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高校で必修化された「情報Ⅰ」とは?単元内容からつまずきやすいポイントまで解説【西岡壱誠氏監修】

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大学受験
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「情報Ⅰって、パソコンの授業?」「プログラミングって難しそう……」と感じている人は多いのではないでしょうか。

情報Ⅰとは、高校で必修となっている情報科の科目で、プログラミングやデータ分析、情報デザイン、情報モラルなどを通じて、情報を活用して課題を解決する力を育てる科目です。パソコン操作だけを学ぶ科目ではなく、4つの領域を幅広く扱います。

2022年度から高校の共通必履修科目として新設され、多くの学校で1年次に履修します。2025年度からは大学入学共通テストにも出題されるようになりました。

この記事では、偏差値35から独自の「暗記術」「読書術」「作文術」を生み出し、東大に合格した西岡壱誠さん(カルぺ・ディエム所属・講演家)の監修の下、情報Ⅰがどんな科目かを、導入の経緯や学習内容からわかりやすく説明します。

授業で何をするのか、どんな力が身につくのかも具体的に紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

塾選ジャーナル編集部

編集部

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塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

西岡壱誠

監修者

西岡壱誠

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。 そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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目次

高校「情報Ⅰ(情報1)」とは?どんな科目?

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情報Ⅰは、2022年度から新学習指導要領のもとで導入された、高校の共通必履修科目です。プログラミングやデータ分析、情報デザイン、情報モラルなど、情報を活用して課題を解決するための知識とスキルを幅広く学びます。

多くの高校では1年次に履修し、標準単位数は2単位です。

2022年度から全高校で必修になった科目

高校の情報科目は、2003年度から選択必履修化されていました。当初は「情報A」「情報B」「情報C」の3科目から学校が選択する形でスタートし、2013年度からは「社会と情報」「情報の科学」の2科目に再編されました。この時期も学校や生徒によって学ぶ内容が異なり、プログラミングをほとんど扱わないケースもありました。

2022年度からは、こうした選択制が見直されました。新学習指導要領により、すべての高校生が共通して学ぶ科目として「情報Ⅰ」が導入され、学校や選択科目によって学習内容にばらつきが生じていた状況が改められています。

以下の表は、情報科目の変遷を整理したものです。

高校の情報科目の変遷

時期 科目名 特徴
2003年度〜 情報A・情報B・情報C 学校が3科目から選択。パソコン操作中心の内容も多かった
2013年度〜 社会と情報/情報の科学 2科目から学校が選択。学ぶ内容に差が出やすかった
2022年度〜 情報Ⅰ(共通必履修) 全員が共通して履修。プログラミング・データ活用も必修化

2022年度以降に高校に入学した生徒は全員が情報Ⅰを学んでいます。2025年度からは大学入学共通テストの出題科目にも加わり、受験上の重要度も高まっています。

参考:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」

「情報Ⅰ」が導入された背景

なぜ、情報Ⅰという形で学習内容が刷新されたのでしょうか。その背景には、社会の急速な変化があります。

AIやIoT(モノのインターネット)の普及により、日常生活や仕事の場でデータを扱う機会は急増しています。スマートフォンやSNSはもちろん、医療・物流・製造といったあらゆる分野でデータの読み取りや活用が求められるようになりました。

政府が提唱する「Society 5.0」では、サイバー空間と現実空間を高度に組み合わせ、社会課題を解決する力が必要とされています。こうした社会では、ITエンジニアだけでなく、文系・理系を問わずすべての人が情報活用能力を持つことが重要です。IT人材の不足も深刻化するなか、学校教育の段階から情報リテラシーの底上げを図ることが急務となっています。

情報Ⅰは、特定の職業や進路を目指す生徒だけのための科目ではありません。大学や社会では、情報を集めて整理し、根拠をもとに判断する力がますます求められます。その基礎を高校生のうちに全員が身につけることを目的として設けられた科目です。

参考:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」

東大卒教育ライター・西岡さん「情報という科目はこれからの時代を生き抜くために必要」

高校までは自力で解くテストが評価基準の大半を占めており、自分で情報活用する経験はあまりないかもしれません。

しかし大学では、何を使ってもよい課題で評価されることが多くなります。本やインターネットから必要な情報を手に入れ、それらを活用する能力も大事な能力の一つとなります。またテストであっても、自分のノートを持ち込めるテストがたくさんあります。

