大学受験|部活と勉強の両立はどうしたらいい?親が知っておきたい勉強とサポートのコツ


編集部
塾選ジャーナル編集部

東大卒講師・ドラゴン桜公式noteマガジン編集長
青戸一之先生
高校生になってから部活が忙しく成績も下降気味…。部活と勉強を両立するための効率的な方法は?大学受験指導のプロがアドバイス
「部活も勉強も頑張りたい。でも時間が足りない…!」部活と勉強の両立に悩む高校生は少なくありません。親としても、頑張る姿を応援したい反面、成績や受験が心配になることもあるでしょう。この記事では、無理なく両立するための時間管理の考え方や、限られた時間の中で効率的に勉強するコツ、そして保護者のサポートのあり方について、大学受験指導のプロ・青戸一之先生に話を聞きました。
部活でヘトヘト…高校生が勉強を続けるための両立法とは?
【CASE 019】高校1年生・男子
性格:
おっとりしていておとなしい性格。
【今回のお悩み】
ペンネーム:toriko さん(高校1年生 保護者)
勉強と部活の両立に悩んでいます。高校に入学後、吹奏楽部に入部した息子。厳しい部活のようで、帰宅後は疲れてしまい宿題をやるだけで精一杯。学校の成績が下がってきており、なんとか対策をしたいと思うのですが、どうすれば良いでしょうか?
ポイントは「時間の有効活用」。短時間の予習で授業への集中力がUP!
部活と勉強を両立するカギは「時間の使い方」
部活を頑張るわが子の姿は頼もしいもの。でも、成績が落ちてくると「このままで大丈夫?」と不安になりますよね。部活や趣味と勉強の両立に悩む高校生は多く、大学受験を見据えるほど、その難しさに直面しがちです。
部活と勉強の両立のために、1番のポイントとなるのは時間の使い方です。部活で毎日忙しく、勉強に割ける時間が限られているからこそ「時間がない中で、どのように工夫するか」という視点が生まれます。
高校生のうちから、意識的に時間を使うクセをつけておけば、今後の勉学や人生において大きな財産になるはずです。時間管理を学ぶ良い機会と捉えて、勉強方法や時間の使い方を工夫しながら部活と勉強の両立を目指しましょう。
まずは「自由に使える時間」を可視化しましょう
計画的に勉強時間を確保するためには、まず自分がどれだけ自由に使える時間を持っているかを知ることが大切です。「もっと勉強しないと…」と焦る前に、まずは現状の時間の使い方を見える化し、把握することから始めましょう。
1日のスケジュールは、平日と休日、部活がある日とない日で変わるはずです。それぞれの生活リズムに合わせて、時間帯ごとに書き出してみてください。
<例>
・7:00〜7:45:通学時間
・8:30〜15:00:学校の授業
・15:30〜18:00:部活動
このように整理すると、思ったよりも自由に使える時間が少ないことに気づく人も多いです。
だからこそ、「その限られた時間をどう使うか」が大切になります。勉強・食事・睡眠・趣味などをバランスよく配分しながら、自分にとって無理のないスケジュールを組んでみましょう。
「自由時間の少なさ」に気づくことで、「この時間は○○のために使おう」といった目的意識も自然と芽生えてきますよ。
効率的に勉強する「3つのコツ」
部活を頑張りながら勉強時間をがっつり確保するのは難しいこともあるでしょう。限られた時間の中で、効率的に勉強するコツを3つお伝えします。
1. 学校の授業にしっかり集中する
効率的に勉強する近道は、学校の授業の時間を生かすこと。仮に、1日50分の授業が6コマあるとしたら、1日5時間は必ず時間がとられるわけです。この5時間を無駄に使うか・有効に使うかで勉強の効率や成果に大きく差が出てきます。
仮に部活で疲れていて授業中に寝てしまったり、なんとなく話を聞いただけで理解しないままに終わらせてしまったりしていたとします。授業でやったことを自学自習でカバーするために、家に帰ってから5時間分勉強するのはやはり難しいですよね。
授業の理解度を深めるためには、その日に学ぶことを予習しておくのが効果的です。「予習」といっても、教科書をざっと眺めて、流れや太字になっている用語を軽くチェックする程度でもOK。先生の口から初めて聞くより、あらかじめ目を通しておくことで授業中の理解がぐっと深まります。もちろん、予習と復習の両方ができれば理想ですが、時間がないときは予習を優先しましょう。
2. 隙間時間を活用する
勉強時間が限られているときは、「隙間時間」を上手に使いましょう。
たとえば、授業と授業の間の5分休みに次の授業の予習をしたり、夜寝る前にその日のノートやプリントを軽く見直すだけでも十分です。
