苦手な教科を克服する方法とは?中学生向け「超シンプル勉強法」をプロの塾講師が実体験付きで解説!


編集部
塾選ジャーナル編集部

ひのき進学教室 三軒茶屋校講師
大山雅司
「この教科だけはどうしても苦手…」「嫌いな教科もやらなきゃと思うのに、どうしても手がつかない…」「なんとかして不得意な教科を好きになる方法がないだろうか?」
そんな悩みを抱える中学生も多いのではないでしょうか。
この記事では、現役塾講師の大山先生の実体験も踏まえて、苦手な教科を克服するための“超シンプル勉強法”を解説。「嫌い」が「好き」に変わるきっかけなど、勉強が苦手な中学生でも今日からすぐ始められる具体的なステップが満載です!
ぜひ参考にしてみてください。
なぜ苦手な教科ができるのか?嫌いになる理由を解説
教科の好き嫌いは「知識量」で決まる
まず最初に知ってほしいのは、「今、嫌いだと思っている教科も、この先ずっと嫌いなままとは限らない」ということです。
人間の“好き・嫌い”の感情はとても曖昧なもの。状況や経験によって簡単に変わります。つまり、今の時点で「この教科は苦手だな、嫌いだな…」と感じていても、1ヶ月後には「けっこう面白いかも」と思っている可能性は十分あるのです。
人は誰でも、よく知っているものに対して親しみや安心感を覚えます。勉強も同じで、知識量が多い教科ほど「もっと知りたい」と感じやすく、好感を持ちやすいのです。逆に、あまり触れていない教科には抵抗感を持ちやすくなります。
「嫌い」はただの未経験なだけかもしれない
人が何かを好きになるかどうか、それは先述のとおり、「どれだけ知っているか」に大きく左右されます。
例えば、詳しく知っているアニメやゲームなら、もっと知りたくなりませんか?それと同じで、知識がある教科は自然と興味が湧きやすくなるのです。
これは脳の仕組みによるもの。よく知っていることには安心感を覚え、さらに知りたいという「知的好奇心」が働きます。その結果、「知っている→好き→もっと勉強する→さらに知る→さらに好きになる…」という好循環が生まれるのです。
今「嫌い」と感じている教科でも、それは単に「知っていることが少ないだけ」かもしれません。
勉強しても嫌いになることはあるの?
基本的に、学校で学ぶ範囲の内容においては「知れば知るほど嫌いになる」ことは、ほとんどありません。むしろ知識が増えることで「わかるようになる」楽しさが生まれ、好意的な感情に変わっていきます。
もし、しっかりと勉強しているのに苦手なまま、成績が上がらないという場合には、勉強のやり方に改善ポイントがあるかもしれません。成績が上がらない場合の効果的な勉強法を知りたい中学生は、以下の記事も参考にしてください。
苦手な教科を克服する方法:超シンプル勉強法の3ステップ
前章では、苦手・嫌いな教科ができる理由を解説しました。では、どのようにしたら得意・好きに変わるのかを、超シンプル勉強法を3つのステップとしてまとめました。
STEP1|まずは小さな達成感を積み重ねる
最初から完璧を目指す必要はありません。例えば、「今日は教科書を1ページ読んでみた」「単語を5つ覚えた」など、小さな行動や成功体験を積み重ねることで、自然と前向きな気持ちが生まれます。
STEP2|知識を深めて好奇心を刺激する
ひとつ理解できたら、その周辺の知識を少し広げてみましょう。「山を覚えたら川も覚える」「都道府県を覚えたら地形にも興味を持つ」といったように、好奇心が刺激されることで自然と学習が続けやすくなります。
STEP3|「できる」を増やして自信をつける
できることが増えると、「意外といけるかも?」という気持ちになります。その感覚こそが、苦手意識を克服する大きなカギ。自信がつけば、さらに学ぶ意欲も湧いてきます。
大山先生の実体験!苦手教科が得意に変わった瞬間
突然ですが、みなさんは日本の都道府県を全部言えますか?地理が苦手だと感じている中学生に、よくあるのが「位置や名前がなかなか覚えられない…」というお悩み。実は、大山先生もまさにそうだったようです。
大山先生に「苦手教科を克服する方法」について、中学生時代の実体験エピソードを伺いました。
都道府県から始まった「地理克服」の話

編集部
大山先生にも苦手教科があったとは、とても意外ですね。どの教科が苦手だったのですか?

