高校受験|夜ゲームで昼夜逆転!子どもの生活リズムを取り戻すには?


編集部
塾選ジャーナル編集部

精神科医・ゆうメンタルクリニック総院長・マンガ原作者
ゆうきゆう
小学生が話さない・無視する…「小4の壁」に親はどう向き合えばいい?専門医がアドバイス
「朝起きない」「会話が減った」「夜中にスマホばかり」――中学生の子どもに変化を感じたとき、親はどう向き合えばよいのでしょうか。受験も近づくなか、昼夜逆転やスマホ依存は多くの家庭が抱える悩みです。
今回は、実際の保護者の声をもとに、精神科医・ゆうきゆう先生が“生活リズムの立て直し方”をアドバイス。まずは、子どもの気持ちに寄り添うことから始めてみませんか?

夜ゲームで昼夜逆転!子どもの生活リズムを取り戻すには?
【CASE 011】中学2年生・男子
性格:
勉強はもちろん、早寝早起き、集団行動など頑張ることが苦手。趣味はゲームとスマホいじり。
【今回のお悩み】
ペンネーム:日々奮闘ママ さん(中学2年生 保護者)
毎日、不登校のお友達と、夜な夜なオンラインゲームをして、睡魔の限界が来てから寝ています。そのため、生活は朝寝て夕方に起きる日もしばしば……。趣味とはいえ、ゲームやスマホを手放さない姿を見ていると依存症になっているのではないかと不安になります。子どもの生活リズムを正すために、どうすればいいでしょうか?
家庭でできる5つの対策
昼夜逆転は心と体に悪影響!中学生に起こるリスクとは
ご相談の通り、昼夜逆転の生活は望ましくありません。夜にゲームやスマホを使用する時間が長ければ長いほど、睡眠時間が減り、眠れていたとしても、朝スッキリ目覚められずに、日中ボーッとしてしまうリスクが考えられます。
スマホ依存が成績低下につながる?文部科学省・国立教育政策研究所の調査が示す関係性
夜型の生活を続けていると、心と体の両面でさまざまな悪影響が出てきます。
たとえば、イライラしやすくなったり、情緒が不安定になったりするほか、免疫力が低下して風邪をひきやすくなることもあります。
集中力や記憶力の低下によって学習の遅れが生じるだけでなく、学校で孤立感を抱きやすくなり、不登校や引きこもりにつながるおそれもあります。
さらに、「1日あたりのテレビゲーム(スマートフォンを含む)利用時間が短い児童生徒ほど、教科の平均正答率が高い傾向が見られる※1」と報告されています。
スマホの使用時間が長くなるほど成績が下がる傾向があり、情報を受け取るだけの習慣が「自分で考える力」を育む機会を奪ってしまうことにもつながります。
出典※1文部科学省・国立教育政策研究所「令和6年度全国学力・学習状況調査」を基に筆者が作成)
対策1:家族のルールを決める
悪循環を断ち切るためには、スマホやゲームの使用時間について明確な「家族のルール」を決めることが大切です。子どもが精神的に成熟するまでは、親が管理するという立場を明示し、「夜間はスマホを使わない」「自室にゲームを持ち込まない」などのルールを定めましょう。
対策2:ごほうびとして活用する
他にも「勉強が終わったらスマホ・ゲームを使ってもいい」というルールを設定するのも一案です。人間、どんな行動であっても、日々の生活の中で漠然と同じことを繰り返していると、どんどんハマってしまうもの。スマホやゲームを“ごほうび”として、「その前に勉強を1時間行う」「学校と塾の宿題を必ず終わらせる」などの決め事を設けましょう。勉強に対する集中がしやすくなり、自分の好きなことができる時間への喜びもよりアップするはずです。
対策3:睡眠と生活の記録をつける
並行して「生活の記録」を残すようにするのも有効です。「何時に寝て、何時に起きているか」の記録を毎日つけることによって、「睡眠時間が減っていないか」「生活リズムがちゃんと保たれているか」が可視化されるため、意識が向かいやすくなります。
記録は本人がつけるのが一番ですが、自己申告が難しいようであれば、親が代わりにチェックするやり方でも構いません。
対策4:否定せず、まず共感
ルールを決める前のコミュニケーションで気を付けたいのは、昼夜逆転している現状を「頭ごなしに否定しない」ということです。お子さんも心の奥では、今のままでは良くないと分かっているはずです。
「なぜ、夜遅い時間にスマホやゲームをしてしまうのか」本人の事情を聴きましょう。子どもの立場を理解し、共感することから始めてみてください。そのうえで、「なぜ、昼夜逆転の生活を改善した方がよいのか」を説明し、お子さんが納得感を持てるまで、しっかり話し合う時間をつくりましょう。
対策5:小さなステップから始める
就寝時間は最初から高い目標を立てても、眠れない時間が苦痛になってしまうので、「30分ずつ時間を前倒す」などスモールステップを踏むと比較的スムーズです。焦らずに段階を踏んで少しずつ改善していきましょう。
悩んだときはひとりで抱え込まないで
まずは上記5つの方法を実践してみて、子どもの自主性に任せて変化を見守りましょう。もし生活状況が「以前より悪化している」と感じた場合は、居住地域の自治体が運営する「教育相談センター」や、精神科・心療内科などの医療機関に相談することをおすすめします。
保護者がストレスをためすぎないことも、大事なことです。いざというときは、専門家を頼るという選択肢も視野に入れておいてくださいね。
成功へ導く賢者からの金言!
【金言】
昼夜逆転生活から脱却するカギは、「ルール決め&睡眠記録の活用」!
※塾選調べ:
対象:高校受験をする予定の子どもをもつ保護者49名にアンケートを実施
期間:2025年1月7日~14日実施
執筆者プロフィール

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監修者プロフィール

東京大学医学部医学科を卒業。医師業のかたわらマンガ原作者としても活躍。主なマンガ原作に 「マンガで分かる心療内科」(少年画報社)などがある。ゆうメンタルクリニック、ゆうスキンクリニック、ゆうリワークセンター、ゆう訪問看護ステーションを首都圏や関西中心に21拠点展開する。2025年4月にゆうメンタルクリニック名古屋院が開院。(2025年現在)