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【2026最新】小論文の結論の書き方|評価される解決策の型とNG例を『オキテ55』著者が解説

更新日:
大学受験
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「結論では今までの内容をまとめればいい」——そう考えて、小論文の点数が伸び悩んでいませんか。

小論文で評価される結論とは、要約ではなく、問題に対する解決策です

本記事では、ロジカルライティングの専門家・鈴木先生監修のもと、採点者に評価される結論の書き方を、文例やNG例を交えて解説します。「文字数はどれくらい?」「解決策が思いつかない」という疑問にも、この記事一つですべてお答えします。

塾選ジャーナル編集部

編集部

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塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

鈴木 鋭智

監修者

鈴木 鋭智

合同会社ロジカルライティング研究室代表。ベストセラー参考書「何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55」シリーズ著者。元・代々木ゼミナール講師。小論文を「文章表現ではなく問題解決の科目」と再定義し、合格率を倍増させる。NHK Eテレ「テストの花道」出演、朝日中高生新聞の連載などメディアでも活躍。現在は全国の高校で小論文講習会を開催するほか、企業からも講演、研修のオファー多数。東北大学大学院文学研究科修士課程修了(認知心理学専攻)

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目次

採点者は、結論に「解決策」を期待している

小論文の結論で採点者が見ているのは、内容の要約ではなく、問題に対する解決策が書けているかどうかです

ここでは、なぜ「まとめを書く」では評価されないのか、採点者が結論のどこを見ているのかを解説します。

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結論に「きれいなまとめ」を書いてしまう落とし穴

「結論では、これまで書いた内容をまとめましょう。」

学校の作文やレポートでは、このように教わった人が多いのではないでしょうか。そのため、小論文でも最後は「以上をまとめると~」と書き、それまでの内容を短く言い換えて終わる受験生が少なくありません。

しかし、大学入試の小論文では、この書き方では評価されにくくなります。なぜなら、小論文とは「解決策を出す文章」だからです。

たとえば、「食品ロスについて、あなたの考えを述べなさい」という問題で、「食品ロスは深刻な問題であり、今後も社会全体で考えていく必要がある」と締めくくったとします。確かに文章としてはまとまっていますが、「では、どうすれば食品ロスは減るのか」という肝心な部分が書かれていません。

大学教授が読みたいのは、問題を整理したことではありません。その問題に対して、あなたならどう改善するのかという提案です。

つまり、小論文の結論とは「まとめ」ではなく「解決策」を書く場所なのです。

完璧な正解よりも、解決に向けた思考プロセスを示す

「でも、高校生が社会問題の解決策なんて、無理じゃない?」

そう不安に感じる人もいるでしょう。確かに、少子化や環境問題、地域活性化のような社会問題は、専門家でも簡単には解決できないことばかりです。当然、大学教授も高校生に完璧な政策を期待しているわけではありません。

しかも、試験本番では限られた時間の中で、資料を読み、その場で考え、自分の言葉で答案を書かなければならないという条件付きです。インターネットで調べることもできませんし、専門家のような知識があるわけでもありません。

だからこそ採点者が見ているのは、「正解を書けたか」ではなく、「どう問題を解決しようと考えたか」です。多少実現が難しいアイデアでも構いません。専門家から見れば改善の余地がある提案でも構いません。問題をよく分析し、「だから私はこうすれば改善できると考える」という筋道が示されていれば、小論文として十分評価の対象になります。

思いつきのアイデアよりも、「問題・原因との一貫性」が大事

もう一つ、採点者が重視しているのが、問題提起・原因・解決策が一本の線でつながっているかどうかです。

たとえば、「地方の過疎化について考えなさい」という設問があったとします。問題は「地方から人口が減っていること」です。その原因を「若者が働く場所を見つけられず、都市部へ流出してしまうこと」と考えたなら、結論ではその原因を改善する解決策を書く必要があります。