大山先生
実は、中3の夏まで「地理」が大の苦手でした。というか、都道府県の位置すらちゃんと覚えていなかったんです。
でも、「さすがにこのままじゃまずいな」と思い、一念発起して都道府県の暗記から始めました。そこから、山を覚え、川を覚え、平野を覚え…と少しずつ知識を積み上げていったんです。
気がついた頃には「地理、結構いけるかも?」と思えるようになっていて、最終的には社会の中でも一番得意な分野になっていました。これはすべて、「知ることを重ねた結果」だと思っています。
少しの成功が、好きになる転機になる

編集部
都道府県を覚えるところからはじまって、最終的に社会の中でも一番得意分野に変わったのですね。この経験から得た、苦手教科への向き合い方を教えてください。

大山先生
この体験から感じたのは、「最初の一歩を踏み出すだけで、世界が変わる」ということ。やってみたら意外と面白い。できたらうれしい。その繰り返しで、いとも簡単に「好き」な教科へ変わっていくのだということを実感しました。
苦手な教科に向き合うためのマインドセット
「できるようになったら好きになる」は本当
大山先生の実体験エピソードからも分かるように、「好きだからできる」のではなく、「できるようになったから好きになる」ケースは非常に多いです。もちろん最初は、得意な教科に比べて「できなさすぎて辛い」と感じることもあります。でも、そこを一歩踏み出してみることで、意外とすんなり理解できたり、「できるようになってきた!」という実感が得られたりします。
待っていても好きにはならない
「やる気が出たら始めよう」と思っていると、いつまでも変わりません。好きになるのを待つのではなく、まずやってみる。それが苦手克服の第一歩です。
苦手教科を克服するために今すぐできること
やれることから“とにかく始めてみる”
苦手な教科を克服する上で一番大事なのは、とにかく始めてみることです。どんな小さなことでも構いません。
例)
・まずは教科書を開いてみる
・苦手な単元の基本だけをやってみる
・得意な友達に質問してみる
教科書を1ページ読むだけでも、参考書の例題を1問解くだけでもOK。「ここならできそう」と思えることから手をつけてみてください。大切なのは“完璧”ではなく“継続”です。
教材を開いて「最初の一歩」を踏み出そう
この記事を読み終えたら、すぐに机に向かいましょう。苦手な教科の教材を開き、「自分にとっての最初の一歩」を探してみてください。それが、克服への第一歩です。
教科別│苦手になる原因と今すぐできる対策まとめ
ここからは、教科別に「苦手になる原因のよくあるパターン」と、「克服する第一歩として効果的な対策」を紹介します。自分に当てはまる教科をチェックしてみてください。
教科 | 苦手の原因 | 効果的な対策 | 対策例 |
---|---|---|---|
英語 | 単語や文法の意味が曖昧。読む・聞くが苦手 | 書く・話すから入って「使える感覚」をつかむ | ・1日5単語を音読 ・教科書の英文例を写して音読 ・英語番組で発音を真似する |
数学 | 式の意味がわからない。文章題が苦手 | 解法の意味を理解。つまずき単元からやり直す | ・「なぜその式か」をメモ ・同じ問題を3回解く ・図解動画で理解する |
国語 | 内容が頭に入らず、記述・選択問題が曖昧 | 要約と根拠探しの練習。文法と漢字の復習 | ・短文を要約 ・解答の根拠に線を引く ・語彙をノートに書き留める |
社会 | 地名や年号が覚えられない。流れがわからない | 地図や年表を活用。イメージとストーリーで記憶 | ・白地図に色分け記入 ・人物はイラストで記憶 ・因果関係で整理する |
理科 | 公式を覚えても使えない。現象がイメージできない | 仕組みの理解+動画で視覚化+反復演習 | ・動画や図で理解 ・問題集を2〜3周 ・語呂合わせや音読で暗記 |
英語が苦手│まずは書く・話すを重視する
英単語や文法の“意味がわからない”と感じることが多く、英文を読んでもイメージが湧かないという声がよくあります。リスニングやスピーキングにも苦手意識があり、「英語=暗号」のように感じてしまうことが一因です。
まずは“聞く・読む”よりも“書く・話す”を重視して、「意味がわかる英語」を積み重ねるのが効果的です。音読と単語帳の併用や、短文の丸暗記から始めて、「わかる→使える」の感覚をつかみましょう。
