医学部受験ってどんな世界?まずは知っておきたいお金・準備・親の関わり方


プロ家庭教師の名門会
株式会社名門会 経営企画局
子どもが「医学部を目指したい」と言ったら–––その言葉に喜びを感じる一方で、「何から始めればよいのか?」「お金はどれくらい?」と戸惑う保護者もいるのではないでしょうか。
医学部受験は、今や長期戦・情報戦・経済戦です。複雑で特殊な世界では、保護者の関わり方がますます重要になっています。本連載では、医学部・難関大受験に実績を持つ「名門会」が、保護者目線での受験サポートのヒントをお届けします。
初回は、スケジュール・学費・準備・親の関わり方など、まず知っておきたい全体像をわかりやすく解説します。

医学部受験って何が違う?特徴と対策のキホン
医学部受験は一般学部の大学受験と比較し、どのような違いや特徴があるのでしょうか。
医学部進学を目指すなら、まずは医学部受験の具体的な特徴を踏まえたうえで、学習計画や対策を理解することから始めてください。
また、医学部受験対策の開始時期に「遅い」ということはあっても「早い」ということは決してありません。
漠然と医学部を目指している程度の場合は、積極的なアクションを行い、確たる志望(覚悟)に変え、本格的な受験対策を1日でも早く開始することが、合格への第1歩となります。
医学部受験 3つの特徴|高い総合得点力が求められる
一部例外の私立医学部(受験科目が少ない大学)もありますが、その場合でも非常に大切な注意点があります。
特徴2:一般学部の大学受験と比較して、最高難度(レベル)の問題に正解しないといけない
特徴3:一般学部の大学受験と比較して、合格倍率が高い
こうした3つの特徴が重なることで、医学部受験は他の学部を受験する以上に「科目ごとのバランス力」と「高い総合得点力」が求められます。
特に現役生の場合、高校の授業進度と受験に必要な学習範囲とのギャップが生じやすく、すべての科目に十分な対策を施すのは時間との戦いです。
医学部合格に向けて知っておきたい重要な対策・指針・注意点
Point 2:1科目でも苦手科目があると致命傷になる。また、最低1科目は得点源となる科目が必要になる
Point 3:計画的な学習を早くから進めないと、すべての科目に十分な対策ができない
現役受験生は、高校の履修内容がすべて終了するのが遅いため圧倒的に不利です。
「大学受験の勉強」と「医学部受験の勉強」は、いずれも「受験勉強」という点では同じですが、間違いなく
「医学部に合格するために必要な学習量」
>「大学受験(一般学部)に合格するために必要な学習量」
となります。不合格になった現役受験生の原因を分析すると、各科目の対策に十分な時間を確保できず、合格レベルに到達するまでに、時間切れになってしまうことも珍しくありません。
そして、浪人生が現役生よりも合格率が高いのは、単純に学習量が多いこと以外に、過去問を最良の教材として活用し、実戦演習を多く重ねているのも大きな理由の一つです。
医学部合格の最良教材「過去問演習」で対策を
医学部受験だからといって、特別な大学受験対策が必要なわけでは決してありません。
下記のポイントを押さえた志望校対策は、受験である以上必須です!