ただ情報を集めて活用するだけでなく、調べた結果を分かりやすい形に自分で整理することも必要になるのです。

自分の知識だけでわかることには限りがありますが、今はネットを駆使すれば膨大な知識を簡単に手に入れられる時代です。これからの時代を生き抜くために必要だからこそ、高校の授業に新設された科目と言えるでしょう。

情報Ⅰで学ぶ4つの領域

情報ⅰで学ぶ4つの領域

情報Ⅰは、4つの領域で構成されています。プログラミングだけを学ぶ科目ではなく、情報モラルからデータ分析まで幅広い内容を扱うのが特徴です。まずは以下の表で全体像を確認しておきましょう。

領域 主な学習内容 登場する主な用語
情報社会の問題解決 情報社会の課題、情報モラル、ルールやリスク 情報モラル、著作権、個人情報、セキュリティ、フェイクニュース
コミュニケーションと情報デザイン 情報の整理、資料作成、Web・ポスター・スライド 情報デザイン、メディア、ユーザビリティ、アクセシビリティ、レイアウト
コンピュータとプログラミング コンピュータの仕組み、アルゴリズム、プログラム作成 アルゴリズム、フローチャート、変数、条件分岐、繰り返し、デバッグ
情報通信ネットワークとデータの活用 インターネット、データ整理、グラフ・統計 IPアドレス、プロトコル、暗号化、データベース、平均値、中央値、散布図、箱ひげ図、相関

4つの領域はそれぞれ独立しているのではなく、互いに関連しています。たとえばプログラミングで作ったシステムをネットワーク上で動かし、集まったデータを分析して課題解決に活かすという一連の流れが、情報Ⅰ全体を通じて学べる内容です。

① 情報社会の問題解決

「情報社会の問題解決」は、情報Ⅰの入り口となる領域です。SNSへの投稿や画像の無断転載、ネット上のトラブルなど、日常生活で起こりうる問題を題材に、情報を安全・適切に扱うための知識と考え方を学びます。

「知らなかった」では済まされない著作権の侵害や個人情報の流出は、身近なところに潜んでいます。ルールを覚えるだけでなく、自分や周囲を守るための知識として情報を扱う姿勢を身につけることがこの領域の目的です。

この領域で出てくる主な用語・テーマは、情報モラル、著作権、個人情報、情報セキュリティ、フェイクニュース、SNSトラブル、問題発見・問題解決などです。

東大卒教育ライター・西岡さん「自分の身を守る知識をつけておくことはこれからの時代で重要」

現代ではSNSが普及し、誰もが情報を発信できる時代です。自分が問題を起こさないように気をつけることも当然ですが、トラブルに巻き込まれたり、誰かから被害を受けたりすることも十分考えられます。自分の身を守るだけの知識をつけておくことはこれからの時代にとても重要なことです。

② コミュニケーションと情報デザイン

「コミュニケーションと情報デザイン」では、目的や状況に合わせて情報をわかりやすく伝える力を養います。「デザイン」というと見た目を整えることをイメージしがちですが、この領域で重視されるのは受け手が迷わず内容を理解できる状態をつくることです。

日常的に目にしているポスターやWebサイト、スライドにも、受け手を意識した多くの工夫が隠されています。良い情報デザインは意識しなくても自然に内容が頭に入ってくるもので、こうした情報の整理と表現のスキルは学校生活のあらゆる場面でも活かせます。

この領域で出てくる主な用語・テーマは、情報デザイン、メディア、レイアウト、ユーザビリティ、アクセシビリティ、スライド、ポスター、Webページ、図表などです。

東大卒教育ライター・西岡さん「無意識のうちに情報を入手できていることに気がつけるとよい」

情報デザインについて、日頃あまり意識をしたことがないという人もいるのではないでしょうか? しかし、それは情報デザインがうまくできていることの証拠でもあるのです。

情報デザインとは情報をうまく伝えるための方法であり、デザインが悪くてイライラしてしまうことはあっても、デザインが良いことにはなかなか気づけません。

「言葉で説明されていないのに手順がわかるな」「一目見ただけで要点がわかるな」といった、無意識のうちに情報を入手できていることに気がつけると、もっと情報という科目を楽しめるはずです。