例題:地方の過疎化について、あなたの考えを述べなさい。

(解答例)
このように、地方の過疎化が進む大きな原因は、若者が希望する仕事を見つけにくいことであるといえる。(※次からが結論部)
したがって、自治体は若者が地元で働ける環境を整備すべきである。そのために、起業する若者への補助金制度や企業誘致を進めることが有効である。さらに、地元企業と学校が連携して職業体験やインターンシップの機会を増やせば、若者が地域で働く将来像を描きやすくなるだろう。働く場所と挑戦の機会が増えれば、進学や就職で都市部へ出た若者も地元へ戻りやすくなる。こうした取り組みを重ねることで、若者の流出を抑え、地方の過疎化を改善できると考えられる。

このように、「若者の働く場所が少ない」という原因から、「仕事を増やす」という解決策が導かれています。

一方で、原因を「働く場所が少ない」と分析しているのに、結論で「子育て支援を充実させるべきだ」と書いてしまうと、話の流れが途切れてしまいます。子育て支援は大切な政策ですが、この答案の中では原因とのつながりが弱く、説得力も下がってしまいます。

採点者は解決策だけを読んでいるのではありません。問題提起から原因分析を経て、その結論にたどり着くまでの思考の流れを見ています

鈴木先生

従来の国語や作文では社会問題を分析し、原因を考え、解決策を導き出す練習はほとんど行われてきませんでした。だからこそ、大学入試の小論文では、「解決策の考え方」を身につけることが、ライバルに差をつけ高評価を得る近道になります。

結論は「その場のノリ」ではなく、型と手順に沿って書く

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小論文の結論を書くときは、書き出しの表現、方針と具体策の順番、字数配分など、いくつかのポイントを押さえるだけで説得力が大きく変わります。ここでは、採点者に伝わる結論を書くための具体的なコツを紹介します。

【全体の書き方を知りたい人はこちら】

【書き出しのコツを知りたい人はこちら】

「したがって」「以上より」など、定番の接続詞でつなぐ

段落を書き始めるとき、「何から書けばいいのだろう」と手が止まってしまう受験生は少なくありません。しかし、この部分は悩む必要はありません。「以上より」「したがって」「この問題を解決するためには」など、毎回同じ書き出しで十分です。

小論文では、印象的な表現や気の利いた言い回しは求められていません。採点者が知りたいのは、ここから解決策が始まるということだけです。毎回決まった書き出しにしてしまえば、「どう書き始めよう」と悩む時間を減らし、その分だけ解決策を考えることに集中できます。

展開は「大まかな方針 → 細かい具体策」の順番がおすすめ

結論を書くときは、最初に大まかな方針を示し、その後で具体策を書くのがおすすめです。

例えば、地方の過疎化をテーマにするなら、

  • 自治体は若者が地元で働ける環境を整備すべきである。

と方針を書いたあとに、

  • そのために、起業する若者への補助金制度や企業誘致を進めることが有効である。

という具体策を書きます。この順番には二つのメリットがあります。

一つ目は、時間切れになっても最低限の解決策が残ることです。入試本番では、結論を書いている途中で終了時間になることも珍しくありません。最初に方針を書いておけば、具体策まで書き切れなくても、「誰が何をするべきか」は答案に残ります。

二つ目は、具体策が多少未熟でも評価されやすいことです。高校生が考える解決策には、専門家から見れば改善の余地があることもあります。しかし、問題点や原因を踏まえた方針がしっかりしていれば、採点者は「この受験生は問題解決の流れを理解している」と判断できます。

最後は「設問のキーワード」へしっかり着地させる

結論を書き終えたら、最後にもう一度設問を見返してみましょう。

そのとき意識したいのが、設問で使われている言葉と、結論の最後をつなげることです。

小論文を書いていると、途中で話が少し広がってしまうことは珍しくありません。たとえば、地方の過疎化について考えていたはずが、「観光産業を活性化する方法」や「地域ブランドの作り方」の話に発展することもあるでしょう。

