去2年間以内に取得したスコアのみ有効」といったルールを採用している大学であれば、出願時点でスコア取得から2年以上が経過している場合は英検®S-CBTのスコアを利用することができません。
早めの対策は大切ですが、出願時にスコアが有効であるかの確認が必要不可欠です。
英検®S-CBTでは受検できない級を入試で利用したい
英検®S-CBTで受験できるのは、3級・準2級・準2級プラス・2級・準1級の5つの級に限られています。
そのため、1級のスコアを大学入試で利用したい場合は、英検®S-CBTでは受検できず、必ず従来型の英検®を受ける必要があります。
自分が必要とする級が英検®S-CBTに対応しているのかどうか、必ず志望大学の最新年度の入試要項や外部検定利用条件をチェックしておきましょう。
TEAP
TEAPとは、上智大学と公益財団法人日本英語検定協会が共同で開発した、英語のリスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を測るテストです。大学での学習で必要とされる、アカデミックな場面での英語運用能力を測る点に特徴を持ちます。
英検®と比較すると準2級〜準1級程度の内容の問題が出題され、英語力を「スコア」および「バンド」でフィードバックしてくれる点も特徴的です。
TEAPを大学入試に活用している例として、早稲田大学の文学部・文化構想学部では、TEAPのスコアが4技能65点以上、総合スコア280以上であれば、一般選抜(英語4技能テスト利用方式)を受験することができ、国語と地歴の科目のみで合否が判断されます。
GTEC®
GTEC®とは、ベネッセコーポレーションとアメリカの語学教育企業ベルリッツ・インターナショナルが共同開発した英語検定試験です。学習指導要領に沿った出題で、実際に授業で得た知識を試せるような出題が特徴となっています。
GTEC®は学校受検のみに対応しているため、もし個人での受検を希望する場合は、「GTEC®」検定版の公開会場受検型に申し込むか、「GTEC®」CBTタイプの受検を申し込む必要があるので注意してください。
GTEC®を大学入試に活用している例として、法政大学の一部の学部学科では、GTEC®検定版(Advancedタイプ)のスコアが1120点以上であれば、英語外部試験利用入試を利用することができ、英語以外の1科目のみで合否が判断されます。
IELTS
IELTSは、英語圏の大学や企業、移住申請などで広く認められている国際的な英語能力試験です。試験はリスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能で構成されており、英語での実践的なコミュニケーション能力を測定します。
IELTSを大学入試に活用している例として、立命館大学の全学部の共通テスト入試形式において、IELTS(Academic Module)におけるOverall Band Scoreが5.5以上であれば、大学入学共通テストにおける「外国語『英語』」が満点に換算され、そのうえで合否が判断されます。
参考:「2025年度 募集学部・募集人数」|立命館大学入試情報サイト
TOEIC®
TOEIC®は、英語を母国語としない人のビジネスや日常生活における英語運用能力を測る国際的な試験です。TOEIC®には以下の2種類の試験があります。
- TOEIC® Listening&Reading(L&R):リスニングとリーディングの2技能を測定し、990点満点
- TOEIC® Speaking&Writing(S&W):スピーキングとライティングの2技能を測定し、400点満点
ビジネスシーンでの活用が多いTOEIC®ですが、大学受験においても有効に活用できる場合があります。
TOEIC®を大学入試に活用している例として、広島大学の全学部の入試において、TOEIC® Listening&ReadingとSpeaking&Writingの点数が合計1560点(S&Wの点数は2.5倍にして合算)以上あれば、大学入学共通テストにおける「外国語『英語』」が満点に換算され、そのうえで合否が判断されます。
TOEFL®
TOEFL®は、英語を母国語としない人が、英語圏の大学や大学院で学ぶための英語力を測定する試験です。アカデミックな環境での実践力を問う点に特徴があり、TOEFL® iBT(インターネット版)と、紙ベースのTOEFL® PBTがあります。
TOEFL®を大学入試に活用している例として、学習院大学の国際社会科学部の一般選抜(+試験)において、TOEFL® iBTのスコアが42以上であれば、個別試験「英語」の得点に換算され、そのうえで合否が判断されます。
参考:「令和7(2025)年度一般選抜募集要項」|学習院大学
【オンライン塾も】英検®S-CBT対策におすすめの塾
ここでは、英検®S-CBT対策におすすめの塾を5つ紹介します。
個別教室のトライ