③ コンピュータとプログラミング

「コンピュータとプログラミング」では、コンピュータの仕組みを理解しながら、問題解決のためにプログラムを活用する力を身につけます。特定のプログラミング言語を習得することよりも、「どのように手順を組み立てるか」という論理的な思考力を育てることが重視されています。

学校によって扱うプログラミング言語は異なりますが、どの言語でも共通して使う考え方として以下の概念を学びます。この領域で出てくる主な用語・テーマは、アルゴリズム、フローチャート、変数、条件分岐、繰り返し、入力・処理・出力、シミュレーション、デバッグなどです。

東大卒教育ライター・西岡さん「段取り力を身につけられるのがプログラミング」

プログラミングというと、暗い画面にキーボードをカタカタと打っている様子を想像する人もいるでしょう。

しかし、この領域ではもっと身近な論理的思考力、分かりやすく言うと「段取り力」を身につけることができます。

段取りの良し悪しは、日常生活の豊かさに直結する能力でもあります。

たとえば料理をするとき、「何時ごろに準備を始めれば晩御飯の時間に間に合うか」「何から作り始めれば全部の料理を温かいうちに食べられるか」など、調理技術以前に段取りが肝心な場面はたくさんあります。

目的に向かって最適な手順を組み立てるこの『段取り力』は、パソコンの中にとどまらず、皆さんが将来どのような道に進んでも一生使える強力な武器になるはずです。

④ 情報通信ネットワークとデータの活用

「情報通信ネットワークとデータの活用」では、インターネットの仕組みや情報セキュリティの基礎を学びながら、データを収集・分析して問題解決に活かす力を養います。情報Ⅰの中でも特に出てくる用語が多い領域です。

ネットワーク分野では、普段何気なく使っているインターネットがどのような仕組みで動いているかを学びます。スマートフォンでWebサイトにアクセスする際の通信経路や、データを暗号化して守る仕組みなど、日常生活と直結した内容が中心です。データ活用分野では、収集したデータを整理・分析する方法を扱います。グラフや統計指標を使ってデータの傾向を読み取り、「このデータから何が言えるか」を考える力を育てます。数学ⅠAで学ぶデータ分析とも密接に関連しているため、数学の学習と並行して理解を深めると効果的です。

この領域で出てくる主な用語・テーマは、インターネット、IPアドレス、プロトコル、暗号化、情報セキュリティ、データベース、表計算ソフト、平均値、中央値、散布図、箱ひげ図、相関関係、グラフの読み取りなどです。

東大卒教育ライター・西岡さん「データを正しく読み、自分で判断することは情報リテラシーの基礎」

インターネットが普及するとともに、家庭内にルータなどのネットワーク機器が置かれることも多くなりました。それらの機器のトラブルに対処し安全に使うためには、最低限のインターネットに関する知識は不可欠です。

また、データを正しく分析する力も実生活に必要な能力です。コロナ禍では感染者数などのデータが毎日出され、たくさんの情報で溢れかえりました。情報の真偽を判断するためにも、データを正しく読み、自分で判断することは情報リテラシーの基礎となります。

情報Ⅰを学ぶときにつまずきやすいポイント

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情報Ⅰは幅広い内容を扱う科目だからこそ、どこかでつまずきを感じる生徒も少なくありません。「何となくわかった気がするけれど、問題を解くと間違える」という状態になりやすいのも特徴のひとつです。よくあるつまずきのパターンを整理します。

プログラミングの考え方が難しい

プログラミングに苦手意識を持つ生徒の多くは、コードの書き方よりも「考え方」でつまずいています。条件分岐や繰り返しといった概念は抽象的で、初めて触れると処理の流れがイメージしにくいと感じることがあります。

いきなりコードを覚えようとすると難しく感じやすいため、まずは「この処理はどういう手順で動いているか」を日本語で追う練習から始めると理解が進みやすくなります。コードを書く技術より、処理の流れを頭の中で組み立てる力を先に育てることが大切です。