もちろん、それ自体は悪いことではありません。大切なのは、最後に「だから設問で問われている問題は改善できる」と結び直すことです。

例題:地方の過疎化を防ぐための方策について、あなたの考えを述べなさい。

解答例(結論)
以上より、地方の観光資源を生かした地域振興を進め、観光客を増やすことが重要である。これにより宿泊業や飲食業など地域の雇用も増えるため、若者が地元で働き続けられる環境が整う。こうして地方の過疎化を防ぐことにつながると考えられる

段落の冒頭では話題が「観光振興」に寄ってしまったように見えますが、最後に「雇用が増える」→「過疎化を防ぐ」という流れで設問のキーワードに戻っています。こうした一文があるだけで、「設問に正面から答えている」「話の筋が一本通っている」という印象になります。

結論の最後は、設問のキーワードに着地することを意識しましょう。

「社会全体でどうするか」ではなく「誰が何をするか」を書く

解決策を書くときに意識したいのが、「誰が」「何をするのか」をはっきり書くことです。例えば、

  • 社会全体で取り組むべきである。

だけでは、具体的に誰が何をすればよいのかわかりません。一方で、

  • 自治体は子育て世帯への支援を拡充すべきである。
  • 学校は情報モラル教育を充実させるべきである。
  • 企業は食品ロスを減らす製造体制を整えるべきである。

と書けば、主体と行動が明確になります。解決策とは、「こうなればいい」という願望ではありません。「誰が何をするべきか」という行動の提案です。

結論の字数は「余った分」ではなく「全体の3分の1」

「結論は何文字くらい書けばいいですか」という質問をよく受けます。厳密な決まりはありませんが、目安としては全体の三分の一程度を考えておくとバランスが取りやすくなります。

例えば600字の小論文なら200字前後、900字なら300字程度です。

もちろん、文字数ぴったりに合わせる必要はありません。大切なのは、問題提起や原因分析に字数を使い切ってしまい、最後の解決策が数行しか書けない答案にならないことです。

小論文で最も評価されるのは、問題を分析した結果として、どのような解決策を導き出したかです。結論にも十分な字数を残すよう、時間配分と構成を意識しましょう。

あと100字足りない時は「行動を具体化」して埋める

字数が少し足りないときは、新しい話題を足す必要はありません。すでに書いた解決策を「具体化」すること、またはその先の「未来の展望」を書き足すことで、自然に字数を埋められます。

「具体化」とは、「誰が」「何をするか」をもう一段深掘りすることです。例えば「学校は情報モラル教育を充実させるべきである」なら、「授業でSNSトラブルの事例を扱う時間を設けるべきである」のように掘り下げます。

「未来の展望」とは、その解決策を実行した先に何が起こるかを書くことです。例えば「こうした取り組みを重ねることで、生徒が安心してSNSを利用できる環境が整うだろう」のように、解決策の効果を一文添えます。

どちらの方法も、新しい主張を追加するわけではないため、一貫性を保ったまま字数を埋められます。

鈴木先生

結論は、小論文の「おまけ」ではありません。「問題提起」「原因分析」と積み重ねてきた内容が、本当に意味を持つのは最後に解決策を書いたときです。時間と字数をしっかり確保して、「自分なりのアイデア」を提言しましょう!