・1日5単語をノートに書いて音読する
・中学英語の教科書を1文ずつ写して声に出す
・YouTubeやNHKの英語番組で発音をまねる など
上記のように、“五感で覚える”学習で苦手意識を減らせます。
以下記事では、単語・文法・長文など英語の勉強法について詳しく紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
数学が苦手│なぜその解き方をするのか丁寧に理解しよう
公式だけ覚えていて使い方がわからない、文章題を読んでも式が立てられない、といった悩みが多く見られます。「なぜこの式を使うのか」が理解できないと、応用問題で手が止まります。
「どこでつまずいているか」が明確になっていないケースが多いのも数学です。まずは前の単元に戻り、“わからない箇所の特定”から始めましょう。解法のパターンを整理し、同じ形式の問題を繰り返すのがカギです。
・1問解くごとに「なぜその式を使うのか」をノートにメモする
・同じタイプの問題を3回解く(→解き方を定着させる)
・YouTubeで図解説明のある動画を見て視覚で理解する など
「わからない」を「説明できる」に変えることが、数学克服のカギです。
高校受験に向けて、数学を効率よく勉強したい方は以下の記事も参考にしてみてください。
国語が苦手│短文の要約や語彙・文法理解で読解力を磨く
国語が苦手・嫌いという中学生に多いのが、「文章の内容が頭に入ってこない」「選択肢を適当に選んでしまう」というお悩み。記述問題では何を書けばよいかわからず手が止まる、という生徒も多いです。
国語は「センスの教科」と思われがちですが、読解力や文法知識など“技術的”な要素が多くあるのも事実。読解力は、文章を「要約する練習」や、「選択肢を根拠で選ぶ」練習で鍛えられます。
また、語彙不足が苦手な要因となっているケースは多いです。文章を声に出して読んでみて、読み方がわからない・意味がわからない語句は調べて、ノートにストックしていくと良いでしょう。また漢字の学習は語彙を増加させる上で非常に有効です。
・短い文章(例:新聞のコラム)を読んで要約する練習をする
・過去問の選択肢問題で「根拠となる一文」に線を引く
・漢字や文法など"得点しやすい基礎"を優先的に復習する
・漢字検定などを目標に漢字の学習を行い語彙を増やす など
読解力は毎日の練習で確実に伸ばせる「スキル」です。
高校受験に向けた勉強を意識したい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
社会が苦手│地理は視覚で、歴史はストーリーで覚える
地理
地理はとにかく地図!自分で白地図を描いて重要事項を書き込むと情報が整理され、視覚的に頭に入りやすくなります。
・白地図に地形や都市、産業を色分けして記入する
・扇状地・三角州などの用語は"成り立ち"をセットで覚える
・地図×統計資料を組み合わせて意味を理解する
・映像教材や現地写真で興味を持つ
例えば一つの地域について見開きノートに地図を描き、地形(山脈・川など)や農業・工業地帯の位置、人口・気候の特徴などを色分けして書き込むと、自分だけの参考書になります。地図と関連付けて覚えることで、地理用語の意味も理解しやすくなるでしょう。
また、地理では似た用語が多いため、一つひとつ意味を理解しながら正確に覚えることが大切。語句だけ丸暗記するのではなく、「なぜその地形になるのか」「どういう特徴の地域なのか」まで押さえると混同しにくくなります。例えば扇状地と三角州など紛らわしい地形も、成り立ちを理解すれば記憶に残りやすいでしょう。
歴史
歴史はストーリー(流れ)で覚えるのが鉄則です。一つ一つバラバラに暗記するのではなく、「原因→経過→結果」の流れを年表で整理しましょう。
・原因→結果の流れを意識して年表にまとめる
・各時代を「物語」として理解する(例:戦国→江戸)
・歴史人物のイラストや漫画で視覚的に覚える
・出来事の場所を地図で確認し、背景を把握する
まず、自分で重要事件のミニ年表を作り、「どの時代に何が起き、その結果次に何に繋がったか」を俯瞰すると、「歴史の流れがわからない」という悩みは解消します。