東大卒教育ライター・西岡さん「具体的にどういう操作が行われているのか自分で計算して確認しよう」

プログラミングはいろんな状況に対応するために、変数という形で抽象的な概念をたくさん用いているものが多いです。そのため、コードに用いられている変数が、実際の状況とどう対応しているのかを理解する必要があります。

「コードを読んでもわからない!」という人は、具体的にどういう操作が行われているのか自分で計算して確認してみましょう。具体的に一つの状況から始めて、プログラミング通りに流れを追っていくと、コードの理解が格段に進むはずです。

どういう操作かを実際に確認してみたら、フローチャートなど図を用いて整理してみることも理解の手助けになるでしょう。

データ分析や統計に苦手意識を持ちやすい

データ分析や統計は、数学が苦手な生徒を中心に「難しそう」と感じやすい領域です。ただし、情報Ⅰで求められるのは複雑な計算力よりも、データを読み取って判断する力です。

平均値・中央値・散布図・箱ひげ図といった指標やグラフが何を示しているかを理解し、「このデータから何が言えるか」を考える力が中心になります。数値そのものを算出するより、グラフの形や傾向から意味を読み取る練習を重ねることが、この領域の理解を深める近道です。

東大卒教育ライター・西岡さん「それぞれのグラフで注目すべき点を理解しておこう」

データは値を並べる以外にも表示する方法は様々です。情報では、箱ひげ図や散布図、棒グラフなど、さまざまな形でデータを図示する方法を習います。

グラフの形状によって読み取れることや利点は様々です。箱ひげ図は平均値だけではわからないデータの偏りがわかる、散布図は二つのデータの関係が読み取りやすいなど、それぞれのグラフで注目すべき点を理解しておきましょう。

専門用語が多く感じる

情報Ⅰには、初めて聞く専門用語が多く登場します。アルゴリズム、プロトコル、IPアドレス、データベース、暗号化、情報モラルなど、日常会話では使わない言葉が次々と出てくるため、「覚えることが多すぎる」と感じることがあります。

こうした用語の多くは日常生活と結びついています。「暗号化」はスマートフォンの通信保護に使われており、「情報モラル」はSNSの使い方そのものに関係します。用語を単独で覚えるのではなく、身近な具体例とセットで理解すると記憶に定着しやすくなります。

東大卒教育ライター・西岡さん「身近な例を挙げられるように理解しておく」

情報の専門用語は、他教科に比べても日常に潜んでいるものがたくさんあります。この記事を読んでいる今も、皆さんには情報モラルを持って読むことが期待されています。他にも記事を読み込むために、IPアドレスやプロトコルなどが使われているはずです。

言葉と定義を丸暗記するだけでなく、身近な例を挙げられるように理解しておけばテストでも問題なく答えられることでしょう。

授業だけでは演習量が不足しやすい

情報Ⅰは、用語を覚えるだけでは理解しにくい科目です。特にプログラミングやデータ分析は、実際に手を動かして慣れることではじめて身につく内容が多くあります。

高校の授業時間は限られているため、苦手な分野について十分な演習量を確保できないことも少なくありません。「授業を聞いてわかった気がした」のに、いざ問題を解くと手が止まるという状態はその典型です。わからないと感じたら早めに教科書・ノート・参考書などを使って補うことが大切で、つまずきは放置するほど解消しにくくなります。

情報Ⅰが苦手な人の勉強法

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「授業を聞いてもよくわからない」「どこから手をつければいいかわからない」と感じる場合は、勉強の順番を見直すことで理解が進みやすくなります。情報Ⅰは領域によって性質が異なるため、それぞれに合ったアプローチで取り組むことが大切です。

まずは教科書と授業ノートで用語を整理する

情報Ⅰでつまずく原因の多くは、用語の意味があいまいなままになっていることです。問題を解こうとしても、言葉の意味が頭に入っていないと考えようがありません。まずは教科書と授業ノートを使って、単元ごとに出てくる用語を整理するところから始めましょう。

ポイントは、丸暗記ではなく身近な例とセットで理解することです。「アルゴリズム=手順」と覚えるだけでなく「料理のレシピも一種のアルゴリズム」と結びつけると記憶に残りやすくなります。「プロトコル=通信のルール」「暗号化=データを鍵で変換して守る仕組み」というように自分の言葉で説明できる状態を目指しましょう。この作業は定期テスト対策にも直結します。