例文で学ぶ「知識の丸暗記」ではない解決策の出し方

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小論文の結論では、知っている知識を並べるだけでは不十分です。大切なのは、問題を読み取り、原因を考え、そこから解決策を導くことです。ここでは、知識の丸暗記に頼らずに解決策を出すための考え方を、5つに分けて整理します。

<知識の丸暗記に頼らず解決策を出す5つの考え方>

解決策を出す考え方 ポイント
論破ではなく「Win-Winな仕組み」を考える 対立する立場のどちらかを否定せず、双方にメリットがある解決策を探す
原因と解決策は1対1で対応させる 原因を複数に分け、それぞれに対応する解決策を考える
注意を促すのではなく「技術で補う」 本人の努力だけに頼らず、事故を防ぐ仕組みや技術を考える
モラルに頼るのではなく「環境や仕組みを変える」 意識を高めるだけでなく、行動しやすい環境を整える
捨てる人ではなく「ゴミに気づいた人」視点を探る 問題を起こす人だけでなく、解決に動ける人に着目する

【高校生バイト】論破ではなく「Win-Winな仕組み」

問題:高校生のアルバイトを認めるべきか。

(解答例)

 ①メリット
高校生のアルバイトには、家庭の経済的負担を軽減できるという大きなメリットがある。近年は、保護者の収入減少や物価高の影響もあり、学用品や通学費を自分で負担しなければならない生徒も少なくない。また、進学資金を少しでも貯めるために働いている高校生もいる。経済的な事情によって進学や学校生活を諦めることがないよう、学校も生徒一人ひとりの事情を理解し、アルバイトを必要とする生徒を支える姿勢が求められる。

②デメリット  
一方で、アルバイトを優先しすぎると勉強時間が減り、学業に支障をきたすおそれがある。特に人手不足の職場では、高校生であってもテスト期間中に休暇を希望しにくく、試験直前まで勤務を続けなければならない場合もある。その結果、十分な試験勉強ができず、成績が下がってしまうことも考えられる。高校生の本来の役割は学ぶことであり、学業とアルバイトの両立が難しくなる状況は避けなければならない。

③解決策  
以上より、高校生のアルバイトは学業を最優先にできる環境を整えた上で認めるべきである。そのため、学校は経済的な事情でアルバイトが必要な生徒を適切に支援するとともに、アルバイト先にも学業への理解を求めることが重要である。例えば、学校と事業者が連携し、定期試験前は勤務時間を減らしたり休暇を取得しやすくしたりする仕組みを設ければ、生徒は安心して学校生活とアルバイトを両立できると考えられる。

鈴木先生

ディベート型では、賛成か反対かを押し通すよりも、「どうすれば両方のメリットを生かせるか」を考えることが大切です。賛成派と反対派が対立している理由を整理し、双方の不安を解消する解決策を提案すると、説得力のある小論文になります。

【日本人の睡眠不足】1つの対策ではなく「1対1の解決策」

問題:日本人の睡眠不足について、あなたの考えを述べなさい。

(解答例)

①問題提起
日本人は世界的に見ても睡眠時間が短いことで知られており、中でも女性の睡眠不足は深刻である。睡眠不足が続くと、集中力や判断力が低下するだけでなく、生活習慣病やうつ病などのリスクも高まるといわれている。また、仕事や勉強の効率が下がることで、生産性の低下や事故の増加にもつながり、個人だけでなく社会全体にとっても大きな損失となる。この問題を改善するには、なぜ日本人が十分な睡眠を取れないのか、その原因を考える必要がある。

 ②原因
日本人の睡眠不足の原因としては、長時間労働が依然として多いことに加え、女性に家事や育児の負担が偏っていることが挙げられる。仕事が終わった後も家事や子育てを担う人は、自分の睡眠時間を削らざるを得ない。また、共働き世帯が増えた現在でも、家庭内の役割分担は十分に見直されておらず、女性の負担が大きい家庭は少なくない。このように、職場と家庭の両方に原因があるため、どちらか一方だけを改善しても睡眠不足は根本的には解決できない。

③解決策
したがって、日本人の睡眠不足を改善するには、働き方を見直すことと、女性に偏りがちな家事・育児の負担を軽減することの両方が必要である。そのため、企業は長時間労働を見直し、従業員が十分な休息を取れる勤務体制を整えるべきである。また、行政は家事代行サービスや保育サービスへの支援を充実させるとともに、男性の育児休業取得を促進し、家庭内の負担を分担しやすい環境を整えることも重要である。二つの原因に対応した対策を進めることで、日本人の睡眠不足を改善できると考える。