例えば戦国時代から江戸時代なら、「織田信長が全国統一を目指す→明智光秀に裏切られ倒される(本能寺の変)→家臣であった豊臣秀吉が全国統一を果たす→関ヶ原の戦いで徳川家康が勝利し、江戸幕府をひらく」という具合です。
歴史上の出来事には、すべて原因と結果のつながりがあります。それを意識して覚えると理解が深まります。丸暗記ではなく物語として覚えることで、「そうか、この出来事があったから次にこれが起きたんだ」と腑に落ちて記憶に残りやすくなります。
各時代の大きな流れ(例: 幕末→明治維新→近代国家の形成)を物語の章立てのように捉えてみましょう。
大山先生がおすすめする具体的な勉強法のひとつに、問題集の一問一答の「答え」どうしをつなげて、自分の言葉で説明してみるという方法があります。
■問題集の一問一答の回答
①鉄砲 ②種子島 ③織田信長 ④桶狭間 ⑤室町幕府 ⑥長篠の戦い ⑦安土 ⑧楽市楽座 ⑨明智光秀 ⑩本能寺
■ 回答の語句をつなぎ合わせて歴史の流れを説明
鉄砲は、1543年にポルトガル人によって日本にもたらされ、種子島に伝わったことで全国に広まりました。この新しい武器をいち早く戦に取り入れたのが、織田信長です。
信長は1560年、今川義元の大軍を奇襲して破った桶狭間の戦いで名を上げ、勢力を拡大していきます。その後、室町幕府の将軍を追放し、実質的に室町幕府による支配を終わらせました。1575年には、鉄砲を大量に使って長篠の戦いで武田軍を破り、戦のしかたを大きく変えました。
信長は琵琶湖近くに安土城を築き、そこを拠点として全国統一を進めました。経済政策としては、商人の自由な取引を認める楽市楽座を行い、城下町のにぎわいを生み出しました。
しかし1582年、家臣の明智光秀に裏切られ、「本能寺の変」で自害しました。
また、人物や出来事はイメージで記憶すると忘れにくくなります。歴史上の人物の肖像画やイラスト、歴史漫画などを活用しましょう。例えば坂本龍馬の写真や漫画を見ればどんな人物か想像しやすくなり、その人物の偉業も頭に入りやすくなります。
さらに、地図帳を開いて「どこで起きた事件か」を確認するのも有効です。同じ出来事でも場所が違えば背景が違うので、地図とセットで覚えると知識が立体的に定着します。
理科が苦手│公式を覚える前に「仕組み」を理解しよう
理科が苦手な人は、まず「現象の理解」を重視しましょう。
・公式を覚える前に"仕組み"を理解することを優先
・問題文を「自分の言葉で説明できる」かを意識する
・動画や図で現象の動きを視覚的に理解する
公式の暗記だけでなく、なぜそうなるのかという仕組みを理解することが大切。「どうしてその公式を使うのか」を自分で説明できると、応用問題にも強くなります。
また、実験や自然現象はイメージしにくいため、動画や図を活用して視覚的に学ぶのがおすすめ。天体の動きや化学反応などは、映像で見ると理解が一気に深まります。
暗記が必要な分野は、問題演習の繰り返しがカギです。教科書に沿った問題集を2〜3周し、間違えたところを重点的に復習しましょう。語呂合わせやイラストを使った記憶で楽しく覚える工夫も効果的です。
・問題集を2〜3周繰り返して知識を定着させる
・語呂合わせ・イラストで楽しく覚える
・教科書を音読し、つまずいた言葉を重点復習する
最後に、教科書の音読もおすすめ。読んでつまずいた箇所が、あなたの“弱点”です。そこを重点的に見直すことで、少しずつ理科への苦手意識を克服できます。
まとめ:苦手教科の克服に必要なのは“知ろうとすること”
嫌いな教科を好きになるには、まずは「知る」ことから始めましょう。
知識が増えれば好奇心が芽生え、好きになるきっかけが生まれます。最初の一歩はしんどいかもしれません。でも、続けていけば必ず「変化」が訪れます。
ぜひこの記事を読み終わった今すぐ、苦手な教科の教材を開いて、「これならできそう」というところから始めてみてください。
あなたの「苦手」「不得意」「嫌い」は、きっと「得意」「好き」へと変わっていきます。
※参考動画:嫌いな教科を乗り越える方法
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執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。