プログラミングは処理の流れを図にする

プログラミングが苦手な場合は、いきなりコードを覚えようとするのをやめることが第一歩です。まずは「入力→処理→出力」の流れを日本語で整理するところから始めましょう。

条件分岐や繰り返しは、フローチャートや表に書き出すと視覚的に理解しやすくなります。「もし〜なら○○、そうでなければ××」という条件の分かれ方を図で確認しながら追うと、コードの意味がつかみやすくなります。短いプログラムを1行ずつ「この行は何をしているか」と確認しながら読む練習を繰り返すことで、少しずつ処理の流れが追えるようになります。

データ分析はグラフの読み取りから始める

数式や計算が苦手な場合は、まずグラフの意味を理解することから始めましょう。棒グラフは量の比較、折れ線グラフは変化の傾向、散布図は2つのデータの関係、箱ひげ図はデータのばらつきを読み取るのに向いています。それぞれのグラフが「何を見せるためのものか」を押さえるだけで、問題の読み取り精度が上がります。

平均値や中央値などの代表値も、「テストの平均点」「身長の真ん中の値」といった具体例で理解すると定着しやすいです。「このグラフから何が言えるか」を短い文章で説明する練習も、記述力と読解力を同時に鍛えられて効果的です。

動画教材や参考書で苦手分野を補う

教科書や授業ノートを見直してもわかりにくい場合は、動画教材や参考書を活用しましょう。特にプログラミングやデータ分析は、画面を見ながら手を動かして確認できる動画教材が理解の助けになります。図や表が豊富な参考書も、視覚的に整理しながら学べるためおすすめです。

定期テスト直前にまとめて学ぶより、授業後に短時間で復習する習慣をつける方が定着しやすいです。一人で抱え込まず、わからない部分は早めに先生や教材に頼ることが苦手克服の近道になります。大学受験で情報Ⅰが必要な場合は、まずここで基礎を固めたうえで共通テスト対策へと進みましょう。

情報Ⅰで身につく4つの力

情報1で身につく4つの力

情報Ⅰで学ぶ内容は、テストの点数に直結するだけでなく、大学進学後や社会に出てからも使える力の土台になります。ここでは、情報Ⅰを通じて身につく力を4つの視点から整理します。

情報リテラシー

情報リテラシーとは、情報を正しく読み取り、その信頼性を判断する力です。インターネット上には膨大な情報があふれていますが、その中には事実と異なるフェイクニュースや、AIによって生成されたディープフェイク画像・動画も含まれています。「見たから正しい」ではなく、「誰が、どのような根拠で発信しているか」を確認する姿勢が、AI時代には特に重要です。

情報Ⅰでは情報モラルや著作権、個人情報保護の学習を通じて、こうした判断力の基礎を養います。情報を鵜呑みにせず、疑い、確認する習慣は学校生活だけでなく日常のあらゆる場面で役立ちます。

東大卒教育ライター・西岡さん「高い情報リテラシーを持つことはより重要になっていく」

近年はAIが格段に発達しており、ディープフェイクと呼ばれる巧妙に作られた偽の写真や動画が出回るようになりました。ただ見ただけでは加工されているか判断が難しいものもたくさんあり、これまで以上に嘘のレベルが高くなっています。「自分は大丈夫」と過信せず、常に情報の真偽を疑う心構えが大事です。

技術が発達すると便利になる一方で、悪用する人がいることは避けられません。常に知識をアップデートして、高い情報リテラシーを持つことはより重要になっていくでしょう。

論理的思考力・問題解決力

プログラミングの学習を通じて、物事を順序立てて考える論理的思考力が身につきます。「目標を達成するために、どんな手順を踏めばよいか」を分解して考える力は、プログラムを書くときだけでなく、勉強の計画を立てる場面や日常の問題解決にも活きます。