鈴木先生

原因を二つ挙げたのに、解決策が一つしかない答案は意外と多く見られます。小論文では、「原因」と「解決策」を一対一で対応させることが大切です。原因が二つあるなら解決策も二つ考えると、一貫性のある答案になります。

【高齢者事故】注意を促すのではなく「技術で補う」

問題:高齢者による交通事故を減らすにはどうすればよいか。

(解答例)

 ①問題提起
高齢化が進む日本では、高齢者による交通事故が社会問題となっている。加齢によって判断力や反応速度が低下すると、アクセルとブレーキの踏み間違いなど重大な事故につながる危険性が高まる。一方で、地方では公共交通機関が十分に整備されていない地域も多く、自動車が生活に欠かせない高齢者も少なくない。そのため、「免許を返納すればよい」と簡単には言えず、安全と生活の利便性を両立させることが大きな課題となっている。

②原因
交通事故が起こる背景には、加齢による身体能力や判断力の低下だけでなく、自動車を運転しなければ買い物や通院ができない地域が多いことも挙げられる。また、事故を防ぐ安全技術を搭載した自動車は価格が高く、古い車に乗り続けている高齢者も少なくない。このように、高齢者本人の努力だけでは事故を防ぎきれず、生活環境そのものにも原因があることが、この問題を難しくしている。

 ③解決策  
したがって、高齢者が安心して移動できる環境を整えることと、安全運転を支える技術を積極的に活用することの両方が必要である。そのため、行政は自動ブレーキなどの運転支援機能を備えた自動車への買い替えを補助するとともに、自動運転技術の開発・普及を進めるべきである。さらに、地方ではAIを活用したオンデマンド交通なども導入し、自家用車に頼らなくても生活できる環境を整えれば、移動の自由を守りながら交通事故を減らすことができると考える。

鈴木先生

「もっと気を付けて運転しましょう」では、交通事故はなかなか減りません。人間の注意力や努力には限界があるからです。解決策が思いつかないときは、「技術で人を助けられないか」という視点を持つと、新しいアイデアが生まれやすくなります。AIやロボット、自動運転などのテクノロジーは、これからの小論文でも使いやすい発想の一つです。

【食品ロス】モラルに頼るのではなく「環境や仕組みを変える」

問題:食品ロスを減らすにはどうすればよいか。

 (解答例)

 ①問題提起
食品ロスというと、工場やスーパーで大量の食品が廃棄されている様子を思い浮かべる人も多いかもしれない。しかし、家庭から出る食品ロスも決して少なくない。買い過ぎて食べ切れなかったり、冷蔵庫に入れたまま存在を忘れてしまったり、まだ食べられる食品を期限が来たという理由だけで捨ててしまったりする人もいる。一人ひとりが捨てる量はわずかでも、それが全国で積み重なれば膨大な量の食品ロスとなる。家庭で発生する食品ロスを減らすことも、この問題を解決するためには欠かせない視点である。

 ②原因
食品ロスが発生する理由の一つは、多くの人が「賞味期限」と「消費期限」の違いを十分に理解していないことである。賞味期限は「おいしく食べられる目安」であり、期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない。しかし、「消費期限」と混同して期限が来たらすぐ捨ててしまう人も少なくない。また、「期限切れ」という言葉だけを見て危険だと思い込み、中身を確認せずに処分してしまう場合もある。この問題は、消費者の知識不足だけでなく、二つの言葉が似ていて違いが伝わりにくい表示方法にも原因があると考えられる。