対策2: どんな教材よりも、最良教材である志望校の過去問の勉強を開始する
対策3: 過去問演習を ①できるだけ早くから ②できるだけたくさん ③できるだけ丁寧に ④できるだけ志望校よりも高いレベルの学校を含め対策する
その1:超必勝対策|高校2年生より、過去問演習を開始する。
その2:必勝対策|(新)高校3年生になる春休みより、過去問演習を開始する。
その3: 勝ちパターン対策|高校3年生の夏休みより、過去問演習を開始する。
現役生は、学校の授業進度に合わせず、単元別学習を少しでも早く終了させることが前提条件。
医学部っていくらかかる?国公立と私立の学費事情
学習計画と同様に、早くから計画的に準備をしておきたい学費。「親として子どもの希望する進路なら、学費の面でも精一杯応援したい」は、保護者の共通の想いです。
ただし、「医学部となると、相当な学費が……」と不安をお持ちの方も少なくありません。
まずは、現在の医学部の学費がどの程度必要か、国公立大学と私立大学に分けてご紹介します。
学費や奨学金についての詳細は、本連載でも今後取り上げる予定です。以下は、その参考資料としてご確認ください。
国公立大学医学部で卒業するまでにかかる学費(目安)
標準額は53万5,800円(入学金は28万2,000円)で、2005年度に現在の金額に改定されてから、15年以上据え置きの状態です。ただし、授業料については標準額の20%まで増額が認められています。
実際に東京工業大、千葉大、東京医科歯科大などはすでに値上げ済みです。東京大学も2025年度入学者より約11万の値上げが実施されています。
私立大学医学部で卒業するまでにかかる学費(目安)
私立医学部の学費は一般学部よりも圧倒的に高く、6年分の学費を短期間で確保するのは決して容易ではありません。
ただし、さまざまな奨学金制度を含む支援制度が数多く充実しています。早期から計画的な準備を進めれば、進学費用の捻出も可能になるのではないでしょうか。
奨学金には「返済不要の給付型」「返済が必要な貸与型」があります。
そして、貸与型の場合でも、卒業後に一定期間決められた病院などで医療に従事することで、返還が免除される仕組みになっているところも少なくありません。
受験学年になる前から、どのような奨学金制度があり、どの程度の支援を受けられるかを確認しておくと安心して進学準備を進められるでしょう。
医学部の学費を支援する主な制度
・日本学生支援機構実施の奨学金
・国公立大学の学費減免制度
・高等教育の修学支援制度
・地域枠 ・矯正医官修学生
・防衛医科大学校医学科
■民間団体実施の支援制度
・医療法人
・公益社団法人
・民間財団
・地方公共団体奨学金
■私立大学医学部の支援制度
自治医科大学や産業医科大学など、支援制度がある私立大学医学部がある。
その他、大学独自の多数の奨学金制度もあり。
支援制度については今後、本連載の今後の記事で詳しく解説しますが、すぐに知りたい方はインターネットなどを使って、ご自身でもぜひ調べてみてください。
準備はいつから?何から?受験勉強と塾選びのコツ
前述(医学部に強い名門会!超必勝・必勝・勝ちパターンの過去問対策)でふれたとおり、合格を見据えて逆算すると、少しでも早くから志望校の過去問対策を開始することが重要です。
そのために、まずは単元別学習を早期に終了させ、過去問にトライできる実力を身につける必要があります。
お子さんの在籍高校は、学習指導要領通りのカリキュラムで授業が進む公立高校でしょうか?または先取り学習を行っている私立高校でしょうか?
すべての科目の履修内容が終了するのはいつになるか、把握しておくことが大切です。
医学部受験を考えるなら、高校の履修内容が始まる高校1年生時から(中高一貫校で先取り学習を行う学校では中学校3年生時から)受験までの学習計画や受験校、そして学費について調べ始めておくのがおすすめです。
医学部受験を目指す場合は、受験までに高校の履修内容を何度もレベルを上げて復習することになります。その復習にかかる時間(苦手弱点箇所をつぶす)を極力減らすためにも、初めて履修する時から先の見通しまで立てておくことが重要だからです。
多くの受験生がつまずきやすい単元などをあらかじめ把握しておく必要があります。
医学部受験へ向けた過去問演習開始までの流れ
準備2:標準レベル問題演習(または苦手弱点単元の克服)
準備3:応用レベル問題演習(部分的・段階的に過去問演習を開始)
↓
過去問演習(制限時間・解法確認・出題傾向と対策を踏まえて本格的な対策を開始)
注:上記はあくまで一般的な流れで、この限りではありません。
また、科目別に進捗状況が異なり、単元別に設定されていない科目もあります(例:英語・現代文など)。
上記を踏まえ、履修内容がすべて終了するのが遅い公立高校に通っているなら、学校よりも先に単元別学習を終える先取り学習をする必要があります。
先取り学習を行っている私立高校に通っているなら、標準または応用レベル問題演習を開始し、過去問演習ができるレベルまで学力を引き上げておきましょう。
また、上記の流れがうまく進まないケースもあります。
例えば、遡及学習が必要なケース。
苦手・弱点の克服を自力で進める場合、通塾するよりも圧倒的に時間がかかることが多いです。独学よりも、圧倒的に理解している人から教えてもらうことが時短とレベルアップにつながります。
特に、次の3つのケースに当てはまる方は、通塾の検討をおすすめします。
ケース2: 学校よりも先取り学習を行い、単元別学習を早期に終了させたい方
ケース3: 進んでいる教科(=得点源にしたい教科)をさらに強化したい方
そして、お子様とも事前にしっかりと相談と確認をしていただきたいのですが、通塾で良い成績を出すためにも、通塾目的が明確であることが必須です。
親がつい言ってしまいがちなNGワード|子どもを応援するために大事なこととは
子どもの将来を心配し、子どもが話し始めた途端に口を挟んでしまうことも含めて、たとえば、以下のようなことを口にしてしまうことはないでしょうか?