予習・復習というと「しっかり時間を取ってやるもの」という印象がありますが、ちょっとした時間でも工夫次第で可能なのです。
また、通学中の電車やバスの中も、貴重な勉強時間に変えられます。授業ノートを写真に撮り、スマホで見返して復習しましょう。暗記アプリを使って、確認テストをするのも効果的です。このような小さな時間の積み重ねが、大きな成果につながります。
3. 目的意識を持って時間を使う
勉強しなければと思っていても、どうしてもやる気が出ないときもあるでしょう。東大生に気持ちの切り替え方のコツを尋ねると、よく出てくるのが「目的意識を持って時間を使う」という考え方です。
たとえば、スマホでSNSや動画を見る時間や、ゲームをする時間。
同じように見える時間でも、「勉強の息抜きのために5分だけ見る」と決めて使うのと、なんとなく流されて見るのとでは、気持ちの切り替えやすさがまったく違ってきます。
「リフレッシュのためにSNSを5分だけ見る」「気分転換に動画を1本観たら勉強に戻る」など、自分の行動に意味を持たせることを意識してみてください。
また、「勉強を30分やったら5分スマホを見てもいい」といったご褒美ルールを取り入れるのも効果的です。
自分で時間の使い方にメリハリをつけられるようになると、自然と気持ちも切り替えやすくなっていきますよ。
自立を尊重しつつ、見守るスタンスでサポートを
高校生は、心も体も大人に近づいてきて自立心が強くなる一方で、まだ親に理解してほしい、認められたいという気持ちも抱えている多感な時期です。成績が思うように伸びないと心配になるものですが、本人が好きで頑張っている部活動については、否定せず応援するスタンスを見せてあげたいですね。
勉強時間や日々の過ごし方は基本的に本人に任せるのが理想ですが、タイムスケジュールに無理がないかどうか、そっと見守ることも必要です。睡眠が十分に取れているか、朝食をきちんと食べているかといった基本的な生活習慣のサポートが、子どもにとっては大きな安心感につながります。
また、勉強に取り組む姿勢は、学校の成績のためか、大学受験のためか、で大きく変わります。将来の目標に向かって計画的に勉強できるように、「志望校をどうするか」「将来どんな道に進みたいか」といった未来の話をする時間を設けると、勉強へのモチベーションもグッと高まるでしょう。
勉強時間は、徐々に増やしていけばOK!ただし、早めに勉強習慣は身につけて
今は動画やインターネットを通じて、受験勉強のスケジュールの組み立て方や勉強法の情報が豊富に手に入る時代です。自分に合った学習環境を整えるためだけに、必ずしも塾に通う必要はありません。ただし、部活と勉強の両立がどうしても難しいと感じた場合は、受験対策に特化した塾でプロの指導を受けることで、効率よく勉強の計画を立てられるようになります。
大学受験を考えるなら、1年生のうちに基礎を固め、2年生の1月頃には共通テストを1年先取りで受けて、志望校の基準点の6割を目指せると理想的です。3年生になってから急に勉強モードに切り替えるのは難しいので、部活を引退する前からコツコツと勉強習慣を身につけておくことが大切です。また可能であれば、同じ部活の中で両立に成功している先輩の話を聞くことも、大きなヒントになるかもしれません。
成功へ導く賢者からの金言!
学校の授業を最大限活用して基礎を固める!
隙間時間を活用して勉強習慣を身につけて。
※塾選調べ:
対象:大学受験をする予定の子どもをもつ保護者50名にアンケートを実施
期間:2025年3月5日~12日実施
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

1983年生まれ、鳥取県出身。地元の進学校の高校を卒業後、フリーター生活を経て25歳で塾講師に転身。26歳から塾の教室長としてマネジメント業を行う傍ら、学習指導にも並行して携わる。29歳の時に入塾してきた東大志望の子を不合格にしてしまったことで、自身の学力不足と、大学受験の経験が欠如していることによる影響を痛感し、30歳で東大受験決意。塾講師の仕事をしながら1日3時間の勉強により33歳で合格。在学中も学習指導の仕事に携わり、現在は卒業してキャリア15年目のプロ家庭教師・塾講師を行う傍ら、ドラゴン桜noteマガジンの編集長を務める。 著書に『あなたの人生をダメにする勉強法 「ドラゴン桜」式最強タイパ勉強法で結果が変わる』(日本能率協会マネジメントセンター)、『家庭教師の技術』(星海社)がある。