③解決策
したがって、食品ロスを減らすには、消費者の意識だけに頼るのではなく、食品表示をより分かりやすくすることが必要である。例えば、「賞味期限」を「おいしく食べられる目安」、「消費期限」を「安全に食べられる期限」といった表現に改めたり、パッケージにイラストで違いを示したりすれば、誤解は減るだろう。表示方法という仕組みを改善することで、まだ食べられる食品を誤って捨てる家庭が減り、食品ロス全体の削減につながるはずである。

鈴木先生

「食品を大切にしましょう」と呼びかけるだけでは、人の行動はなかなか変わりません。本当に原因が「人の心」にあるのか、それとも制度や表示、ルールなどの仕組みにあるのかを考えてみましょう。一見するとマナーや意識の問題に見える社会問題でも、仕組みを少し変えるだけで、多くの人が自然に望ましい行動を取れるようになることがあります。

【公園のゴミ】捨てる人ではなく「ゴミに気づいた人」視点を探る

問題:公園のゴミを減らすにはどうすればよいか。

(解答例)

①問題提起  
公園にゴミが落ちていると、景観が悪くなるだけではない。空き缶や食べ残しを子どもが誤って触ったり、たばこの吸い殻を拾って口に入れたりする危険もある。また、放置されたゴミをカラスや猫などの動物が荒らせば、公園全体にゴミが散乱し、さらに衛生環境が悪化してしまう。公園は子どもたちが安心して遊べる場所であるべきだからこそ、利用者全員で清潔な環境を維持することが重要である。

 ②原因  
公園でゴミを見つけても、拾わずに通り過ぎてしまう人は少なくない。その理由は、ゴミを見ても無関心だからとは限らない。本当はゴミを拾って公園をきれいに保ちたいという気持ちがあっても、食べ残しや汚れた容器などを素手で触ることに抵抗を感じる人も多く、不衛生なため拾いたくても拾えないのである。また、ポイ捨てだけでなく、風で飛ばされてきたり、カラスがゴミ置き場から運んできたりする場合もあり、利用者のマナーだけでは解決できない問題となっている。

 ③解決策  
したがって、公園をきれいに保つには、利用者がゴミを拾いやすい環境を整えることが必要である。そのため、自治体はゴミ箱を設置するだけでなく、ゴミ拾い用のトングもあわせて設置すべきである。トングがあれば衛生面を気にせずゴミを拾うことができ、散歩中の人や子ども連れの保護者も気軽に清掃へ協力できる。こうした仕組みを整えることで、公園を利用する誰もが美化活動に参加しやすくなり、清潔な環境を維持できると考えられる。

鈴木先生

「ポイ捨てをやめましょう」「一人ひとりがマナーを守りましょう」のように「ゴミを捨てる人」に注目しても、人の行動を変えることは簡単ではありません。ならば見方を変えて、「ゴミに気づいた人」の側から考えてみましょう。

解決策が思いつかないのは、知識が足りないからではありません。最初に思いついた視点だけで考え続けているからです。問題を見る角度を変えるだけで、新しい解決策は意外なほど見つかります。

NG行動:結論で選んでしまいがちな「4つの逃げ道」

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結論は、小論文の中でも採点者が特に注目する部分です。せっかく問題提起や原因分析がうまくできていても、最後の結論で設問から外れてしまうと、答案全体の評価も下がってしまいます。

ここでは、多くの受験生がやってしまいがちな結論の失敗例を紹介します。

将来の抱負は、結論ではなく「志望理由書」で書く

(NG例文)
私が貴学法学部に合格した暁には、法律について専門的に学び、誰もが安心して暮らせる社会の実現に貢献できる人材になりたい。そのためにも、大学では積極的に学び、多くの知識を身につけたい。

入学後の抱負は志望理由書に書きます。小論文でも「◯◯について、入学後の抱負を交えてあなたの意見を述べなさい」という条件がついている場合は書いても構いませんが、これは非常にレアな出題です。