原因と結果の関係を整理し、「なぜそうなるのか」を丁寧に追う思考の癖は、論文やレポートの作成、仕事での意思決定にもつながる汎用的なスキルです。

東大卒教育ライター・西岡さん「情報で学べる論理的思考力は、科目・状況を選ばず広く使える」

遊びや部活など高校生活を満喫するため毎日忙しくしている高校生も多いでしょう。そんな中でも、勉強や将来に向けての準備もしなければなりません。

日々を効率よく過ごすためには、やることを過不足なく効率的に実行する段取りはとても重要です。段取りができてしまえば、やることリストやアラームを作成して仕組みに頼ることもできます。

情報で学べる論理的思考力は、科目・状況を選ばず広く使える能力だということを意識しながら、是非とも身につけてください。

情報デザインと表現力

情報デザインの学習を通じて、相手に伝わる形で情報を整理・表現する力が養われます。図表やスライドを使って情報をわかりやすく構成する技術は、大学でのゼミ発表やレポート作成、社会人になってからのプレゼンテーションや資料作成にも直結します。

「伝えたいことを、相手が理解しやすい形に変換する」という考え方は、文章を書くときにも口頭で説明するときにも共通して使えるスキルで、情報Ⅰで培った表現力はあらゆるアウトプットの場面で土台となります。

東大卒教育ライター・西岡さん「情報を伝える相手のことを思った表現方法を心がけたい」

高校の課外授業などで、ポスターやスライドなど自分の考えを発表する機会もあるのではないでしょうか? せっかく調べた情報も、うまく整理して相手に伝えなければ正しく評価されず価値も半減してしまいます。

この能力は、大学や社会に出てからも必ず必要になる能力です。簡単に情報が発信できるからこそ、情報を伝える相手のことを思った表現方法を心がけましょう。

情報社会に主体的に参画する力

情報社会において重要なのは、情報の受け手として消費するだけでなく、発信者としての責任を理解することです。SNSへの投稿一つとっても、著作権の侵害や個人情報の流出につながる可能性があります。情報Ⅰでは、こうした知識を「ルールだから守る」ではなく「自分と周囲を守るために必要な力」として学びます。

情報セキュリティや情報モラルを自分ごととして理解することで、デジタル社会に主体的に関わっていける姿勢が育ちます。

東大卒教育ライター・西岡さん「自分ごととして、自分を守る方法として情報モラルを身につけよう」

SNSが普及したことにより、自分の考えや作品を簡単に発信できるようになりました。それはつまり、インターネットでのトラブルに巻き込まれやすくなったとも言えます。知らず知らずのうちに人を傷つけてしまっていたり、他人の権利を侵していたりするかもしれません。

権利やセキュリティといった難しい話と思わず、自分ごととして、自分を守る方法として情報モラルを身につけてください。

情報Ⅰと他の科目との違いは?

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情報Ⅰを正しく理解するためには、以前の情報科目や発展科目との違いを把握しておくと役立ちます。保護者の方は特に、自分が在学中に学んだ「情報」の授業とは内容が大きく異なる点を押さえておくとよいでしょう。

旧「社会と情報」「情報の科学」との違い

2022年度以前は、「社会と情報」と「情報の科学」の2科目から学校が選択する形でした。「社会と情報」は情報モラルやメディアリテラシーが中心、「情報の科学」はコンピュータの仕組みやプログラミングを重視した内容で、どちらを学ぶかは学校によって異なりました。

以下の表で、旧科目と情報Ⅰの違いを整理します。

旧科目と情報Ⅰの比較

項目 旧科目(〜2021年度) 情報Ⅰ(2022年度〜)
科目数 「社会と情報」「情報の科学」から選択 「情報Ⅰ」1科目に統一
対象 学校によって異なる 全高校生が共通して履修
プログラミング 「情報の科学」選択者のみ 全員が学ぶ
データ活用 限定的 統計・データ分析も必修
共通テスト 対象外 2025年度から出題

情報Ⅰでは、4領域を全員がバランスよく学びます。文系・理系を問わず共通して必要な情報活用の基礎をすべての高校生が身につけることを目的としている点が、旧科目との最大の違いです。