個別教室のトライは、完全1対1の個別指導塾です。約33万人の登録講師の中から、子どもの性格や学習ニーズに合った担当を選びます。
カリキュラムは、一人ひとりに合わせたオーダーメイドです。「文法から学び直したい」「リスニング力を鍛えたい」など、多様な英語の学習ニーズに応えます。
また、各種の英語資格検定対策も可能です。例えば、高校生では志望大学に合わせた資格検定対策を実施します。長文読解や英作文など、幅広くサポートします。
英検アカデミー
指導歴10年以上の英語専門プロ講師陣が在籍しているのが、英検アカデミーです。英語専門塾のため、講師は英語だけを専門的に指導しています。
「絶対英検合格コース」「私立小学生コース」「絶対成績UPコース」「ニュートレジャー対策コース」など、小中高別に多様なコースを設定。講師1名に対して、生徒は最大3名までの個別指導のため、それぞれの習熟度に合わせてじっくりと教えてもらえます。
点数に直結する授業を大切にしており、志望校合格や英検合格へつなげられるのが魅力です。
ワールドトーク
ワールドトークは、日本人講師によるオンライン英会話サービスで、英検対策に特化した指導を提供しています。
英検1級から5級まで幅広く対応し、一次試験(筆記)から二次試験(面接)まで総合的なレッスンが可能です。
加えて、各生徒のレベルや目標に合わせたカリキュラムを柔軟に組むことができ、個別のニーズに対応した指導を自宅からオンライン形式で受講できます。
業界でも高い実績を誇る日本人講師が担当するため、英語初心者でも日本語で細かな質問ができ、理解を深めやすい環境が整備されていることが強み。
また、何といっても月額3,300円(税込)からのプランがあり、手頃な価格で質の高い指導を受けられることが大きな魅力でしょう。
ENC/GNA
ENC/GNAは、英検対策に特化したオンライン英会話サービスで、英検1級から5級まで幅広く対応しています。
リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能を総合的に強化するカリキュラムを提供しています。特に英作文の添削や英単語の暗記サポートなど、個々のニーズに合わせた指導が可能です。
料金面では、月8回のレッスンが7,900円(税込)からと、質の高い指導をリーズナブルな価格で受けられる点が魅力といえます。
さらに家族でレッスン回数をシェアできるプランもあり、家族全員で英語学習を進めたい方にも適しています。
坪田塾
坪田塾は、映画『ビリギャル』のモデルとなった個別指導塾で、オンラインでの英検対策にも対応。
生徒一人ひとりの学力や目標に合わせた「個人別カリキュラム」を作成し、効果的な学習をサポートします。
オンライン個別指導では1対1の対話型指導を行い、わからない部分はその場で講師に質問できるため、理解を深めやすい環境が整備されています。英検®S-CBTでよくある質問
従来型の英検®と同時に受検することは可能ですか?
英検®S-CBTと従来型の英検®を併願して受検することは可能です。
英検®S-CBTでは、1つの検定回(例:第1回)につき、同じ級を最大3回まで受検可能です。
これに加えて、従来型の英検®も併願すれば、同じ級を最大4回まで受けることができるということになります。
確実に合格したい人、またはスコアアップを狙いたい人には、併願受検は有効な選択肢となっているので、ぜひ活用しましょう。
大学受験で英検®S-CBTを使うにはいつまでにスコアを取得するべきですか?
大学受験で英検®S-CBTのスコアを利用する場合は、多くの大学の出願期間に間に合うよう、高校3年生の夏までに目標とする級を取得しておくことをおすすめします。
ただし、大学入試で英検®S-CBTのスコアを利用する場合、大学側が「出願時から過去2年間の成績のみ有効」といった期限を設けていることがあります。 そのため、早く取得しすぎると、出願時にスコアの有効期限が切れてしまうおそれがあるため注意が必要です。
まとめ
「英検®S-CBTは大学受験に使えないのでは?」と思っているかもしません。しかし、実際は多くの大学で活用されており、出願資格や得点換算の対象として認められています。特に、推薦入試や総合型選抜を目指す人にとっては、英検®S-CBTのスコアが合格の後押しになるケースも少なくありません。
試験日を自由に選べたり、ヘッドホンでリスニングができたりと、現代の受験生にフィットした柔軟な試験形式も大きな魅力です。
ただし、大学や学部によっては利用条件が異なるため、まずは志望校の入試要項を確認することが第一歩。もし英検®S-CBTが使えるようなら、早めに試験日をチェックし、対策をスタートしましょう。
英検®S-CBTは、自分の力を証明するチャンスであり、未来を広げるための武器にもなります。自分に合ったペースで、一歩ずつ準備を進めていきましょう。
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