基本的には、自分のアピールをする志望理由書と社会問題を解決する小論文ははっきりと区別しましょう。

「一人ひとりの意識向上」は、対策ではなく神頼み

(NG例文)
したがって、日本人一人ひとりが睡眠の大切さについて意識を高めることが大切である。学校や職場でも睡眠の重要性を呼びかけ、お互いに十分な睡眠を取るよう心がけていけば、この問題は改善していくと考える。

呼びかけてみんなの意識が変わるなら、世の中の問題の大半は解決しています。人の意識を変えるのは難しいという前提で、制度やルール、技術など、人が自然と行動できる仕組みまで考えましょう。

原因からズレた解決策は、いいことを書いていても「評価されない」

(NG例文)
高校生のSNS利用時間が長いのは、利用時間を自分で管理することが難しいからである。  したがって、学校では情報モラル教育を充実させるべきである。SNSでのマナーや情報発信の責任について学ぶことで、安心してSNSを利用できるようになると考える。

「情報モラル教育」は良いことですが、「利用時間を管理できない」という問題は解決できません。小論文では「解決策自体の良し悪し」よりも「問題提起・原因との対応」が評価されます

奇をてらった宇宙ロケット案は、ただの非現実な発想

(NG例文)
食品ロスをなくすため、食べ残した食品はロケットで宇宙へ運んでしまえばよい。地球上の限られた土地に埋め立てたり焼却したりする必要がなくなり、環境への負荷も軽減できる。また、宇宙空間を食品の保管場所として活用できれば、地球上の廃棄物問題も大きく改善すると考える。

インパクトはありますが、現実的に実現できる方法とは言えません。大学教授は、高校生に専門家レベルの政策を求めているわけではありませんが、「現実社会で実行できそうか」という視点は見ています。奇抜さを競うのではなく、身近な制度や技術を少し工夫する程度でも十分に評価される解決策になります。

鈴木先生

結論の書き方に迷ったら、最後にもう一度設問を読み返してみましょう。「この結論は、本当に設問への答えになっているだろうか。」この一つの確認だけで、結論の完成度は大きく変わります。

解決策のアイデアは「思いつき」ではなく「習慣」で鍛える

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「解決策を書きなさい」と言われても、最初から良いアイデアが思いつく人はいません。しかし、解決策を考える力は特別な才能ではなく、普段から少し意識するだけで鍛えられます。ここでは、入試だけでなく日常生活でも役立つ3つの練習法を紹介します。

身の回りの困りごとは、最高の「問題解決の練習問題」

問題解決の練習は、社会問題だけで行う必要はありません。まずは、自分の身の回りにある困りごとから始めてみましょう。

例えば、「忘れ物が多い」という悩みなら、前日のうちに持ち物を玄関へ置いておく方法が考えられます。「単語を覚えてもすぐ忘れてしまう」なら、その単語の意味(日本語)を理解できているか確かめることも大事です。

こうした身近な問題でも、「なぜ起こるのか」と原因を考え、「どうすれば改善できるか」と解決策を考える流れは、小論文とまったく同じです。毎日の生活の中で問題解決を繰り返すことが、小論文の力につながります。

「同じ出来事でも見方は違う」ことを、家族や友人との会話で知る

小論文では、自分とは異なる考え方を知ることも大切です。ニュースを見たら、「自分ならどうするか」だけでなく、家族や友人にも意見を聞いてみましょう。同じ出来事でも、年齢や立場が違えば見方も変わります。「そんな考え方もあるのか」と気づくことが、新しい解決策につながることも少なくありません。

最近はAIに質問すれば、すぐに答えを教えてくれます。しかし、小論文で必要なのは「正解を知ること」ではなく、「自分で考えること」です。まずは人と議論して考えを深め、それでも行き詰まったときにAIを参考にするくらいがちょうどよいでしょう。

他人の迷惑行為は、「そうなってしまう事情」を汲んで考える

社会問題について考えるとき、「悪いことをする人が悪い」と結論づけてしまうのは簡単です。しかし、その人がなぜそのような行動を取るのかを考えてみると、新しい解決策が見えてくることがあります。

