高校受験|中学生のスマホルール、どう決める?“勉強に必要”を理由に手放さない受験生への対応策


精神科医・ゆうメンタルクリニック総院長・マンガ原作者
ゆうきゆう

編集部
塾選ジャーナル編集部
子どもが成長するにつれて、保護者の悩みも複雑になってきます特に高校受験を控えたお子さんがいると、「勉強」と「スマホ」のバランスに悩む保護者も多いのではないでしょうか。
実際、塾選ジャーナルが行った保護者アンケートでも「スマホを手放さない」「勉強中も触っている」といった声が多数寄せられました。
今回はそんな悩みの一例を紹介し、精神科医・ゆうきゆう先生にアドバイスを伺いました。中学生のスマホルールに悩む保護者の方へ、スマホとの向き合い方やルール作りのヒントをお届けします。
スマホを手放さない中3男子にどう向き合う?
高校受験期のスマホ制限に悩む
【CASE 011】中学3年生・男子
性格:
自己評価が高く、マイペース。人の影響を受けない。
【今回のお悩み】
ペンネーム:さき さん(中学3年生 保護者)
いつ勉強しているのかわからないため、勉強中はスマホを親に預けてほしいのですが、本人は「調べものをするため、スマホがないと無理」と言って手放しません。調べものはパソコンでもできるのに、「スマホのほうが便利で単語を調べやすい」というのが息子の言い分です。しかし、スマホだと友達からの連絡が入ったり、いつでもゲームができてしまったりするため、勉強に集中できていないと私は思っています。子どもとスマホの距離感をどのように正していけばいいでしょうか。
スマホ使用のルール作り、どう始める?
親子で決めたい3つのポイント
スマホは脳にも悪影響?「デジタル・ディメンチア」とは
「デジタル・ディメンチア」という言葉をご存じでしょうか。日本語にすると、「デジタル認知症」。わかりやすくいうと、スマホやインターネットの使用によって、脳がボケてしまうことを指す言葉です。
特にスマホの使用時間が長くなるほど、影響は顕著になります。同じ勉強時間であっても、スマホの使用時間が長い子どもほど、記憶力が低下し成績が落ちてしまう、という調査結果も発表されました。スマホを見続けることで、脳の機能が落ちてきてしまうわけです。さらに、姿勢の悪化や眼精疲労、頭痛、睡眠障害など脳だけでなく人体にも影響を及ぼすといわれています。スマホは使い方次第で、脳や体の機能を弱めていってしまうのです。
勉強に集中できない理由はスマホ?中学生に起こる弊害
相談者の方が懸念されている通り、勉強中にスマホに触っていると集中力がそがれます。勉強をしていても、常にSNSやゲーム、動画のことが頭に浮かび気になってしまうからです。勉強に集中させたい・成績を上げたいのなら、子どものスマホ使用に対してルールを決め、具体的な対策をたてることが重要です。
親子で取り組むスマホルールの作り方|受験期におすすめの具体例
【スマホ使用のルールの一例】
・1日の使用時間は2時間まで、など「時間」のルールを決める
・1日にスマホを使っていいのは3回まで、など「回数」を決める
・スマホを使用する場所は居間のみ、など「場所」を決める
・勉強中、食事中は使用しない、など「使用禁止」ルールを決める
スマホ使用に関するルールには、上記のような方法があります。
親の目が届く場所でないと管理が難しいなら、シンプルに「親がいる部屋でないとスマホを使用してはいけない」という方法もアリです。場合によっては、利用時間やコンテンツの利用を制限するアプリやスマホの搭載機能を活用するのもいいでしょう。
思春期の中学生にスマホルールを受け入れてもらうには?伝え方の工夫
ルールを決めるときには、頭ごなしに「○○しなさい!」と言うのは避けましょう。代わりに、「あなたのことが心配だから、ルールを決めないかな?」とソフトに話しかけてみてください。戦ってはいけません。
特に大人へと成長していく移行期間である思春期は、自立心が強くなる時期。一方的に強い言い方をすると、子どもは自分を否定されたと感じやすくなります。「言うことを聞きたくない」「勉強のやる気をなくした」というように逆効果になってしまうかもしれません。
まずは話を聞くことから!スマホと上手に付き合うための親の姿勢
大切なのは、子どもの話を聞く姿勢です。まずは「スマホ、どう使ってる?」「どんなときに必要だと感じる?」など、子ども自身の考えを聞き出すところから始めてみましょう。
たとえば、「お母さんは心配しているから、一緒に使い方のルールを決められたらうれしいな」といった柔らかな言葉かけをしてみてください。そうすることで、子どもも「話を聞こう」という気持ちになりやすくなります。
このように対話を通じて子ども自身に考えさせることが、納得感を生み出します。ルールの実効性を高めるポイントにも。親が“管理者”ではなく“伴走者”として寄り添うことで、スマホとの距離感も自然と整っていくでしょう。
まずは、子どもの意見をしっかり聞く時間を持ちましょう。そのうえで、「何のためにルールを設けるのか」という目的を伝えることが大切です。親の意見として提案するスタンスで話してみてください。
ルールを守ってもらうためにも、スマホと距離を置く必要性について、子どもに納得してもらうことを目指しましょう。
成功へ導く賢者からの金言!
「スマホ使用のルール」を決めて、集中力を取り戻せ!
※塾選調べ
対象:高校受験をする予定の子どもをもつ保護者99名にアンケートを実施
期間:2025年1月7日~14日実施
監修者プロフィール

東京大学医学部医学科を卒業。医師業のかたわらマンガ原作者としても活躍。主なマンガ原作に 「マンガで分かる心療内科」(少年画報社)などがある。ゆうメンタルクリニック、ゆうスキンクリニック、ゆうリワークセンター、ゆう訪問看護ステーションを首都圏や関西中心に21拠点展開する。2025年4月にゆうメンタルクリニック名古屋院が開院。(2025年現在)
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。