「情報Ⅱ」との違い

情報Ⅱは、情報Ⅰで学んだ内容をさらに深める発展的な選択科目です。情報Ⅰが全員必修であるのに対し、情報Ⅱは希望する生徒のみが履修します。

情報Ⅰと情報Ⅱの比較

項目 情報Ⅰ 情報Ⅱ
位置づけ 共通必履修科目(全員) 選択科目(希望者のみ)
内容の深さ 基礎・標準レベル 発展・応用レベル
主な学習内容 4領域の基礎 モデル化、シミュレーション、情報システム設計、大規模データ活用など
対象者 すべての高校生 情報系・理系進路を考える生徒など

情報Ⅱでは情報Ⅰの土台の上に立って、より高度な情報システムの設計や大規模データの活用、AIの仕組みなどを深く学びます。情報系や理系の進路を考えている場合は、情報Ⅱの履修も選択肢に入れておくとよいでしょう。

大学入学共通テスト「情報」との関係

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2025年度から、大学入学共通テストに「情報」が新設されました。高校で学ぶ情報Ⅰの内容が大学入試にも直接関わるようになっており、国立大学を中心に受験科目として設定する大学も増えています。

出題範囲は情報Ⅰがベース

共通テスト「情報」の出題範囲は、情報Ⅰの4領域をもとに構成されています。単純な用語暗記だけでなく、資料や問題文を読み取りながら考える力が求められるのが特徴です。プログラムの処理の流れを追う問題や、グラフ・表からデータの傾向を読み取る問題など、授業で身につけた知識を実際に使う場面が多くあります。

共通テスト「情報」の詳しい出題傾向や対策については、以下の記事をご覧ください。

1年次の学習からブランクが生まれやすい

多くの高校では情報Ⅰを1年次に履修しますが、共通テストを受けるのは3年生の冬です。授業が終わってから受験本番まで、2年近くブランクが生じるケースもあります。

「授業のときはわかった気がしたのに、受験期になると忘れてしまっていた」という状況は起こりやすいものです。1年次の授業中に基礎をしっかり固めておくと受験期の復習にかかる負担を大きく減らせます。授業を受けながら用語の意味を自分の言葉で整理しておく習慣が、後々の学習を楽にします。

入試対策のポイント

共通テスト「情報」に向けた対策の基本は、教科書の内容をしっかり理解することです。4領域の用語と考え方を整理したうえで、プログラミングでは処理の流れを追う練習を、データ活用ではグラフや表を読み取る練習を積み重ねることが出発点になります。

読解力や資料を読み取る力も問われるため、問題文を丁寧に読む習慣も大切です。まずは授業で学んだ内容の土台を固めることが、共通テスト対策にもそのままつながります。

まとめ 情報Ⅰは、これからの情報社会を生き抜くための科目

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情報Ⅰは、パソコンの操作を習う科目でも、プログラマーを育てるための科目でもありません。情報社会を生きるすべての人が、情報を正しく扱い、活用し、発信できる力を身につけるための科目です。

学ぶ内容は情報モラルからプログラミング、データ分析、情報デザインまで幅広く、どれも今の社会で必要とされている力と直結しています。授業で学んだことは定期テストや共通テストのためだけでなく、大学での学習や社会に出てからも使える土台になります。

多くの高校では1年次に履修するため「とりあえず授業を受ければいい」と後回しにしてしまいがちです。しかし、用語の意味を丁寧に理解し、処理の流れを追い、データを読み取る力を少しずつ積み上げておくことが、受験期の復習負担を減らし、共通テストの得点にもつながります。

まずは「情報Ⅰがどんな科目で、何を学ぶのか」を理解できたことを足がかりに、授業への取り組み方や勉強の方針を考えてみてください。

東大卒教育ライター・西岡さん「情報という科目との向き合い方」

インターネットやスマートフォンは、特別な訓練や勉強なしに使えるものです。たくさんのデータや知識も簡単に手に入るようになりました。しかし、それらは決してリスクなしに扱えるものではありません。うまく使いこなすためには、自分で考えながら使うことが必要です。

身近で簡単に使えてしまうからこそ、ただ感覚で使って失敗してしまう前に、背景にはどんな技術があるのか、どのように情報と向き合っていくべきなのかを今一度考える機会として情報という科目と向き合ってみてください。

執筆者プロフィール

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塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

監修者プロフィール

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ドラゴン桜2編集担当
西岡壱誠

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。 そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

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