例えば、ポイ捨てをする人にも「近くにゴミ箱がない」、迷惑駐車をする人にも「駐車場が足りない」といった事情があるかもしれません。もちろん、迷惑行為を正当化するわけではありません。しかし、相手の立場や事情を理解しようとすることで、「罰する」だけではない、より効果的な解決策を考えられるようになります

鈴木先生

解決策は、知識の量ではなく「考える習慣」から生まれます。普段から「なぜ困るのか」「どうすれば改善できるのか」を考えるクセをつけることが、小論文上達への一番の近道です。

小論文の結論についてよくある質問

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小論文の結論について、受験生からよく寄せられる質問に答えます。

小論文の結論は何文字くらい書けばいいですか?

厳密な決まりはありませんが、結論は全体の三分の一程度を目安にするとバランスのよい答案になります。

例えば600字なら約200字、900字なら約300字です。問題提起や原因分析に字数を使い過ぎてしまうと、最も重要な解決策が数行で終わってしまいます。

おすすめなのは、書き始める前に答案用紙を三等分し、鉛筆で小さく印を付けておくことです。どこまでを問題提起・原因分析・解決策に使うかが一目で分かり、時間配分もしやすくなります。

小論文の結論は「以上のことから」で始めてもよいですか?

もちろん構いません。「以上より」「したがって」「この問題を解決するためには」など、毎回同じ書き出しでも減点されることはありません

小論文では、おしゃれな表現や印象的な言い回しよりも、中身の方がはるかに重要です。書き出しで悩む時間があるなら、その分だけ解決策を考える時間に使いましょう。

結論で自分の意見をもう一度書いたら、字数稼ぎできますか?

賛成・反対や自分の意見を簡単に確認する程度なら問題ありません。ただし、それだけで終わってはいけません。

例えば、「私は〇〇に賛成である。」だけでは、採点者は「では、どうすればその問題を解決できるのか」が分かりません。

結論で最も重要なのは、自分の立場を繰り返すことではなく、その立場に基づいた解決策を提案することです。

解決策が思いつかないときはどうすればいいですか?

解決策が思いつかないときは、無理にひねり出そうとする必要はありません。

その場合は、一つ前の「原因分析」を見直してみましょう。原因が曖昧だと、何を解決すればよいのか分からないため、結論も書けなくなってしまいます。

さらに、原因が思いつかない場合は、「誰が」「何に困っているのか」という問題提起まで戻って考え直してみてください。

問題提起が具体的になれば原因が見え、原因が見えれば解決策も自然と見えてきます。

まとめ 小論文の結論は「要約」ではなく「解決策」を書く

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小論文の結論で評価されるのは、内容の要約ではなく、問題をどう解決するかという提案です。大切なのは、問題提起・原因分析・解決策が一本の線でつながっていることであり、高校生らしい完璧すぎない提案でも十分に評価されます。

結論を書くときは、大まかな方針から具体策の順で示し、「誰が」「何をするべきか」を明確にすることを意識しましょう。精神論や現実離れした提案は避け、書き方に迷ったときは原因分析や問題提起まで立ち戻ることも大切です。

結論の書き方は、知識ではなく練習によって身につく力です。ぜひ今回のポイントを意識しながら、実際に自分の言葉で結論を書く練習から始めてみてください。

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鈴木 鋭智

合同会社ロジカルライティング研究室代表。ベストセラー参考書「何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55」シリーズ著者。元・代々木ゼミナール講師。小論文を「文章表現ではなく問題解決の科目」と再定義し、合格率を倍増させる。NHK Eテレ「テストの花道」出演、朝日中高生新聞の連載などメディアでも活躍。現在は全国の高校で小論文講習会を開催するほか、企業からも講演、研修のオファー多数。東北大学大学院文学研究科修士課程修了(認知心理学専攻)

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