親がつい言ってしまいがちな、言わない方がいいこと
例2:あなたが考えているほど、医学部合格は簡単じゃないよ。どこまで覚悟できてるの?
例3:合格するまで何年も浪人する人だって多いので、あなたにはきっと無理よ。
本来、保護者の方が確認したいのは、「何をきっかけに医者を目指すことにし、どんなに険しい道でも努力を続ける本気の覚悟がどこまであるか?」ではないでしょうか?
保護者の方の気持ちも、もちろんよくわかります。
また、中途半端な気持ちで取り組むべきではないのは医学部受験に限った話ではありません。
ただし、いくら我が子とは言え保護者が知っているのは、これまでの(過去の)子どものこと、そして今の子どもの生活のごく一部に限られるのではないでしょうか。
ましてや高校生ともなれば、こうした傾向は特に顕著です。
子どもたちもあるきっかけや目にしたことを通じて、大きく感動したり、涙を流したり、心を動かされたり、感銘したりすることがあります。
さらに、漠然とした想いが強い覚悟に代わり、目を見張るほど大きく変化・成長・発展を遂げることもあります。
そんな子どもたちに共通することがあるとすれば、それは「強い気持ち(覚悟・決心・情熱)」です。
医者になりたいと思ったきっかけを、そしてどこまで強く・深い覚悟があるかを、最後まで決して口を挟まずに、丁寧に時間をかけて聞いてあげてください。
なお、2024年度入試で文部科学省が調査した医学部の平均合格率は、以下の通りです。
きっとお子さんは、こうしたシビアなデータも確認したうえで、それでも、医学部を目指す覚悟を決めたのではないでしょうか?
そうだとすれば、親としてどのような言葉をかけてあげられるか。それはとても大切なことです。
実際に、医学部受験生が親に言われて「うれしかった」という言葉をご紹介するので、医学部を目指す我が子を応援する言葉として、ぜひ参考にしてください。
◎努力を認める言葉
「よく頑張っているね」「頑張っている姿を見て、私たちも嬉しいよ」「毎日、本当に真面目に勉強しているね」など。
◎自信を促す言葉
「あなたなら、きっと合格できる」「最後まで、信じているよ」「今まで頑張ってきたんだから、大丈夫だよ」など。
◎励ます言葉
「(特に思うような成績結果が出ない時)そんなに心配しなくても、大丈夫だよ」「これからも、一緒に頑張ろう」、「これからも毎日、後悔しないよう頑張ってね」など。
◎将来を応援する言葉
「そんなに無理しなくてもいいよ」「少しくらい休んでも大丈夫だよ」「将来のことは気にせず、本当に自分の好きな道(進みたい進路に)に進みなさい」など。
まとめ|まずは“医学部受験ってどんなもの?”を知ることから
医学部受験は、学習量・難易度・費用、さらには強い精神力、すべてにおいて特別な準備・対策が求められる受験勉強の中でももっとも厳しい世界です。
合格の鍵は、早期の情報収集と計画的な学習。そして子どもの覚悟を支え、信じて応援し続ける保護者の関わり方も、年々重要な要素になってきています。
まずは、医学部受験の今を知り、目標達成までの道のりを親子で共有することが、第一歩となるでしょう。
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執筆者プロフィール

プロ教師の実力を最難関校への合格実績で証明しつづける家庭教師センター。最難関中学受験~医学部受験まで、学年を問わず、数多くの受験生をサポートし合格へと導いている。